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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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サクラダリセット6 BOY, GIRL and ―― 

サクラダリセット6  BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)サクラダリセット6 BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)
(2011/11/30)
河野 裕

商品詳細を見る
読書期間:2012/1/24~2012/1/28
月間マイベスト作品

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
恋愛
透明感
切なさ
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 「これで、最後だから。たぶん、あと数日で、すべて終わる」
 復活後、姿を見せなかった相麻菫。しばらくぶりの彼女からケイへの連絡は、奇妙なものだった。
 一つ目は、春埼と一緒に交差点でゴミ拾いをしろというもの。
 一方、管理局対策室室長・浦地は“咲良田のリセット”――全能力の消滅を目論んでいた。彼は未来視能力を持つ二代目魔女・相麻に接触し……。
 初代魔女が名前を失う前、咲良田の「始まりの一年」が明らかに!最終章突入!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


壮大な舞台で綴られるのは、少年と少女の恋物語。
能力の是非を問うクライマックス突入のシリーズ第6巻です。

何という切なく、そして綺麗なお話。
この作者が紡ぎ出すキャラ、言葉使い、雰囲気。
いずれも美しいという言葉がピタリと似合います。
透き通った文章が、静かに心の奥深いところへと沈む込んでいき、離しません。
期待通り面白かったです。

遂に明かされる咲良田の始まりと、相麻菫の意図。
秘められた過去に気が付いた時、一言では言い表せられない想いが胸に込み上げてきます。
数々の伏線がたった一つのことへと収束しく様は圧巻で、様々な関門を貫いて届く想いを美しいと言わずとして何と表現すればいいのか分かりません。

相麻菫の悲痛なる決意を思うと、吐息が重くなります。
傍から見れば、たったそれだけのことであっても、彼女は文字通り身を投げてまで守りたかったのか。
彼女が抱える愛情の深さに涙腺が刺激されっぱなしです。
覚悟を決めた人間の格好良さに男も女も関係ありませんね。

ケイ、菫、そしてもう一人の主役となる浦地正宗。
彼らが幸せを求め、それぞれの世界を望み、我を通す行為に嫌悪感を抱かないのが凄い。
この作品の素晴らしいところは、皆が純粋に心を追い求めるところにあると思いますね。

脇を固める役柄も欠かせません。
全てはこのために配置していたのかと言わんばかりに、集うピース。
余すところなく全員が物語に関わり合い、ケイに影響を与えていく構成には目を瞠ります。
最初から完成形がある程度出来ていないと作れませんよ、これは。

小説に華を添える椎名優さんのイラストは、相変わらずの画力で文句のつけようがありません。
春埼の作り笑顔から、菫の慟哭まで、いずれも脳内に直接焼きついたかのように覚えています。
冒頭で登場人物紹介を載せてくれたことも有難い配慮でした。

能力は、人を幸せにするか否か。
最終巻を読むのが今から楽しみでなりません。

少女の苦しみと慈しみが詰まった未来が、優し過ぎて切なくなります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価A- 

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この記事に対するコメント

最終章 前半

 最終巻を読まれていない状態の場合、この記事にどうコメントしようかと戸惑っていましたが、読まれたようなので安心しました。

 書きながら考えていく物語に比べて、最初から考えられている物語がどれほど美しいかということを痛感しました。無駄なキャラが一人もいないんですもん。 一筆書きのとてつもなく複雑な形の絵みたいに、全てが一本につながっているような気がします。

 『アニメ化してもっと多くの人に知ってもらいたい』という思いから最も遠いところにある作品が、この『サクラダリセット』だと思います。角川スニーカー文庫のこの形が理想形で、いじればいじるほどいろんなものが零れ落ちていく気がします。

 浅井ケイと浦地正宗が対立しますが、どっちが主人公でもおかしくないよなあ、と感じました。読み進めていくほどに、浅井ケイの方を応援したくなりますけどね。

URL | 紫電 #-

2012/05/01 22:46 * 編集 *

>紫電さん
最終巻のあとがきを踏まえての感想ということですか。
一筆書きというのは上手い表現ですね。
最初から想定していた通りに構築された物語に綻びはなく、美しいラインを辿っているかのようでした。

映像化はあまり期待していませんね。
漫画も絵が微妙だったので手を出していませんし、この作品の空気を表現できているとは思えませんでした。

浅井ケイと浦地正宗の対比は良かったですね。
まぁ、この辺りはまた最終巻の感想で語りたいと思います。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2012/05/05 03:13 * 編集 *

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