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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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暴風ガールズファイト2 

暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫)暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫)
(2007/12/25)
佐々原 史緒

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/26~2012/5/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春
スポコン
燃え
友情
構成

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8


 グラウンド、ユニフォーム、チーム名をGETし意気揚々の、ラクロス同好会改め≪聖ヴェリタス ロッソ・テンペスタ≫。
 校外合宿と公式戦出場を目指し、次に狙うはオージーからの不思議な留学生カレンと、ヴェリタスの王子こと九條香月(とそのお供)!ミッション遂行のため、級長様の謀略が冴え渡る!?ああコワいですわ!
 「コラーっ、宮前!それじゃわたしが悪者みたいじゃん!」(by広海)
 合宿・特訓・肝試し!?体育会系美少女グラフィティ第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


嵐を撒き散らす女子ラクロス部の熱血スポコン小説、第2巻。

何という熱い戦い。これは燃える!

遂に部員が集まり、正式なクラブとして昇格したチーム≪ロッソ・テンペスタ≫。
合宿でスキルアップした彼女達は、念願の公式戦出場を果たす。
一度敗れたらお終いとなるトーナメント方式で、目標の日本一を目指す王道ストーリーです。

これぞ正統派スポコン小説でしょう。
とにかく感情そのものが生で発露する感覚といいましょうか。
声、汗、涙……。
彼女達が叫ぶと、こちらまで叫び出したくなるようなシンクロ率。
麻生広海の一人称で語られる心情は、ダイレクトに読者の心をガッチリと掴んで離しません。

多種多様な女の子が登場し、いずれも魅力的なキャラであるこの作品。
新たな部員が増えても、埋もれてしまうどころか、パワーアップしています。
ラクロス経験豊富なオカルト趣味の留学生、カレン・バクスター
女子校にありがちな王子系キャラ、九條香月
その九條の取り巻きであるミーハーな、高梨光葉明葉の双子姉妹。

個人的には好きなのは、不思議な観念を片言の日本語で話すカレン。
ちょっと浮いた感じが、グループ内のポジショニングとして面白い位置に収まっていますね。
我が強いメンバーの中で、ふわふわとした怪しさがイイ味を出していました。

エピソード的には、九條と小坂の掘り下げが良かった。
一人一人の個性を蔑ろにせず、キッチリと物語に絡めてくれるところに完成度の高さを感じさせます。

本当にかる~く漂わせる恋愛臭も嫌いじゃありません。
昨今の作品だと百合に走りがちなところなので、むしろこの方向性は大歓迎ですね。

相変わらずまとめ役の麻生さんと、一番を譲れない宮前の黒さがイイなぁ。
いつの間にか麻生さんと相棒役みたいになった長谷川が抑え役となっているのも面白い。

そして、何と言っても評価したいのは、ラクロスの試合描写でしょう。
三人称ならまだしも、一人称でライブ感溢れる展開を見せられるって相当だと思うんですよ。

スポコン漫画は大好きでよく読むんですが、ラノベでは何故か取り上げられにくい題材なんですよね。
確かに、表現上、絵的な効果が大きいために扱われにくいとは思うんです。
更にいえば、スポーツ物を書ける作家が少なかったのではないでしょうか。
あくまで設定や舞台装置にスポーツを利用しただけのコメディだったり、萌えだったりすることが多数見られます。
それはそれで構いやしませんが、ガチの熱血系作品はなかなかありません。

その観点において、佐々原史緒さんの姿勢は、情熱を注ぎ込んでいるのが読み手に伝わってくるぐらい熱いもので、大変貴重なものです。
ブログで感想を書き始める前から読んできたラノベ歴で、最も楽しかったスポコン小説でした。

3巻の予定がないのが残念すぎます。
おそらくそれを理解しての執筆だったんでしょうね。
若干ながら、端折った部分もありましたし。
今からでも遅くはないので、続きを出して欲しいなぁ。

一つ一つのプレーに一喜一憂できるスポーツの醍醐味が詰まった熱血青春モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  暴風ガールズファイト  佐々原史緒  倉藤倖  評価A- 

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この記事に対するコメント

五十嵐千果と11人の仲間たち

 ラクロスをきっちり描ききるっていうのはどういうことなのか、見せてもらいました。
 競技人数が、女子の場合は1チーム12人というのが、人数が多すぎて小説として作る時に不利だと感じました。バスケなら5人で済みますし。
 視点のカメラで12人を順に映していく時、12人それぞれに、ある程度違ったリアクションをとらせないといけないというところがハードルが高いです。その辺、この作品はすごく見事だったと思います。一瞬映すだけでも、キャラが立っているんですよねえ。 あと、そういった面では、描写である程度楽をできるという点で、双子は重宝すると思います。作品によっては、三つ子や五つ子がいてもいいくらいです。

 女性作家ゆえに描かれてしまう現実っていうものを、いつも感じていました。
 バスで長時間揺られている時に、ロングポニーテールが非常な苦痛を強いるなんて! 言われてみれば、納得できますけど、ほんとポニーテールには厳しい世界です。
 あと、ライバルの池場の髪型も、女子スポーツ選手としてはいかにもいそうな髪型なんですけど、二次元として全然映えないので頭を抱えました。
 合宿所のボロさも、リアリティがあってよかったと思います。ご飯のタイミングとか練習内容とかその他諸々も。
 双子だって、かわいさよりも腹黒さが前面に出てましたし。でも、読んでいくとこれも憎めないキャラなんですけどね。

 カレンを勧誘するときの広海のでっちあげが面白かったです。とっさにああいう話が出てくるところもこの作品の面白さでした。

 恋愛に関しては、不器用な年上の男は、『図書館戦争』の堂上を彷彿させました。

 試合描写も、特にクライマックスは手に汗握りましたねえ。 長谷川にも見せ場がありましたし。

 ラクロスブームがやってきて、偉い人がこの作品に目をつけて、その流れで続編が出る。そんな未来があってもいいと感じました。

URL | 紫電 #-

2012/08/17 04:27 * 編集 *

>紫電さん
大人数のスポーツ物を小説媒体で描くことは、相当な難易度であることは容易に想像がつきます。
実際、野球ラノベを幾つか読んだことがありますが、試合状況を満足に表現できている作品は見たことがありません。
しかし、この作品では、野球を上回る1チーム12人という人数を見事に描ききっています。
確かに、相手チームの掘り下げをしていないからこそ出来る芸当とはいえ、味方チームに手抜きキャラが存在しないというのは、かなり凄いことなのではないかなと思います。

池場の髪型は、そんなに駄目でした?
ポニテの方が好きですけど、あれはあれでアリだと思ったんですが。

なるほど、「図書館戦争」と言われれば、何となくそんな雰囲気は感じ取れました。
きっと続編が出ていたら、ロマンス方面も力を入れていたんでしょうね。
本当にこのまま眠らせるのには惜し過ぎる作品なので、続編を出してもらいたいものです。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2012/08/21 02:10 * 編集 *

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