【ゲーム総評】 マール王国の人形姫
2021/10/19 Tue 23:43:23 [edit]
発売日 | 主なプレイ期間 |
1998年12月17日 | 2020年7月 |
▼ 作品紹介 |
日本一ソフトウェアによるミュージカルとRPGを合体させたシリーズ第1作目。
ファンシーな人形達がちょこまかと可愛らしく動くハートフルな作品。
PS1時代のRPGとしては、当時一定の評価を受けていた良作という認識です。
▼ 購入動機:体験版プレイ |
世代の方なら知っている人もいると思いますが、「電撃プレイステーションD」という体験版やムービーなどを収録したCD付きの雑誌が定期刊行されていました。
D11で本作の体験版をプレイしたのが興味を持った最初のキッカケです。
またD21~D26まで5号にわたって「電撃ミュージアム」というクイズやキャラ紹介など力を入れて紹介されていたのが、「マール王国の人形姫」の次回作である「リトルプリンセス マール王国の人形姫2」でした。
1はあくまで興味を持った程度だったのに対し、2の映像はプレイ意欲をそそられました。
やるならシリーズ1作目から始めたいなと思い、いつかプレイしようと思い続け早20年以上。
やっとこさ購入に至りました。
▼ 製品の種類:PSP / ゲームアーカイブス |
手元で気軽にプレイがしたかったので、ゲームアーカイブスで購入してPSPでプレイしました。
PS1ではおまけディスク付きの「マール王国の人形姫+1」も発売されていましたが、次回作の体験版やイラストコーナーは興味をそそられず、音楽コーナーはプレイして気に入ったらサントラ購入すればいいと思い選択から除外。
DSのリメイク作「マール王国の人形姫 天使が奏でる愛のうた」は、キャラデザが変更されていて、比較すると元々の絵柄の方が可愛かったので素直に原点で遊ぶことにしました。
▼ 総プレイ時間:24時間 |
ストーリーをクリアするだけなら15時間もあれば余裕でしょう。
RPGとしては当時としてもボリュームは少な目といえます。
周回要素は特になく、サブイベントや育成などで5~10時間追加された程度です。
今だからこそ安く購入してサクっと遊べるのは利点ですが、発売当初フルプライスで買った人は満足感薄目だったかもしれませんね。
▼ ジャンル:ミュージカルRPG |
上述した通り、本作の最大の特徴はミュージカルRPGというジャンルです。
今の時代なら他に似た作品があるかもしれませんが、当時はおそらく唯一無二の作風だったと思われます。
その名の通り、ミュージカル要素のあるRPGです。
2Dのドット絵で描かれたキャラクターがちょこまかと動きながら歌唱するシーンがホント可愛い。
発売された1998年というとFF7とFF8の間という時代で、次世代機のマシンパワーで生み出す3Dムービー主流の中で新たなベクトルを作り出したのは評価されてしかるべきだと思います。
スマッシュヒットと言うべきか微妙なところですが、ある程度は売れたようですね。
日本一ソフトウェアといえば、それこそ上記の電撃プレイステーションDで体験版でプレイした「炎の料理人クッキングファイター好」「どきどきシャッターチャンス」など一風変わったゲームを作るメーカーという認識でしたが、どうやら本作が転換期となったようです。
さて、その特徴であるミュージカル要素ですが、質は良好なもののボリュームが足りない。
誤解がないように正すと、劇中歌は多数用意されているんです。
要所となるイベントシーンには必ず挿入されているため、確かにミュージカル風だなとは思いました。
音と映像には文句があるどころか、大満足の出来です。
でも、あくまで歌の範疇であって、登場人物達がセリフを音に乗せる演劇ではありません。
ミュージカルの定義の話になると詳しくないので語れませんけど、演者が踊りながら心情を吐露したり気持ちを込めた会話をする劇というのがミュージカルと考えていたので、思っていたものと違うな、と。
唯一、タイトル画面後に流れるオープニングイベントは完璧なミュージカルでしたので、このクオリティで楽しめると期待しすぎると肩透かしを食らうかもしれません。
▼ 音楽:目に焼き付き耳に残る |
演出面では惜しい面があったものの、音楽は素晴らしいですね。
キャッチーなメロディーラインを奏でるBGMは、一度聴くだけで覚えてしまうほどです。
そして、イベントを盛り上げる歌の効果はやはり絶大。
特に序盤のイベントから何度も流れる「歩いていこう」が印象深く、歌詞が泣かせてきます。
ちなみに主要キャラには担当声優をつけていますが、出番は歌のみ。
ごく一部のイベントを除き、キャラのセリフや戦闘ボイスは残念ながら収録されていません。
▼ キャラクター&ストーリー:愛のある作風 |
女の子向き、または低年齢層向けのゲームと紹介されることもある本作。
確かに女性ファンが多そうな丁寧で優しい作りで、難易度も詰まるところはまずないのでRPG苦手な人でも大丈夫です。
ほのぼのとした雰囲気が楽しめて、パッケージで抱く印象のままプレイすることができます。
キャラクターは王道中の王道。
人形とお喋りができる夢見る少女・コルネットが、王子・フェルディナンドと出会うところから始まる物語。
どこに行くときも一緒の相棒役である人形・クルル、お金持ちの金髪縦ロール幼なじみ・エトワールなど少女漫画で一度は見たことがあるような面々が続きます。
憎めない悪役である魔女・マージョリーは、ドロンジョ様を彷彿とさせますね。
絵本のようにメルヘンチックな物語なんだろうなぁと思っていたら、意外とシリアスな展開もあって驚きました。
だからこそ様々な愛情を感じ取ることができるストーリーは、シンプルが故に心に響きます。
もちろんコメディタッチで描かれるイベントも多数あり、思わず笑ってしまう掛け合いは数え切れません。
登場人物から物語まで、製作者の愛を感じる作品となってます。
【ストーリー・ネタバレあり感想】 (クリックorタッチ)
クルルの正体が母・シェリーというのは途中で気付きました。
過去イベントのミュージカルシーンは本作の最大涙腺ポイントだったと思います。
父親に関して掘り下げ不足なので、これは次回作以降に絡んでくるんでしょうかね。
クリアして気が付きましたけど、本筋の半分以上を占める5つの心を入手する順はある程度自由だったんですね。
一本道だと思っていました。
実際のプレイでは、炎→聖→風→水→地の順で入手。
聖の心は直前でセーブして、雷の心入手ルートもプレイしましたけど、村人から恨まれることになるので気持ちのいいものではないですね。
カエルブルグ城のイベントも同様に他の選択肢があるのかと思いきや、ケロラインやミカエルを助ける方法はないようで。
雰囲気から油断していたので衝撃を受けました。
▼ 戦闘:評価の割れるシミュレーションRPG要素 |
戦闘はマス目上にキャラを動かすシミュレーションRPG形式。
PS1の時代だと「アークザラッド」「サモンナイト」など多くのRPGで採用されているため珍しくはありません。
ただし、ランダムエンカウントでというのはあまり見かけないんですよね。
というのも、ゲーム性の関係で毎回キャラ移動を伴うシミュレーションRPGは一度の戦闘が長引きます。
コマンド式の気楽さやアクション要素のある爽快感と異なり、どうしても面倒臭さと感じてしまいます。
しかもこのゲーム、エンカウント率が高めという難点があるため、評価を下げる要因になりやすいですね。
幸いながら1~2ターンで終了する戦闘がほとんどで、慣れてくればサクサク進めます。
範囲攻撃で一掃できた時は気持ちよかったりするので、個人的には嫌いではないですね。
仲間になる人形やモンスターが多く、本来の能力を知ることなくクリアしてしまったキャラもいたと思います。
一度に出陣できるのが主人公含め4人までなので、使いきれなかったキャラが多かったのは心残りでした。
▼ 難易度:戦闘よりもダンジョンの方が難しい |
ダンジョンはスクロールなしの一画面サイズのパーツを組み合わせて作られています。
これが無駄に広く同じ景色が続くので、全てのダンジョンが迷路と化しています。
脳内マッピングするのが好きな自分のような人間はある意味楽しめるかもしれませんが、普通は手抜きに見えてしまうでしょうね。
「ジクソーワールド」や「どきどきシャッターチャンス」を作っていたメーカーだから、ジクソーパズルみたいなダンジョンにしたのかという邪推してしまいます。考え過ぎでしょうか。
戦闘が長引くとダンジョン構造を忘れてしまうことがあります。
途中でセーブ中断して再開しようとすると、もはや迷子の気分です。
戦闘の難易度は基本的に楽勝でしたが、死亡時のリスクがデカすぎたので慎重になりました。
HP0になると、主人公の場合はゲームオーバー、人形は高額な修理費用が発生、仲間モンスターはなんと復活不可というシビアな内容。
序盤でうっかり人形・シャルテを死亡させてしまい、お爺ちゃんに修理をお願いしにいった時に全財産の半分ぐらいを要求されてビックリしました。
人形が増えてくるとバランスよく人形育成するためにPTから外せない主人公のレベルが突出していきます。
ダンジョンマッピングに時間が掛かることもあって自然と全体的にレベルアップしていきますね。
回復系アイテムはほぼ使用しませんでした。
レベルアップ時に全快することもあって回復魔法によるMP切れはなかったですね。
【クリアデータ・ネタバレあり感想】 (クリックorタッチ)
≪クリア時キャラクターレベル≫
コルネット | 60 | 常に出続けるため必然的にレベルが上がりました |
シャルテ | 37 | 数少ない回復役で攻撃魔法も物理攻撃も悪くないためボス戦では欠かせない |
レジェム | 37 | 行動範囲の広さのおかげで「えんそう」から攻撃魔法で1ターンキルが容易い |
テル | 32 | 序盤から仲間に入り遠距離攻撃の割りに火力が高めなので、移動マス気にしなくてもいいのが楽 |
テラ | 30 | 攻撃魔法担当でMPが切れるまで撃ちまくっていました |
フレール | 26 | 物理メインでしたが、攻撃魔法も割と頼れる存在 |
コロ | 26 | 仲間になったのが終盤にもかかわらず、基本能力は高めで育てがいはありました |
キッド | 23 | 序盤のエースでしたが、範囲攻撃に乏しいのが後半辛くなりました |
デューク | 20 | キッドと同様に前衛性能は高めですが、やられる前にやるゲームなのであまり使わず |
アルバトロス | 20 | テルと同様に遠距離攻撃は便利でしたが、仲間になるのが遅すぎました |
Lくん | 21 | 移動力2は辛く、他に飛び抜けた能力もないため出番は少なめ |
チバ | 20 | 仲間になった時点でキッドとデュークの出番が減っていた時期で、出す理由が特になく…… |
ナイトスポーノ | 20 | 可愛い人形が多数いる中で特別好みでもなかったので優先順位は下になりました |
ケロライン | 30 | 転生前ならまだしも見た目がただのカエルになっちゃったのがなぁ |
ミカエル | 30 | 同上 |
ビリー | 10 | 魔法系キャラは他に使いたい人形が多くて出す機会に恵まれませんでした |
唯一の全滅はラスボス連戦の初戦であるマージョリー戦。
一撃だけでもPT半壊になる威力を持つオメガメテオを連発で放ってきてゲームオーバーとなりました。
基本的にこのゲームは先手必勝ですが、ラスボス戦ということもあって構えすぎたのがいけなかったんだと思います。
ただでさえ人形が溢れているので、仲間モンスターの必要性に疑問符が付きます。
多くのRPGで採用される好きなシステムなのですが、肝心の仲間モンスターを出陣する時が限定されます。
「えんそう」と「ごほうび」が強力すぎたこともあって、仲間モンスターの出番は人形が3体出揃う最序盤のみなんですよね。
愛情で育てるにも仲間加入時が常にレベル1スタートで、貴重なスタメン枠に出さないと経験値が入らないこともあって現実的には厳しい。
しかも上述した通り、仲間モンスターは死亡するリスクもあるため、なおのこと優先する意味が皆無です。
見た目は可愛らしいモンスターが多いだけに惜しい作りでした。
そんな哀しい存在の仲間モンスターですが、プレイ時間が長くなってしまった最大の理由は、どうしても仲間にしたかったモンスターがいたからだったりします。
沈没船にいるアリエルという人魚型モンスターです。
仲間にしたかった理由?可愛かったからに決まってるじゃないですか!
とりあえずストーリーを先に進めようにも沈没船がイベント限定ダンジョンで、他のダンジョンでもエンカウントするか不明だったため、その場で粘るしかなく。
しかし、メタルスライム並みにエンカウント率が低いため、そもそも戦うことすら難航。
結果、コルネットのレベルが10も上がるほど戦闘を重ねたにもかかわらず、仲間になることはありませんでした。
沈没船で1匹も仲間に出来なかったところからすると、仲間に出来ないダンジョンだったと考えるべきなんでしょうかね。
結局5時間程で断念してストーリーを進めたところ、次のダンジョンで色違いモンスターのマーメイドが仲間になるいうオチ。
攻略情報もない中なので仕方がないとはいえ無駄過ぎましたね。
▼ 総評 |
素直に面白かったです。
わずか数日でクリアしてしまったのは、ボリュームのなさというよりも夢中になったというのが正解でしょう。
楽しめる自信はありましたが、予想外に良かったのは何気ないイベントのテキスト。
発売から20年経った今でも古臭さを感じさせず、キャラの掛け合いが非常に魅力的でした。
間違いなく次作もプレイすると思います。
テーマ: マール王国
ジャンル: ゲーム
タグ: ゲーム総評 マール王国の人形姫 PSP
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