ゴールデンタイム1 春にしてブラックアウト
2011/04/05 Tue 00:51:58 [edit]
![]() | ゴールデンタイム〈1〉春にしてブラックアウト (電撃文庫) (2010/09/10) 竹宮 ゆゆこ 商品詳細を見る |
【評価……B+】
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8 設定 ★★★★★★★★☆☆ … 8 物語 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 人物 ★★★★★★★★☆☆ … 8 文章 ★★★★★★★★☆☆ … 8 挿絵 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 | ラブコメ 青春 期待感 | ★★★★★★★☆☆☆ … 7 ★★★★★★★★☆☆ … 8 ★★★★★★★★☆☆ … 8 |
晴れて大学に合格し上京してきた多田万里。大学デビュー、東京デビュー、ひとり暮らしデビュー、と初めてのことづくしで浮足立つ彼は、入学式当日、不意打ちにあう。 圧倒的なお嬢様オーラ!完璧な人生のシナリオ!得意なのは一人相撲! 襲撃者の名は加賀香子。薔薇の花束を万里に叩きつけた彼女は、万里の友達でもある幼馴染みの柳澤を追いかけて、同じ大学に入学してきたという。そんな眩しくも危うい香子が気にかかり、放っておけない万里だが――? 竹宮ゆゆこ&駒都えーじの強力タッグが贈る青春ラブコメ! |
【感想】
竹宮ゆゆこ×駒都えーじが贈る、青春ラブコメ開幕。
期待通り面白かったです。
しかし、土台作りがメインのため、まだまだ序章で、これからといった感じ。
ラノベでは非常に珍しい大学が舞台のお話。
御法度とまではいかなくとも、購読層に中高生が多いラノベでは、あまり見かけません。
そのためにメディアワークス文庫を立ち上げたようなもんですしね。
大学版「とらドラ!」と呼ばれるのも分かりますが、感覚としては「わたしたちの田村くん」の方に近い。
主人公・多田万里の奔放さが、そう思わせるのかもしれません。
恋慕のベクトルが噛み合わず、複雑な人間模様が描かれそうな予感がしますね。
舞台設定もさることながら、ヒロイン役の加賀香子の性格付けは冒険したなぁ。
「とらドラ!」の大河も凶暴な役柄でしたが、暴力系美少女は昔から需要がありましたし、それこそラノベ風味に仕上げていたので多くの人に親しまれました。
しかし、香子の場合、言動がまさに病的なストーカーで、ちょっと怖い。
登場人物の年齢層が上がっていることもあって、ギャグで済まされない雰囲気もまた危うさを助長させます。
表面だけ見たら、どう考えてもお近づきになりたくない人物像です。
少女から女性へと成長する過程にある純真さ、不器用さが物凄く生々しい。
香子自身にも暴走をしている自覚があり、隠れた素顔を垣間見たら嫌いになれません。
物語の掴みとしては、ちょっと弱いかな。
先が読めない面白さはありますけど、引き込まれるまでに時間がかかります。
エンジンが掛り始めると、今度は止め時が見つからないんですけどね。
それにしても、相変わらず癖のある文章を書きますね。
痛々しい自虐を笑いの方向へと持っていく文体が独特です。
会話が型に嵌っていなくて、意図的に崩した言葉が絶妙なリアリティを伴います。
雑なようで密度の濃い文章は、計算してもなかなか書けるものではないかと思います。
絵の担当は、人気イラストレーターのこつえーこと駒都えーじさん。
「イリヤの空、UFOの夏」の頃から好きな絵師さんで、竹宮ゆゆこさんとの相乗効果に期待していました。
なのですが……、うーん、ちょっと相性悪いかもしれませんね。
元々幼女から中高生の絵柄が得意な方なので、大学生という大人びた人物だったことも影響はあると思いますが、それ以上に作風とかけ離れているように見受けられました。
各章の頭に小さな絵はあるだけで、挿絵がなかったのも残念。
作者が女の子の服装描写に力入れているだけに、惜しい。
イラストそのものは綺麗なんだけどなぁ。
▼ | 生々しい心理描写が売りの大学生青春ラブコメディ |
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 ゴールデンタイム 竹宮ゆゆこ 駒都えーじ 評価B+
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