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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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明日から俺らがやってきた2 

明日から俺らがやってきた〈2〉 (電撃文庫)明日から俺らがやってきた〈2〉 (電撃文庫)
(2012/07/10)
高樹 凛

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読書期間:2012/8/29~2012/8/31

【評価……C+
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
ツンデレ
SF


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5



 未来からやってきた“俺ら”の協力もあって、晴れて大学1年生となった俺・桜井真人。可愛い彼女・高瀬涼と一緒にこれから楽しいキャンパスライフを送っていけるんだ!と思っていたら……誰もが振り向く可愛さを持ちながらも性格最悪な台風少女・香坂伊織と知り合ってからは波瀾万丈な日々。そんな香坂を背負って、何故か深夜の街を徘徊するハメに……なんでこうなるんだ!?
 “俺ら”の関係にも新たな変化が――チャラ男の『推薦』&ガリ勉の『受験』に加え、高瀬のことが好きすぎる半ストーカーの『変人』が増えた。……ウソみたいだろ。全部、俺なんだぜこれ。一体どうなっちゃうんだ俺の未来……!?
 ちょっと大人になった“俺ら”とおくる未来系・青春ラブコメ「大学編」!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「明日から俺らがやってきた」のタイトルで説明が付くラブコメ作品、第2巻。
まさかの続編です。

なんというテンプレ的ラブコメ。
キャラも展開もどこかで見たことがあるようなものばかりですね。
それが前回はヒロインの可愛さで長所となっていましたが、物語的に出番が少なめで残念なことに。

代わりに用意されたのは、大学でぼっちのツンデレ娘・香坂伊織
人に対してついツンケンな態度を取ってしまうけど、本当は友達が欲しいという典型的なキャラですね。
彼女と仲良くならなければいけない理由が出来た主人公が、彼女と急接近したことで、ヒロインである高瀬涼との関係に暗雲が立ち込めるという先が読めるストーリーです。

主人公の桜井真人が複数存在する意味合いが変わってますね。
1巻の場合は、受験と推薦の選択に迫られた桜井が、未来からやってきた自分自身からアドバイスを受ける恩恵がありました。
2巻では、周囲から見えない存在だけが利点で、正直賑やかしにしかなっていません。
己が選択しなかった未来からきた、又は自分自身であるという設定の必要性が皆無なんですよねぇ。
無理矢理続けたって印象を与えてしまう作りになっています。

ラブコメ的にも美味しい実の部分は少なく、枝ばかりで構成されている感じ。
涼のクーデレが見所だったのに、魅力的なイベントはほぼありませんでした。
まだ出番が数ページしかなかった妹の優の方が萌えられたくらいです。

純情といえば聞こえが良いですが、大学を舞台とすると些か幼すぎると感じてしまいますね。
基本を押さえたラノベなので、それなりに面白くて読みやすいのは間違いありません。
でも、ただそれだけなんですよねぇ。

設定的にこれ以上広げるのは難しそうなので、次は新作に期待かな。

ぼっち気質のツンデレ娘が少しずつ心を打ち明けてくれる王道のラブコメ展開

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日から俺らがやってきた  高樹凛  ぎん  評価C+ 

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正捕手の篠原さん2 

正捕手の篠原さん 2 (MF文庫J)正捕手の篠原さん 2 (MF文庫J)
(2012/01/23)
千羽カモメ

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読書期間:2012/3/22~2012/3/23

【評価……C+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
ラブコメ
スポコン



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2




 「あたしが今度の合宿を通して、先輩の根性を徹底的にたたき直してあげます!」
 綾坂が女の子だということを知っても、相変わらずマイペースな日々を過ごす守たち明学ナイン。しかし、合宿を目前に控えたある日、野球部に熱血ソフトボール少女の愛理がやってきて部の雰囲気が一変!?
 ようやく野球が出来るのかと思った矢先、深見の画策により合宿地が南の島(無人島)に変更!そして遭難!無くなっていく食料、ばれそうになる綾坂の正体、そしていつにも増してアプローチしてくる深見の真意とは……?
 果たして生き残る(野球をする)ことは出来るのか!?波乱の第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


1話2ページの野球部コメディ、第2巻。

まず、内容以前に突っ込まなければならない点が一つ。
誤字脱字が多過ぎ。
同人小説ならまだしも、これでお金を貰っているんですから、最低限のラインはキッチリ守らないといけません。
あとがきにて締め切り直前に原稿データが消し飛んだとありますが、これは延期すべきでした。
間に合ってよかったと言ってますけど、果たして本当にそうだったんでしょうか。
スパプロをパワプロと間違えたところは、呆れつつも笑えましたけど、それ以外は萎えました。

更には2ページで抑えようとするためか、慢性的に説明不足です。
テンポを重要視するのは大切なことですが、必要最低限の言葉を足さないと誰が何処で喋っているのか分かりません。

では、肝心の内容はといえば、ラブコメとしてはあり、スポコンとしてはなしってところ。
野球部の設定が崩壊してて、スポーツ物としては、ちっとも楽しめませんね。
こんなお気楽野球部が強いわけないですし、野球を舐め過ぎです。
野球のルールも理解しているのか、それとも単なる書き間違いなのか、ミスが目立ちます。
ランナーやアウトカウント、打順などツッコミどころが山ほどありました。

二軍がいるという話も唐突で、あまりにも不自然。
MF文庫の場合、主人公以外の男キャラに出番が用意されないため、必然的にハーレム状態となるのは仕方がない……という話で済ませていいレベルじゃないでしょう。
50人以上いる野球部でも、対抗馬となる存在は排除され、男キャラに出番が回ってこないのはおかしい。
フィクションにリアリティを求める必要性はないですが、野球に関してはコメディ要素を混入させていない作風なので、作中内で説得力を持たせてくれないと困ります。

とまぁ、ガッカリした部分は多数ありました。
しかし、だからといって全てが酷かったというわけではありません。

特に、表紙にも陣取っている深見さまのキャラの立ち具合は半端じゃなく良かった。
篠原の気を引こうと可愛いイタズラを仕掛け、反応を楽しむ彼女が微笑ましいのなんの。
悪巧みをしている深見さまが口角を吊り上げてニヤニヤ笑う姿が、容易に想像できます。
篠原に急接近した綾坂が気になり始めているのに、表情に出さず、篠原の関心を得ようと奔走するのが健気で可愛すぎました。
もうこの娘だけでも、シリーズを買い続けたくなるぐらい好きです。

相変わらずオチていない時もあるものの、コメディとしても面白く読めました。
2ページ縛りが苦しそうだなと読者に伝わってこないように頑張ってもらいたいもんです。

野球とラブコメの割合が逆のラノベだったら、個人的にはもっと好きになったんだけどなぁ。

深見さまの愛のあるちょっかいがラブコメ的に美味しく頂けます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  正捕手の篠原さん  千羽カモメ  八重樫南  評価C+ 

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円環少女 1 バベル再臨 

円環少女 (角川スニーカー文庫)円環少女 (角川スニーカー文庫)
(2005/08/31)
長谷 敏司

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読書期間:2012/1/1~2012/1/18

【評価……C+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
SF
構成
ロリ



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 幾千もの魔法世界から<地獄>と呼ばれ最も忌み嫌われた場所――地球。なぜんら、本来自然なはずの魔法現象を消滅させてしまう恐るべき力を、人類だけが持っているからだった。
 元の世界で犯した罪のため<地獄>に堕とされた一人の少女魔導師・鴉木メイゼル。彼女の受けた刑罰は、<地獄>で敵対魔導師100人を倒すこと――。
 <円環大系>の使い手が、誰も成し得たことの無い過酷な運命に立ち向かう!灼熱のウィザーズバトル開幕!!

【感想】


SFとファンタジーが融合された現代モノの魔法バトル小説、シリーズ第1弾。
コアな人気を誇る作品で、シリーズ完結を機に読み始めてみました。

文章が難儀ってレベルじゃねえー!
ライトノベルに限らず、一般小説でもここまで苦労した覚えはありませんよ。
感覚としては、もはや古文です。

最初は、自分の読解力がないだけかなと思っていました。
単語の選別は、硬質な美がありましたしね。
しかし、それだけでは片づけられないぐらい明らかにおかしな文法が散見されます。
SVO型の文章の方が少ないくらいで、主語と述語が繋がっていません。
おかげで、どれだけ物語が良くても魅力を半減してしまい、非常に残念なことになっています。

そこに加えて設定も難解かつ作品内の専門用語も多用しており、親切心なぞ欠片も見当たりません。
説明が説明になっておらず、幾度となく文章を読み直しさせられました。
せめて文章が一般的なものであれば、理解も深まったんですけどねぇ。

一部の者だけが魔法と数多の異世界があることを知っている世界観は、別段珍しくはありません。
ただ、その魔法大系が独特で、センスを感じます。
特に面白いのが、地球に住む人間には観測するだけで魔法効果を消滅させる力があり、それを嫌う魔導師たちが地球を<地獄>と呼ぶ設定。
一般人が魔法の存在に気付いていないことと、魔導師たちが公に力を発揮できない理由をまとめて論理づける視点が、実に巧妙で納得させられました。

キャラの登場数がやたらと多いのも、混乱を誘う要因の一つですね。
設定も物語にも言えることなんですが、詰め込み過ぎてしまう癖でもあるんでしょうか。
巻数を重ねた後に来るべきクライマックスを、初っ端から持ってきた感じがしました。
おかげで、ストーリーは面白味もあったんですけど、設定ありきで構成が雑な部分もあったり。
おそらく、ある程度ならした後は、敷き詰めた伏線が誘爆するように広がっていくことになると思われるので、シリーズが進めば進むほど楽しめる類の作品なんでしょう。
それと引き替えに、敷居の高さが相当なものとなってしまいましたね。

感情移入するほど没頭は出来なかったのですが、それでもヒロインの鴉木メイゼルだけはキャラが立っていたと思います。
見た目小学生の女の子には重すぎる業を背負っているにも関わらず、辛そうな素振りを見せません。
主人公の武原仁を「せんせ」と呼び慕う、ちょっぴり背伸びしたところが可愛かったです。
まぁ、ロリには興味がないので、個人的にはロマンスは必要ないですけどね。

素材の良さは間違いないと思います。
ただし、調理方法が特殊で、人を選ぶどころか、人が試されるような作品です。
とにかく次から次へと生み出される設定の波にドップリと漬かるか、溺れてしまうか。
「このライトノベルがすごい!2012」で少数の支持者に投票された結果、総合4位に輝いた作品ですが、これはとてもじゃないですけど、万人にはお薦め出来ません。
緻密な作中設定が大好きだという人は、ハマれる可能性があるので、挑戦してもいいかも。
整合性があるかどうかは保証しかねますがね。

330Pの本を読み終わるのに半月も要するとは思わなかったなぁ。
物語的には気になるので、2巻は読むつもりですが、文章が改善されていないと厳しいですねぇ。

魔法や舞台の設定が激流の如く書き連ねており、難解な文体が独自の作風を生み出しています

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  円環少女  長谷敏司  深遊  評価C+ 

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トカゲの王Ⅰ ―SDC、覚醒― 

トカゲの王 1 (電撃文庫 い 9-22)トカゲの王 1 (電撃文庫 い 9-22)
(2011/07/08)
入間 人間

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読書期間:2011/12/9~2011/12/23

【評価……C+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
構成





 ★★★★☆☆☆☆☆☆ … 4






 俺はこんな所で終わる人間じゃない。その他大勢が強いられる『普通の人生』から逸脱した、選ばれし者なんだ。
 俺に与えられた能力『リペイント』は、インチキめいたまがい物。でも、俺には世界を“塗り替える”資格がある。このインチキこそ、俺の力なんだ。
 どこまでもなにもかも騙し抜く。
 まず手始めに、俺自身も騙す。
 そして、目の前に立ちはだかる不気味な殺し屋どもから必ず逃げ延びてやる。
 だって、俺は。
 『最強』なんだから。

【感想】


入間人間氏の新境地となる異能系バトル、開幕。
一冊丸々かけてのプロローグとなっています。

これまで著者の本は刊行順に全て購読してきました。
独特の文体ながらも安定したクオリティを生み出す作家さんだと思います。
しかし、今作は残念ながら微妙だったと言わざるを得ません。

瞳の色を変化させられる能力を持った主人公・五十川石竜子
異能の力を持った彼は、非現実的な出来事に憧れを持っていた。
己の力に未知なる可能性があると信じる思春期真っ盛りの彼だったが、実際に本物の異能者たちの騒動に巻き込まれることで、大きく心境が変化していく……といった内容です。

印象としては、入間人間版『とある魔術の禁書目録』。
元来ラノベや漫画において異能系バトルは人気ジャンルの一つで、ここ10年で急激に需要と供給が高まった分野だと思われます。
その多くは、主人公の成長や覚醒を起点として物語が始まりますが、そんな過去の異能系バトル作品のアンチテーゼともいえるモノを書きたかったのかなと感じました。
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』を執筆した作者らしい、生々しく厭らしい描写がふんだんに盛り込まれたものとなっていて、作風としてはアリだと思います。

ただし、相変わらずエグい書き方をしますから、お世辞にも万人に薦められる文章ではありません。
状況的に緊迫した状態が続くため、合間に挟まれるパロネタやギャグも少なめなのが一層読み辛い。
また、叙述トリックは、面白さよりもシコリが残るだけで、読み難さの方が上回ってしまいました。

それ以上に問題なのが、物語が単純につまらないという小説における致命的な弱点です。
厨二病を発症した主人公が痛い目をみる発想は良いと思うんですけど、そこから先が何もなかった。
次巻以降で盛り上げていく算段なのかもしれませんが、惹かれる要素が少な過ぎます。
みーくんみたいに嘘やハッタリで騙ることが出来れば、ガラッと見方も変わったんですけどね。

ヒロインの巣鴨涼もまた癖のあるキャラで、好感は正直抱き辛いです。
インパクトを与えたという意味では成功していますから、こちらはまだ今後に期待できますがね。

作家買いならともかく、ブリキさんの肉つきのエロい絵で釣られた人には、厳しい内容だったかなと思います。

中途半端な能力を持つが故に調子に乗った少年が酷い目に遭う話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  トカゲの王  入間人間  ブリキ  評価C+ 

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青春ラリアット!!2 

青春ラリアット!! 2 (電撃文庫 せ 3-2)青春ラリアット!! 2 (電撃文庫 せ 3-2)
(2011/07/08)
蝉川 タカマル

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読書期間:2011/11/10~2011/11/14

【評価……C+
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
友情



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6




 全治一ヵ月のはずが、一週間で退院してきた月島。バカの超回復力に宮本は眩暈を覚え、長瀬は大喜びする。
 こいつらが揃えばロクなことはない。今度は月島を仇と狙う少女が現れ、大騒ぎに!?少女が可愛かったせいか、色々なことにキレて青筋を立てる長瀬だった。
 揉め事を嫌う宮本と、とにかく女性を月島に近づけたくない長瀬。二人はあの手この手で、月島に気づかれぬ内に事態を収めようとするのだが、話はこじれにこじれ!?
 話題沸騰の青春ストーリーだ、コノヤローッ!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


年下の女の子に恋の手助けを強制される男子高校生の青春ラブコメ、第2巻。

んー、ぼちぼち。
面白くないわけではないけれど……。
感想を書くと、良いところよりも悪いところが挙がってしまうタイプの作品ですね。

基本的な流れは1巻同様で、親友の月島のために宮本と長瀬が奔走するという展開。
ただ、内容が似ているというよりも変わり映えしないと感じられるため、少々退屈でした。
進展らしきものも見られないので、もう少し捻りが欲しいかなぁ。

一方的に長瀬が宮本を口撃するのも既にパターン化していますね。
笑えるシーンもありますが、逆に横暴過ぎて引く場面もあります。
理不尽系ヒロインは、あまり好きじゃないんですよねぇ。
宮本に対するデレが圧倒的に足りません。

一応主人公である宮本に小学生の彼女がいるのは、目新しい設定でいいと思うんですが、随分と出し惜しみをしているのが気になるところ。
2巻でも出なかったということは、シリーズ終盤まで都子は出てこないんだろうなぁ。

それにしても、格闘技ネタが続いていますが、これを売りにしていくのだろうか。
作品名がラリアットだからといって、縛られなくてもいいと思いますがね。
月島が超人すぎたり、バトルが日常場面と比べて浮いていたりしますし。

あと、相変わらずキャラの名前が覚え辛いというか、視点が分かり辛い。
この作品、三人称よりも一人称の方が合っていたんじゃないかな。

ちょっと芝居ががっているけれど、宮本と月島の友情は熱くて良かった。
惜しむらくは、物語が1巻と比べてパワーダウンしてしまっている点。
ストーリーの説得力が薄い部分があって、ご都合主義を感じるところがありました。

今すぐシリーズの購読を打ち切るとまではいきませんが、微妙なラインにはなりました。
ずっと同じ調子なら飽きてしまいそうです。

親友のことが好きな少女のために罵倒されながらも裏で奮闘する青春ラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  青春ラリアット!!  蝉川タカマル  すみ兵  評価C+ 

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この部室は帰宅しない部が占拠しました。 

この部室は帰宅しない部が占拠しました。 (MF文庫J)この部室は帰宅しない部が占拠しました。 (MF文庫J)
(2011/05/25)
おかざき登

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読書期間:2011/9/1~2011/9/5

【評価……C+
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ





 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6






 人畜無害な普通の高校生(だがシスコン)・柊夕也。彼は、携帯電話を教室に置き忘れたため、夜の学校に忍び込む。そこで出会ったのは2人の美少女だった!!
 「……がう……なわばり」(美少女その1)
 「ふははははは、見せてあげましょう、ネクロマンサーの秘密を!」(美少女その2)
 び、美少女……だった!?事情を聞くと、どうやら2人は学校に寝泊まりしているらしい。流されるがままに夕也も学校に泊まることになり……?至って普通(シスコンだけど)な高校生とちょっと非日常的な美少女たちが贈る、部室で同居な学園ラブコメディ開室!!
 「耶宵(妹)がいない生活なんて……くっ」(byシスコン高校生)

【感想】


「二人で始める世界征服 」でデビューしたおかざき登さんによる新シリーズ。
2作目「図書館迷宮と断章の姫君」は買わなかったので、久しぶりに読んだ著者の作品になります。
「帰宅しない部」というタイトルに釣られました。

そこそこ面白かった……かな。
よくあるラノベ以外の何物でもないので、目新しさはありません。
この作品ならではの特色が少ない代わりに、致命的な欠点も見当たりませんでした。

帰宅しない部の土台となる部分が、思っていたよりも弱かったなぁ。
シリアスな笑いを期待したのですが、ただの舞台設定で片付いてしまったのは惜しい。
もっと掘り下げられる題材だと思ったんですけどねぇ。

日常系の学園ラブコメにファンタジー要素が少し加わったMF文庫のテンプレ的な内容です。
メインヒロインは、野性的な狼少女・桜江ゆすら、一つ年下の幼なじみ・木滝恋子
とある事情にて学園に住みつく二人の少女のために立ちあげた帰宅しない部だったが、それに絡むようにして従姉である生徒会長・秋月琴音が権力を用いて妨害してくるというストーリー展開です。
あまり物騒な方向に持っていかなくても良かったと思うんですがねー。
まぁ、ハッキリ言ってストーリーよりも、シチュエーションに萌えられるかどうかが焦点でしょう。

ゆすらのキャラは、昔からパターン化されている無垢な動物系ヒロインですね。
それよりも、ネクロマンサーを自称する恋子の方が魅力的に感じられました。
このぶっ飛んだ設定は、明らかに世界観から浮いてましたし、必要性があるのかどうか怪しいのですが、死霊を操るくせにして怖がりの性格というのが面白かったです。
年下なので基本的に敬語なのに、親しみの籠った喋り口調は可愛く見えました。

主人公の柊木夕也は、度量の大きいタイプで嫌味がないキャラですね。
重度のシスコンという設定ですが、妹の出番が次巻への顔見せ程度しかないので、そこまで病的には見えません。
前々作の主人公同様に料理スキルが高いのは、この作者の譲れない点なんでしょうか。

イラストレーターは、ぺこさん。
「迷い猫オーバーラン!」で初代イラスト担当だった方ですね。
さすがに有名な人だけあって、女の子の表情を中心に可愛く描かれていました。

2巻以降は、今のところ様子見かなぁ。
悪くはないと思うんですけど、これといった強みがないので、購入欲を刺激され辛いです。
おそらく今後、典型的なハーレム展開へと続くでしょうしね。

学園お泊りイベントを継続的に楽しめるラブコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  この部室は帰宅しない部が占拠しました。  おかざき登  ぺこ  評価C+ 

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あなたが泣くまで踏むのをやめない! 

あなたが泣くまで踏むのをやめない! (電撃文庫 み 8-8)あなたが泣くまで踏むのをやめない! (電撃文庫 み 8-8)
(2011/07/08)
御影 瑛路

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読書期間:2011/7/9~2011/7/12

【評価……C+
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ロリ
ギャグ
ラブコメ



 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 『このあたしにせーてきこーふんを抱くのはやめてもらえる?』

 現状を報告しよう。
 俺は自分の部屋で、四つん這いになり、小学生女子(9歳、名前はアリス。ちなみに胸は皆無)の人間椅子になっていた。しかも、あろうことかお尻をペンペンされていた。ガツンと言うつもりが、むしろ俺がしつけられていた。
 何この現実?
 高飛車小学生の馬乗りプレイのせいで、俺は自己紹介すらままならない。亭主関白系男子であるはずの俺が、なぜこんな捕食系ドS幼女と一緒に住むことなった?
 詳しくは、本編を読んでくれ。

【感想】


背徳的な人間描写に定評のある御影瑛路氏の新境地。
まさかの萌え系ラブコメシリーズ開幕です。

あー……、予想通りの微妙さ。

違う作者が描いたのであれば、タイトルと表紙で判断して買うことはなかったでしょう。
最初から過度な期待はしていませんでしたが、それでもやっぱり残念だと感じてしまいました。
それは、作者の筆力を知っているからこそ、平凡な萌え系に走った内容に落胆してしまうんでしょうね。
ダークで緻密な深層心理を描く作風からファンになったがゆえに、特にそう思うんだと思います。

逆に読者の新規開拓という意味合いでは、ありなのかもしれません……が、果たしてこの本を購入した人が既存シリーズを買ってくれる可能性はあるんでしょうかね。
作品の雰囲気がまるで異なるので、逆サイドから見ても手に取り辛いような気がします。

内容は、悪い意味であらすじ通りです。
ツンツンとしたドS幼女・アリスの要求する命令を主人公・岩下寿也がこなしていくという、極一部の性癖を持つ人には受けはいいでしょうが、その他多くの人にとってはドン引きしてしまうようなものでした。
生意気な小娘ほど可愛いと感じる人がいるのも分かりますけど、基本的にロリにもドSキャラにも興味がない自分には辛い。

後半のシリアス展開は、重い題材の割に中身が軽過ぎる。
ラノベとしては正しいのかもしれませんが、これじゃあ心に響きません。
一昔のドラマのようにベタベタで、今更感が拭いきれませんでした。

ぶっちゃけ、アリスやその家族以外のキャラは面白くて良かったんですけどねぇ。
例えば、サブヒロイン的な位置付けにいる自虐系少女・黛千代子、通称チョコちゃん。
可愛い容姿を持ちながら破滅的なまでに逆走する姿は、嫌味を覚えるどころか好感を持てます。
もっと自分に自信を持てよと内心突っ込みながら、軽快な会話に笑ってしまうシーンは少なくありませんでした。

一見完璧に見える委員長・河内亮の趣味も面白可笑しくて、寿也とのやり取りは楽しかったです。
出番が少なかったのは残念でした。

もともと特殊な性格のキャラを描くのには長けている方ですので、ラブコメに合わないってことはないと思うんですよ。
だからこそアリスのようなテンプレキャラは、避けて欲しかったですね。

nyanyaさんのイラストは、作品としては合っているんじゃないでしょうか。
表紙のパンチラどころか、パンモロの挿絵ばかりなのは、どうかと思いますけど。

作者らしいエッセンスが混ざっていなくもないですが、現在刊行しまくっている量産型ラノベの一つでしかありませんね。
土台が引っくり返るような大どんでん返しもありませんし、良くも悪くも普通です。
他の作家では書けない「空ろの箱と零のマリア」のような話を期待したいので、こちらの道に進んで欲しくない。
なので、続巻も約束されているようですが、次は買いたくないというのが本音です。

ところで、俺妹作者である伏見つかささんが帯にコメントを寄せています。
その関係で伏見さんのブログにて記事があるんですが、そこに主人公が作者そっくりだという話が……。
まさかパクメン(亭主関白系男子)を目指す野望をお持ちだったとは。

亭主関白を夢見る男子高校生が、幼女に好き勝手に弄ばれる話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  あなたが泣くまで踏むのをやめない!  御影瑛路  nyanya  評価C+ 

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ライトノベルの楽しい書き方7 

ライトノベルの楽しい書き方 7 (GA文庫)ライトノベルの楽しい書き方 7 (GA文庫)
(2010/11/15)
本田 透

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読書期間:2011/6/1~2011/6/3

【評価……C+
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
ツンデレ




 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 学園最強少女にしてライトノベル作家の流鏑馬剣。彼女がついに長らく暫定彼氏であった与八雲と正式交際を始めることになった。
 初めての正式交際に慌て、八雲が隠している属性について調べたい剣は、周囲にいる担当編集者で八雲の従姉・与八雲やイラストレーターで友人の市古ゆうなに対してヒアリングをスタートしつつ悶々とし続ける。
 そんなドタバタを繰り広げているうちに、八雲が大好きなクラゲの一大イベントが開催されることに。しかし、そこは女性二人組でないと参加できないという問題が!弱った二人は奇策に出る!?そして二人きりのお泊り旅行に待ち受けるものは――。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


暴走するツンデレ少女の青春ラブコメディ、第7弾。

やっと正式に交際することになった八雲と剣。
しかし、以前とあまり変わりがないことに不満を持った剣は、八雲が隠している属性を突き止めようと妄想全開で奔走する……という恒例のラブコメ展開が繰り広げられています。

うーん、シリーズをここまで長引かせてしまったのは失敗だったような気がします。
似たような流れが続くため、何だかグダグダしているように感じてしまうんですよね。
せっかく付き合うことになったのに、既にマンネリ化が起きているのは如何なものか。
最初から勝負は決まっていたとはいえ、三角関係の形式が崩れたことにより、剣や市古の揺れる乙女心が見られなくなってしまったのは痛手でした。

ストーリーに意外性がなく、ただ淡々と追っているような感覚。
ベタな話が悪いわけではないんですけど、驚きがなさすぎます。
もう少し捻りが欲しかったかな。

そういう意味では、雰囲気的に唐突で異物感はありましたが、ライトノベルの作家論のくだりは良かったと思います。
作者がキャラを通して語りたかっただけという疑惑は拭えないものの、内容は結構感心させられるもので、読者のことを理解していてくれるんだなと安心させてくれました。
その割には、作品にフィードバック出来ていませんけど……。

まぁ、後半の展開を見る限り、クライマックスも近いみたいなので、最後まで読もうと思います。
何となく豪快なオチが待っていそうな予感。

ここにきてバトル要素が過剰気味なドタバタハイテンションコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ライトノベルの楽しい書き方  本田透  桐野霞  評価C+ 

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すてっち2! 

すてっち2! (HJ文庫)すてっち2! (HJ文庫)
(2010/09/01)
相内円

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読書期間:2010/10/1~2010/10/2

【評価……C+
発想 ★★★★☆☆☆☆☆☆ … 4
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
コメディ
ほのぼの




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 陸上部にコバンザメ状態で、初の夏合宿に赴くことになった上乃原女子高等学校手芸部。相変わらず部活動そっちのけで、海だ水着だ、とバカンス気分の部員たちを世にも恐ろしい(?)事態が待ち受けていた。前部長の松センパイが登場したり、美晴の秘めたる思いが明らかになったりと、今回も盛りだくさんの女子高生まったり部活コメディの第2弾。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ほのぼの系四コマ漫画風のコメディ小説、第2巻。
前回話題だけ出た夏合宿の模様が描かれています。

そこそこ。
うん、これが一番適した感想だと思います。

思わず吹き出してしまうような笑いはないものの、つまらないわけではありません。
まぁ、中身は見事なくらい薄っぺらいんですけど、これは狙ってやっているんでしょう。
日常系作品の雰囲気を楽しめる人でないと辛いでしょうが、そうでない人は2巻なんて買いませんしね。
何も考えずにだらだらと読むのに最適です。

1巻でも少なめだった手芸話が、さらに減っているのは、ネタが尽きたってことなんだろうか。
もうちょっと部活ネタに絡めて、作品独自の色を出して欲しかった。
合宿行っても、本当に何もやってないしなぁ……w

ただひたすらに、ちょっぴりバカみたいな女の子たちが、アホのように騒いでいる本でした。
良く言えばまったり、悪く言えば淡々としています。

個人的には3巻が出たら買っちゃうと思いますが、これで670円は高すぎるかな。
ま、お勧めはできないけど、嫌いじゃないですよ。

手芸をしない手芸部による日常系ほのぼのコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  すてっち!  相内円  ほっぺげ  評価C+ 

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B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる 

B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)B.A.D. 1 繭墨は今日もチョコレートを食べる (ファミ通文庫)
(2010/01/30)
綾里けいし

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読書期間:2010/9/26~2010/9/30

【評価……C+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
グロ
狂気
ミステリー



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 「小田桐君。理由なく人を殺せるぐらいでないと、狂っているうちに入らないさ」
 チョコレート片手に、彼女はそう僕に告げた。傲慢で冷酷で我が儘な偏食家。そして、紅い唐傘を手にゴシックロリータを纏い、僕の絶望に突き放した微笑を浮かべる14歳の異能の少女、繭墨あざか。けれども、あの満開の桜の下、彼女は言った。僕の傍にいてくれると――。
 第11回えんため大賞優秀賞。残酷で切なく、醜悪に美しいミステリアス・ファンタジー開幕!

【感想】


異能の力を持つゴスロリ少女が探偵事務所に舞い込んでくる事件をかき回す悪趣味な話。

個人的には、イマイチ。
世間的な評判の良さは感じ取れないこともないので、肌が合わなかったということなんでしょう。

結構グロい伝奇モノという噂だったのですが、こんなものかなといった感じ。
確かに、エグい事象は続いていたので、苦手な人にとってはキツイのかもしれませんね。
ただ、何というか現象そのものはグロくても、気味の悪さは伝わってきません。

狂気に恐ろしさがないんですよねぇ。
どこか壊れた人間というのは、正常な人間がいてこそ際立つものです。
対比させるためにも、一般的なキャラを何人か投入するべきだったのではないでしょうか。

グロ描写は、もっとドロドロとねちっこく描写してもいいなと思いました。
ライト感覚で読めるという意味では、正しい書き方なのかもしれませんが、これはあっさりしすぎかな。
読んでいるこちらが引くぐらいの強烈な思考があってこそ、恐怖が引き立ちます。
せっかく起きている内容は凄惨なんですから、吐き気を伴うぐらい特化すると、より世界観が引き締まって作中に没頭できたのではないかなと思います。

ストーリーそのものの牽引力が弱いのも欠点。
短編形式なのに初巻から分厚いのは、何とかならなかったのかな。
全てのラノベがサクッと読める必要性はないけれど、無駄が多いようにも感じられました。
救いのない話が多いのは好みだったんだけどなぁ。

設定や発想は、さすが優秀賞だけのことはあります。
紅色の唐傘を手にゴスロリファッションで佇む14歳の少女・繭墨あざかの印象は、表紙の効果もあって頭に焼き付いてとれません。
見せ方に難ありとしても、キャラ自体も悪くありませんね。

イラスト担当のkonaさんは、良イラストを描きますが、表紙以外は作風とちょっと合ってなかったかな。

ところで、気のせいか、この作品は他と似ているとか比較されることが多いように見受けられます。
雰囲気が「空の境界」「Missing」に通じるところがあるとか、ヒロインの設定が「神様のメモ帳」「GOSICK」に酷似しているとかなんとか。
しかし、上記作品が好きだからといって、本作も楽しめるとは限りませんのでご注意を。

さっぱりした書き方のグロ要素が好みを分けるミステリー風伝奇モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  B.A.D.  綾里けいし  kona  評価C+ 

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わたしたちの田村くん2 

わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)
(2005/09)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2010/7/22~2010/7/23

【評価……C+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
ラブコメ
青春
ツンデレ



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 松澤小巻。進路調査票の志望校欄に「故郷の星へ帰る」と書き続ける不思議少女。中学三年の夏、田村くんを魅了し翻弄し、その心をとらえたまま過程の事情で遠方へ去る。
 相馬広香。孤高の美少女。でも少し寂しがりやの意地っ張り。高校一年の春、罵りあったり励まされたりした末、田村くんのファーストキスを奪う。
 そして奇しくもそのキスと同じ日、久しく音沙汰のなかった松澤から届いた一通のハガキが波乱を呼ぶ――。はたして三人の恋の行方は!?
 おかしくてちょっと切ない、あなたのツボにくるラブコメディ―第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


二人の女の子が気になってしまった田村くんの青春物語、完結編。

無性に腹が立った。

ハッキリ言って、田村がサイテーすぎる。
人のせいばかりにして、お前は何かやったのかと問い詰めたくて仕方ありませんでした。

青春物語としては、先が気になる展開で面白いとは言えますが、主人公がグズ野郎でイライラした。
松澤とも相馬とも正式に恋人関係になっていたわけじゃないので、二股というよりも中間で揺れて何もできないって状態なのは、ある意味誠実だと言えなくはないです。
しかし、たぶらかすという意図がなくても、結果的にやっていることは同じなのはいただけない。

結局、どっちの女の子もキープしているだけに見えてしまう。
田村自身も悩んでいるのは分かるけど、だからといって許されるわけではない。
しかも、その悩みがまたムカつく。
紳士的な態度をとるのであれば、相手の気持ちの前に自分がどちらが好きなのかを選べよ。
自分のことを棚に上げて、女の子に対して「グズ」とか「最低」とか酷過ぎる。

ダブルヒロインの女の子は、タイプは異なれども魅力的で可愛いのになぁ。
個人的には相馬の方が好きですが、どちらと結ばれてもいいと思っていました。
結果はネタバレになるので控えますけれど、ラスト付近の演出はドラマっぽくて良かったと思います。

好きな女の子がいるはずなのにも関わらず、他の女の子に惹かれ始めてしまい、自分の恋心がどちらにあるのかと思い悩むシチュエーションってのは、実は結構好きなんですけどねぇ。
己の中で答えを出して欲しかったです。
1巻の松澤の話のときみたいに、暴走気味に行動する田村が見たかった。

まぁ、読者の感情を良くも悪くも動かすだけの内容だったといえます。
誤解されないように言っておきますけど、決してつまらなかったというわけではないんです。
個人的に、田村が気に食わなかっただけです。
全体的には面白かった……んでしょうが、うーん、やっぱり感情が邪魔するな。

発売当時の5年前に読んでいたら感想変わっていたかな……いや、そうでもないな。
ネット上での評判は好評ですが、こういう意見もあるということで。

二人の女の子の間で揺れる男子高校生の内面を描いた青春物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  わたしたちの田村くん  竹宮ゆゆこ  ヤス  評価C+ 

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死想図書館のリヴル・ブランシェ  

死想図書館のリヴル・ブランシェ (電撃文庫)死想図書館のリヴル・ブランシェ (電撃文庫)
(2010/04/10)
折口 良乃

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読書期間:2010/4/24~2010/4/28

【評価……C+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
グロ





 ★★★★☆☆☆☆☆☆ … 4






 お待ちしておりました。黒間イツキ様。私は、この図書館の案内を仰せつかっております、リヴル・ブランシェと申します。貴方様は私をお使いになり、この図書館より逃げ出した“死書”の封印をしていただきます。その過程において、この身はすべてイツキ様に隷属します。私は、そのために存在します。
 ですからイツキ様、これから共に――イツキ様?なぜこちらを見ようとしないのですか?私がメイド服だからですか?まさか私が、人間に見えないからですか?分かりました。今からその証明をするために、衣服を脱ぎ、身体のご確認をお願いしたく――

【感想】


逃げた魔導書などを捕獲するために奮闘する速筆が特技の少年と司書兼メイドの物語。

禁書や架空の本などを総じて死書と呼び、それらの本をまとめて保管する死想図書館というものが存在する。
図書館のある異次元の世界より現実世界へと逃げ出した死書を封印するため、協力を求められた高校生・黒間イツキは、半ば強制的に巻き込まれて行く――という展開。
異能系ファンタジーバトルとしては、テンプレ通りですね。

表紙買いしたものの、読む前に数ヶ所で酷評されているのを見てしまい、ハズレを引いてしまったかなぁと思いつつ読み始めました。
期待値が低かったためか、最初はそこそこ楽しめていたのですが、後半になると設定の粗さが目立つようになり、付いていけなくなってしまいましたね。

クトゥルフ神話が好きな人なら楽しめるかもしれませんが、あいにく知識が皆無なもんで……。
単語だけは知っていても、それがどう凄いのかも分からないので、驚きも何もあったもんじゃありません。
知っている人だけがニヤリと出来るものならまだしも、無味になってしまうのはなぁ。

文章を紡ぐことで、現象を呼び起こすことができる設定そのものはありだと思います。
ただ、それを上手く扱えていないところにも問題がありますね。
もう少し練りこめば化ける設定だったんじゃないかなー。

キャラが立っていないのも致命的な欠点ですねぇ。
黒髪メイド服のリヴル・ブランシェは、クールで従順なのはいいんですけど、可愛さが足りない。
淡々としすぎていて、表情が崩れないのも味気なさを助長させています。
おかげで、せっかくのKeGさんのイラストも活かしきれていません。
他の脇役もパッとせず、ラノベとしては掴みの弱さが気になりました。

唯一、主人公の黒間イツキだけは、キャラが固まっていたんですけど、好みの激しく分かれるタイプですね。
いわゆる「涼宮ハルヒの憂鬱」のキョンのような語り口で、常にふざけた調子が続きます。
個人的には嫌いではないんですけど、真面目なシーンでも砕けすぎているのは、やりすぎかなぁ。
括弧を多用する特徴も含めて、合わない人にはとことん合わない文体でしょうね。

そんなわけで、物凄い微妙な内容でした。
次もありそうな終わり方でしたけど、評判次第かなぁ。

デレ要素なしの無表情系ヒロインが好きな人ならお薦めできる、かもしれない

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  死想図書館のリヴル・ブランシェ  折口良乃  KeG  評価C+ 

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ヴァンダル画廊街の奇跡 

ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)
(2010/02/10)
美奈川 護

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読書期間:2010/3/6~2010/3/12

【評価……C+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
感動
世界観




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5





 人は誰もが、
 心の中に一枚の絵を持っている――。

 統一された政府により、様々な芸術が規制を受け始めた世界。しかし、そんな世界各地の壁面に封印されたはずの名画が描き出される事件が起こる。
 『Der Kunst Ihre Freiheit!』(芸術に、その自由を!)
 絵とともにそう書き残していく<アート・テロリスト>を、人々は敬意をこめて「破壊者(ヴァンダル)」と呼んだ。
 政府を敵に回すという危険を冒してまで彼らが絵を描く理由とは。そして真の目的とは――?
 第16回電撃小説大賞<金賞>受賞作!

【感想】

第16回電撃小説大賞<金賞>受賞作。

戦争終結後に結成された世界政府が、<プロパガンダ撤廃令>と呼ばれる、戦争を連想する芸術作品を規制する法を制定した近未来。
そんな世の中で、禁止された絵画を壁面に復元させるテロ行為を行なう「ヴァンダル」という組織が現れた。
目的や素性が謎に包まれた彼らは、また世界のどこかで絵を描く――というストーリー。

最初に思い出したのは「図書館戦争」でした。

この手の設定は時々ありますが、現実味がまるで感じられないんですよね。
いやまぁ創作なんだからリアリティは必要ないのかもしれませんけど、現実をベースにした世界観の確立をするときには、納得できる理由が欲しくなります。
しかし、文化規制をするには理由が弱すぎるし、実際にそんな状態となっては絶対に暴動が起こると思うんですよね。
平和目的のはずが、むしろ戦争の種にしか見えません。

近未来とはいえ、オーバーテクノロジーに溢れているのも引っかかります。
もっと設定を煮詰めて、物語に絡めて欲しかった。
突飛な設定が明らかに浮いていて、その度に興醒めしてしまいます。
この辺りが作品の主題ではないとはいえ、話の規模が大きいだけに、雑に感じてしまいました。
無理にラノベっぽさを出さない方が、良かったんじゃないでしょうか。

さて、本題です。
絵画を見ることで人の心に与える影響の大きさを表現したい、という作者の狙いが分かりやすくて良いですね。
メインテーマが明確となっていて、非常に素晴らしかったと思います。

核となるのは、序章や終章を除く5編からなる短編連作。
前半は脇役視点から、後半は内側から「ヴァンダル」を描いています。
渇いた心に一滴の水を投じ、人々に活気を与えるヴァンダルの活動は痛快かつ感動を得ることができました。
多少、淡白ではあるものの、透明感のある綺麗な物語で、好きな人が多そうだなと思いました。

ただ、見せ方がちょっと甘いかな。
文面から絵画の魅力を引き出すためには、もう少し言葉を重ねるべきだったかと思います。
あっさりしているのは悪くはないんですけど、その分、感動も薄めになってしまい、勿体無かった。
「文学少女」シリーズにて作中で紹介される文学作品のように含蓄を垂れろとまではいいませんが、絵画に興味や知識のない人に対しても実物を見てみたいと思わせる牽引力が足りなかった。
美術作品の知識に乏しい自分でも知っている有名作が多かったので想像はできましたし、正直分からなくても問題はなかったのですが、逆に言えばそれは、絵画である必要性がないとも言えるんですよね。
少々マニアックになってもいいから、絵画について掘り下げていたら、作品の深みが大きく異なったかと思われます。

外堀から埋めていったこともあってか、全体的にキャラが弱いのもマイナス点。
イラストレーターさんも個人的には嫌いではないけれど、作風とは合っていませんね。
雰囲気は良くても、惜しいところが散見される作品でした。

しかし、この作者の方が受賞したのは何となく分かる気がします。
まだまだ荒削りですけど、磨けばイイお話を書いてくれそうな気配がありますね。
このシリーズを追いかけるかどうかは悩み中ですが、次回作や今後には注目したいと思います。

絵に込められた想いが、束縛する人の心を優しく解く物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ヴァンダル画廊街の奇跡  美奈川護  望月朔  評価C+ 

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ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!disc3 

ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc3 (ファミ通文庫)ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc3 (ファミ通文庫)
(2009/09/30)
田尾 典丈

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読書期間:2010/3/2~2010/3/5

【評価……C+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ラブコメ
メタ




 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 いつも優しく世話好きな春姉。そして天真爛漫で甘えん坊な妹、夏海。俺こと都筑武紀が<世界改変>によって手に入れたヒロイン――愛する家族だ。
 しかし、その二人の様子が近頃おかしい。春姉は隠し事があるみたいだし、夏海の態度もどこか変だ、ぞ?ちょ春姉、その人は誰?え、実の父親!?しかも二人を引き取りたいって……それって都筑家存亡の危機じゃないか!どうする俺――!!
 選択肢無限の真世界を奔走する、青春ADVノベル、待望の第3弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


やり直しができない現実世界での恋愛アドベンチャー、第3弾。

表紙とは異なり、今回は春海&夏海の話。
二人の実父が現れ、彼女達を引き取りたいと申し出てきたことで、一波乱が生まれる展開。
ギャルゲーとラブコメの定番をミックスさせた、無難な内容となっています。

うん、そう、無難なんですよ。
面白さはほんのりと感じるのですが、何だか物足りないんですよねぇ。
とはいえ、つまらないとぶった切ってしまうのは、少々早いかなと思いました。

主人公の心意気は伝わってきますが、相変わらず同じところで躓いています。
もっと彼女達に相応しい男になりたいと思うのはいいんですけれど、すぐに忘れてしまうんだよなぁ。
必死になるところが間違っている気がしますね。
似たようなところで嵌り込んでしまうから、成長しているように見えないのが難点です。

ギャルゲーの常識を現実に無理矢理当てはめたことで発生する齟齬が面白おかしいギミックとなり予想外の展開を招くっていうのが、この作品の最大のアピールポイントだと思っているんですけど、少々都合のいい解釈が増えてきて乗り切れなくなってきました。
1巻は限られたページ数で、シビアな描写と全ヒロインの個別ルートを見事に作り上げていたのに、いつの間にかぬるくて甘い設定になってしまっています。
実は主人公の方がギャルゲー世界の住人となったんだと言われた方が、しっくりきますよ。
それぐらい中途半端であり、非現実的な内容です。

本当に微妙なラインだなぁ。
ストーリーやキャラで引き込んでくれる力強い面白さがあるといいんだけど、残念ながらそこまではないんですよね。
高橋は好きだけど、1巻の頃のように、もっとクールでいいと思うんだ。

ギャルゲー現実化システムの仕組みだけは気になるけれど、追い続ける気力が持たなくなってきました。
次巻で大きくストーリーが動いたりしなければ、シリーズ購読をやめるかもしれません。

現実世界にて、恋心を抱いた義理の姉妹との関係はどうすればいいのかと悩むお話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!  田尾典丈  有河サトル  評価C+ 

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ライトノベルの楽しい書き方5 

ライトノベルの楽しい書き方 5 (GA文庫)ライトノベルの楽しい書き方 5 (GA文庫)
(2010/01/15)
本田 透

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読書期間:2010/1/30~2010/1/31

【評価……C+
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
ツンデレ




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 12月のビッグイベント、クリスマスパーティが近づく中、南堂学園高等部の男女は浮き足立っていた。
 最強少女と恐れられつつも、その正体はあまあまラブコメ作家・姫宮美桜の流鏑馬剣と、その暫定彼氏・与八雲は、あまりに互いの趣味が異なるので相手に何をプレゼントすればいいか悩み中。
 それは、学園最萌えキャラの市古や最近すっかり家電作家の多々湖、戦国マニアの清麿、剣の従弟・涼牙といった面々も同じこと。
 刻々と迫るクリスマスを前にして追いつめられた剣の気持ちは、彼女の描くライトノベルの世界にまで影響し始め……。「ラノたの」第5弾も目が離せない!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ライトノベル作家が作品そっちのけでラブコメするお話、第5弾。

うーん、今シリーズで初めて微妙だと感じてしまいました。
コメディとしてはそこそこ面白いのだけれど……。

ストーリーの流れは、いつも通り剣が勝手に暴走して、八雲とすれ違いを起こし、周囲が気を遣うパターン。
ぶっちゃけ、前回の学園祭が、クリスマスパーティになっただけです。
テンプレ化しすぎているため、ちょっと飽き気味ですかね。

そこで、登場するのが姫宮美桜・作「蒼色海月党」のキャラクターが存在する異次元空間。
作者である剣の内面を、作中キャラで何が起こっているのか表現する仕組みです。
このパートが、個人的に激しく肌に合いませんでした。
マンネリを打破しようとする試みは買いますが、シチュエーションが好みではないですね。
こんな説明的な文章を入れるくらいなら、もっと直接的に登場人物の心情を掘り下げて欲しかったです。

強引というか都合の良すぎる展開も目立ち、物語の繋ぎが雑だと感じました。
後半は確かに楽しいのだけれど、面白いと感じる部分が少なすぎましたね。

面倒臭い女の子しか登場しない作品において、なお突出して我が道を行く存在である流鏑馬剣ですが、一歩間違えると単にウザいだけの女になるので、作者も舵取りが大変でしょうなぁ。
今回、バランス調整も含めあと一歩だったので、次回までに修正してもらいたいところ。

作者が難産だったと振り返っている作品は、読者にとってもイマイチだと思うことがほとんどじゃないですかねぇ。
そろそろ物語的に動きがあってもいいと思うので、勢いが戻ることを願っています。

良くも悪くもいつも通り過ぎるすれ違い系ラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ライトノベルの楽しい書き方  本田透  桐野霞  評価C+ 

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クイックセーブ&ロード2 

クイックセーブ&ロード 2 (ガガガ文庫)クイックセーブ&ロード 2 (ガガガ文庫)
(2009/10/20)
鮎川 歩

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読書期間:2010/1/21~2010/1/24

【評価……C+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ミステリー





 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6






 「拳銃自殺……」背後で警官らしき男が呟いた。かび臭いその部屋の中央に、常盤先輩が倒れている。どこかいつもと様子が違うと思ったら、そういえばこれが僕の初めて見る彼女の私服姿だった。清楚可憐な白いカーディガン。だが、何かに汚れている。どす黒い何かが、彼女のこめかみからだくだくと流れている。力なく落とされた左手に銀色の小型拳銃。人差し指はその引き金にかけられたまま……。僕はその光景をぼんやりと数秒間眺め、そして――唐突に、死ぬことを決意する。
 「セーブ&ロード」機能を持つ自殺常習少年の推理ロマン第二弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


任意で設定したセーブ地点に死ぬことでいつでも時間を遡ることができる少年の青春ミステリー。

惜しいなぁ。
この題材であれば、もっと面白い話ができそうなのに、設定の甘さと登場人物の感情の不自然さが引っかかってしまい、今一つな出来になっています。
1巻の内容をそのまま薄味にした感じで、少々物足りませんでした。

またしても身近なところで発生した殺人事件を食い止めようと奮闘するキョートに成長が見られないのが何より痛い。
何度だってやり直すことができるのに、物事を簡単に諦めすぎ。
前回のような詰み状態に陥ったのならともかく、数回上手くいかなかっただけで凹むのは打たれ弱いにもほどがあるでしょう。

死に恐れを抱く気持ちがあるのならまだしも、結構簡単に死んでしまいますしねぇ。
相変わらず無意味なセーブをする癖もありますし、もう少し頭を働かせて欲しいと思ってしまいます。
ストーリー展開を重視するために、未熟な主人公にしたみたいで嫌ですね。

優秀すぎる能力を持ったキャラを主人公にしたために、作者も困っているんですかね。
やりようによっては、それこそ何でもアリになってしまうからなぁ。

ミステリー要素は、無難な内容で、割とすぐに予想がつきました。
ループするたびに異なる事件が起こるのは、なかなか面白かったと思います。
タイムリープならではの一種の優越感も味わえたので、この点は悪くはなかったですね。

素材はいいと思うんです。
だからこそ、あともう一歩練り込んで欲しかったと思わざるを得ない作品でした。

時間を巻き戻す能力者が精神的に幼いことを念頭に読むことをお勧めします

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  クイックセーブ&ロード  鮎川歩  染谷  評価C+ 

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ごくペン! 

ごくペン! (MF文庫J)ごくペン! (MF文庫J)
(2009/10/23)
三原 みつき

商品詳細を見る
読書期間:2009/12/6~2009/12/7

【評価……C+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
設定 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
バカ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

偏差値70オーバーのぼくこと五十嵐真太郎がバカの殿堂として名を馳せる毒マムシ学園に転校したのは重大な理由がある!
一緒に東大に入ろうと約束した幼馴染みの権田原凛子がこの学園に通っているという噂を聞いたからだ!
想像以上に古風で脳天気なヤンキーの吹きだまりだが、ツッコミどころ満載のおかしな彼らに思わずツッコミを入れまくっているうちに、ぼくはヤンキーたちから崇められるようになってしまった。
そして再会した凛子は――なぜか私設極道の女親分になっているぅ!?
明朗にして軽快に魅せる第5回新人賞審査員特別賞受賞作!!お披露目にござんす!!

【感想】


第5回MF文庫Jライトノベル新人賞、賞審査員特別賞受賞作。
おバカな仁侠ラブコメディを期待して購入してみました。

エリート街道まっしぐらだった主人公・五十嵐真太郎が、昔に離れ離れになってしまった幼馴染みの権田原凛子を追いかけてヤンキー高に転校したら、彼女は極道の女親分になっていた……というメチャクチャなお話。
まず、唯一の常識人であるはずの真太郎が、事前に情報収集をろくにせずに転校を決めてしまう時点でおかしいのだけれど、この作品においてその程度は些細なことです。

ボケまくるヤンキーに片っ端からツッコミを入れる展開かと思いきや、ボケ倒しでツッコミが間に合ってねえw
これはこれで面白いけれど、読んでいると徐々に社会の常識を忘れていってしまいそうになります。

バカにも色々な種類があります。
たとえば野球バカといえば、年中野球のことばかり考えている人のことを指し、見下しているわけではなく呆れを通り越して感心するといった褒め言葉です。
昨今バカ小説が増えましたが、方向性が馬鹿馬鹿しいだけで愛のあるお馬鹿キャラ達が登場するものがほとんどだと思います。

しかし、この本に出てくるキャラは違います。
非常に残念なことに知能的な意味でバカです。
公立毒マムシ学園という名前からも明らかにアウトだし、通う学生はヤンキーとレディースとヤクザしかいません。
というか、この作品内で生徒とか学生という表記は果たしてあっただろうか。
全てヤンキーかヤクザでまとめられてしまっていた気がします。

無茶苦茶さに振り落とされずに勢いで楽しめたら勝ち。
設定を気にしたり深く考えては負けです。
カオスや超展開が好きなら、この強引さは笑いを誘われるのではないでしょうか。
個人的には、ここまで突き抜けていると清々しいと感じましたw

意外にもテーマはしっかりと練られているので、物語の根幹はへし折られることはありません。
ただ、如何せん設定やストーリー展開がぶっ飛んでいるので、途中からどうでもよくなってきたりしますw

「魁!!クロマティ高校」のようなヤンキーたちのシュールなコメディ、または「瀬戸の花嫁」のテンポ抜群の極道コメディのようなものを期待していましたが、さすがにそこまでの域には達していませんでしたね。
そこそこ楽しめたけど、ラストの超展開のおかげで設定が崩壊しまくっているので、続きが読みたいとはあまり思えないなぁ……w

ヤンキーとヤクザのおバカな学園抗争にラブコメ要素が融合された物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ごくペン!  三原みつき  相音うしお  評価C+ 

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土属性はダテじゃない! 

土属性はダテじゃない! (一迅社文庫 は 5-1)土属性はダテじゃない! (一迅社文庫 は 5-1)
(2009/11/20)
葉原 鉄

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読書期間:2009/12/2~2009/12/3

【評価……C+
発想 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

そこは《四方平》。精霊と人間が霊術を通して共存し、社会を形成する大都市。
ある春の夜。土属性の霊術使い「埴本麒一郎」は街の片隅で行き倒れていた。
夢をかなえるためと《四方平》の高校への進学を勝手に決めていたことで、先立つものもないまま実家から勘当されたのだ。
腹を空かせた彼の前に現れたのは火属性の霊術を使う同級生「雪乃」という美少女。
雪乃の厚意で一緒に新聞配達の住みこみバイトしながら高校へ通う麒一郎だが、地味で派手な術のない土属性の悲しさか留年の危機に。
こうなったら、一大イベント「異種精霊障害乱走」で勝って一発逆転するしかない。
そんな最中、大親友でもある雪乃と大喧嘩したあげく、意外な騒動に巻き込まれてしまうのだが……。
誰も地味すぎて考えなかった「土属性ラブコメディ」、堂々の登場?!

【感想】


ゲームや漫画でよくある火水風地の四大属性。
その中で、どの作品においても大抵地味な存在である地属性のキャラが、舐めるんじゃないぞと言わんばかりに奮闘するお話。

発想は面白い。
確かに地属性キャラって常に脇役なんですよね。
無駄に体がゴツかったり、野太い声だったりして、重量感のある武器を扱うイメージが強いのは自分だけではないはず。
この作品内においても、やっぱり他属性の面子から馬鹿にされたりしています。
そういった地味になりがちな土属性キャラの頑張る姿を描こうとしたコンセプトは素晴らしいですね。
購入に至った理由の9割が、この設定です。

物語は精霊の力を借りて奇跡を起こす霊術を学ぶ学校生活がメインかと思いきや、描写はほぼなし。
「異種精霊障害乱走」と呼ばれる精霊によるレースを主軸とした展開になっています。

これが何とも微妙。
ストーリーは理解できても、文章の繋がりが希薄で時々ついていけなくなります。
抜きつ抜かれつといったレース物は大好きなのですが、実況による説明的な文章では燃えません。

主人公の埴本麒一郎や、表紙を飾るヒロインの赤井雪乃などキャラクターは悪くはないんですけどね。
不器用な性格をしているけど大地の優しさを感じるかのような埴本の心遣いや、カーッと頭に上りやすい熱血系の雪乃が意外にも照れ屋なところなど魅力を感じる場面はいくつかありました。
ただこれも描写不足を感じずにはいられません。
230ページという薄めの本なのは、カットされたからなのかなぁ。

この厚さでラブコメもスポ根も捻りのある学園生活も描ききるってのは無理がありますね。
あっさりと読めるのはいいけど、発想だけで設定が甘すぎるためツッコミどころの多い内容でした。

一番の見どころは、絵かな。
八坂ミナトさんのエロ可愛い絵は枚数も多くて楽しめました。
表紙のパンモロ絵は購入したときは帯に隠れていて見えなかったので、恥ずかしくもなかったぜ。

もっと広げられそうな設定なのに中途半端になっているのが惜しいラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  土属性はダテじゃない!  葉原鉄  八坂ミナト  評価C+ 

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二人で始める世界征服4 

二人で始める世界征服4 (MF文庫J)二人で始める世界征服4 (MF文庫J)
(2009/08/21)
おかざき 登

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読書期間:2009/9/8

【評価……C+
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ほのぼの ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

どこにでもいる高校生の赤尾竜太は、実は悪の秘密結社デーモンテイルで活躍するドラゴン・リンドヴルム。
もちろん学校のみんなには秘密……なんだけど、最近、龍造寺八都子さんがリンドヴルムの正体を疑い始めた!
リンドヴルムの家族や年齢を訊いてきたりする龍造寺さんに、妙に危機感をつのらせたのは千紗とありす。
「大変です。ドラゴン大好きなヤトさんが正体を知ったら、竜太さんを誘惑しちゃうかもしれません!」
そこ、心配するとこですか?
そんなある日、僕と千紗は前から約束していたデートにでかけることに。
――混戦する恋模様の世界征服コメディ第4弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ゆるゆる悪の秘密結社ラブコメディ、第4巻。

表紙とあらすじにもあるように今回は八都子の回です。
これまで恋愛模様に関して若干距離のあった八都子ですが、いよいよ本格参戦となります。

個人的には、女の子としてはともかく、キャラクターとしては千紗やありすよりも見ていて楽しいので、応援したいなーと思っていました……が、うーん、今回の八都子は微妙。
八都子らしさは爆発しているんだけれど、主人公サイドから見るとウザく見えてしまう描き方なんですよねぇ。
コメディとしての面白さの前に、度が過ぎている行動に竜太と同じく引いてしまいました。
好きなキャラなだけに、これは残念。

千紗とありすは、今まで同様に鈍感というレベルじゃ片付けられない竜太にアプローチをかけています。
突っ込む気も失せるぐらいの鈍感さについては、4巻にもなると、さすがに厳しくなってきますね。
これで女の子たちの好意に気付かないのは無理があるだろう、とw

ストーリーもまた大半を同じことの繰り返しで占めていて、少し退屈。
かといって、バトル要素は大して盛り上がらないしなぁ。

次が最終巻ということですが、果たしてどのように完結するのか。
願わくば、初期の頃のデーモンテイルの活動をもう一度見てみたいんだけど……尺的に難しそうだなぁ。

加減を知らないお嬢様のアタックに色んな意味でタジタジ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  二人で始める世界征服  おかざき登  高階聖人  評価C+ 

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渚フォルテッシモ5 

渚フォルテッシモ〈5〉 (MF文庫J)渚フォルテッシモ〈5〉 (MF文庫J)
(2009/05)
城崎 火也

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読書期間:2009/6/21~2009/6/22

【評価……C+
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ツンデレ ★★★★★★☆☆☆
 … 7

山ノ上大地には秘密がある。クラスメイトの美少女で正体は伝説の人魚――麻生渚と共に、浜森の町を魔物から守っているのだ!
人形師事件が無事に解決した夏の終わり、学校祭の準備に盛り上がる大地と渚。空美や朱里、UMA研究会の面々と共に、発表会に向けて画期的(危ない?)企画も動きだす!?
……そんな大地のもとに、ずっと行方不明だった大地の従兄・土志紀が姿をあらわした。
なんと土志紀は、浜森に開く魔物の通り道・通路で拾った魔物を身の内に飼ってしまったのだ!
暴走を始める強敵を前にとまどう大地と渚。ふたりの絆が試される戦いが始まる――。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ツンデレヒロインが素晴らしいラブコメ、第5弾。
どうやら打ち切りっぽい……。

うーん、残念です。
文章がいい意味で軽くて、サクッと読めるラブコメが面白かっただけに、この終わり方はなぁ。
急いでまとめたストーリーが、あまりにも打ち切り臭が漂っていて素直に楽しめませんでした。

まぁ、もともと魔物関連のシナリオにはそんなに期待していたわけではなかったんですよね。
ベタといえば聞こえはいいけど、これは既に知っている脚本を読むぐらいのレベルですよ。
おかげで、肝心のラブコメも中途半端なまま終わってしまったし、何とも勿体無さすぎる。

せっかく、キャラクターがいいのになぁー。
ヒロインの渚は相変わらずラーメンラーメンと叫んでいて、ツンデレの鏡というべき存在です。
もっとデレる渚を見続けていたかったです。

一応、あとがきには、土志紀編が完結とありますが、第二部はないんだろうね……。
好きなシリーズだっただけに、ただただ惜しい。

ヒロイン・渚の喜怒哀楽が詰まったシリーズ集大成

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  渚フォルテッシモ  城崎火也  桐野霞  bomi  評価C+ 

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パララバ -Parallel lovers- 

パララバ―Parallel lovers (電撃文庫)パララバ―Parallel lovers (電撃文庫)
(2009/02)
静月 遠火

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読書期間:2009/2/10~2009/2/13

【評価……C+
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ミステリー ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
切なさ ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

遠野綾は高校二年生。平凡な日々を送る彼女の一番の幸せは、部活を通して知り合った他校の男子生徒、村瀬一哉と毎日電話で話すことだった。何度も電話をするうちに、互いを友人以上の存在として意識し始めた二人だったが、夏休みの終わりに一哉は事故死してしまう。本来であれば、二人の物語はそれで終わったはずだった。しかし一哉の通夜の晩、綾のもとに一本の電話がかかる。電話の主は死んだはずの一哉。そして戸惑う彼女にその声は告げた。死んだのはお前の方ではないのかと……。
二人が行き着く真実とは!?出会えぬ二人の運命は!?携帯電話が繋ぐパラレル・ラブストーリー。切なさともどかしさが堪らない、第15回電撃小説大賞<金賞>受賞作。

【感想】


第15回電撃小説大賞<金賞>受賞作。
受賞作品の中で一番あらすじの設定に惹かれて、迷わず手に取った一冊です。
そんなわけで、期待大だったんですが……。

うぅーん……、なんと微妙な……w
評価に困りますねぇ、これ。

事故死したはずの想い人から電話がかかってくるという設定は非常に興味が沸きます。
しかも、その内容が「死んだのはお前なんだ」という宣告で、どのように物語が展開していくのか気になって仕方ありません。

設定だけをみたら、凄く面白そうなんですよ。
これは当たりだと信じ切っていたら、痛い目とまでは言わずとも、予想してなかったぬるま湯で「あれ?」と首を傾げてしまいました。

一番の原因はストーリーの方向性の問題でしょうかね。
すれ違いを描いたラブ・ストーリーなのかと思いきや、ミステリー風味の作品で驚きました。
携帯電話で繋がっていても、実際にはもう二度と会うことのできない悲愴感や切なさをもっと文面に出して欲しかった。

もちろん、それだけであれば勝手に自分が期待したものと違って裏切られただけです。
しかし、ミステリー作品としてもお粗末な点がチラホラとあるんですよねぇ。

キャラクターが薄いのもマイナス点。
無駄に登場キャラが多く、しかもそのどれもがキャラ付けが甘いため頭の中に全然入ってきません。
ここまで名前を覚えられなかったライトノベルは初めてかも。

主人公の遠野綾が、考えの足らない子なのも痛恨でしたね。
物事を軽く捉え過ぎで、呆れてしまう場面すらありました。
また、パラレル・ワールドという設定なのに綾の視点からの一人称で話が進むため、ズレていく世界が説明的な形でしか変化を感じられないのも痛い。

切ない恋物語としては中途半端でした。
エピローグの余韻は良かったんですけどねぇー。
地味な作風も含めて、個人的にかなり好みな作風だっただけに、惜しかったです。
設定を生かしきれなかったのが勿体無い。

もどかしいプラトニック・ラブストーリーではなく、ミステリー寄りの内容

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  パララバ  静月遠火  越島はぐ  評価C+ 

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静野さんとこの蒼緋 

静野さんとこの蒼緋(ふたご) (電撃文庫)静野さんとこの蒼緋(ふたご) (電撃文庫)
(2009/01/07)
水鏡 希人

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読書期間:2009/1/18~2009/1/21

【評価……C+
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ラブコメ ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

「お前に紹介したい人がいる」
――そう父に言われ、蒼介が引き会わされたのは、可愛くも凶暴なひとりの少女だった……というか、今まで存在すら知らなかった双子の妹・緋美子だった!!?
押しかけ的に同居することになった緋美子に終始やられっぱなしの蒼介。家だけでなく同じ学校に通うことにもなってしまっていよいよ息つく場所もなくなり……。そうまで蒼介をやり込める緋美子の真意とは?そして双子ともども巻き込まれてしまった、学校で起こる妙な事件の真相とは!?
口も達者、腕っぷしも強くて、でもとってもかわいい双子の妹の登場から始まる、ドタバタ学園コメディ登場!!

【感想】

君のための物語」から1年の期間をおいて発刊された、水鏡稀人さんの第2作目。

これはまた前作とガラリと作風を変えてきましたね。
本屋で探した時、タイトルしか知らなかったので視界に入っていたにも関わらず見つけるのに時間がかかりましたよ。
前回はラノベらしからぬ硬派で儚い雰囲気が好印象でしたが、今回はベタベタな学園コメディです。

父親とともに二人で暮らしてきた静野蒼介には、実は双子の妹・静野緋美子がいた。
そんな記憶は全く持ち合わせていない兄の蒼介は、戸惑いながらも緋美子を加えた家族3人での生活を余儀なくされるのだが……という展開。
双子のぎこちない関係が徐々に絆となっていく家族愛をテーマにした話かなと思いきや、物語は中盤から意外にもミステリアスな方向に動き出します。
これは予想外でした。

確かに前作よりライトノベルらしさは出ていますが……うーん、この方向転換はいかがなものかと。
少なくとも、「君のための物語」の雰囲気が好きだという方にオススメできるものではありません。
せっかく、大賞並みかそれ以上に評判の良かった作風だったので、わざわざ変えるメリットはなかったと思うんですけど。

それでも、地力のある作者さんですので、要所は抑えているなぁーという印象。
手堅い文章で読ませてくれますし、兄妹を中心とする学園どたばたコメディもぼちぼち笑わせてくれます。
好きな人にはたまらなさそうな素直になれないツンデレ妹も拝めます。
兄に対してついそっけない態度を見せてしまうものの、本心では嫌っていないというのが見え隠れしていてむず痒いものがあります。

しかし、全体を通してみると、中途半端かなぁと言わざるを得ません。
登場する意味の薄すぎる脇役、軸が分かり辛い物語、消化しきれていない設定などなど。
アマゾンのレビューにもある通り、ちぐはぐな印象は拭えませんでした。
前作からの期待度が高すぎたのかなぁ。

著者の新作が出たら絶対に買うでしょうが、このシリーズの続巻だと迷ってしまいそうな微妙なラインですね。

長年会っていなかった兄と妹の絆が育まれていく過程が見どころ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  静野さんとこの蒼緋  水鏡希人  夕仁  評価C+ 

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りっぱな部員になる方法。 1) 紙ヒコーキと四次元黒板 

りっぱな部員になる方法。〈1〉紙ヒコーキと四次元黒板 (集英社スーパーダッシュ文庫)りっぱな部員になる方法。〈1〉紙ヒコーキと四次元黒板 (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2007/10)
午前三時五分

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【評価……C+
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ラブコメ ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4

この世の謎を追い求め、解き明かすのがミステリー研究部――のハズが、尽夜野学園1年、久瀬守が入ってしまったのは、怪奇現象を否定しまくる部長や、自称・幽霊な先輩達&クラスメイトの小春ちゃん(妹にしたい?)で構成された……なんかヘンだぞ、この部活!?「ていうか、この研究部の存在がそもそもミステリーですよ!!」守のツッコミが、今日も部室にこだまする!
そんなある日、学園七不思議の1つ“四次元黒板”にまつわる事件がミス研に舞い込んで――!?
基礎からはじめる、七不思議♪学園ラブコメ・ミステリー味――ここに開演!!

【感想】

学園内で巻き起こる怪奇事件にミステリー研究部が立ち向かっていくお話。

学園ラブコメを期待して買いましたが、1巻だからかもしれませんが恋愛要素は薄いですね。
コメディもさほど重視してるわけでもなく、何が売りなのかと問われると……うーん?と唸ってしまいます。

ミステリー・ホラー・ファンタジーの要素を少しずつ盛り合わせた学園ドラマ、といえば近いかなぁ。
でも、基本的にファンタジーとミステリーって相性悪いんですよね。
例えば密室殺人事件などがあったとしても、ファンタジー作品であればいくらでも密室トリックを崩せてしまいますから。
何でもありになってしまうんですよね。

まぁ、そんなの関係なくストーリーが分かりやす過ぎるってのも問題ですが。
冒頭こそ、途中から始まったように感じて、まさか2巻から読んでしまったのかと表紙を確認したほどですが、中盤からは一切引っかかることがありませんでした。
捻りが「足りない」のではなく、ほぼ「ない」んですよ。
微妙かなーと思いつつも読む速度が落ちずにそのまま読みきってしまえたほど、非常に読みやすかったです。
読書の習慣がない人だったら、これくらいでちょうどいいかもしれません。
ただ、意外性は皆無のため、読書家の人にとっては退屈に感じてしまいそうですね。

キャラクターはミステリー研究部に楽しいメンバーが揃っているので、そこが一番の魅力かな。
おっとりとした性格の小春ちゃんは、「妹にしたい子ランキング」第1位(作中内での話)の呼び声通り可愛らしい。
主人公・久瀬守とのやり取りも微笑ましくて、個人的にはもっとこの部分を見たかったと思いましたね。

今回はそんなヒロインの小春ちゃんを差し置いて、部長の玉露園先輩が強烈にインパクトを残してます。
一人だけキャラ濃度が間違っている気さえしますw
オカルトの類をことごとく否定し、思考や発言が変人の域に達していますね。
腹が立つけど憎めないってタイプで、見ている分には楽しめますw

その他のキャラは出番が少なかったので判断し辛いですが、悪くはないかと。
きっと1巻につき1人のペースで掘り下げていく形式なんでしょうね。

まー、一言でいってしまえば「普通」の作品です。
嫌いではないけど特別好きでもなく、大きな短所がないところが長所ですかね。
続きを読んでもそれなりの楽しめるとは分かりますが、かといって積極的に読むことはないかなぁという際どいラインです。
んー、つまらなかったわけでもないし、買うかなぁ。

あ、短所がないといったばかりですが、太字を多用するところはいただけないかな。
小説は文字サイズを弄らない方が好みという人は少なくないんじゃないでしょうか。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  りっぱな部員になる方法。  午前三時五分  すまき俊吾  評価C+ 

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ヒトクイ 

ヒトクイ (電撃文庫)ヒトクイ (電撃文庫)
(2004/11)
御堂 彰彦

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【評価……C+
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

ヒトクイ――人に似、人に紛れ、人を喰らう生物の総称。柴崎倖一はそんなヒトクイの一人である。ある晩、ヒトクイが人間を捕食するところを偶然見てしまった倖一と人間の少女、瞳。二人は口封じのためかヒトクイたちに執拗に狙われる。二人を護衛する「組織」のエージェント双葉は、この一件が単なる目撃者の口封じでないと睨む。それに気付いた倖一は真実を知ろうと決意するのだが……。
人間の捕食事件、まったく接点のない倖一と瞳。このミッシングリンクが繋がる時、思いもかけぬ真実が明らかとなる!!息をつかせぬフルアクションで贈るダーク・ミステリーが登場!

付喪堂骨董店』シリーズの御堂彰彦さんのデビュー作。
第7回電撃ゲーム小説大賞で選考委員奨励賞するもなかなかデビューすることができず、受賞から数年経ってようやくこの『ヒトクイ』でプロ作家としてスタートラインに立つことができたそうです。

12DEMONS』や『付喪堂骨董店』を読んで、この作者とは波長が合うなぁとしみじみ感じました。
好きな作家さんだけど、執筆ペースが早いタイプではないので、『付喪堂骨董店』の新作が出るまでの間の繋ぎとして手に取ってみたというのが購入動機です。

作者の作品全てに通じる点として、ダークな雰囲気を醸し出している点を挙げられると思います。
このデビュー作品にも、しっかりとその影が見て取れますね。

設定はなかなか面白く、導入で引き込まれます。
見た目は人間となんら変わりのない存在でありながら人を食べてしまうヒトクイ。
基本的に人として生きるために捕食を禁じられているけれど、それは本能から逆らう行為であるため、当然ながら我慢できないヒトクイもいます。
そんな人を喰うヒトクイと、人を喰うことに規制をかけるヒトクイの争いに、一人のヒトクイと一人の少女が巻き込まれるお話です。

キャラクターが微妙なのは否定できそうにないかなぁ。
過去に恋人を喰ったことのあるヒトクイの主人公・柴崎倖一は心情を丁寧に描かれているものの、もう1つパンチが足りない。
その他のキャラも軒並み印象が薄めで、もう少しキャラ設定を文章に出して欲しかったですね。

ストーリーも構成はそこまで悪くないはずなんだけど、先が気になるというものではないかな。
最後の展開があまりにもご都合主義でどうかと思いました。

全体を通してみて、さすがにまだまだ荒っぽさの残る内容ですね。
しかし、作者の良い所が随所に見られて、素質は十分にあったんだなぁと思わせてくれます。
筆力は確かですしね。
後の作品がいい方向に成長しているのをみると、担当の編集さんが良かったんだろうなぁと思いました。

『12DEMONS』→『付喪堂骨董店』→『ヒトクイ』という順番で読んだのは良かったかもしれません。
『ヒトクイ』から読んでいた場合、他作品を読んでいたかどうか怪しかったですから。
もし『ヒトクイ』だけを読んで面白くなかったという方がいたら、『付喪堂骨董店』をお勧めしておきますよ。
確実に作家としてレベルアップしてますからね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ヒトクイ  御堂彰彦  もりそばん  評価C+ 

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さよならピアノソナタ2 

さよならピアノソナタ (2) (電撃文庫 (1570))さよならピアノソナタ (2) (電撃文庫 (1570))
(2008/03/10)
杉井 光

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【評価……C+
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

天才ピアニストにしてピアノを弾かず、人を寄せ付けない蛯沢真冬をギタリストとして迎えた民族音楽研究部は、自称革命家の部長・神楽坂響子の独断と独走により海へ合宿にいくことになる。
海といえば海水浴!と妙にはりきる幼なじみ・千昌、珍しく思い悩んでいる様子の神楽坂、そしてやっぱり部活に馴染み切れない真冬。そんな三人との合宿で波乱がないわけはなく、ナオはすっかり翻弄されるが――。
おかしくて少しせつない、恋と革命と音楽が織りなすボーイ・ミーツ・ガール・ストーリー、第2弾。

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

恋と音楽と革命の青春ラブストーリー第2弾。
まぁ、革命というのは言いすぎというかあまり関係ないような気がします。

1巻のラストが結構思い切ったところで終わっていましたが、青春の甘酸っぱさを残す綺麗なものだったので、意外にも早く続巻が出たことに驚きました。
どうしたって1巻に比べてボーイ・ミーツ・ガール的要素は薄れてしまうし、恋愛方面にしろ音楽方面にしろこれ以上突っ込んで描かれていても蛇足と感じるんじゃないかな、と。
その予想は半分当たり、半分はある意味外れていました。

ストーリーは、まぁまぁといったところ。
中盤にだるいところもあるけど、一致団結する後半の盛り上がりとか好きですよ。
肝心のシーンの描写が少なめだったことに関しては残念でしたが、構成としてはそんな間違っていないと思います。
1巻と違い、主にバンドと恋愛要素で物語が進むので、多少視野が狭まっているような気がしました。

問題はそこではなく、キャラクターにあります。

主人公のナオの鈍感っぷりが酷過ぎる。

ホントねー、これは駄目っしょw
このレベルは、僕の許容範囲を超えていました。
若いなーと思えればよかったんですけど、正直ムカついて仕方がなかったです。
真冬や千昌の想いをどうしたらここまで気付かずにいられるのか……。ホトホト呆れ果てました。

地の文が三人称だったらまだマシだったのかもしれませんね。
一人称で語られる「よくわからない」という言葉にイラッとさせられることが何度あったか。

確かにラブコメ作品では、ある程度鈍感でないと話がすくに完結してしまいます。
バカとテストと召喚獣」や「とらドラ!」などを見ても同じですね。
しかし、上記2作品の主人公は個人的に大好きです。
では何が決定的に違うのかというと、ナオは恋という事象を頭の中から排除しちゃってるんですよね。
音楽評論家の真似事をしている思春期真っ盛りの男子高校生が、恋心に疎いというのは違和感ありまくりでした。

続いて、メインヒロインの真冬も微妙。

前回も周囲を振り回してくれる存在でしたが、それが一回りパワーアップしてます。
1巻の頃は、巧い具合にツンデレのデレ部分が見え隠れしていたので腹が立つことも少なかったのですが、今回は殻に籠ることが多くて自分勝手なイメージがついてきてしまいがちでした。
まぁ、半分以上は鈍感なナオのせいではあるんですがね。
そのため、まだ真冬に対してはそこまでいうほどイライラさせられることはありませんでした。
それでもこれは人を選ぶ娘だなぁ。

超がつくほど鈍感なのに「何でそんなことも分からないの?」と勘違いをする主人公。
周りを振り回しておいて自分は逃げてしまうヒロイン。

こういうキャラが地雷という人は少なくないと思います。
そういう人は今シリーズに手を出さない方が無難でしょうね。

それに対して、前回は軽く空気だったサブヒロイン達が掘り下げられていますね。
神楽坂先輩の意外な一面が垣間見れるエピソードや、今回一番頑張っていた千昌の奮闘ぶりなどは良かったなと思います。

題材である音楽は、今回もやっぱり全然分かりませんでしたが、流れで読むことができました。
言葉で音楽の素晴らしさを伝えるのは難しいと作中でも似たようなことをいっていますが、まさにその通りだと思います。
それにも関わらず、自分のような音楽知識がゼロに近い人間にでも共感できる文章は見事ですね。

世間一般の評価は8割が絶賛、残り2割程度が僕みたいに引っかかった人のようですね。
神様のメモ帳2』でも感じましたが、作者と肌が合わないのかもしれないなぁ。
設定は好みだったりすることが多いのに、ちょっと残念。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  さよならピアノソナタ  杉井光  植田亮  評価C+ 

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DOORS Ⅱ新たなる敵を修繕せよ! 

DOORS  II 新たなる敵を修繕せよ! (角川スニーカー文庫 46-19)DOORS II 新たなる敵を修繕せよ! (角川スニーカー文庫 46-19)
(2008/04/01)
神坂 一

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【評価……C+
舞台 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
人物 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
文章 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
バカ ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ギャグ ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

「おまえは、奈落の公爵アスモデウス・ミヤ!」って言われたって、何のことかわからないわよっ!!わたしはフツーの女子高生のミヤなんだから!おかしくなった世界をなおすためにドアをくぐり飛び込んだ異世界で、いきなり現れたおじいちゃんに、そんなこと言われてびっくり。おまけに世界修繕の必需品レンチも奪われちゃって、世界は本当になおせるの!?仲良し姉妹のパラレル・コメディ、驚愕の完結編!!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

妹がリスや触手になってしまった世界を直そうと異世界へ乗り込む姉の話、第2巻にして完結。

1巻同様に脈絡もなく変なことが常識として定着しており、唯一本物の現実を知るミヤの気苦労たるやはかりしれません。
前回のカウンセリングに通うミヤの姿には笑いを越える痛々しささえありましたね。

今回のストーリーは、ちょっぴりシリアスな展開に。
真面目な話なんてこの作品には合わないなと思っていましたし、実際にミスマッチしてますねぇ。
結局、シリアス要素は全く必要なかったんじゃないかなと読み終えてから思いました。
まぁ、基本はおふざけ全開の話なので、同じような感覚で読むこともできますけど。
最終話が予想外にしんみりとしたものだったので、読了感は微妙かなぁ。

しかしながら、触手のインパクトは絶大でしたね。
さすがにそれを越えるようなものは残念というか当然というかありませんでした。
おかげでインパクトはかなり薄れてしまいましたね。
このままダラダラ続けていても似たような話しか書けないと思って、あっさり2巻で終了したのかもしれませんね。

悪くはないけど、普通の作品になってしまったなぁという印象です。
2巻で完結したので、ライトノベル読者の新規開拓には向いていそうですね。
頭を使わずに気楽にライト感覚で本を読みたいのであれば、選択肢の1つとしてありだと思います。

うーん、基本的に1巻と同じ流れなので改めて感想を書くようなことがないなw

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  DOORS  神坂一  岸和田ロビン  評価C+ 

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リバーズ・エンド after days 

リバーズ・エンド after days (電撃文庫)リバーズ・エンド after days (電撃文庫)
(2004/06)
橋本 紡

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【評価……C+
舞台 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

一年が過ぎようとしていた。自らの足元を見つめ、戸惑い、けれど彼らはそうやって“何か”を見つけだしてゆく――。
二ノ宮直人は故郷にいた。家族との平穏な生活。当り前の日々。でもさ、と直人は思う。こんなんでいいのかよ……。
豊かな生活の中、紺野七海はスクールでの日々を思い続けていた。四方弥生が闇と向き合っていることに気づかぬまま。
そして瀬川拓己はスクールに残っていた。そばにはいつも、あの唯がいた。拓己は自らに問う。僕は誰と暮らしているんだろう。隣を歩いているのは誰なんだろう。
『リバーズ・エンド』スペシャル、八人のアフターデイズを綴った一冊が登場!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

リバーズ・エンドの後日談を描いた作品。
第6巻と称してもいいような気もするけど、一応物語としては5巻で終止符が打たれているからこれでいいのかな。
もちろん、当然の如く先に5巻まで読んでおかないと半分くらいしか楽しめません。

SF要素がなければ、こうも違うのかと言いたく程の出来です。
ここまで読んできた人なら、5巻が楽しめた人もそうでなかった人も読むべきだと思います。
これこそリバーズ・エンドの締めに相応しい内容だと言えますね。
作者が書きたかったのは5巻の内容だったのかもしれないけど、読者が期待してたのはこういった日常シーンだったんじゃないかな。

あらすじを読んでの通り、3人のキャラクターをピックアップしています。
3人を主人公にした後日談が1話ずつあり、その合間にそれぞれの話を繋ぐ小話が挟み込まれています。
非現実的な閉鎖空間から解放され、元の日常または変化した日常の中に身を置く少年少女たちの揺れ動く心情が細かく書かれています。

個人的には、直人の話が一番面白かったかな。
直人のツンデレっぷりが、かわいらしかったw

会話中心で進む小刻みなテンポも復活して、非常に読みやすかったです。
毎度のことながらページ数の割に、あっさり読めてしまえます。

やっぱり、この作者は何気ない日常的なやり取りを読ませるのが上手いんだよね。
それに関しては、素直に楽しめます。
だから、リバーズ・エンドの結末には残念だったけれど、作風は嫌いではないですね。
長所と短所がこんなに分かりやすい作家って、あまりいないんじゃないかなって思います。

長いようで短かった気もするリバーズ・エンドもこれでおしまいです。
突っ込みたいところは山ほどあるけど、最後に一つだけどうしても気になったことがあります。
2巻に出てきた六川豊の存在ってなんだったんだろうか……と。
あの惨状もだけど、そのあと誰にも思い出されないというのが可哀そうすぎる。
しかも、文字通り体を張って示した共生体の設定は、いつの間にかに忘れられているしね。

さてと、半分の月がのぼる空に手を出すべきかどうか悩むなぁ……。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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リバーズ・エンド3 free the birds 

リバーズ・エンド〈3〉free the birds (電撃文庫)リバーズ・エンド〈3〉free the birds (電撃文庫)
(2002/09)
橋本 紡

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【評価……C+
舞台 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

■評価【B-】⇒【C+】 2008.6.17修正

スクールも、そこでの生活も、見せかけの現実にすぎない……。死が訪れるまでの、かりそめの生だった。
けれど、だからこそ、拓己たちはそこで本物のぬくもりを見いだすようになる。みんなと騒ぎながらのテスト勉強、夜の校舎を舞台にした肝試し――。そういった触れあいの中、拓己は確かな何かを掴んでゆくのだった。拓己は唯に告げる。僕は、ここで、この下らない場所で、それでも友達と生きてるんだ……。
だが、まさにその時、SIFMAによる『実験』が始まろうとしていた……!
第4回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞の橋本紡が贈るラブ・ファンタジー3弾。

面白くなってきました。
相変わらずの安定性なので、2巻が楽しめた人ならまず間違いなく楽しめるでしょう。

前半は、2巻から続いた脇役をピックアップする流れを今回も引き継ぐ形。
子供たちの中で、一番謎に包まれている遥の話も少し触れられています。
いくらなんでも特殊すぎな気がしないでもないですが、考えてみれば各所にオーバーテクノロジーが散りばめられている世界なんだから、ありえる範囲内なのかもしれません。
まぁ、遥に関しては、まだまだこれから暴かれていく秘密があるでしょうから、今の段階で突っ込むのも野暮でしょうかね。

肝心の物語は、3巻のラストになってようやく廻り始めたところで、それ以外の大部分は田舎の学校生活を見ているような気分になります。
しかし、それは悪いことではなく、子供たちの悲しい背景の上に成り立つ談笑は、重苦しい裏事情を忘れさせ、微笑ましくさえ感じられます。
あらすじの中にもある、テスト勉強や肝試しといったイベントは、今までで一番楽しく読めたシーンでしたね。
じっくりと一人一人を掘り下げて描写してきたので、大勢で話し合っていても、それぞれキャラの特徴がよく分かるんですよ。

ただ、苦言を呈すならば……。
いつになったら、話が進むんだろうか、と。
ここまで来るのに、ページ数を割きすぎのように思います。
一文が短いために、必然的に増えてしまうんでしょうけど、もう少しまとめて欲しい気がします。
2巻と3巻は、合わせて一冊でいいと思うんですけどね。

次こそは、物語の核心に入るといいなぁと思いつつ、早めに読もうと思ってます。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  リバーズ・エンド  橋本紡  高野音彦  評価C+ 

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学校を出よう! Escape from The School 

学校を出よう!―Escape from The School (電撃文庫)学校を出よう!―Escape from The School (電撃文庫)
(2003/06)
谷川 流蒼魚 真青

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【評価……C+
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4

超能力者ばかりが押し込まれた山奥の学校――第三EMP学園。僕は超能力を持っているわけでもないのに、なぜかここにいる。もう六年も。理由は明確。僕のすぐ後ろで今もひらひら回っている女の子の幽霊のせいである。彼女の名は春奈。僕の妹で、六年前に事故で死んだはずなのに、でも死んだ翌日には幽霊になって僕に付きまとい始めた。幽霊の癖に外見はちゃんと成長していまも年相応の姿をしているのだが、問題はその中身で……!兄想いというか、兄離れができていないというか、ブラザーコンプレックスというか……。
さらに第三EMP学園の面々ときたらまったく、超能力者とはどうして揃いも揃って妙な奴ばかりなんだろう――?
……こんな学校、早く出て行きたい!!

涼宮ハルヒシリーズで有名な谷川流さんの電撃文庫デビュー作。
『涼宮ハルヒの憂鬱』と同日に発売された今作ですが、今となっては知名度に大きな開きがありますね。

もちろん、それがイコール本の面白さの差ではありません。
……が。
一巻から強烈なインパクトを与えてくれた涼宮ハルヒシリーズとは違い、微妙と言わざるを得ません。

一番の要因はキャラクターでしょう。
濃いキャラが多く出てきますが、どれもこれも記号的なインパクトはあっても、内面は浅いんですよねぇ。
最初はこんなものでも、どんどん深く掘り下げていくんだろうなという期待は裏切られてしまいました。
おそらく続巻では、もっと魅力的に仕上がっているんでしょうけど、この一冊だけでの判断では、好感の持てるキャラはほぼ皆無だったと言えます。

惜しい素材はいるんですけどねぇ。
宮野とか茉衣子とか、もったいないなぁって思う。
まぁ、二巻以降では、もっと大暴れしてくれる(?)ようなのでそちらに期待かな。

登場人物に魅力を出し切れなかった要因は、主人公にあるような気がします。
話の根幹の事件に大きく関わっていくのに、いつまで経っても当事者の自覚がない。
誰に対しても無関心で、立ち位置や行動の何もかもが中途半端なんだよなぁ。
おかげで、終盤の展開も、流されっぱなしで盛り上がりに欠けてしまいます。
この本で、キョン(涼宮ハルヒシリーズの主人公)の偉大さを知りましたよ。

あと、著者は涼宮ハルヒシリーズでいう古泉にあたる、事象を推察して語る人間が好きなんだなというのが分かりました。
この作品にも、疑似古泉が出てきますよw
しかし、こちらも古泉に似ているはずなのに、つまらないキャラに成り下がっちゃってますね。
古泉は、案外人間味がありますからね、あれでもw

舞台設定はそんなに悪いわけでもないと思います。
涼宮ハルヒシリーズが「主人公が日常の裏で起こる非日常的出来事に巻き込まれる話」ならば、今作は「現実世界で非日常的生活を余儀なくされている主人公の話」ということで、似ている部分があります。

では、何が評価を下げているのかというと、もっとも重要なストーリーです。
きっと構成が悪いんでしょうね。
構成が抜群に上手かった『涼宮ハルヒの消失』が著者の最高傑作として名高いのは、これを読んでいると当然のことだと思えますね。

それでも、この本が微妙程度の評価にとどまっているのは、独特の文章のおかげです。
読み始めたときは、意外と普通だなと思ったのですが、中盤辺りから谷川節が出てきます。
やっぱり、この人の文章は面白いねー。
個人的には、好きな作家の五指に入るくらい程で、今作でも独特な言い回しの表現には楽しませてもらいました。
なので、読んでいる間は、結構楽しんで読めていました。
ただ、冷静に振り返ってみると、褒められる点は少ないので厳しい採点になってしまうんですよね。

イラストに関しては、正直なところ、内容とミスマッチしています。
絵自体は一昔の少女漫画チックで、上手くもあり、それなりに好きな絵柄なんですが、この本には合わないですね。
カラーページの漫画を読んで想起させるものと、実際の内容はかなりかけ離れています。
挿絵があるたび、違和感を抱いて、少し冷めてしまうのが残念でした。

ちなみに、二巻はもう買ってあります。
このシリーズも、よくある二巻目以降から面白い作品らしく、二巻目の題材が興味を惹かれたので、あまり迷うことなく買いました。
好きな作家だからというのも大きいですね。

涼宮ハルヒシリーズが好きな人なら、誰にでも勧められる内容ではないです。
まぁでも、こちらの方が人は選ばないと思いますね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  学校を出よう!  谷川流  蒼魚真青  評価C+ 

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世界平和は一家団欒のあとに② 拝啓、悪の大首領さま 

世界平和は一家団欒のあとに 2 (2) (電撃文庫 は 9-2)世界平和は一家団欒のあとに 2 (2) (電撃文庫 は 9-2)
(2007/06)
橋本 和也

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【評価……C+
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
家族愛 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

家族愛 2008.7.11追加

家族全員、特殊なチカラを持ち、なぜか世界を危機から救う役割を押し付けられる星弓一家。
長男の軋人は、かつて自分が倒した悪の組織の首領一家と再会する。その一家、鶴見家の父の修平は無職でしょぼくれ、長女の銀子は父を見限り失踪、末っ子の正志はそんな中すっかり意気消沈しており、家族は崩壊の危機に瀕していた。
長男の啓吾に頼まれ、なんとなく後ろめたさも感じた軋人は、柚島や妹の美智乃とともに彼らの絆を取り戻す手助けをすることになるが――。
悪の組織の“その後”と正義の味方のアフターケアを描く物語。

もはや正義の味方が家業となっている家族の物語、第2弾。
今回も1巻と同様に、家族愛の話をテーマに持ってきていますが、その家族というのは主人公達ではありません。
何とまぁ、滅びた悪の組織の家族を救うという、主人公がお人よし過ぎるお話。

このシリーズは、これからもRPGのサブストーリー的な話を主体としていくのかな。
そこが魅力なのは十分分かっているんだけど、せっかくだからこの面子で正義vs悪のベタベタな展開が見てみたいなー。
今のままだと、緊迫感に欠けて、イマイチ燃えにくいんだよね。

1巻に比べると、マシにはなったヒロインの登場頻度ですが、それでもオマケ程度にしか見えないねw
きっと、このヒロインが活躍する話が、最後の話になるんだろうね。
それにしても、主人公である軋人が弱くて泣ける(TωT)
仮にも正義の味方で、能力的にも決して低いわけでもないのに……女性陣が強すぎるだけなんだろうかw
おかげさまで、軋人の女性陣からのあしらわれ方には同情を拭えませんぜ。
ツンが好きな人なら問題ないけれど、そうじゃない人にとっては頭にきてしまうかもしれないレベルですよw

相変わらず、文章は読みやすくて、結構文章量としてはあるのに、読後はすっきりとします。
重いものを読んだ後に、オススメ。
でも、個人的には、主人公の家庭である星弓家の話を見たかったなという思いがありましたね。
上手くまとまっているので完成度は前作よりも高いかもしれませんが、好みとしては1巻の方がよかったかなと思いました。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  世界平和は一家団欒のあとに  橋本和也  さめだ小判  評価C+ 

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