サクラダリセット4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY
2011/03/22 Tue 12:21:08 [edit]
![]() | サクラダリセット4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY (角川スニーカー文庫) (2010/11/30) 河野 裕 商品詳細を見る |
【評価……B】
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8 設定 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 物語 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 人物 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 文章 ★★★★★★★★☆☆ … 8 挿絵 ★★★★★★★★☆☆ … 7 | 透明感 切なさ | ★★★★★★★★☆☆ … 8 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 |
「リセットを、使えません」 相麻菫の死から二週間。浅井ケイと春埼美空は、七坂中学校の奉仕クラブに入部する。二人は初めての仕事を振られるが、春埼はリセットを使えずにいた。相麻の死をそれぞれに考えるケイと春埼。ケイは、相麻が死んだ山へと向かい……。(「Strapping/Goodbye is not an easy word to say」)。 中学二年の夏の残骸、高校一年の春、そして夏――。壊れそうな世界をやわらかに綴る、シリーズ第4弾! |
【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>
タイトルだけでは分かりませんが、シリーズ初の短編集となっています。
とはいえ、本編に密接する重要な要素もあるため、読み飛ばしは避けた方がいいでしょう。
ほとんどが「ザ・スニーカー」で掲載されたもので、書き下ろしは一本のみとなります。
その唯一が3巻ラストの続きであり、あらすじにある「Strapping/Goodbye is not an easy word to say」ですね。
相麻菫の死後間もない時期ということもあり、沈痛な空気が肌に突き刺さる話でした。
ケイと春埼の距離感や関係が今に至った理由が明らかとなります。
この二人の特殊性は、とても一言では言い表すことはできませんね。
言葉を交わし過去を積み重ねてきた結果、お互いを求める理由が出来ていた、ということでしょうか。
感情量は細い糸のようなものなのに、結びが強固で解ける気配がありません。
しかし、何だかこの糸が近い未来に切れるようなことがありそうで、不安を覚えました。
その他の短編も少し切なく、だけど優しいエピソードとなっています。
澄んだ空気の表現力が本当に素晴らしい作者さんですね。
短編集となっていても、シリーズ通しての透明感のある雰囲気は失われていません。
その一方で、短編の合間に挟まれているショートショートは、ほんわかとしていて面白い。
春埼視点で描かれるあったかいエピソードで、彼女の魅力が随所に出ていました。
・「ホワイトパズル」
最後に「サクラダリセット」と全く関係のない短編が収録されています。
過去に「ザ・スニーカー」で掲載されたらしく、作者にとってのデビュー作であるそうです。
「サクラダリセット」の告知をする意図もあって、雰囲気が酷似しているため、最初はシリーズに関連する作品だと思っていて、半分ぐらい読んでようやく別物なんだと気付きました。
綺麗な空気や洗練された文章は、まさに作者ならではといった感じ。
設定は凝っていても見せ方はシンプルで、テーマにブレがありません。
登場人物たちの儚い想いが心に染み込むようでした。
これだけでも今巻を買う価値があったと思えるぐらい面白かったです。
それにしても、半ページだけの挿絵や関係のない短編が入っているのをみると、少女漫画を連想してしまうのは自分だけでしょうか。
▼ | 本編よりも恋愛要素が香る切なく優しい短編集 |
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 サクラダリセット 河野裕 椎名優 評価B
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