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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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明日も彼女は恋をする 

明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)
(2011/12/22)
入間 人間

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読書期間:2012/7/28~2012/7/30

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★
 … 9





 『過去の改変』から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。そして、もうひとつ。わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。慣れきっている。そして、この世界の『現在』では、彼は九年前に死んでいた。その蔓延する常識が、わたしを苛み、蝕んでいく。わたしが歩ける毎日。それは彼が死んだ現代。決めた。わたしは必ず取り返す。わたしと彼がいた世界を。必ず。
 『昨日は彼女も恋してた』と上下巻構成。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

昨日は彼女も恋してた」から続く時間モノのラブロマンス、後編。

想像していたものとは方向性が違いましたけど、面白かったです。
しかし、内容を語ろうとするとネタバレに触れてしまうので、感想書くのが難しいですね。

仕込まれていた仕掛けは、期待通りで、見事に騙されました。
一応途中で気付くことは出来んたんですけど、何故もっと早く感付けなかったのかと悔しくなりました。
タイトルの意味、表紙の人物と車の違い、ボカされた説明文。
ヒントは山のようにあったのに、頭の中で繋がるまでに時間が掛かりすぎました。
巧妙に隠されていたということなのかなぁー。

下巻を読み終えたあとこそ、上巻の意味があります。
改めて読み直すと、ニヤリとさせられる場面の多いことといったら。
書いていて混乱しないのかなと心配になるほど複雑ですね。
何も知らないで読んでいたのが不思議なくらいに罠が張り巡らされています。

発想も構成も良し。
唯一甘いと思ったのが、タイムトラベルに関する設定かな。
テーマ的にタイムパラドックスの問題は避けられない中で、まだ納得できる定義にはしてくれていました。
それでも、曖昧とされてしまった部分が多く、引っ掛かりを覚えてしまったのも事実。
長編シリーズならまだしも、上下巻作品ではこれが限界かなぁとは思うんですけどね。

でも、この作品に一番重要な要素は、タイムトラベルではなく愛を中心とした人間関係です。
彼や彼女の執念ともいうべき想いこそが、この物語の発端であり全てだったんでしょう。
登場人物の心情または信条は、入間人間節が炸裂しており、作者の読者ならば「らしさ」を感じられるものだったと思います。

判明する内容については衝撃的で濃かったですけど、表面上の出来事自体は上巻のが好みでした。

全てが引っくり返る仕掛けに気が付いた時に得られる驚きは感嘆モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日も彼女は恋をする  入間人間    評価B 

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山がわたしを呼んでいる! 

山がわたしを呼んでいる! (メディアワークス文庫 あ 5-2)山がわたしを呼んでいる! (メディアワークス文庫 あ 5-2)
(2011/08/25)
浅葉 なつ

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読書期間:2012/7/11~2012/7/13

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
知的好奇心





 ★★★★★★☆☆☆ … 7






 草原でくつろぐ羊や馬。暖炉にロッキングチェア。そんな場所を夢見ていた女子大生あきらのバイト先は、想定外のオンボロ山小屋だった!つかみどころのないセクハラ主人をはじめ、口の悪い先輩、マニュアルが手放せない同僚、そしてなぜか正体不明の山伏まで居座っていて大混乱!
 お風呂は週一!?キジ打ちって何!?理想の女性になるために来たはずのあきらが巻き込まれていく、標高2000メートルのアルバイト!
 第17回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>受賞者・浅葉なつの受賞後第一作!

【感想】


山を愛する人々が多く登場する山岳小説。
受賞作は未読なので、作者の本はこれが初読となります。

明確なテーマや環境を用意して、そこで生きる人々を描くメディアワークス文庫の王道的な一冊。
ストーリーに強烈なインパクトがあるわけではなく、知識や情報で肉付けされた作品ですね。
興味が湧く題材だったので手を取ってみましたが、期待通りに楽しむことが出来ました。

主人公は山に軽装で挑む無鉄砲な女子大生・あきら。
憧れの女性像である女優が、山で憩いのひと時を過ごしたという雑誌の記事を読み、勢いで山小屋のバイトを引き受けてしまう。
しかし、彼女が抱いていた想像図はそこにはなく、あるのは厳しい山生活の実態だった。
個性的な男性陣に囲まれながら、あきらは山の魅力と怖さに惹きつけられていく――という物語。

定番といえば定番。
理想とかけ離れた現実に打ちのめされ、山を下りようと考えるも、少しずつ山の良さを見つけていく展開は、分かっていてもニヤリとしてしまいますね。
どちらかといえば初心者向けですが、ベテラン登山者の方にとっては共感を覚える内容があるのかも?

正直あきらほどではないにしても、山に関する知識は大して持ち合わせていません。
まぁ、さすがに準備もなしに登山を始めるほど馬鹿ではありませんが。
山小屋の住人達が教えてくれる基本的な知識をあきらと同様に吸収していくことで、山の醍醐味を徐々に理解出来るようになっていきます。
もっと山について知りたいと勉強欲を刺激させれくれますね。

毎年山を甘く見た人間が、ノリだけで登ろうとして事故となるニュースを見かけます。
それだけ山は、人間からすると死に近い場所なんだと思います。
この本を読んで、正しく知識を身に付けた人が、山登りを始めたら素敵ですね。
残念ながら、個人的には体力がないので山登りは難しそうですが、身体の芯まで凍えそうな澄んだ空気を吸って、絶景の空と斜面と太陽を拝んでみたいなと思わせてくれました。

小説としては、物語が過去話の比率が高過ぎるかなと思いました。
恋愛要素は、ほんのりと匂わせる程度で、本筋にはさほど関わってきません。
登場人物を把握するのが難解で、誰が喋っているのか、名前と設定がなかなか結びつきませんでした。
キャラ的な魅力は、もう一歩といった感じでしたね。

表紙絵は方密さん。
「旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。」の挿絵担当の方ですね。
本当にあきらがこの格好で標高2000メートルの山を登りきったのならば、山を知る人間から怒られても仕方ないなと思います。

初心者向け登山用参考書としても有用なドラマチック山岳小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  山がわたしを呼んでいる!  浅葉なつ  方密  評価B- 

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ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ 

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
(2012/06/21)
三上 延

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読書期間:2012/6/23~2012/6/26

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
恋愛
構成
家族愛


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。
 人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しい女店主に頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。
 彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない――。
 これは“古書と絆”の物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


古書が過去と現在を繋ぐ架け橋となる物語、第3巻。
累計発行部数は遂に300万部を突破し、勢いは留まるところを知りません。

今回も面白かったです。
物語をダラダラと読むのに適したお手軽な大人のライトノベルのスタイルを貫いていました。
あっさりとしながらも確かな手ごたえも感じられる読後感は素敵です。

ただ、やや安易かなと感じる部分が幾つか見られましたね。
ミステリー要素がメインではないとはいえ、もう少し捻りがないと驚きが得られません。
意外という感情は作品の面白さに直結するので、構成などにも拘って欲しいところでした。
オチが良くてもヒントを与え過ぎた結果、予想通りに事が進んでしまいましたね。

2巻で露わとなった栞子と母親・智恵子の確執。
行方知れずの智恵子が一体何処にいるのか、そして栞子の抱える闇が晴れる時が訪れるのか。
長期路線に突入した以上、多少引っ張る分には構いませんが、テンポが崩れないかが気掛かりです。

登場人物の固定が多く、身内の話に終始している印象を抱かせます。
せっかく古書店を構えているのですから、新たな人物との交流を育めばいいのに。
確かに、店主の栞子は人見知りですが、五浦と出逢って変わってきているようですし、一応客商売をしているんですからね。
探偵ごっこもよりも、本の魅力でグイグイと引っ張ってくれるとなお嬉しいです。

本を取り扱いに関する話は、実に興味深いですね。
古書交換会」なるシステムがあることを初めて知りました。
読書家の人達にとっては、是非とも参加してみたい会合なのではないでしょうか。
同業者のみの集いのようですけど、買い手を探したいのであれば、開かれた集まりにすればいいと思うんですけど、何か理由があるんでしょうかね。

表紙は、毎度ながら越島はぐさんによる、瞳を閉じた横向きの栞子。
うなじに流れた黒髪が扇情的で大変よろしいですなぁ。
首が長すぎるのは気になりますけども。
口絵にある篠川家の古びた写真は、家族が一緒だった時の空気を感じ取れる素晴らしい一枚でした。

ミリオン作家となった手前、今まで以上に一定の刊行ペースを求められると思うのですが、質に影響するのであれば、時間をかけてでもいいので良い物を書いて欲しいと思います。

古書に関わる謎解きから家族愛へと変化しつつある主軸が好みを分けます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ビブリア古書堂の事件手帖  三上延  越島はぐ  評価B 

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昨日は彼女も恋してた 

昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)
(2011/11/25)
入間 人間

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読書期間:2012/6/9~2012/6/13

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、なぜか時空を超えた。
 はじめは二人はどこにいるのかわからなかった。島の景観なんて、十年やそこらじゃ変化しないから。『過去』に来たと分かったのは、向こうから自分の足で走ってくる、『小さなマチ』を見たからだ。
 僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。『明日も彼女は恋をする』と上下巻構成。

【感想】


すれ違いにより不仲となってしまった幼馴染みとの関係を回顧させるタイムスリップ作品。
上下巻構成の上巻にあたります。
ちなみに下巻は「明日も彼女は恋をする」というタイトルです。

舞台は、500人前後の島民が暮らす小さな離島。
とある過去の衝突が原因で、余所余所しくなってしまった若い男女――大学生の青年・ニア車椅子の女性・マチは、時間旅行の実験に付き合い、9年前にタイムトラベルしてしまう。
思いがけず仲の良かった頃の自分達と出逢い、過去の想いと今の内面を見つめ直すことで、二人の関係が微妙な距離感になっていくラブロマンスとなっています。

これは良かった。
ただ、上巻だけでも面白かったですけど、下巻があってこその本だと思います。
それほど前に、最後の展開が凄まじかった。
予想していた展開のうちの一つとはいえ、本当に起こると衝撃的でしたね。
ズルいぐらいに先が気になります。

癖の強い文章を書くことで有名な入間さんですが、本作では比較的落ち着いた文体で読みやすくなっています。
ニアとマチの視点を交互に描写する構成は、一人称に長けている著者の長所を売りに出来る良いアイデアでした。

緩やかに綴られる心情が、徐々に解れていくココロを表していくかのよう。
無邪気にじゃれあう自分達を見ることで、いがみ合っていた対立が緩和していく展開は素敵。
素直になれないために、子供相手に問いかける彼らがもどかしいのなんの。
幼き己らを緩衝材としなければ、まともに幼馴染みを名前で呼ぶことすら躊躇う。
そんな二人が時間移動の果てに見つけた境地は、とても意義のあるものだったと思います。

ニアと祖母のエピソードが、柔らかい陽の光みたいに優しくて、地味ながらも好きでした。
いいなぁ、このあったかい感じ。

SF要素に関しては、あくまで舞台装置の仕掛けであって、主題ではなさそうですね。
少なくともこの上巻では。
それでも、ニアやマチが過去に残した跡は、大きな変化を生むことを予感させる伏線がばら撒かれています。
下巻で、どこまで拾ってくれるのか楽しみですね。

仲違いのキッカケが生まれた過去の瞬間にタイムスリップを果たした男女の恋物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  昨日は彼女も恋してた  入間人間    評価B 

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ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 

ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 (メディアワークス文庫)ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 (メディアワークス文庫)
(2012/03/24)
美奈川 護

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読書期間:2012/6/3~2012/6/7

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成
感動
人情
音楽


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 音大を出たけれど音楽で食べる当てのないヴァイオリニストの青年・響介。叔父の伝手で行き着いた先は竜が破壊の限りを尽くした――と思える程に何もない町、竜ヶ坂の商店街の有志で構成されたアマチュアオーケストラだった。激烈個性的な面子で構成されたそのアマオケを仕切るボスは、車椅子に乗った男勝りの若い女性、七緒。彼女はオケが抱えている無理難題を、半ば強引に響介へ押し付けてきて――!?竜ヶ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』を舞台に贈る、音楽とそれを愛する人々の物語。

【感想】


地方の商店街メンバーで構成されたアマチュアオーケストラが奏でる音と人を繋ぐストーリー。

音楽の世界で成功を収めるものは、ほんの一握りという表現すら生温い。
そんな厳しい分野で働き口のなかった藤間響介だったが、叔父より商店街のアマチュアオーケストラを紹介される。
公民館の臨時職員を兼ねつつ、商店街の人情溢れる人々と心を通わせていく、そんな情熱と慈愛の物語です。

美奈川護さんの本を読むのは、デビュー作「ヴァンダル画廊街の奇跡」以来です。
荒削りながらも光るものがあると評してから2年。
知らぬ間に、ここまでの域に達していたのかと驚かされるほどに良く出来た作品に仕上がっていました。

ラノベ色を排除したことで、登場人物たちの心情に焦点が合わさってます。
この方は、ラノベよりも一般向けの方が向いているのかもしれませんね。
余計な設定に振り回されず、剥き出しの想いが塊となってぶつかってくる本作は、音楽モノの人間ドラマとして実に見応えのある出来栄えでした。

主人公・藤間響介が、街に馴染んでいく過程が心地良い。
寂れた街ながらも元気に音楽活動を励む商店街の面子が、故郷に帰ってきたかのような安心感を与えてくれます。
横の繋がりに変なしがらみはなく、ただただ根強い交流に心が温かくなりますね。
その中心に居る車椅子の女性・一之瀬七緒が、飾らない性格で、ガンガン突き進むのも良かったです。

短編連作形式となっているため、まるでテレビドラマを見ているような感覚になりました。
響介と親しくなっていくメンバーが、一人ずつ増えていき、最後に待ち構えるのはヒロイン役の七緒という構成は、定番ながらも巧く乗せられたなぁと感じました。
終盤の引っくり返しは、予想より一歩先に進んだもので、単純に面白かったです。

クラッシックに詳しくなくても理解できるよう配列された文章が非常に丁寧な印象を受けました。
題材も学校の教科書を開けば出てくる有名な音楽家や楽曲を選出していることもあって、想像しやすかったです。
音を楽しむと書いて「音楽」ということを、文字媒体で表現している文章に惹かれました。
惜しいのは、人間ドラマの割合が多めで、演奏シーンの量が物足りなかったこと。
紡がれた単語が並びを得ることで生まれる「音」にもっと浸っていたかったなぁ。

始まりの終わりとも言える内容だったので、綺麗に終わってはいますが、続きも書けそうな感じ。
メインとなる第四楽章はともかく、その他は若干踏み込みの浅さも見られます。
土台は出来たわけですから、続巻が出るのであれば、その辺りにも期待したいところですね。

音楽を愛する人達が自らの想いを音に変えて伝えようとする人間ドラマ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ドラフィル!  美奈川護  富岡二郎  評価B+ 

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花の佳音 

花の佳音 (メディアワークス文庫 あ 8-1)花の佳音 (メディアワークス文庫 あ 8-1)
(2012/04/25)
雨宮 諒

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読書期間:2012/5/17~2012/5/18

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ほのぼの
切なさ
感動



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 知っていますか?あなたが笑ったり泣いたりしているときに、すぐ横に寄り添って、一緒に微笑んだり、涙を流してくれる存在がいることを。
 それは、美しくも儚い「花」たち。彼らはいつでも人間を温かく見守り、心の底から祈っています。あなたが幸せでありますように――と。
 これは、そんな花たちの声を聞くことができる不思議な青年・草介と、心優しい花たちの切なくも心温まる物語。
 ほら、花に耳を近づけてみて下さい。嬉しい囁きが聞こえてくるかもしれませんよ?

【感想】


実に4年振りとなる雨宮諒さんの新作は、メディアワークス文庫からの発売となりました。
名前を知らない方でも、「シゴフミ」の作者といえば、聞こえがいいかもしれません。

草花の声を聞くことができる花屋の若き店主・草介が、花を通じて触れ合う様々なココロに胸を熱くさせるハートフルストーリーです。
タイトルの「花の佳音」という言葉並びが美麗ですね。

ほんわかと心温まるお話でした。
優しさがふんだんに盛り込まれた物語で、個人的に好みの内容でしたね。

短編連作形式となっているため、サクサクと読めます。
草介の台詞が演技のような言い回しで若干癖はありますが、音声再生されているかのように抑揚が伝わってきたので嫌いじゃありません。
まぁ、そのせいで感動がイイハナシダナーってレベルに落ち着いちゃっているんですけどね。

花の精霊との会話が、親密な親子のようで、心が洗われます。
ちょっと生意気だったり、勝気だったり、無邪気だったり色んな花がいますが、いずれも純真で安らぎを与えてくれる存在で、草介でなくとも売れてしまう時に一抹の寂しさを覚えてしまいます。
精霊がイイ子たちばかりであるがゆえに、人間側の身勝手な思いで利用してしまうことに、申し訳なさすら感じてしまいました。
花の寿命は短いというのに、みんな健気だなぁ。
人と共に生きる花の瑞々しさは、何と美しいことやら。

それにしても、何故草介は花屋を営んでいるんだろう。
手放すのが惜しいと毎回思うのだったら、庭師になったり植物園で働いたりすればいいのに。
お客さんに花を届けたいという想いは、そこまで強くないだけに少し気になりました。

ジャンルが違うだけで「ビブリア古書堂の事件手帖」と方向性が似ていますね。
おそらく花の言葉を聞くことが出来るのが女店主でしたら、もっと売れたのではないかなと思います。
しかし、魅力的な花の精霊を中心に添えたいと思うのであれば、これで正解でしょうね。

多少駆け足気味なものの綺麗に終わっているので、続きは出なさそうかなぁ。
他にもいっぱい素敵な花々はあるでしょうから、読んでみたいですね。

花の言葉を理解できる青年と花の精霊たちが優しい空気で包んでくれます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  花の佳音  雨宮諒  評価B 

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バカが全裸でやってくる Ver.2.0 

バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)
(2011/09/23)
入間 人間

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読書期間:2012/4/24~2012/4/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
 … 7
構成
完成度




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 ついに僕はデビューした。
 ずっと夢だった、憧れの職業。小説家になった。すべてがバラ色、これからは何もかもがうまくいく……はずだった。
 デビュー作の『バカが全裸でやってくる』は、売れなかった。それはもう悲しいほどに。そして僕の小説家人生はまだ始まったばかりだった。
 担当編集から次作に課せられた命題は、『可愛い女の子を出せ』。まてまて。なんだその意味不明な無理難題は。好きなものを好きなように書くのが小説家じゃないのか?
 業界を赤裸々(?)に描く問題作登場。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


続編が出るとは思っていなかった「バカが全裸でやってくる」第2巻。
普通に読んでいたら、まんまと騙されました。
前回同様に、あとがきが最大のネタバレとなっているので、後ろからめくる人は要注意です。

しかし、これ感想書き辛いな。
内容に触れようとすると核心を突いてしまうので、表面上をなぞるぐらいしか出来ませんよ。

とりあえず、使用されたギミックは面白い試みでしたね。
その代わり、物語の起伏の無さは少々退屈だと感じる人がいても仕方がないかな。
入間人間さんのファンならば、著者自身のことを書いているんだろうなというニュアンスが多分に含まれているので、作品とは別口で楽しめましたけどね。
「電波女と青春男」はそんなにも苦痛だったのか……w

一応の体裁としては、小説家デビューを果たした『僕』の後日談。
縛られずに全裸でいられたアマ時代とは違い、作家として着膨れしていく若き小説家の日々を綴ったものです。
小説以外には何もなく、ただひたすらに書き続けるスタンスが、脳内の入間人間像と被ります。
きっと本音も混ざっているんだろうなと思いつつ、ニヤニヤしながら読みました。

ライトノベルに「可愛い女の子を出せ」という指令は、編集として至極当然であるとは思います。
魅力的な女の子キャラがいるだけで、華々しいってもんです。
昨今のラノベ業界は、些か一辺倒が過ぎるのも否めませんがね。

そういう意味では、ラノベキャラっぽくない甲斐抄子が素敵でした。
いかにもだらしのない女性として描かれるのに、何故か可愛いヒロイン役になっています。
普段から素であるが故に厳しさの割に嫌味がなく、言動に温かみを感じられるのが大きいのかな。
直接的な表現に頼らず、雰囲気で人となりを見せる術はお見事でした。

最後の問い掛けは、正解する自信がありません。
読書回数の問題なのか、読み解く力がないだけなのかは分かりませんが、答えが絞りきれないんですよねぇ。
でも、こうやって混乱しつつも推理するのが、この作品の楽しみ方なのかもしれません。

小説を書くことが生きがいであると作品の隅々から感じられる一冊

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカが全裸でやってくる  入間人間  評価B 

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ビブリア古書堂の事件手帖2 ~栞子さんと謎めく日常~ 

ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖 2 栞子さんと謎めく日常 (メディアワークス文庫)
(2011/10/25)
三上 延

商品詳細を見る
読書期間:2012/3/10~2012/3/12

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー
安定感
恋愛
構成


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 鎌倉の片隅にひっそりと佇むビブリア古書堂。その美しい女店主が帰ってきた。だが、入院以前とは勝手が違うよう。店内で古書と悪戦苦闘する無骨な青年の存在に、戸惑いつつもひそかに目を細めるのだった。
 変わらないことも一つある――それは持ち主の秘密を抱えて持ち込まれる本。まるで吸い寄せられるかのように舞い込んでくる古書には、人の秘密、そして想いがこもっている。青年とともに彼女はそれをあるときは鋭く、あるときは優しく紐解いていき――。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


古書店に持ち込まれる本を巡って紡がれる人と人と繋ぐ物語、シリーズ第2巻。
今やシリーズ発行部数200万部となり名実ともにメディアワークス文庫の看板作品となりましたね。
本屋大賞8位入賞は伊達ではありません。

やはり安定した面白さを提供してくれる作家さんですね。
雰囲気も質も1巻と変わりないので、安心して読むことが出来ました。

前回同様に短編連作となっており、多様な物語を楽しむことが出来るのが嬉しい。
古書と持ち主に関わる背景を見通すかのように言い当てる栞子の推理が実に爽快です。
これは本格ミステリー小説をあまり読まない人間だからなのかもしれませんが、ミステリーの難易度が適度に感じられます。
ある程度予想が付くけれど、最後の核心の部分までは読めない微妙さ加減。
一般とラノベの中間に属するレーベルとしては、この中途半端なヌルさがベストだと思いますね。

例えば、第一話・アントニイ・バージェス『時計じかけのオレンジ』
栞子が隠している内容は、態度から途中で分かるんですが、何故秘密にしているのかまでは拾えなかったんですよね。
読み返してみると、なるほどなと思わせてくれる構成となっており、物語の畳み方に唸らされます。

第二話・福田定一『名言随筆 サラリーマン』も良かった。
大輔と栞子の絶妙な距離感に、第三者を入れることで僅かに進展する様が楽しい。
もうひたすら焦れったくて、モヤモヤとして、しかし微笑ましい二人の関係が大好きです。

そして、ストーリーとして秀逸だったのが、第三話・足塚不二雄『UTOPIA 最後の世界大戦』
栞子の推理力は異常過ぎる部分はありますけど、それをフィクション上でも納得させてくれるだけの力強さはあったと思います。

シリーズ化が決まっていない1巻で一応の区切りをつけるのは、新作を書く上で当然のことです。
なので、これだけの大人気シリーズとなった今、ここから本格的な長期シリーズとなるための伏線が仕込まれていくことになるわけです。
是非ともダレることのない物語を作り上げて欲しいものですね。

伏線といえば、表紙の栞子が1巻と2巻で若干違うように描かれているのは気のせいなのか、それとも……。
作中の描写からすると、もしかしなくても、あれはそういうことですよね?
ううむ、越島はぐさんもさすがの仕事っぷりですね。

あー、栞子さんと一緒に働きてぇなー。
確かにキャラ造形が出来過ぎ感がありますが、あざとい面も含めて可愛いと思ってしまいます。
人見知りではあっても頑固なところがあったり、鋭いくせに恋愛に関しては疎かったり。
こういうギャップに弱いんですよねぇ。

古書に関わる人々の過去と想いを紐解く女店主の推理と合間に挟まれるロマンスが見所

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ビブリア古書堂の事件手帖  三上延  越島はぐ  評価B+ 

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妄想ジョナさん。 

妄想ジョナさん。 (メディアワークス文庫)妄想ジョナさん。 (メディアワークス文庫)
(2011/09/23)
西村 悠

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読書期間:2011/11/16~2011/11/18

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
恋愛
青春




 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 大学一年生の春、恋する僕は確かに幸せだった。憧れの人が、自分の妄想の産物だと気付くまでは。大学二年の秋、傷心から立ち直れない僕の前にひとりの女性が現れる。その名はジョナさん。彼女もまた僕の妄想の産物だ。驚いたことに彼女は、僕を妄想から解放すると宣言した。
 自らの妄想に導かれ、壮大な脱妄想計画が幕を開ける!大学キャンパスがロンドンに変じ、ラブホテルが魔王の城と化す、妄想にまみれた東京多摩市で展開する、騒々しくも切なく、悲しくも情けない恋の物語。

【感想】


自ら生み出した妄想の女性とともに現実と立ち向かおうとする青春恋愛モノ。
MW文庫からの出版ですが、電撃文庫で発売されても違和感ないぐらいラノベ色が強い作品でした。

大学2年生の主人公は、現実が妄想に浸食される奇妙な現象を患っていた。
妄想はあくまで妄想でしかなく、他の人間からは一切視認されることがない。
妄想だと気が付かず行動したことで、周囲からは奇異の目で見られるようになる失敗も数多く重ねてきた彼は、他者との距離をはかれず、コミュ障に陥っていた。
そんな折、彼の前に新たな妄想の女性・ジョナさんが現れる。
妄想から脱却する助力をしようという彼女に導かれるまま動き出す、青春ストーリーです。

冴えない引き籠りがちな男が、突然現れた美少女によって、精神的に成長を果たしリア充になっていく展開は、小説等に限らず創作では定番中の定番ですね。
ご多分に漏れず、徐々にコミュニケーション能力が上昇していき、逆説的に妄想であるジョナさんの存在が危うくなっていくのも予想通りです。
それを踏まえた上での特徴を期待したのですが、普通に終わってしまいましたねぇ。
妄想の設定を絡めたどんでん返しがあると思っていたんですが……。

各章の話と本筋の密接度が薄いのが惜しいかな。
それぞれ面白く読めましたが、伏線が仕込まれている訳でもなく、必要性が感じにくかったです。

感覚としては、「さようならドラえもん」のエピソードに似ています。
あれよりは感動することは出来ませんでしたが、切なさは滲み出ていました。

積極的に引っ張ろうとするジョナさんは献身的だなぁ。
しかし、妄想なんだから、男が望む女性を体現化したような存在にしても良かったかも。
ツンデレ要素もあって可愛くないわけじゃないんですが、描写不足だと感じました。
恋愛よりも主人公の成長物語として読む作品なんでしょうね。

イラスト担当は、ふゆの春秋さん。
表紙やカラーページで使用される派手過ぎない色合いが好みです。
章題にある絵も見応えありました。
そう思うと、挿絵のあるラノベとして読んでみたかった気持ちが高まりますね。

己の妄想である美女に一緒にコミュ障から脱しようとする青春小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  妄想ジョナさん。  西村悠  ふゆの春秋  評価B- 

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4 Girls 

4 Girls (メディアワークス文庫)4 Girls (メディアワークス文庫)
(2011/01/25)
柴村 仁

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読書期間:2011/8/30~2011/8/31

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春
安定感




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 あこがれの同級生に、告白する間もなくふられた僕。そして僕をふった張本人である彼女は、僕を無理やり連れて学校をさぼると言い出して――「scratches」。偏屈そうなおじいさんが一人で暮らしているはずの隣の部屋のベランダで、タバコをふかす変なおじさん。おじいさんの親戚だという彼と、ベランダでぼんやりすることが多い私は、次第に話をするようになり――「サブレ」ほか計4作品を収録。4人の少女たちの、トホホでワハハな日々を描く、哀しいけれどあったかい、珠玉の青春ストーリー。

【感想】


思春期に思い悩む4人の女の子の物語。
柴村仁さんが描く、淡い短編が4章詰められた一冊です。

「4 Girls」のタイトルから色々と想像すると思いますが、実のところ4人の女の子に関連性はありません。
ただ単純に4つのエピソードが収録されている短編集です。

うん、悪くないと思います。
小説の教科書的な作りで、目新しさはないものの4章とも安定していました。
ラノベにありがちな修飾を取り除き、シンプルな仕上がりとなっています。
そのおかげで、MW文庫らしい一般向けで、誰にでもお薦め出来ると思います。

ただ、あまりにも薄味なところは気になりますね。
あっさりしているというには、少々さっぱりしすぎな印象を受けました。
体裁は青春小説なのですが、青臭い甘さや苦さは香る程度しかありません。

普段本を読まない人なら良い塩梅でしょうが、趣味が読書の人からすると、物足りなさそうです。
濃厚な本が続いた後に、間食して読むのにはちょうどいいかもしれませんがね。

購入したキッカケは、同作者の「プシュケの涙」に登場した由良が出てくることを知ったから。
脇役でしたけど、元気そうな姿が見られて良かったです。

こんな青春を妄想した時期もあったなぁと思わせる高校生男女の恋愛事情「scratches」。
外国人の街案内を行うことになった人見知りの女の子の内面を描いた「Run!Girl,Run!」。
携帯ストラップ人形を売る主人公の話術が巧みで楽しい「タカチアカネの巧みなる小細工」。
人間関係で精神が摩耗する女子高生が、隣に住む男とベランダ越しの交流を育む「サブレ」。

「Run!Girl,Run!」は短すぎましたが、他3編は適度な長さでした。
お気に入りは、生々しい少女の裏側が見られる「サブレ」。
言葉の端々にある思いやりが、ほんのりと温かくて、読後感が素敵でした。

さらりと読める女子高生が主体の青春短編小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  4Girls  柴村仁    評価B- 

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ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ 

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
(2011/03/25)
三上 延

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読書期間:2011/8/9~2011/8/12

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
ミステリー
安定感




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 鎌倉の片隅でひっそりと営業している古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。
 だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。
 これは“古書と秘密”の物語。

【感想】


「モーフィアスの教室」「偽りのドラグーン」など数多くの著作を持つ三上延氏の初MW文庫作品。

まさかと言ってしまうと失礼でしょうが、そうとも言いたくなるくらい爆売れしましたね。
10月現在で25万部発行しているそうなので、著者の既刊累計発行部数を、たった一冊で上回ってしまっているのではないでしょうか。
おそらく巻単位ではMW文庫のエース作品「シアター!」とも良い勝負しているはずです。

発売前の情報から面白そうだと思ってはいましたが、ここまで人気が出るとは予想できませんでした。
一応何とか初版を入手できましたけど、本屋を巡ってもなかなか見つかりませんでしたね。

人気が出た理由は、大きく分けて二つあると推察できます。
一つは、清楚で美人なお姉さんの表紙が目を惹くこと。
越島はぐさんの仕事っぷりは素晴らしかった。
もう一つは、そのお姉さんが、古本屋の店主をやっていて、古書の知識が膨大である文学少女であること。

はっきりいって、サブタイトルにもある女性・篠川栞子は、文系男子の理想の女性像でしょう。
名前からしても知的なイメージを抱かせるってのは、何気に凄いことですよ。
男性の読書家ならば、読んでみたくなる要素が、表紙とあらすじに凝縮されています。
もちろん、内容が伴わなければ口コミで広がることもなかったでしょうが、この作品が成功を収めた最大の理由は、発売前に決まっていたと思いますね。

実際に読んでみたら、栞子さんの魅力にやられました。
人見知り具合がおどおどしていて可愛く、本の話になった途端に目を輝かせるギャップもイイ。
度が過ぎている一面もありますが、それも含めて好きになれます。
20代の女性が時折見せる子供っぽさは、愛らしいなぁ。

主人公の五浦大輔は、良くも悪くも地味で作品に溶け込んでいます。
成り行きで栞子さんと関わっていくようになるのですが、いい人なんだろなというのが伝わってきますね。

作風は、大方予想した通り、古書を媒介とした人の繋がりをミステリー仕立てで描いたもの。
北鎌倉を舞台に、本好きの想いが詰まった短編が4話収録されています。
変に凝った設定はなく、物語も程良い謎かけで、あっさりと読むことができるのが特徴です。
驚かされるような物凄い仕掛けは見当たりませんが、シンプルなストーリーラインの中に芯が通っているため、中身が薄っぺらいと感じさせることはありません。
エピソード毎にしみじみと浸れる読了感が素晴らしい良作です。

個人的には、第三話ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』が一番良かった。
想いを汲み取り、頭を働かせてから言葉を口にする。
そんな優しい人間になりたいもんですね。

感覚としては「付喪堂骨董店」と「文学少女」シリーズを足して、ラノベ臭を薄めた感じ。
癖のある言い回しや派手な装飾はなくても、飾らない文章が逆に綺麗で素敵。
一般文芸とライトノベルの中間を目指したメディアワークス文庫ならではの一冊ですね。
ぬるすぎず、甘すぎず。
良いお話でした。

清楚系美人の女性店長が経営する古本屋を舞台に、ちょっと不思議な事件が起きます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ビブリア古書堂の事件手帖  三上延  越島はぐ  評価B+ 

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生贄のジレンマ<下> 

生贄のジレンマ〈下〉 (メディアワークス文庫)生贄のジレンマ〈下〉 (メディアワークス文庫)
(2010/12/25)
土橋 真二郎

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読書期間:2011/6/14~2011/6/15

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 他人を生贄にして自らの生き得る――
 そんな冷酷な選択を繰り返しがらも、生徒たちは課せられたルールに従うことで精神状態をなんとか繋ぎ止めていた。だがゲームは、生徒たち自らの“裏切り”によって、クラス間での騙し合いへと発展する。
 友人、恋人、血縁――人との“より深い絆”が生き残りの鍵となる中で、鈴木理香という恋人を得た篠原純一だったが……。やがてゲームは最後のステージへ!戦慄のジレンマゲーム、完結編!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「囚人のジレンマ」の設定を日本の高校生たちに適用させたデスゲーム、完結編。

面白かったです。
でも、オチだけは不満が残りました。
「殺戮ゲームの館」でもそうでしたが、この作者は結末が尻すぼみしてしまう癖でもあるんでしょうか。

最終的に、生還できた人間がぼやけているのが、すっきりしないところなんですよね。
素直に読むか、疑ってかかるべきかで、大きく読了感は変わると思います。
ちなみに自分は後者のタイプなので、もやもやしてしまいます。

ゲーム的な面白さは、上中巻を上回るものがありました。
消極的で疑心暗鬼な心理戦も悪くありませんが、積極的なコミュニケーションが発生する場の方が、コロコロと状況が移り変わるためストーリーに引き込まれます。
ここに来て新たな局面を迎えたときは驚きましたが、これまたシンプルで純度の高いゲームでした。
これは、攻略法に気づく前に死ぬ自信がありますよ。

ただ、キャラクターはやっぱりあと一歩のところから抜け出せなかったですねぇ。
主要人物が何だかんだでみんな似たような思想なのと、それ以外の外野を駒扱いするのが最後まで引っかかりました。
深く掘り下げているようで、淡白に感じるのは状況に流され過ぎだからかなぁ。

ゲーム以外の設定が、突っ込みどころ満載なので、細かいことが気になる人にはキツイかもしれません。
これだけの規模の事件ならば、この結末はないと思うんですよ。
リアリティを出せとまでは言わないけれど、放り投げすぎです。
中巻まで展開が遅く、下巻で急激なスピードアップをするのではないかと心配だった点は、上手く舵取りをされていましたけどね。

途中からは先が気になって仕方がない物語だっただけに、消化不良なラストだけが勿体無かったです。

傷つき翻弄されながらも窮地で確かな絆を育むことが出来る人間の強さが温かく感じ取れます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生贄のジレンマ  土橋真二郎  評価B 

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生贄のジレンマ<中> 

生贄のジレンマ〈中〉 (メディアワークス文庫)生贄のジレンマ〈中〉 (メディアワークス文庫)
(2010/10/23)
土橋 真二郎

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読書期間:2011/4/16~2011/4/19

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 生き残るためクラスメイトに投票し生贄を選出するか。それとも自ら生贄に志願し、他者を救うか――
 残酷な選択を前に、生徒たちが思考を停止させる中、やがてルールにある変化が起こる。生贄志願者の“価値の低下”――それは投票による生贄の選出を促すものであり、やがて起こるクラス間での凌ぎ合いを意味していた!
 そんな中、篠原純一は、些細な誤解やすれ違いによって徐々にクラスから孤立していき……。
 ジレンマゲーム第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


悪質なゲームに強制参加させられた高校生たちが追い詰められていくサスペンスストーリー。
三部作の中巻になります。

いよいよゲーム本編の開始……と言いたいところですが、展開が遅い。
上巻は土台作りのためだと理解できますが、中盤でもなかなか話が進まないのは、どうしたものか。
これが全10巻となる長編作品ならさして問題でもないですが、次巻でラストなのに、のんびりとしすぎじゃないかなぁ。

上巻でも指摘した点が、悉く欠点となっており、改善は見られません。
主要キャラとモブキャラで描写量が異なるのは仕方がないにしても、だからこそ不自然さが浮き彫りになります。
こんな絶望的な状況に陥った高校生が、みんな大人しく縮こまっているとは思えません。
篠原を主体としたリアルな心理描写は素晴らしいんですけど、変に賢すぎますね。
頭脳派だけではなく、考えなしに暴走したり、パニックで壊れたりする人間が出ても不思議じゃない。
例えば、直接生贄の穴へ投げ込むような暴力的な輩がいて当然だと思うんですよ。
この作者さん、一見すると残虐なゲームを描いているので非道だと思われるかもしれませんが、結構優しいですよね。

そんな脇が甘い部分が見えてしまうのが惜しい。
デスゲームの突き詰めた設定により、極限状態における葛藤を生々しく表現できているだけに、なおさら。
教室の空気を重いままで構わないのですが、もう少し緩急をつけてテンポアップしても良かったのではないかなと思いました。

とはいえ、ゲームの設定や裏に潜む狙いが、少しずつ見えてきました。
ただし、それが正解なのかどうかは誰にも判断がつかず、刻一刻と変化する状況に振り回される彼らが、居た堪れなくなるほどに痛々しい。
集団の中に生きるために本音をひた隠し、建前で正義を振りかざす心情が卑怯に見えてしまうのは、基本的に善人のキャラから見た視点で描かれているからだろうか。
現状のままでは駄目だと理解していても、孤立を恐れる気持ちは苦々しくなるほどに分かります。
人間の心の美しさを醜さは、表裏一体なのかもしれませんね。

じれったいところは多々ありますが、面白いのは確か。
思わぬ人間関係の繋がりに驚いたり、遂に動き出した後半の展開が特に良かった。
解決編(?)となる下巻の締めくくりが、どうなるのか非常に気になりますね。
大どんでん返しがあると嬉しいけれど、さすがにそれは期待しすぎかな。

全貌が明らかになるにつれて、悪意に満ちた空気を吸い込んでいるような嫌な気分になります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生贄のジレンマ  土橋真二郎  評価B 

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生贄のジレンマ<上> 

生贄のジレンマ〈上〉 (メディアワークス文庫)生贄のジレンマ〈上〉 (メディアワークス文庫)
(2010/09/25)
土橋 真二郎

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読書期間:2011/2/22~2011/2/25

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 「今から三時間後にあなたたちは全員死にます。ただし生き残る方法もあります、それは生贄を捧げることです」
 卒業を間近に控えた篠原純一が登校してみると、何故か校庭には底の見えない巨大な“穴”が設置され、教室には登校拒否だった生徒を含むクラスメイト全員が揃っていた。
 やがて正午になると同時に何者かから不可解なメッセージが告げられる。最初はイタズラだと思っていた篠原たちだが、最初の“犠牲者”が出たことにより、それは紛れもない事実であると知り……。

【感想】


卒業間際の高校3年生が、巨大な陰謀に巻き込まれ学校に閉鎖されるサスペンスミステリー。
提示された情報が限りなく少ない状態で、少年少女たちが生き残る方法を模索する話です。

細かいルールは存在するものの、主なものは表紙にも書いてある以下の通り。
・志願にしろ他薦にしろ、生き残るためには生贄が必要。
・生贄を出さなかったクラスは、全員死ぬ。

シンプルが故に抜け道がなく、事実上間接的な殺し合いとなりますよね、これ。
厭らしいことこの上ない設定です。
これは、引きつけられます。

上中下の3巻構成となっているため、今回は序章の意味合いが強く、導入までが結構長めです。
進展が遅くて多少やきもきしますが、登場人物の心理描写については読み応え十分ですね。
同作者の「殺戮ゲームの館」が面白いと感じた人なら、似たタイプの話なので楽しめるかと思います。

舞台が大きくなり、ゲームに組み込まれた人数も増えたことで、長所と短所が生まれています。
長所は、やはり大局的な演出ができることでしょう。
恐怖を植え付ける上で、本物の死が重要となりますが、人数が絞られていると、それもままなりません。
学校内の同級生と一緒に閉じ込められているので、登場人物の間の交友関係も深く、伏線があちらこちらに張り巡らされています。

しかし、それ以上に残念ながら短所が目立ちますね。
その中でも顕著なのが、全員の思考が似通っているところです。
例えば、もっとパニックに陥ったり、察しの良い人間がいたりして当然だと思うんですよ。
これだけの人数がいながら、行動や思考に差が見られないのは、違和感バリバリです。

何て言うか、みんないい子ちゃんすぎるんですよねぇ。
精神的に追い込まれているのは、丁寧に描かれた文章で息をのむほどに伝わってくるんですが、もう少し打算的に動く人間がいてもいいと思います。
集団行動による安心感の描写は素晴らしいの一言なんですがね。

局所的に見れば面白いんですが、全体的には不自然さが残ります。
一学年ではなく、一クラスぐらいの人数に収めておくべきだったのではないかなぁ。
まぁ、まだ上巻ですから、作者の力量を信じて続きを読むしかないですね。

心理描写に定評があるという著者紹介文の通り、恐怖感の表現は胃が痛くなるぐらいです。
気付けば、すっかりとこの世界の中に飲み込まれており、先が気になって仕方なくなります。

この手の物語を読むたびに、自分が同様の状況に陥ったらどうするかと考察しますが、このゲームの難易度は半端じゃないですねぇ。
冷静な立場から考えてみると、生還は絶望的な状況です。
背景は全く見えないけれど、とてつもなくデカい何かということだけは分かります。
たとえ、生き残ったとしても、安息の日々は戻ってこないでしょうね……。

時間を稼ぐために生贄を要する残酷なクローズドサークル

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生贄のジレンマ  土橋真二郎  評価B 

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思い出したくもない人生最悪の96時間 

思い出したくもない人生最悪の96時間 (メディアワークス文庫)思い出したくもない人生最悪の96時間 (メディアワークス文庫)
(2010/09/25)
布施 文章

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読書期間:2010/1/18~2010/1/30

【評価……E
発想 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆ … 1
設定 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
物語 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
人物 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
文章 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
挿絵 なし




 誰にも「人生最悪のとき」はある。そしてそれは大抵、予想もしていない瞬間にやってくるものだ――。
 雑誌記者として細々と暮らしていた清水は、音信不通となった弟を心配し、彼の部屋を訪れる。そこで目にしたのは、思いがけないことに、弟の他殺死体だった……。第一発見者として警察に疑われながらも、清水は真犯人を探し始めるのだが、やがて巨大な陰謀に巻き込まれて――。
 しがないやもめ男が経験する人生最悪の4日間を描く、緊迫の一大サスペンス。

【感想】


弟の殺人事件を追ううちに、巨大な陰謀に巻き込まれる男を描いたサスペンス。

盗作騒ぎで有名となってしまった本作。
真っ赤な表紙のインパクトと、タイトルに惹かれて発売日に購入してしまいました。
読む前に萎えてしまったのですが、パクリ元を知らなければ多少は読めるのかなと思い、ページを開いてみました。

単純につまらない。

オリジナルの序盤はまだ良かった。
警察にも殺人の容疑で疑われ、状況が悪化していく展開は、目新しさはないものの怖さがありました。
しかし、途中からミリタリー要素が混じってきて、話がグチャグチャになってしまっています。
ハードボイルドのアクション映画などは好きですが、これはバランスが悪い。

キャラも文章も魅力が見出せません。
話の軸があちらこちらにブレるので、何が書きたいのか伝わってきませんね。
矛盾点や明らかにおかしい展開も目立ちます。
あえて一つ一つ挙げるほど気力はありませんが。

ちなみに、盗作については、元ネタが無知のため詳しく語ることはできません。
検証サイトを見る限り、真っ黒でしょうけど。

裏切りの連続で誰を信用すれば分からないといったサスペンス物を期待していたんだけどなぁ。
今後、このようなことがないように編集部は気をつけてもらいたいと思います。

どうしても購入したい場合、事前に盗作検証は目を通すべきでしょう

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  思い出したくもない人生最悪の96時間  布施文章  評価E 

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めたもる。 

めたもる。 (メディアワークス文庫)めたもる。 (メディアワークス文庫)
(2010/11/25)
日比生 典成

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読書期間:2010/12/15~2010/12/16
月間マイベスト作品

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
和み
ほのぼの
メルヘン


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9



 たとえば、すれ違いばかりの彼と彼女がいたとする。本当にちょっとしたボタンのかけ違い、ささいなことだ。でも、きっかけがなくて――。
 そんな時、彼/彼女はふと善行をする。弱っている猫にエサをあげたりといった些細なことだ。だが、枕元に神様が立って、何にでもなれるお札をくれるという。え?そんなおとぎ話を信じられない?いやいや、嘘じゃない。実際彼らはお札を手に入れ、それがきっかけとなり二人の関係は変わっていくのだ。
 大人のメルヘンをどうぞ。

【感想】


優しい心を持った人達が、大切な人のために行動を起こす、とても素敵な短編連作。

うわー、これはいいなぁー。
ものすごく和ませてもらいました。
優しい空気に満たされ、まさに心が洗われるような、幸せな気分に浸ることができました。

基本は、4章+αからなるボーイミーツガール。
心の綺麗な人達が、何にでも変身できるお札を手に入れたところから物語は始まります。
打算的な人間だと、ここで悪事を想像してしまうものですが、根っからの善人たちは考えもしません。
理由はそれぞれ。しかし、ただひたすら純粋な気持ちで、誰かのためにお札を使用します。

どれもこれもちょっぴり切ないけれど、最後にはじんわりと温かくなれました。
言葉に棘がなく、柔らかい文体は、まるで童話のようでもありましたね。
人肌のような温もりを感じ取ることができ、読了感が素晴らしく心地良かったです。

ストーリーラインが見事なまでに真っ直ぐで、余分な要素がほぼありません。
研ぎ澄まされたというよりは、シンプルな作りになっているといった方が合っている気がします。
教科書的な内容なのかもしれませんが、設定が凝りがちなラノベ作品が多い中で、こういった作品は、逆に新鮮に感じますね。

全ての章において完成度が高くて、良かったものを一つ挙げろと言われても選びきれないです。
第1章「真実の鑑」のキャラに憧れ、第2章「ランナー」で元気をもらい、第3章「月の猫」では切ない愛に涙し、第4章「SPRING COMES IN LIKE A LION」の不器用な二人の青春にニヤニヤさせられました。
そして、終章「after……」があるおかげで、各章がグッと引き立ちます。

あらすじが分かり辛くて、イマイチ興味を持てなかったのですが、買って正解でした。
作者の「海をみあげて」が面白いと感じた人ならば、こちらも楽しめるのではないでしょうか。
個人的には、作者買いして良かったと思いましたね。
次もこの路線で読んでみたいなぁ。

優しさが沁み込んであたたかい「大人のメルヘン」

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  めたもる。  日比生典成  尾谷おさむ  評価B+ 

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僕と彼女とギャルゲーな戦い 

僕と彼女とギャルゲーな戦い (メディアワークス文庫)僕と彼女とギャルゲーな戦い
(メディアワークス文庫)

(2010/11/25)
西村 悠

商品詳細を見る
読書期間:2010/12/14

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
情熱




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 小説家を目指すも夢破れ、就活では60社を受け連敗中。そんな失意の底に沈む嶋谷一(通称イチ)の前に現れたのは、高校時代に憧れていた美しき先輩。彼女は昔と変わらぬ笑みを浮かべ、戸惑うイチにこう告げるのであった。「私に、付き合ってほしいの」。
 ギャルゲーのような展開で騒がしくなったイチの夏休み。しかしイチが引きずり込まれたのは、まさにギャルゲー作りの現場そのものだった!?
 ちょっとショッパイ青春グラフティ。

【感想】


ゲーム制作に携わることになった元小説家志望の大学生が主人公の物語。

就活が失敗続きで落ち込む嶋谷一の前に、高校時代の先輩・三奈木仙香が現れる。
ゲーム開発会社に勤める彼女は、突発的なトラブルで足りなくなったシナリオライターを補充するため、かつて文芸部で小説家を志していた後輩の一を訪ねてきたのだった。
業界用語を全く知らない素人が、自分に何が出来るのかと考え行動する熱い青春ストーリーです。

情熱溢れる素晴らしい話でした。
正直あまり期待していなかったのですが、一気に読んでしまうほど面白かったです。
真っ直ぐに訴えてくるメッセージが、胸に響きました。

いわゆる業界モノという区分にあたる話ですが、主人公が無知のため、分かりやすく説明がされています。
作者が本物のシナリオライターということもあって、実際の制作現場に近いのかなと思わせるほどのリアリティがありますね。
多少都合のいいところはありますが、許容範囲内でしょう。

ラノベを娯楽として捉える高校生ならば、厳しすぎる話かもしれません。
逆に、社会人の観点からすると、甘いと感じるところも見受けられると思いますが、共感できる部分も多くて楽しめるはずです。
創作ならではの緩さと、現実味のある苦しさが絶妙なバランスで混ざっていました。
誰にでも勧められるわけでもないですが、個人的には好きですね。

プレイヤー側からすると、発売日を延期してでも質を高めて欲しいと思う人は少なくないはずです。
でも、現実問題、それは許されるわけではなく、会社に甚大なダメージを与えることは必至です。
信頼とお金が何よりも重要ということは分かっていても、融通の利かなさに憤りますね。

キャラ造形が、ラノベ寄りだったのは、取っ付きやすい反面、浮いているように見えました。
記号的な属性をつけるのではなく、中身を強調した人物像を描いて欲しかったかな。

夢や理想と現実や社会との差を痛感させられる内容で、苦味は強めです。
しかし、それと同時に得られるモノは、確かにありました。
読了感がとても爽やかで、何かに打ち込めることって素敵だなと思える良作でした。

何度も壁にぶち当たり、現実に挫折して、しかし最後までやり抜くプロ達の物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  僕と彼女とギャルゲーな戦い  西村悠  夏生  評価B+ 

△page top

バカが全裸でやってくる 

バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)
(2010/08/25)
入間 人間

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読書期間:2010/9/17~2010/9/21

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
構成





 ★★★★★★☆☆☆ … 7






 僕の夢は小説家だ。そのための努力もしてるし、誰よりもその思いは強い。お話をつくることを覚えた子供の頃あの日から、僕には小説しかなかった。けれど僕は天才じゃなかった。小説家になりたくて、でも夢が迷子になりそうで。苦悩する僕のもとにやってきたのは、全裸のバカだった。大学の新歓コンパ。そこにバカが全裸でやってきた。そしてこれが僕の夢を叶えるきっかけになった。こんなこと、誰が想像できた?現実は、僕の夢である『小説家』が描く物語よりも奇妙だった。

【感想】


小説バカと揶揄されるほどに小説を愛する人々の入間人間さんらしい群像劇。
全5章となっており、主人公も変わりますが、ストーリーは繋がっているため、ぶつ切り感はあまりありません。

心の奥底に眠る渇望を文章にしてぶちまける小説家たちが、実に熱狂的でした。
タイトルだけで判断するとコメディ作品と勘違いしそうですけど、これは小説と夢をテーマにした人間ドラマですね。

1章の小説家志望の大学生の話が一番面白かった。
「バカが全裸でやってくる」ところはフィクションだろうけど、これは作者の自伝ではないのかと懐疑的になりながら読んでいました。
全章通じていえることですが、どこまでがノンフィクションなのかと推理しながら読むのが楽しかったです。

あとがき、帯を含めて1つの作品となっていて、完成度の高さに驚かされます。
最後まではっきりしたことは作中で明かされてはいませんが、帯をみる限り、そういうことなんでしょうね、きっと。

小説を書く面白さにハマりこんだ人たちをみていると、こちらまで熱意にあてられそうになります。
書きたいから書くということが、シンプルでありながら、最も重要なことなんだろうなぁ。
ある意味、その思いこそが、一種の才能なのではないかと考えさせられました。
もちろん熱意だけではどうにもならない現実の壁はありますけれど、この本の登場人物達はみんな最終的には乗り越えそうな何かを持っている気がします。

入間人間さん独特のパロメタ表現は抑え気味で、文章も作者のファンとしては味気ないぐらい読みやすいものとなっています。
作者の電撃文庫作品を読んで苦手意識を持っている人でも、これならば問題なく読めるはずです。
ワナビが読むと、どういった感想になるのか気になるなー。

私小説の雰囲気漂う小説家志望者のサクセスストーリー

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカが全裸でやってくる  入間人間  評価B 

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カスタム・チャイルド ―罪と罰― 

カスタム・チャイルド ―罪と罰― (メディアワークス文庫)カスタム・チャイルド ―罪と罰― (メディアワークス文庫)
(2009/12/16)
壁井 ユカコ

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読書期間:2010/8/25~2010/8/27

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 なし
青春
友情
家族愛
世界観


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9



 至高の美少年ながら母に遺棄された過去を持ち、“犯罪者の遺伝子”に傾倒する春野。父が愛好するアニメキャラクターの実体化として作られた少女レイ。遺伝子操作を拒絶する両親を持つ“遺伝子貧乏”清田――16歳の夏に出会った3人は、反発しあい傷つけあいながらもかけがいのない友情を築いていく。
 遺伝子工学が発展し、子どもの容姿の“デザイン”が可能になった仮想現代を舞台に、社会によって歪められた少年少女の屈折や友情を描く、著者渾身の青春ストーリー。

【感想】


愛情の裏側に淀みがある青春物語。

面白かった。
眩しい光の対極に、暗く重い陰がのしかかるようにあって、何とも重厚な話でした。
ドロドロとした展開が続くのに、充実感が得られるのは、それだけ世界観に惹きこまれている証でしょうか。

400P超えのボリュームもさることながら、内容の深さに唸りました。
読み応えのある、素晴らしい一冊だったと思います。

無印版「カスタム・チャイルド」を読んでいなくても、全く問題ありません。
既読済みのはずなのに、ほとんど忘れていた人間でも楽しめたくらいですから。
舞台は一緒で、チラホラと無印版のキャラの名前が見え隠れする程度で、物語の本筋は完全に別物です。

遺伝子工学分野が発達し、生まれてくる子どもをカスタマイズすることが社会通念となった世界。
希望通りに育たなかったとの理由で母に捨てられた少年・春野倫太郎、父の嗜好の存在として生まれてきた少女・冬上、遺伝子操作することなく生まれ育った少年・清田の3人が出会い、歪な三角形を描く青春ストーリーとなっています。

細かな人間関係の構築を、見事なまでに描ききっています。
この構成と文章力は、凄いの一言。
人付き合いってのは、ゲームのように好感度を上下させるような単純なものではないんですよね。
ウザいけれど惹かれたり、好きだけどムカついたり、一緒にいる理由が分からないのに何故かそれが自然となってたり、そんな回りくどさを表現できる作家さんは貴重です。

モンスターペアレントを彷彿とさせるような親が、あまりにリアルっぽくて嫌になりますね。
いるんだよなぁ、こういう人間って。
それとは反対に、倫太郎を育てた春野知佳は、格好良くて尊敬してしまいますね。
歪んだ社会の中で、清き心をもった知佳さんが眩しすぎます。
家族の愛情って、こんなにも温かいものなんですね。
倫太郎は、この母親には頭が上がらないのもよーく分かりますよ。

危うさを感じながらも、喧嘩しながら育む友情にニヤニヤさせられる。
……と思っていたら、ラストシーンが、予想外の方向へ転がっていき驚かされました。
正直、不気味な終わり方で、お世辞にも後味がイイとは言えませんが、これぞ著者の味だとも思います。

電撃文庫とMW文庫の違いを意識して執筆しているのか、確かにラノベ色は抑え気味ですね。
これは是非多くの人に読んで欲しい。

どろっと粘り気のある気持ち悪さがまとわりつく読了感が人を選びます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  カスタム・チャイルド  壁井ユカコ  評価A- 

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殺戮ゲームの館<下> 

殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
土橋 真二郎

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読書期間:2010/6/24~2010/6/25

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 ネットで得た情報をもとに集団自殺の廃墟を探していた福永祐樹含むオカルトサークルメンバー11名は、気が付くと密室に閉じ込められていた。
 そこで待ち受けていたのは、一方的に提示される不可解な≪ルール≫と、夜を迎える度に一人、また一人と殺されていく悪夢のような現実――。
 やがて祐樹たちの前に“警告者”が現れ、密室の中で行われる死を賭けたゲームの存在とどこかに“殺人犯”がいることを告げるが……!?
 疑心渦巻く密室サスペンス、下巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


密室系サスペンスミステリー、完結編。

普通、かなぁ。
上巻が淡々と進んだので、下巻では急展開を見せるのかなと期待をしたのですが、そのまま最後まで同じ流れでした。

丁寧といえば丁寧なんですが……うーん、正直なところ意外性の乏しい内容でしたねぇ。
もっと、強引なぐらいの展開が見てみたかったな。
途中で大体予想が付いてしまいましたしね。

一つの作品として見るならば、完成度は高いと思うんです。
主人公である福永の心理状況や周囲のパニックの陥り方など、描写が細かいおかげで、その場の空気が伝わってくるようでした。
人間の醜い心理や、自分勝手な考えなどは、リアリティがあって腹が立つ程です。
主題も一貫していますし、伏線の張り方も適度な分かりやすさで、サクサクと読めました。

ただ、ミステリーのギミックの凝りように対して、オチが弱かった。
読者には気付かないトリックを見せてくれると期待すると、落胆が大きいかもしれません。

ラノベ色を排除するためか、キャラが少々味気ないのも好みが分かれるところ。
メディアワークス文庫としては正しいとスタイルなんでしょうね。
もう少し感情任せに行動する人物や、トラブルメーカーがいても良かったかも。
キャラ数は多かったのに、心に残るキャラは少なかったなー。

緊張感はあるのだけれど、リズムが単調でした。
一方で、じわじわと息苦しくなる様は、素晴らしかったです。

疑心暗鬼になりながら仲間内にいる犯人を探そうとする心理描写が秀逸

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  殺戮ゲームの館  土橋真二郎  評価B 

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六百六十円の事情 

六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)
(2010/05/25)
入間 人間

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読書期間:2010/6/12~2010/6/17

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春





 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6






 男と女。彼氏と彼女。親と子供。先生と生徒。爺ちゃんと婆ちゃん。世の中には、いろんな人がいる。そこには、「ダメ人間」と「しっかり人間」なんてのも。
 それぞれ“事情”を持つ彼らが描く恋愛&人生模様は、ありふれているけど、でも当人たちにとっては大切な出来事ばかりだ。そんな彼らがある日、ひとつの“糸”で結ばれる。とある掲示板に書き込まれた「カツ丼作れますか?」という一言をきっかけに。
 日常系青春群像ストーリー。

【感想】


掲示板に書き込まれた「カツ丼作れますか?」の一言から始まる多様な青春群像劇。

そこそこ楽しめました。
ただ、他作品で好きなものが多いため、入間さんの作品としては微妙な位置になりそう。

全6章のうち、前半4章は男女ペアによる青春を描き、後半2章でまとめ上げる構成。
締めくくりは悪くないのですが、前半の交錯具合が少し甘い気がしますね。
もうちょっと積極的に人間関係を絡めてくれた方が面白おかしくなったんじゃないかな。
伏線が隠す気配もない状態なので、そのまんますぎて面白みに欠けます。

各組の話で盛り上げてくれるのかというと、うーん、章によって大きく異なりますね。
一番というか飛び抜けて面白かったのは、2章『生きてるだけで、恋。』のエピソード。
高校生男女の若々しく甘酸っぱい夏の物語の1ページって感じで、ニヤニヤさせられました。
1章が読み辛いなーと思っていたので、ここで乗っていけるようになりましたね。

1章『While my guitar gently weeps』は、テーマもキャラも良かったとは思うんです。
ただ、冒頭に読むのは辛い文体でした。
以前から薄々と感じていましたが、著者の女性の一人称スタイルは、文章に骨格がなくてフニャフニャなんですよね。
それはそれで面白いと感じる時もありますけど、個人的には肌に合わないことが多い。
中盤に挿入されていれば、もっと素直に読むことができたんでしょうが……何とも惜しい。

のんびりとした雰囲気で、劇的に物語が動くことがほぼありませんでした。
目的を持って読むというよりも、気楽に読む小説ですね。

著者の書く群像劇としては、みーまー8巻や小規模の方が面白かったです。
MW文庫らしく一般向けにはなっているので、こちらの方がオススメはしやすいかな。
読了後は爽快な気分になれますしね。

ところで、P160の1行目は、自虐ネタですよね?w

大切な人との関係と自己を見つめ直す男女数組の青春群像劇

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  六百六十円の事情  入間人間  宇木敦哉  評価B- 

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セイジャの式日 

セイジャの式日 (メディアワークス文庫)セイジャの式日 (メディアワークス文庫)
(2010/04/24)
柴村 仁

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読書期間:2010/5/18

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー
切なさ




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 絵を一枚仕上げるたびに、絵にサインを入れるたびに、もうやめよう、これが最後にしようって、考える――
 それでも私は、あなたのために絵を描こう。

 かつて彼女と過ごした美術室に、彼は一人で戻ってきた。
 そこでは、長い髪の女生徒の幽霊が出るという噂が語られていた。
 これは、不器用な人たちの、不格好な恋と旅立ちの物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「プシュケの涙」「ハイドラの告白」に続く三部作、最終章。

どういえば、読了後の気持ちを伝えられるんだろう。
考えてみても、なかなか上手い言葉が見つかりません。

切なさや哀しみは乗り越えることができても、決して忘れることはないんだろうね。
心の奥底に物悲しさは残っているけれど、幸せは感じ取れます。
ちょっぴり泣きなくなるようで、穏やかな心情になったラストシーンでした。
まるで、心の中が狐の嫁入りみたいな状態ですね。

それぐらい、ラストの数ページは結構キた。
由良の想いが見え隠れして、胸が締め付けられる中で、あの最後は反則的なまでに苦しかったです。

「プシュケの涙」の続編にして完結編としては、正しかったと思います。
「ハイドラの告白」は、方向性がズレすぎていて、シリーズとカウントするのも微妙なぐらいでしたから。

ただ、続編はあってもなくても良かったかな。
結局のところ、最後まで「プシュケの涙」のインパクトは超えられませんでした。
そればかりか、あの衝撃的な内容を引っ張った感が拭えず、蛇足と感じる人がいても仕方がないと思います。
個人的には、最後の最後で、だいぶ良い方へと評価は傾きましたが。

今回もまた前後半に分けられた構成となっていますが、物語2つをただまとめただけです。
関連性も少なくて、ちょっと残念でした。
お話自体は地味ながら面白いと思えるものだけど、別段取り上げるほどのものでもないしなぁ。

分かりやすいオチや答えを用意せず、読者に委ねるところが一般小説っぽいですね。
この辺りが、ライトノベルと大きく違うところかもしれません。

残酷なまでに綺麗で、執拗なほどに純粋な物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  セイジャの式日  柴村仁    評価B 

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探偵・花咲太郎は覆さない 

探偵・花咲太郎は覆さない (メディアワークス文庫)探偵・花咲太郎は覆さない (メディアワークス文庫)
(2010/02/25)
入間 人間

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読書期間:2010/5/16~2010/5/18

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー





 ★★★★★★☆☆☆ … 7






 「あの人が犯人よ」「どうして言い切れる?」「何となくよ。だから頑張って、この事件を解決して」「それは無理」「どうして」「今日も迷える子犬を捜索しないといけないからだ」
 ぼくの名前は花咲太郎。探偵兼ロリコンだ(いや逆か?)。犬猫探しが専門で、今日もその捜索に明け暮れている。……はずなのだが最近、殺人事件ホイホイの美少女・トウキのおかげで、望まない大事件がぼくに向かって顔見せ中。ヤメテー。『閃かない探偵』のぼくにできることなんて、たかがしれてるんだけどなぁ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


推理をしたがらない探偵物語。
タイトルからは分かりづらいですが、シリーズ物の第2巻です。

毒にも薬にもならないエピソード集であるのは、前回から変わらず。
多少、推理を楽しめるミステリー要素が増したようで、解決方法が裏技ばかりですから、あまり素直に読むわけにもいきません。

探偵と殺人犯が表面上フレンドリーに会話するところが、一番の面白味かなぁ。
ロリコンだと公言している主人公のわりに、あまり幼女との関わりあいがないのは寂しい。
太郎とトウキの出会いを描いたタイトルと同名の第4章は、悪くはないのですが。

事件の規模は比較的大きいのに、動きがサッパリ見られないため、淡々としています。
ブラックジョークが多くて、実にシュールです。

入間さんの作品の中では、どうしても地味さが抜けないシリーズですね。
メディアワークス文庫からの出版を意識しているためか、文章が抑え気味に感じられます。
かといって、ラノベに慣れていない人にとっては読みやすいかといわれると、そうでもなく。
どちらつかずの中途半端な位置にあります。
個人的な意見ですが、著者の作風はラノベでこそ輝くんじゃないかなぁー。

ロリコン探偵とお気楽な殺し屋の絶妙な距離感が醍醐味

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  探偵・花咲太郎は閃かない  入間人間    評価B- 

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殺戮ゲームの館<上> 

殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
土橋 真二郎

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読書期間:2010/4/20~2010/4/23

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 ――誰かが言った。この二つには共通点があるのではないか。一つは時折マスメディアをにぎわす集団自殺のニュース。そしてもう一つは人間が殺し合う娯楽ビデオが存在するという都市伝説。
 出会いや遊びが目的のオカルトサークルに所属する福永祐樹は、ネットで偶然見つけた自殺サイトに興味を持ち、集団自殺の現場となったという廃墟にたどり着く。だが祐樹が目覚めた時、彼を含むサークルメンバー11名は密室に閉じ込められていた……。戦慄の密室サスペンス、上巻。

【感想】


密室に閉じ込められた若者たちが順に殺されていくサスペンスミステリー。
閉鎖された空間で疑心暗鬼になりつつ犯人を捜し出すシチュエーションが好きな方にオススメです。

作者の土橋真二郎さんの作品はこれが初めて。
電撃文庫の「扉の外」「ツァラトゥストラへの階段」など、興味のある本はいくつかあったのですが、「扉の外」の完結編である3巻の悪評が引っかかっていて踏ん切りがつきませんでした。
あらすじに目を通した時点で読んでみたいと思ったものの、冒険はせず感想待ちしていたら、各所で絶賛されていたので、安心感と期待を抱いて購入できましたね。

内容は、サスペンスの定番であるデスゲームです。
大学オカルトサークルのメンバーが、集団自殺の現場調査に出かけたところ、気付かぬうちに見知らぬ場所に閉じ込められていた。
仲間が次々と死んでいく中で、不条理なルールを強いられた面々は、次第に精神を疲弊させつつも、1つの重大事項に気付く。
自分たちの中に、魔物と呼ばれる犯人側の人間がいることを……というストーリー。

この手の作品は読み慣れているので、あまり怖さは感じなくなってしまっている自分がいます。
なので、個人的には緊張感が物足りなかったですが、息苦しい空気は十分出ていたかと思います。

上巻なので、当然ながら事件は解決していません。
ミステリーの評価を下すには早計ではありますが、特にこれといった粗や欠点はないように見えますね。
説明に費やした印象が強く、ちょっと展開が遅いのが難点ですが、それだけ骨格作りに力を入れているともいえます。

ゲームの設定はラノベっぽくもありますが、中身は完全に一般向けです。
そのためか、キャラのインパクトが少々弱い感じがしました。
当たり障りのないキャラ造形ばかりなのが惜しかったかな。
パニックを起こしている人間がいる関係でgdgdになっている状況は、リアルらしさは出ているんですが、読者もまたもどかしい気分になりますね。

さて、肝心の推理ですが……正直、絞りきれていません。
ある程度読んだことのある作家なら予想付きますが、どこまで裏をかいてくるのか分からないですからね。
下巻で、どれだけ引っくり返してくれるか、楽しみです。

じっくりと丁寧に書き込まれた密室系ミステリー、序章

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  殺戮ゲームの館  土橋真二郎  評価B 

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ハイドラの告白 

ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
柴村 仁

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読書期間:2010/4/6~2010/4/13

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
構成




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 絶望的な恋をしているのかもしれない。
 私がやってくること、全部、無駄な足掻きなのかもしれない。――それでも私は、あなたが欲しい。

 美大生の春川は、気鋭のアーティスト・布施正道を追って、寂れた海辺の町を訪れた。しかし、そこにいたのは同じ美大に通う“噂の”由良だった。彼もまた布施正道に会いに来たというが……。
『プシュケの涙』に続く、不器用な人たちの不格好な恋の物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


切ない恋物語を描いた「プシュケの涙」の続編。

何というか、普通の小説だなぁ。
ラノベ色を除いたメディアワークス文庫としては、成功しているのだと思います。
ただ、この方向性で行くのであれば、個人的には微妙かも。

面白くないわけではありません。
物語は地味だけど通して読ませる力はありますし、筆力も確かです。
淡々と進み過ぎかなーという点は否めませんけれど、大きな欠点はありません。

ラノベであった「プシュケの涙」との一番分かりやすい違いは、登場人物の年齢ですね。
前作のキーパーソンだった由良は、今回も重要人物として登場しますが、あれから3年の月日が経っています。
高校生から大学生へとシフトしており、それに伴って作風も閉鎖的なものから変化が見られました。
視野の狭さが改善されたとでもいいましょうか、随分と一般向けになりましたね。
どちらがいいかとは言えませんが。

ミステリー風の前半と恋愛ストーリーの後半で2つに分ける構成はそのまま受け継がれています。
ただし、前作ほど効果的であったかというと、意味は薄かったと言わざるを得ませんね。
繋がりが弱すぎて、ほとんど別物語を読んでいる感覚でした。
せめて、もう少し重厚、または濃厚な内容であると読み応えも増したんだけど……。
まぁ、「プシュケの涙」を超えるインパクトやカタルシスを求めるのは酷かな。

そういえば、レーベルが変わったけれど、表紙は相変わらず綺麗でセンスを感じました。
読了後に見直すと、また違う味が出てくるところなんかも計算しているんでしょうかね。

己の進むべき道を確立するために寄り道をする不器用な若者たちの物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ハイドラの告白  柴村仁    評価B- 

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探偵・花咲太郎は閃かない 

探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)
(2009/12/16)
入間 人間

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読書期間:2010/2/9~2010/2/13

【評価……B-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー





 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6






 「推理は省いてショートカットしないとね」
 「期待してるわよ、メータンテー」
 ぼくの名前は花咲太郎。探偵だ。浮気調査が大事件となる事務所に勤め、日々迷子犬を探す仕事に明け暮れている。
 ……にもかかわらず、皆さんはぼくの職業が公になるや、期待に目を輝かせて見つめてくる。刹那の閃きで事態を看破する名推理で、最良の結末を提供してくれるのだろうと。
 残念ながらぼくはただのロリコンだ。……っと。最愛の美少女・トウキが隣で睨んできてゾクゾクした。でも悪寒はそれだけじゃない。
 ぼくらの眼前には、なぜか真っ赤に乾いた死体が。……ぼくに過度な期待はしないで欲しいんだけどな。これは、『閃かない』探偵物語だ。

【感想】


肝心な時に閃かない探偵のミステリー風小説。
あくまで風であって、ミステリー作品ではないので推理を期待してはいけません。
ご注意ください。

短編による全5章。
各章にて、事件は起きたり、巻き込まれたりします。
だけど、主人公のロリコン青年・花咲太郎は犬や猫の探索が仕事の探偵であって、殺人事件は専門外。
同居中の13才の家出少女・トウキを愛でるのに忙しく、解決を求められても困る彼は、反則的な手段を用いて事件を解決したり、しなかったりする……そんなお話。

なお、同じ作者の「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」シリーズの8巻にて彼らが登場したエピソードが展開されていますが、読んでも読まなくてもどちらでも問題はありません。

うーん、何とも評価し難い。
特別面白かったと言えるところは、振り返ってみると正直あまりありません。
しかし、詰まらなかったのかと問われると、そうでもないんですよね。
別段意味のないストーリーや設定を適当に流せる人でないと辛いかもしれませんが、自分はそれなりに楽しめるところも発見できました。

気楽に考えている人間の一人称のためか、人の生死が関わっているのに緊張感はほぼなし。
相変わらず作者の好きなグロテスク表現もありながら、何故か全体的に漂うのはコメディ調。
推理を楽しめる要素はあるにはありますが、真面目に考えると損をした気分になる何とも捉えづらい作品です。

入間作品特有の雰囲気を楽しむための本であり、内容は薄めです。
何というのか……ガムをねちねちと噛み続けるかのような感じと言えば伝わるでしょうか。
淡々とゆるい感じが長く続き、妙なクセを生み出しますが、無味に近いので毒にも薬にもならないです。

メディアワークス文庫より発売されているのに、文章はラノベ色が抜けきっていません。
一般文芸を目指す新規レーベル作品としては、人を選んでしまう文体ですね。
個人的には作者の文章に慣れているので構いませんが、方向性を考えると喜ばしくないかな。

この文庫には挿絵はありません。
しかし、表紙のシルエットイラストは、左さんがデザインしています。
みーまー8巻にてイラストかされているので、シルエットでも十分想像できますね。

まぁ、作者のファン向けの作品であることは否めないでしょうね。
キャラ同士の何気ない会話が一番楽しめました。

ろくに推理をしない探偵が主人公の偽ミステリー小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  探偵・花咲太郎は閃かない  入間人間    評価B- 

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