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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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テルミー2 きみをおもうきもち 

テルミー 2 きみをおもうきもち (集英社スーパーダッシュ文庫)テルミー 2 きみをおもうきもち (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2011/07/22)
滝川 廉治

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読書期間:2012/3/24~2012/3/26

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春
感動
切なさ



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 事故で亡くなった二十四人のクラスメイトの最期の想いを背負う少女・テルミー。
 事故を免れた少年・清隆と共に、テルミーはクラスメイトたちの願いを叶えるため、その身に宿った彼らの能力を支えに、走り出す。
 薔薇を育てていた少年が伝えきれなかった想いを届けるために。
 主演女優と脚本家の二人を失った映研部にもう一度映画を作る喜びを思い出してもらうために。
 悲しみとやさしさが奏でる物語、第二章をあなたに贈ります。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


亡くなった24人のクラスメイトの最期の願いを叶えるために、残された2人が奔走する物語。
1巻発売からしばらく期間が空いたので、続刊は出ないものだと思い込んでいました。

ここまで仕上げてくるとは。
題材に対して作者の技量が若干届いていないかなと危惧していましたが、モノにしましたね。
物凄く良くなっていることに驚かされました。
なるほど、作者が自信作だと言うだけのことはあります。

魂が抜き取られたという言葉通り、悄然とする大切な人を喪った者たち。
身を切り刻まれるかのような痛みに涙し、ぽっかりと穴が空いてしまったかのような喪失感に茫然とする人々を見ていると、無常さにやりきれない思いが募ります。
そんな彼らに、死者からの言葉が届くことは、一体どれほどの救いとなるのか。
人が人を弔う理由が、残された人たちのためだというのが身に染みて分かります。

もう死んでいると達観しているからなのか、クラスメイトの面々の想いが洗練されていて、ダイレクトに胸に響いてきます。
剥き出しとなった心のおかげで、輝美を媒体として宿ったことが伝わってくるんでしょうね。
ちっとも現実的ではなくても、そう信じさせてくれるだけの想いが詰まっています。

プロローグの話から、心を掴まされました。
孫を失くして自意識が曖昧となっているお婆ちゃんが立ち直ったことが、我がことのように嬉しい。
シンプルながらも、この作品の本質を見事にとらえている導入だったと思います。

園芸部部長の恋物語が描かれる第1~2章、女優と脚本家を失った映研部の立て直しを図る第3章。
ともに読み応えのある内容で、切なくも前を見据えることが出来る素晴らしい話でした。
じんわりと熱をこもった優しさで、哀しみがポロポロと剥がれ落ちていくようです。

それと同時進行で、清隆と輝美にも少しずつ変化が生まれていく構成も狙いは悪くありません。
二人に急接近する少女・保科楓は、唐突すぎて異物感があるものの、やりたいことは分かります。
前回の感想で、主人公役の影が薄いと指摘しましたが、クラスメイトの想いの欠片に影響を受け始めている状態を見ると、積もり積もった最後はとんでもないことになるのではないかなという予感を覚えました。

イラスト担当は七草さん。
1巻より上達していて雰囲気も合っていたと思います。
ただ、折り畳んだカラーページに輝美の尻がデカデカと出るところは考えて欲しかったな。

インパクトのある設定のお陰で、久しぶりに読んでも内容を忘れていませんでした。
次も1年後でも構いませんので、是非とも完結して貰いたいです。

切なさの後に温もりが残る読了感が心に染みわたります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  テルミー  滝川廉治  七草  評価B+ 

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この記事に対するコメント

現世に届け 死者の想い

 僕も、続刊は望み薄かもなあ、と思い始めていたシリーズでした。

 カラーページのお尻の件については、絵の上下を逆にして折り込めば大分違っていただろうと思います。折り込みを広げてから見える面と、広げなくても目についてしまう面の構図について考慮してほしかったところですね。

 相変わらず妙に死人好きの僕は、元クラスメイトの周防舞に惹かれたりしました。かっこよすぎでした。

 映研部の部長の劣等感やなげやりな気持ちはすごかったですね。心残りのある二人の関わり具合も絶妙でした。きれいごととぐちゃぐちゃした現実の割合をこのくらいの配分でやってくれると、すごく読み応えがありますね。

 新たに編入することになったクラスで、新しい人間関係も出来始め、事故の後の世界というものが少しずつ動き出している印象を受けます。元気な女の子たちの日常は、『空ろの箱と零のマリア』で最初の困難を乗り越えて日常が帰ってきた頃の空気と重なります。 保科楓は、いないよりはいた方が絶対にいいキャラだと思います。

URL | 紫電 #-

2012/05/29 23:43 * 編集 *

>紫電さん
映研部の話は、一筋縄ではいかないぞと思わせてくれる内容でしたね。
死んだ人間が目の前に現れる展開は、創作物では溢れ返っていますが、鬱々たる思いを解消出来ずに燻る人間を描いた作品は珍しかったと思います。
簡単に前向きになって、本当のお別れの時に哀しむパターンがテンプレ化していますから。
輝美の言葉で気付かされるのは良かったものの、改心が急過ぎた気もしますがね。

保科楓は、単なるゲストキャラかと思いきや、意外なキーパーソンとなりそうですね。
キャラを安易に使い捨てないことはイイことだと思います。

次が待ち遠しいですが、3巻が出るとしてもしばらく先になるでしょうし、気長に待つしかなさそうですね。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2012/05/31 02:44 * 編集 *

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