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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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君のための物語 

君のための物語 (電撃文庫 み 13-1)君のための物語 (電撃文庫 み 13-1)
(2008/02/10)
水鏡 希人

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9

華やかさとも成功とも無縁で、幸福や繁栄は手に入らない対岸のもののように感じられる、そんなひとりぼっちの冬の寒い夜。ひょんなことから死にそうな目に遭った私を救ったのは、奇妙で不思議で美しい「彼」……レーイだった。
出会いと喪失をいちどきに運んだ不思議な力、天使をも魅了する声を持つ女帝とも称された歌姫、そして「彼」を追う魔術師――私は彼にまつわる不思議な事件に巻き込まれ、そして――?

第14回電撃小説大賞<金賞>受賞。「彼」と「私」をめぐる数奇な運命を綴った物語。

第14回電撃小説大賞<金賞>受賞作品。
大賞も含めて他の受賞作品の中で、飛び抜けて評価が高い作品です。
萌えに媚びてない雰囲気から、読む前から好きになれそうだなと思っていました。

まず秀逸なのが文章力ですね。
ラノベ特有の文体の癖というのがなく、非常に読みやすい文章が好感。
新人とは思えない綺麗な文章を書く作家さんだなぁと感嘆しました。
良い意味でラノベらしさが薄くて、地味だけど万人に受ける良作です。
誰にでもお勧めできますね。

物語は、全5章+終章から成り立っています。
第1章のインパクトが強くて、これだけで一冊分じっくり書いて欲しいなと思ったくらいです。
全体的に優しく柔らかい、だけど少し哀しい雰囲気を漂わせているのだけど、1章はそれが際立っていました。
「私」と「彼」と「彼女」の穏やかな空気は、読者の気持ちをじわりと温めてくれます。
他の章も悪くないどころか良かったんですが、構成の問題か、1章で受けた感動がずっと残っていました。
思わずしんみりとさせられる第4章も好きなんですけどねー。

主に後半に、バトル要素が少し混じっていますが、正直いらなかったかなと感じました。
まぁ、その辺りの設定に文章を割いていないところからみても、形だけでしたね。

あっさり風味に描かれた人物設定も素晴らしい。
「彼」の浮世離れした性格が傲慢とは映らないのも不思議。厭味がないんだよね。
それは「私」も同様で、男同士なのに何故か微笑ましいくらい。
女性が好きそうな印象を受けました。

イラストの絵柄も、作風にピッタリ。
ここまで見事に文と絵がマッチしたラノベって稀少ですよ。
それでいて作品の雰囲気を壊さないように枚数が控えめなのも、編集者分かっているなぁと思いますね。

とても素敵な物語です。
読了感もホント良くて、冒頭を読み直したときにぬくもりを感じました。
10代でもいいけど20代の人にプッシュしたいライトノベルですね。

続巻は出ないでしょうし、出て欲しくありませんから、この作家さんの新作に期待しておきます。
オススメ。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  君のための物語  水鏡希人  すみ兵  評価A- 

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