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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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はたらく魔王さま!5  

はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)
(2012/06/08)
和ヶ原 聡司

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読書期間:2012/6/14~2012/6/15

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
ラブコメ
ファンタジー
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 修理の終わった魔王城(築六十年・六畳一間のアパート)が、まさかの地デジ対応に!テレビなど贅沢品と思っていた魔王だが、芦屋の反対を言いくるめ、ついに薄型テレビ購入に踏み切る。
 とはいえ家電に詳しくない魔王たちは、日本の社会人代表として、恵美の会社の同僚・梨香を誘い、大型電気店に向かうことに。なぜか異世界の聖職者・鈴乃もそれに便乗し、魔王一行の“お買い物ツアー”がスタートする。そんな中、魔王に恋する女子高生・千穂に、危機が迫っていた――!
 フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、緊迫の第5弾登場です!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


庶民派の魔王と勇者が織り成すファンタジーコメディ、第5巻。
いつもよりもシリアス成分でお送りしています。

今回の内容は、何と真奥が働く立場ではなく消費者側に立ったお話。
とはいえ、随所に現代社会で生きる上でのコツみたいな話も挿入されており、相変わらずなシュールな一面もあります。

やっぱり生活感溢れるパートが面白いなぁ。
異世界の人間達が金を捻出してテレビを買おうと意気込むだけなのに、何故こうも楽しいんだろう。
小ネタの解説が、無駄にタメになるトリビアなところも含めて堪能できます。

まだ地デジ化前の時代背景ということもあって、今とは些か違う部分もありますね。
今ならもっとテレビの値段は安くなっているよなーと思いながら読んでました。
その辺りも、しっかり把握して書いているので安心できます。
恵美を携帯電話会社のお客様センターに勤めさせたりと、家電知識に詳しい作家さんだなぁ。

物語的には、進展しているのか停滞しているのか。
伏線をばら撒くだけで終わったような感覚を覚えました。
専門用語が多めな上に、真実を隠されている感が強いので、無駄にややこしくしているように見えるんですよね。
決して全てが駄目だとは言いませんが、日常シーンが素晴らし過ぎるだけに、邪魔に感じてしまうのが悲しいです。

キャラクターが魅力的なシリーズだなぁと再認識しました。
真奥と恵美に限らず、脇役もキャラが立っています。

芦屋と梨香のロマンス展開が、思っていたよりガッツリ入ってきて驚きました。
軽く流されるだけの要素かなと思いきや、いやはや今後大きな焦点になってきそうじゃないですか。
果たして実るかどうか……。全く予想できません。

一見ただのプロニートにしか見えない漆原のスペックの高さは、作品内でもトップクラスですね。
天使としての地位の高さだけではなく、狡猾で先見の明に長けています。
普段のダメダメさ加減とのギャップが、妙な格好良さを醸し出していて、何だか卑怯に感じてしまうほど。

鈴乃は、恵美と比べたら意外と素直に真奥達と打ち解け合っているところがニヤニヤしちゃいます。
世間知らずでボロを出すと慌てふためくところが可愛らしい。
うどんに執着するところなど、彼女も良い意味で日本に染まってきたことを感じさせます。
魔王軍に力の制限があるため、パーティー内では貴重な戦力となっているところが巧いなぁ。

敵ボスが仲間になったら弱くなるのはRPGの定番ですが、実に面白いことに、この作品では逆なんですよね。
確かに、新たな強敵を見せつけるのに、以前の敵役がやられるというのは効果的なのですが、あまりにも表現として強力すぎるため、逆にチープな印象を与えてしまったり、はたまたインフレを加速させることに繋がります。
勇者が魔王を討伐するRPGをモチーフにしているだけあって、その辺りのバランス感覚は抜かりありませんね。
漆原や鈴乃が、これ程までに頼もしい存在になるとは思ってもみませんでした。

情報の小出し方法に説得力がないのが減点対象かなぁ。
回りくどい説明をしたり、時間がないと遮ったり、全体的に構成が甘いのかもしれません。

4巻の千穂に引き続いて、表紙の鈴乃に惹きつけられます。
必ず3人以上が登場して、物語性を感じさせる表紙が好きです。
あとイラストに関しては、中盤にあった漫画のカット絵にはテンションを上げさせられました。

ファンタジー方面で面白くして欲しいのもあるけれど、それ以上に日常パートの配分を多めにして欲しいですね。
勤勉な魔王を見て、複雑な気持ちを抱く恵美や鈴乃を見るのが何より楽しいですから。

テレビを所望する魔王と家計を預かる悪魔大元帥の言い争う構図が面白可笑しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B 

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はたらく魔王さま!4 

はたらく魔王さま!〈4〉 (電撃文庫)はたらく魔王さま!〈4〉 (電撃文庫)
(2012/02/10)
和ヶ原 聡司

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読書期間:2012/5/5~2012/5/8

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
安定感
ラブコメ
ツンデレ
ファンタジー

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6


 バイト先のファーストフード店の休業で、職を失った魔王。さらに住居であるアパート、ヴィラ・ローザ笹塚も、ガブリエルとの戦いで壊れた壁を修理するため、一時退去しなくてはならなくなってしまう。
 職と魔王城を同時に失い失意の魔王は、大家・志波の勧めで“海の家”ではたらくことに。その店は、志波の姪だという女性・天祢が経営しているらしい。しかも、魔王に恋する女子高生・千穂や、魔王の命を狙う勇者・エミリアまでもが魔王を追って海の家にやってきて――!?
 夏で海でも仕事です!な、庶民派ファンタジー第4弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


庶民的感覚が根付いてしまった魔王と勇者のファンタジーコメディ、第4巻。
またもや現代日本を舞台にして巻き起こるドタバタ模様が繰り広げられます。

バイト先の改装による一時閉店と、アパートの改修が重なり、職と住居を同時に失った魔王。
路頭に迷う魔王達に、大家から救いの手が差し伸べられる。
大家の親戚が経営する海の家で住み込みバイトを募集しているという。
かくして、舞台を海に移し、魔王たちの夏が幕を開けます。

題して「海の家ではたらく魔王さま!」編です。
そのまんまですけど、そうとしか言いようがない内容となっているので仕方がありません。

いやはや、着実に面白さを増していますね。
期待度がますます上がってしまって大変です。

魔王がボロボロの海の家を再建させようと知恵を絞りだし、奮闘する様がメチャクチャ楽しい。
とにかくアイデアが素晴らしく、飛び出す案がどれもこれも感心させられます。
とても営業出来るような状態ではなかったのに、この説得力のある変化はスゲー。
さすが魔王さま、半端ねえ!
海の家で切り盛りするパートは、終始ワクワクさせられっぱなしでしたよ。

窮地を切り抜けようとがむしゃらになる姿が、下手な戦闘シーンよりも燃えました。
ルシフェルにも活躍の場が与えられましたしねw

真奥と恵美の間にアラス・ラムスが入ると、途端にアットホームな雰囲気となるのが和みます。
普段いがみ合っていても、教育だけは熱心なお父さんとお母さんって感じで、微笑ましい。
ツンデレを地で行く恵美が、徐々に態度を軟化させつつあるのも色々と美味しいですね。

ヒロイン的には、きっとちーちゃんこと千穂の方が人気高いんだろうなー。
個人的には、恵美=鈴乃>千穂って具合なんですがね。
千穂も良いキャラだとは思うんですが、恵美と鈴乃が好き過ぎて相対的に評価が下になっちゃいます。

お仕事に励むパートが秀逸な一方で、魔界と天界の動きは怪しくなってきました。
バトル展開よりも、日常生活に四苦八苦している魔王たちを見る方が圧倒的に面白いので、物語の主軸に関心が鈍くなっちゃうのが如何ともしがたいところ。
専門用語が頭に入ってきづらく、日常シーンとの隔たりを感じました。
一概に悪いとは言えないんですけど、もう少しシンプルでもいいかなと思いましたね。

029さんのイラストは、初期と比べると女の子の肉付きが良くなってきましたね。
表紙のちーちゃんのスタイルには、正直目を奪われました。
海といえば、もちろん水着の出番もあり、女性陣は期待通りの可憐さで、目の保養になりました。

伏線が埋め込められた印象の強い回でした。
シリアス路線に走るよりも、このままコメディ調で駆け抜けて欲しいなぁ。

数々の工夫で海の家を再建させようとする魔王の手腕に感服させられます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B+ 

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はたらく魔王さま!3 

はたらく魔王さま!〈3〉 (電撃文庫)はたらく魔王さま!〈3〉 (電撃文庫)
(2011/10/08)
和ヶ原 聡司

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読書期間:2011/11/1~2011/11/2

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
安定感
ラブコメ
ツンデレ
家族愛

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6


 魔王城(築60年の六畳一間)の庭に、異世界からのゲートが開く。そこから現れた小さな少女は、魔王を“パパ”、勇者を“ママ”と呼んだ!まさか二人がそんな関係だったなんて……とショックを受ける芦屋や千穂。だが、一番混乱しているのは魔王と勇者だった。
 少女は魔王城で預かられることになり、真の意味で大黒柱になった魔王は、子育てに挑戦!さらに、親子(?)三人でのおでかけもあったりで、恋する女子高生・千穂は、やっぱりヤキモキしてしまうワケで――?
 フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、波乱必至の第3弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


庶民的な生活で日々を暮らす魔王と勇者のファンタジーコメディ、第3弾。
毎度のことながら生活感が半端ないです。

うわー、面白いなぁ……と思わず唸ってしまうほどの出来でした。
元々新人に似つかわしくない安定感を持ち合わせていましたが、ワンランク上がりましたね。
着実に作品の質を高めた作家さんは勿論のこと、伸びしろがあると見抜いた電撃小説大賞の選考委員もさすがだと思います。

異世界からやって来た謎の幼児が、魔王と勇者とパパとママと呼び、一同大混乱するというラブコメにありがちなベタな話。
いきなり子育てをすることになってしまった魔王たちは、当然ながら大苦戦。
しかも、犬猿の仲である魔王と勇者に子供が入ることで、擬似的な夫婦のようなシチュエーションが生まれ、嫉妬に駆られる千穂や、苦悩する芦屋が入り乱れるドタバタ劇へと繋がっていきます。

ストーリーの大部分は、予想通りなのにも関わらず、キャラの反応が楽しくて仕方がありません。
子はかすがいを地で行く展開で、いがみ合っている真奥と恵美のやり取りが物凄く好みです。
勇者という立場的な問題から安易に魔王に心を許そうとしない恵美の葛藤が、ツン成分多めのツンデレにしか見えなくてニヤニヤ。
普通だったらウザったいと思うレベルでも、勇者の特権なのか、言い訳が正論にも聞こえるため、恵美が頭を痛めれば痛めるほどに楽しい気分になってしまいます。
ラブコメよりコメディとして読んでいるため、恋愛的に特別くっついて欲しいとは思わないんですけどね。
この絶妙な関係は維持して欲しいなぁ。

千穂も魅力的な女の子になってきましたしね。
これまでは、女の子的な可愛さよりも、物語中の都合の良さが微妙だなと感じていました。
ラブコメ的には一番美味しい存在で、喜怒哀楽の表情が簡単に想像付きます。
真奥を翻弄させたり、恵美を羨ましがったりする彼女の存在が、物語を充実させてくれました。
ただの脇役だと思っていた恵美の同僚である梨香も良い感じに絡んできましたし、登場人物たちの関係図の変化にも目が離せなくなりそうです。

騒動の中心にいる幼女アラス・ラムスは、素直に可愛いと思いました。
萌えとかそういうのではなく、純粋に子供の愛らしさが伝わってきましたね。
見た目的にも中身的にも『To LOVEる』のセリーヌに見えてしょうがなかったですw

そのアラス・ラムスの育児をすることになった真奥や芦屋の奮闘っぷりが面白可笑しい。
1巻から貫徹していることですが、現代日本で生活する描写に手を抜かないところが特徴ですね。
急に赤ちゃんの世話をすることになったという作品なら数え切れないほどありますが、省いても本筋には何ら影響のないところで妙に詳細な説明に入る作品は少ないと思います。
わざわざ保険や経口補水液のくだりを綴るラノベなんて、他に見たことがありませんよ。
こういった丁寧な切り口があるからこそ、庶民的でギャップが面白くなるんでしょうね。

悪魔だとは全く見えない真奥の過去が少し垣間見ることができ、ストーリーも進展がありました。
あえて見せつけるかのような伏線の張り方も上手く、先が気になります。
これだけ面白いと次巻のハードルが上がってしまうのも致し方がないですね。

029さんのイラストも良かった。
ラストの挿絵は何度も見たくなるカットでしたね。

育児に挑戦することになった魔王と勇者の庶民派コメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B+ 

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はたらく魔王さま!2 

はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫)はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫)
(2011/06/10)
和ヶ原 聡司

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読書期間:2011/8/13~2011/8/18

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
バカ
シュール
安定感


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 店長代理に昇進することになり、ますます張り切る魔王。そんなある日、魔王城(築60年の六畳一間)にご近所さんができる。隣の部屋に、和装の女の子が引っ越してきたのだ。魔王に恋する女子高生・千穂と、魔王の命を狙う勇者は、いろんな意味で心穏やかではいられない。
 時を同じくして、魔王が勤めるファーストフード店の向かいに、競合他社が進出してくる。売り上げで負けたら減給だと言われた魔王は戦慄し、店長代理の職務を全うするため奔走することになる。
 謎の隣人とライバル店の登場で、魔王城は大混乱!?フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、第17回電撃小説大賞<銀賞>受賞作第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


現代の日本でバイトに励む魔王の奮闘記?第二弾。

新人とは思えない安定っぷり。
設定はよくある魔王モノですが、よく練られていてクオリティ高いですよ。

基本的に、流れは1巻同様ですね。
魔王が拠点とする六畳一間のアパートの隣に、謎の和装美人・鎌月鈴乃が越してきます。
明らかに不自然な彼女が、新たな刺客なのか、それともただの偶然か。
展開が読めそうで読めない構成の妙がニクイです。

相変わらずシュールな状況となっているのは、勇者や魔王軍が日本に馴染み過ぎているからですね。
特に真奥はもう取り返しのつかないラインを突破しちゃっているような気がします。
恋愛事情には疎くとも、策略や参謀には鋭く気付くところはさすが魔王なんですが、行動の動機が悉く善良な人間のもので、威厳も何もあったもんじゃないw
甘いというよりも、ただただ優しくてイイ人すぎる。
ここまで来ると、エンテ・イスラ時代の魔王は何を考えていたのか逆に気になりますね。

勇者エミリアこと遊佐恵美も、負けず劣らず日本に慣れ親しんでいます。
テレビ番組をチェックしたり、仕事に精を出したり、お気に入りのコンビニ弁当を買ったり、誰がどう見ても現代日本のOLです。
その一方で真面目に働く真奥を観察して、思い悩むのがシリアスなんだけど笑ってしまいます。
まだ危機感を持っているだけ、真奥よりマシですけどねw

それにしても、彼女の真奥に対する態度が、徐々にツンデレにしか見えなくなってきた。
何となく「Steins;Gate」の牧瀬紅莉栖に通じるものがあるような。
基本的に嫌っていても、正しいことは悔しがりながらも認めるところは、冷静な考えを持っていて好きだなぁ。

安易な女キャラ増加は好まないのですが、新キャラの鈴乃のキャラは結構良かったです。
恵美や千穂などの女性陣と立ち位置が異なっていて、絡みが面白かったですね。
世間知らずな一面があり、何故か日本に詳しい真奥や恵美からツッコミを受けているが可笑しかった。
今後も必要なキャラの一人として期待できそうです。

主夫として優秀なあまり悪の幹部としては駄目さ加減が漂う芦屋、地味に活躍するけれどニートな漆原など脇役も個性的でキャラが立っています。
恵美の同僚である梨香にも挿絵があったのは嬉しかったな。

お気楽な日常パートと、後半のファンタジーバトルのギャップが大きいのも面白い。
二つの要素がバラバラにはなっておらず、巧みに融合させており、完成度の高さが窺えました。

驚く展開などはありませんが、良く出来たお話だったと思います。
これなら今後も安心して買い続けられそうですね。

世界よりも今の生活を優先する勇者と魔王の生活感滲み出るコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B 

△page top

はたらく魔王さま! 

はたらく魔王さま! (電撃文庫)はたらく魔王さま! (電撃文庫)
(2011/02/10)
和ヶ原 聡司

商品詳細を見る
読書期間:2011/2/11~2011/2/13

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
バカ
シュール



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★
 … 9




 世界征服まであと一歩だった魔王サタンは、勇者に敗れ、異世界『日本』の東京・笹塚にたどり着く。
 そんな魔王が日本でできること。それはもちろん“世界征服”!!――ではなく、駅前のファーストフード店でアルバイトをしながら生活費を稼ぐ、いわゆるフリーター生活だった!
 その頃、魔王を追って時空を越えた勇者エミリアもまた、テレホンアポインターとして日本経済と戦っていた。そんな二人が東京で再会することになり――!?
 六畳一間のアパートを仮の魔王城に、今日も額に汗して働くフリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー。第17回電撃小説大賞〈銀賞〉受賞作登場!

【感想】


第17回電撃小説大賞<銀賞>受賞作品。
どうやら巷の評判では、大賞を差し置いて一番好評らしいです。

おー、面白いじゃないか。
新人作家の本を発売日に買うのは、結構バクチなんですが、これは当たりでした。

勇者に追い詰められた魔王が咄嗟に異世界へ逃げ込んだ先は、現代の日本だった。
元の世界へ戻り世界征服の野望を叶えるため、魔力回復に努めようとするが、なかなか手段が見つからない。
しばらく日本に滞在する必要性が出てきた魔王とその部下は、バイトに励むのであった!!

……いやいや、シュールすぎるだろうw

ラノベらしからぬ、現代社会をリアルに追求した結果、ギャップが物凄いことになっちゃってます。
ファンタジー世界から一転して、日本経済に立ち向かう魔王が、面白可笑しいのなんの。
貧乏生活に苦労する魔王と、その部下であるアルシエルのやり取りが楽しすぎます。
ご都合主義で済ませてしまう作品が多い中で、ラスボスが必死に戸籍とか国民健康保険を手に入れようとする姿を見るなんて思いもしませんでしたよw

そんな日常シーンが、終始丁寧に描かれているなーという印象を受けました。
基本的にコミカル路線を貫いており、シリアスな過去やバトルシーンも挿入されますが、笑いの種があちらこちらに仕込んであるので、ずっと楽しい気分で読めます。
弾けるようにして連鎖的に会話が繋がるのもテンポが良く、ページをめくる手が止められません。

最初は、また魔王モノかとげんなりしたんですよねぇ。
自分はあまり読んでいないとはいえ、流行に乗っかろうと同じ題材の作品が立て続けに発売されているので、正直「またか」と思ってしまいました。

しかし、あらすじを読んでみて、どうやら一味違う模様。
気になって店頭で手に取ってみて、カラーページにある一つの台詞を見て購入を決意しました。

 「いいか勇者エミリア、俺は、この世界で正社員になってみせるぜ!」

店内でモロ吹き出しましたw
なんだこれ、魔王の威厳なぞあったもんじゃない。

つーか、この魔王、本当に悪事を行おう気があるのかと疑いたくなるぐらい優しいよ!
真面目で勤勉だし、仕事の立ち回りや手際も優秀で、後輩が憧れるのも納得ですよ。

勇者エミリアも、プライドは残しているものの、こちらはこちらでOLとして馴染み過ぎw
まだ魔王討伐を本気で考えているだけ、魔王よりマシかってレベルですけどね。
おかげで、魔王の変貌ぶりに戸惑い、ツッコミ役として輝いています。

設定的に、収拾がついていないところが散見されますが、これらはきっと今後の伏線なんでしょう。
ストーリーが一本道すぎて仕掛けが弱いので、その辺りも含めて期待したいところです。
題材的にも続けられそうですし、長期シリーズになるのではないかな、というかなって欲しいなー。

某ファーストフード店でバイトする魔王とOLの勇者の生活臭溢れる現代コメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B 

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