明日へと続く記憶

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BLACK BLOOD BROTHERS 11-ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生- 

BLACK BLOOD BROTHERS11  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)BLACK BLOOD BROTHERS11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)
(2009/05/20)
あざの 耕平

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読書期間:2009/5/20~2009/5/21

【評価……A+
設定 ★★★★★★★★★
 … 9
物語 ★★★★★★★★★
 … 9
人物 ★★★★★★★★★★
 … 10
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★★★
 … 10
燃え ★★★★★★★★★★
 … 10
完成度 ★★★★★★★★★★
 … 10

ジローは進む。星一つ分の死と再生を繰り返しながら。コタロウ、そして――ミミコ。彼の心臓をノックする、大切な存在の為に――。
ついに最後の戦いの火蓋が切られた『九龍の血統』とジローたち。ジローに応え特区へと向かったミミコ、ケインやジャネットら各地の精鋭が特区に到着する中、ジローは九龍王との対決の時を迎える。鍛えなおした銀刀を操り『九龍の血統』を圧倒するジローを前に、追いつめられたカーサたちは、最後の手段に打って出る……!
「ジローさん!お願いっ。諦めないで!」
――大切な、愛する者たち。その為に今、全てを捧げよう。
黒き血の兄弟と一人の少女が紡ぐ、血と絆の物語、ついに完結!

【感想】


BLACK BLOOD BROTHERS」シリーズ、堂々完結。
吸血鬼サーガの幕が下ります。

感無量。

渦巻く切ない想い。
一向に熱が引かない目頭。
息を吐くたび漏れ出す疲労感の心地良さ。

素晴らしかったです。
言葉で表現すると、そのどれもが今の自分の気持ちに当てはまらず、もどかしくなります。
だから陳腐だとしても何度でも言います。
本当に素晴らしかった!

◆ 内容

富士見ファンタジア文庫史上、歴代1位タイのページ数はずっしりと重みを感じる533ページ(あとがき除く)。
膨大な量でありながら、それを全く苦とさせない内容となっていることは保障します。
むしろ、読み終わってみると、よくこれだけ充実した内容を1冊にまとめることができたなと驚くくらいです。

これまで積み上げてきたものが解放されていく快感にアドレナリンが出まくり。
ギリギリの局面で必死に生きる彼らの姿が、熱い『血』の声を読者の胸の奥まで訴えてきます。
揺ぎ無い信念を持つ者の格好良さには人間も吸血鬼も差はありません。

緊迫した展開の連続に、ページをめくる手どころか全身に汗をかきます。
時間を忘れて、ただただ没頭して読みました。

◆ 物語

切なさを越えた先にあったものは、痛みと希望でした。
どうして世界はこうも酷なんだろうと思わざるを得ません。

しかし、覚悟を決めた彼や彼女らは、迷いを抱えつつも不器用なくらい一直線で、それが眩しいくらいに格好良かった。
読者の自分の方が心の整理が出来てないくらいで、避けられない戦いに苦しみと悲しみがいつまでも胸にこびりつきました。

築き上げてきた土台からなる幾つもの伏線が、一つ一つ丁寧に解かれていきます。
それでも、もっと描いて欲しかったと思うのは欲張りでしょうか。
想像で済ませるにはあまりに勿体無い話が残ってしまった気がします。

エピローグは長めで、余韻に浸れる良い終わり方でした。
様々な因縁が収束したのち、これから始まる新たな物語の息吹を感じることができます。

ラストシーンの予想はできなかった……というよりもしたくなかったので考えていなかったのですが、読んでみるとこれ以外有り得ないだろうと思えました。

◆ 総評

この「BLACK BLOOD BROTHERS」という本は、おそらく一生忘れることのない本の一つだと確信しています。
それだけ自分にとって特別であったという想いに今もなお溢れています。

もちろん、作品のレベルの高さは言うに及びません。
自信を持って人にお勧めできます。

この本に出逢えて本当に良かった。
あざの先生、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございます!

⇒ 【 「BLACK BLOOD BROTHERS11 -賢者転生- 」簡易感想 】


熱く、切なく、そして深さを感じる重厚な物語が余韻を強く残します



以下、ネタバレ感想です。
最終巻まで読んだ方のみ開いてください。

















































無粋だろうがなんだろうが、語りたいんだから仕方がない。
ということで、長文となってます。

◆ 勝敗の行方

終わってみれば、二度目の特区聖戦はカンパニー側の大勝利でした。
死亡フラグが立っていたキャラが何人かいましたが、主要キャラは戦いから全員生き残ることが出来てホッとしました。
しかし、正直なところ、内容はともかく結果的には一方的に殲滅された『九龍の血統』のことを思うと、苦い勝利でした。
もっとも、最初の特区インパクトでカンパニー側は甚大な損害を被っていたので、無傷の勝利というわけではありませんが。

普通なら、にっくき「敵」を滅ぼしてハッピーエンド!となるところなんですが、物語上「敵」側にいる『九龍の血統』があまりに魅力的な奴らばかりで参りましたね。
頭では理解していても、争うことでしか筋を通す術がない『九龍の血統』の『血』の宿命が哀しすぎます。

◆ 挿入される笑いの種

シリアスで泣けるシーンが数多くある一方で、思わず笑ってしまうところもいくつかありました。
ザザがバウワウ(セイ)と対面して戸惑うところとか、気絶していたにも関わらず意地でも「セ」の次の言葉を止めようとするサユカとか、ハイヤー(ケイン)&タクシー(ジロー)とか、名言「あやつあまりに死にすぎる」とかw
って、セイ関連ばかりじゃないかw
色んな意味でおいしいなぁ、龍王。

◆ 至極のカラーイラスト

しかし、何故か口絵にバウワウ(セイ)がいません。
まぁね、あの中にぬいぐるみが混ざっていたら、そりゃあシュールというかファンシーな空間になってしまって雰囲気ぶち壊しなのは分かるけどさw
それにしても、あの両サイドに分かれた絵には痺れました。
本編を読む前にテンションを上げてくれる素晴らしい一枚でした。

◆ 心に残る挿絵

印象的だったイラストは、全てカーサ絡みでした。
土手で肩を寄せ合い座るカーサとザザ(P429)、誇り高い姉として妹に優しい笑顔を見せるカーサ(P475)、ジローの腕に抱かれ眠るカーサ(P491)。
彼女の魅力を十二分に引き出している絵の数々に、草河さんの実力の一端を垣間見ました。
11巻を読む直前に1巻を読み直してみましたが、絵が全然違いますね。
やはりあの時はまだ試行錯誤といったところだったんでしょう。

◆ 息をつく暇もない熱戦

絵になるシーンでイラストを採用しつつ、要となる戦闘シーンは文章で真っ向勝負する構成に魅せられます。
文が目に入った瞬間に頭の中でその光景を浮かべることができる筆力は、今更語るまでもなく素晴らしかった。

戦況が常に揺れ動き、どちらに転ぶのか分からないハラハラした展開は燃えなきゃ嘘です。
どちらの陣営も策を巡らせ、さらにその先を読むハイレベルな戦いに興奮しました。
その中でも特に、真銀刀ミサイルには度肝を抜かされましたよ。

◆ 『九龍の血統』の生き様


「……ちぇ……強くなったな……」

最期までカーサの生き様は美しかった。
覚悟を決めてジローと剣を交わり合う彼女の姿に、切なさで心が押し潰されそうになります。
言葉では尽くせないほどの哀しみに襲われ、自然と涙腺が緩みました。
せめてもの救いは、ジローの腕の中で逝けたことでしょうか。

ジロー、ケイン、アリスの友として。
そして、『九龍の血統』の長女として。
クールで知的な面を持ちつつ親しいものにだけ見せる笑顔がたまらなく魅力的でした。

第3章のカーサは主人公でありヒロインだったと言えると思います。
今では、最も好きな女性キャラクターだと断言できます。

「……さよなら。お姉ちゃん……」

カンパニー側からすると、悉く苦汁をなめさせられた相手ということもあって心象は悪かったザザ
ですが、この去り方は卑怯過ぎる……。
敵ながらあっぱれという言葉は、彼のためにあるようなものです。
他の誰よりも手強さを感じる、見事なまでの敵役でした。

「……う……お、おお……!」

血族内の心の柱というべきダールは、漢の中の漢ですね。
九龍王が倒れた時に発した彼の雄叫びには、のしかかるような重さを感じました。
実際に描かれることはありませんでしたが、姉弟たちのために、最後の『血』一滴までも振り絞って戦う姿が容易に目に浮かびました。

「……殺ったぞ、『銀刀』……」

パワーアップを果たしたジローを単身で追い詰めたのは、ナブロだけだったでしょう。
結界の外で繰り広げた空中戦には息を呑まされました。
死にかけの状態で刺し違え覚悟で飛びだしたり、最後の力で倒れたカーサを運んだりと、冷酷な暗殺者ではなく熱い心を持った吸血鬼でした。

――姉上……あとは……

ここまで『九龍の血統』内で地味な存在だったハンスですが、この11巻での好感度の上昇幅は全キャラ一。
敵味方含めて化け物クラスがひしめく中、よく頑張った。
文字通り命懸けで銀刀を叩き折ったシーンでは、涙腺が一気に緩みました。

「やるときはやらなきゃ、男が廃るって」

『九龍の血統』の中で、マーベリックだけ出番が少なく感じたのは自分だけでしょうか。
もちろん、血族内にて欠かせない裏方役ではあったんですが、もう少し見せ場が欲しかった。
ポジション的には好きなキャラだったけに、惜しい。

「……へへ。当然……さ……」

いつの間にか弄られキャラとして姉弟から愛されるポジションに立っていたヤフリー
実力的に見せ場があるかどうか心配でしたが、杞憂でした。
マーベリックの助けを借り、レジスタンスからワインを守りきった彼は立派な家族思いの吸血鬼でした。

「あんたも、ちょっと舐めすぎだぜ……?」

正直なところ、陣内やゼルマンが死んだ原因を作った人物なので、どうしてもリンスケに仇を取って欲しかったラウ
しかし、ただやられるだけではなく、しっかりと真銀刀を爆破させていくところは、さすがと言わざるを得ません。
『血』こそ継いでいませんが、彼もまた間違いなく『九龍の血統』でした。

「みんなは、死にました」

血族で唯一残されたワインのこの一言は、感情のなさが余計に辛さを駆り立てます。
ただ家族と一緒に居たかっただけ少女にとっては、あまりにも残酷な結果で、『導主』のサガを恨みたくもなります。
ミミコの言葉は彼女に僅かな救いを与えられたんでしょうか。

◆ 勝った者たち

ケインは、前にも増して格好良くなりましたね。
ジローとのコンビ技はお互いが地力をつけたことで磨きがかかり、以前はダール1人相手でやっとだったのが『九龍の血統』を数人相手にできるようになったのは凄かった。
しかし、それ以上にカーサに対する情念には惚れなおしました。
カーサの感情を一番揺さぶったのは、ジローではなく長年連れ添った相棒であるケインだったわけで。
禁忌とされる混血の道を自ら進んで望んだケインの覚悟は、カーサがたじろぐのも無理はないほど見事でした。

サユカは、まさかここまで重要な存在となるとは思ってもみませんでした。
カンパニー側の優勢の決め手は、間違いなく羅炎によりザザを撃破したことですからね。
特区二大吸血鬼のゼルマンとセイの協力を得て、『血』を受け継いだサユカがやり遂げるというところに、吸血鬼の在り方を見せつけられました。

意外だったといえば、セイの大車輪のような活躍も予想外でした。
体をザザに乗っ取られ、精神だけをぬいぐるみに定着させた状態で出来ることは少ないと思いきや、キーマンであるザザを見事に抑えつけましたね。
『真祖混沌』直系の大吸血鬼としてではなく、特区の守護者として意地を張るセイが外見とは裏腹に物凄く頼りに見えました。

戦いの後、賢者によって与えられた1年間は、ジローミミコにとって幸せだったと言っていいのではないでしょうか。
たとえ、終わりが近くに見えていても、それでも取り戻すことが出来た日常を実感できたわけですから。
エピローグを見て改めて思いましたが、やっぱりミミコは『乙女』ではなく『調停員』の方が似合ってますね。
以前に比べて愛情を感じられる二人のやり取りに、心が温まりました。

◆ 終わりと始まり

受け継がれていく赤と黒の『血』の物語において、ジローとミミコの子の希望の光が何と大きいことか。
コタロウを兄者と呼ぶ少年が、これからどんな物語を紡いでいくのか、想像が膨らみます。

あざの先生のブログによると、後日談や香港聖戦の話はあまり書く気がないようですが、これだけ読者の声があるんです。
もしかしたら、またいつかBBBの話を書いてくれるかもしれませんね。

もちろん、次回作も楽しみ。
これからもずっと追い続けたい作者さんですね。

本当にありがとうございました。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  BLACK_BLOOD_BROTHERS  あざの耕平  草河遊也  評価A+ 

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