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明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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こうして彼は屋上を燃やすことにした 

こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫)こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫)
(2011/05/18)
カミツキレイニー

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読書期間:2011/12/6~2011/12/8

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
友情
構成



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 彼氏にフラれた私・三浦加奈は、死のうと決意して屋上へと向かう。けれどそこで「カカシ」と名乗る不思議な少女、毒舌の「ブリキ」、ニコニコ顔の「ライオン」と出会う。ライオンは言う。「どうせ死ぬなら、復讐してからにしませんか?」そうして私は「ドロシー」になった。西の悪い魔女を殺すことと引き替えに、願いを叶える『オズの魔法使い』のキャラクターに。広い空の下、屋上にしか居場所のない私たちは、自分に欠けているものを手に入れる。
 第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞作。心に残る、青春ジュブナイル。

【感想】


自殺願望のある少年少女が死ぬために生きる話。
第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞作。

こんなに面白いとは予想していなかった。
ガガガ文庫らしい、ねっとりとした空気が売りなのかと思いきや全然違いましたね。
思春期の少年少女が、自分を恨み他人を憎みながらも、友と呼べる人間と繋がり、思い悩みながら前を見据えようとする前向きな物語でした。
甘酸っぱさではなく、己の未熟さ故の苦味と友情のほんのりとした温かさが絶妙な具合で入り混じる青春小説です。

ストーリーは、彼氏にフラれて絶望する主人公・三浦加奈の一人称で語られます。
屋上から飛び降りようと決意した彼女は、不思議な3人組に出会う。
『オズの魔法使い』をモチーフにしたあだ名で呼び合う彼らもまた、自殺を考えているという。
いつも笑顔を張り付けた勇気のないライオン
脳味噌がない人形だと自称する不思議系少女のカカシ
世界を憎んでいるかのような厳しい言葉を並べる心のないブリキ
そこにドロシーの名を授けられた彼女が輪に入ることで、物語が動き始めます。

ドロドロとした重い話だと思って構えていたので、方向性の違いに驚きました。
当人にとっては真っ暗闇に落ちたかのような深刻な話なんでしょうが、読み手からすると意外に軽く読めます。
お節介焼きなドロシーが、ほぼ無意識的に友達を救おうと行動に出るのが好きだなぁ。
確かに、心の傷はデリケートな問題なんだけど、直球で踏み込まないと進めないことだってありますよね。
簡単に自殺すると言ってしまう人間はあまり好きじゃないですが、彼女が彼氏のことをどれだけ愛していたのかが文面から読み取れるので、嫌いにはなりませんでした。

空を見上げることが出来る屋上という舞台にしたのは上手い。
他にも設定的な繋がりや、不自然だと感じられ部分の説明など、細かいところで配慮がされています。
なるほど、こういった収束の仕方もあるんだなぁと感心させられました。

最後の締め方も、文句なし。
ほんのちょっぴり苦さが残ってますが、凄く爽やかで読了感の良いお話でした。
ドロシーのアクションには、スカッとしましたね。

イラストは、「狼と香辛料」で有名な文倉十さん。
体のバランスが妙だったりするんですが、それを補って余りある人間的な表情が素敵。
ラノベには珍しくモノクロの挿絵の描き込みも手を抜かず、質量を感じられるのがいいですね。
ラストシーンの絵は、構図も含めて素晴らしい一枚だったなと思います。

テーマはベタで、心に響くかどうかは人それぞれでしょうが、出来は良かったと思います。
文章も読みやすくて、さすが大賞に輝くだけのことはあります。
この作品は完結しているので、次は作家買いをしてみたいですね。

居場所を共有し傷を理解し合うことで、前へ歩み出せる若者たちの物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  こうして彼は屋上を燃やすことにした  カミツキレイニー  文倉十  評価B+ 

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ソードアート・オンライン8 アーリー・アンド・レイト 

ソードアート・オンライン〈8〉アーリー・アンド・レイト (電撃文庫)ソードアート・オンライン〈8〉アーリー・アンド・レイト (電撃文庫)
(2011/08/10)
川原 礫

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読書期間:2011/11/29~2011/11/30

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
SF
世界観
ミステリー



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6




 『圏内事件』――≪SAO≫中階層で、一人のプレイヤーが殺された。その殺害現場は、決してHPが減るはずのない≪安全圏内≫だった。これはプレイヤー・キルだと仮定するも、その殺害方法に全く見当がつかず……。奇怪な事件を、キリトとアスナが追う。
 『キャリバー』――≪ALO≫伝説の聖剣≪エクスキャリバー≫。その獲得クエストがついに始まった。守護するモンスターたちの強さから一度は獲得を諦めていたキリトだったが、これを機に再び争奪戦に本格参戦する。しかし、このクエストには壮大な裏イベントがあり……。
 『はじまりの日』――≪SAO≫正式稼働初日。茅場晶彦によるデスゲーム開始の声明を受けた直後。キリトが決断した、このゲームを生き抜くための最初の一手。それは、ベータテスト時に攻略経験のあるクエストを真っ先にクリアし、初期装備よりも強力な剣を獲得することだった――。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


次世代MMOで文字通り生きる少年少女を描いた現代SF、第8弾。
2巻以来の短編集となっています。

今回は素直に面白いと思えました。
過去の感想で何度も書いていますが、この作品、些か抵抗を覚える要所があるんですよね。
ネットとリアルの切り離しが出来ていない考え方や、主人公キリトが強過ぎるご都合主義など、物語に入る前段階で引っかかって楽しめないことがあります。
それが、この8巻では最小限で抑えられていたので、気にならなかったのが大きかったです。

個人的には、上記の点を短所と捉えていますが、俺TUEEEという話が好きな人もいるでしょう。
もとより設定の組み上げ方や、物語の牽引力に関しては実力のある作家さんですからね。
評判がいいのも納得できます。

内容は、3本のエピソードが収録されています。
ちょっと短めの長編といってもいい中編2本あるので、読み応えは相当なものがありました。

中でも『圏内事件』が良かった。
SAO時代、キリトとアスナが親しくなるキッカケとなったミステリアスな事件を追う話です。
やっぱりデスゲームとしてのSAOは、緊迫感がまるで違いますね。
PKが出来ないはずの街中でプレイヤーが死んだことで、更に不安感が増大しています。
ミステリーのオチとしては、提示されていない情報もあるため反則気味ですけど、伏線はしっかり張っていましたし、何よりゲーム的なロジックの利用が非常に巧みだったので一本取られたと感心させられました。

同様にSAOの最初期を描いた『はじまりの日』も、前から読んでみたかった話でした。
ゲーム内の死をリアルの死と直結したくなくても意識せざるを得ないプレイヤーたちの焦燥感が苦しくなるほどに伝わってきます。
過酷な状況に追い込まれた中で、人を信じることが如何に難しいかを痛感させられます。

ALO伝説級の武器獲得クエストを描いた『キャリバー』は、最も戦闘描写があったにも関わらず、随分と平和な話に感じられました。
ただ仲間が集まってゲームを遊んでいるだけですから、当然といえば当然ですか。
このエピソードは、どこもかしこも「シノンさん、マジかっけぇ――!」という感想ばかりですね。
確かに、美味しいポジションで、ヒロイン勢の中でもキャラが立っていた印象を受けました。
個人的には、ハーレム阻止やツッコミ役などで活躍するクラインの存在の方が貴重で有難いなと思いましたがね。

挿絵は、絵の描き分けが素晴らしかった。
雰囲気重視だったり、キャラを映えさせたり、コミカルな笑いを誘ったりと惹き込まれる絵が多かったです。
表紙は何故か野郎二人になってますが、これはこれでありかと。
白背景に女の子が一人デカデカと飾ることが多い昨今のラノベにおいて、快挙ではないでしょうか。
一体何なんだこのキリト推しは……w

デスゲームの緊迫感を再び味わえるSAO時代の短編が秀逸

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ソードアート・オンライン  川原礫  abec  評価B+ 

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AHEADシリーズ 終わりのクロニクル6<下> 

終わりのクロニクル (6下) (電撃文庫―AHEADシリーズ (1176))終わりのクロニクル (6下) (電撃文庫―AHEADシリーズ (1176))
(2005/11)
川上 稔

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読書期間:2011/11/19~2011/11/26

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
SF
世界観
構成



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 “軍”の元9th-Gの将軍ハジの糾弾により全てのGの信頼を失ったLow-G。それに対して、各Gは概念核の返却を求め行動を開始し、全竜交渉部隊に再び高いを挑む。
 一方、出雲へと向かった佐山と新庄はそこで8th-Gの全竜交渉を行い、更にはTop-G崩壊の鍵となった新庄の母親・由紀緒の過去を知るために堺へと向かうこととなった……。
 その後に佐山が取り行おうとしている“最終手段”とはどのようなものとなるのか、その場で明かされる衝撃の真実とは!?全竜交渉の結末は!?
 次巻、「終わりのクロニクル」シリーズ、遂に完結!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


終わりのクロニクル第6章、後編。

これは来た。
これだけ面白いと感じたのは第1章の上下巻以来でしょうか。

今更言うまでもありませんが、非常に癖の強い作家さんですよね。
物事の運ぶための手段として文章が並べられていて、機械的な印象を受けます。
それは冷たいイメージがあると言っている訳ではなく、緻密で正確であるということです。
物語を描くというよりも、世界を作っているという感じ。

絶妙なバランス感覚で重ねられた事柄を、必要なタイミングで開示する構成力が素晴らしい。
緻密な設定を矛盾させずに綴ることができるのは、それだけで一種の能力だと思います。

今回何と言っても見所は、各Gとの交渉でしょう。
シリーズの特徴ともいえるんですが、それが読み応えたっぷりとなる量が詰み込まれています。
いかなる不利な状況下でも、口達者な佐山が打破していく展開が楽し過ぎます。

作品の性質上、戦闘描写が多いのですが、細か過ぎて逆に分からないことが多々あります。
動き全体を説明するのではなく、個々の動作を繋げていく文章は、時折見失ってしまいます。
ギャグを織り交ぜたセンスは、好みの差はあっても、優秀であることには違いないでしょうね。

毎度ながらラノベトップクラスの量を誇るさとやすさんのイラストに惹かれました。
R指定入っちゃうエロい意味ではないですよ?
まぁ、まさかの○○解禁には驚きましたけどw
そうではなく、各G代表の絵や最終章のカットが見事だった章題のことですね。
コミカルな絵柄が目立ちますが、シリアスな表情も息をのむ完成度です。

物理的に長かった物語も遂に次でラスト。
とうとう伝説の鈍器に手が届くところまできました。
あの物量だと、丸一日費やしても読み切る自信がありません。
続きが気になる最後だったので、時間を見つけては読み始めてみたいと思います。

会話の組み立てが面白い交渉術が存分に味わえます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  終わりのクロニクル  川上稔  さとやす  評価B+ 

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はたらく魔王さま!3 

はたらく魔王さま!〈3〉 (電撃文庫)はたらく魔王さま!〈3〉 (電撃文庫)
(2011/10/08)
和ヶ原 聡司

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読書期間:2011/11/1~2011/11/2

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
安定感
ラブコメ
ツンデレ
家族愛

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6


 魔王城(築60年の六畳一間)の庭に、異世界からのゲートが開く。そこから現れた小さな少女は、魔王を“パパ”、勇者を“ママ”と呼んだ!まさか二人がそんな関係だったなんて……とショックを受ける芦屋や千穂。だが、一番混乱しているのは魔王と勇者だった。
 少女は魔王城で預かられることになり、真の意味で大黒柱になった魔王は、子育てに挑戦!さらに、親子(?)三人でのおでかけもあったりで、恋する女子高生・千穂は、やっぱりヤキモキしてしまうワケで――?
 フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、波乱必至の第3弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


庶民的な生活で日々を暮らす魔王と勇者のファンタジーコメディ、第3弾。
毎度のことながら生活感が半端ないです。

うわー、面白いなぁ……と思わず唸ってしまうほどの出来でした。
元々新人に似つかわしくない安定感を持ち合わせていましたが、ワンランク上がりましたね。
着実に作品の質を高めた作家さんは勿論のこと、伸びしろがあると見抜いた電撃小説大賞の選考委員もさすがだと思います。

異世界からやって来た謎の幼児が、魔王と勇者とパパとママと呼び、一同大混乱するというラブコメにありがちなベタな話。
いきなり子育てをすることになってしまった魔王たちは、当然ながら大苦戦。
しかも、犬猿の仲である魔王と勇者に子供が入ることで、擬似的な夫婦のようなシチュエーションが生まれ、嫉妬に駆られる千穂や、苦悩する芦屋が入り乱れるドタバタ劇へと繋がっていきます。

ストーリーの大部分は、予想通りなのにも関わらず、キャラの反応が楽しくて仕方がありません。
子はかすがいを地で行く展開で、いがみ合っている真奥と恵美のやり取りが物凄く好みです。
勇者という立場的な問題から安易に魔王に心を許そうとしない恵美の葛藤が、ツン成分多めのツンデレにしか見えなくてニヤニヤ。
普通だったらウザったいと思うレベルでも、勇者の特権なのか、言い訳が正論にも聞こえるため、恵美が頭を痛めれば痛めるほどに楽しい気分になってしまいます。
ラブコメよりコメディとして読んでいるため、恋愛的に特別くっついて欲しいとは思わないんですけどね。
この絶妙な関係は維持して欲しいなぁ。

千穂も魅力的な女の子になってきましたしね。
これまでは、女の子的な可愛さよりも、物語中の都合の良さが微妙だなと感じていました。
ラブコメ的には一番美味しい存在で、喜怒哀楽の表情が簡単に想像付きます。
真奥を翻弄させたり、恵美を羨ましがったりする彼女の存在が、物語を充実させてくれました。
ただの脇役だと思っていた恵美の同僚である梨香も良い感じに絡んできましたし、登場人物たちの関係図の変化にも目が離せなくなりそうです。

騒動の中心にいる幼女アラス・ラムスは、素直に可愛いと思いました。
萌えとかそういうのではなく、純粋に子供の愛らしさが伝わってきましたね。
見た目的にも中身的にも『To LOVEる』のセリーヌに見えてしょうがなかったですw

そのアラス・ラムスの育児をすることになった真奥や芦屋の奮闘っぷりが面白可笑しい。
1巻から貫徹していることですが、現代日本で生活する描写に手を抜かないところが特徴ですね。
急に赤ちゃんの世話をすることになったという作品なら数え切れないほどありますが、省いても本筋には何ら影響のないところで妙に詳細な説明に入る作品は少ないと思います。
わざわざ保険や経口補水液のくだりを綴るラノベなんて、他に見たことがありませんよ。
こういった丁寧な切り口があるからこそ、庶民的でギャップが面白くなるんでしょうね。

悪魔だとは全く見えない真奥の過去が少し垣間見ることができ、ストーリーも進展がありました。
あえて見せつけるかのような伏線の張り方も上手く、先が気になります。
これだけ面白いと次巻のハードルが上がってしまうのも致し方がないですね。

029さんのイラストも良かった。
ラストの挿絵は何度も見たくなるカットでしたね。

育児に挑戦することになった魔王と勇者の庶民派コメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B+ 

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人見知り部は健全です 

人見知り部は健全です (電撃文庫 さ 12-3)人見知り部は健全です (電撃文庫 さ 12-3)
(2011/09/10)
佐野 しなの

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読書期間:2011/10/29~2011/10/30

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春
エロ



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 高1の俺と幼なじみの明(♀)は、屋上へ続く階段でふたりぼっちなお弁当を食べる毎日。なぜかって?俺は“無表情すぎ”て、そして明は“あがり症すぎ”て、4月の自己紹介に失敗したからだ。
 そんな俺たちの前に現れたのは、超絶美人さんなのに“発言エロすぎ”という残念な人、乃花先輩だった。
 「ここらで人生を変えてみないかい?」
 そして俺と明は、ほぼ強制的に「人見知り部」なる謎の部に入部させられることになる。コミュニケーション能力向上が目的らしいけど、無表情にあがり症に下ネタ好きetc――って、この部もしかして、青春不適合者の集まりじゃねぇか!?不健全系学園ラブコメ登場!

【感想】


「リヴァースキス」「僕は彼女の9番目」を執筆した佐野しなのさんの新作ラブコメディ。
3年振りの新刊なので知らない人も多そうですが、個人的には毎回買うぐらい好きな作家さんの一人です。

おお、こりゃあ面白い。
買っておいてなんですが、パターン化されたラブコメが展開されるだけかもと思っていました。
作者独自の色がしっかりと出ていて非常に楽しんで読むことができましたね。

内容は「僕は友達が少ない」の系統に属する、いわゆる残念系ラブコメです。
とはいえ、種別が同タイプなだけで、作品の方向性は結構違いますね。
ぼっちだと喚くリア充達が青春を謳歌する作品ではなく、人見知りに悩む人間が集まって前向きに雑談するという作品です。

主人公やヒロインは洩れなくコミュニケーション能力に問題があり、それを改善するための部活動を行うもので、連作短編形式となっています。
ただし、極端に性格が破綻している訳ではないので、あるあるネタに共感できるところが特徴です。

主人公・寿藍人の抱える問題は、表情が作れないこと。
内心では喜んだり動揺したりしていても、顔に出ないので無表情キャラとして周囲から気持ち悪がられています。
結構切実な悩みですが、性格は歪んでおらず、暗くもないので、読者視点では凄くイイ奴に映ります。

そんな藍人が想いを寄せる相手が幼なじみの臼潮明
彼女は彼女で極度のあがり症のため、見知った人間以外とはまともな交流ができないことに頭を悩ませています。
こちらも外部との交流の描写が皆無のため、表情がコロコロと変わる素直で賑やかな可愛い女の子にしか見えません。

その二人を「人見知り部」に勧誘した張本人が、表紙の裾ノ花乃花という先輩。
見た目は誰もが見惚れるような美人なのに、口を開けば昨今のエロ親父でも言わなくなったようなセクハラ発言満載で、エロいというより下品といった方が近い。
これは人を選ぶと思いますが、下ネタの親父ギャグが好きな人ならばハマると思います。
個人的には、ツボに入るとまではいかなくとも、終始楽しい気分になれましたね。
エロティックなお姉さまはよく見かけるキャラですけど、周囲から浮くくらい堂々とした立ち振る舞いは何だか新鮮に感じました。

ハーレム系ラブコメと異なり、藍人が明を一途に想い続けているのが良いなぁ。
本人は至って真面目に想いを伝えても、真剣には受け取ってもらえないというのが寂し過ぎるけど、友達以上恋人未満な間柄なのでイチャイチャしているようにも見え、悲壮感は薄く済んでいますね。
そんなカップル未満な二人を弄繰り回す乃花と、ツッコミを欠かさないオネエ系男子・大和倫太郎の計4人で織りなす構図が目新しい。
ただひたすら部室でダベる話なのに、ニヤニヤできる箇所が多くて、非常に楽しかったです。

藍人の妹・平和もまた兄同様に無表情の持ち主なんですけど、ちょっと不思議系少女で可愛い。
作中でも取り上げられていますが、やはりギャップから生じる萌えの威力は凄まじいものがあります。

話のネタになりそうな雑学が多く含まれており、単純に聞き手としても興味をそそられました。
ギャグが安っぽくて頑張りましたという雰囲気が伝わってくる時もあるんですが、嫌いじゃないです。

このままダラダラと続くのかと思いきや、後半で一転した時は不覚にもやられたと思いました。
伏線の張り方が雑だったので、オチが来ることは分かっていたんですけどね。
ネタバレに繋がるので触れづらいんですが、軽く感動してしまいましたよ。

イラスト担当は、笹井さじさん。
無表情の藍人の内面と外面の差を上手く表現していて、漫画でも読みたいなと思わせてくれます。
挿絵にも手を抜いておらず、キャラ付けをしっかりしているところは評価されるべきですね。

綺麗に締めくくられているので終わりかなと思っていただけに、続巻が出たことが嬉しかった。
明日2巻買ってきます。

人見知り達が部室で駄弁る残念系青春ラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  人見知り部は健全です  佐野しなの  笹井さじ  評価B+ 

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僕は友達が少ない7 

僕は友達が少ない7 DVD付き特装版 (MF文庫J)僕は友達が少ない7 DVD付き特装版 (MF文庫J)
(2011/09/21)
平坂 読

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読書期間:2011/9/22

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
ラブコメ
青春
リア充



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 羽瀬川小鳩の誕生日パーディーも無事に(?)終わり、ふたたび学園祭に備えての活動を開始する隣人部のメンバーたち。紆余曲折の末、文化祭の出し物の内容は映画作りに決定し、脚本は夜空が担当することに。だが、やたらと小鷹との過去の関係を強調する夜空と他の女子部員たちとの間に不穏な空気が流れ始める。
 そんなおり、小鷹と星奈との間にも実は『特別な関係』があったことが発覚し、さらには隣人部のジョーカー、志熊理科までもが動き出す。
 大人気残念系ラブコメディ第7弾、リア充たちの祭典を前にして物語はついに佳境を迎える……かも。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


只今アニメ放送真っ最中の残念系青春ラブコメディ、第7弾。
出来については手放しに誉められるものではありませんが、原作の売り上げが伸びているようなので、ひとまずは成功と言えるのかな。

通常版と特装版が発売された第7巻。
DVD付き特装版を購入しました。
アニメ0話の感想については、こちら

今回の内容は、文化祭の出し物選びの続きから。
急に時間の経過がゆっくりになったのは、好調な売り上げから引き伸ばそうという魂胆なのでしょうかね。
小鷹たちが3年に進級してしまうと、受験や進路の話を無視するわけにはいかなくなりますから、2年生で話を畳みたいんだろうなーと思います。
それでも面白く書けるのであれば、読者としては文句なんてありませんがね。

普段通りに賑やかなラブコメに終始するのかと思いきや、ラストは意外な展開に。
はがないは今まで引きを強めるために、最後に爆弾を投下する傾向がありましたが、それはいずれも恋愛的なネタばかりでした。
夜空との邂逅や、星奈の結婚話など、小鷹を引っ張りあうような話で、ラブコメ的に正しいストーリーラインだったとは思います。

しかし、ここでまさかの「僕は友達が少ない」というタイトルに触れるような原点回帰
コメディとは思えないような鋭い切り返しは、今後の物語に大きく影響を与えそうです。
もちろん急激な変化はないでしょうが、最終的な決着は思っていたよりシリアス風になりそう。
今までが気楽に読めるラブコメだっただけに、評価が割れるかもしれませんね。
個人的には舵取りが難しいだろうなと思う反面、どのような構成にしてくるのかより一層楽しみになりました。

BLやエロに走るキャラも見せるけれど、やっぱり理科が一番真摯だよなぁと思いますね。
隣人部メンバーの内面をしっかりと観察し、考慮し、配慮する。
部内では後輩組なのに、誰よりも大人の考えをしています。
他のみんなは誰がどう見てもリア充ですが、理科だけは正真正銘のぼっちな気がしますね。
だからこそ、隣人部を大切にしているように感じられました。
ギャグっぽく振る舞わず、小鷹にはもっと理科に対して優しくしてやって欲しいなぁー。

何気に相手に合わせるところがある理科に対して、唯我独尊なのが星奈ですね。
いやまぁ、事実優れているところは多々あるんで、あながち自惚れでもなかったりするんですが。
特に今回は、性格がブレないことが格好良く見えました。
自分が正しいものを愚直なまでに信じる姿は、眩しくて尊敬さえしてしまいます。
ここにきてメインヒロインの風格さえ感じられますよ。
単なるギャルゲーを貪る肉というわけではないですね。

その一方で、今まで築き上げてきたクールビューティーの座をボロボロと音を立てて崩したのが夜空でした。
性格のキツさを残念所として取り上げていたのが、まるで肉と役柄が交代になったかのように、失敗やミスを繰り返すドジっ娘系に変貌していました。
溜め込んできただけあって、このギャップの破壊力はすげぇ……。
口絵のとろけそうな笑顔を浮かべる夜空を見たら、こちらまで頬が緩くなっちゃいます。
他にも泣き顔や、照れた顔、悔しそうな顔など、色んな表情を見ることができ、女の子としての魅力度が一段と上がりました。
ラブコメ的には、間違いなく夜空回だったといえると思います。

小鳩&マリアのロリっ子ペアや、表情が柔らかくなってきた幸村にも見所はあります。
次に繋がるような新キャラも顔見せ程度に出てきています。
それでもやっぱり小鷹を真剣に恋慕する夜空・星奈・理科の3人が、物語を大きく動かしていくんでしょうね。
星奈または理科エンドだと歓喜なのですが、無難に落ち着いちゃうのかなぁ。

訪れた転機を受け止めるのか避けるのか、ラブコメとシリアスの傾く先が気になります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  僕は友達が少ない  平坂読  ブリキ  評価B+ 

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ゴールデンタイム3 仮面舞踏会 

ゴールデンタイム〈3〉仮面舞踏会 (電撃文庫)ゴールデンタイム〈3〉仮面舞踏会 (電撃文庫)
(2011/08/10)
竹宮 ゆゆこ

商品詳細を見る
読書期間:2011/9/20~2011/9/21

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
リア充



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 はれて彼氏彼女の関係となった記憶喪失男・多田万里と、自称完璧なお嬢さま、加賀香子。
 幕が開けた二人のラブラブな日々は、天然だったりやっぱり完璧志向だったり。一方で、万里は過去の関係が白日のもとに晒されたリンダとは真っ直ぐに向き合えずにいた。
 そして凹んだ男が一人。柳澤光央は一年生会での盛大な自爆のため深く落ち込んでおり、そんな彼を励ますために万里の部屋でお泊り会的なイベントが発生するが――!?
 竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る青春ラブコメ、第3弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


大人と子供の中間を捉えた大学キャンパス青春物語、第3弾。
妙に生々しくてリアルっぽいのに、二次元テイストが存分に盛り込まれている作風こそ売りですね。
これを、ゆゆこ節と呼ぶのでしょうか。

今回も面白かったです。
悪ふざけな下ネタはあっても、量産的なエロコメみたいなサービスではないのが素晴らしい。
恋愛を中心に添えた、これぞ真の意味でのラブコメだと思いますね。

入学式やサークル活動、講義、飲み会など大学生らしいイベント満載だった1,2巻と比べると、今巻は些か地味な印象を受けました。
主要人物が増えることもなく、キャラを掘り下げ、関係性を深めることに費やした一冊でしたね。
とはいえ、決して退屈だったわけではありません。
細かくネタを挟んでいることもあって、十分楽しく読むことが出来ました。

それを受けてのことなのかどうかわかりませんが、物語の進展は予想以上に早いですね。
2巻のラストで万里と香子がくっついてしまうとは思いませんでしたが、それ以上にこの3巻の締めには驚かされました。
そこまでが順当な話だったので、衝撃のラストを味わいました。
もしかして、そんなに長々と続ける気がないんでしょうか。
それとも早々に関係を熟成させて、昼ドラのようなドロドロした修羅場にさせたいのかな。
どちらにせよ、変に引き伸ばしさせる嫌いがあるより、テンポが早い方が断然良いですけどね。

やなっさんをストーキングしてた頃から分かっていましたが、香子の愛情って病的に重いなぁ……w
互いに受け止め合うことが出来るからとはいえ、付き合える万里って凄いと思う。
個人的にはリンダの方が可愛いと思いますが、今の万里には香子の方が合ってますね。
ただ、バカップルをやっているときは幸せだろうけど、今後の展開を考えるとガクブルもんです。

万里も香子も光央もリンダも精神的に弱い一面があるというか、ぶっちゃけヘタレ気味ですよね。
おかげで、岡ちゃんが物凄くデキた子に見えてしまいます。
見た目から幼さが残る無垢な少女と周囲の人間は捉えがちですが、実は一番しっかりしていると思いますね。
良キャラなだけに、もっと積極的に恋愛関係図の中に入り込んで欲しいなー。

リア充ライフを満喫するバカップルの大学ラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B+ 

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東京レイヴンズ5 days in nest II & GIRL AGAIN 

東京レイヴンズ5 days in nest II & GIRL AGAIN (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ5 days in nest II & GIRL AGAIN (富士見ファンタジア文庫)
(2011/07/20)
あざの 耕平

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読書期間:2011/9/16~2011/9/19

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 嵐のような新入生――鈴鹿から解放され、束の間の自由を満喫する春虎と夏目。向かった先は、陰陽塾に所属する上級生のみで行われる、富士山麓の実技合宿所。
 「いやぁー楽しみだなぁ、合宿!」「何しろ『一年には関係ない』もんね!」「いいよなー!」「いいよねっ」
 浮き立つ心をおさえきれずにハシャぎまくる二人。しかし――
 「もうっ!ダーリンたら遅いぃ~~」
 まさかの嵐が再び襲来!!忠義心は人一倍・仁侠式神コンや男装夏目を初恋の王子と慕う京子、そして謎の幼女好きまでが入り乱れ、楽しいはずの合宿は悪夢の合宿へと変貌する!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽塾に通う少年少女たちによる現代ファンタジー、第5弾。
前巻同様、本編と共に短編4編を含んだ構成となっています。

安定して面白いなぁ。
主要キャラが確立してきたことで、物語に没頭できるのが大きい。
筆力がある文章が、軽い掛け合いでも発揮されていて、滑らかに読ませてくれます。

前半は前回からの続きで、鈴鹿に1年の時の話を披露する流れ。
基本的にコメディ路線かつベタな話が多く、キャラ崩壊が激しいです。
短編第二話「ある冬の日の晩餐」は、典型的な酒に溺れる回で、テンプレ通りなのに楽しい気分にさせてくれました。

とはいえ、やっぱり一番良かったのは200ページほどある本編。
次に繋がる布石を打った話で、大々的に物語が動いたわけではないんですけど、大きなうねりを予感させるものがあり、実にワクワクとさせられました。

恋愛事情に思うことは色々ありますが、最終的に春虎×夏目の鉄板が堅過ぎるからなー。
夏目の自爆や、春虎の鈍感さは重症ですけど、絶対にくっつくだろうと思っているので、一喜一憂したりしません。
そう考えると、鈴鹿の立場は辛いなぁと思いますね。
京子も早く真相に気付かないと、手遅れになってしまうので、早々に参戦してもらいたいなぁ。
今のような姉御的な立ち位置も非常に魅力的ではあるんですけどね。
夏目が嫌いなわけではないんですが、個人的に好きな女キャラは、京子>先輩>鈴鹿>夏目という順なので、もう少し春虎がなびかれるような展開を期待したいなと思ってしまいます。

それにしても、幼女好きの先輩の正体が全然読めない。
意味ありげに登場しているので、ただのサブキャラでは終わらないと思うんですが……。
コンに対する執着心と、春虎への対応のギャップの差が良い意味で酷くて、まるでここだけギャグ漫画みたいです。
今後もレギュラー化してくれると嬉しいな。

著者の作品は大人が格好良いのが特徴ですよね。
ラノベなのに、おっさん臭いところが大好きです。
次回はバトル展開になりそうなので、渋い活躍を期待したいと思います。

恋愛要素多めの平和な日常を描いた種蒔き回

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価B+ 

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ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~ 

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
(2011/03/25)
三上 延

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読書期間:2011/8/9~2011/8/12

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
ミステリー
安定感




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 鎌倉の片隅でひっそりと営業している古本屋「ビブリア古書堂」。そこの店主は古本屋のイメージに合わない若くきれいな女性だ。残念なのは、初対面の人間とは口もきけない人見知り。接客業を営む者として心配になる女性だった。
 だが、古書の知識は並大抵ではない。人に対してと真逆に、本には人一倍の情熱を燃やす彼女のもとには、いわくつきの古書が持ち込まれることも。彼女は古書にまつわる謎と秘密を、まるで見てきたかのように解き明かしていく。
 これは“古書と秘密”の物語。

【感想】


「モーフィアスの教室」「偽りのドラグーン」など数多くの著作を持つ三上延氏の初MW文庫作品。

まさかと言ってしまうと失礼でしょうが、そうとも言いたくなるくらい爆売れしましたね。
10月現在で25万部発行しているそうなので、著者の既刊累計発行部数を、たった一冊で上回ってしまっているのではないでしょうか。
おそらく巻単位ではMW文庫のエース作品「シアター!」とも良い勝負しているはずです。

発売前の情報から面白そうだと思ってはいましたが、ここまで人気が出るとは予想できませんでした。
一応何とか初版を入手できましたけど、本屋を巡ってもなかなか見つかりませんでしたね。

人気が出た理由は、大きく分けて二つあると推察できます。
一つは、清楚で美人なお姉さんの表紙が目を惹くこと。
越島はぐさんの仕事っぷりは素晴らしかった。
もう一つは、そのお姉さんが、古本屋の店主をやっていて、古書の知識が膨大である文学少女であること。

はっきりいって、サブタイトルにもある女性・篠川栞子は、文系男子の理想の女性像でしょう。
名前からしても知的なイメージを抱かせるってのは、何気に凄いことですよ。
男性の読書家ならば、読んでみたくなる要素が、表紙とあらすじに凝縮されています。
もちろん、内容が伴わなければ口コミで広がることもなかったでしょうが、この作品が成功を収めた最大の理由は、発売前に決まっていたと思いますね。

実際に読んでみたら、栞子さんの魅力にやられました。
人見知り具合がおどおどしていて可愛く、本の話になった途端に目を輝かせるギャップもイイ。
度が過ぎている一面もありますが、それも含めて好きになれます。
20代の女性が時折見せる子供っぽさは、愛らしいなぁ。

主人公の五浦大輔は、良くも悪くも地味で作品に溶け込んでいます。
成り行きで栞子さんと関わっていくようになるのですが、いい人なんだろなというのが伝わってきますね。

作風は、大方予想した通り、古書を媒介とした人の繋がりをミステリー仕立てで描いたもの。
北鎌倉を舞台に、本好きの想いが詰まった短編が4話収録されています。
変に凝った設定はなく、物語も程良い謎かけで、あっさりと読むことができるのが特徴です。
驚かされるような物凄い仕掛けは見当たりませんが、シンプルなストーリーラインの中に芯が通っているため、中身が薄っぺらいと感じさせることはありません。
エピソード毎にしみじみと浸れる読了感が素晴らしい良作です。

個人的には、第三話ヴィノグラードフ・クジミン『論理学入門』が一番良かった。
想いを汲み取り、頭を働かせてから言葉を口にする。
そんな優しい人間になりたいもんですね。

感覚としては「付喪堂骨董店」と「文学少女」シリーズを足して、ラノベ臭を薄めた感じ。
癖のある言い回しや派手な装飾はなくても、飾らない文章が逆に綺麗で素敵。
一般文芸とライトノベルの中間を目指したメディアワークス文庫ならではの一冊ですね。
ぬるすぎず、甘すぎず。
良いお話でした。

清楚系美人の女性店長が経営する古本屋を舞台に、ちょっと不思議な事件が起きます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ビブリア古書堂の事件手帖  三上延  越島はぐ  評価B+ 

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神様のメモ帳7 

神様のメモ帳〈7〉 (電撃文庫)神様のメモ帳〈7〉 (電撃文庫)
(2011/07/08)
杉井 光

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読書期間:2011/8/2~2011/8/4

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー
家族愛




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 クリスマスが近づき、探偵事務所のそばにあるホームレス公園の改装工事が始まろうとしていた。そんなある日、事務所にやってきた依頼客は、なんと売り出し中のアイドル歌手。子供の頃に失踪した父親そっくりのホームレスをその公園で見かけたのだという。
 父親捜しの過程で浮かび上がる、エアガンで武装したホームレス狩り集団。そして、なぜか探偵団を離脱する少佐。
 「これは自分ひとりでかたをつける」
 やがて――事件が起きる。僕が探偵助手として体験した中で、最も奇怪なあの事件が……戦慄のニートティーン・ストーリー、第7弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


自称ニート探偵、第7弾。
アニメ放送開始直後に刊行されたところをみると、狙って出したようですね。
売り上げは期待したほど伸びなかったようですけども。

今回は、ちょっと雰囲気が違う話。
ニート探偵団と交流のあるホームレスたちの中に、失踪した父親がいるという話が舞い込む。
その話を持ってきたのは現役のアイドルだった。
ナルミは二人の中を取り持とうとするが、そんな時に事件が起こる……という流れ。
これまでと異なるアットホームな温もりと哀しい冷たさを感じる物語でした。

元々このシリーズのストーリーは、スカッとするものは皆無です。
全てが丸く収まるハッピーエンドなんて見たことがありません。
アリスは死者の代弁者と名乗り、墓を暴くことを自虐的に捉える傾向がありますけど、重くのしかかる哀しみの中で、僅かな希望を見出してくれる大事なキッカケだと思います。
救われるとまではいかずとも、しばらく歩みを止めた後、またもう一度歩き出すことが出来るのは、ニート探偵やその助手のおかげでしょう。

ヤクザとか中国マフィアとかクスリといった、きな臭い話が関わっていないのが何とも珍しい。
ニート探偵団で唯一メインを張っていない少佐のターンがやってきましたが、立ち位置が微妙ですね。
父娘の親子ストーリーと、少佐のルートが別々すぎて、溶け込み合っていません。
もう少し積極的に絡み合う物語だと良かったんですけどね。

内容的にも、もどかしさが募るもので、ストレスは感じませんけど、モヤモヤとしました。
心情的に理解は出来ても納得は出来ない類ですね。

それにしても、ナルミの次なるターゲットはアイドルですか。さすがッス。
この天然ジゴロ、着々と人脈を開拓していってますね。
下っ端から兄貴と呼ばれるのも似合ってきたように感じますよ。

岸田メルさんのイラストは、初期から随分とテイストに変化が見られます。
好みの差はあるでしょうけど、今も昔も魅力的な絵だと思いますね。
ただ、アイドルの衣装が古臭いのは気になりましたけど。

優しさと残酷さが入り混じる結末に、複雑な想いが胸を埋めつくします

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  神様のメモ帳  杉井光  岸田メル  評価B+ 

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ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!disc7 

ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc7 (ファミ通文庫)ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc7 (ファミ通文庫)
(2011/05/30)
田尾 典丈

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読書期間:2011/7/8

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
恋愛
SF
構成



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 理恵の世界から戻った俺こと都筑武紀は、かつてない衝撃を受けていた。
 死んだはずの両親が生きている!しかも目の前には恋人状態の高橋が!!
 『八年前の事故が発生しなかった世界』
 ――だがしかし、この幸せで残酷な世界に俺の愛するヒロイン達は存在しない。
 そして、事態収拾のため情報を集めようとした俺は、ある人物からもたされた驚愕の真実に戦慄する……まさか、あの事故が!?
 選択肢無限の真世界を奔走する、青春ADVノベル、待望の第7弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ギャルゲーが現実となった世界で生きる道を模索する青春SF物語。
シリーズ通算10冊目の表紙を飾るのは、早くも三回目の登場となる高橋さんが目印です。

フェアリーテールシステムの限界が近づき、「エターナルイノセンス」のヒロインが消滅する危機が迫る。
起死回生のアイデアで難を凌いだ武紀は、今一度女の子達との交流を経て、絆を再確認した。
しかし、直後に待ち受けていたのは、死んだ両親が生存し、愛子が恋人となっている別世界だった……!という凶悪な引きで終わった前回からの続きです。

期待以上の愛子萌えに悶えまくり。
もはや、疑う余地なしといって過言ではないぐらいの正ヒロインっぷりですよ。
これはどう見ても、各ルート攻略後のトゥルールートですね。
他キャラが霞むくらい可愛すぎて困った。いや困らない。ああ素晴らしい。

素直に慣れなくて、でも不器用なりに正面から向き合おうとする彼女の愛おしさったら、もうね。
気のせいか、有河サトルさんの絵も、高橋さんだけ気合が入っているように見えます。
振り袖を着て優しく微笑む表情には、思わず見惚れてしまいますね。

さて、内容についてですが、遂に明かされたフェアリーテールシステムの全貌に驚かされました。
風呂敷を広げ過ぎだろうと心配していましたが、どこ吹く風。
詰め込んだ伏線を一気に放出する様は、まさに解答編で一種の爽快感さえあります。
一体どこから考えていたのか分かりませんが、想像できなかったことばかりで衝撃的でした。

正直、細かいところを突っ込めば粗は多数見つかるでしょう。
しかし、それを無視させてしまうぐらいの説得力が凄い。
作中の設定を、そういうものなんだと漠然と思わせることができるのって、なかなか出来ません。

ただし、ちょっと専門用語を出し過ぎたのはマイナス点だったかな。
シリーズ通して読んでいても把握し辛いなと感じました。
ご都合主義も散見されますが、こちらは目を瞑る方向で。

毎回、窮地に立たされる武紀ですが、今回ばかりは規模が違いましたね。
あまりに残酷な選択肢を付きつけられ、どのように打開するのか見ものでした。
作中で出てくる「我が儘な理想主義者」という言葉がピッタリな武紀らしい選択には、腹が立つくらい自己中心的でムカつくけれど、主人公としてはこれ以上ないぐらい正しかったと思います。
武紀本当に初期とは比べ物にならないぐらいに成長したなぁ。

本来の主人公である真田正樹にも格好良い場面が用意されていましたし、愛子の兄である秀之の慌てふためく姿もシリアス展開の中で絶妙なアクセントになっていて面白かった。
最後の最後まで、結局高橋さんが全部持って行っちゃうんですけどねw

次回で完結ってのが寂しいですね。
まぁでも、ちょうど今日が8巻の発売日なので、ネタバレを食らう前に早く読みたいと思います。

クライマックス突入と同時に開拓された愛子ルートが素晴らしい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!  田尾典丈  有河サトル  評価B+ 

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バカとテストと召喚獣9.5 

バカとテストと召喚獣9.5 (ファミ通文庫)バカとテストと召喚獣9.5 (ファミ通文庫)
(2011/06/30)
井上 堅二

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読書期間:2011/7/6~2011/7/7

【評価……B+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
バカ
ギャグ
ラブコメ



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 召喚実験リターン!明久と雄二で喚び出した召喚獣は、まるで二人の子供のようで――って、また惨劇が繰り返されるのか!?「僕と子供と召喚獣」、ドキドキ同居生活を赤裸々に綴る「僕と姫路さんとある日の昼下がり」、謎多きムッツリーニの一面が白日の下に晒される!?「僕と土屋家と揺れない心」、高校1年生の春――すべてはこの出会いから始まった!「俺と喧嘩と不思議なバカども」の4本で贈る、青春エクスプロージョンショートストーリー集第4弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


アニメ二期絶賛放送中のバカテスシリーズ、短編集第4弾。

本当に読みやすくて楽しい作品だなぁ。
ストーリーをキッチリ組み立てる必要がある本編と比べて、軽快なテンポで繰り広げられるネタ中心のエピソード満載の短編集は、いつも以上に笑えることが多いのが利点です。
ただ、今回はギャグよりも、ラブコメや青春展開に力を入れた内容となっていて、笑えるというよりも面白いという感想になりますね。

『僕と子供と召喚獣』
本音を喋る召喚獣に続く、ババァ長の試験召喚実験その2。
今度は二人で召喚することで、自律行動する召喚獣のテストをすることになった明久たち。
その召喚獣は、さながら二人の子供のよう。
当然ながら、女子連中が黙っている訳がなく、またしても明久&雄二が追いやられるという定番パターンです。

明久と雄二の子供とか、明らかに狙ってやってますよね、コレ。
姫路さんや美波よりも雄二とのカップリング推しが強過ぎるw
男読者でも嫌悪感を抱かずに、むしろギャグとして楽しめているので何ら問題ないってところが凄い。

『僕と姫路さんとある日の昼下がり』
姫路さんが同居してた頃の、ほのぼのエピソード。
腐女子向けや誰特なサービスシーンが多い中で、ラブコメの王道的な内容は貴重でした。
まさかの挿絵に驚きましたよ。
でも、明久が鈍感すぎて、ニヤニヤさせられるってことはあまりなかったかな。

『僕と土屋家と揺れない心』
明久&雄二の不毛な言い争いから始まったムッツリーニ主催の企画で土屋家を訪問する話。
要するにガキの使いの「笑ってはいけない」シリーズのパロディです。
ネタ的には面白くなりそうな予感があったのですが、キレはイマイチでしたね。
無理矢理笑わせようとしているためなのか、それとも普段のギャグと異なるためなのかは分かりませんが。
この企画は、シュールな間や音、リアクションが重要なので、文章では難しかったのかもしれません。

それよりも注目すべきだったのは、ムッツリーニの家族構成でしょう。
てっきり一人っ子だと思ってたら、兄2人に妹1人とは意外すぎる。
将来、妹を盗撮したりしないか心配ですw

『俺と喧嘩と不思議なバカども』
7.5巻収録の「ウチと日本と知らない言葉」を雄二視点で描いた短編。
明久、雄二、秀吉、ムッツリーニの4人がいかにして、つるむようになったのかが明かされています。
やさぐれた雄二が、バカ正直に生きる明久を目の当たりにして、不本意ながらも惹かれていく展開が熱い。
眩し過ぎて直視できないぐらい青春街道まっしぐらのイイ話でした。

男の友情が描かれるシーンの多い回でしたね。
その代わり、カラーページの漫画は髪型を変えたヒロインズが可愛かったです。
ツインテールの美波もいいけれど、単純に髪を下ろすだけでもギャップがあって萌えるので、たまに見せて欲しいなぁ。

それにしても、著者プロフィール欄が表紙絶賛コーナーになっちゃってますねw
葉賀ユイさんの絵が素晴らしいのは同調しますが、バカテスが終わって、絵師担当が代わったらどうするんだろう。
井上堅二さんは、生きていけるんだろうかw

さて、そろそろ終わりが近づいているみたいですが、まだ次は完結ではないのかな。
あとがきを読む限り、もうちょっとだけ続きそうです。

互いを罵るほどの悪友にまでなった明久と雄二の出会いのエピソードが見所

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカとテストと召喚獣  井上堅二  葉賀ユイ  評価B+ 

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空色パンデミック④ 

空色パンデミック4 (ファミ通文庫)空色パンデミック4 (ファミ通文庫)
(2011/03/30)
本田 誠

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読書期間:6/28~6/30

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
世界観
構成




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 最近、仲西景の様子がおかしいことに俺、青井晴は気づいていた。
穂高結衣の発作に巻き込まれ続けた仲西は、自らも「現空混在病」という病に蝕まれていたんだ。
幻聴や己の中の別人格に悩まされ、現実と空想の狭間で苦しみ、やがて恋人の結衣の存在すら忘却してしまった……。
結衣は失意の中で、それでも仲西を救う方法を探している。
そして俺もまた、あいつを救うために、ある「芝居」を計画したんだ――。
狂騒と純真の「ボーイ、ミーツ、空想少女」終幕。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


空想に侵された思想の果てで、信じるべきものとは一体何か。
大事なものを気づかせてくれるシリーズ最終巻です。

うん、面白かった。
満足度としてはあと一歩届かなかったかなとは思いましたが、見所はいっぱいありました。

シリーズ通して不鮮明なところがありましたけど、今回はそれまでの比じゃないですね。
仲西だけではなく読者も現空混在症に罹ってしまったかのように、先が見通せません。
いや、そもそも目の前の出来事が、現実なのか空想なのかの判断すら付かないレベルです。
森崎や青井の視点から描かれているシーンがなければ、混乱しきっていたでしょうね。

状況判断が付かないというのは、面白い試みではありますが、構成的には難のあるギミックでした。
正直読み辛い。
3巻の時のような作品内に引き込まれる力強さはなく、散らばっている印象を受けました。
しかし、それもまた意図的のように感じられ、何だか作者の術中にハマってしまったような気がします。

終始シリアス展開で空想病の本当の恐ろしさを思い知りました。
他人になりきっていたという恥ずかしさがある方がまだマシですね。
記憶の整合性や自己の喪失を体感しているようで、恐怖を覚えました。

ネタ切れなのか打ち切りなのかは不明ですけど、急に最終巻となったため駆け足すぎる部分が目立ちます。
もっとじっくり練って欲しかったところですが、この設定で世界を広げることに限界を感じたんでしょうかねぇ。
複雑な内容と比べて、ラストがあっさりしすぎかな。
これが最終巻でなければ、素直に賞賛していたんでしょうけど、触れずに終わってしまった伏線が多過ぎて勿体無い。
作品の内容的に、平然と続きが出てもおかしくはありませんが、おそらく次はないでしょうね。

結衣の空気化に伴う青井のメインヒロインっぷりは俺得でしたけど、作品的には首を傾げてしまいましたね。
結局Wヒロインを上手く活用出来ずに終わってしまいました。
それならいっそのこと、結衣を空想の人物というオチで青井とくっつく形でも良かったんじゃないでしょうか。
どちらにせよ、ラブコメをもうちょっと楽しみたかった。
森崎と今井さんの関係は良かったんだけどなー。

空想病患者のクーソーとのやり取りは、しんみりとさせられました。
寂しいけれど、前向きになれるイイ話でしたね。

庭さんのイラストは、表情が柔らかく優しいのが素敵で大好きです。
しかし、P219の絵だけはないですね。
身体のバランスがおかしすぎて、萎えてしまいました。
あれならイラストなしの方が想像をかきたてられて良かったなぁ。

1巻を読んだ時の衝撃は、ラノベの新しい時代を感じたものです。
乱発される微エロ系ラブコメとは違い、新鮮さが魅力だっただけに、終幕は残念。
また設定が凝った次回作に期待したいですね。

現実と空想の境目がぼやけている中で、確固たるものを見つける物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空色パンデミック  本田誠    評価B+ 

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ココロコネクト クリップタイム 

ココロコネクト クリップタイム (ファミ通文庫)ココロコネクト クリップタイム (ファミ通文庫)
(2011/05/30)
庵田 定夏

商品詳細を見る
読書期間:2011/6/12~2011/6/13

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
ラブコメ
リア充



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 「新入部員がこなーい!!」
 積極的な勧誘をしないと決めたものの、いつまで経っても現れない新入生に焦る太一たち。そんな時、文研部の扉を叩いたのは気だるな男の子と内気で小柄な女の子で――。
 待望の新入部員編と、文研部が一枚のスクープ写真で学校を湧かせた文化祭秘話、伊織と太一との三角関係に悩む稲葉の奮闘劇から、唯が体験した女の子とのドキドキ初デートまで!
 愛と青春の五角形コメディの美味しいところを集めたココロコレクト第1弾!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「ココロコネクト」シリーズ初の短編集。
どうやら「ココロコレクト」という通称らしいですが、上手過ぎて紛らわしい。

全部で4つのエピソードが収録されており、うち3つはFBonlineにて掲載されていたものです。
自分は見たことがなかったので、どれも新鮮な気持ちで読むことが出来ました。

ふうせんかずらによる不思議現象に巻き込まれることなく、文研部の学校生活をラブコメタッチで描かれた青春モノとして仕上がっています。
心が削られるかのような緊迫感やシリアスな展開は皆無で、良くも悪くも緩いですね。
太一たち5人の会話の応酬だけでも楽しいのは確かなんですが、ちょっと物足りないかなー。
危機的状況に追い込まれることで、必死に抗おうと輝きを増すキャラばかりですから、内面の掘り下げが本編に比べると浅いと惜しいなぁと感じてしまいます。

「スクープ写真の正しい使い方」

ふうせんかずらの脅威に不安を抱くことになる前である1巻直前のエピソード。
以前から何度か思い出として話題にあった文研新聞・文化祭増刊号にまつわる話です。
結果は分かっていましたけど、ここまで盛大にやっていたのか。
キャラ紹介といっても差し支えのないくらい、それぞれの特徴を捉えた内容でしたね。
カラーページにある伊織の浴衣が姿が、物凄く似合っていて素晴らしかったです。

「桐山唯の初体験」

タイトルから色々と想像してしまう、ラブコメの王道的なニヤニヤエピソード。
時期的には、1巻と2巻の間かな。
コメディ色が強過ぎるかなと思わないでもないですが、唯の揺れる心の動きは淡くて良かったです。

「稲葉姫子の孤軍奮闘」

稲葉が太一に恋心を打ち明けた直後である2巻と3巻の間の話。
想い人である太一と、ライバルである伊織への接し方に悩む稲葉んが、あーだこーだと知恵を絞るが余計にドツボにハマるというこれまた典型的な流れ。
オチが見え過ぎているのが、ある意味安心。

「ペンタゴン++」

今巻収録の中で、唯一の書き下ろしである最新エピソード。
2年生に進級した文研部5人が、入部希望の新入生を迎える新たなスタートとなるプロローグ的な話です。

表紙の太一以外の二人が、一年生である新キャラですね。
右側にいるのが宇和千尋は、名前と表紙絵では判断付きにくいですが、男です。
クールな物怖じしない性格で、なかなか男前なところがあります。
太一や青木とは違うタイプですし、そもそも女キャラの比率が高い作品なので、個人的には大歓迎ですね。

もう一人は、表紙真ん中にいる円城寺紫乃
後輩キャラの定番である小柄で内向的な一面があり、分かりやすいキャラですね。
過度なロリに偏ることなく、年相応な感じが好感持てます。

二人が、文研部に加入するかどうかを焦点としたこの話が、一番面白かったですね。
二年生になり、クラス替えなどの環境の変化もあって、読み応えがありました。

あとは、太一と稲葉が付き合い始めた後の初エピソードということもあって注目していました。
なるほどなるほど、これがデレばん症候群か……。

うぜえ!w

稲葉んのデレっぷりが可愛いとかそんな生易しいもんじゃないよ!?
尋常じゃない破壊力は、もはや笑いしか出ませんw
キャラ崩壊しすぎて、クールビューティーの面影が風前の灯だよw
今までの稲葉んとは別人だと言われても信じちゃうレベルだよ!

しかしまぁ、片鱗は見せていたけど、まさかここまで稲葉んが変貌するとはね……。
いつもなら「いいぞ、もっとやれー!」とけしかけるところですが、ちょっとは落ち着けと突っ込みを入れたくなります。
こんなリア充が側にいたら、さぞ鬱陶しいだろうなぁ……w
伊織がネタに走るのも致し方がないw
稲葉んがデレデレで幸せそうなのは喜ばしいんだけど、甘過ぎて弄らないとやってられないわ。

付き合い始めたばかりのカップルのラブラブっぷりに当てられます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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アクセル・ワールド7 ―災禍の鎧―  

アクセル・ワールド〈7〉災禍の鎧 (電撃文庫)アクセル・ワールド〈7〉災禍の鎧 (電撃文庫)
(2011/02/10)
川原 礫

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読書期間:2011/6/9~2011/6/11

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
燃え




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 黒雪姫率いる≪ネガ・ネビュラス≫は、シルバー・クロウを≪浄化≫するため、≪アーダー・メイデン救出作戦≫を発動した。
 難度の高いミッションの中、決死の覚悟でシルバー・クロウはアーダー・メイデンと接触するも、≪帝城≫を守護するエネミー≪スザク≫の火炎ブレスにより、禁断の不可侵領域――≪帝城≫内部に突入してしまう。絶体絶命の危機に陥ったハルユキだが、彼はそこで不思議な≪夢≫を見る。≪クロム・ファルコン≫と≪サフラン・ブロッサム≫。二人のアバターが望み、砕け散ってしまった≪災禍≫の物語を――。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


大切な仲間との絆を描いた正統派SFアクション、第7巻。

良い意味で、先の読める分かりやすい作品ですね。
ベタベタなところが逆にイイ!といえる近頃では希少なシリーズかもしれません。

話の主軸がどんどんズレていくのだけれど、結果的には一周している構成が憎らしいですね。
最終目的のために必要なキーアイテムを探す過程で、別のお使いをさせられるRPG展開のようでした。
長ったらしいと面倒臭くなる気持ちも芽生えますが、比較的巧く繋いでいると思います。
冒頭から唐突に始まった過去編が、予想外の文章量だったのには少々戸惑いましたがね。

その≪災禍の鎧≫が誕生するキッカケとなるエピソードは、切なさと憤りを覚えました。
サイドストーリーの挿入時期としては、ここで相応しかったのか判断付きませんが、語られるべき内容であったのは間違いありません。
練り込んだ設定から察するに、決して思いつきではなく、初期の段階から考えていた伏線なんでしょうね。
≪災禍の鎧≫一連の流れに深みを与える秘話でした。

本題は、ハルユキの浄化のはずなんですが、加速世界ではそれ以上に怪しい影が動きつつあります。
熱く燃える少年漫画の王道を行く展開に、興奮しました。
それだけに、口絵のネタバレ度が高過ぎたのが勿体無かったなぁ。
口絵を見るだけで、今巻の半分ぐらい理解出来てしまうのは、さすがにやりすぎだと思います。

タクムに出番があったのは嬉しいのだけど、こういう形を希望していたわけではないんだ……。
1巻の衝突では全てが昇華されず、燻っていた陰が残されていたのは、前々から描写されていましたけれど、もっと前向きな解決編となることを望んでいました。
その辺りは、能美征二とのバトルで見せたことになっているのかなぁ。

ちなみに、またしても良いところで次回へ続くとなっているわけですが、まぁいいんじゃないでしょうか。
確かに非常に気になるシーンではありますけどね。
妙にこの作品だけは切り方が酷いと言われ、作者も気にしているようですけど、卑怯なぐらい引っ張ってくれた方が楽しみになれます。

友のために自分が出来る最大限の頑張りが熱く胸を打ちます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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