明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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とある飛空士への夜想曲 下 

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)
(2011/09/17)
犬村 小六

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読書期間:2012/8/21~2012/8/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
感動
ロマンス



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 サイオン島には「魔犬」がいる――。ヴィクトリア海海戦より半年後、帝政天ツ上軍の撃墜王・千々石は、神聖レヴァーム皇国軍の飛空士たちにそう呼ばれ恐れられていた。
 しかし、物量に劣る天ツ上の兵士たちは、レヴァーム軍の果てしない攻撃を前に次々と命を散らしてゆく。
 そして、ついに東進を開始したバルドー機動艦隊。迎え撃つべく、空母「雲鶴」に再び乗り込んだ千々石を待ち構えていたのは、最新鋭科学兵器に守られた海の要塞と、あの男の技だった……!
 魔犬と海猫――ふたりの天才は決着を求め、天空を翔る!「夜想曲」完結!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「とある飛空士」シリーズ第三部、完。

圧倒された。
ただそれに尽きます。

魔犬vs海猫、決着。
フルスロットルで翔け抜けた男達の戦いが、ここで一つ幕を閉じます。

運命というものはあまり信じないタチなのですが、この物語ばかりはそんな言葉がよぎってしまいます。
千々石武夫と吉岡ユキが出逢い、魔犬と海猫が出逢う。
二つの点を結ぶことで生まれる直線は、結末までも決めてしまったのではないでしょうか。

ストーリーは、誰もが予想した内容を辿ったものでした。
それなのに、どうしてこんなにも心を揺さぶられるのでしょう。
戦中ならば有り触れた出来事なのだとしても、陳腐だと一蹴は出来ません。
過酷な状況下で輝く命の尊さと、恐怖を乗り越えた感情の強さは、目が離せず惹きつけられます。
作中の表現にあった通り、まさしく「命を絞り尽くして」生きた者たちの物語だからこそ、胸を打つのでしょうね。

エースのエースたる所以。
千々石武夫の信念と実行に移せる実力に惚れ込みます。
確かに普段は古風なまでに不器用な千々石に対して、もどかしさを覚えてばかりで、波佐見やユキが憤るのも仕方がないなと思いました。
しかし、千々石の図太く育った根幹は、一種の憧れを抱かせる力強さがあります。
英雄を夢見る子供はもちろん、大人ですら勘違いして焦がれてしまうほどに。

そして、もう一人の主人公である海猫。
熾烈な戦いが繰り広げられる最中で、美しさすら感じさせたライバル関係。
彼が空を飛び続ける理由が、たった一言文中に登場しただけで、多大なる破壊力がありました。
魔犬と海猫だったからこそ生まれた空中舞踏だったのだと思います。

苛烈を極める戦争描写に遠慮が一切ありません。
形勢が傾き、消耗していく戦力と疲弊する飛空士たち。
それでも引かない、引くわけにはいかない男たちの執念。
お見事という他ありません。

これは果たして浪漫と呼べる代物だったのでしょうか。
戦争のやるせなさを痛感させられ、結果を見れば哀しみばかりが生まれました。
最後に紡がれた歌だけが救いであったように感じてなりません。
ただ一つ確かなのは、紛れもなく傑作だったということでしょう。

愛する人との約束を胸に抱き、宿敵との決戦に挑む男の物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とある飛空士への夜想曲  犬村小六  森沢晴行  評価A- 

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