明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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空ろの箱と零のマリア 

空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)
(2009/01/07)
御影 瑛路

商品詳細を見る
読書期間:2009/1/22~2009/1/23
月間マイベスト作品

【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
構成 ★★★★★★★★
 … 9
ミステリー ★★★★★★★★☆☆
 … 8

3月。中途半端な時期にやってきた転校生・音無彩矢。そのあまりの美しさに息を呑む教室の中で、彼女は教壇に立ち、無愛想にただ自分の名前だけを告げた。教室全体が次の言葉を待っていた、その時――。

「星野一輝」

――呼んだのは、何故か僕の名前。

「私はお前を壊すために、ここにいる」

そして、突然の宣戦布告。
ただ超然と、毅然と言い放ち、静かに微笑む彼女の真意は……!?
御影瑛路が贈る新作登場!!

【感想】


御影瑛路氏の3年振りの新作。
これまでの作品と異なり、初めてイラストが付きました。

これは良い!
期待していた以上に面白かったです。
やっぱり、著者の作品は興味深いですね。

時間がループする空間からの脱出を描いた作品。
この題材は、他でも何度か見たことありますが、大好きな設定です。

同じ時間軸を何度もなぞりつつ、しかしながら少しずつ差異が露わになっていく過程が面白い。
5桁を超える繰り返し回数を順番に追うのではなく、前後しながら読ませる構成が素晴らしいですね。

主人公・星野一輝は、全ての記憶を引き継いでいるわけではなく、ループの日々を断片的にしか覚えていません。
その設定の活かし方が非常に巧く、ピースの散ばせ方が実に秀逸です。

最初に読んだときは、著者の作品に慣れていない方は戸惑われるかもしれません。
巧妙に隠された伏線が、再読すると、まるで違う本を読んでいるかのような気にさせてくれます。
2回読むことを推奨しますが、作者のいいように振り回されるのも醍醐味の一つかなと思います。

また、あまりにも自然すぎるミスリードに、見事に引っかかってしまうのは僕だけではないはずです。
作者のやり口は知っていたはずなのに、幾重にも張り巡らされたトリックに気持ちいいくらいにやられました。
二転三転する話に時には付いていくのさえ精一杯になったりしますが、それがいい意味で目が離せません。

印象的なセリフが非常に多いのも特徴。
繰り返し使われているからこそ、胸に痛みを伴うほどの切なさに襲われます。

「明日まで待って」

この言葉の真の重さは、最後まで読まないと理解できません。

そして、暗い陰を落とし続けてきた物語が、最終的に昇華される様は見事というしかありません。
この点だけは、著者の他作品と正反対ですね。
ダーク要素は随分と温くなってしまっていて、御影ファンとしては残念であるものの、おかげで人に勧めやすい内容になっています。
しかも、読了感が抜群によろしいので、本当に面白かったなぁと思い浸ることができます。

イラストは、ほぼ口絵のみで挿絵は章の切り替わる際に数枚ある程度で、作風に合っていると思いました。
お気に入りのキャラクターは、茂木霞
キャラ造形が、御影氏独特の無機質なものからラノベらしい色付けが多少加わっていて、読みやすくなりましたね。

綺麗に締めているので、続編を読みたい気持ちもありますがこのまま完結でもいいかな。
どちらにせよ、今度は3年とは言わずに早い周期で新作を読みたいですね。

膨大な時の滞留による人の心の移ろいに、儚さを抱かずにはいられません

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  415  評価A- 

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この記事に対するコメント

御影 瑛路はここにいる

 気にしてた作品でこうまで言われては、読まないわけにはいきませんね。予想以上のレビューでした。だまされやすい僕は、またたっぷりミスリードに引っ掛かってやることにしますかねえ。
 この作者のダーク要素なら薄まって然るべきとは思いますが、猫も杓子も平均的な方向を目指す風潮には危機感を抱いています。突き抜けてるからこそいい作品って、世の中に多いような気がしますから。

URL | 紫電 #6PAIDQmo

2009/04/13 21:27 * 編集 *

>紫電さん
作者が「エンタテイメント性を高めて書いたつもり」と言っている通り、ストーリーもキャラもしっかりと味付けされていて良かったと思いますよ。
紫電さんの仰る通り、尖がっている作品は多少荒くても光るものがあって読んでいて楽しいですね。
どの作者も自分なりの特徴を出そうとしている中で、編集者が意図的に安牌な方向に逃げようとしているのが見て取れるのは少々残念な風潮ですね。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2009/04/14 06:14 * 編集 *

人の願い

 読み終えてから7ヶ月ほど、なんて感想を書いたものか悩んでいました。 というのも、秋空翔さんの感想がよすぎて、表層的な感想しか書けないことを申し訳なく感じたからです。 それでも、やっぱり感じたこと以上のことは書けないという結論に改めて至って、今日ようやく筆を進めることになりました。

 まずは、繰り返し回数が非常に多くてびっくりしました。それが計算づくなわけですし。
 うまい棒の好みについても、主人公には共感を持ちます。
 日数についてつっこんでみると、僕はまだ一万日も生きていません。というわけで、二万数千という繰り返し回数の膨大さと、その中で何事かを為そうとする意志の強さに感服します。
 記憶を引き継げる無限ループを、自分に都合よく行えたら……と考えると、読書家にとっては垂涎の、夢のようなことだと思ったりもしました。
 
 人死に回数が、全ラノベ中1位なのではないかと思いました。何だかもう、誰が死んでも驚かなくなりました。「どこがゴールなの? どうすれば抜けられるの?」と、主人公と一緒になってハラハラしました。
 ハサウェイのくだりとか好きでした。

 読み返してみて、本当によく作ってあるなと改めて思いました。普通の人間が考える願い、それをこんなにも切なく描くなんて。
 ミスリードにも素直に脱帽です。この本は、2回読む価値がたしかにあります。

URL | 紫電 #hfCY9RgE

2009/11/17 23:06 * 編集 *

>紫電さん
面白い本に出会えたときは冗舌になってしまうことがあります。
確かこの本の感想を書いたときは、ノリノリだった記憶がありますね。

無限の時間があればと妄想をすることは多くの人がすることだと思いますが、実際にその立場になればおそらく一体どれだけの人が発狂せずにいられるんでしょうね。
マリアの意志は強いなんて言葉で済ませられるものじゃなく、異常とさえ言っていいレベルではないでしょうか。
その異常性が作品全体に大きな陰を作っているように感じます。

小説という観点から評すれば、ミスリードが巧い=読者のことを考えて書かれているとも言えると思います。
そういう意味でも、著者にとても好感が持てますね。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2009/11/18 02:44 * 編集 *

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