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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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キミとは致命的なズレがある 

キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)キミとは致命的なズレがある (ガガガ文庫)
(2011/05/18)
赤月 カケヤ

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読書期間:2011/7/3~2011/7/5

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ミステリー
サスペンス




 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 海里克也は保健室で目を覚ました。なぜここにいるのか?保険医の鑑司によると、階段で転んで気を失っていたらしい。……覚えていない。十歳のとき、大きな事故で両親と記憶を失ってしまった克也には、ここ数年の記憶しかない。また記憶が消えてしまったのだろうか。
 「見えないモノが見えてないか?」
 そんな司の問い掛けにドキリとする。――自販機の陰から伸びる少女の姿態――突如現れ克也を責める不幸の手紙――少女の死の映像と命を狩る指の感触。これは幻覚?それとも――?
 第5回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作!

【感想】


第5回小学館ライトノベル大賞<優秀賞>受賞作品。
記憶を失った過去がある主人公・海里克也が、現実と幻覚の境界線を曖昧したまま、過去の事件を追うサスペンスストーリー。
人間の心理に迫るサイコホラー作品です。

まず何より目を引くのが、インパクト絶大な表紙でしょうね
拒否反応を示す人も多そうですが、個人的には読んでみたくなる怖さがあります。
しかし、内容は期待していたほど濃いものではありませんでした。

つまらなかったわけではありませんが、素直に面白かったと言えないんですよね。
読書中はそれなりの楽しめたんですけど、読了後に残ったものがないといいますか……。
続巻が出たとしても、買うかどうか微妙なところです。

もうちょっと狂気成分が欲しかったかなぁ。
物足りないと感じるのは、この種のラノベに毒され過ぎでしょうか。
まぁでも、こういう意図的に狂った作品を出せるのが、ガガガ文庫の良いところですね。
他レーベルで、この作品に賞を与えるのは正直難しいでしょうし。

無茶のある設定を雰囲気で誤魔化している面がありますね。
文章が綺麗なので、ぼんやりとした描写が挿入されると妙な違和感を抱きます。
話の組み立て方は悪くなく、たまに強引さあっても、物語の牽引力は高めなところは良点でしょう。

ミステリーに関しては、犯人やオチが分かりやすいので、あくまでサブ要素かな。
伏線の張り方などからみると、要所は押さえているものの、あまり隠す気もないように見えます。

ロジックを重要視したためか、キャラは少々雑です。
使い捨てのような脇役がいるのはまだいいとして、メインキャラでも描写が甘かったりします。
詳しく書くとネタバレに繋がりそうなのでボカしますが、ヒロイン役の一人の存在が希薄なんですよね。
それが狙いだとは理解出来ていますし、物語上のキーとなる立ち回りも兼ねているため、仕方がないのかもしれませんが……。

個人的に最も評価したいなと思ったところは、犯人の倫理観。
病んだ思想が如実に表れていて、良い意味で気持ち悪さがありました。
一見すると他多数と変わらないように見える人間が持つズレこそが、最も怖いところじゃないでしょうか。

イラスト担当は、晩杯あきらさん。
アナログっぽい独特な塗りが特徴のようで、カラーイラストは見応えありました。
挿絵はなく、各章の扉絵のみなのですが、こちらは走り描きのようなもので、良く言えば味のあるタッチ、悪く言えばただのラフです。
キャラが安定しておらず、同じキャラでも別人のように見えたりしたのは気になりました。

失くした記憶と過去に怯えながらも前を向いて大切なものを取り戻そうとする物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  キミとは致命的なズレがある  赤月カケヤ  晩杯あきら  評価B- 

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