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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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僕は友達が少ない⑧ 

僕は友達が少ない 8 (MF文庫J)僕は友達が少ない 8 (MF文庫J)
(2012/06/22)
平坂 読

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/30

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春
リア充
友情


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 聖クロニカ学園学園祭本番、前座のような体育祭はつつがなく終わり、いよいよ文化祭当日となった。
 自主制作映画を上映する予定の隣人部だったが、映画の仕上げを担当していた理科が倒れてしまい、映画は未完成となり上映は中止に。残念な結果となった学園祭ののち、これまでの馬鹿馬鹿しいけど賑やかで楽しい活動の日々へと戻っていく隣人部。互いに絆を深めていく隣人部の面々と過ごしながら、小鷹は隣人部への思いをいっそう強くする。
 そんなおり、星奈を敵視する生徒会の遊佐葵が隣人部に対して不穏な動きを見せ、小鷹、夜空、星奈、理科、幸村の関係にも大きな転機が訪れる――。
 残念系コメディ、ついに終幕……!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


アニメ第二期が発表された残念系青春ラブコメ、第8弾。
これまで3~6ヶ月ペースで刊行していたので、9ヶ月振りの新刊は久しぶりに感じました。

前回から引き続き、理科の甲斐甲斐しさが目を瞠る物語ですね。
決して得意なわけでもないのに、立ち回れるのが自分しかいないからという理由で、献身的な行動に出られる彼女は、尊敬に値します。

夜空は自分のことで手一杯だし、星奈はそもそも良い意味で自己中心的な考え。
幸村は献身的というよりも異常なまでに従順であるだけで、小鷹を導くわけではなく、やはりあくまで自分主体なんですよね。
そう考えると、自分を押し殺してまで小鷹を引っ張り上げようとする理科は、頭が回る分、損をしてしまう性格といえるもので、隣人部の誰よりも人の心に敏感な娘なんだと思います。
自由気ままに振る舞っていますけど、本当は泣きたくなるくらい健気で可愛い女の子ですよ。
初期から雰囲気だけは感じ取れていましたが、ここまで広げてくれるとは思ってもみませんでした。

作品テーマ的には、理科こそが正ヒロインといってもいいくらいです。
哀しいかな、それは「友達」という意味になってしまうんですよね。
既に友達同士になっている事実から目を逸らす小鷹を向き合わせるために、文字通り実力行使で正そうとする理科とのやり取りは、どこまでいっても熱い友情物語にしかなりません。
それはそれで大切なことなんですけど、女の子としては非常に可哀想なポジショニングですね。

それもこれも、小鷹がヘタレすぎるせいです。
彼の言い分もわからないでもないんですが、それを踏まえたとしても酷い。
時には、逃げるという選択肢が必要なことだったあるので、そこは追及しません。
しかし、投げ掛けられた言葉をなかったことにする無神経さは、責められて当然ですね。
「え?なんだって?」じゃねえよ、まったく。

でも、彼が主人公だったからこそ成り立つ作品なんですよね、これは。
青春ラブコメのアンチテーゼともいうべきプロローグが、ようやく終わりました。
メッセージ性としては、本質を捉えていて良かったと思います。
ただ、その表現方法が突飛だったり、台詞回しが些か強引だったのは引っ掛かりましたがね。

そして始まる本格的なラブコメディ。
理科が「友達」としての正ヒロインであるならば、「恋人」役はやっぱり星奈
夜空の立場がないぐらいに星奈のヒロイン力が圧倒的過ぎる。
恵まれた環境に加えて、天性のお嬢様気質が何とも輝かしい。
一見すると、ドSな夜空がしっかり者で、ドMな星奈が打たれ弱いように見えますが、中身は逆。
意外と脆い夜空に対して、星奈の揺ぎ無さは感心するレベルです。
躊躇いなく想いを言葉に出来る星奈は、素直に凄いなと思いますね。

幸村もまた芯の強い人間だなぁ。
この娘の行動原理は、どこから湧いてくるんだろう。
これだけ小鷹がヘタレていると、そこまで信頼する幸村が不思議に見えてきますね。

停滞していた……いや、小鷹が停滞させていた物語が、ようやく動く時が来ました。
本来であれば、ここからが本番なのですが、作品的には今回がクライマックスかもしれません。
踏み出せなかった一歩を友達が背中を押してくれて、進むことができたのですから。

現状維持に固執していた臆病な男を前へ進ませようとする女友達の言葉が熱い

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  僕は友達が少ない  平坂読  ブリキ  評価B+ 

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この記事に対するコメント

黒髪ロングの交代

 事ここに至って、振り返ってみれば、いくつかのターニングポイントがあったなあ、と思います。
 「家庭のじじょうで……」という言葉でそれ以上深入りできなかった時点で、幸村の謎は解明されないまま。
 「実は私がソラなのでした」は思いっきり外した感じで、星奈が動じなかったことも相まって、隠し玉がちっとも隠し玉としてちっとも機能しませんでした。逆に、後の新事実で夜空の方が動じる始末です。
 そして、前巻での理科のあの一言。 それらの流れがあって、今巻ではこうなったんだなあ、と。

 作品の導入部で物語を牽引してきたメインヒロインが、中盤に差し掛かった辺りから、そのポジションをキープできなくなりつつある現象を、しばしば感じるようになりました。メインヒロインゆえに請け負う義務的な葛藤が、他ヒロインを引き立ててしまう辺りに原因があるでしょうか。 現状、この流れだと、仮に夜空エンドになったとしても違和感を覚えずにはいられません。

 表紙の理科。これはもう、「夜空先輩が黒髪ロングをやめるなら、代わりにわたしが黒髪ロングになりますね」と言っているかのように感じました。役回りが変わると、外見も変わりますね。

 今巻の理科は、大げさに言うと、今まではみんなと同じ二次元的なお約束の操り人形の一人に過ぎなかった理科が、ひとりの女の子として自我を持って覚醒したかのようでした。そうなってしまったがゆえに、小鷹の意思を尊重してぬるく現状維持しようと努めても、だんだんとそれができなくなっていってるみたいでした。 あと、やっぱり、同性として、平民の心が分からない星奈をウザく感じるのは自然なことだと思います。 

 というわけで、現時点では、メインが星奈で対抗が理科、三番手が幸村で夜空は四番手、くらいに認識しています。 星奈は、性格・ステータス共に特集記事が組めるほどの個性溢れる存在ですし、理科も、現時点で既に大健闘と言っていいでしょう。

 あ、そうそう。幸村にキッパリ肯定されたシーンはよかったと思います。

 ネタバレですけど、展開としては、平たく言えばとらドラの北村と同じ経験をしたなあ、と思います。狩野すみれ兄貴を思い出させる生徒会長には、やっぱり自然と惹かれます。
 あと、リア充側の女の子の「友達がいない人なんて(以下略」発言には、世界の違いをまざまざと見せ付けられました。

URL | 紫電 #-

2012/08/26 04:23 * 編集 *

>紫電さん
どこまで計算して執筆していたんだろうなと考えさせられるシリーズ構成ですね。
きっと、どこまでも予定通りなんでしょうが、それが出来るだけの売れ行きがあってこそだと思います。

サブヒロインが好きになることが多い自分にとっては、ヒロイン交代現象は大歓迎です。
でもここまで星奈ルートがガッチガチだと、逆にフラグにしか見えなくなってきます。
とはいっても、対抗馬が夜空だと今のところインパクトに欠けるのも事実。
おそらく近々急接近するエピソードが挿入されるんでしょうね。
そうでなければ、さすがに可哀想ですし。

理科の場合、紫電さんの仰る「お約束の操り人形」を演じていたわけなんですよね。
彼女が被っていた仮面は、とてもコメディ小説とは思えないほど、シビアで寂しいものでした。
残念なことに、理科は今回の話で自他共に認める友達になったのと同時に、恋人戦線としては脱落してしまったと感じました。
やはり星奈と競えるのは、夜空しかいないと思います。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2012/08/29 02:23 * 編集 *

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僕は友達が少ない⑧ 感想

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ゆらゆら気ままに

2013/02/01 08:17

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