明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA 

サクラダリセット7  BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)
(2012/03/31)
河野 裕

商品詳細を見る
読書期間:2012/4/27~2012/4/30

【評価……A
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
恋愛
透明感
切なさ
構成
完成度

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9


 「私が将来の夢を失くしたのは、貴方に出会ったからよ」
 能力を失くした相麻菫。
 「私は貴方を、覚えていません」
 能力を失くした春埼美空。
 改変された咲良田で、ケイはひとり、ふたつの記憶――街に能力が存在する本物の記憶と、能力が消滅した偽物の記憶――に直面していた。
 自らの過去に区切りをつけるため、ケイは初めて咲良田を出て――。
 複雑でシンプルな、大人のような少年がたったひとつを祈り続ける物語。堂々完結!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


物理法則に従わない能力を所持する者が住む街、咲良田。
人が能力を使用することの意義を問うシリーズ最終巻です。

とても素晴らしい物語でした。
直感で読み始めた作品でしたが、出会えたことに感謝したいです。

全てを見通した上での構成が、尋常ではない完成度にまで引き上げています。
作者自身公言している通り、これ以上の過不足はないでしょうね。
作品内の雰囲気だけに留まらず、シリーズ構成までもが美しく整っているなんて、相当緻密な設計をしていない限り不可能なことです。
予定通りの巻数で終われるだけの売れ行きがあって、本当に良かったと心から思いますね。

1~6巻までに登場してきた人物、能力のいずれもが関わっていることに衝撃を覚えます。
7巻を最初に書きあげて、その後に辻褄を合せるよう物語を組み立てたと言われても疑わないですよ。
適材適所が見事過ぎて、ある意味でご都合主義に見えてしまうほどです。

しかし、それは使う立場がいてこそ初めて輝くもの。
未来視能力を持った相麻ではなく、人よりも少し記憶力の良いケイが導いたことに驚かされます。

理想論を語る主人公なら数え切れないくらい存在します。
それらの多くは、言葉だけが立派で、蛮勇といってもいいものです。
または己の力を過信し、結果論で語る暴力的な思考によります。

しかし、ケイは違います。
彼は自分がどれだけ聡くて、どれだけのことが可能なのか正しく判断できる人間です。
春埼や相麻が絶対的に信じるのは、彼ほど透き通った心を持った人間がいるとは思えないからでしょう。

誰よりも傲慢なのに、目指すべき境地が夢のように心地良い。
彼の夢に乗っかり、理想に浸っていたい。
中野智樹、村瀬陽香、岡絵里、坂上央介、宇川沙々音。
ケイの周りにいる人間は、一括りには出来ない想いを抱いているけれど、みんな彼に惹かれている。
友情であり、嫉妬であり、憧れでもあるそれを人はカリスマと呼ぶのでしょう。

当たり前のことを当たり前にできるのが如何に難しいことなのか。
完璧主義者でありながら切り捨てる勇気も併せ持つケイの凄みが、坂上の台詞に集約されていました。

無垢というより無味な人格だなという第一印象が嘘なほどに春埼は変わりましたね。
作中でも関わり合いの薄い立場から見ると、春埼は意志のない人間に見えるんでしょう。
でも、ここまで物語を追ってきた読者からすると、ぬりえの前と後くらい別物に感じられます。

ケイを通じることで、相麻菫が如何に非情な立場にあったのかを痛感します。
前回で散々泣いた相麻が、なおも苦境に立たされ続けないといけないことに嘆くことしかできません。
それでも、少しでもケイや春埼が彼女の肩代わりができれば、救いとなるのかなと勝手ながらに思いました。

管理局との対立は、そのままケイと浦地による手札の切り合いと化していましたね。
お互いの手の内を読み合う様は、形勢が頻繁に入れ替わり、読み応え抜群でした。
頭脳的な能力バトルは大好きなので、知略戦には心躍りましたね。
雰囲気を大きく壊すようなこともなく、あくまで物語を構成する一つの要素に留めてくれていたのも良かったです。

散りばめられた伏線は、概ね回収されています。
ケイの名前がカタカナ表記だった理由など明かされないと思っていたので、あのくだりは嬉しかった。

潔癖すぎるぐらい綺麗なお話でした。
余分な成分を一切取り除いた後に残された二つの側面は、どちらも正しく、恐ろしいほどに純真で。
人々の感情を大切な宝物のように扱う彼や彼女たちは、とても素敵な人でした。

口絵のイラストは、最後まで高クオリティ。
椎名優さんの優しくも洗練されたタッチによるイラストが、素晴らしい相乗効果を生み出していました。
また次のシリーズもこのコンビによる作品を読んでみたいですね。

矛盾の中に潜む真実を求めて、少年が我儘に己の世界を求める物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価A 

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この記事に対するコメント

伏線は、回収された方が、幸せです

 相麻菫の計画が全部上手くいけばケイが相麻菫のものになる場合より、計画が全部上手くいくとケイは春埼とくっついてしまう場合の方が、意外と最後まで頑張れちゃうものだと考えています。 よくある三角関係で、相麻菫にもそれなりに目がある条件下だったと思いますが、ケイの願いを叶えたいと思えば、どうしてもこうせざるを得なかったというところに、いじらしさを感じます。

 相麻菫が、嫌いなものを嫌いだと正直に言えた時に、『サクラダリセット』は終わったんだなあ、と実感しました。

 春埼と相麻菫の関係もよかったです。409ページの後ろから6行目の春埼のセリフとか、気に入っています。

 坂上央介とも、突っ込んだ話ができてよかったなあ、と思っています。ずっと冷戦状態でしたからね。

 ライトノベルのバトルは、お互い十全を尽くしたさらにその先に、計算外の要素を探すようなものだと考えています。ギリギリの緊迫感で、ひやひやさせられっぱなしでした。
 中でも、リセットのシーンは圧巻でした。 もしあの時、目薬でごまかしたりしたら、この作品の全てが台無しになるなあ、なんて思ったりしました。

 十分間という限られた時間を一秒でも多く有効活用するために、春埼美空と他愛のない会話をする場面もよかったです。 1巻で猫に入る時とかにもこういう類の会話がありましたね。

 あとは、カタカナ表記だった理由が明かされるくだり。 あの許され方には胸が詰まりました。こりゃあかなわないな、と降参しました。

 浦地との対決がメインになるかと思われたこの最終巻は、それだけにとどまらず、本当にさまざまなことを見せてくれました。


 この巻の感想を書くために変に気負ってしまって、書き込むまでに数ヶ月かかりました。とにもかくにも書き込んだので、これで安心して年が越せます。 他の本の感想も、堰をきったように書けたらいいなと思います。 

URL | 紫電 #-

2012/10/27 00:48 * 編集 *

>紫電さん
どれだけ規模が大きくなろうとも、サクラダリセットの物語は、つまるところケイと相麻菫のために存在していたんだろうなと思います。
恋物語というよりも失恋物語といった方が正しいという気さえします。
相麻菫がケイのために尽くし、諦めきれなかった想いを吐き出すために、この壮大なストーリーは仕組まれていたんでしょうね。

その上で、脇役にも見せ場がしっかりと用意されており、ただの駒として配置しているわけではないことに感動を覚えました。
坂上なんて、ここまで重要なキャラになるとは思っていませんでしたからね。
彼の能力を含めて脇役達の活躍が目覚ましい管理局との対決は、見所満載でした。

書きたいことが上手く言語化出来ないことがあるので、気負うって心情は理解できます。
好きな作品、面白かった作品でよくある傾向で、半端な気持ちで感想を語りたくないという意思の表れなのかもしれませんね。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2012/10/28 04:23 * 編集 *

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