4 Girls
2011/11/11 Fri 20:37:43 [edit]
![]() | 4 Girls (メディアワークス文庫) (2011/01/25) 柴村 仁 商品詳細を見る |
【評価……B-】
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 設定 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 物語 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 人物 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 文章 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 | 青春 安定感 | ★★★★★★★☆☆☆ … 7 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 |
あこがれの同級生に、告白する間もなくふられた僕。そして僕をふった張本人である彼女は、僕を無理やり連れて学校をさぼると言い出して――「scratches」。偏屈そうなおじいさんが一人で暮らしているはずの隣の部屋のベランダで、タバコをふかす変なおじさん。おじいさんの親戚だという彼と、ベランダでぼんやりすることが多い私は、次第に話をするようになり――「サブレ」ほか計4作品を収録。4人の少女たちの、トホホでワハハな日々を描く、哀しいけれどあったかい、珠玉の青春ストーリー。 |
【感想】
思春期に思い悩む4人の女の子の物語。
柴村仁さんが描く、淡い短編が4章詰められた一冊です。
「4 Girls」のタイトルから色々と想像すると思いますが、実のところ4人の女の子に関連性はありません。
ただ単純に4つのエピソードが収録されている短編集です。
うん、悪くないと思います。
小説の教科書的な作りで、目新しさはないものの4章とも安定していました。
ラノベにありがちな修飾を取り除き、シンプルな仕上がりとなっています。
そのおかげで、MW文庫らしい一般向けで、誰にでもお薦め出来ると思います。
ただ、あまりにも薄味なところは気になりますね。
あっさりしているというには、少々さっぱりしすぎな印象を受けました。
体裁は青春小説なのですが、青臭い甘さや苦さは香る程度しかありません。
普段本を読まない人なら良い塩梅でしょうが、趣味が読書の人からすると、物足りなさそうです。
濃厚な本が続いた後に、間食して読むのにはちょうどいいかもしれませんがね。
購入したキッカケは、同作者の「プシュケの涙」に登場した由良が出てくることを知ったから。
脇役でしたけど、元気そうな姿が見られて良かったです。
こんな青春を妄想した時期もあったなぁと思わせる高校生男女の恋愛事情「scratches」。
外国人の街案内を行うことになった人見知りの女の子の内面を描いた「Run!Girl,Run!」。
携帯ストラップ人形を売る主人公の話術が巧みで楽しい「タカチアカネの巧みなる小細工」。
人間関係で精神が摩耗する女子高生が、隣に住む男とベランダ越しの交流を育む「サブレ」。
「Run!Girl,Run!」は短すぎましたが、他3編は適度な長さでした。
お気に入りは、生々しい少女の裏側が見られる「サブレ」。
言葉の端々にある思いやりが、ほんのりと温かくて、読後感が素敵でした。
▼ | さらりと読める女子高生が主体の青春短編小説 |
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 4Girls 柴村仁 也 評価B-
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この記事に対するコメント
言う通り ラノベっぽくは ありません
さばさばした感じの一冊でしたね。異性に対して、この登場人物たちくらいの口が利けたら世界が変わるだろうなあ、と思います。わりと自然体で生み出された作品のように感じました。前に出てきた人物がまたちょこっと顔を出すような世界観で、今後もずっとやっていかれたらいいんじゃないかな、という気がします。
短編集なら大抵そうですけど、最初から最後まで一気に読んでしまうよりは、小休憩ごとにちょっとずつ読む方が向いている作品かもしれません。
ベランダは、普通にしてたら顔は見えませんし、身を乗り出せば顔を見ることもできますしで、独特の距離感になる空間ですね。雰囲気で、今相手が何やってるかとか、何となく伝わってきたりしますし。そんな空間を、最大限に発揮した話だったと思います。
URL | 紫電 #-
2011/11/12 00:15 * 編集 *
>紫電さん
柴村さんのテイストが盛り込まれた話で、らしさが場面ごとに感じられました。
腰を据えて読むような話ではなかったですね。
そういう意味では、ある種ラノベっぽいスタイルで読めるとも言えますか。
ベランダを舞台に始まるコミュニケーションは、昔から小説やドラマでよくありましたけど、定番ならではの強みがありました。
仰る通り、雰囲気を表現する空間として、便利なツールの一つだなと思いますね。
柴村さんのテイストが盛り込まれた話で、らしさが場面ごとに感じられました。
腰を据えて読むような話ではなかったですね。
そういう意味では、ある種ラノベっぽいスタイルで読めるとも言えますか。
ベランダを舞台に始まるコミュニケーションは、昔から小説やドラマでよくありましたけど、定番ならではの強みがありました。
仰る通り、雰囲気を表現する空間として、便利なツールの一つだなと思いますね。
URL | 秋空翔 #3huMpp/w
2011/11/14 00:30 * 編集 *
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