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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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はたらく魔王さま! 

はたらく魔王さま! (電撃文庫)はたらく魔王さま! (電撃文庫)
(2011/02/10)
和ヶ原 聡司

商品詳細を見る
読書期間:2011/2/11~2011/2/13

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
バカ
シュール



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★
 … 9




 世界征服まであと一歩だった魔王サタンは、勇者に敗れ、異世界『日本』の東京・笹塚にたどり着く。
 そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服”!!――ではなく、駅前のファーストフード店でアルバイトをしながら生活費を稼ぐ、いわゆるフリーター生活だった!
 その頃、魔王を追って時空を越えた勇者エミリアもまた、テレホンアポインターとして日本経済と戦っていた。そんな二人が東京で再会することになり――!?
 六畳一間のアパートを仮の魔王城に、今日も額に汗して働くフリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー。第17回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作登場!

【感想】


第17回電撃小説大賞<銀賞>受賞作品。
どうやら巷の評判では、大賞を差し置いて一番好評らしいです。

おー、面白いじゃないか。
新人作家の本を発売日に買うのは、結構バクチなんですが、これは当たりでした。

勇者に追い詰められた魔王が咄嗟に異世界へ逃げ込んだ先は、現代の日本だった。
元の世界へ戻り世界征服の野望を叶えるため、魔力回復に努めようとするが、なかなか手段が見つからない。
しばらく日本に滞在する必要性が出てきた魔王とその部下は、バイトに励むのであった!!

……いやいや、シュールすぎるだろうw

ラノベらしからぬ、現代社会をリアルに追求した結果、ギャップが物凄いことになっちゃってます。
ファンタジー世界から一転して、日本経済に立ち向かう魔王が、面白可笑しいのなんの。
貧乏生活に苦労する魔王と、その部下であるアルシエルのやり取りが楽しすぎます。
ご都合主義で済ませてしまう作品が多い中で、ラスボスが必死に戸籍とか国民健康保険を手に入れようとする姿を見るなんて思いもしませんでしたよw

そんな日常シーンが、終始丁寧に描かれているなーという印象を受けました。
基本的にコミカル路線を貫いており、シリアスな過去やバトルシーンも挿入されますが、笑いの種があちらこちらに仕込んであるので、ずっと楽しい気分で読めます。
弾けるようにして連鎖的に会話が繋がるのもテンポが良く、ページをめくる手が止められません。

最初は、また魔王モノかとげんなりしたんですよねぇ。
自分はあまり読んでいないとはいえ、流行に乗っかろうと同じ題材の作品が立て続けに発売されているので、正直「またか」と思ってしまいました。

しかし、あらすじを読んでみて、どうやら一味違う模様。
気になって店頭で手に取ってみて、カラーページにある一つの台詞を見て購入を決意しました。

 「いいか勇者エミリア、俺は、この世界で正社員になってみせるぜ!」

店内でモロ吹き出しましたw
なんだこれ、魔王の威厳なぞあったもんじゃない。

つーか、この魔王、本当に悪事を行おう気があるのかと疑いたくなるぐらい優しいよ!
真面目で勤勉だし、仕事の立ち回りや手際も優秀で、後輩が憧れるのも納得ですよ。

勇者エミリアも、プライドは残しているものの、こちらはこちらでOLとして馴染み過ぎw
まだ魔王討伐を本気で考えているだけ、魔王よりマシかってレベルですけどね。
おかげで、魔王の変貌ぶりに戸惑い、ツッコミ役として輝いています。

設定的に、収拾がついていないところが散見されますが、これらはきっと今後の伏線なんでしょう。
ストーリーが一本道すぎて仕掛けが弱いので、その辺りも含めて期待したいところです。
題材的にも続けられそうですし、長期シリーズになるのではないかな、というかなって欲しいなー。

某ファーストフード店でバイトする魔王とOLの勇者の生活臭溢れる現代コメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B 

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この記事に対するコメント

笹塚案内

 単品としてのその時の評価は大賞が一番でも、現在シリーズものを長く続けている作家さんは、銀賞受賞者の方が多いくらいな印象を持っています。判官贔屓な意味でも、大賞より銀賞を応援したい気持ちがあります。

 魔王ものは守備範囲外なんですが、試しに読んでみました。総じてよくできていたと思います。
 今の時代、トップアイドルもプロスポーツ選手も政府のお偉いさんも、みんな同じ人間ということで変わりはない気がしますから、そういう時代に合わせると、魔王たちもこんな感じになるんじゃないかなあ、と思います。むしろ、ストイックに魔王している魔王の方が、少数派になってしまうかもしれませんね。

 まずは、魔王と一緒に暮らしているのが部下の男というところをほめたいと思います。もしこれが想いを秘めてる女の部下とかだったら、たちまち六畳一間のアパートがハーレムに早変わりする危険性がありますし。 熱血男が外で稼いで、弱腰な小姑タイプの優男が家を守るのは、絵になってると思います。それに、家事の合間を縫って、調べものとか博物館めぐりとかをしているのも、ポイント高いです。

 女勇者がこんなにも僕の守備範囲外だったとは、我ながら驚きました。これは秋空翔さんが桐乃に対して感じている気持ちに近いのかもしれないと思ったりもしました。
 一方、バイト先の後輩であるちーちゃんは、大体今時の女の子という感じでかわいかったです。この立ち位置なら、たしかに全力で狙うべきです。応援したいと思います。
 意外なところで、女勇者の友達の梨香がめっちゃよかったです。読んでて「エミリア俺と代われ」と思いました。いいネタの使い方をしています。ここのくだりがあったからこそ、この本を読んでよかったと心から言えます。

 あ、戦闘におけるそれぞれの役回りとかも、結構美味しかったと思います。支えてるとことか面白かったです。

 当然と言えば当然のことですが、この作品は、元いた異世界のエンテ・イスラに舞台を戻したら成り立たないだろうなあ、と思いました。
 東京に縁のない者としては、東京笹塚を舞台とした、20代前半から半ばくらいの若者達の等身大の日常を描いた作品として楽しめました。このリアリティは武器になっていると思います。
 ライトノベル作品にも、今の時代に働いて暮らしていく苦労といった世相はある程度繁栄されるんだなあ、なんて今更ながらに思いました。それでも、この作品は結構夢があっていいんじゃないかな、って思います。生き残れるか埋もれるか、斜に構えて見届けていきたい気がします。

URL | 紫電 #-

2011/05/04 21:41 * 編集 *

>紫電さん
大賞は無難なものを選ぶためか、他の受賞作品の方が洗練されていたりする場合も少なくないですね。
特に電撃はその傾向が強い気がします。

紫電さんの感想を読んで気付きましたけど、僕はこの作品に対してラブコメ要素は全く求めていませんね。
コメディとして軽快に笑えるところが魅力と感じていて、ニヤニヤさせられるところは特になかったですし、そのつもりもありませんでした。
安易な萌えキャラがいなかったのも大きな要因でしょうね。
そういう意味では、男の部下というアルシエルの存在が大きかったということなんだと思います。

桐乃については、ここでは語りませんが、紫電さんがエミリアを快く思っていないのはよくわかりましたw
個人的には、まぁ可もなく不可もなくといった感じでしたね。

2巻がまもなく発売されますけど、果たして同じノリで読めるのかどうかが不安です。
ハーレム系ラブコメに進んだら、この作品ならではの良さが死んでしまいかねないので、やめて欲しいです。

URL | 秋空翔 #3huMpp/w

2011/05/07 03:40 * 編集 *

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