【評価……A】
舞台 ★★★★★★★★★☆ … 9
物語 ★★★★★★★★★☆ … 9
人物 ★★★★★★★★★☆ … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆ … 8
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
オススメ度 ★★★★★★★★★☆ … 9
燃え ★★★★★★★★☆☆ … 8
この身は、賢者の血統に捧げた。それが誇りだった……。吸血鬼・望月ジロ―は、苦い想いを噛み締める。 ――今は、その運命が少し、つらい――。 『カンパニー』が招聘した吸血鬼化特殊部隊『赤い牙』。セイたちが黙秘を続ける九龍王の遺灰の在り処。カーサ率いる『九龍の血統』の特区攻略の兆し。幾多の不安要素が渦巻く中、それでもジローは、フリーの調停屋となったミミコと共に、充実した日々を過ごしていた。 しかし“血の宿命”が、その平穏を破る。血が命ずるままゼルマンとの死闘に臨むジロー。運命がもたらす戦いを通じ、彼は秘めたる想いを自覚する――。 誰もが己の内なる願いと直面する、新感覚吸血鬼サーガ、長編第6弾! |
<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>廻り始めた歯車が、もはや止まることのないところまで来た吸血鬼物語、第6巻。
いよいよ佳境に入ってきました。
広げた風呂敷をどのようにして折りたたんでいくのか、一瞬も目が離せません。
もう、この湧きあがる想いを何と表現したらいいんだろうか。
熱さや切なさで、胸が苦しいです。
この時を待っていたような、来て欲しくなかったような、自分の気持ちが分からなくなります。
そんな急展開が目前に迫っているのが肌に感じられます。
正直なところ、失敗した、と思いました。
出来る限り話の時系列に沿う形で読み進めていこうと思っていましたが、どうにもならくなってしまいましたから。
だって、こんなの読んだら続いて7巻を読まずにはいられないじゃないか!
5巻の引きなんて可愛いものだと思えてしまうくらい、今回の切り方は凶悪です。
時系列からいえば、5巻と6巻の間にs4、s5のサイドストーリーが挟まれます。
6巻にて一部キャラが意味深な発言をしていますが、それは短編集での話のことを指しています。
それらのことを理解して読みたいというのであれば、時系列順にs4、s5を6巻の前に手をつけるのもアリだと思います。
僕も当初はその予定でしたし。
しかし、一通り既刊を読み終えた今では、考え方が変わりました。
下手に短編集のコメディのノリで、本編の張り詰めた緊張感を途切れさせるよりかは、シリアスで重苦しい空気のまま物語に没頭した方が楽しめるんじゃないかなーと思います。
なので、BBBシリーズのお勧め順序としては、こうなります。
| 【本編1〜3巻】→【本編4巻】、【短編1〜3巻】→【本編5〜7巻】→【本編8巻〜】、【短編4,5巻〜】 |
もちろん発売順や自分の読みたい順番に読んでもらっても構いませんよ。
もしどの順番で読めばいいか迷った時、参考になれば幸いです。
閑話休題。
これこそ誰もが主人公といって差し支えのない作品じゃないかなと思いますね。
敵側である『九龍の血統』でさえも感情移入どっぷりと入れ込めます。
だからこそ、争いが巻き起こる様を見ていて、複雑な心境になってしまいます。
脇役としてのポジションであるキャラたちも、主役に見えてしまうほど精彩を放つ活躍をしています。
それぞれに人生というものが平等にあるのだなと実感させられます。
キャラクターに命を吹き込むという点において、作者は芸術的なまでのレベルですね。
数えるのが大変なくらいキャラが登場する今シリーズで「コイツ、誰だっけ?」と思い出すのに苦労することが一切ありません。
キャラの特徴を実に巧くインプットさせてくれるので、新キャラが相次いで登場しても混乱せずに済みます。
そんな魅力的なキャラばかりなのに……なんだこの死亡フラグの山々は。
嫌な伏線ばかり張りやがってw
『九龍の血統』の存在自体、文字通り『血』が流れることを確定的にさせていますからねぇ。
この物語をどのようにして決着をつけるのか、興味が絶えません。
前巻は第二部開始ということで状況説明やらが多くて戦闘場面が少なめでした。
それを補って余りあるぐらい、今回はバトルが熱い熱い。
特区内でも指折りの実力者たちの戦いは、興奮しまくりでした。
口絵にもあるメインバトルは特に良くて、今までのバトルの中でも一番読み応えがあったんじゃないでしょうか。
しかし、毎度思うことですが、巻頭のカラーイラストのネタバレ率が高すぎますね。
盛り上がる場面を描いてくれるのは嬉しいんですけど、本文に入る前にある程度の流れが分かってしまいます。
もちろんこの作品に限らず、大方のラノベはそうなっているんですけど、BBBの場合、物語の後半部分過ぎるような気がしますね。
非戦闘員であるキャラたちにも見どころいっぱいです。
ミミコの揺れる心情には、切なさ以上に苦しさが込み上げてきます。
読んでいる途中、ミミコの溜息と同調して息を吐き出している自分に気付きました。
そんなミミコを育ての親としてではなく元上司として指導する陣内部長は、理想の上司を体現化していてやっぱりカッコ良すぎ。
香港聖戦でのジロー&陣内のタッグをいつか読んでみたいなぁ。
だらだらと語っている割に、内容が無味乾燥ですが、本の中身はホンモノです。
勢いのまま7巻を読むことを含めて推奨します。