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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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東京レイヴンズ7 _DARKNESS_EMERGE_ 

東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)
(2012/05/19)
あざの 耕平

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/23~2012/5/25

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
世界観
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 『D』による陰陽塾銃撃事件からしばらく。
 その傷跡は大きく、陰陽塾は一時閉鎖に追い込まれ、退塾する生徒も続出していた。そんな中、『D』と大友の熾烈な呪術戦に心を奪われたままの春虎は、夏目とともに訪れた陰陽塾屋上の祭壇で、一人の少女と出会う。
 「君たち二人のことはよく知ってる。初めまして――ぼくは相馬多岐子」
 その出会いが、のちにもたらす意味を知らないままに。
 時同じくして、呪捜部公安課による双角会掃討作戦が密かに始動。陰陽庁内部に潜む“敵”の炙り出しが行われるのだが!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽術を駆使して邪念を祓う若き闇烏たちの物語、第7巻。
信じていたものが崩れていく分岐点といえるエピソードでした。

良い意味でイヤな感じに盛り上がってきた!

表面上は見えていなかったものが、遂に噴出してきましたね。
前回が分かりやすい燃え回だとすると、今回は様々な陰謀に混迷をきたす回でした。
絶望的な状況を作り出し、先の見えない不安を与えることに長けた作者さんらしい巻だったと思います。

450ページを超えるボリューミーな内容は、複数サイドの視点によるものです。
数々の思惑と困惑が絡み合い、継続する緊迫感のために心休まる暇はありません。
一歩誤れば、どこからでも破綻してしまう危うい道を進む春虎たちでしたが、いつまでも耐えられると思っていたら大間違いですよね。
たまたま成功していただけで、失敗はすぐ傍にまで迫っていました。

ストーリー展開は、最初から物凄く嫌な予感があったので、衝撃的といえども「やっぱりな」という思いを強く抱きました。
一体どこに人が頼っている柱があるのか認識し、的確に折ってくるから容赦がない。
登場人物と読者をまとめて精神的なダメージを与えてくれますなぁ。

裏でおっさんが暗躍する話こそ、あざのさんの真骨頂でしょう。
6巻では大友先生の術比べに鳥肌が立ちましたが、今度は天海大善の渋さにゾクゾクとしました。
二手三手先を読む洞察力と、言葉は悪いですが、老獪な駆け引きが格好良すぎます。

執り成し役のポジションが板についていた京子に、再びヒロインとしてのスポットライトが当てられたことは素直に嬉しい。
なあなあで済ませてしまわず、しっかりと伏線を回収してくれたことを評価したい。
彼女だって、まだ春虎たちと歳も変わらない学生。
弱さを見せたっていいと思います。
彼女の宙ぶらりんとなった想いは、果たしてどちらへ向くのか気になります。

春虎にとってのターニングポイントは、大友vs蘆屋道満を間近で目撃したことだったようですね。
これまでも比較的機転を利かせられるタイプではあったのですが、術の連動性という意味合いでは皆無で、呪符にしろ護符にしろ単発的なものばかりでした。
それを見よう見まねで、拙いながらも工夫を自分なりに重ねて、次へ次へと繋げようとする様は、成長を感じさせます。
必死に頭を使って組み立てようとする春虎が、何だか頼もしくなってきました。

前半の説明過多は、それはそれで読み応えがあったのですけれども、やはり特筆すべきは後半に突入してからのノンストップ展開。
ギリギリの状況下の中で、仲間と共に立ちあがる春虎パーティーが熱い。
着々と経験値を稼いでいっていますね。
まぁ、それでも実力は足りなさ過ぎなんですけども。

部分的に発覚した真実が、どのように連鎖反応を起こしていくのか。
次巻も目が離せません。

繋がり始めたピースと暴かれた事実が、人間関係に変化をもたらします

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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生徒会の十代 碧陽学園生徒会議事録10 

生徒会の十代  碧陽学園生徒会議事録10 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の十代 碧陽学園生徒会議事録10 (富士見ファンタジア文庫)
(2012/01/20)
葵 せきな

商品詳細を見る
読書期間:2012/4/2~2012/4/3

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ギャグ
パロディ
ラブコメ
青春


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 ようこそ、私立碧陽学園生徒会室へ!美少女役員四人+おまけ一人、生徒諸君のため、過去を振り返ります。始まりはあまりにも衝撃的だった。「ただの人間には興味あ(自主規制)」……記念すべきシリーズの1巻目でまさかの自主規制。物語は動き出すといいつつも、繰り返される日常。暴走する妄想、青すぎる青春。ここを読んでも内容が分からない作品紹介と、おかげさまでいろいろやらせていただきました!でもあの頃があるからこそ、今がある。何もかもが特別だった十代の日々。終わりじゃない、これは始まり。
 じゃあ最後は、せーのでいきましょう。せーの!
 「これにて、第三十二代碧陽学園生徒会、解散っ!」

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


生徒会シリーズ通算16冊目となる本編最終巻。
まだ外伝が残っていますが、一つの終わりを迎えました。

卒業式を中心とした総決算となっており、当然の如くシリアス成分は多めです。
いつもの生徒会らしさを残しつつ、しんみりとした卒業に感動して涙が出てくる……らしいですよ、世間的には。

いやー、結局最後までシリアス展開に肌が合わなかったなぁ。
ギャグがぶっ飛んでいるのは楽しめるんですけど、真面目な話をしていてもイマイチ真剣味がないといいますか、都合の良過ぎる偽善と感じてしまいました。
マジでハーレムを形成しようとしているのであれば、杉崎は考えが浅いと言わざるを得ません。
そこまで深く突っ込まず、適当に流した方が良かったのではないかな。

お涙頂戴を目指したのか知りませんけど、心を揺さぶられることはありませんでした。
あざとい、というよりも、狙い過ぎて外している感覚。
溜めを作りたいのだとしても改行が多過ぎだし、言葉選びも微妙。
伝えたいメッセージは何となく分かりますけど、作られた感が見え見えです。
奇しくも生徒会委員たちが作中(32~33P)で語っている通り「イイハナシダナー」で終わってしまい、心に響きませんでした。

あと、学校を私物化するのもいい加減にしろと言いたい。
卒業式まで生徒会色に染めてしまっていて、しかもモブキャラ全員が当たり前のように受け取っているのが、はっきりいって気味の悪さを感じてしまいます。
ラノベではよくあるパターンではあるんですけど、このシリーズでは特に顕著でした。

これだけ文句を言いつつも読んでしまうのは、それ以上にコメディとして面白いからという点に尽きます。
鉄板のラジオネタを始めとして、軽快なギャグとツッコミには何度も楽しませてもらいました。
途中、ネタ切れしかかっていましたけど、この量を生産したことは、称賛に値すると思います。
だからこそ、下手にストーリーを作らない方が楽しめたと思うんですけど……きっと少数派なんでしょうねぇ。

良くも悪くも軽いノリだったのが、ラノベのメイン読者層を取り込めた要因なんでしょうね。
コテコテの萌え絵で注目を引き、パロネタで笑いを誘い、くだけた文章で気軽さをアピールしたことが成功だったんでしょう。
個人的にはキャラに思い入れは大して持てませんでしたけど、人気は高かったようですしね。

表紙デザインが変わってしまって、並べた時に残念だなと思っていたので、リバーシブルカバーは素直に嬉しかった。
初期から追いかけていたファンに配慮しているのが分かり、好印象でした。

さて、これにて本編が終わったわけですが、まだいくつか動きがありそうで。
とりあえず、水無瀬の再登場を期待して待ちたいなと思います。

生徒会メンバーの想いが零れる卒業式

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B- 

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東京レイヴンズ6 Black Shaman ASSAULT 

東京レイヴンズ6  Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ6 Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)
(2011/10/20)
あざの 耕平

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読書期間:2011/11/27~2011/11/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
青春
期待感



 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★
 … 9




 思い出の中の大切な少女、北斗の正体は、夏目――?
 実技合宿以来、そんな疑念が拭いきれない春虎。北斗への自分の気持ちが整理できないままの春虎は、夏目に対しても今までのように接することができず、二人の中は次第にぎくしゃくしたものとなっていく。一方、『上巳の再祓』以降、その脅威が現実的なものとなった『D』は、陰陽庁に宣戦布告。事態を重く見た陰陽庁は『十二神将』を配置し迎撃を試みる。いち早く情報を察知した陰陽塾でも、警戒を強め、密かに準備を整えるのだが――!?
 すれ違う式神と主、激しさを増す陰と陽の戦い。若き闇鴉たちを取り巻く戦いは、いよいよ本格的になり!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


本格的な陰陽バトルが開始される、シリーズ第6巻。

面白かった!
スロースターターとして有名な著者ですが、遂にエンジンがかかりましたね。
まぁ、いつか必ず爆発するとは信じていたので心配はしていませんでした。

前半は、5巻からの流れで春虎と夏目の関係がギクシャクする話。
2冊ほど続いたラブコメの余韻を残す展開で、モヤモヤとする人間模様が描かれています。
少しバカで天然だけど真っ直ぐでイイ奴である春虎が下手に考え出すと、空気が停滞していまいますね。
今更ながらに夏目と北斗が同一人物なのかと思い悩んでいることを冬児あたりが知ったら、きっと呆れながら苦笑するんだろうなぁ。
本人はいたって真剣なんでしょうが、夏目からのカミングアウトを誤解した経緯を考えると、ツッコミの一つでも入れたくなります。

そんな春虎の代わりにムードメーカーとして活躍したのが、鈴鹿でした。
勝気な性格をしている一方で弄られ慣れていないので、リアクションが凄く可愛らしくて場が和みますね。
京子や冬児からの挑発に乗っかってしまう彼女を見ているだけでも楽しかったです。

ギャグパートでは、幼女先輩とのもコントも相変わらず畳みかける構成が見事でした。
先輩の春虎弄りは一級品で、この辺りのくだりを読んでいると、一冊丸々ギャグ小説を書けるのではないかなと思いますね。

しかし、今回の真髄は、ギャグではなく間違いなくバトルでしょう。
これまで姿を掴ませなかった蘆屋道満からの陰陽庁へ襲撃予告が入り、不穏な空気が漂い始めます。
その情報は陰陽塾にも伝わり、警戒態勢が敷かれる中、いよいよその時が訪れます。

危機に瀕した際に、未熟ながらも助け合う春虎たちパーティーが熱くて燃える。
まだまだ陰陽師としての力量は大したことがなくても、お互いにフォローしながら打破しようとするところがイイ。
RPGを彷彿とさせるような攻守は、見応え抜群でした。
こんな多人数バトルを的確な文章のみで表現する筆力は素晴らしいの一言です。

中でもやっぱり鈴鹿は、格の違いを見せつけてくれました。
研究職だったとはいえ、さすが十二神将の肩書きは伊達ではないですね。

あと、地味に天馬にも成長フラグが立っているところも見逃せません。
彼の活躍の方向性が垣間見ることが出来ました。

そして、後半の手に汗握る決戦には痺れましたね。
大友先生の格好良さが半端じゃねえ!
著者があとがきで述べていた通り、おっさんが活躍してからが本番ですよね。
ただ強いだけではなく、講師として、人間として魅せてくれます。
『BBB』でも陣内が一番好きな身としては、これは惚れてしまうわ。

加速し始めた物語は、もう止まらないでしょうね。
予告ページにある「覚醒」に期待せざるを得ません。

壮絶なる力と知恵の陰陽バトルにゾクゾクと震え上がります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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生徒会の金蘭 碧陽学園生徒会黙示録6 

生徒会の金蘭  碧陽学園生徒会黙示録6 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の金蘭 碧陽学園生徒会黙示録6 (富士見ファンタジア文庫)
(2011/10/20)
葵 せきな

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読書期間:2011/11/3~2011/11/4

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ギャグ
パロディ
ラブコメ
青春


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 「私達は今、とても大切な時期にあります」
 私立碧陽学園生徒会――そこは、美少女メンバー四人が集う楽園だが、変革を求められる時期が訪れていた。シリーズも終盤へ突入した今だから、出来ることがきっとあるはずだ。さあ「生徒会の一存」の新たな可能性を見つけ出そうじゃないか。失敗を恐れてはいけない、挑戦し続ける勇気が人を成長させる!
 だから……許して欲しい。中目黒善樹の女装姿を。一瞬「あれ、新キャラ、美少女!?」って思ったあなたも、怒らないで欲しい。そして逃げずに、この本をレジまで。ねっ、お願いします!だって彼、本当にいい奴なんですよ。2年B組編も、ついに決着!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


生存シリーズ通算15冊目かつ外伝の第6弾。
文学系の眼鏡美少女が表紙です。
……男の娘が嫌いってわけじゃないけど、中目黒は趣味じゃないから萌えないなぁ。

さて、宇宙姉弟の恋の行方が気になる前回からの続き。
二年B組の進級~決意の章~」がメインの物語となります。
いつも通りのドラマガ連載短編もあるにはあるんですが、上記のエピソードだけで200p越えしているので、もはや中編どころか長編を読んだような感覚です。

普段がギャグ満載で偶にシリアスを挟むものだとすると、今回は逆の構成ですね。
シリアスに傾倒した展開の中にギャグを仕込ませるものとなっています。

前々からこのシリーズのシリアスが苦手だと宣言している自分には、ちょっと厳しい内容でした。
転校する前の中目黒が受けたイジメの実態が明かされているのですが、これがモヤッとする。
偽善とか善人面とか説教臭かったりとか、とにかく相性が悪い。

正直、杉崎や深夏を始めとした生徒会役員の上から目線や話の聞かなさ加減が嫌いです。
これらの特徴は、ギャグであれば面白く捉えられるのですが、真面目な場面では笑いどころか嫌悪感を抱いてしまいます。
杉崎に対する巡の想いや、深夏に対する守の想いは、ゲストキャラであれば問題なかっただろうと思うんですけど、いつしか準レギュラーとなった今では苛立たしく感じていました。
鈍感キャラにも種類はあって、天然だったりバカだったりで好意に気付かないキャラならともかく、好意を踏み躙るタイプはギャグであっても酷いという心情になってしまい、好きにはなれません。
そういう意味では、これまでの杉崎や「木陰」「金蘭」の深夏は、ないなーと思ってました。

それがようやく向き合い、スタート地点に立ったというのが今回の話だったと思います。
宇宙姉弟の勇気や判断や信条は、メインキャラよりも断然好感が持てますね。
確かに地味だけど、守は本当にいい男だと思う。
自分が深夏の立場だったら、杉崎より守を選びますね。

個人的に生徒会役員達の気に入らなかった部分に関しての言及があったのは良かったかな。
感情の種別は違えど、中目黒の転校前の学校の生徒達とやっていることは一緒でしたからね。
当事者のことを考えて発言していることは理解できるんですが、押し付けがましい。
宇宙姉弟と中目黒の関係こそ、本当の友情だと思いました。
まぁどちらか正解かというのはないんですが、自分は宇宙姉弟のスタンスの方に惹かれましたね。

巡、守、中目黒が一つの区切りとなる決心をつける2年B組編最終回

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B- 

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東京レイヴンズ5 days in nest II & GIRL AGAIN 

東京レイヴンズ5 days in nest II & GIRL AGAIN (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ5 days in nest II & GIRL AGAIN (富士見ファンタジア文庫)
(2011/07/20)
あざの 耕平

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読書期間:2011/9/16~2011/9/19

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 嵐のような新入生――鈴鹿から解放され、束の間の自由を満喫する春虎と夏目。向かった先は、陰陽塾に所属する上級生のみで行われる、富士山麓の実技合宿所。
 「いやぁー楽しみだなぁ、合宿!」「何しろ『一年には関係ない』もんね!」「いいよなー!」「いいよねっ」
 浮き立つ心をおさえきれずにハシャぎまくる二人。しかし――
 「もうっ!ダーリンたら遅いぃ~~」
 まさかの嵐が再び襲来!!忠義心は人一倍・仁侠式神コンや男装夏目を初恋の王子と慕う京子、そして謎の幼女好きまでが入り乱れ、楽しいはずの合宿は悪夢の合宿へと変貌する!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽塾に通う少年少女たちによる現代ファンタジー、第5弾。
前巻同様、本編と共に短編4編を含んだ構成となっています。

安定して面白いなぁ。
主要キャラが確立してきたことで、物語に没頭できるのが大きい。
筆力がある文章が、軽い掛け合いでも発揮されていて、滑らかに読ませてくれます。

前半は前回からの続きで、鈴鹿に1年の時の話を披露する流れ。
基本的にコメディ路線かつベタな話が多く、キャラ崩壊が激しいです。
短編第二話「ある冬の日の晩餐」は、典型的な酒に溺れる回で、テンプレ通りなのに楽しい気分にさせてくれました。

とはいえ、やっぱり一番良かったのは200ページほどある本編。
次に繋がる布石を打った話で、大々的に物語が動いたわけではないんですけど、大きなうねりを予感させるものがあり、実にワクワクとさせられました。

恋愛事情に思うことは色々ありますが、最終的に春虎×夏目の鉄板が堅過ぎるからなー。
夏目の自爆や、春虎の鈍感さは重症ですけど、絶対にくっつくだろうと思っているので、一喜一憂したりしません。
そう考えると、鈴鹿の立場は辛いなぁと思いますね。
京子も早く真相に気付かないと、手遅れになってしまうので、早々に参戦してもらいたいなぁ。
今のような姉御的な立ち位置も非常に魅力的ではあるんですけどね。
夏目が嫌いなわけではないんですが、個人的に好きな女キャラは、京子>先輩>鈴鹿>夏目という順なので、もう少し春虎がなびかれるような展開を期待したいなと思ってしまいます。

それにしても、幼女好きの先輩の正体が全然読めない。
意味ありげに登場しているので、ただのサブキャラでは終わらないと思うんですが……。
コンに対する執着心と、春虎への対応のギャップの差が良い意味で酷くて、まるでここだけギャグ漫画みたいです。
今後もレギュラー化してくれると嬉しいな。

著者の作品は大人が格好良いのが特徴ですよね。
ラノベなのに、おっさん臭いところが大好きです。
次回はバトル展開になりそうなので、渋い活躍を期待したいと思います。

恋愛要素多めの平和な日常を描いた種蒔き回

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価B+ 

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東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest Ⅰ 

東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest I (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest I (富士見ファンタジア文庫)
(2011/05/20)
あざの 耕平

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読書期間:2011/7/16~2011/7/19

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
ツンデレ
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 土御門夏目――芯が強くて楚々とした、春虎自慢の幼なじみ。……のはずだった。半年前までは。
 しかし現在。「このバカ虎!」。半年ぶりに再会した幼なじみは、陰陽塾きっての秀才で口が悪くて素直じゃなくて、とある理由で男装女子となっていた!?そして、その男装女子に日々振り回されている、日本一ツイていない少年、土御門春虎。「夏目君とデキてる……ホモなんでしょ?」「いや実は幼女好きだって」。クラスメイト曰く『ホモだと思ったらロリコンだった』。心ない噂と運の悪さに苦しむ春虎。しかも二年になった二人を襲ったのは、あの夏の日の「嵐」!大騒動の学園生活を経て波乱の新学期がいまはじまる!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽師を育てる塾にて繰り広げられる現代ファンタジー、第4巻。
「ドラゴンマガジン」にて掲載された短編を含む挿話集となっています。

サブタイトル「GIRL RETURN」の冠の通り、あの少女が帰ってきました。
あの夏の日、春虎が夏目の式神となるキッカケを作った張本人・大連寺鈴鹿です。
彼女の登場により、春虎たちの日常が大きく動き出します。
まさに波乱の幕開けといった内容でした。

絶対にまた戻ってくるだろうなとは思っていましたけど、こんなに早い再登場となるとは予想外でしたね。
どうやら人気の高さもあって、予定を繰り上げたそうですが、キャラが活き活きしてて良いですね。
ラブコメ的にも、夏目の対抗馬として面白い立ち位置にいます。

ぼっちは異性から優しくされると、コロッと惚れちゃいますよね。
鈴鹿の場合、遺恨もあるため簡単な関係ではないところが、なお複雑化させています。
サドスティックな鈴鹿を投入しただけで、舞台が荒れまくってて楽しいなぁ。

今回収録されている短編の中にもありますが、基本的に夏目は耐性がなさすぎるので、他の女の子が春虎と少しでも仲の良い素振りを見せると、嫉妬に狂う鬼と化します。
春虎に対してツンツンした態度を取りつつ、第三者から見るとボロボロと好意をこぼしていく彼女は、可愛いというよりもやれやれって感じw
ギャップ萌えを狙ったようですが、やりすぎてて別の意味で面白いキャラになっちゃってますよ。
ああ、これが流行りの残念系ヒロインなのか。
多分、読者としてはニヤニヤ半分、呆れ半分であろう冬児と一番共感しているでしょうね。

春虎も春虎で、超絶的な鈍感野郎なので、既に痛い目に遭っています。
そんな過去エピソードが全4話の短編という形で語られているのですが、これがどれもこれも酷いw
BBBの時もそうでしたけど、長編シリアスと同じ世界観とは思えないぐらい、砕けたまくった話で良くも悪くも雰囲気がガラリと変わります。
今作はナンバリングタイトルとして挟まれているために飛ばすこともできませんし、人を結構選びそうな気がしますね。

短編の夏目無双も良かったけれど、個人的には中編の鈴鹿の絡みが楽しかったです。
これから発展に期待大ですね。

不幸体質の主人公が女の子に振り回され続けるラブコメ成分多めの短編集+α

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価B 

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生徒会の木陰 碧陽学園生徒会黙示録5 

生徒会の木陰 碧陽学園生徒会黙示録5生徒会の木陰 碧陽学園生徒会黙示録5
(2011/06/18)
葵 せきな

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読書期間:2011/7/1~2011/7/2

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ギャグ
パロディ
ラブコメ



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6




 私立碧陽学園生徒会――そこは、美少女メンバー四人が集う楽園だが、その楽園を支える、日蔭者たちの存在がいることを忘れてはならない。「黙示録」だからこそ!という甘い言葉に誘われ、登場するも表紙を飾ることは出来ない、陰の存在。
 誰だって物語の主人公になれるはず!そんな淡い希望と、儚い願いを胸に、いつ来るとも分からない、その日に向けてアピールを続ける悲しい彼らに、ついにスポットが当たるときが来た。主人公、杉崎鍵のクラスメイトでありながらも、脇役というポジションから抜け出せなかった彼……ではなく、彼女に。これは何かのフラグか。
 急速に動き出す2年B組の恋愛模様にも、目が離せないっ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


生徒会シリーズ通算14冊目。
生徒会役員以外で初めての表紙を飾ったのは巡というのは妥当なような意外なような。
黄色い背景は目が痛くなるので、他の色にして欲しかったな。

今回は、初の短編集連続刊行です。
恐らく本編があと1冊で終了のため、急ピッチで短編集を出すことになったんでしょうね。
次回も短編集らしいですし、しばらく本編はお預けになりそうです。

で、肝心の内容ですが……。
うーん、イマイチ乗り切れなかったかなぁ。
笑えるところもあるにはあるんですがね。

基本的のこの作品のボケは、相手を怒らせるところにあるんですよね。
キレのいいツッコミが笑いを誘うのですが、カバーできるにも限度があります。
弄りが面白いというよりも、イラッとさせてしまってはボケとして失敗でしょう。
親友同士であっても引いてしまうラインはあるもので、その境目を誤ってしまったように感じられました。

たとえば、宇宙姉弟対する杉崎の態度。
偉そうに女の子への想いを語るけれど、巡への反応はギャグを越えている気がします。
守に関しても、生徒会の中のやり取りと違って、ただ苛めているだけに見えてしまうんですよねぇ。

BLネタは、さほど抵抗感なく楽しめるタイプですけど、中目黒はあまり好きじゃありません。
天然のガチ系過ぎて、笑えないんですよ。
それなら、鍵×守の方が好きです。あくまで比較した場合の話ですが。

とまぁ、ギャグ自体は微妙だったわけですが、会話の応酬はさすがで、だらだらと読んでいるだけでも面白かったです。
声を出して笑ってしまうことがなくても、楽しい気分にさせてくれます。
しつこく感じた部分もありますけど、マンネリ打破のためには仕方ないかな。

珍しく次巻へ持ち越しとなっているので、続きが気になりますね。

1年C組や2年B組が主体の話多く生徒会メンバーの出番は少なめ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B- 

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生徒会の水際 碧陽学園生徒会黙示録4 

生徒会の水際   碧陽学園生徒会黙示録4   (富士見ファンタジア文庫)生徒会の水際   碧陽学園生徒会黙示録4  
(富士見ファンタジア文庫)

(2011/02/19)
葵 せきな

商品詳細を見る
読書期間:2011/3/23~2011/3/24

【評価……B+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ギャグ
パロディ
メタ
ラブコメ


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7



 早押し問題です。 Q この本のタイトルは? 正式名称で。
 《ピンポンッ》「生徒会の水際 碧陽学園生徒会黙示録4」 正解!
 私立碧陽学園生徒会――そこは、美少女四人が集う楽園だが、世界はここだけではなかった!今まで出てこなかったけど、個性的な面々が揃う椎名真冬の1年C組。そして生徒会メンバー唯一の男性である杉崎鍵が、楽園のチケット「優良枠」を手にする前の1年F組。ここにきてまさかの新ヒロインも登場だが、きっと許されるはず。 Q なぜですか?
 《ピンポンッ》なぜならこの本は「黙示録」だから!でもでも、表紙の知弦さん巫女服の話もちゃんとあるんだよッ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


生徒会外伝4冊目、かつシリーズ通算13冊目。
コンスタントに発売されているので、相当数になってきました。

面白かったです。
本編と異なり、生徒会室に拘る必要性がない分、動きがあるところが外伝の良いところ。
ひたすらボケとツッコミを繰り返す雑談も悪くはないのですが、さすがに同じ流れが続くと飽きてしまいます。
そういう意味でも、外伝自体が、シリーズ内においてちょっとしたアクセントにもなっているとも言えるのかもしれません。

今巻は全4章に分類されますが、まるでバラバラの評価になるため、1つ1つ感想を書いてみたいと思います。

【フィギュア化する生徒会】

会長ウザっ!……って、あぁ、いつも通りか。
基本パターンでありながら、今回で一番腹が立った話でもありました。
この学園全生徒が会長を愛でていますけど、共感は全然できませんねぇ。
漫才のような応酬は面白い。だけどムカツクw

【一年C組の現状】【秋峰家の事情】【僕らの私情】

真冬のクラスメイト・秋峰葉露の視点から送られる、一年C組関連のエピソード。
うわぁ、このクラス、二年B組以上に濃いぞ。
ここまでキモさを突き抜けていると、清々しささえ感じますよw

ちょっと取っ付きにくい始まりでしたが、既存キャラとの絡みは新鮮で楽しかったです。
しかし、他の男の視点からすると、杉崎はヒデェ野郎だな……w

【すぎさきメモリアル】

恋愛SLG「ときめきメモリアル」に見立てて構成された、杉崎が1年の時のお話。
優良枠を手にするために学力を伸ばしていく過程を中心に描かれています。

あらすじにある新ヒロイン・水無瀬流南が、実に良キャラでした。
生徒会メンバーのようなツンデレではなく、杉崎を心底嫌悪している彼女の鋭いツッコミが痛快で楽しすぎるw
徹底的に叩くドSっぷりは、知弦とまた趣が異なっていて、何度も笑わされました。

ぶっちゃけますと、個人的に杉崎はあまり好きではないんですよね。
そりゃあ頑張っているとは思いますし、好感は持てますが、人間的な相性が悪いとでもいいますか。
何でもかんでも求めたり、偽善っぽいところが鼻につくけれど、凄さは認めている。
そういった微妙な心が、水無瀬にも垣間見えて、とても共感を覚えました。
杉崎からしても、水無瀬という目標がいたからこそ、努力できたわけですし、この二人のいがみ合う関係性は、物凄く好みでした。
頻繁に登場するわけにはいかない立ち位置とはいえ、再登場に期待せざるを得ませんね。

【盗聴知弦四変化】

そしてこのオチである。

いやぁ、普段はあまり生徒会メンバーに萌えたりしないのですが、この知弦は可愛かった。
クーデレキャラは、仮面が外れつつある時が、一番おいしいよなぁw

いつも通り、サクッと読めるラノベらしい良作でした。
次巻も番外編らしいので、巡や水無瀬が出てくることを期待したいところです。

杉崎がライバル兼ラスボス系ヒロインに振り回される様子がコントみたいで面白い

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B 

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東京レイヴンズ3 cHImAirA DanCE 

東京レイヴンズ3  cHImAirA DanCE (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ3 cHImAirA DanCE (富士見ファンタジア文庫)
(2010/12/18)
あざの 耕平

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読書期間:2011/3/17~2011/3/22

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
友情
燃え
期待感


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 「春虎っ?今の試験、一体いくつわからなかったのさ!」
 「……ぜ、ぜんぶ」
 進級試験に挑む、陰陽塾の若き闇鴉、春虎たち一年生。しかし落ちこぼれの春虎は、筆記試験は壊滅的、実技試験でも呪術をうまく使いこなせず夏目をはらはらさせるハメに。そんな中、都内各地で突如として霊災が発生。かつて霊災で後遺症を負った春虎の親友、冬児の身体にも異変が起き、同時に『オーガ・イーター』と呼ばれる『十二神将』最凶の陰陽師が現れ――!!
 「魔」に蝕まれる冬児、土御門次代当主として事態収拾に走る夏目。春虎は、親友を救うため、主である夏目のために、奔走するが!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


現代陰陽ファンタジー、第3巻。
2巻から一気に時間が飛んでいますが、その間の話は、BBB同様に短編で補うようです。

おおー、予告通り、随分と物語を動かしてきましたね。
面白かったです。

それにしても、作者があとがきで触れるぐらい、巷でスロースターターだという認識が根付いちゃいましたね。
しかし、これはおそらく狙ってやっているところが多分に含まれるかと思われます。

ようやく主人公周りの説明、駒の配置、舞台設定などが出揃ったといった具合。
スタートラインに立ったと明言しているほどですから、ここまでがプロローグみたいなものなんでしょう。
そんな序章のクライマックスにあたる今巻は、若々しく燃える物語でした。

登場人物が大幅に増員していて、ちょっと混乱します。
しかも、昨今のハーレム風味のラノベの逆行するかのように、新キャラがほとんどが男なので、むさ苦しいw
格好良い中年や、渋い男を魅力的に描いてくれる作者さんなので、それは大歓迎なんですが、もうちょっと華があってもいいんじゃなかろうか。
夏目の活躍が少なすぎて、ヒロイン不在みたいになっちゃってますからなー。
大友先生は確かに、格好良いんだけどさw

今回、スポットにあたったのは、春虎のよき理解者であり悪友でもある冬児でした。
ニヒルな笑みが似合う彼の抱えているものは、少々意外だったかも。
春虎と共に成長していく様が、何とも青臭くて、胸を躍らせてくれます。
あー、天然だけど実直な男と、クールだけど内に熱いモノを秘めた男のコンビっていいなぁ。

十二神将を始めとして、春虎たちの格上の陰陽師が現れ、壮大さが増しています。
現状では、夏目でさえも付いていけないぐらいのレベル差を感じますね。
これは、もしかすると、相当長い年月を作品内で経過することになるのかもしれません。

面白かったのは事実ですけど、まだ加速が足りないと感じてしまうのは、訓練されすぎでしょうか?
いや、あざのさんなら、さらに上の領域を見せてくれるはず!
ハードルを上げすぎると、ロクなことにならないは重々承知ですが、この作品ならきっと大丈夫。
そう思わせてくれる、3巻までの土台作りでした。

親友のために行動ができる男たちの熱い友情ストーリーが見所

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価B+ 

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中の下! ランク3. 中の上に踊らされるオレ 

中の下!  ランク3.中の上に踊らされるオレ (富士見ファンタジア文庫)中の下! ランク3.中の上に踊らされるオレ (富士見ファンタジア文庫)
(2010/10/20)
長岡 マキ子

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読書期間:2010/12/2

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
バカ
ラブコメ
青春



 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6




 「女の子って、なんですぐ『好き』とか思わせぶりなこと言うんだ?」
 友達もでき、女の子たちとも仲良くなり、男としてのランクもついに「中の上」になった瀬木成道。だが、しょせん美しき青きDT。
 「友達」と「恋人」の違いが分からず、勘違いしては落ち込む日々。
 そんな中、ランクUPチャンスでもあるイベント、文化祭が始まった!
 憧れの美少女・瑞本絽美と文化祭を回る約束をして浮かれる成道に、またもや悪魔の罠が牙をむく!
 「ねえ、貴方の関係代名詞を、早く私の節に挿入して……」
 ――ん?これって罠?罠なの?かくして「中の下」史上、最高のお楽しみタイムが幕を開ける!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


カップル試験にて学年一の女の子のハートを射止めようと奮起する、学園ラブコメディ。
今回は、定番の文化祭イベントですね。

ヴィーナスと恋仲になることを夢見て、順調にランキングを上げてきた成道
しかし、ここにきて大きな転換期を迎えます。
問題が表面化しただけとも言えますが、これまではそれに気付くことすらできなかったわけですから、大きく前進したと言っていいんじゃないでしょうか。
真価が問われるのは、ここからですね。

成道は、超がつくほどのナルシストだった面影が見えなくなるくらい男を上げましたね。
まだまだ駄目なところもありますけど、多少の欠点は愛嬌があっていいと思います。
ただ、恋に対して消極的になってしまったのは、物語として読む上では、ちょっとつまらないかもw
理解不能なまでの自信たっぷりに女の子を口説く様は痛くはあったけど、一応の進展はあったしね。
女の子たちからの好意を素直に受け取ることができず臆病になってしまっているので、もう一皮剥けて欲しいところです。

ヒロイン勢は、現時点では横並びの状態で、誰が抜けるか想像つかないですね。
1巻の表紙は妹尾でしたけど、成道の心情的には絽美が一歩リードかな。
強いて言えば絽美が好みですが、みんないい娘なので、誰と結ばれても読了感は良さそうです。
ヘタレな回答はせずに、ちゃんと決着がつくといいのですが。

最大の欠点は、成道のじーちゃんである瀬木重蔵の嫌がらせ。
前回も言いましたが、度を超えすぎていて、笑えるどころか引いてしまいます。
物語的に必要なのは分かりますが、キャラ立ては失敗していると思いますね。
ギャグ漫画みたいに、許される世界観を描いているのであればまた別だったんですけどね。

展開的に、少しシリアスに突入していたので、1,2巻と比べると楽しいシーンは少なめでした。
黒川との友情エピソードも、もう少し割いてくれると嬉しいな。

ストーリーの転換期に入ったことで、軽いお笑い路線から真面目な恋愛話になりつつある回

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  中の下!  長岡マキ子  ごまえ  評価B- 

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生徒会の九重 碧陽学園生徒会議事録 9 

生徒会の九重  碧陽学園生徒会議事録9 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の九重 碧陽学園生徒会議事録9 (富士見ファンタジア文庫)
(2010/10/20)
葵 せきな

商品詳細を見る
読書期間:2010/11/2~2010/11/4

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ギャグ
パロディ
メタ
ラブコメ


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 ようこそ、私立碧陽学園生徒会室へ!美少女役員四人+おまけ一人、生徒諸君のため――突然ですが、ここで中継を繋ぎます!
 第801回ヘキヨウカップ、各馬一斉にスタート。先頭はヒンニューステータスとネッケツタロー。ヒンニューは常に本命視されながらやる気に欠ける状態、ネッケツはここに来て急躍進、新たな本命馬と名高いです!様子を窺うように二頭の後に続くのはドエスノホマレ。実力は№1と言われながらここ一番に弱い!最後に大きく遅れてビーエルラバー。以前他を圧倒する力を見せて以降、不振が続いています!最後まで目が離せない展開になってきました!おっと、ここで飛び出したのは――中を読んでご確認ください!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


クライマックス突入の生徒会シリーズ、本編第9巻。

割合は減っているものの、それでもまだ笑わせられるというのは凄いことでしょう。
同じような話をしているだけなんだけどね。

ここ数巻シリアスパートが続いていましたが、今回は遂に桜野くりむの番でした。
無垢な少女である彼女にも、重たい過去が――という流れです。

卒業を頭の隅で意識しながらも言葉に出さないように努めているのが節々で伝わってきて、コメディなのに何となく寂しさを感じさせます。
基本的にはギャグなんですけど、このシリーズは急にシリアスになるときがあるのが珠に傷です。
落差が激しい分、付いていけないんですよねぇ。
泣けたって人もいるんでしょうけど、オチがあるんだろうと構えて読んでしまう自分には無理でした。

さすがに、ひたすら部室内での雑談だけで10冊以上の本を出してきただけあって、ネタ切れ感が半端ない。
いつもの風景はほとんどなく、回想やら過去話やらで尺を取っています。

そんな普段と異なるエピソードが多い中で、リリシアの話となる「絡む副会長」は面白かった。
サブタイトルからしてウザったい杉崎が想像できますが、リリシアの反応は新鮮で楽しかったです。
以前に番外編で宇宙姉弟に絡む杉崎の回がありましたけど、あれに近い内容でしたね。

あとはバレンタイン話である「渡す生徒会」も、良かったと思います。
個人的に生徒会メンバーに萌えることが少ないので、ラブよりコメを重視して欲しいと常々願っているのですが、この回の知弦のテンパリ具合はニヤニヤせざるを得ませんでした。
クールな性格だったはずなのに、ひとたびデレると、こうも変わるものなのか。
深夏も杉崎への好意を公言するようになったし、本格的にハーレムになってきたなー。

次が最終巻らしいのですが、あまり切ない方向へ行かないで欲しいな。

終わりが近いためシリアス分が増量された生徒会ラブコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B 

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東京レイヴンズ2 RAVEN゛s NEST 

東京レイヴンズ2  RAVEN゛s NEST (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ2 RAVEN゛s NEST
(富士見ファンタジア文庫)

(2010/09/18)
あざの 耕平

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読書期間:2010/10/13~2010/10/14

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
燃え
ツンデレ
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 教室中から突き刺さる、視線、視線、視線。好奇と、僅かな敵意。級友から向けられる幾つもの視線に春虎は気圧される。けれど――
 ――バカ虎!
 迷いのない、まっすぐな瞳。自分を見つめる幼なじみの少女――夏目の姿に、春虎は自分を取り戻す。
 闇鴉たちを育成する陰陽師育成機関、陰陽塾。夏目の式神として生きることを決めた春虎は、東京の陰陽塾に転入する。しかし、そこで春虎を待っていたのは、『しきたり』により男装した夏目と、土御門に冷たい塾生たち――そして、二人を付け狙う呪術界の闇だった!?時を超える陰×陽ファンタジー、学園編スタート!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽師の学園生活が始まる現代ファンタジー、シリーズ第2巻。

いいねいいね、面白くなってきた!

1巻も悪くはなかったのですが、ボチボチといったところでした。
著者の腕を疑っているわけではないんですが、個人的な好みに合うかどうかが不安だったんです。
滑り出しが慎重すぎるのは、あざの耕平さんの良いところでもあり悪いところでもありますね。

悪友の冬児とともに陰陽塾に転入してきた春虎。
転入生の土御門という名に対して構える級友たちと、クラスから孤立している夏目。
一筋縄ではいかないクラスの人間関係に頭を抱える春虎だったが、そんな最中に夏目に魔の手が忍び寄る――という展開なんですが、口絵を見ただけで流れが大体分かってしまいました。
的確なイラストは素晴らしいのだけれど、もうちょっとネタバレを自重して欲しいな。

完全にエンジンが掛りきっているわけではないものの、物語がノってきてワクワクしてきました。
1巻は意図的に規模を抑え気味に書いていたのに対し、2巻で風呂敷を一気に広げています。
伏線を張りつつ綺麗にストーリーを完遂するってのは、存外難しいはずなんですけど、いとも容易くやってのけちゃうように見えてしまいますね。

舞台が変わり、新キャラも盛り沢山となっていますが、まだまだ序の口だそうです。
過去の例を振り返ってみれば、そうだろうなぁと激しく納得。
キャラを覚えるのは、さほど難しくないのですけど、式神の設定は少々複雑で大変ですね。
期間を空けすぎると、忘れてしまいそうなので、早い周期で読みたいところです。

今回登場したキャラの中では、クラスメイトの倉橋京子がお気に入り。
夏目と同様に尖がった性格をしていますが、京子の方が可愛げがあっていいですねー。
すみ兵さんのイラストもお団子が可愛らしくて、惹きつけられました。
渋い男とか爺婆が活躍することの多い作者さんにしては、比較的普通の女の子って感じが珍しくもあります。

春虎の天然で人懐っこいところは、魅力的だなぁ。
主人公のキャラが立っていると、作品の面白さが段違いに良くなりますね。
冬児の悪友ポジションもニヤリとさせられますし、主要キャラについては文句のつけようがありません。
表紙の狐娘も賑やかし要因として良かったですよ。

あと、登場人物のレベルの違いを見せるのが、本当に上手いですね。
陰陽師や式神の強さにランク付けをし、ハッキリと差をつけるのが実に巧みです。
にもかかわらず、相対的にランクが低いキャラに弱者という印象を与えないのが凄い。
どのキャラにも強さを感じさせる演出力という点において、作者さんはずば抜けていると思います。

そろそろ大きく物語が動き始める気配してきました。
次は心して読まねば。

敵視される立場で転入してきた主人公が、人柄の良さで仲間を増やしていく学園生活の始まり

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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中の下! ランク2.中の中を目指すオレたち 

中の下!  ランク2.中の中を目指すオレたち (富士見ファンタジア文庫)中の下! ランク2.中の中を目指すオレたち (富士見ファンタジア文庫)
(2010/06/19)
長岡 マキ子

商品詳細を見る
読書期間:2010/8/28

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
バカ
ラブコメ
青春
ツンデレ


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7



 ある日、少年――瀬木成道は気づいてしまった。
 自分には友達も彼女もいない。自分は「中の下」の男であると。
 だが落ち込んではいられない。なぜなら、成道には野望がある。
成道の通う聖☆ジュウ学園の変態イベント「カップル試験」で、学年ランク一位の少女と両想いになる。
そして、成績優秀者の特典として「理事長になる」という願いを叶えてもらい、学園を潰すのだ!
 色魔、フェミ男、ラブJ、ブリーフ紳士――いろいろ蔑まれているオレだけど、キミを愛する気持ちだけは誰にも負けないぜ!
 ……ところで、「キミ」ってどの「キミ」を指すの?
 そんなわけで、女子だらけ誘惑だらけの真夏の臨海学校、開幕!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


カップル試験と呼ばれる奇抜なイベントがある学園の青春ラブコメ、第2弾。

臨海学校で行われるカップル試験で、容姿・学力・性格をテストされる成道たち。
友情と恋心を育みつつ、障害や罠を乗り越えていく話です。

これはいいツンデレラブコメ。
まさか高慢さが鼻につく莉子サマが、こうも可愛らしく変貌するとは。
ただプライドが高いだけではなく、揺ぎ無い信念を持っていて、とても魅力的でした。
前回はヒロイン3人組の中で、微妙な立ち位置だった女の子でしたけど、今回で妹尾や絽美と並びましたね。

メインの座は譲ったものの、妹尾絽美にも、おいしい出番はいくつか用意されていました。
その中でも、お気に入りなのは、後半にある絽美と成道の会話。
絽美が鈍感な成道に対して駆け引きする様に、ニヤニヤさせられましたね。

1巻冒頭でナルシスト全開だった頃が懐かしく思えるぐらいに成道は成長したなー。
学力や体力はなくて役立たずなんですが、思いやりの心があって、イイ奴だというのが凄く良く分かります。
たまに暴走するときはあるものの、卑怯な真似はしませんし、客観的に自分を見ることができるようになっているし、これなら友人として付き合いたいと思いますよ。

男キャラ達の友情も、にぎやかで楽しいですね。
男子高校生らしい、下ネタやら馬鹿げた話が随所に挿入されていて、何度も笑わされました。
特に、一見すると完璧な黒川の美的感覚が酷いのが、逆に男の結束を強固にしていて面白い。
黒川との友情ルートは、是非今後も進展して欲しいです。

とまぁ、青春要素は多く盛り込まれていて良かったのですが、1つだけ難点が。
カップル試験のシステムが、ここにきて邪魔になってきているんですよねぇ。
瀬木重蔵が人間的に最悪で、コメディの領域を突破して、イラッときます。
成道が改心したことにより、なおさらそれが目立ちますね。

世間的にはあまり知られていませんが、個人的には結構注目のシリーズです。

ツンデレお嬢様のデレ期突入で今後の展開が混迷するラブコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  中の下!  長岡マキ子  ごまえ  評価B 

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神さまのいない日曜日 

神さまのいない日曜日 (富士見ファンタジア文庫)神さまのいない日曜日 (富士見ファンタジア文庫)
(2010/01/20)
入江 君人

商品詳細を見る
読書期間:2010/7/2~2010/7/4

【評価……C
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
世界観
構成




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5





 十五年前。神様は世界を捨てた。人は生まれず死者は死なない。絶望に彩られた世界で死者に安らぎを与える唯一の存在“墓守”。
 「今日の仕事、終わり!」
 アイは墓守だ。今日もせっせと47個の墓を掘っている。村へ帰れば優しい村人に囲まれて楽しい一日が暮れていく。だけどその日は何かが違った。銀色の髪、紅玉の瞳。凄まじい美貌の、人食い玩具と名乗る少年――。その日、アイは、運命に出会った。
 「私は墓守です。私が、世界を終わらせません!」
 世界の終わりを守る少女と、死者を狩り続ける少年。終わる世界の中で、ちっぽけな奇跡を待っていた――。大賞受賞作登場!

【感想】


第21回ファンタジア大賞<大賞>受賞作品。

15年前を境に、人が生まれることがなくなり、同時に死ぬことがなくなった世界。
死者が活動を停止するには、墓守によって埋葬されなければならない。
そんな世の中で、墓守である小さな女の子が、ある少年と出会うガールミーツボーイ。

うーん……これはない、かなぁ。
色々と引っかかる点が多くて、楽しむことができませんでした。
世間での評判も二分されているようですが、自分には肌に合いませんでしたね。

描きたいテーマは何となく分かるんです。
鬱屈した独特の舞台も、味があって良かったと思います。

しかし、主人公であるアイの思考回路に共感できないが故に、全て台無し。
子供だからといって、コロコロと考え方が変わり、行き当たりばったりの行動でいいというわけではないでしょう。
可愛らしいことを言っておけば許されると思ったら、大間違いです。

固執するべき部分が、ズレているんですよね。
あまりにも薄っぺらい。
後半の展開は、感動どころか呆然としました。
何故そこまで感情を昂ぶらせることができるのか、不思議でなりません。

もう一人の主役である少年・ハンプニーは、悪くない設定だったのですが、これまた内面描写が足りなかった。
こちらを主人公視点として描いた方が、良かったのではないかなとすら思います。

基本的にシリアスな世界観であるにも関わらず、唐突に挿入されるコメディ展開に違和感を覚えました。
ラノベらしさを出そうとしたのか、妙な軽さが作風を殺しちゃってますね。
構成が悪いのか、全体的に説明不足なのが致命的すぎました。
アイとハンプニーの行動に、もう少し説得力のある背景や理由を用意して欲しかったです。

光る部分はあるのかもしれないけれど、これで大賞はないと思うなぁ。
表紙絵が良くて買ってみたものの、挿絵もちょっと残念だった。
どれだけ深いテーマが隠されていようとも、不自然な点が多すぎて、読み取ろうという気力がなくなってしまいました。
発想は悪くないだけに、惜しい。

まぁ、墓守作品なら、同時期に出た「シュガーダーク」の方が好みですね。

人が生まれてこなくなった世界に死者を弔う墓守という発想は面白い

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  神さまのいない日曜日  入江君人  茨乃  評価C 

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生徒会の八方 碧陽学園生徒会議事録 8 

生徒会の八方  碧陽学園生徒会議事録8 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の八方 碧陽学園生徒会議事録8 (富士見ファンタジア文庫)
(2010/06/19)
葵 せきな

商品詳細を見る
読書期間:2010/6/23

【評価……B
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ギャグ
パロディ
メタ



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 ようこそ、私立碧陽学園生徒会室へ!美少女役員四人+おまけ一人、生徒諸君のため、今日も何かと戦っております!!
 今、すべてに決着をつけるため、アイツが帰ってきた。
 「何も傷つけたくないなら、今すぐ死ね。死にたくないなら、何かを傷つけることを躊躇うな」
 あばかれる本当の想い、互いへの疑心、失われた言葉、開かれる記憶の扉――そして、少女は決意する。
 「この気持ち……確認させて……くれない、かな」
 少年少女の日常をみずみずしく描いた青春小説の傑作「生徒会の八方」―― NOW ON SALE!!……う、嘘は言ってないもん!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


生徒会コメディ、本編第8弾。

こういうあらすじを過大広告と言うのだろうなぁ。
いつものことですが。

総評としては、そこそこ面白かったといったところでしょうか。
終わりを感じさせる話がいくつかありましたが、概ね今まで通りの内容でした。

総じて、キャラ萌え重視の回だったともいえます。
表紙を飾った深夏を筆頭に、デレ周期に入ってきた女の子達のハーレム模様が急激に進行してますね。
キャラが好きで読んでいる人にとっては、かなり楽しめたんじゃないかなと思います。

個人的には、どうにもこのシリーズのキャラに萌えることができないので、何とも言えない気持ちですね。
深夏や知弦は好きなタイプのはずなんですが……。
まぁ、各所で深夏可愛いという声が挙がっているのには賛同します。

「卒業編」のストーリーがチラつく内容は、やっぱり肌に合わない。
せめて、飛鳥がもう少し掻き乱してくれるのであれば、話は別だったんだけどなぁ。
変に真面目ぶった話は、必要ありませんね。
コメディだけが読みたいんだー。
最後が湿っぽい形で終わらなければいいけれど。

畳みかけるギャグは、相変わらず笑いを誘われます。
延々ダラダラと雑談しているだけなのに、実に不思議だ。

ところで、表紙の大胆な格好をしている深夏ですが……肝心なところ見えてね?

深夏派や知弦派にとっては悶えること間違いなしのシーン続出

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B 

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東京レイヴンズ1 SHAMAN*CLAN 

東京レイヴンズ1  SHAMAN*CLAN (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ1 SHAMAN*CLAN (富士見ファンタジア文庫)
(2010/05/20)
あざの 耕平

商品詳細を見る
読書期間:2010/5/26~2010/5/30

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
安定感
期待感




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 『ぼく、シキガミになる。ずっと一緒にいて、ずっと護ってあげる』
 それは遠い昔の約束。彼がまだ“将来”の意味を知る前の――。
 霊的災害〈零災〉が多発し、陰陽師たちが活躍する現代。
 土御門春虎はトコトン運の悪い少年だった。陰陽師の名門に生まれながら、才能はからっきし。この16年の人生で、死にかけた回数12回。そしてある夏の日、極めつきの受難が、彼の前に訪れる。
 「久しぶりです――春虎君」
 土御門家次代当主である幼なじみの少女、夏目。彼女との再会が、春虎をかつて見た“将来”へ――波乱に充ちた“未来”へと導き始める!闇に舞う鴉たちの、時を超える陰×陽ファンタジー!!

【感想】


「BLACK BLOOD BROTHERS」完結より1年。
あざの耕平氏による新作は、現代が舞台の陰陽師モノでした。

丁寧に作っているなぁというのが、第一印象。
今のところは、特別どうこうってことはありませんが、おそらく徐々に面白くなっていくことでしょう。

実のところ、陰陽師が苦手というか興味が持てません。
しかし、BBBの時も吸血鬼ネタに関心がなくても、薦められて読んでみた結果ハマってしまったので、今度もまた同じようになるのではないかなと思っています。
それだけ作者の腕を信じきっています。

どうしても設定の説明が多くなる長編の1巻ですが、無難にまとめられていますね。
もともと詳しい人ならば、説明過多と感じるかもしれませんが、自分にはちょうど良かったです。
ただ、次巻まで覚えていられるかどうか自信が無いので、出来るだけ早いペースで読みたいのが本音だったりします。

とりあえず、時代や舞台などの基本的な内容を踏まえつつ、ストーリーを作った形ですね。
この辺り、BBBとまるで一緒なので、作者のお得意のパターンなのかもしれません。
主要登場人物の年齢が高校生になったため、ラノベとしては手に取ってもらいやすいかな。
恋愛要素も増しているので、陰陽師抜きにしても楽しめます。

主人公の土御門春虎の鈍感さは、作者が描くと新鮮に見える。不思議。
ラブコメの主人公ばりに好意に鈍いキャラですが、真っ直ぐな性格の持ち主で好感が持てます。
日常生活でヘタレであっても、緊急時には適切な判断と行動がとれるタイプみたいなので、意外と格好良く見えるのもポイント高いところです。

ヒロイン役である夏目のキャラ造形には唸らされました。
怒りっぽく意地っ張りで、おまけに嫉妬深く独占欲が強い。
春虎視点からみると、取っ付きにくいと思われても仕方のない態度を取っているんですよね。
しかし、この娘に隠された秘密を知ると、印象が一変します。
きっと、物凄い勘違いされやすい娘なんだろうなぁ。

親友ポジションである冬児もまた、クールな二枚目としてキャラが立っていました。
頭の回転が速く、臨機応変に動ける姿が格好良かった。
今後、名脇役になりそうな予感がヒシヒシと伝わってきます。

今回の要であるギミックは、二度読みを前提とまでは言わなくとも推奨しています。
事実を知ってから読むと、かなりニヤニヤしながら読めますね。

陰陽師バトルについては、可もなく不可もなく。
さすがの筆力で安定感は抜群です。
ただ、陰陽師特有の面白さについては、まだまだこれからかな。

すみ兵さんのイラストは、綺麗で良かったです。
挿絵はトーンを多用しすぎているようにも見えましたが。

伏線が散りばめられた序章でした。
じっくりと読むつもりではいますが、3巻ぐらいまでには一度大きな盛り上がりを期待したいな。

あざの耕平流・現代版陰陽バトルの開幕

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価B 

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生徒会の火種 碧陽学園生徒会黙示録 3 

生徒会の火種  碧陽学園生徒会黙示録3 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の火種 碧陽学園生徒会黙示録3 (富士見ファンタジア文庫)
(2010/03/20)
葵 せきな

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読書期間:2010/3/29~2010/3/31

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ギャグ
パロディ
メタ



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 「反吐が出る。生徒会がキライだ。碧陽学園が大キライだ」
 私立碧陽学園生徒会――そこは、美少女メンバー四人が集う楽園だが、その楽園が形成されるまでの道のりは、苦難に満ちていた。かつて、碧陽学園に存在した闇……金、権力、暴力を手に、すべてを覆いつくさんとする深い闇。それを打破した人物とは――!?
 たまにはシリアスもいいじゃない、ファンタジア文庫だもの。
 と、思いきや。デレないツンデレ・凶暴アイドル・微妙能力者・BL美少年と行く、奇想天外ぶらり湯けむらない京都の旅(つまり修学旅行)も収録。そして、なぜ真冬は表紙でスク水なのか。夢か幻か読者サービスか、その謎に迫る!……ってことはいつも通りか!

【感想】


生徒会シリーズ、通算10冊目。
いつも通り調子のいいボケと、ノリのいいツッコミの応酬が醍醐味の四コマ系小説です。

今回の話は、二年B組の修学旅行エピソードと、生徒会人気投票システムが作られた発端が明らかになる10年前の生徒会話の2本がメインで、あとは恒例の雑談が数話となっています。
何だか、本編よりもストーリーがあったり、根幹の話であったりするのは気のせい……ではないでしょうなぁw

過去の生徒会役員の日記を見つけ、以前の碧陽学園の様子を垣間見ることができる「始まる生徒会」が一番面白かった。
割と早い段階でオチは予想が付いたけれど、自由奔放な日記の書き方にはつい笑ってしまいました。

それにしても、本編と外伝あわせて100以上?の短編を書いて、なおも笑いを提供してくれる作者さんの技量には脱帽ですね。
基本的にキャラは増えませんし、大きな進展もありません。
似たようなことを繰り返しやっていて、マンネリも感じているはずなのに、何故か面白い。
破壊力はなくとも、購読を続ける気力が落ちないだけのクオリティは維持されています。
つまらないと感じる話もたまにあるけれど、そりゃまぁ仕方が無いんじゃないのって思いますよ。

しかし、本編に比べたら内容はあるけれど、それでも今更ネタバレなしで感想を書くようなことは、ほとんどないなw
中目黒がBL路線走りすぎていて笑えるどころか恐ろしいとか、巡の不憫さを見ていると杉崎にムカついてきたとか、真冬の駄目人間っぷりとか……あー、やっぱりいつも通りだなぁと思うわけですよ。

とりあえず、この表紙はまたしても買い辛くて困りました。

生徒会役員の選出が、どうして人気投票なのかが明かされます(短編集なのに)

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B 

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中の下! ランク1.中の下と言われたオレ 

中の下!  ランク1.中の下と言われたオレ (富士見ファンタジア文庫)中の下! ランク1.中の下と言われたオレ (富士見ファンタジア文庫)
(2010/02/20)
長岡 マキ子

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読書期間:2010/3/26~2010/3/28

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
バカ
ラブコメ
青春



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6




 「――つまり、貴方の男としてのランクは『中の下』です」
 変態の誉れ高い、聖☆ジュウゾー学園高校には、恋人を作ることを目的とする「カップル試験」がある。学園一の美少女を狙っていた、自称イケメン最終兵器の瀬木成道だが、美人教諭の「中の下」発言で失意のドン底に――。人はどこまで強くなれるのか。真実の愛とは何か。本作は、それらを熱く問いかける問題作である!
 ……あの、これ、第21回ファンタジア大賞〈金賞〉受賞作でして。大賞の次に偉いんです。運動会で言うと2着です。すごいでしょ!「内容も中の下か……」なんて、お約束のツッコミはナシでお願いします。こう見えてナイーブなんで!

【感想】


第21回ファンタジア大賞、金賞受賞作。

聖☆ジュウゾー学園には「カップル試験」と呼ばれる独特の制度がある。
学園の創設者兼理事長の意向により、一年の期間を要して恋人を作れというものだった。
学園ランキング1位の男女と相思相愛になったものは、何でも一つ願いを叶えてくれるという。
理事長の孫である主人公・瀬木成道は、とある目的のために学園一の女の子を狙いにいくが……というストーリー。

なかなか面白い学園ラブコメでした。
しかし、これは一歩間違えると、評価はまるっきり逆になってたかもしれません。
自分は楽しめましたけど、引っかかりを覚えた人がいても何ら不思議ではないですね。

それもこれも、主人公の瀬木成道が、かなり癖のあるキャラクターだからです。
いわゆるおバカ系キャラの傾倒なんですが、単純思考の持ち主で客観的な視点が欠けています。
超がつくほどのナルシストで、自己賛美がイタイ性格には誰しも抵抗を覚えるのではないかなと思います。

それだけだったら、単純に最低な人間と評するだけで終わるところですが、自身が「中の下」であることを認識し始めると、徐々に内面が改善されていきます。
この成長する姿が、見ていて清々しい気分にさせてくれるんですよ。
もちろん、まだまだ足りないところとか、正すべき点などは山ほどあるんですが、情けない姿も逆に人間味があって憎めないんですよねぇ。
まぁ、スタート地点が「中の下」どころか、下の中ぐらいの低い位置にいる人間なんで、より成長度を感じることができるんでしょうがね。
悪気がないのは一人称の地の文から伝わってきますし、ポジティブに勘違いするところを見ると、根はイイ奴なんだよなぁと思わされます。

また、脇役もイイ味出しています。
その筆頭が、学園一と名高いイケメン・黒川将です。
ネタバレになるので詳しくは言えませんが、この設定によるキャラ付けは上手いなと思いましたね。
一気にキャラが立って面白くなりました。

ヒロイン候補は今のところ3人。
どの娘もそこそこ可愛いものの、決定打に欠ける印象がありますね。
強いて言うならば、ランキング1位・通称ヴィーナス候補である瑞本絽美は純情で良かったかな。
次からが本番みたいなものなので、今後のイベント展開に期待したいところです。

それにしても、何となくファンタジア大賞はお堅いイメージがあったので、こんなダラダラと読むのに最適な類の本が受賞するとは意外でした。
完成度の高い物語もいいけれど、こういったネタに走ったような作品があってもいいと思うので、個人的には歓迎ですね。

酷い性格で駄目人間の主人公が、己の欠点を自覚し成長していく学園ラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  中の下!  長岡マキ子  ごまえ  評価B 

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生徒会の七光 碧陽学園生徒会議事録 7 

生徒会の七光  碧陽学園生徒会議事録7 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の七光 碧陽学園生徒会議事録7 (富士見ファンタジア文庫)
(2009/12/19)
葵 せきな

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読書期間:2010/1/15

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ギャグ
パロディ
メタ



 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 ようこそ、私立碧陽学園生徒会室へ!美少女役員四人+おまけ一人、生徒諸君のため、今日も汗水流して駄弁っております!!
 今回、ひとりの少年が己のこれまでの行いを悔い、宣言した。
 「ここは俺のハーレムでは、ありません」
 ――衝撃だった。
 季節はうつろい、刻一刻と迫ってくる「その時」。だけど俺達は、私達は、現実から目を逸らしちゃいけないんだ。
 そして、少年……杉崎鍵は、ハーレム放棄宣言のみならず、さらに告げるのだった。「残響死滅……」と。
 気になるあの人やその人も登場して、ついに物語は動く――か?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


アニメ最終回と同時期に発売された生徒会シリーズ、本編第7巻。

あれ、ここ最近のマンネリ感が嘘のように面白いぞ?

もしかすると、シリーズ内で1,2を争うほどお気に入りかもしれません。
ギャグのキレが冴えていて、常に笑っていられた感じがします。
好みの問題なんだろうけど、今回はツボに入ったなぁ。

シリーズ開始直後のようなパロディネタは少なくなり、自前のネタで勝負しているところに好感持てますね。
いやまぁ、メタやパロディが悪いわけではないですが、どうしても飽きが来やすいですし。

これまで名前のみの登場だった杉崎の幼馴染み兼元彼女・飛鳥が初お目見え。
相当曲者であるだろうとは想像できていましたけど、知弦とはまた異なるベクトルで悪女だなぁw
杉崎を困らせるのが生きがいと言わんばかりの対杉崎ドSな性格によるテンポのいいボケが面白い。
いつもシリアスで正直面白くないと感じるプロローグとエピローグが、彼女のお陰で随分と楽しかったです。

本編のエピソードも良いモノばかりで、ハズレはありませんでした。
その中でも特に面白かったのが第2話「失われる生徒会」ですね。
記憶喪失となった杉崎が、生徒会の空気の異常さに大きなリアクションで突っ込んだり、ピンポイントで妙なところを思い出したりするのが馬鹿馬鹿しくてハマりましたw
冷静に考えてみたら、笑っていられる状況じゃないはずなのにねw

第3話「三度の生徒会」は定番のガチネタになりつつあるラジオ話。
毎回似たようなことしかやっていないのにも関わらず、笑ってしまうんですよねぇコレ。
会話だけで成り立つ小説だからこそできる芸当ですねw

終わりが近いことを登場人物達が感じ取り、微妙にシリアスな雰囲気になるシーンが目立ちましたが、まぁ許容範囲内。
笑い一直線でいいと思うんですがね。

当たりの回でした。
この調子で続巻も頑張って欲しいなぁ。

仲がイイ者同士だからこそ、いじめレベルのボケが面白いじゃれあいとなっていて楽しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B+ 

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生徒会の月末 碧陽学園生徒会黙示録 2 

生徒会の月末  碧陽学園生徒会黙示録2 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の月末 碧陽学園生徒会黙示録2
(富士見ファンタジア文庫)

(2009/09/19)
葵 せきな

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読書期間:2009/9/25~2009/9/26

【評価……B-
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
ギャグ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
パロディ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
メタ ★★★★★★★★☆☆
 … 8

私立碧陽学園生徒会――そこは、美少女メンバー四人が集う楽園だが、楽園のご主人様(←妄想)である杉崎鍵は今、美少女達を裏切り、オトナの世界へ旅立とうとしていた。いや、杉崎だけではない。いたいけな腐……じゃなくて婦女子の椎名真冬も、また。
人は皆、様々な経験を経てオトナになる。生徒会のメンバーだって、例外ではないということだ。さあ、オトナの世界へ向かって飛びだそう!碧陽学園生徒会と一緒に!
――ってことで、久しぶりにやってきました「黙示録」。今回も、どこに行こうとしているのか分からない少年少女達の書き下ろしが満載だ。いやー、ガッカリだよ。ガッカリオブザイヤーだよ!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「生徒会の一存」シリーズ番外編その2。
ドラゴンマガジンに連載していた話よりも書き下ろし分の方が多いので、雑誌で見た人も楽しめます。

うーん、個人的には微妙でした。
いつも通り笑えるところも多々あったのですが、キャラが肌に合いませんでした。

ギャグだと分かっていても、さすがに今回の杉崎と真冬はウザったい。
面白いと感じながらも、ムカムカする感情が芽生えてしまいました。
生徒会室でメンバーが好き勝手に遊んでいるのはいいけれど、バイト中に同じ空気を持ち込まれると途端に辛くなる。
天丼ネタの「杉崎鍵の放課後」はハイテンポのギャグが非常に出来が良かったのに、心の底では引っかかってるところがあって楽しみきれませんでした。

あと、これはシリーズ全体の特色で、ひたすら悪ふざけで展開するにも関わらず最後の最後でイイ話に持っていこうとする風潮が苦手なので、今巻の各エピソードのオチは後味が悪かったです。
みんな仲良く!というのが嫌いなわけじゃないのですが、それができる作品は限られると思うんですよね。

マンネリという意味では、本編よりも多くのキャラが出ていたり、場所も限定されないおかげで感じませんでした。
むしろ勢いよく突っ走りすぎているぐらいです。
キャラも全員が駄目というわけではなく、宇宙姉弟や深夏は見ていて楽しかったですね。

アニメも結局3話目以降見てなくて、HDDに溜まっている状態なので消化しないとなーと思うんですが、なかなかその意欲が湧きません。
飽きてきている、というのとは少々違うと思うんだけどなぁ。

本編と同じノリでも主要キャラや場面が異なるため普段とちょっと違う印象を受けます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B- 

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生徒会の六花 碧陽学園生徒会議事録 6 

生徒会の六花  碧陽学園生徒会議事録6 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の六花 碧陽学園生徒会議事録6
(富士見ファンタジア文庫)

(2009/07/18)
葵 せきな

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読書期間:2009/7/26~2009/7/27

【評価……B
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
ギャグ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
パロティ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
メタ ★★★★★★★★☆☆
 … 8

ようこそ、私立碧陽学園生徒会室へ!美少女役員四人+おまけ一人、生徒諸君のため、今日も頑張っております!!
ついに今回、生徒会顧問自ら、君達に問う。「生徒会の一存」という物語の存在意義を!タイトルは苦し紛れだし、刊行時期は現実とズレがあるし、そもそもいい加減マンネリ気味だろう!
そこでアレだ。超展開!ページをめくった次の瞬間、色んな意味でドッキドキの展開がキミを待ってるぞっ☆
勇者ケン・スギサキ、魔法使いウィンター、武闘家サマー、賢者モミジ。俺達の冒険はまだ始まったばかりだぜ!行くぜ!未来へと向かってジャンプ!……おや、一人足りないよ?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


アニメ絶賛(?)放送中の生徒会室コメディ、本編6冊目。
この本が発売されたときや、実際に読んだときはもちろんまだ始まっていない時期でした。

とうとう登場人物もマンネリって言っちゃったよ!
ネタも被っていること増えてきたし、さすがにそろそろ厳しい……か?

相変わらず、笑わせてくれます。
ほとんど漫画を読んでいるような感覚で、良くも悪くも流し読みできますね。
オタクの娯楽としては、かなり適している本じゃないでしょうか。

でも、畳みかけるようなボケとツッコミの繰り返しのキレは健在ですが、ギャグのインパクトは薄れつつありますね。
やっぱり笑いってのは意外性がないと、勢いが落ちるもんなんですねぇ。

一応、存在しているストーリーは「企業編」から「卒業編」に突入しています。
どちらにせよ、要らないなぁと思ってしまいます。
この作品のシリアス要素には、どうも肌が合いません。
ギャグ本編で無理やりイイ話風に持っていくのも、気になってしまいます。

表紙のくりむは一瞬胸元がセクシーに見えますが、谷間の線を書いているだけです。
そこんところ分かってますか、店員さんっ。

色々と語りましたが、結局いつも通りの内容でしたという一言で説明できますね。
個人的には、全く飽きがないわけではないですが、まだまだ面白いシリーズです。

ずっと変わらないパロメタ満載の四コマ風ギャグ小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B 

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生徒会の五彩 碧陽学園生徒会議事録 5 

生徒会の五彩  碧陽学園生徒会議事録5 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の五彩 碧陽学園生徒会議事録5 (富士見ファンタジア文庫)
(2009/04/20)
葵 せきな

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読書期間:2009/4/20~2009/4/21

【評価……B+
設定 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
物語 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
ギャグ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
パロディ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
メタ ★★★★★★★★★★
 … 10

私立碧陽学園生徒会室――そこは、選ばれし者だけが入室を許される聖域にして楽園ですが何か?
ああっ、待ってお客さん。表紙が杉崎だからって、買うのやめないで――――!!一応うちのイケメン(痛すぎる自称)なんです!
ほら。この本をレジまで持っていけば、あーら不思議。中目黒善樹の気持ちがちょっとだけわかります……って、それの何が嬉しいだよ!ひとりボケツッコミ、寂しすぎる!
でも、すごい内容になっているんだよ?あの人の妹が出てきたり、いよいよあの話に決着がついちゃったり……え、いつも同じこと言ってるって?ふ、ふん。あとで後悔しても遅いんだからねっ!

【感想】


メタ要素満載の痛快ギャグコメディ、第5巻。
口絵の真儀瑠先生と桜野くりむの体がむっちむちでエロい件については以下省略。

悔しいけれど、毎回笑ってしまいますね。
生徒会室でくだらない雑談を繰り広げているだけなのに、テンポの良いギャグとツッコミがたまらなく楽しい。
正直、1回読んでしまえば満足してしまうところはあるんですが、その分初見の破壊力はデカいです。

ただ、笑いと同時に本気で登場人物にムカつくときもありますね。
誰とは言いませんが、ギャグと分かっていても、ウザいと感じてしまいます。
これまではギリギリのラインで踏み止まっていたところが、イラついたり、引いてしまったりする点もあり、良くも悪くも自重しないところがこのシリーズの売りなんだよなぁと改めて実感しました。
アクが強過ぎるのが、人に勧め辛い理由なんですよねぇー。

あと、一応ストーリー的なものであった「企業編」がこの巻にて完結しました。
言葉を濁さずぶっちゃけると、どうでもいい内容ですね、これ。
もっとはっきり言うのであれば、つまらなかったです。
一貫してコメディであった方が絶対にイイと思うんですけどね。

この作品内でのシリアスな雰囲気が徹底的に肌に合いません。
それを除けば、ネタの好みの違いなどはあっても、ほぼ文句なしに褒めちぎることができるんだけどなー。

いつも通りとしか言いようのないギャグ小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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BLACK BLOOD BROTHERS 11-ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生- 

BLACK BLOOD BROTHERS11  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)BLACK BLOOD BROTHERS11 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 賢者転生― (富士見ファンタジア文庫)
(2009/05/20)
あざの 耕平

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読書期間:2009/5/20~2009/5/21

【評価……A+
設定 ★★★★★★★★★
 … 9
物語 ★★★★★★★★★
 … 9
人物 ★★★★★★★★★★
 … 10
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★★★
 … 10
燃え ★★★★★★★★★★
 … 10
完成度 ★★★★★★★★★★
 … 10

ジローは進む。星一つ分の死と再生を繰り返しながら。コタロウ、そして――ミミコ。彼の心臓をノックする、大切な存在の為に――。
ついに最後の戦いの火蓋が切られた『九龍の血統』とジローたち。ジローに応え特区へと向かったミミコ、ケインやジャネットら各地の精鋭が特区に到着する中、ジローは九龍王との対決の時を迎える。鍛えなおした銀刀を操り『九龍の血統』を圧倒するジローを前に、追いつめられたカーサたちは、最後の手段に打って出る……!
「ジローさん!お願いっ。諦めないで!」
――大切な、愛する者たち。その為に今、全てを捧げよう。
黒き血の兄弟と一人の少女が紡ぐ、血と絆の物語、ついに完結!

【感想】


BLACK BLOOD BROTHERS」シリーズ、堂々完結。
吸血鬼サーガの幕が下ります。

感無量。

渦巻く切ない想い。
一向に熱が引かない目頭。
息を吐くたび漏れ出す疲労感の心地良さ。

素晴らしかったです。
言葉で表現すると、そのどれもが今の自分の気持ちに当てはまらず、もどかしくなります。
だから陳腐だとしても何度でも言います。
本当に素晴らしかった!

◆ 内容

富士見ファンタジア文庫史上、歴代1位タイのページ数はずっしりと重みを感じる533ページ(あとがき除く)。
膨大な量でありながら、それを全く苦とさせない内容となっていることは保障します。
むしろ、読み終わってみると、よくこれだけ充実した内容を1冊にまとめることができたなと驚くくらいです。

これまで積み上げてきたものが解放されていく快感にアドレナリンが出まくり。
ギリギリの局面で必死に生きる彼らの姿が、熱い『血』の声を読者の胸の奥まで訴えてきます。
揺ぎ無い信念を持つ者の格好良さには人間も吸血鬼も差はありません。

緊迫した展開の連続に、ページをめくる手どころか全身に汗をかきます。
時間を忘れて、ただただ没頭して読みました。

◆ 物語

切なさを越えた先にあったものは、痛みと希望でした。
どうして世界はこうも酷なんだろうと思わざるを得ません。

しかし、覚悟を決めた彼や彼女らは、迷いを抱えつつも不器用なくらい一直線で、それが眩しいくらいに格好良かった。
読者の自分の方が心の整理が出来てないくらいで、避けられない戦いに苦しみと悲しみがいつまでも胸にこびりつきました。

築き上げてきた土台からなる幾つもの伏線が、一つ一つ丁寧に解かれていきます。
それでも、もっと描いて欲しかったと思うのは欲張りでしょうか。
想像で済ませるにはあまりに勿体無い話が残ってしまった気がします。

エピローグは長めで、余韻に浸れる良い終わり方でした。
様々な因縁が収束したのち、これから始まる新たな物語の息吹を感じることができます。

ラストシーンの予想はできなかった……というよりもしたくなかったので考えていなかったのですが、読んでみるとこれ以外有り得ないだろうと思えました。

◆ 総評

この「BLACK BLOOD BROTHERS」という本は、おそらく一生忘れることのない本の一つだと確信しています。
それだけ自分にとって特別であったという想いに今もなお溢れています。

もちろん、作品のレベルの高さは言うに及びません。
自信を持って人にお勧めできます。

この本に出逢えて本当に良かった。
あざの先生、お疲れ様でした。
そして、ありがとうございます!

⇒ 【 「BLACK BLOOD BROTHERS11 -賢者転生- 」簡易感想 】


熱く、切なく、そして深さを感じる重厚な物語が余韻を強く残します



以下、ネタバレ感想です。
最終巻まで読んだ方のみ開いてください。
-- 続きを読む --

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  BLACK_BLOOD_BROTHERS  あざの耕平  草河遊也  評価A+ 

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BLACK BLOOD BROTHERS 10-ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣- 

BLACK BLOOD BROTHERS10  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣― (富士見ファンタジア文庫)BLACK BLOOD BROTHERS10 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 銀刀出陣― (富士見ファンタジア文庫)
(2009/04/20)
あざの 耕平

商品詳細を見る
読書期間:2009/4/18~2009/4/20

【評価……A
設定 ★★★★★★★★★
 … 9
物語 ★★★★★★★★★
 … 9
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★★★★★★★
 … 10
燃え ★★★★★★★★☆☆
 … 8
期待感 ★★★★★★★★★★
 … 10

1997年。アリスやジローと共に香港に滞在するカーサは、リズと名乗る1人の吸血鬼と出会う。自分と同じ“混血児”のリズに衝撃を受けつつも、カーサは彼女にかつてない親愛の情を覚える。
月下で蠢き始めた、新たな“脈動”。アリスとジロー、そしてカーサにとっての百年の夜が、静かに終わりを告げようとしていた。
そして現在――2009年、シンガポール。各国の有力血族を迎えたミミコは、特区奪還の手応えを感じながら、待っていた。
たった一振りの剣。ミミコにとってただ1人の吸血鬼を。
「いつまで経っても、遅刻魔なんだから」
すべての未来を賭けた『聖戦前夜』が、今、最後の幕を開ける……!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


小説に限らず創作物に対して、言葉が出てこないほど感銘を受けることが偶にあります。
内心では、キリがないくらい語りたいと思っているのに、上手く言語化できないんです。
それは、それだけ作品に夢中になっている証拠なんでしょうね。

BLACK BLOOD BROTHERS」は、それが偶にではなく頻繁にあるから嬉しい。
この10巻も、素晴らしく良かったです。

▼聖戦前夜 ― 1997

10巻の内容は前半と後半で大きく分かれています。
前半の舞台は過去の香港。
あの「香港聖戦」が起こるまでの経緯が、カーサの視点で遂に明かされます。

カーサの葛藤が、苦悩が、ありありと綴られています。
もともとただの悪役ではなかった彼女ですが、こんな閉塞感に苛まれる姿を見たら、とても憎めません。
彼女の選択を誰が責められようか。
BBBにおいて、カーサは間違いなく主人公の一人だと改めて確信しました。

▼聖戦前夜 ― 2009

後半は、時間軸が戻って現代。
順調に特区奪還の準備が整いつつあるカンパニー。
しかし、そう簡単には事が進むわけもなく……。

カンパニー勢力は頑張っているとは思いますが、まだまだ先読みが甘いですね。
きっと陣内がいれば、こうも後手後手に回ることはなかったんでしょうけど。
まぁ、他にも役者は揃っていますしね。

我ら『賢者イヴ』の血族、現時点をもって宣戦する

神懸かっている帯のセリフより。
文中のセリフとは若干違うんですけど、実際に出てきたときは全身痺れました。

今回の話は、先がバレバレの展開でしたので驚きこそ少なかったですが、分かっていても燃えました。
ジローが格好良すぎて別人みたいでした。
まるで主人公みたいじゃないか!
ちょっとくらいヘタれている方がジローらしいと思ってしまうんだ、うん。

そういえば、表紙絵のジローもキマってましたね。
居合の構えや鋭い眼光がカッコイイ。
10巻の草河さんの絵はイラストによって質の差が激しかったのが残念ですが、表紙やラストの絵は素晴らしく良かったです。

◆残すところは最終巻のみ!

クライマックスへ向けて、とうとうカウントダウンが始まりました。
ジローも、ミミコも、コタロウも走り出したらあとは最後まで突っ走るしかありませんよね。

『九龍の血統』の面々は果たして生き残れるのか。
因縁の対戦カードは、いくつ実現するのか。
そして、カーサは救われるのか。

期待値の上昇が止まらない内容でした。

遂に明かされる過去の経緯に胸が詰まります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  BLACK_BLOOD_BROTHERS  あざの耕平  草河遊也  評価A 

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生徒会の四散 碧陽学園生徒会議事録 4 

生徒会の四散  碧陽学園生徒会議事録4 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の四散 碧陽学園生徒会議事録4 (富士見ファンタジア文庫)
(2009/01/20)
葵 せきな

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読書期間:2009/2/8~2009/2/9

【評価……B+
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
ギャグ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
パロディ ★★★★★★★★★★
 … 10
メタ ★★★★★★★★★★
 … 10

私立碧陽学園生徒会室――そこは、選ばれし者だけが入室を許される聖域にして楽園(かどうかは最近微妙)。
思わせぶりなタイトルでお届けする、長編第4巻。やっべ、ついに来ちゃった?ライトノベル的展開!会長がツチノコを探してみたり。杉崎がプロポーズをしてみたり。真冬のポジションが杉崎レベルにまで堕ちてきたり。うん、見事なまでにいつも通りだね!
と思っている君、刻の涙を見ちゃうかもよ?
さらに今回、受験生にはありがたーい「会長の勉強法」までお付けして、お値段すえおき……えーと、値段はこの上を見てください。
ともあれ、一年の計は「生徒会」にあり。今年もよろしくね!

【感想】 

ただの雑談だけで日が暮れる生徒会パロディコメディ、本編第4巻。
まぁ、本編と短編の区別があってないようなもんですが。

この巻の帯で発表されましたが、「生徒会の一存」シリーズがアニメ化ですってよ。

……うーん、チャレンジャーだなぁ、色んな意味でw
大体、動きがほぼないですよ、この作品。
ひたすら生徒会室で座って喋っているだけなのに、アニメーションにする意味は果たしてあるんでしょうか。
あれか、各キャラの妄想発言を絵にするのかな。
それはそれで、ぶっ飛んだことになりそうだなぁ。
イメージとしては「げんしけん」のように個室でオタク達が集まり「らきすた」のように少女たちが雑談するだけという感じになるのかな。

閑話休題。

今回もまたパロディネタとメタ要素の嵐でしたね。
ここまで伏せ字の多いライトノベルは、他にはまずないでしょう。
自分は、そのうち99%は理解できましたけど、分からない人にとっては全く面白くないでしょうね、これw
どんどんマニアックになってきているから、付いて来れない読者もいるんじゃないでしょうか。
ニコニコ動画は基本中の基本、アニメ・ゲーム・ライトノベル全般の知識が求められます。
「世界平和は一家団欒のあとに」まで出てきたときは驚きました。

ギャグパートは本当に面白いです。
途中、笑い過ぎてお腹が痛くなったほどですからw
勢いに乗ると容赦ないボケとツッコミの応酬が楽しくて、声を洩らさないようにするのも大変なぐらいです。

しかしながら、シリアスパートが増えているのが気になる……。
あまりに温度差が激しいものですから、どうしても受け付けにくいんですよねぇ。
何度でも言いますが、ぶっちゃけシリアス要素は不要です。全く要りません。
次で第一部完となるらしいですけど、どのように締めくくるのか多少の不安が残りますね。

最後にこれだけは言っておきたい。

「第2話~予想する生徒会~」の深夏は可愛かった!
「第5話~教える生徒会~」の会長は激しくウザかったw

人を選びまくるパロ&メタのオンパレード。ツボにハマればもう抜け出せない

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B+ 

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MA棋してる!① 

MA棋してる!(1) (富士見ファンタジア文庫)MA棋してる!(1) (富士見ファンタジア文庫)
(2008/10/20)
三浦 良

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読書期間:2009/1/29~2009/1/31

【評価……B+
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7

「これは賭け」
撃ち込まれた魔法の弾が耳元で風を切る中、そのオカメインコは、はっきりとした日本語で少女に告げた。
「奏がちゃんと構築できれば、奏だけのオリジナル魔法手続きができる。できなかったら――もう魔法は使えない」
奏と呼ばれた少女は頷いた。ルールがあって、縛りがあって、真っ白に戻せる魔法の仕組み。奏には一つだけ心当たりがあった。幼いころから慣れ親しんできた、将棋。将棋がわたしを助けてくれる。
異世界の王位決定戦に巻き込まれた小学生・奏が、大好きな将棋のルールで友達を守り抜く!友情と戦略の異種魔法バトル、開局!

【感想】

ライトノベル界隈では非常に珍しい将棋を題材にした作品。
しかも、魔法少女との組み合わせ。
この発想はイイね。

かつて将棋を少しかじっていた時期のある自分にとっては、惹かれないわけがありません。
興味を持って調べてみたら、絵師さんがぽぽるちゃさんじゃないですか!
電撃文庫の『クリスタル・コミュニケーション』を読んだのが、今からもう5,6年ぐらい前になりますが、その時以来のファンです。
この時点で購入確定となりましたね。

物語は、小学5年生の女の子・白瀬奏(しらせ かな)が、下校中に異世界からやって来た喋るオカメインコのソフィーと出会うところから始まります。
ソフィーが元の世界に戻るために奏は協力を申し出るが、何故か面倒な王位決定戦に巻き込まれてしまう話。
いかにも魔法少女モノらしい展開で、今回は1巻丸ごと使ったプロローグのため、土台作りに徹した内容となっています。

10歳という微妙な年頃の女の子を違和感なく描き切っているところが凄い。
奏は同年代と比べても大人びた性格をしているんですが、それでも所詮は小学生、まだまだ子どもです。
幼さを残した行動や発言が純粋で、心が洗われるかのような微笑ましさがあります。
いわゆるロリロリなキャラ付けをしていないので、ロリが苦手な人でも大丈夫だと思います。
気分はまるで可愛い娘を持った父親ですよw

魔法少女には必ず出てくる可愛らしいペットの相棒が出てきますよね。
それはネコだったり、フェレットだったり、ケルベロスだったり。
今作に登場する主人公のパートナーのオカメインコもまた見た目は可愛らしい存在です。
中身はお金儲けしか考えていない大雑把な文学系キャラで、可愛いというよりも笑えますw

この作品の最大の魅力は何といっても、将棋魔法ですね。
オリジナル魔法を構築する設定そのものがいい味出しています。
盤面を魔方陣に、囲いを防御結界にするなど、見事に魔法らしい効果を付与させています。

将棋のルールが分からない人でも優しく丁寧に説明してくれています。
とはいえ、駒の動かし方ぐらいは知っていた方が読みやすいのは確か。
頭の中で盤面を展開できて、ある程度手筋を読めると、より楽しめます。
「穴熊囲い」や「スズメ刺し」など将棋用語が出てきたときは、ニヤリとしちゃいますね。
ただし、監修が付いているわけでもないので、誤字なども見受けられますね。
許容範囲内なので問題にするほどでもありません。

しかしながら、多少のアレンジは適用できるとはいえ、将棋のルールに縛られながら物語を考えるのは大変そうですね。
相手も将棋魔法を使ってくるのであれば戦わせやすいけど、そうではないですからね。
オリジナル魔法の相性によっては、将棋魔法では全く勝てる気がなさそうなものまで出てきそうです。

ぽぽるちゃさんのイラストは文句なしに良かったです。
カラーに比べてモノロクでは適当になる絵師が多い中、全体的に綺麗に仕上げているところは凄く好感が持てます。

多少、敷居が高いところがあるかもしれませんが、個人的にはお勧めしたくなる作品ですね。
売り上げが微妙だったという話なので、続きが出るかどうかだけが心配です。

将棋を魔法にした戦術的な駆け引きが面白い

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  MA棋してる!  三浦良  ぽぽるちゃ  評価B+ 

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BLACK BLOOD BROTHERS s6-ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集- 

BLACK BLOOD BROTHERS(S)6  ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集― (富士見ファンタジア文庫)BLACK BLOOD BROTHERS(S)6 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集― (富士見ファンタジア文庫)
(2008/10/20)
あざの 耕平

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
安定感 ★★★★★★★★
 … 9

「ううっ……くそう部長め……たまに仕事を回してきたと思ったら、吸血殺人事件絡みだなんて前代未聞よ……くそう……呪ってやる」
「ミミちゃんぼくそれ知ってる!敵に塩を送るってやつだよね!!」
「コタロウ。この場合は厄介ごとを押しつける、の方が正しいかと」
「あーもうあったま来た!!いい二人とも!こうなったら絶対にこのヤマ解決するわよ!元クイーンMをなめんじゃないわよ!?」
護衛のジロー&コタロウと共に、特区で調停屋稼業に勤しむ葛城ミミコ。『カンパニー』からある依頼人を紹介されるが、『月匠ゴーバン』に連なるエリーゼというその美女は、何やらワケありで!?
騒がしくも優しい3人の日々。特区で過ごす、最後の月の夜――。

【感想】 <本編9巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


吸血鬼兄弟と調停員ミミコの特区の日々を描いた短編集、第6弾。
これが最後のBBB短編集になるそうで、寂しいですね。

短編集の締めに相応しい、素晴らしいお話でした。
こんなに読み応えのある話を持って来てくれるのであれば、これが最後でも大満足です。

今回は、連作小説となっているので、短編集というよりも外伝といった方が正しいかもしれません。
正規のストーリーの合間に作られるアニメの映画の感覚に近いです。

物語は、「月匠ゴーバン」の血統に連なるエリーゼという美女が特区に来訪したところから始まります。
彼女がミミコやジローを大きな事件へと巻き込んでいく……という展開です。

本編6巻直前の話ということで、この先に待ち受けている未来を知っているわけですが、それでも戦いの緊張感は一切削がれておりません。
剣の呼吸から武者震いまで、まるで視えているかのように流れ込んでくる文章には圧倒されます。
文章は量ではなく質で語るものだというのは当然なんですが、それを実践できているラノベ作家が一体どれだけいることやら。
あざの耕平さんの洗練された文章は、やはり一線を画していますね。

キャラクターでは、嬉しい再登場が何人かいました。
本編で出番のなくなったキャラや、短編でチョイ役で出てきたキャラなど懐かしさを感じました。
特に後者のキャラは、個人的にお気に入りだったので、あのまま埋もれさせることなく書いてくれたことに感謝したいですね。
誰のことかというと……まぁ、あとがきを読んでも分かるんだけど、一応ここでは伏せておきます。

それ以外にも、エリーゼをはじめとする新キャラクターたちが、既存キャラに負けないぐらい魅力たっぷりに描かれてます。
ジロー達の敵側にいる吸血鬼が、ただの三下キャラではないのもいいですね。

シリアスな連作の締めにある第7話「満月の夜に」は切なくも温かい話でした。
帯にもあった「あの夜の満月は、今も、輝いてる」という言葉は忘れられそうにありません。
いつかまた、こんな平和な特区の日々が帰ってくることを信じたいと思わされました。

そして、最後の短編集ということで過去編である「BLACK BLOOD CHRONICLE」も今回でラスト。
ドラゴンマガジン連載分が緊迫した連作だったためか、今までとは打って変わってギャグ路線でした。

内容は、ジローとカーサが密着しているところをアリスが見てしまい笑いながらキレるという話。
いやぁ、アリス怖いな……w
あのカーサが精神的に参っている姿が恐ろしさを倍増させます。
舞台が聖域ということで、初期に登場しながらも出番の少なかった北の黒姫とクロウもたっぷりと出番が用意されています。
何気に好きなキャラだったので嬉しかったです。

さて。
予定通りいけば、残すところ本編2巻分のみ、ですか。
待ち遠しいような寂しいような複雑な心境です。
とりあえず、ラスト2巻はテンション持続させて読みたいので、出来れば2ヶ月連続刊行にして欲しいなぁーと勝手な希望を言ってみたり。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  BLACK_BLOOD_BROTHERS  あざの耕平  草河遊也  評価A- 

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生徒会の日常 碧陽学園生徒会黙示録 1 

生徒会の日常  碧陽学園生徒会黙示録1 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の日常 碧陽学園生徒会黙示録1 (富士見ファンタジア文庫)
(2008/09/20)
葵 せきな

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
バカ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ギャグ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
パロディ ★★★★★★☆☆☆
 … 7

私立碧陽学園生徒会――そこは、会長をはじめとする美少女メンバー四人が集う楽園だが、唯一の異性にして汚点が存在する。
その汚点……え、大黒柱って言え?まあいいやどっちでも……副会長の杉崎鍵には、誰も知らないもうひとつの顔があった。
過去にドラゴンマガジンに収録された短編に加え、杉崎の女・金・闇の仕事があばかれる衝撃の書き下ろし作が、ついに登場!
……なんて一応言ってみたけれど、実際のところは、色々なところで地味に宣伝活動をしてきた生徒会の相も変らぬ日常会話を惜しげもなく詰め込んだ、嬉しいんだか嬉しくないんだかわからない短編集です。「もとから短編じゃん」なんて言わないで、ね?

【感想】


生徒会の一存」シリーズ番外編その1。
本編とは少々趣向が異なるものの、やっていることはやっぱりいつも通りどうでもいい事ばかりです。
当たり前ですが、短編から読むと分からないネタもあるので、本編から読みましょう。

全部で7話が収録されている今巻。
そのうち前半の4話はドラゴンマガジンで掲載されていたもので、残り3話が書き下ろしとなっています。

ページ数の99%が生徒会室内での雑談話に割かれている本編と違い、この短編では舞台が固定されていません。
生徒会メンバーのクラス内での話や過去話、一応主人公っぽい杉崎鍵のいない日の生徒会など新たな「生徒会の一存」ワールドを見せてくれています。
普通は短編集だと本編の枠を越えてはいけないというルールに縛られるものだけど、これは逆ですね。
不思議なことにストーリーも番外編の方がしっかりとあるくらいです。

面白かったのは、やはり今回のメインである「二年B組の一存」かな。
真冬の妄想でしかなかった美少年・中目黒が転校してきて、さぁ大変という話。

どこからどうみてもBL路線ですね、わかります。

杉崎が必死にBLルートに流されないようにしているのに、次々とフラグを立てていくのが面白い。
そりゃあ、そんなに親切にしていたら好かれてしまうのも仕方ないだろうにw

さらに杉崎と深夏のクラスメイトである新キャラ・が見ていて楽しいね。
生徒会メンバーや中目黒に負けないくらいキャラクターが濃くて、もう何というかお腹一杯ですw

シチュエーションやら設定やらは本編よりも良かったと思いました。
パロディネタが控え目(というと少ないように思えますが、本編が多すぎるだけで十分この本も満載)なのも、ストーリーを追うという点ではプラスに働いたかな。
まぁ、そのストーリー自体はそんなに面白くないんだけどさw
純粋なギャグ小説として読めますので、何故か本編より敷居が低いですね。

それにしても、この表紙は外で読むには相当リスクを負わねばならないなw
それに帯にあったモザイク画像には悪意を感じたね。
本を買うとき絶対エロ本と思われたよアレ!

まぁ、それら全て中目黒が美少女にしか見えない外見のイラストがあったことで帳消しにしておきましょう。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B+ 

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生徒会の三振 碧陽学園生徒会議事録 3 

生徒会の三振  碧陽学園生徒会議事録3 (富士見ファンタジア文庫)生徒会の三振 碧陽学園生徒会議事録3 (富士見ファンタジア文庫)
(2008/07/19)
葵 せきな

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【評価……B+
舞台 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
バカ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ギャグ ★★★★★★★★
 … 9
パロディ ★★★★★★★★★★
 … 10

私立碧陽学園生徒会室――そこは、選ばれし者だけが入室を許される聖域にして楽園(多分)。
今日も今日とて何も起きない生徒会。
いやだがしかし、隣のイラストを見てみよう。驚きの美少女が――はっ、もしや新キャラ?美少女転校生あらわる?
……すいません、また嘘をつきました。再登場の藤堂リリシアさんです。
あー平和だなー。事件は会議室で起きてるんじゃない、そもそも起きていないんだ!
なーんちゃって。
って、あれ?実は結構、緊迫した事態に突入してますよ?
忍び寄る魔の手から、学園の平和を守れ!行け、生徒会戦隊ガクエンジャー!!

【感想】

美少女4人+エロ少年1匹の生徒会面々が贈る雑談記録3冊目。
このライトノベルがすごい!2009」第7位、新作に限れば堂々の1位という人気絶頂のシリーズです。

一言で言ってしまえば、今まで通り。
他愛もないことを生徒会室でワイワイ喋っているだけ。
それだけなのに何度も噴き出すほどに笑ってしまうぐらい面白いんですから、不思議です。

以上!

……いやぁ、この作品って、ネタバレなしだとシリーズ全部感想が同じになってしまうんですよねぇ。
代わり映えがしなさすぎる。
面白いからいいんだけどさw

パロディネタが今回もぶっ飛んでます。
他レーベルのネタがてんこ盛り。

たとえば、これ。

「あと、ムシウタとか禁書目録とかバカテスとか大好きだぜ」

※注意:「生徒会の一存」シリーズは富士見ファンタジア文庫です。

ちなみに上のセリフは、3巻の表紙を飾っている椎名深夏のものです。
生徒会の誇る美少女軍団の中で、彼女が一番(というか唯一)まともだと思うんだ。
ツッコミ気質なところや熱血的な一面など、個人的に好みです。
髪を下したイラストがあって、ツインテールやめてずっとそのままでいて欲しいくらいでした。

鍵も馬鹿だなぁ、深夏ルート一本に絞れば簡単に落ちるところまで来てるのに。
まぁ、あくまでハーレムENDを目指すからこそ鍵なのですが。

最後の最後に少しだけ新展開が見えていますが、あとがきを読む限り4巻になっても大きな変化はなさそうですね。
1巻の感想で書いたように、シリアスは要らないので、正直最後のシーンも蛇足だと感じます。
飽きるまではずっとギャグシーンを読み続けたいなぁ。
中身の薄いけれど、作品の面白さには全く関係ないという珍しい本ですね。

相変わらず点数にすると低評価ですし人にはお勧めしませんけど、僕は大好きです。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B+ 

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生徒会の二心 碧陽学園生徒会議事録 2 

生徒会の二心 碧陽学園生徒会議事録2 (富士見ファンタジア文庫 166-8 )生徒会の二心 碧陽学園生徒会議事録2 (富士見ファンタジア文庫 166-8 )
(2008/04/19)
葵 せきな

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【評価……B+
舞台 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
バカ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ギャグ ★★★★★★★★
 … 9
パロディ ★★★★★★★★★★
 … 10

私立碧陽学園生徒会室――そこは、選ばれし者だけが入室を許される聖域にして楽園……のはずだった。
突如現れた「生徒会顧問」を名乗る美女。彼女は不適に微笑んでこう言った。
「それは禁則事(自主規制)」
……すいません、また同じ手を使いました。嘘です。では改めてもう一度。
彼女は不適に微笑んでこう言った。
「この生徒会、今日でお終いだ。解散」
愛すべき日常をつづった記録の一端といえば聞こえはいいが、実は何も話が進んでいなかった第1巻。ここに来て、ついに物語に変化が!?
真実はぜひあなたの目で確かめてほしい第2巻、やっぱり妄想暴走絶好調!!

生徒会メンバーの雑談、その2。
内容は1巻と全く変わっていませんので、1巻で笑えた人は楽しめるはずです。

もはやここまでくると、漫才やコントを見ているような感覚ですね。
畳みかけるようなボケとツッコミに、何度も笑わせてもらいましたw

ライトノベルの中でも、ここまで中身の薄いものはなかなか見かけませんよ。
それは決して悪いことではなく、気楽に読みたいときにピッタリの本です。
本を読む速度が早い人なら1時間かからず読めてしまいそうです。

パロディネタの頻度が拍車をかけて増えていますね。
レーベルの垣根を越えているのは前回から変わらず。
さらに今回はジャンプネタがてんこ盛りです。
ざっと思い出すだけでも、ワンピース・ブリーチ・ジョジョ・こち亀・スラダン・テニプリの小ネタが混ざっていました。
もっと多かった気がするけど、あまりに多くて思い出しきれないぐらいです。

そういう意味では、人を選ぶ度合がさらに上がっちゃってますね。
ほぼ全部分かってしまったのは、本を楽しめているという意味ではいいんでしょうが、何となく複雑w

登場キャラでいえば、表紙イラストである知弦さんのドSっぷりが素晴らしかった。
会長の桜野くりむを見ていると苛めたくなる気持ちは非常によく分かりますw

思わず声を出して笑ってしまうという場面ばかりでした。
シリアス面が減少したため、ただのギャグ小説として読むことができた分、1巻より面白かった印象ですね。
一部のパロディネタはネタの鮮度が重要なので、読んでみようかなと思っている人は早めに読むことをお勧めしておきますよ。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生徒会の一存  葵せきな  狗神煌  評価B+ 

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