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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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カミオロシ ~縁結びの儀~ 

カミオロシ―縁結びの儀 (電撃文庫)カミオロシ―縁結びの儀 (電撃文庫)
(2011/06/10)
御堂 彰彦

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読書期間:2011/6/21~2011/6/22

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
ホラー
期待感



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 神社にまつわる恋愛成就のおまじないの噂。その神社に課外活動で訪れた生徒たち。その中に玖流緋澄と識読美古都はいた。学年で双璧をなす秀才、才媛の二人だが、顔を合わせば皮肉の応酬となる間柄。おまじないとは無縁の二人だった。
 神社に訪れたほかの生徒たちは奇妙な顔ぶれだった。おまじないを信じ、互いを意識する生徒たち。だが、そんな浮ついた空気は一変する。
 他愛のない恋愛成就のそれが、次々と死をもらたらしていく。それは呪い、それとも――。謎に迫ろうとする緋澄と美古都の二人が知る真実とは!?伝承系ファンタジックホラーの登場。

【感想】


「付喪堂骨董店」シリーズが評判の御堂彰彦氏による新作。
ミステリー&ファンタジーという得意ジャンルに少々のホラー要素が混ざった意欲作です。

1年3ヶ月振りとなる新作でしたが、独特の雰囲気は変わっていませんね。
暗く地味だけど、気になるトリックと惹きつけられる人間模様は、引き継がれています。

勉強が出来るという意味だけではなく、本当の意味で賢い頭脳を持った二人が主役。
クールで冷静な判断を下せる玖流緋澄は、少年漫画系作品のアンチテーゼとも言える存在で、成長途上の知的系キャラです。
凡庸なキャラや、熱血硬派な主人公とは異なり、あくまで自己中心にした周囲のみを気遣うスタイルで、個人的に共感を覚えました。
フィクション的な主人公補正で助かっているのに、理想を語るキャラは山ほどいますが、玖流は違います。
自分の限界や引き際が分かっている人間は、好感が持てますね。

ヒロイン役の識読美古都は、玖流同様に頭の切れるタイプで、はぐらかすのが巧みな含み笑顔が似合う女の子です。
いや、女の子ってのは何となく似合わないかな。
玖流と同い年の幼馴染なんですが、幼い面を僅かに残したお姉さんっぽいキャラですね。
前作「付喪堂骨董店」のヒロイン・舞野咲を彷彿とさせるクーデレの香りが漂っています。

良くも悪くも互いのことなら大体分かる関係で、挑発的な言葉を掛け合うものの、ほぼ無意識的に大切な相手と認識している間柄という美味しいシチュエーションが楽しめます。
とはいえ、まだまだ描き切れてはいないので、これからに期待でしょうか。
またビターチョコレートのような苦味のある甘さを味わいたいものです。

しかし一方で、ストーリーはちょっと雑だったかなぁという印象を受けました。
ファンタジー要素があるおかげで、どこに境界線を引けばいいのか悩むミステリーとなっていて、作品全体が曖昧になっているように見えます。
もっと主人公勢が関わる事件内容にしないと、導入しては弱いかなーと思いました。
展開にも無理があったり、強引さが目立ちます。
2巻目以降ならまだ良かったんでしょうが、キャラ紹介を兼ねた1巻としてはインパクト不足ですね。

基本的には美麗な文章ですが、時々描写が飛ぶといいますか、説明が足りない箇所があるように感じました。
エアポケットに入ってしまったかのように、部分的に違和感があるんですよね。
舞台が現代のわりに、オカルト的要素に対して許容がありすぎるでしょう。

ミステリーについては、それなりに読み応えがありました。
ガチガチの推理モノと比較すると粗はあるでしょうが、十分楽しむことが出来ました。

さらちよみさんのイラストは、思っていたよりも良かったです。
特に美古都は可愛い絵が多くて楽しめました。
イラスト指定のポイントが、ちょっとどうかなとは思いましたけど。

現時点では、そこそこ楽しめたものの、微妙なところです。
しかし、今後に期待は持てそうなので、じっくりと腰を据えて追いかけたいなと思います。

オカルト色が濃いホラー系ミステリー

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  カミオロシ  御堂彰彦  さらちよみ  評価B- 

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この記事に対するコメント

髪型の変化とは無関係です

 本来、僕はあんまりダーク路線を得意としてないようで、この『カミオロシ』も、表紙を見て「うげ、合わないかも。できれば買いたくないなあ」と思いながらも御堂先生の本だから買ったものです。

 読んでみたら、楽しめました。自分で思っている以上に、僕の中での御堂先生の文章の存在は大きかったみたいで、「ああ、御堂先生が帰って来られたんだなあ」と噛み締めながら読むことができました。最後の真相とか、すごくてたまりませんでした。 あと、美古都とのやり取りも、御堂先生独特の味が出ていました。

 条件さえ整っていれば超常現象が起こり得る世界だということを念頭に置いておかないと、手痛いしっぺ返しをくらいますね。ここまでのことが起こっていたとは想定していませんでした。

 あ、描写が飛んでたのは気のせいじゃなかったみたいですね。

 ひとつ特筆しておくと、本来妹がいるべきはずのポジションに弟がいるというのは、いい先物買いだと感じました。このパターン、いろんな作品でちょくちょくと出てくるといいなと思っています。

 1巻につき4本の話が必要だった『付喪堂骨董店』に比べると、長編である分、話が書きやすいんじゃないかなあ、と考えました。

 この作品がシリーズ化すると、レギュラーたちはコナン君と同様の“死神”の異名を持つことになるでしょうね。

URL | 紫電 #-

2011/08/08 22:34 * 編集 *

>紫電さん
自分の場合は逆で、ダーク路線大歓迎だったので期待度は最初から高かったです。
それもあって、出足は微妙かなとも感じました。

もちろん悪くはないんですけどね。
最終的に、超常現象がありかなしか、どちらに転ぶのか分からないので、ミステリー的には読み辛かったのが難点でした。

個人的には、長編よりも短編の方が合う作者さんではないかなと思いましたね。
書き手としてはネタを考える必要性が減って楽でしょうがw

妹ではなく、弟にした理由は、主人公とヒロインのカップリングを固める為でしょうね。
前作もそうでしたが、むやみに対抗馬を作らないところが他にはない売りだと思います。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2011/08/09 03:28 * 編集 *

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