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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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ほうかごのロケッティア 

ほうかごのロケッティア (ガガガ文庫)ほうかごのロケッティア (ガガガ文庫)
(2009/12/18)
大樹 連司

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読書期間:2010/5/21~2010/5/23

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春
浪漫




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 何もかもが、順調なはずだったオレの学園生活。あの電波女が来るまでは――。
 「私の“友達”を宇宙に返して!」電波女に弱みを握られたオレに与えられたのは「携帯電話を人工衛星にする」というバカげたプロジェクト。高校生が自作ロケット?ほかに行き場のない連中の現実逃避だろ!?
 オレの心配をよそに、ひと癖もふた癖もある連中が集まり、ロケット制作が始まった。カウントダウンの先にあるのは、バカげたドリーマーの自爆好意か、教室という箱庭からの脱出か――。
 青春と妄想をのせたロケットが今、宇宙へ「リフトオフ」する!

【感想】


打ち上げロケットに情熱を燃やす高校生達の青春物語。

読了後の解放感が、まさに宙へ飛び立つロケットのように爽快です。
中盤までは、学校生活という特異なコミュニティにおける陰の部分を如実に描き出した内容となっていて、期待していたものとは大きく異なりました。
正直なところ、求めていたものと違ったので、騙されたかなーと思いもしましたが、後半は一度もスロットを緩めることなく、加速し続けるストーリーと、登場人物たちの躍動に心が震わされましたね。

電波女・久遠かぐやの「携帯電話を宇宙へ送らなければならない」といった旨の発言から始まった突拍子もない計画。
高校生がロケットを打ち上げるという、ただそれだけで読んでみたくなる何かがあります。

案の定、ロケット作りの工程は、ワクワクしぱなっし。
成功と失敗と挫折を繰り返し、徐々にロケットを大きくしていく過程に興奮しました。
目標は確かに存在はするのだけれど、途中から目的と手段が入れ替わってしまっていて、それに気付きながらも、もはやブレーキの効かない主人公たちが熱いのなんの。

当然ながら、本当のロケット作りは、こんなトントン拍子に進まないでしょう。
しかし、素人ポジションである主人公にも分かりやすく丁寧に説明する流れは、非常に出来が良く、実際に作ることができるのかもと思わせるだけの説得力がありました。
人によっては、キャラに喋らせているだけで面白味のない教科書的な文章になってしまったり、作者の押し付けがましい思想が鼻についたりしますが、この作者さんには一切ないですね。
限られた紙幅で、キャラを立たせ、的確な文章構成を導き出す手腕は、かなりのものだと思いました。

クラス内のスクールカーストを裏から制御して得意気になっている主人公・褐葉貴人は、ぶっちゃけ嫌いです。
物事の捉え方がゲームに近く、人の感情や立場を都合よく操作しようとする考え方が気に食わない。
青春系ラノベということで、改善されることは決定事項だと思って読んでいましたが、結構辛かったです。
覚醒してからは、好青年になったものの、しこりは多少残りましたね。

対比させる狙いは分かりますが、スクールカーストは要らなかったなと思います。
これがなければ、もっと純粋に称賛できましたし、オススメもしやすかったんですけどね。

終盤、クラスメイト関係で無理にイイ話に持っていこうとしている点が気になったものの、怒涛の展開、というか回転にテンション急上昇。
お祭りの際の高揚感に近いものがあり、足が地につかないドキドキ感がありました。
恋愛要素もあるけれど、それ以上に浪漫が詰め込まれています。
こんな青春、羨ましいなぁ。

素晴らしい作品であり、同時に納得のいかない点もある作品。
それでも、表紙の青空のように、清々しい気分にはさせてくれる良作には違いありません。

目標を見つけた高校生たちが、全力で突っ走る青春ロケット物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ほうかごのロケティア  大樹連司  しずまよしのり  評価B+ 

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