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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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豚は飛んでもただの豚? 

豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)
(2011/12/21)
涼木行

商品詳細を見る
読書期間:2012/2/4~2012/2/6

【評価……B+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
恋愛
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 元不良でこの春から高校生になる真宮逢人は、バイト先から逃走する食い逃げ犯を追いかけていた。逃げられそうになったところを、ポニーテールの美少女・藤室綾の純白の……――ではなく、ハイキックに助けられる。真宮はその日から、綾のことをなぜか忘れられずにいた。高校の入学式当日、真宮の席の目の前には、見覚えのあるポニーテールが揺れていて、思わぬ再会を果たす。さらに、バイト先には綾の妹・瑞姫までやってきて、新しい日々が始まる予感。そんなある日、真宮は瑞姫から「綾姉のこと気になるんでしょ?」と言われて――。
 第7回新人賞〈最優秀賞〉受賞作・元不良の少年と美少女三姉妹が織り成す、青春×初恋×ぽんこつストーリー堂々開幕!!

【感想】


恋心に疎い男子高校生が、初恋に戸惑いながらも己の気持ちに正面から向き合う青春物語。
「まよチキ!」「変態王子と笑わない猫。」に続いて、第7回MF文庫Jライトノベル新人賞の<最優秀賞>に輝いた受賞作品となります。

MF文庫Jらしからぬ清々しさ。
隙あらばエロハプニングを挿入する風潮のあるレーベルにおいて、ここまでサービスシーンを排除しているのは珍しい。
穏やかな日常の中で、ほんのちょっぴりほろ苦さが入り混じる青春模様に惹かれました。

主人公・真宮逢人は、物事の関心が薄いために親しい友人もおらず、バイトとボクシングに明け暮れる日々。
ある日、バイト先から逃亡した食い逃げ犯をハイキックで仕留めた藤室綾と出会う。
高校入学後に綾と再開した真宮は、フランクな彼女の性格に心地良さを覚え、次第に惹かれていく。
そんなおり、綾の妹でバイトの同僚である藤室瑞姫に綾への恋心を指摘された真宮は、初めての恋に困惑し、瑞姫に教えを請う――というラブコメの王道的な展開です。

ストーリーは、今更言うまでもなく有り触れたもので、目新しさはないと思います。
協力者である立場の瑞姫と真宮が親しくなるのも当然の流れと言えるでしょう。
でも、こういう三角関係は大好物なので、何度似たような作品を読んでも楽しめてしまいますね。
まだ当事者たちは意識していないんでしょうが、着実に火種を蒔いていっており、将来的な波乱が末恐ろしくなります。

あとは物語的に、どこまで話を展開させて見せるのかの違いなんですけど、投稿作品だったとは思えないぐらい進行がジックリで、長編の1巻にしか見えません。
単作だと思って読むと、オチの弱さが気になるかもしれませんね。
まだ本格的な物語は、始まってさえいませんから。

現時点で、明確なメインヒロインを確立していないのも、どちらに転ぶか分からないので面白い。
綾のざっくばらんな人柄は、親しみやすさと頼もしさを感じます。
瑞姫もまた、くだけた言葉使いに優しさが包容されていてるのが非常に魅力的です。
個人的な好みでいえば、ポニテ姿の綾はポイント高いんですが、内面的には瑞姫に軍配が上がります。

藤室三姉妹の長女・綾と三女・瑞姫と比べると、次女・藤室雲雀の出番は少ないですね。
三つ子という設定は、今のところ必要性皆無ですが、これは後々活かされてくると思います。
雲雀だけは、三つ子の幼馴染みである神指風太郎に惚れられているので、カップリング的には外部になりそうですがね。
ところで、動けるデブこと風太郎が「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の平野コータに見えて仕方なかったのは、自分だけでしょうか。

白身魚さんのイラストに釣られて購入しましたが、正解でしたね。
絵の雰囲気と作風が一致していて、甘酸っぱさが増幅されていました。

ラノベ的な色付けは希薄で、味気ないという人もいるとは思います。
派手な展開を望み、萌えを願う人にとっては、地味な話だと感じたかもしれません。
しかし、一見すると平たい話に見えるからこそ、心の機微を感じ取ることが出来るんだと思います。

面白かったです。
ただ一つ苦言を呈するのであれば、タイトルが微妙だということ。
作品の核となる部分が遠過ぎるのではないかなと思うのですが……いつか伏線回収するんでしょうか。

無愛想な男子高校生が初恋と男女の友情の間で揺れる青春物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  豚は飛んでもただの豚?  涼木行  白身魚  評価B+ 

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この記事に対するコメント

MF文庫の柱になれ

 大当たりでした。
 これぞ青春です。MF文庫に足りなかったものがぎっしり詰まっているように感じました。
 絵師さんつながりで、ココロコの読者層はそのままこのシリーズも併読していいんじゃないかと思います。
 今作と篠原さんが受賞作とは、MF文庫の審査員さんたちは、僕の心をがっちり掴んでくれています。

 まあもちろん、作品の好みの合う合わないはあると思います。『なによりもハーレム系が一番好き』とか『青春系は大嫌い』という人にはお勧めできません。
 新人らしい青臭さを愛おしく尊重できる人には合うんじゃないかと思います。

 主人公の真宮逢人は、羽瀬川小鷹と下記の共通点があると思います。
・MF文庫Jのライトノベルの主人公である
・料理が作れる
・あまり愛想のいい方じゃない
・友達が少ない
・ケンカをよくしてきた
 にも関わらず、作品の方向性の違いによって、ここまで受ける印象が違うんだなあ、と興味深く対比しています。

 この作品は要するに、みのりんと付き合うか大河と付き合うかということだと思います。となると、僕としてはここでのみのりんに当たる綾の方を応援せずにはいられません。あきらかに瑞姫の方がお似合いであることは認めますけどね。

 ところで、この作品における設定で一番仕事をしているのは塩素だと思うんですけどどうでしょうか?
 
 あと、従姉の葉子さんの絵がどうも見当たらないというのは、憤懣やるかたないです。

 三姉妹には、全員に頑張ってもらわないといけないと思います。雲雀が今後どこまでやれるかというのは、シリーズのあとひと伸びという点で大きく関わってくるんじゃないかと思っています。風太郎から好意を寄せられているからといって、そのまま何事もなく風太郎と両想いになることが強制されているわけでもありませんしね。

URL | 紫電 #-

2012/05/06 22:36 * 編集 *

>紫電さん
世間的な評判はさほど高くないのは、MF文庫Jが萌えに特化しているレーベルのため、他の文庫よりも購入層が若いからなのかなと思いました。
一般的なラノベ購読層と比べると年上な身としては、かなり惹かれる内容でしたね。
紫電さんが購入されるというコメントを読んだ時、ちょっと不安でしたけど、楽しんでいただけてホッとしました。

真宮と似ているのは小鷹というよりも竜児のような気がしますね。
「とらドラ!」よりもラノベの色合いを薄めた内容で、だけど一般小説とは違う若さがあったと思います。
みのりんと大河の例ならば、僕も同じくみのりんを推しますが、シチュエーションではなく女の子重視で判断するので、やっぱり瑞姫の方が好きですね。

正直、新人作品でいきなり三つ子で登場させる必要性があったのかは微妙ですね。
実力があるのならばまだしも、雲雀にしろ風太郎にしろチョイ役でしかありません。
名前だけ出しておいて、それこそ「とらドラ!」の亜美のように2巻以降に登場させた方がインパクトを与えられたのではないかなと思いました。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2012/05/08 00:21 * 編集 *

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