明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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“文学少女”と神に臨む作家 下 

“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)“文学少女” と神に臨む作家 下 (ファミ通文庫)
(2008/08/30)
野村 美月

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春 ★★★★★★★★☆☆
 … 8

「書かなくてもいい。ずっと側にいる」
――そう告げるななせに救われた心葉。だが、そんな彼を流人の言葉が脅かす。
「琴吹さんのこと、壊しちゃうかもしれませんよ」
……そんな時、突然、遠子が姿を消した。空っぽの家に残るのは切り裂かれた制服だけ。心葉は遠子を追えるのか?露わになってゆく真実に、彼が出す答えとは?遠子の祈り、叶子の憎しみ、流人の絶望――その果てに秘められた物語が今、明らかになる……!
“文学少女”の物語、堂々終幕!

【感想】 <前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


文学少女シリーズ本編、最終巻。

1巻を手に取る前は量があると思っていた文学少女シリーズも、読み始めてからは勢いよく消化してしまいました。
長いようで短かったですね。

読み終えて最初に思ったことは、この本を読んで良かったなぁ、と。
今はただ物語の余韻に浸っていたい気分です。

読んでいる間は、それはもう様々な感情を忙しく変えていましたが、読了後は非常に穏やかな気持ちです。
濃厚でありながらクドさはなく、ドロドロとした人間関係を驚くほどにスッキリと仕上げています。
いつものことながら、解決編にて暗く哀しい物語を見事なまでに切なく優しいお話に変えてくれます。

重厚なストーリーと魅力的なキャラクターが絶妙のバランスで混ざり合う、素晴らしい作品でした。
「面白い」「楽しい」という感想があまり似つかわしくなく、上手い言葉が見つかりません。
分かりやすい言葉でいうのであれば、これが感動というものなのかもしれません。
物語を食べる遠子先輩のように、自分にとってもこの作品は糧となりました。

過去から絡まり続けてきた遠子先輩を主とする人物関係が解かれていくところは、圧巻の一言。
辿り着いた真実が露わになった時、頭の中にバラバラに存在していたピースが1つの形を作り、爽快感が弾けます。
伏線の回収に無駄がありません。

シリーズ通して上質のイラストを提供して下さった竹岡美穂さんも素晴らしいお仕事ぶりでした。
最終巻の今回は普段以上に印象的な絵が多かったですね。
最後の絵を見たときの「ああ、終わってしまった……」という寂しさは忘れられません。

この“文学少女”シリーズは、確かに癖があって万人が楽しめるものではなかったと思います。
しかし、それでも多くの人に感動を与えたのは事実です。
ライトノベルの名作の一つとして、これから先も語り継がれていくことでしょう。

これから先も、短編集や外伝などが控えていますが、ひとまずこれにて完結。
うん、良かった。



以下、シリーズ本編完結につきキャラ別ネタバレ感想です。
未読の方はご注意を。
▼ 井上心葉
「ぼくが書いた小説です。遠子先輩にあげます」

ヘタレとは思いませんし、成長を見せてくれたとも思います。
ですが、もっとフルボッコにされてもいいと思うんですよ。
森さん甘いよ!もっとやれ!

最終的に選んだのが遠子先輩だったということに関しては異論ありません。
心葉にとって、遠子先輩が特別で大切な存在かということを文中でしつこいくらいに書いてありましたしね。
ただ、ななせのことをあまりにも蔑ろにしすぎですね。
結局、心葉は最初から最後まで、自分のことで精一杯なんだろうなと思いました。
果たしてどれだけ自分がななせを傷つけてきたか、分かってないでしょう。


▼ 琴吹ななせ
「……この前言ったこと、本当だよ。井上が好き……。あたしは、井上の側にいる」

不憫すぎる。
心葉一筋でひたすら尽くしてきた結果がこれかと思うと、涙なしではいられません。
後輩にハメられるは、好きな人の元彼女に怪我されられるは、嫌いな奴に危うくレイプされそうになるは、友人は殺されるは……。
そして、ようやく掴んだ想い人には裏切られ、親しくしていた先輩に奪われる有様。
どんだけ不幸なんだ……。
ななせの幸せを願わずにはいられませんよ。

一途に支えてくれる健気な女の子の何が不満なんだっ。
しかも、とびきりのツンデレ美少女だぞ!

▼ 竹田千愛
「今度はあたしが心葉先輩に、教えてあげます」

竹田さんは変わりましたね。
流人を刺すところも怖さ以上に人間的な愛情を感じられました。
何度でも言いますが、キャラクターの個性としては一番好きでした。
“文学少女”シリーズ陰の立役者だと思います。



▼ 朝倉美羽
「コノハって、女の子とを傷つける名人ね」

上巻でもそうだったけど、美羽覚醒しまくり。
美羽株急上昇。
上記のセリフなどズバッと心葉を斬ってくれる彼女が、凄い格好良く映りました。
しかし、考えてみたら傷つけられた女の子って、遠子先輩に限っては一度だけ(佐々木さんに書かないと言ったとき)ですよね。
美羽とななせは容赦ないぐらい何度も何度も傷つけているのに。


▼ 櫻井流人
「いいっすね……そんな風に愛してくれる相手がいて……」

竹田さんも言ってますが、心葉と違って流人は救えないヘタレだと思う。
ななせを襲ったことは、竹田さんに刺されたくらいでは帳消しになりませんね。
麻貴先輩と子どもを産む産まないで言い争う彼は、ひどく幼く見えました。
打たれ強いイメージでしたが、甘チャンでしたね。


▼ 天野遠子
「わたしが“文学少女”だからよ」

遠子先輩も年相応の女の子だった、ということなんでしょうね。
占いを信じたり、男の子に恋心を抱いたり、感情だって漏れることもあるわけです。
心葉視点だと、つい神格化してしまいそうになるんですよね。
遠子先輩が抱く心葉への異性としての想いをもう少し分かりやすい形で文中に出しておいても良かったかも。
二人の関係は恋人というよりも姉弟みたいに感じられましたので。
まぁ、最後の手紙での告白も彼女らしいと思いますけどね。


物語的には、これ以上ない綺麗な終わり方でした。
読むことが出来て良かったです。
ありがとうございました。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  文学少女  野村美月  竹岡美穂  評価A- 

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