明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル 

ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)
(2012/06/08)
竹宮 ゆゆこ

商品詳細を見る
読書期間:2012/9/19~2012/9/28

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 三次元に絶望した男――その名も二次元くん。本名は佐藤。大学一年生。
 大学でも三次元の女は完全スルー、脳内嫁(名前はVJ。セーラー服で日本刀を持って戦う14歳)との対話や自作小説の執筆に明け暮れていた。
 そんな彼へ三元からの刺客が現れる。
 中学時代の後輩――魔性の秋。雰囲気のあるある美少女で、思わせぶりな距離感で接してくる。大学の同級生――同人戦士・愛可。二次元に生きる者同士の共感を武器に二次元くんに迫りくる。
 はたして二次元くんは二次元への想いを貫けるのか!?竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る二次元叙情巨編!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「ゴールデンタイム」シリーズ初となる外伝作品。
本編では脇役である二次元くんを主人公として一冊丸々描かれています。

いやー、二次元くんを舐めてましたね。
その名に相応しい完全に向こうの世界に旅立った漢でした。
ドン引きするぐらい重症ですよ、彼……。
脳内嫁の設定の細かさや、現実と妄想の境界線の曖昧さが危ないよ……。

共感できる部分があるだけに、情けないなぁと思ってしまいますね。
自分に言い訳しまくりなところが、身に覚えありまくりでかなりキツイです。
大学生で中二病を患っている姿が痛々し過ぎて、見ていて苦しい。
個人的に脳内嫁であるVJが全く萌えられなかったので、余計に引いた目で見てしまいました。

そんな引き返せない境地まで辿り着いてしまったオタクが、リアルの女の子とお近づきになる話。
あー、所詮二次元くんも二次元の存在だったか。
そう簡単に可愛い女の子が接近するわけないだろうがと叫びたくなりますよね、うん。

男を誘惑する気配を放つ後輩・秋よりも、己の信念を持つ腐女子・愛可の方が好きです。
傍目から見たら、二次元くんとの相性も良いですし、付き合うなら愛可をお薦めしたいなぁ。

この作者は、思考の生臭さを書かせたら一級品ですね。
妙なリアリティとラノベ的フィクションの融合性に毎度のことながら感心させられます。
例えば、ヒロインの一人である秋は、大人と子供の中間である高校生のフラフラした脳内と形態を実に見事に描いていると思います。
ラノベであれば、つい魅力的なキーワードでキャラ設定を埋めつくしたくなるところを、回避したくなるような厭らしさを付随させてキャラを立たせるんですから凄い。

二次元くんが二次元の世界に逃避するだけではなく、三次元の行動で示すところは良かった。
たとえ格好悪くても、もがいて打開しようと必死なところは、プライドが高いだけのオタクじゃないなと思わせてくれました。

妄想に逃避するオタクの心理描写が生々しい

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テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B 

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楽聖少女 

楽聖少女 (電撃文庫)楽聖少女 (電撃文庫)
(2012/05/10)
杉井 光

商品詳細を見る
読書期間:2012/8/10~2012/8/20

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
音楽
世界観
ラブコメ
ファンタジー


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5



 高校二年の夏休み、僕は悪魔メフィストフェレスと名乗る奇妙な女によって、見知らぬ世界へ連れ去られてしまう。そこは二百年前の楽都ウィーン……のはずが、電話も戦車も飛行船も魔物も飛び交う異世界!?
 「あなた様には、ゲーテ様の新しい身体になっていただきます」
 女悪魔の手によって、大作家ゲーテになりかわり、執筆をさせられることになってしまった僕は、現代日本に戻る方法を探しているうちに、一人の少女と出逢う。稀代の天才音楽家である彼女の驚くべき名は――
 魔術と音楽が入り乱れる、めくるめく絢爛ゴシック・ファンタジー、開幕!

【感想】


19世紀初頭で巻き起こるクラシック・ファンタジー。

魅惑的な悪魔により200年前もの世界へと飛ばされてしまった主人公。
彼は本来の名前を奪われ、文豪ゲーテとして生きることを余儀なくされてしまう。
史実とは異なる世界に困惑しながらも順応する彼は、ある一人の音楽家と出逢う。
その少女の名は、ルドヴィカ・ファン・ベートヴェン
稀代の天才音楽家は、何故か可憐な女の子の姿をしていた――という導入から始まるストーリーです。

著者の音楽を扱った作品といえば、名作と名高い「さよならピアノソナタ」。
個人的には、キャラクターが肌に合わず、2巻で切ってしまった作品でした。
しかし、音楽の造詣は目を瞠るものがありましたし、音の表現方法も耳を澄ませば聞こえてくるかのような文章が秀逸だったと記憶しています。
不安もありつつも期待を込めて、この作品を手に取ってみました。

一言でいえば、面白かったです。
ただ一つ注文をつけるのであれば、味付けが好みではなかったかなという感じ。

これは「さよならピアノソナタ」ではなく、舞台が変わった「神様のメモ帳」ですね。
まるであえて真似ているのかというぐらい共通項が多いです。
ピンチからの脱却や起死回生の作戦などといった構成も似通っています。

主人公・ユキとヒロイン・ルゥが、「神様のメモ帳」に登場するナルミとアリスそのままです。
一見何も能力を持っていない受け身体質かと思いきや人を纏め上げたり指導することに長けたツッコミ役の主人公と、14歳という幼さを絶妙に残す年齢で傲岸不遜ながらも時々ツンデレを顔見せする口調が「~だよ」「~なのかい」の僕っ子ヒロイン。
キャラの描き分けが出来ない作家さんではないので、意図的なんでしょうね。
いくら好評を得たからと言っても、もう少し変化を見せてくれても良かったんですが。
おかげ様で、大半のやり取りが既視感を覚えるものでした。

本作の売りは、古典派時代の音楽家が意外な形で登場するところにあります。
ベートーヴェンが女の子だったというだけでなく、世界史の教科書に出てくる有名人が妙な設定を付随してゴロゴロと出てきます。
歴史上の偉人を面白可笑しいキャラに仕立てており、シュールかつコミカルな笑いに誘われます。

またタイムスリップ物としても優秀で、歴史を知っている優越感が味わえるのも良いですね。
主人公の知識量に驚かされますが、興味のある分野であれば有り得る話なのかな。
ストーリーのオチは、綺麗だったなと思います。

それだけに盛り上がりどころの異能バトルが浮き過ぎです。
悪魔メフィストフェレスからして何でもありみたいな能力を持っていますけど、だからといってこの作品にバトルは必要なかったのではないでしょうか。
燃える、熱い展開を描きたいのであれば、純粋に音楽で魅せて欲しかった。
それだけの技量も持っていますし、実際中盤では圧倒された場面もありましたから。

岸田メルさんの描くゴシック調のイラストは、作品との相性抜群ですね。
可愛い女の子だけではなく、彫の深い顔の男性も見事に描ききっていました。

文豪と作曲家で巡り合うことで生まれる新たな音楽とファンタジー性のある物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  楽聖少女  杉井光  岸田メル  評価B 

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“夕顔”ヒカルが地球にいたころ……2 

“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2) (ファミ通文庫)“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2) (ファミ通文庫)
(2011/08/29)
野村 美月

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/31~2012/8/3

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
恋愛
ツンデレ
期待感


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 取り憑かれ、うっかり友達になってしまった幽霊のヒカルのため、その“心残り”を晴らす約束をした是光。ヒカルが示した次の相手は、内気な引きこもりの少女だった。
 夜にだけ咲く儚い花のような少女、夕雨。閉じた世界で幸せに微笑む彼女と過ごすうち、徐々に放っておけない気分になる是光だったが……。
 何故か約束の内容を告げないヒカル。そんな中、夕雨を不登校にした“怨霊”の噂が学園に甦る。その正体を前に、是光は――!?
 大人気シリーズ第2巻、登場!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


源氏物語をモチーフにした淡く切ない、そして冷徹さを感じさせるシリーズ第2弾。
ひんやりと冷たい表面だからこそ、温もりが熱く実感出来るような作品ですね。

成仏し損ねたヒカルには、心残りのある女性が数十人いるらしい。
その中の一人、引きこもりの少女、奏井夕雨
ヒカルと彼女の約束を果たすために、またしても赤城是光は人情で動くストーリーです。

物語が見事に練られていて、読み応えがあります。
ミステリー要素を含んだストーリー展開に振り回されるのが楽しい。
ヒカルの関係者は訳あり顔で慎重な姿勢を見せる中、強引に突破する是光が格好良いです。
やはり著者のキャラは掘り下げた分だけ、新たな一面を見せてくれますね。

しかしながら、ヒカルの肝心なことに関して黙秘する態度が気に食わない。
1巻でも指摘した部分ですが、あまりにも都合が良過ぎではないでしょうか。
言い訳らしきことも綴ってありましたけど、要するに結局是光のことを信頼していないわけです。
もちろん、ヒカルが隠していた事実が驚愕もので、最終的に語ることが出来なかった理由が判明するのでしょう。
それは分かっていても、是光に秘匿して裏から誘導しているように見えるヒカルの姿勢には納得がいきませんでした。

夕雨のキャラクターは、男性受けしそうだなと思いました。
か弱い存在で守ってあげたくなるような儚さを併せ持つ少女で、庇護欲をそそられます。
繊細で、しかし心に滾る想いは強くて、彼女の魅力がいっぱい詰まった内容だったと思います。
個人的には前回の葵の方が好きなので、出番がほぼなかったのが残念でしたけどね。

その代わりといっては失礼ですが、帆夏が素晴らしいツンデレっぷりを見せつけてくれました。
まさかこんなに早くデレデレになってくれるとは。
彼女の視点になった途端に、雰囲気がガラリと変わりますね。
素直になりきれずに葛藤する女の子は、もどかしくてたまりません。

是光にハーレムを形成する素質があると見込んで、ヒカルは取り憑いたのだろうか?
順調に女の子を囲みつつある是光は、一刻も早く女心を理解するべきだと思います。
この世界観では、下手すると刺されかねないですよw

最後の引きは強烈でした。
次巻の展開が非常に楽しみです。

引きこもり少女に外の世界を見せたくなった主人公が彼女の過去に介入する話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ヒカルが地球にいたころ……  野村美月  竹岡美穂  評価B 

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明日も彼女は恋をする 

明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)
(2011/12/22)
入間 人間

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/28~2012/7/30

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★
 … 9





 『過去の改変』から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。そして、もうひとつ。わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。慣れきっている。そして、この世界の『現在』では、彼は九年前に死んでいた。その蔓延する常識が、わたしを苛み、蝕んでいく。わたしが歩ける毎日。それは彼が死んだ現代。決めた。わたしは必ず取り返す。わたしと彼がいた世界を。必ず。
 『昨日は彼女も恋してた』と上下巻構成。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

昨日は彼女も恋してた」から続く時間モノのラブロマンス、後編。

想像していたものとは方向性が違いましたけど、面白かったです。
しかし、内容を語ろうとするとネタバレに触れてしまうので、感想書くのが難しいですね。

仕込まれていた仕掛けは、期待通りで、見事に騙されました。
一応途中で気付くことは出来んたんですけど、何故もっと早く感付けなかったのかと悔しくなりました。
タイトルの意味、表紙の人物と車の違い、ボカされた説明文。
ヒントは山のようにあったのに、頭の中で繋がるまでに時間が掛かりすぎました。
巧妙に隠されていたということなのかなぁー。

下巻を読み終えたあとこそ、上巻の意味があります。
改めて読み直すと、ニヤリとさせられる場面の多いことといったら。
書いていて混乱しないのかなと心配になるほど複雑ですね。
何も知らないで読んでいたのが不思議なくらいに罠が張り巡らされています。

発想も構成も良し。
唯一甘いと思ったのが、タイムトラベルに関する設定かな。
テーマ的にタイムパラドックスの問題は避けられない中で、まだ納得できる定義にはしてくれていました。
それでも、曖昧とされてしまった部分が多く、引っ掛かりを覚えてしまったのも事実。
長編シリーズならまだしも、上下巻作品ではこれが限界かなぁとは思うんですけどね。

でも、この作品に一番重要な要素は、タイムトラベルではなく愛を中心とした人間関係です。
彼や彼女の執念ともいうべき想いこそが、この物語の発端であり全てだったんでしょう。
登場人物の心情または信条は、入間人間節が炸裂しており、作者の読者ならば「らしさ」を感じられるものだったと思います。

判明する内容については衝撃的で濃かったですけど、表面上の出来事自体は上巻のが好みでした。

全てが引っくり返る仕掛けに気が付いた時に得られる驚きは感嘆モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日も彼女は恋をする  入間人間    評価B 

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アクセル・ワールド11 ―超硬の狼― 

アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)
(2012/04/10)
川原 礫

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/24~2012/7/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
燃え
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 ブレイン・バースト内を暗躍する謎の組織≪加速研究会≫。その総本山≪東京ミッドタウン・タワー≫の頂に鎮座する、≪大天使メタトロン≫。
 完全無敵の神獣級エネミーによって守護されている≪加速研究会≫を打倒するため、七王会議が開かれた。
 そこで導き出された秘策とは、シルバー・クロウの新アビリティ≪理論鏡面≫獲得作戦だった。
 メタトロンの放つ絶対即死極太レーザーにも耐えるアビリティを習得する命を受けたクロウだが、≪心意技≫がイマジネーションによって生み出されるのに対して、≪アビリティ≫は行動をトリガーに発現する。そのため、今までのハルユキの強いイメージだけでは、≪理論鏡面≫アビリティは習得できない。
 いっこうに糸口を見えないハルユキに対して、≪アーダー・メイデン≫こと四埜宮謡が哀しい過去を語り始め――。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「アクセル・ワールド」新章開幕。
長らく続いた「災禍の鎧」編を終え、新たな始まりを予感させる内容となっています。

いわゆる種蒔き回というやつですね。
何か大きな事が起きそうだという期待感は募りますが、伏線消化されるのは随分先だろうなぁ。
この巻だけでも楽しめないことはないんですけど、次への布石のための下積みという印象が強いです。
丁寧過ぎて展開が遅く感じてしまうのが、長所でもあり短所でもありますね。

これまで触れられてこなかったアビリティの設定について、細かく解釈が用意されていました。
しかし、ハルユキが未だに基本システムからして把握しきれていないのは、後出しで設定を追加しても問題ないようにするためなんだろうか。
そう疑ってしまうくらいに、都合がいいなと思ってしまいました。
もちろん、最初から考えていたことなんでしょうがね。

サブタイトルにもある通り、防御力がとてつもなく高いアバターが出現するのが今回の肝。
反則的な能力を有する新星に対して立ち向かうシルバー・クロウが、己を省みる流れが素敵でした。
自分自身が加速世界初となる飛翔アバターとして君臨した際に、周囲が抱いた羨望と嫉妬を本当の意味で理解出来たのは、今回が初めてのことなんでしょうね。
当時の自分を振り返ることで、更に一歩成長するハルユキが主人公として輝いていました。
「災禍の鎧」編に比べると、背負うものはなくなったことで、気楽に読める分、燃え要素も物足りなさを感じてしまったのは、仕方ないですかね。

それにしても、本道を真っ直ぐに進まない作品だなぁ。
感覚的には、RPGで主となる目的を達成するのに必要な情報をかき集めるために全く違うクエストをしているというイメージ。
このままでは≪大天使メタトロン≫戦は、きっと5巻くらい先になるのではなかろうかw

キャラクターは、七王会議に参加する面々に魅力があって良かった。
やはり王たるもの貫録が違いますね。
黄の王の皮肉屋っぽいところが結構好きだったりします。

アニメは終わってしまいましたが、おそらく原作の人気からして続編は作られるでしょうね。
その時のためにも、原作ストックを溜め込んで貰いたいなと思います。

少しずつだけれど確実に主人公の成長を実感できる丁寧さが売り

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  アクセル・ワールド  川原礫  HIMA  評価B 

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ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ 

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
(2012/06/21)
三上 延

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/23~2012/6/26

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
恋愛
構成
家族愛


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。
 人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しい女店主に頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。
 彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない――。
 これは“古書と絆”の物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


古書が過去と現在を繋ぐ架け橋となる物語、第3巻。
累計発行部数は遂に300万部を突破し、勢いは留まるところを知りません。

今回も面白かったです。
物語をダラダラと読むのに適したお手軽な大人のライトノベルのスタイルを貫いていました。
あっさりとしながらも確かな手ごたえも感じられる読後感は素敵です。

ただ、やや安易かなと感じる部分が幾つか見られましたね。
ミステリー要素がメインではないとはいえ、もう少し捻りがないと驚きが得られません。
意外という感情は作品の面白さに直結するので、構成などにも拘って欲しいところでした。
オチが良くてもヒントを与え過ぎた結果、予想通りに事が進んでしまいましたね。

2巻で露わとなった栞子と母親・智恵子の確執。
行方知れずの智恵子が一体何処にいるのか、そして栞子の抱える闇が晴れる時が訪れるのか。
長期路線に突入した以上、多少引っ張る分には構いませんが、テンポが崩れないかが気掛かりです。

登場人物の固定が多く、身内の話に終始している印象を抱かせます。
せっかく古書店を構えているのですから、新たな人物との交流を育めばいいのに。
確かに、店主の栞子は人見知りですが、五浦と出逢って変わってきているようですし、一応客商売をしているんですからね。
探偵ごっこもよりも、本の魅力でグイグイと引っ張ってくれるとなお嬉しいです。

本を取り扱いに関する話は、実に興味深いですね。
古書交換会」なるシステムがあることを初めて知りました。
読書家の人達にとっては、是非とも参加してみたい会合なのではないでしょうか。
同業者のみの集いのようですけど、買い手を探したいのであれば、開かれた集まりにすればいいと思うんですけど、何か理由があるんでしょうかね。

表紙は、毎度ながら越島はぐさんによる、瞳を閉じた横向きの栞子。
うなじに流れた黒髪が扇情的で大変よろしいですなぁ。
首が長すぎるのは気になりますけども。
口絵にある篠川家の古びた写真は、家族が一緒だった時の空気を感じ取れる素晴らしい一枚でした。

ミリオン作家となった手前、今まで以上に一定の刊行ペースを求められると思うのですが、質に影響するのであれば、時間をかけてでもいいので良い物を書いて欲しいと思います。

古書に関わる謎解きから家族愛へと変化しつつある主軸が好みを分けます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ビブリア古書堂の事件手帖  三上延  越島はぐ  評価B 

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はたらく魔王さま! 5  

はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)
(2012/06/08)
和ヶ原 聡司

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/14~2012/6/15

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
ラブコメ
ファンタジー
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 修理の終わった魔王城(築六十年・六畳一間のアパート)が、まさかの地デジ対応に!テレビなど贅沢品と思っていた魔王だが、芦屋の反対を言いくるめ、ついに薄型テレビ購入に踏み切る。
 とはいえ家電に詳しくない魔王たちは、日本の社会人代表として、恵美の会社の同僚・梨香を誘い、大型電気店に向かうことに。なぜか異世界の聖職者・鈴乃もそれに便乗し、魔王一行の“お買い物ツアー”がスタートする。そんな中、魔王に恋する女子高生・千穂に、危機が迫っていた――!
 フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、緊迫の第5弾登場です!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


庶民派の魔王と勇者が織り成すファンタジーコメディ、第5巻。
いつもよりもシリアス成分でお送りしています。

今回の内容は、何と真奥が働く立場ではなく消費者側に立ったお話。
とはいえ、随所に現代社会で生きる上でのコツみたいな話も挿入されており、相変わらずなシュールな一面もあります。

やっぱり生活感溢れるパートが面白いなぁ。
異世界の人間達が金を捻出してテレビを買おうと意気込むだけなのに、何故こうも楽しいんだろう。
小ネタの解説が、無駄にタメになるトリビアなところも含めて堪能できます。

まだ地デジ化前の時代背景ということもあって、今とは些か違う部分もありますね。
今ならもっとテレビの値段は安くなっているよなーと思いながら読んでました。
その辺りも、しっかり把握して書いているので安心できます。
恵美を携帯電話会社のお客様センターに勤めさせたりと、家電知識に詳しい作家さんだなぁ。

物語的には、進展しているのか停滞しているのか。
伏線をばら撒くだけで終わったような感覚を覚えました。
専門用語が多めな上に、真実を隠されている感が強いので、無駄にややこしくしているように見えるんですよね。
決して全てが駄目だとは言いませんが、日常シーンが素晴らし過ぎるだけに、邪魔に感じてしまうのが悲しいです。

キャラクターが魅力的なシリーズだなぁと再認識しました。
真奥と恵美に限らず、脇役もキャラが立っています。

芦屋と梨香のロマンス展開が、思っていたよりガッツリ入ってきて驚きました。
軽く流されるだけの要素かなと思いきや、いやはや今後大きな焦点になってきそうじゃないですか。
果たして実るかどうか……。全く予想できません。

一見ただのプロニートにしか見えない漆原のスペックの高さは、作品内でもトップクラスですね。
天使としての地位の高さだけではなく、狡猾で先見の明に長けています。
普段のダメダメさ加減とのギャップが、妙な格好良さを醸し出していて、何だか卑怯に感じてしまうほど。

鈴乃は、恵美と比べたら意外と素直に真奥達と打ち解け合っているところがニヤニヤしちゃいます。
世間知らずでボロを出すと慌てふためくところが可愛らしい。
うどんに執着するところなど、彼女も良い意味で日本に染まってきたことを感じさせます。
魔王軍に力の制限があるため、パーティー内では貴重な戦力となっているところが巧いなぁ。

敵ボスが仲間になったら弱くなるのはRPGの定番ですが、実に面白いことに、この作品では逆なんですよね。
確かに、新たな強敵を見せつけるのに、以前の敵役がやられるというのは効果的なのですが、あまりにも表現として強力すぎるため、逆にチープな印象を与えてしまったり、はたまたインフレを加速させることに繋がります。
勇者が魔王を討伐するRPGをモチーフにしているだけあって、その辺りのバランス感覚は抜かりありませんね。
漆原や鈴乃が、これ程までに頼もしい存在になるとは思ってもみませんでした。

情報の小出し方法に説得力がないのが減点対象かなぁ。
回りくどい説明をしたり、時間がないと遮ったり、全体的に構成が甘いのかもしれません。

4巻の千穂に引き続いて、表紙の鈴乃に惹きつけられます。
必ず3人以上が登場して、物語性を感じさせる表紙が好きです。
あとイラストに関しては、中盤にあった漫画のカット絵にはテンションを上げさせられました。

ファンタジー方面で面白くして欲しいのもあるけれど、それ以上に日常パートの配分を多めにして欲しいですね。
勤勉な魔王を見て、複雑な気持ちを抱く恵美や鈴乃を見るのが何より楽しいですから。

テレビを所望する魔王と家計を預かる悪魔大元帥の言い争う構図が面白可笑しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B 

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昨日は彼女も恋してた 

昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)
(2011/11/25)
入間 人間

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/9~2012/6/13

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、なぜか時空を超えた。
 はじめは二人はどこにいるのかわからなかった。島の景観なんて、十年やそこらじゃ変化しないから。『過去』に来たと分かったのは、向こうから自分の足で走ってくる、『小さなマチ』を見たからだ。
 僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。『明日も彼女は恋をする』と上下巻構成。

【感想】


すれ違いにより不仲となってしまった幼馴染みとの関係を回顧させるタイムスリップ作品。
上下巻構成の上巻にあたります。
ちなみに下巻は「明日も彼女は恋をする」というタイトルです。

舞台は、500人前後の島民が暮らす小さな離島。
とある過去の衝突が原因で、余所余所しくなってしまった若い男女――大学生の青年・ニア車椅子の女性・マチは、時間旅行の実験に付き合い、9年前にタイムトラベルしてしまう。
思いがけず仲の良かった頃の自分達と出逢い、過去の想いと今の内面を見つめ直すことで、二人の関係が微妙な距離感になっていくラブロマンスとなっています。

これは良かった。
ただ、上巻だけでも面白かったですけど、下巻があってこその本だと思います。
それほど前に、最後の展開が凄まじかった。
予想していた展開のうちの一つとはいえ、本当に起こると衝撃的でしたね。
ズルいぐらいに先が気になります。

癖の強い文章を書くことで有名な入間さんですが、本作では比較的落ち着いた文体で読みやすくなっています。
ニアとマチの視点を交互に描写する構成は、一人称に長けている著者の長所を売りに出来る良いアイデアでした。

緩やかに綴られる心情が、徐々に解れていくココロを表していくかのよう。
無邪気にじゃれあう自分達を見ることで、いがみ合っていた対立が緩和していく展開は素敵。
素直になれないために、子供相手に問いかける彼らがもどかしいのなんの。
幼き己らを緩衝材としなければ、まともに幼馴染みを名前で呼ぶことすら躊躇う。
そんな二人が時間移動の果てに見つけた境地は、とても意義のあるものだったと思います。

ニアと祖母のエピソードが、柔らかい陽の光みたいに優しくて、地味ながらも好きでした。
いいなぁ、このあったかい感じ。

SF要素に関しては、あくまで舞台装置の仕掛けであって、主題ではなさそうですね。
少なくともこの上巻では。
それでも、ニアやマチが過去に残した跡は、大きな変化を生むことを予感させる伏線がばら撒かれています。
下巻で、どこまで拾ってくれるのか楽しみですね。

仲違いのキッカケが生まれた過去の瞬間にタイムスリップを果たした男女の恋物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  昨日は彼女も恋してた  入間人間    評価B 

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花の佳音 

花の佳音 (メディアワークス文庫 あ 8-1)花の佳音 (メディアワークス文庫 あ 8-1)
(2012/04/25)
雨宮 諒

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読書期間:2012/5/17~2012/5/18

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ほのぼの
切なさ
感動



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 知っていますか?あなたが笑ったり泣いたりしているときに、すぐ横に寄り添って、一緒に微笑んだり、涙を流してくれる存在がいることを。
 それは、美しくも儚い「花」たち。彼らはいつでも人間を温かく見守り、心の底から祈っています。あなたが幸せでありますように――と。
 これは、そんな花たちの声を聞くことができる不思議な青年・草介と、心優しい花たちの切なくも心温まる物語。
 ほら、花に耳を近づけてみて下さい。嬉しい囁きが聞こえてくるかもしれませんよ?

【感想】


実に4年振りとなる雨宮諒さんの新作は、メディアワークス文庫からの発売となりました。
名前を知らない方でも、「シゴフミ」の作者といえば、聞こえがいいかもしれません。

草花の声を聞くことができる花屋の若き店主・草介が、花を通じて触れ合う様々なココロに胸を熱くさせるハートフルストーリーです。
タイトルの「花の佳音」という言葉並びが美麗ですね。

ほんわかと心温まるお話でした。
優しさがふんだんに盛り込まれた物語で、個人的に好みの内容でしたね。

短編連作形式となっているため、サクサクと読めます。
草介の台詞が演技のような言い回しで若干癖はありますが、音声再生されているかのように抑揚が伝わってきたので嫌いじゃありません。
まぁ、そのせいで感動がイイハナシダナーってレベルに落ち着いちゃっているんですけどね。

花の精霊との会話が、親密な親子のようで、心が洗われます。
ちょっと生意気だったり、勝気だったり、無邪気だったり色んな花がいますが、いずれも純真で安らぎを与えてくれる存在で、草介でなくとも売れてしまう時に一抹の寂しさを覚えてしまいます。
精霊がイイ子たちばかりであるがゆえに、人間側の身勝手な思いで利用してしまうことに、申し訳なさすら感じてしまいました。
花の寿命は短いというのに、みんな健気だなぁ。
人と共に生きる花の瑞々しさは、何と美しいことやら。

それにしても、何故草介は花屋を営んでいるんだろう。
手放すのが惜しいと毎回思うのだったら、庭師になったり植物園で働いたりすればいいのに。
お客さんに花を届けたいという想いは、そこまで強くないだけに少し気になりました。

ジャンルが違うだけで「ビブリア古書堂の事件手帖」と方向性が似ていますね。
おそらく花の言葉を聞くことが出来るのが女店主でしたら、もっと売れたのではないかなと思います。
しかし、魅力的な花の精霊を中心に添えたいと思うのであれば、これで正解でしょうね。

多少駆け足気味なものの綺麗に終わっているので、続きは出なさそうかなぁ。
他にもいっぱい素敵な花々はあるでしょうから、読んでみたいですね。

花の言葉を理解できる青年と花の精霊たちが優しい空気で包んでくれます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  花の佳音  雨宮諒  評価B 

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ゴールデンタイム4 裏腹なるdon't look back 

ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon’t look back (電撃文庫)ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon’t look back (電撃文庫)
(2012/03/10)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2012/5/15~2012/5/16

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
青春
恋愛
期待感


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7



 とある深夜、束の間だけかつての記憶が戻り、当時抱えていた想いそのままにリンダのもとへ駆けつけようとして見事にこけた多田万里。
 翌朝。万里は唇を腫らし超絶ブサイクになっていた。発熱までしてみんなの看病を受けることになるが、なぜかその流れから香子と夏に海に行く話が持ち上がる。先立つものは金!とバイトを探す万里だが、香子からは大反対され――。
 かつての自分が好きだったリンダといまの自分が好きな香子。二人の狭間で揺れる万里の心の旅路はまだ半ば?
 竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る青春ラブコメ、第4弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


記憶を失った男が過去と現在で想いを寄せる相手が違うことに苦しむ青春物語、第4巻。
恋にバイトにサークルにと多忙を極める大学生達のキャンパスライフが舞台です。

衝撃のラストだった前回から引き続く展開が待っている……と思っていたんですが、何だろうこの全体的にボカし気味な感じは。
直接的な騒動は局地的で、ほとんどが万里の脳内が混乱している模様に終始しているためか、物語が進んでいるようで進んでいません。
いや、きっと万里の中では決着をつけているつもりなんでしょう。
でも、この程度で完結できるような簡単な事柄だったら、そもそも悩まないでしょうに。

香子とリンダへの想いが共存し、どちらも嘘偽りないもので、だからこそ万里の抱える苦しみが圧し掛かります。
リンダが自然体であればあるほど、万里と親密な仲だったことを想起させ、切なさが増してきます。
十中八九、最終的には香子とくっ付くんだろうなぁと思っていますが、希望はリンダルートを見てみたい。
きっと作中内外で相当荒れ狂うだろうなぁ。

香子も悪くないんですけどね。
ウザったいだけの女に終わらず、彼女なりの純真さや想いの力強さなどが魅力的に描かれています。
ちょっと(?)世間知らずな一面もありますが、それもまた愛嬌ってもんでしょう。
彼氏のバイトぐらいは許してやれよと思いますがね。
まぁ、正直二次元なら楽しめますけど、三次元なら絶対関わりたくない人種だよなぁ……w

まどろっこしくも濃い文章は相変わらず。
人を選ぶ文体で、たまにコメディのノリに置いてけぼりをくらいますが、個人的には好きです。
他にはない生々しさが癖になりますね。

地面にある不発弾を認識しながら、その上に着々とピースを積み重ねていく展開が恐ろしい。
一体いつ爆発して、築いてきた想いの欠片の重圧に屈するのか。
早めの時期の方が傷は浅く済むのに、もう手遅れのところまで来ているという意識なんだろうなぁ。
これから更にとんでもないことになると思いますし、そうなることを期待します。

エンターテイメント性を狙い打ちする傾向があるライトノベルという分野において、内面を重要視し、物語の進行方向が不透明なこの作品は非常に珍しいと思います。
分かりやすい面白さを求めるのであれば、お薦めできないシリーズですね。

甦りつつある過去の想いの大きさに動揺を隠せない主人公が痛々しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B 

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ミニッツ ~一分間の絶対時間~ 

ミニッツ―一分間の絶対時間 (電撃文庫)ミニッツ―一分間の絶対時間 (電撃文庫)
(2012/04/10)
乙野 四方字

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読書期間:2012/5/12~2012/5/14

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 7
青春
ラブコメ




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 私立穂尾付学園高校一年一組、相上櫻。
 一分間だけ相手の心を読める『ミニッツ』能力の持ち主。
 “一年生にしてこの学園の生徒会長になる”――そんな大それた野望を持つ櫻は、この『絶対時間』を利用し、クラス内で“頼れるが妬まれない、愛嬌のある委員長”という絶妙な立場を演じていた。
 しかしある日、ふとした事がきっかけで、自身の秘密を生徒会副会長の琴宮遥に知られてしまう。
 櫻は、遥の弱みを握り返すため、彼女が提案する心理ゲーム『馬鹿と天才ゲーム』に挑む――。
 第18回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞!トリックとロジックが交差する、学園騙し合いラブストーリー!

【感想】


第18回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞作。
今年の受賞作品の中で、最も購入前の期待度が高かった作品です。

確かにこれはこれで面白かったけれど、思っていたのと全然違う本でした。
これは、あらすじ紹介が詐欺っぽくて印象を悪くさせちゃっていますね。
下手に期待させなければ、もっと評価されたかもしれないのに勿体無い。

てっきり生徒会会長の座をかけて選挙活動に励む、または『馬鹿と天才ゲーム』と呼ばれるロジカルな推理対決が始まるのかと思っていたんですが、どうも話の進行方向が違う。
他人の心を一分間だけ読める能力を持った主人公・相上櫻による知略バトルが主軸ではありません。
それは数あるサブ要素の一つに過ぎず、本当のメインは、環境により偏ってしまった思考を持った少年少女が人間関係に思い悩みながらも心を交わしていくハートフルストーリーです。

発想は良く、素材はかなり優秀だと思います。
ただ詰め込み過ぎた設定のせいで、全体的にぼやけてしまっているのが残念。
伏線を張っているにも関わらず、何だか超展開に見えてしまうのは、複数混ぜ込んだ題材が衝突しあって長所を消してしまっているのが原因でしょうね。
それこそ知略バトルでもいいし、生徒会役員選挙でもいいし、異能系でもいいので、絞って書くべきではなかったかなー。

ヒロイン役である生徒会副会長・琴宮遥が、思っていたほどスペックが高くなかったのは、ある意味ギャップが効いてて魅力的に感じられました。
櫻と皮肉めいた表面上の会話を繰り広げる様相が、まさしく腹の探り合いで面白い。
距離が縮まって憎めない存在になっていく中盤の展開は、ベタだけど一番楽しく読めた箇所でした。
一歩踏み外してしまうと崩壊してしまう緊張感の中で行われる駆け引きにドキドキさせられます。

遥以外にも女の子を中心に数名キャラが出てきますが、そのほとんどが今回の話に関係ありません。
無駄に登場人物を増やして軸をブレさせるぐらいなら、出てこない方が良かったと思います。
続巻で出しても遅くはないんですから。

慣例通り編集があらすじを書いているのであれば、これは担当が悪いですね。
内容に沿った説明にしておかないと、反感を買うだけです。
ひたすら遥と駆け引き巡りを繰り返していれば、俺得だったんだけどなぁ。
心理ゲームに特化した内容で読んでみたかったです。

ナルシスト気味な主人公と完璧なお姉さん系ヒロインによる弱点の曝け出し合いが見所

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ミニッツ  乙野四方字  ゆーげん  評価B 

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明日から俺らがやってきた 

明日から俺らがやってきた (電撃文庫)明日から俺らがやってきた (電撃文庫)
(2012/02/10)
高樹 凛

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読書期間:2012/5/8

【評価……B
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
クーデレ
SF


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5



 推薦入学で大学デビューして女の子にモテようか、それとも将来のために上を目指して大学受験しようか。通路に悩む俺、高校3年生・桜井真人の前に突然、未来から“俺”が時間を超えてやってきた!しかも二人も!!チャラ男とガリ勉の桜井真人……って本当に俺かよ!?でも俺の秘密(エロ本の隠し場所)を知ってるし……どうやら本物。そして、どちらの未来を選んでも最悪の人生らしい……。
 そんな中、クラスメイトで同じく進路に悩む『氷の女王』こと高瀬涼と仲良くなった俺は高瀬の未来も不幸らしいと聞いてある決断をすることになるが……。
 ちょっと大人の“俺ら”とおくる、未来系・青春ラブコメ!(……なのか!?)

【感想】


第18回電撃小説大賞<電撃文庫MAGAZINE賞>受賞作。

誰しも一度は「過去の自分に助言をしたい」と思ったことがあるはず。
未来から自分自身がやってくるという題材ならば古今東西溢れ返っていますが、別々の選択をした己が二人同時にやってくるギミックは新たな面白味が生まれていました。

主人公・桜井真人は、大学進学の手段として、受験と推薦の二択で思い悩んでいた。
推薦を選び、時間を有効活用して大学デビューを果たすべきか。
それとも受験を選び、より上の大学へ進学して堅実な就職を目指すべきか。
人生の岐路に立たされた彼の前に、突如として数年後の桜井真人が二人も現れる。
推薦を選んだ彼は受験を、受験を選んだ彼は推薦を勧める。
どちらを選んでも苦難が待ち受けていることに絶望した彼が選ぶ道は、とある女の子がキッカケだった……という青春ラブストーリー。

シンプルイズベター、というべきでしょうか。
あっさりと仕立てられたラブコメは、単調ながらも女の子の可愛さが引き立つシチュエーションを大切に描かれているので、素直に面白いなーと受け取ることが出来ました。
女の子さえ可愛ければ、テンプレ通りのお約束をなぞる展開は長所となりますね。

ヒロインの高瀬涼は、一見クールな美少女で近づき難い雰囲気を漂わせていますが、その中身は優しい心を持った年相応の少女でした。
人付き合いが苦手で壁を作っているだけで、接してみるとイイ娘だというのが分かる典型的なタイプですね。
リアリティなどはありませんが、純真さが非常に魅力を感じさせました。

登場頻度が少ないながらも、妹の高瀬優も可愛らしかったです。
少々出来過ぎていて、裏があるんじゃないのかと疑ってしまった自分は汚れてしまいましたねw
まぁ、そう思ってしまう程に出番が限られているのも問題と思うわけですが。

主人公を含めた三人の桜井真人による絡みは楽しめたものの、タイムスリップの必要性は薄かったかな。
SF設定の整合性や理屈などは、おざなりにしている部分が目立ちます。
時間移動モノとして読むと、物足りなさを感じてしまうでしょうね。

一方で、人生経験が異なる二人の自分自身と問答するのは面白く、パラレル的な意味合いでは成功していました。
進路に迷う主人公が、未来の自分の助言を得て、自らが決心する流れは良かったと思います。
ちょっと頼りないところもあるけれど、最後の選択を誤らない彼は、高校生なのに立派ですよ。

イラスト担当は、ぎん氏。
描き込み量が絵によって結構違いますけど、女の子はみんな可愛くて惹き込まれました。

オーソドックスな青春モノで、個人的にかなり好みの内容でした。
ハーレムが基本となりつつある昨今において、懐かしささえ覚えるようなヒロインが確立したラブコメでしたね。
綺麗に完結していますが、これ続くんですよねー。
蛇足とならないといいんですが、読むからには期待してみたいなと思います。

好きな女の子と自分のために頑張れる主人公が若々しい青春物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日から俺らがやってきた  高樹凛  ぎん  評価B 

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない10 

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)
(2012/04/10)
伏見 つかさ

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読書期間:2012/5/1~2012/5/4

【評価……B
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
コメディ




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 あのバカがしばらく一人暮らしをすることになった。受験勉強に集中するためってのと、あとひとつ、お母さんが最近あたしと京介の仲がよすぎることを変に疑っているらしい……。あたしと京介がそんな関係に――なんて、あるわけないじゃん!
 で、まあ、責任の一端は、ちょっとだけあたしに……あるみたいだし、あいつもどうせコンビニのお弁当とかばっか食べそうだし、仕方ないから、あたしが面倒見てあげようかと思ったんだけど……。
 ちょっとあんたたち、なに勝手に京介の家で引越し祝いパーティ開こうとしてんの!?発案者の地味子はいいとして、黒いのに沙織に、あやせに……加奈子まで!ていうか、あんたたち知り合いだったの!?えっ?地味子と仲直り?そんなのあとあと!あーもー、ひなちゃんは言うこと聞かないし!こんなんじゃ京介が勉強に集中できないじゃん!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


テレビアニメ第2期が決定した俺妹シリーズも大台となる10巻に突入。
相変わらずのシスコンとブラコンによる日常系ラブコメ模様が繰り広げられています。

鈍感なヒモが女の子達を囲んでハーレムを堪能するために一人暮らしを始める話。
……あながちこの説明で間違ってはいないと思いますよ、ええ。

物語の流れに納得がいかない。
妹の桐乃と仲が良過ぎる関係を訝しむのは両親として当然でしょうが、その対応が突飛すぎる。
何故大学受験間近の高校生を一人暮らしさせた挙句に、食事の用意を他の女の子達に用意させている事実はスルーするのか。
京介も両親も容認しているのが解せません。

つーか、自分より年下の女の子にセクハラまがいのことしすぎ。
シスコンを拗らせた京介は見るに堪えませんね。
良いところがあると理解しつつも、普段の言動などが許容範囲を超えているので、桐乃は好きになれません。
家族だから、妹だから仕方がないという原理で手助けをしていた頃の京介は、共感を覚えたんだけどなぁ。

しかしながら、コメディとして読むと面白いから悔しい。
設定の整合性などを無視すれば、キャラの掛け合いは楽しく笑えます。
会話主体で成り立つ文章なので、行間を読む必要性がまるでありません。
良くも悪くもまどろっこしさがなく、テンポよく読み進めていくことが出来る点は、普段本を読まない層にとって好印象なのではないでしょうか。
コメディなんですから、下手に難解な用語を混ぜるのは、作者の独りよがりでしょうしね。

恋愛編が幕を閉じたと聞いていたのに、ラブコメが加速している件について。
とりわけ今回は、あやせのターンでした。
彼女がいつの間にかに京介への想いを募らせているのは、前回の短編などで明かされていましたが、ここにきて怒濤のプッシュが押し寄せています。
女の子的な意味合いでは、黒猫の次に好きなので、個人的には楽しめましたね。
しかし、あやせの場合、もう少しデレ要素が少ない方が萌えると思うのは異端でしょうかw

黒猫とあやせの邂逅は、火花を散らすバトルに突入して面白かったです。
この二人や桐乃に好意を抱く京介って、根っからのMですね。

ハーレム要因として加わった加奈子も何気に見せ場が多く用意されていました。
可愛いとは思いますけど、正直お腹いっぱい。
キャラを増やし過ぎた感は拭えませんね。

アニメ2期の最終回に合わせて原作も終了するのかなー。
さすがにこのままダラダラ続いていても、京介のタラシ具合が悪化するだけですし、そろそろ締め時かも。
売り上げ的にこのまま終わらせるのは惜しいと思っていそうですがね。

京介に気のある女の子達が集合しハーレム度が急上昇しています

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  俺の妹がこんなに可愛いわけがない  伏見つかさ  かんざきひろ  評価B 

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バカが全裸でやってくる Ver.2.0 

バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)
(2011/09/23)
入間 人間

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読書期間:2012/4/24~2012/4/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
 … 7
構成
完成度




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 ついに僕はデビューした。
 ずっと夢だった、憧れの職業。小説家になった。すべてがバラ色、これからは何もかもがうまくいく……はずだった。
 デビュー作の『バカが全裸でやってくる』は、売れなかった。それはもう悲しいほどに。そして僕の小説家人生はまだ始まったばかりだった。
 担当編集から次作に課せられた命題は、『可愛い女の子を出せ』。まてまて。なんだその意味不明な無理難題は。好きなものを好きなように書くのが小説家じゃないのか?
 業界を赤裸々(?)に描く問題作登場。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


続編が出るとは思っていなかった「バカが全裸でやってくる」第2巻。
普通に読んでいたら、まんまと騙されました。
前回同様に、あとがきが最大のネタバレとなっているので、後ろからめくる人は要注意です。

しかし、これ感想書き辛いな。
内容に触れようとすると核心を突いてしまうので、表面上をなぞるぐらいしか出来ませんよ。

とりあえず、使用されたギミックは面白い試みでしたね。
その代わり、物語の起伏の無さは少々退屈だと感じる人がいても仕方がないかな。
入間人間さんのファンならば、著者自身のことを書いているんだろうなというニュアンスが多分に含まれているので、作品とは別口で楽しめましたけどね。
「電波女と青春男」はそんなにも苦痛だったのか……w

一応の体裁としては、小説家デビューを果たした『僕』の後日談。
縛られずに全裸でいられたアマ時代とは違い、作家として着膨れしていく若き小説家の日々を綴ったものです。
小説以外には何もなく、ただひたすらに書き続けるスタンスが、脳内の入間人間像と被ります。
きっと本音も混ざっているんだろうなと思いつつ、ニヤニヤしながら読みました。

ライトノベルに「可愛い女の子を出せ」という指令は、編集として至極当然であるとは思います。
魅力的な女の子キャラがいるだけで、華々しいってもんです。
昨今のラノベ業界は、些か一辺倒が過ぎるのも否めませんがね。

そういう意味では、ラノベキャラっぽくない甲斐抄子が素敵でした。
いかにもだらしのない女性として描かれるのに、何故か可愛いヒロイン役になっています。
普段から素であるが故に厳しさの割に嫌味がなく、言動に温かみを感じられるのが大きいのかな。
直接的な表現に頼らず、雰囲気で人となりを見せる術はお見事でした。

最後の問い掛けは、正解する自信がありません。
読書回数の問題なのか、読み解く力がないだけなのかは分かりませんが、答えが絞りきれないんですよねぇ。
でも、こうやって混乱しつつも推理するのが、この作品の楽しみ方なのかもしれません。

小説を書くことが生きがいであると作品の隅々から感じられる一冊

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカが全裸でやってくる  入間人間  評価B 

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AHEADシリーズ 終わりのクロニクル7 

終わりのクロニクル〈7〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)終わりのクロニクル〈7〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)
(2005/12)
川上 稔

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読書期間:2012/4/9~2012/4/24

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
燃え
世界観



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 2nd-Gの概念化で命刻の攻撃を受け、危篤状態に陥った新庄……。
 一方、その命刻は詩乃を抱え、かつてTop-Gで新庄の両親が作り上げた、概念創造機械ノア=バベルへと向かった。
 そして、マイナス概念の活性化により、全てが喪われる運命の日――。
 佐山たち全竜交渉部隊は、己の全ての力と想いを込め、最後の戦闘を開始する!
 果たして、彼らは滅亡の危機から世界を救うことができるのか!?
 全竜交渉は、未来への道を拓くことができるのか!?
 オールキャストが揃い、「終わりのクロニクル」、遂に感動の完結!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


終わりのクロニクル、最終章。
長く続いたAHEADシリーズは、ここで一つの完結を迎えます。

まず最初に語らねばならないのは、内容ではなく厚さでしょう。
電撃文庫初となる1000ページ越えは、噂に違わぬ重量感で鈍器と呼ばれる所以を身を持って体感しました。
確かに最初から最後までクライマックスが続くのですが、一冊にまとめる必要性があったのかと問われると、ただ読みにくかっただけだと思います。
改行が多くて、紙面に載る文字の割合が少ない。
本の値段は安くなったのかもしれませんけどねぇ。

そんなわけで四苦八苦しながら読み進めました。
物事を段階的に捉えた書き方をする特徴は、とうとう最後まで変化ありませんでしたね。
話が盛り上がるところと単調なところの差が激しく、一定のペースで読むのは難しいです。
作者のアクが強い文章が、全てを同じ彩色にしてしまっているような印象がありますね。

登場人物が増えれば増えるほど、一人当たりの見せ場が減るはずなんですが、この方は万遍なくレギュラーメンバーに機会を与えています。
だからこその量で、面白いんだけどゲップが出てしまいますね。
もう少し直接的かつ簡略的に書いてくれると、ページをめくる手も早く動いたんですがね。
メリハリが足りなかったかな。

川上節のおかげで、キャラ造形が似通っており、人数の割には幅は狭く感じました。
良キャラ揃っているし皆好きだと思う反面、お気に入りキャラは特になく。
強いて言えば、口が立つ佐山かなぁ。
そして、彼が本気で動揺すればするほど物語的には面白かったですね。
中盤で気持ちの整理をつけようとする佐山は、普段見ることが出来ない哀愁を漂わせていて、珍しく直に心を触れたかのような感覚でした。

ギャップという意味合いでは飛場竜司の活躍は嬉しかった。
10代の癖して妙に達観している面子の中で、がむしゃらさが輝いて見えました。

至とsfの関係性は、もはや一種の様式美とさえ言えると思います。
幾度となく繰り返してきた禅問答により作り上げられた二人だけの距離感が良かったです。

全竜交渉と大々的なことを掲げながら、争いの種は限りなく個人的な事柄が発端なのか。
結局のところ、それが人の動機や指針となるのかもしれませんけど、如何せん小物っぽく感じてしまいました。
世界を巻き込んでおいて、命刻は詩乃に比べると覚悟が足りなさ過ぎます。
全竜交渉部隊の面々もそうですが、死人が出ていることを頭で理解していても感情は麻痺しちゃっていたのかなぁ。
第1章の頃は、そうではなかったはずなのに。

その一方で、身近な人物や親、過去に護国課に携わってきた者たちの想いは余すところなく引き継いでいます。
それは素晴らしいことなんですが、その熱意をちょっとでも端役に分けてやって欲しかったな。
まぁ、シリアスなはずの場面でギャグで流されることが常の作品では、野暮ってもんかもしれません。

さとやすさんの絵は安定しているなと思っていましたが、1巻と7巻を見比べるとまるで違いますね。
気付かないうちに、相当腕を上げていたことに驚かされました。
ラノベでエロの限界に挑んでいるかのようなモロな絵が多かったのもビックリしました。

さすがに達成感はありますね。
通算14冊で1冊単位のページ数が半端じゃないので、本当に長かったです。
すぐさま「境界線上のホライゾン」に取り掛かる気力は沸きませんが、いつかまた挑戦してみたいなとは考えています。

長距離を短距離走のスピードで駆け抜けるかのような最終決戦

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  終わりのクロニクル  川上稔  さとやす  評価B 

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