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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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東京レイヴンズ7 _DARKNESS_EMERGE_ 

東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)
(2012/05/19)
あざの 耕平

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読書期間:2012/5/23~2012/5/25

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
世界観
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 『D』による陰陽塾銃撃事件からしばらく。
 その傷跡は大きく、陰陽塾は一時閉鎖に追い込まれ、退塾する生徒も続出していた。そんな中、『D』と大友の熾烈な呪術戦に心を奪われたままの春虎は、夏目とともに訪れた陰陽塾屋上の祭壇で、一人の少女と出会う。
 「君たち二人のことはよく知ってる。初めまして――ぼくは相馬多岐子」
 その出会いが、のちにもたらす意味を知らないままに。
 時同じくして、呪捜部公安課による双角会掃討作戦が密かに始動。陰陽庁内部に潜む“敵”の炙り出しが行われるのだが!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽術を駆使して邪念を祓う若き闇烏たちの物語、第7巻。
信じていたものが崩れていく分岐点といえるエピソードでした。

良い意味でイヤな感じに盛り上がってきた!

表面上は見えていなかったものが、遂に噴出してきましたね。
前回が分かりやすい燃え回だとすると、今回は様々な陰謀に混迷をきたす回でした。
絶望的な状況を作り出し、先の見えない不安を与えることに長けた作者さんらしい巻だったと思います。

450ページを超えるボリューミーな内容は、複数サイドの視点によるものです。
数々の思惑と困惑が絡み合い、継続する緊迫感のために心休まる暇はありません。
一歩誤れば、どこからでも破綻してしまう危うい道を進む春虎たちでしたが、いつまでも耐えられると思っていたら大間違いですよね。
たまたま成功していただけで、失敗はすぐ傍にまで迫っていました。

ストーリー展開は、最初から物凄く嫌な予感があったので、衝撃的といえども「やっぱりな」という思いを強く抱きました。
一体どこに人が頼っている柱があるのか認識し、的確に折ってくるから容赦がない。
登場人物と読者をまとめて精神的なダメージを与えてくれますなぁ。

裏でおっさんが暗躍する話こそ、あざのさんの真骨頂でしょう。
6巻では大友先生の術比べに鳥肌が立ちましたが、今度は天海大善の渋さにゾクゾクとしました。
二手三手先を読む洞察力と、言葉は悪いですが、老獪な駆け引きが格好良すぎます。

執り成し役のポジションが板についていた京子に、再びヒロインとしてのスポットライトが当てられたことは素直に嬉しい。
なあなあで済ませてしまわず、しっかりと伏線を回収してくれたことを評価したい。
彼女だって、まだ春虎たちと歳も変わらない学生。
弱さを見せたっていいと思います。
彼女の宙ぶらりんとなった想いは、果たしてどちらへ向くのか気になります。

春虎にとってのターニングポイントは、大友vs蘆屋道満を間近で目撃したことだったようですね。
これまでも比較的機転を利かせられるタイプではあったのですが、術の連動性という意味合いでは皆無で、呪符にしろ護符にしろ単発的なものばかりでした。
それを見よう見まねで、拙いながらも工夫を自分なりに重ねて、次へ次へと繋げようとする様は、成長を感じさせます。
必死に頭を使って組み立てようとする春虎が、何だか頼もしくなってきました。

前半の説明過多は、それはそれで読み応えがあったのですけれども、やはり特筆すべきは後半に突入してからのノンストップ展開。
ギリギリの状況下の中で、仲間と共に立ちあがる春虎パーティーが熱い。
着々と経験値を稼いでいっていますね。
まぁ、それでも実力は足りなさ過ぎなんですけども。

部分的に発覚した真実が、どのように連鎖反応を起こしていくのか。
次巻も目が離せません。

繋がり始めたピースと暴かれた事実が、人間関係に変化をもたらします

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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この記事に対するコメント

 「ツッコミ待ちなんですか? ツッコミ待ちなんですね!」と146ページからの一幕にはツッコミを入れずにはいられませんでした。まさかあんなとぼけ方があるとは。

 主人公の覚醒はよくあることとはいえ、それが超人的なパワーの解放とかの類でないところに好感が持てます。

 肝心な時に出てこなかった人は何をしていたのかと思ったら……すごい判断をするよなあ、とうなりました。

 間柄が揺らいだ時に大丈夫な方へ持っていっちゃうのが今時の若手作家で、大丈夫じゃない方へ持っていくのがベテランの味かもしれないと思いました。せっかく温めてきた伏線ですもんね。

 鏡は、陰謀からはまだまだ遠いところにいるようですけど、だからこそ今後が楽しみです。勘がいいですしね。

URL | 紫電 #-

2012/06/28 23:36 * 編集 *

>紫電さん
大抵の作品の場合、もっと序盤に覚醒しちゃいますからね。
丁寧に下地を作り、7巻まで引っ張った結果、納得のできる進化となったんだろうなと思います。
やはりある程度シリーズを続けられる保証があると、構成も大きく変わるんでしょうね。
紫電さんの仰る「大丈夫じゃない方へ~」という話も、まとめられる余裕と自信がなければ無理でしょうし。

鏡を始めとして、敵側に回ってしまわないか心配になる面子が多数いますね。
京子は恐らく大丈夫だと思う……思いたいですけど。
あざのさんだと思い切ったことをしてきそうで怖いなぁ。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2012/06/30 00:21 * 編集 *

しかし、京子にスポット当てられた分、逆に鈴鹿の扱いが酷くなってましたね
鈴鹿は封印されてるけど強いとか煽っておきながら、前巻肝心の封印解いてもらった後は全く活躍できないわ
研究職だから仕方ないかと思えば、今回は専門分野じゃないから分からないと解説面でも役に立たないわ
大友の踏み台化してるのが心配です
次巻も京子巻なんでしょうけど、そろそろ鈴鹿にも十二神将らしいところを見せてもらいたいところ

というか、秋空翔さんって好きな作家にあざの耕平って書いてある割にBBBと東レしか読んでないんですね
僕としては、東レはこの作者らしくないというか、完全に別物と割り切って読んでるんで意外というか
ぶっちゃけ、過去の作品の方がこの作者の持ち味の毒やえげつなさが全開で面白いです
BBBが好きならDクラかダン・サリエルシリーズの方がテイストが近いし、キャラクター造形が深くて
東レより好みに合うと思いますけどね

URL | またたび #ejoXvvGo

2012/07/14 17:05 * 編集 *

>またたびさん
正直なところ、このシリーズの評価はいつも悩みます。
現状、どう考えてもBBB>東レになってしまうものですから。

十二神将とはいえ、鈴鹿は、陰陽塾に通う前の春虎と本番に弱かった頃の夏目でも対処できたくらいですから、あまりにも強大な力を持っていても不自然だと思ったんじゃないでしょうか?
個人的には、大友先生が別格すぎるだけで、鈴鹿の強さは存分に感じられましたけどね。
分かった風に書いていますけど、僕はあざの耕平さんの本に関しては、にわかファンだと思っていますよ。
でも、すぐさま虜になるぐらいBBBは素晴らしかったです。
Dクラは購入済みですが、東レが完結するまでは急いで読まなくてもいいかなと保留中ですね。

今回の題材が陰陽師と知った時は、もっと堅苦しい作品になるのかなと思っていましたが、随分とライトな作風となっていますね。
まぁ、まだまだこれから持ち味を発揮していくのではないかなと期待していますよ。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2012/07/15 03:37 * 編集 *

僕としては京子の出番がちゃんとあって嬉しかったですね~
これからどうなるのかな

URL | yyy #-

2013/01/14 17:22 * 編集 *

>yyyさん
京子はイチオシのキャラなので登場頻度が多くて嬉しかったですね。
天馬もそうでしたが、脇役にもしっかり見せ場を作ってくれるので、キャラへの感情移入が深まります。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2013/01/15 00:24 * 編集 *

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