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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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涼宮ハルヒの直観 



【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
ミステリー
青春



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




初詣で市内の寺と神社を全制覇するだとか、ありもしない北高の七不思議だとか、涼宮ハルヒの突然の思いつきは2年に進級しても健在だが、日々麻の苗木を飛び越える忍者の如き成長を見せる俺がただ振り回されるばかりだと思うなよ。
だがそんな俺の小手先なぞまるでお構い無しに、鶴屋さんから突如謎のメールが送られてきた。
ハイソな世界の旅の思い出話から、俺たちは一体何を読み解けばいいんだ?
天下無双の大人気シリーズ第12巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「涼宮ハルヒ」シリーズ第12弾。
帯にある「おかえり!ハルヒ!ー王道にして最前線ー」という言葉が9年半振りの帰還を祝福しています。

まさか今になって本作の続きが読めるとは思っていませんでした。
当時夢中になっていた人達はご存じの通り、一度この作品は長期間の中断をしています。
前後編の前半として発表された「分裂」から延期が長引き、4年の空白期間を挟んで「驚愕」が発売された時は祭りとなったものです。
ただそこである程度区切りが付けられ、ファンも満足してしまった人が多かったように見受けられました。
まぁ、続きを諦めていたというのが正しいところかもしれませんが。

そんな中で発売された最新刊。
率直な感想としては、面白さより先に楽しいという気持ちで心が満たされました。

短編集というより、長さの異なる3つの話が収録されています。
うち2本は過去に特典等で掲載されたもので、残り1本が書き下ろし。
いずれも初読みとなりました。

【あてずっぽナンバーズ】

SOS団で初詣に繰り出すお話。
2013年に刊行された「いとうのいぢ画集 ハルヒ百花」に収録されていました。

懐かしい面々が帰ってきたと実感できるエピソード。
特別なことは起きなくてもキャラの掛け合いだけでほっこりできる安心感があります。
ハルヒを先頭にして、みくるを引き連れ、長門が無言で付き添い、古泉がすました顔で笑い、キョンがやれやれと呟く。
全国の学校でSOS団らしきサークルやら部活が増大するのも納得できる、ある種完成された青春がそこにありました。
「憂鬱」や「溜息」の頃の不安定さはなく、ハルヒが皆のことを大切にしていることが伝わる時期の話なので実に微笑ましいですね。

【七不思議オーバータイム】

SOS団員達による七不思議創作物語。
スニーカー文庫30周年記念で1号限りの復活となった「ザ・スニーカーLEGEND」で掲載されていた話です。

言われてみれば、不思議を追い求めるハルヒにしては七不思議を連想するのが遅かったですね。
現実的には七不思議なんて、噂ですら漫画や小説の中にしか存在しないものですけど。

古泉の真骨頂というべき会話劇ですね。
セリフ量に関して、魅力的なヒロイン3人組よりも古泉の方が圧倒的に多かったことを思い出しました。
いつも通りハルヒを平穏かつ適度に刺激のある生活を送ってもらうための仕込みをキョンも手助けするわけですけど、あまり緊迫感もないので平坦な印象。
キャラよりも七不思議の内容に焦点が当てているので惜しい感じがしました。

【鶴屋さんの挑戦】

今回唯一の書き下ろし長編。
表題通り、SOS団名誉顧問の鶴屋さんがSOS団に対してクイズ形式で問う推理モノです。
280ページ以上のボリュームとなっており、単純なページ数だけでいえば「消失」を上回ります。

「直観」のメインディッシュとなるわけですが、あくまで長くても番外編ですね。
ミステリー小説における哲学を語り合う序盤は作者の趣味全開って感じ。
元々意図的に嵐の孤島や吹雪の山荘などに頭から突っ込んでいくスタイルで、舞台だけではなくミステリー要素は随所に挿入されるシリーズでした。
しかし、ここまで引用を多用してコテコテの推理小説に仕立てたのは、いつかやりたいと思っていたことなんでしょうね。

真剣に挑んだわけではないものの、仕掛けられた謎や伏線は半分程度しか解けませんでした。
作中にもあるメタ的な視点により解読できたこともあり、純粋に推理できたものは多くはありません。
良質な推理小説を真面目に考えて解き明かすことも楽しいのですが、どちらかといえば深くは考えず騙されたりミスリードに驚かされる方が楽しめると思ったのでこれで良かったと思います。

それにしても「分裂」以降、同作者の「学校を出よう!」みたいにSF理論やミステリー要素が増えましたね。
谷川流という作者が好きな人にとっては読み応えのあるエピソードだったのではないでしょうか。

一方で「涼宮ハルヒ」シリーズがここまで人気を博した理由は別なんですよね。
ハルヒを始めとしたキャラの活き活きとした魅力、キョンの独特なモノローグ、のめり込む物語の構成力など。
良くも悪くも大衆的な要素で、作者の執筆欲とは相反するものだったのかなと予想できます。
求めていたものによって評価が二分されるのは致し方がない話だったと思います。

要するに。
「涼宮ハルヒ」シリーズでなければ成り立たない話ではなかった。
「涼宮ハルヒ」シリーズでなければ注目される話ではなかった。
でも「涼宮ハルヒ」シリーズとして読めて楽しかった。

個人的な落としどころとしては、こんなところですね。

とにかくまた読むことができて良かったです。
相変わらずライトノベルの名に相応しい軽やかな文体ですらすらと読めますね。
鶴屋さんのくだけた喋りが引っ掛かることなく音読できるのが何気に凄い。
いとうのいぢさんの絵柄は線が濃くなり、色塗りがアニメ的になっていて、最も年月の経過を感じさせる要素でした。

続きは書いてくれるのかなぁ。
一応今後の伏線になりそうな匂いだけは漂わせていましたし、あとがきの最後の言葉からして意欲はないわけではなさそう。
読了後に思わず「消失」のアニメ映画を見てハルヒ熱が再燃してしまい、原作を読み直し中だったりするので、早くも新刊を渇望しています。


9年半振りに帰ってきたSOS団の日常が同窓会的な懐かしさを感じさせます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  涼宮ハルヒの憂鬱  谷川流  いとうのいぢ  評価B 

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ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル 

ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)
(2012/06/08)
竹宮 ゆゆこ

商品詳細を見る
読書期間:2012/9/19~2012/9/28

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 三次元に絶望した男――その名も二次元くん。本名は佐藤。大学一年生。
 大学でも三次元の女は完全スルー、脳内嫁(名前はVJ。セーラー服で日本刀を持って戦う14歳)との対話や自作小説の執筆に明け暮れていた。
 そんな彼へ三元からの刺客が現れる。
 中学時代の後輩――魔性の秋。雰囲気のあるある美少女で、思わせぶりな距離感で接してくる。大学の同級生――同人戦士・愛可。二次元に生きる者同士の共感を武器に二次元くんに迫りくる。
 はたして二次元くんは二次元への想いを貫けるのか!?竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る二次元叙情巨編!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「ゴールデンタイム」シリーズ初となる外伝作品。
本編では脇役である二次元くんを主人公として一冊丸々描かれています。

いやー、二次元くんを舐めてましたね。
その名に相応しい完全に向こうの世界に旅立った漢でした。
ドン引きするぐらい重症ですよ、彼……。
脳内嫁の設定の細かさや、現実と妄想の境界線の曖昧さが危ないよ……。

共感できる部分があるだけに、情けないなぁと思ってしまいますね。
自分に言い訳しまくりなところが、身に覚えありまくりでかなりキツイです。
大学生で中二病を患っている姿が痛々し過ぎて、見ていて苦しい。
個人的に脳内嫁であるVJが全く萌えられなかったので、余計に引いた目で見てしまいました。

そんな引き返せない境地まで辿り着いてしまったオタクが、リアルの女の子とお近づきになる話。
あー、所詮二次元くんも二次元の存在だったか。
そう簡単に可愛い女の子が接近するわけないだろうがと叫びたくなりますよね、うん。

男を誘惑する気配を放つ後輩・秋よりも、己の信念を持つ腐女子・愛可の方が好きです。
傍目から見たら、二次元くんとの相性も良いですし、付き合うなら愛可をお薦めしたいなぁ。

この作者は、思考の生臭さを書かせたら一級品ですね。
妙なリアリティとラノベ的フィクションの融合性に毎度のことながら感心させられます。
例えば、ヒロインの一人である秋は、大人と子供の中間である高校生のフラフラした脳内と形態を実に見事に描いていると思います。
ラノベであれば、つい魅力的なキーワードでキャラ設定を埋めつくしたくなるところを、回避したくなるような厭らしさを付随させてキャラを立たせるんですから凄い。

二次元くんが二次元の世界に逃避するだけではなく、三次元の行動で示すところは良かった。
たとえ格好悪くても、もがいて打開しようと必死なところは、プライドが高いだけのオタクじゃないなと思わせてくれました。

妄想に逃避するオタクの心理描写が生々しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B 

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楽聖少女 

楽聖少女 (電撃文庫)楽聖少女 (電撃文庫)
(2012/05/10)
杉井 光

商品詳細を見る
読書期間:2012/8/10~2012/8/20

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
音楽
世界観
ラブコメ
ファンタジー


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5



 高校二年の夏休み、僕は悪魔メフィストフェレスと名乗る奇妙な女によって、見知らぬ世界へ連れ去られてしまう。そこは二百年前の楽都ウィーン……のはずが、電話も戦車も飛行船も魔物も飛び交う異世界!?
 「あなた様には、ゲーテ様の新しい身体になっていただきます」
 女悪魔の手によって、大作家ゲーテになりかわり、執筆をさせられることになってしまった僕は、現代日本に戻る方法を探しているうちに、一人の少女と出逢う。稀代の天才音楽家である彼女の驚くべき名は――
 魔術と音楽が入り乱れる、めくるめく絢爛ゴシック・ファンタジー、開幕!

【感想】


19世紀初頭で巻き起こるクラシック・ファンタジー。

魅惑的な悪魔により200年前もの世界へと飛ばされてしまった主人公。
彼は本来の名前を奪われ、文豪ゲーテとして生きることを余儀なくされてしまう。
史実とは異なる世界に困惑しながらも順応する彼は、ある一人の音楽家と出逢う。
その少女の名は、ルドヴィカ・ファン・ベートヴェン
稀代の天才音楽家は、何故か可憐な女の子の姿をしていた――という導入から始まるストーリーです。

著者の音楽を扱った作品といえば、名作と名高い「さよならピアノソナタ」。
個人的には、キャラクターが肌に合わず、2巻で切ってしまった作品でした。
しかし、音楽の造詣は目を瞠るものがありましたし、音の表現方法も耳を澄ませば聞こえてくるかのような文章が秀逸だったと記憶しています。
不安もありつつも期待を込めて、この作品を手に取ってみました。

一言でいえば、面白かったです。
ただ一つ注文をつけるのであれば、味付けが好みではなかったかなという感じ。

これは「さよならピアノソナタ」ではなく、舞台が変わった「神様のメモ帳」ですね。
まるであえて真似ているのかというぐらい共通項が多いです。
ピンチからの脱却や起死回生の作戦などといった構成も似通っています。

主人公・ユキとヒロイン・ルゥが、「神様のメモ帳」に登場するナルミとアリスそのままです。
一見何も能力を持っていない受け身体質かと思いきや人を纏め上げたり指導することに長けたツッコミ役の主人公と、14歳という幼さを絶妙に残す年齢で傲岸不遜ながらも時々ツンデレを顔見せする口調が「~だよ」「~なのかい」の僕っ子ヒロイン。
キャラの描き分けが出来ない作家さんではないので、意図的なんでしょうね。
いくら好評を得たからと言っても、もう少し変化を見せてくれても良かったんですが。
おかげ様で、大半のやり取りが既視感を覚えるものでした。

本作の売りは、古典派時代の音楽家が意外な形で登場するところにあります。
ベートーヴェンが女の子だったというだけでなく、世界史の教科書に出てくる有名人が妙な設定を付随してゴロゴロと出てきます。
歴史上の偉人を面白可笑しいキャラに仕立てており、シュールかつコミカルな笑いに誘われます。

またタイムスリップ物としても優秀で、歴史を知っている優越感が味わえるのも良いですね。
主人公の知識量に驚かされますが、興味のある分野であれば有り得る話なのかな。
ストーリーのオチは、綺麗だったなと思います。

それだけに盛り上がりどころの異能バトルが浮き過ぎです。
悪魔メフィストフェレスからして何でもありみたいな能力を持っていますけど、だからといってこの作品にバトルは必要なかったのではないでしょうか。
燃える、熱い展開を描きたいのであれば、純粋に音楽で魅せて欲しかった。
それだけの技量も持っていますし、実際中盤では圧倒された場面もありましたから。

岸田メルさんの描くゴシック調のイラストは、作品との相性抜群ですね。
可愛い女の子だけではなく、彫の深い顔の男性も見事に描ききっていました。

文豪と作曲家で巡り合うことで生まれる新たな音楽とファンタジー性のある物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  楽聖少女  杉井光  岸田メル  評価B 

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“夕顔”ヒカルが地球にいたころ……2 

“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2) (ファミ通文庫)“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2) (ファミ通文庫)
(2011/08/29)
野村 美月

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/31~2012/8/3

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
恋愛
ツンデレ
期待感


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 取り憑かれ、うっかり友達になってしまった幽霊のヒカルのため、その“心残り”を晴らす約束をした是光。ヒカルが示した次の相手は、内気な引きこもりの少女だった。
 夜にだけ咲く儚い花のような少女、夕雨。閉じた世界で幸せに微笑む彼女と過ごすうち、徐々に放っておけない気分になる是光だったが……。
 何故か約束の内容を告げないヒカル。そんな中、夕雨を不登校にした“怨霊”の噂が学園に甦る。その正体を前に、是光は――!?
 大人気シリーズ第2巻、登場!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


源氏物語をモチーフにした淡く切ない、そして冷徹さを感じさせるシリーズ第2弾。
ひんやりと冷たい表面だからこそ、温もりが熱く実感出来るような作品ですね。

成仏し損ねたヒカルには、心残りのある女性が数十人いるらしい。
その中の一人、引きこもりの少女、奏井夕雨
ヒカルと彼女の約束を果たすために、またしても赤城是光は人情で動くストーリーです。

物語が見事に練られていて、読み応えがあります。
ミステリー要素を含んだストーリー展開に振り回されるのが楽しい。
ヒカルの関係者は訳あり顔で慎重な姿勢を見せる中、強引に突破する是光が格好良いです。
やはり著者のキャラは掘り下げた分だけ、新たな一面を見せてくれますね。

しかしながら、ヒカルの肝心なことに関して黙秘する態度が気に食わない。
1巻でも指摘した部分ですが、あまりにも都合が良過ぎではないでしょうか。
言い訳らしきことも綴ってありましたけど、要するに結局是光のことを信頼していないわけです。
もちろん、ヒカルが隠していた事実が驚愕もので、最終的に語ることが出来なかった理由が判明するのでしょう。
それは分かっていても、是光に秘匿して裏から誘導しているように見えるヒカルの姿勢には納得がいきませんでした。

夕雨のキャラクターは、男性受けしそうだなと思いました。
か弱い存在で守ってあげたくなるような儚さを併せ持つ少女で、庇護欲をそそられます。
繊細で、しかし心に滾る想いは強くて、彼女の魅力がいっぱい詰まった内容だったと思います。
個人的には前回の葵の方が好きなので、出番がほぼなかったのが残念でしたけどね。

その代わりといっては失礼ですが、帆夏が素晴らしいツンデレっぷりを見せつけてくれました。
まさかこんなに早くデレデレになってくれるとは。
彼女の視点になった途端に、雰囲気がガラリと変わりますね。
素直になりきれずに葛藤する女の子は、もどかしくてたまりません。

是光にハーレムを形成する素質があると見込んで、ヒカルは取り憑いたのだろうか?
順調に女の子を囲みつつある是光は、一刻も早く女心を理解するべきだと思います。
この世界観では、下手すると刺されかねないですよw

最後の引きは強烈でした。
次巻の展開が非常に楽しみです。

引きこもり少女に外の世界を見せたくなった主人公が彼女の過去に介入する話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ヒカルが地球にいたころ……  野村美月  竹岡美穂  評価B 

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明日も彼女は恋をする 

明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)
(2011/12/22)
入間 人間

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読書期間:2012/7/28~2012/7/30

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★
 … 9





 『過去の改変』から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。そして、もうひとつ。わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。慣れきっている。そして、この世界の『現在』では、彼は九年前に死んでいた。その蔓延する常識が、わたしを苛み、蝕んでいく。わたしが歩ける毎日。それは彼が死んだ現代。決めた。わたしは必ず取り返す。わたしと彼がいた世界を。必ず。
 『昨日は彼女も恋してた』と上下巻構成。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

昨日は彼女も恋してた」から続く時間モノのラブロマンス、後編。

想像していたものとは方向性が違いましたけど、面白かったです。
しかし、内容を語ろうとするとネタバレに触れてしまうので、感想書くのが難しいですね。

仕込まれていた仕掛けは、期待通りで、見事に騙されました。
一応途中で気付くことは出来んたんですけど、何故もっと早く感付けなかったのかと悔しくなりました。
タイトルの意味、表紙の人物と車の違い、ボカされた説明文。
ヒントは山のようにあったのに、頭の中で繋がるまでに時間が掛かりすぎました。
巧妙に隠されていたということなのかなぁー。

下巻を読み終えたあとこそ、上巻の意味があります。
改めて読み直すと、ニヤリとさせられる場面の多いことといったら。
書いていて混乱しないのかなと心配になるほど複雑ですね。
何も知らないで読んでいたのが不思議なくらいに罠が張り巡らされています。

発想も構成も良し。
唯一甘いと思ったのが、タイムトラベルに関する設定かな。
テーマ的にタイムパラドックスの問題は避けられない中で、まだ納得できる定義にはしてくれていました。
それでも、曖昧とされてしまった部分が多く、引っ掛かりを覚えてしまったのも事実。
長編シリーズならまだしも、上下巻作品ではこれが限界かなぁとは思うんですけどね。

でも、この作品に一番重要な要素は、タイムトラベルではなく愛を中心とした人間関係です。
彼や彼女の執念ともいうべき想いこそが、この物語の発端であり全てだったんでしょう。
登場人物の心情または信条は、入間人間節が炸裂しており、作者の読者ならば「らしさ」を感じられるものだったと思います。

判明する内容については衝撃的で濃かったですけど、表面上の出来事自体は上巻のが好みでした。

全てが引っくり返る仕掛けに気が付いた時に得られる驚きは感嘆モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日も彼女は恋をする  入間人間    評価B 

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アクセル・ワールド11 ―超硬の狼― 

アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)
(2012/04/10)
川原 礫

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/24~2012/7/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
燃え
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 ブレイン・バースト内を暗躍する謎の組織≪加速研究会≫。その総本山≪東京ミッドタウン・タワー≫の頂に鎮座する、≪大天使メタトロン≫。
 完全無敵の神獣級エネミーによって守護されている≪加速研究会≫を打倒するため、七王会議が開かれた。
 そこで導き出された秘策とは、シルバー・クロウの新アビリティ≪理論鏡面≫獲得作戦だった。
 メタトロンの放つ絶対即死極太レーザーにも耐えるアビリティを習得する命を受けたクロウだが、≪心意技≫がイマジネーションによって生み出されるのに対して、≪アビリティ≫は行動をトリガーに発現する。そのため、今までのハルユキの強いイメージだけでは、≪理論鏡面≫アビリティは習得できない。
 いっこうに糸口を見えないハルユキに対して、≪アーダー・メイデン≫こと四埜宮謡が哀しい過去を語り始め――。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「アクセル・ワールド」新章開幕。
長らく続いた「災禍の鎧」編を終え、新たな始まりを予感させる内容となっています。

いわゆる種蒔き回というやつですね。
何か大きな事が起きそうだという期待感は募りますが、伏線消化されるのは随分先だろうなぁ。
この巻だけでも楽しめないことはないんですけど、次への布石のための下積みという印象が強いです。
丁寧過ぎて展開が遅く感じてしまうのが、長所でもあり短所でもありますね。

これまで触れられてこなかったアビリティの設定について、細かく解釈が用意されていました。
しかし、ハルユキが未だに基本システムからして把握しきれていないのは、後出しで設定を追加しても問題ないようにするためなんだろうか。
そう疑ってしまうくらいに、都合がいいなと思ってしまいました。
もちろん、最初から考えていたことなんでしょうがね。

サブタイトルにもある通り、防御力がとてつもなく高いアバターが出現するのが今回の肝。
反則的な能力を有する新星に対して立ち向かうシルバー・クロウが、己を省みる流れが素敵でした。
自分自身が加速世界初となる飛翔アバターとして君臨した際に、周囲が抱いた羨望と嫉妬を本当の意味で理解出来たのは、今回が初めてのことなんでしょうね。
当時の自分を振り返ることで、更に一歩成長するハルユキが主人公として輝いていました。
「災禍の鎧」編に比べると、背負うものはなくなったことで、気楽に読める分、燃え要素も物足りなさを感じてしまったのは、仕方ないですかね。

それにしても、本道を真っ直ぐに進まない作品だなぁ。
感覚的には、RPGで主となる目的を達成するのに必要な情報をかき集めるために全く違うクエストをしているというイメージ。
このままでは≪大天使メタトロン≫戦は、きっと5巻くらい先になるのではなかろうかw

キャラクターは、七王会議に参加する面々に魅力があって良かった。
やはり王たるもの貫録が違いますね。
黄の王の皮肉屋っぽいところが結構好きだったりします。

アニメは終わってしまいましたが、おそらく原作の人気からして続編は作られるでしょうね。
その時のためにも、原作ストックを溜め込んで貰いたいなと思います。

少しずつだけれど確実に主人公の成長を実感できる丁寧さが売り

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  アクセル・ワールド  川原礫  HIMA  評価B 

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ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ 

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
(2012/06/21)
三上 延

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/23~2012/6/26

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
恋愛
構成
家族愛


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。
 人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しい女店主に頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。
 彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない――。
 これは“古書と絆”の物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


古書が過去と現在を繋ぐ架け橋となる物語、第3巻。
累計発行部数は遂に300万部を突破し、勢いは留まるところを知りません。

今回も面白かったです。
物語をダラダラと読むのに適したお手軽な大人のライトノベルのスタイルを貫いていました。
あっさりとしながらも確かな手ごたえも感じられる読後感は素敵です。

ただ、やや安易かなと感じる部分が幾つか見られましたね。
ミステリー要素がメインではないとはいえ、もう少し捻りがないと驚きが得られません。
意外という感情は作品の面白さに直結するので、構成などにも拘って欲しいところでした。
オチが良くてもヒントを与え過ぎた結果、予想通りに事が進んでしまいましたね。

2巻で露わとなった栞子と母親・智恵子の確執。
行方知れずの智恵子が一体何処にいるのか、そして栞子の抱える闇が晴れる時が訪れるのか。
長期路線に突入した以上、多少引っ張る分には構いませんが、テンポが崩れないかが気掛かりです。

登場人物の固定が多く、身内の話に終始している印象を抱かせます。
せっかく古書店を構えているのですから、新たな人物との交流を育めばいいのに。
確かに、店主の栞子は人見知りですが、五浦と出逢って変わってきているようですし、一応客商売をしているんですからね。
探偵ごっこもよりも、本の魅力でグイグイと引っ張ってくれるとなお嬉しいです。

本を取り扱いに関する話は、実に興味深いですね。
古書交換会」なるシステムがあることを初めて知りました。
読書家の人達にとっては、是非とも参加してみたい会合なのではないでしょうか。
同業者のみの集いのようですけど、買い手を探したいのであれば、開かれた集まりにすればいいと思うんですけど、何か理由があるんでしょうかね。

表紙は、毎度ながら越島はぐさんによる、瞳を閉じた横向きの栞子。
うなじに流れた黒髪が扇情的で大変よろしいですなぁ。
首が長すぎるのは気になりますけども。
口絵にある篠川家の古びた写真は、家族が一緒だった時の空気を感じ取れる素晴らしい一枚でした。

ミリオン作家となった手前、今まで以上に一定の刊行ペースを求められると思うのですが、質に影響するのであれば、時間をかけてでもいいので良い物を書いて欲しいと思います。

古書に関わる謎解きから家族愛へと変化しつつある主軸が好みを分けます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ビブリア古書堂の事件手帖  三上延  越島はぐ  評価B 

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はたらく魔王さま!5  

はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)
(2012/06/08)
和ヶ原 聡司

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/14~2012/6/15

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
ラブコメ
ファンタジー
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 修理の終わった魔王城(築六十年・六畳一間のアパート)が、まさかの地デジ対応に!テレビなど贅沢品と思っていた魔王だが、芦屋の反対を言いくるめ、ついに薄型テレビ購入に踏み切る。
 とはいえ家電に詳しくない魔王たちは、日本の社会人代表として、恵美の会社の同僚・梨香を誘い、大型電気店に向かうことに。なぜか異世界の聖職者・鈴乃もそれに便乗し、魔王一行の“お買い物ツアー”がスタートする。そんな中、魔王に恋する女子高生・千穂に、危機が迫っていた――!
 フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、緊迫の第5弾登場です!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


庶民派の魔王と勇者が織り成すファンタジーコメディ、第5巻。
いつもよりもシリアス成分でお送りしています。

今回の内容は、何と真奥が働く立場ではなく消費者側に立ったお話。
とはいえ、随所に現代社会で生きる上でのコツみたいな話も挿入されており、相変わらずなシュールな一面もあります。

やっぱり生活感溢れるパートが面白いなぁ。
異世界の人間達が金を捻出してテレビを買おうと意気込むだけなのに、何故こうも楽しいんだろう。
小ネタの解説が、無駄にタメになるトリビアなところも含めて堪能できます。

まだ地デジ化前の時代背景ということもあって、今とは些か違う部分もありますね。
今ならもっとテレビの値段は安くなっているよなーと思いながら読んでました。
その辺りも、しっかり把握して書いているので安心できます。
恵美を携帯電話会社のお客様センターに勤めさせたりと、家電知識に詳しい作家さんだなぁ。

物語的には、進展しているのか停滞しているのか。
伏線をばら撒くだけで終わったような感覚を覚えました。
専門用語が多めな上に、真実を隠されている感が強いので、無駄にややこしくしているように見えるんですよね。
決して全てが駄目だとは言いませんが、日常シーンが素晴らし過ぎるだけに、邪魔に感じてしまうのが悲しいです。

キャラクターが魅力的なシリーズだなぁと再認識しました。
真奥と恵美に限らず、脇役もキャラが立っています。

芦屋と梨香のロマンス展開が、思っていたよりガッツリ入ってきて驚きました。
軽く流されるだけの要素かなと思いきや、いやはや今後大きな焦点になってきそうじゃないですか。
果たして実るかどうか……。全く予想できません。

一見ただのプロニートにしか見えない漆原のスペックの高さは、作品内でもトップクラスですね。
天使としての地位の高さだけではなく、狡猾で先見の明に長けています。
普段のダメダメさ加減とのギャップが、妙な格好良さを醸し出していて、何だか卑怯に感じてしまうほど。

鈴乃は、恵美と比べたら意外と素直に真奥達と打ち解け合っているところがニヤニヤしちゃいます。
世間知らずでボロを出すと慌てふためくところが可愛らしい。
うどんに執着するところなど、彼女も良い意味で日本に染まってきたことを感じさせます。
魔王軍に力の制限があるため、パーティー内では貴重な戦力となっているところが巧いなぁ。

敵ボスが仲間になったら弱くなるのはRPGの定番ですが、実に面白いことに、この作品では逆なんですよね。
確かに、新たな強敵を見せつけるのに、以前の敵役がやられるというのは効果的なのですが、あまりにも表現として強力すぎるため、逆にチープな印象を与えてしまったり、はたまたインフレを加速させることに繋がります。
勇者が魔王を討伐するRPGをモチーフにしているだけあって、その辺りのバランス感覚は抜かりありませんね。
漆原や鈴乃が、これ程までに頼もしい存在になるとは思ってもみませんでした。

情報の小出し方法に説得力がないのが減点対象かなぁ。
回りくどい説明をしたり、時間がないと遮ったり、全体的に構成が甘いのかもしれません。

4巻の千穂に引き続いて、表紙の鈴乃に惹きつけられます。
必ず3人以上が登場して、物語性を感じさせる表紙が好きです。
あとイラストに関しては、中盤にあった漫画のカット絵にはテンションを上げさせられました。

ファンタジー方面で面白くして欲しいのもあるけれど、それ以上に日常パートの配分を多めにして欲しいですね。
勤勉な魔王を見て、複雑な気持ちを抱く恵美や鈴乃を見るのが何より楽しいですから。

テレビを所望する魔王と家計を預かる悪魔大元帥の言い争う構図が面白可笑しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B 

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昨日は彼女も恋してた 

昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)
(2011/11/25)
入間 人間

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読書期間:2012/6/9~2012/6/13

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、なぜか時空を超えた。
 はじめは二人はどこにいるのかわからなかった。島の景観なんて、十年やそこらじゃ変化しないから。『過去』に来たと分かったのは、向こうから自分の足で走ってくる、『小さなマチ』を見たからだ。
 僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。『明日も彼女は恋をする』と上下巻構成。

【感想】


すれ違いにより不仲となってしまった幼馴染みとの関係を回顧させるタイムスリップ作品。
上下巻構成の上巻にあたります。
ちなみに下巻は「明日も彼女は恋をする」というタイトルです。

舞台は、500人前後の島民が暮らす小さな離島。
とある過去の衝突が原因で、余所余所しくなってしまった若い男女――大学生の青年・ニア車椅子の女性・マチは、時間旅行の実験に付き合い、9年前にタイムトラベルしてしまう。
思いがけず仲の良かった頃の自分達と出逢い、過去の想いと今の内面を見つめ直すことで、二人の関係が微妙な距離感になっていくラブロマンスとなっています。

これは良かった。
ただ、上巻だけでも面白かったですけど、下巻があってこその本だと思います。
それほど前に、最後の展開が凄まじかった。
予想していた展開のうちの一つとはいえ、本当に起こると衝撃的でしたね。
ズルいぐらいに先が気になります。

癖の強い文章を書くことで有名な入間さんですが、本作では比較的落ち着いた文体で読みやすくなっています。
ニアとマチの視点を交互に描写する構成は、一人称に長けている著者の長所を売りに出来る良いアイデアでした。

緩やかに綴られる心情が、徐々に解れていくココロを表していくかのよう。
無邪気にじゃれあう自分達を見ることで、いがみ合っていた対立が緩和していく展開は素敵。
素直になれないために、子供相手に問いかける彼らがもどかしいのなんの。
幼き己らを緩衝材としなければ、まともに幼馴染みを名前で呼ぶことすら躊躇う。
そんな二人が時間移動の果てに見つけた境地は、とても意義のあるものだったと思います。

ニアと祖母のエピソードが、柔らかい陽の光みたいに優しくて、地味ながらも好きでした。
いいなぁ、このあったかい感じ。

SF要素に関しては、あくまで舞台装置の仕掛けであって、主題ではなさそうですね。
少なくともこの上巻では。
それでも、ニアやマチが過去に残した跡は、大きな変化を生むことを予感させる伏線がばら撒かれています。
下巻で、どこまで拾ってくれるのか楽しみですね。

仲違いのキッカケが生まれた過去の瞬間にタイムスリップを果たした男女の恋物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  昨日は彼女も恋してた  入間人間    評価B 

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花の佳音 

花の佳音 (メディアワークス文庫 あ 8-1)花の佳音 (メディアワークス文庫 あ 8-1)
(2012/04/25)
雨宮 諒

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読書期間:2012/5/17~2012/5/18

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ほのぼの
切なさ
感動



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 知っていますか?あなたが笑ったり泣いたりしているときに、すぐ横に寄り添って、一緒に微笑んだり、涙を流してくれる存在がいることを。
 それは、美しくも儚い「花」たち。彼らはいつでも人間を温かく見守り、心の底から祈っています。あなたが幸せでありますように――と。
 これは、そんな花たちの声を聞くことができる不思議な青年・草介と、心優しい花たちの切なくも心温まる物語。
 ほら、花に耳を近づけてみて下さい。嬉しい囁きが聞こえてくるかもしれませんよ?

【感想】


実に4年振りとなる雨宮諒さんの新作は、メディアワークス文庫からの発売となりました。
名前を知らない方でも、「シゴフミ」の作者といえば、聞こえがいいかもしれません。

草花の声を聞くことができる花屋の若き店主・草介が、花を通じて触れ合う様々なココロに胸を熱くさせるハートフルストーリーです。
タイトルの「花の佳音」という言葉並びが美麗ですね。

ほんわかと心温まるお話でした。
優しさがふんだんに盛り込まれた物語で、個人的に好みの内容でしたね。

短編連作形式となっているため、サクサクと読めます。
草介の台詞が演技のような言い回しで若干癖はありますが、音声再生されているかのように抑揚が伝わってきたので嫌いじゃありません。
まぁ、そのせいで感動がイイハナシダナーってレベルに落ち着いちゃっているんですけどね。

花の精霊との会話が、親密な親子のようで、心が洗われます。
ちょっと生意気だったり、勝気だったり、無邪気だったり色んな花がいますが、いずれも純真で安らぎを与えてくれる存在で、草介でなくとも売れてしまう時に一抹の寂しさを覚えてしまいます。
精霊がイイ子たちばかりであるがゆえに、人間側の身勝手な思いで利用してしまうことに、申し訳なさすら感じてしまいました。
花の寿命は短いというのに、みんな健気だなぁ。
人と共に生きる花の瑞々しさは、何と美しいことやら。

それにしても、何故草介は花屋を営んでいるんだろう。
手放すのが惜しいと毎回思うのだったら、庭師になったり植物園で働いたりすればいいのに。
お客さんに花を届けたいという想いは、そこまで強くないだけに少し気になりました。

ジャンルが違うだけで「ビブリア古書堂の事件手帖」と方向性が似ていますね。
おそらく花の言葉を聞くことが出来るのが女店主でしたら、もっと売れたのではないかなと思います。
しかし、魅力的な花の精霊を中心に添えたいと思うのであれば、これで正解でしょうね。

多少駆け足気味なものの綺麗に終わっているので、続きは出なさそうかなぁ。
他にもいっぱい素敵な花々はあるでしょうから、読んでみたいですね。

花の言葉を理解できる青年と花の精霊たちが優しい空気で包んでくれます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  花の佳音  雨宮諒  評価B 

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ゴールデンタイム4 裏腹なるdon't look back 

ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon’t look back (電撃文庫)ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon’t look back (電撃文庫)
(2012/03/10)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2012/5/15~2012/5/16

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
青春
恋愛
期待感


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7



 とある深夜、束の間だけかつての記憶が戻り、当時抱えていた想いそのままにリンダのもとへ駆けつけようとして見事にこけた多田万里。
 翌朝。万里は唇を腫らし超絶ブサイクになっていた。発熱までしてみんなの看病を受けることになるが、なぜかその流れから香子と夏に海に行く話が持ち上がる。先立つものは金!とバイトを探す万里だが、香子からは大反対され――。
 かつての自分が好きだったリンダといまの自分が好きな香子。二人の狭間で揺れる万里の心の旅路はまだ半ば?
 竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る青春ラブコメ、第4弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


記憶を失った男が過去と現在で想いを寄せる相手が違うことに苦しむ青春物語、第4巻。
恋にバイトにサークルにと多忙を極める大学生達のキャンパスライフが舞台です。

衝撃のラストだった前回から引き続く展開が待っている……と思っていたんですが、何だろうこの全体的にボカし気味な感じは。
直接的な騒動は局地的で、ほとんどが万里の脳内が混乱している模様に終始しているためか、物語が進んでいるようで進んでいません。
いや、きっと万里の中では決着をつけているつもりなんでしょう。
でも、この程度で完結できるような簡単な事柄だったら、そもそも悩まないでしょうに。

香子とリンダへの想いが共存し、どちらも嘘偽りないもので、だからこそ万里の抱える苦しみが圧し掛かります。
リンダが自然体であればあるほど、万里と親密な仲だったことを想起させ、切なさが増してきます。
十中八九、最終的には香子とくっ付くんだろうなぁと思っていますが、希望はリンダルートを見てみたい。
きっと作中内外で相当荒れ狂うだろうなぁ。

香子も悪くないんですけどね。
ウザったいだけの女に終わらず、彼女なりの純真さや想いの力強さなどが魅力的に描かれています。
ちょっと(?)世間知らずな一面もありますが、それもまた愛嬌ってもんでしょう。
彼氏のバイトぐらいは許してやれよと思いますがね。
まぁ、正直二次元なら楽しめますけど、三次元なら絶対関わりたくない人種だよなぁ……w

まどろっこしくも濃い文章は相変わらず。
人を選ぶ文体で、たまにコメディのノリに置いてけぼりをくらいますが、個人的には好きです。
他にはない生々しさが癖になりますね。

地面にある不発弾を認識しながら、その上に着々とピースを積み重ねていく展開が恐ろしい。
一体いつ爆発して、築いてきた想いの欠片の重圧に屈するのか。
早めの時期の方が傷は浅く済むのに、もう手遅れのところまで来ているという意識なんだろうなぁ。
これから更にとんでもないことになると思いますし、そうなることを期待します。

エンターテイメント性を狙い打ちする傾向があるライトノベルという分野において、内面を重要視し、物語の進行方向が不透明なこの作品は非常に珍しいと思います。
分かりやすい面白さを求めるのであれば、お薦めできないシリーズですね。

甦りつつある過去の想いの大きさに動揺を隠せない主人公が痛々しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B 

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ミニッツ ~一分間の絶対時間~ 

ミニッツ―一分間の絶対時間 (電撃文庫)ミニッツ―一分間の絶対時間 (電撃文庫)
(2012/04/10)
乙野 四方字

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読書期間:2012/5/12~2012/5/14

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
ラブコメ




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 私立穂尾付学園高校一年一組、相上櫻。
 一分間だけ相手の心を読める『ミニッツ』能力の持ち主。
 “一年生にしてこの学園の生徒会長になる”――そんな大それた野望を持つ櫻は、この『絶対時間』を利用し、クラス内で“頼れるが妬まれない、愛嬌のある委員長”という絶妙な立場を演じていた。
 しかしある日、ふとした事がきっかけで、自身の秘密を生徒会副会長の琴宮遥に知られてしまう。
 櫻は、遥の弱みを握り返すため、彼女が提案する心理ゲーム『馬鹿と天才ゲーム』に挑む――。
 第18回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞!トリックとロジックが交差する、学園騙し合いラブストーリー!

【感想】


第18回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞作。
今年の受賞作品の中で、最も購入前の期待度が高かった作品です。

確かにこれはこれで面白かったけれど、思っていたのと全然違う本でした。
これは、あらすじ紹介が詐欺っぽくて印象を悪くさせちゃっていますね。
下手に期待させなければ、もっと評価されたかもしれないのに勿体無い。

てっきり生徒会会長の座をかけて選挙活動に励む、または『馬鹿と天才ゲーム』と呼ばれるロジカルな推理対決が始まるのかと思っていたんですが、どうも話の進行方向が違う。
他人の心を一分間だけ読める能力を持った主人公・相上櫻による知略バトルが主軸ではありません。
それは数あるサブ要素の一つに過ぎず、本当のメインは、環境により偏ってしまった思考を持った少年少女が人間関係に思い悩みながらも心を交わしていくハートフルストーリーです。

発想は良く、素材はかなり優秀だと思います。
ただ詰め込み過ぎた設定のせいで、全体的にぼやけてしまっているのが残念。
伏線を張っているにも関わらず、何だか超展開に見えてしまうのは、複数混ぜ込んだ題材が衝突しあって長所を消してしまっているのが原因でしょうね。
それこそ知略バトルでもいいし、生徒会役員選挙でもいいし、異能系でもいいので、絞って書くべきではなかったかなー。

ヒロイン役である生徒会副会長・琴宮遥が、思っていたほどスペックが高くなかったのは、ある意味ギャップが効いてて魅力的に感じられました。
櫻と皮肉めいた表面上の会話を繰り広げる様相が、まさしく腹の探り合いで面白い。
距離が縮まって憎めない存在になっていく中盤の展開は、ベタだけど一番楽しく読めた箇所でした。
一歩踏み外してしまうと崩壊してしまう緊張感の中で行われる駆け引きにドキドキさせられます。

遥以外にも女の子を中心に数名キャラが出てきますが、そのほとんどが今回の話に関係ありません。
無駄に登場人物を増やして軸をブレさせるぐらいなら、出てこない方が良かったと思います。
続巻で出しても遅くはないんですから。

慣例通り編集があらすじを書いているのであれば、これは担当が悪いですね。
内容に沿った説明にしておかないと、反感を買うだけです。
ひたすら遥と駆け引き巡りを繰り返していれば、俺得だったんだけどなぁ。
心理ゲームに特化した内容で読んでみたかったです。

ナルシスト気味な主人公と完璧なお姉さん系ヒロインによる弱点の曝け出し合いが見所

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ミニッツ  乙野四方字  ゆーげん  評価B 

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明日から俺らがやってきた 

明日から俺らがやってきた (電撃文庫)明日から俺らがやってきた (電撃文庫)
(2012/02/10)
高樹 凛

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読書期間:2012/5/8

【評価……B
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
クーデレ
SF


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5



 推薦入学で大学デビューして女の子にモテようか、それとも将来のために上を目指して大学受験しようか。通路に悩む俺、高校3年生・桜井真人の前に突然、未来から“俺”が時間を超えてやってきた!しかも二人も!!チャラ男とガリ勉の桜井真人……って本当に俺かよ!?でも俺の秘密(エロ本の隠し場所)を知ってるし……どうやら本物。そして、どちらの未来を選んでも最悪の人生らしい……。
 そんな中、クラスメイトで同じく進路に悩む『氷の女王』こと高瀬涼と仲良くなった俺は高瀬の未来も不幸らしいと聞いてある決断をすることになるが……。
 ちょっと大人の“俺ら”とおくる、未来系・青春ラブコメ!(……なのか!?)

【感想】


第18回電撃小説大賞<電撃文庫MAGAZINE賞>受賞作。

誰しも一度は「過去の自分に助言をしたい」と思ったことがあるはず。
未来から自分自身がやってくるという題材ならば古今東西溢れ返っていますが、別々の選択をした己が二人同時にやってくるギミックは新たな面白味が生まれていました。

主人公・桜井真人は、大学進学の手段として、受験と推薦の二択で思い悩んでいた。
推薦を選び、時間を有効活用して大学デビューを果たすべきか。
それとも受験を選び、より上の大学へ進学して堅実な就職を目指すべきか。
人生の岐路に立たされた彼の前に、突如として数年後の桜井真人が二人も現れる。
推薦を選んだ彼は受験を、受験を選んだ彼は推薦を勧める。
どちらを選んでも苦難が待ち受けていることに絶望した彼が選ぶ道は、とある女の子がキッカケだった……という青春ラブストーリー。

シンプルイズベター、というべきでしょうか。
あっさりと仕立てられたラブコメは、単調ながらも女の子の可愛さが引き立つシチュエーションを大切に描かれているので、素直に面白いなーと受け取ることが出来ました。
女の子さえ可愛ければ、テンプレ通りのお約束をなぞる展開は長所となりますね。

ヒロインの高瀬涼は、一見クールな美少女で近づき難い雰囲気を漂わせていますが、その中身は優しい心を持った年相応の少女でした。
人付き合いが苦手で壁を作っているだけで、接してみるとイイ娘だというのが分かる典型的なタイプですね。
リアリティなどはありませんが、純真さが非常に魅力を感じさせました。

登場頻度が少ないながらも、妹の高瀬優も可愛らしかったです。
少々出来過ぎていて、裏があるんじゃないのかと疑ってしまった自分は汚れてしまいましたねw
まぁ、そう思ってしまう程に出番が限られているのも問題と思うわけですが。

主人公を含めた三人の桜井真人による絡みは楽しめたものの、タイムスリップの必要性は薄かったかな。
SF設定の整合性や理屈などは、おざなりにしている部分が目立ちます。
時間移動モノとして読むと、物足りなさを感じてしまうでしょうね。

一方で、人生経験が異なる二人の自分自身と問答するのは面白く、パラレル的な意味合いでは成功していました。
進路に迷う主人公が、未来の自分の助言を得て、自らが決心する流れは良かったと思います。
ちょっと頼りないところもあるけれど、最後の選択を誤らない彼は、高校生なのに立派ですよ。

イラスト担当は、ぎん氏。
描き込み量が絵によって結構違いますけど、女の子はみんな可愛くて惹き込まれました。

オーソドックスな青春モノで、個人的にかなり好みの内容でした。
ハーレムが基本となりつつある昨今において、懐かしささえ覚えるようなヒロインが確立したラブコメでしたね。
綺麗に完結していますが、これ続くんですよねー。
蛇足とならないといいんですが、読むからには期待してみたいなと思います。

好きな女の子と自分のために頑張れる主人公が若々しい青春物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日から俺らがやってきた  高樹凛  ぎん  評価B 

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない10 

俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)俺の妹がこんなに可愛いわけがない〈10〉 (電撃文庫)
(2012/04/10)
伏見 つかさ

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読書期間:2012/5/1~2012/5/4

【評価……B
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
コメディ




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 あのバカがしばらく一人暮らしをすることになった。受験勉強に集中するためってのと、あとひとつ、お母さんが最近あたしと京介の仲がよすぎることを変に疑っているらしい……。あたしと京介がそんな関係に――なんて、あるわけないじゃん!
 で、まあ、責任の一端は、ちょっとだけあたしに……あるみたいだし、あいつもどうせコンビニのお弁当とかばっか食べそうだし、仕方ないから、あたしが面倒見てあげようかと思ったんだけど……。
 ちょっとあんたたち、なに勝手に京介の家で引越し祝いパーティ開こうとしてんの!?発案者の地味子はいいとして、黒いのに沙織に、あやせに……加奈子まで!ていうか、あんたたち知り合いだったの!?えっ?地味子と仲直り?そんなのあとあと!あーもー、ひなちゃんは言うこと聞かないし!こんなんじゃ京介が勉強に集中できないじゃん!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


テレビアニメ第2期が決定した俺妹シリーズも大台となる10巻に突入。
相変わらずのシスコンとブラコンによる日常系ラブコメ模様が繰り広げられています。

鈍感なヒモが女の子達を囲んでハーレムを堪能するために一人暮らしを始める話。
……あながちこの説明で間違ってはいないと思いますよ、ええ。

物語の流れに納得がいかない。
妹の桐乃と仲が良過ぎる関係を訝しむのは両親として当然でしょうが、その対応が突飛すぎる。
何故大学受験間近の高校生を一人暮らしさせた挙句に、食事の用意を他の女の子達に用意させている事実はスルーするのか。
京介も両親も容認しているのが解せません。

つーか、自分より年下の女の子にセクハラまがいのことしすぎ。
シスコンを拗らせた京介は見るに堪えませんね。
良いところがあると理解しつつも、普段の言動などが許容範囲を超えているので、桐乃は好きになれません。
家族だから、妹だから仕方がないという原理で手助けをしていた頃の京介は、共感を覚えたんだけどなぁ。

しかしながら、コメディとして読むと面白いから悔しい。
設定の整合性などを無視すれば、キャラの掛け合いは楽しく笑えます。
会話主体で成り立つ文章なので、行間を読む必要性がまるでありません。
良くも悪くもまどろっこしさがなく、テンポよく読み進めていくことが出来る点は、普段本を読まない層にとって好印象なのではないでしょうか。
コメディなんですから、下手に難解な用語を混ぜるのは、作者の独りよがりでしょうしね。

恋愛編が幕を閉じたと聞いていたのに、ラブコメが加速している件について。
とりわけ今回は、あやせのターンでした。
彼女がいつの間にかに京介への想いを募らせているのは、前回の短編などで明かされていましたが、ここにきて怒濤のプッシュが押し寄せています。
女の子的な意味合いでは、黒猫の次に好きなので、個人的には楽しめましたね。
しかし、あやせの場合、もう少しデレ要素が少ない方が萌えると思うのは異端でしょうかw

黒猫とあやせの邂逅は、火花を散らすバトルに突入して面白かったです。
この二人や桐乃に好意を抱く京介って、根っからのMですね。

ハーレム要因として加わった加奈子も何気に見せ場が多く用意されていました。
可愛いとは思いますけど、正直お腹いっぱい。
キャラを増やし過ぎた感は拭えませんね。

アニメ2期の最終回に合わせて原作も終了するのかなー。
さすがにこのままダラダラ続いていても、京介のタラシ具合が悪化するだけですし、そろそろ締め時かも。
売り上げ的にこのまま終わらせるのは惜しいと思っていそうですがね。

京介に気のある女の子達が集合しハーレム度が急上昇しています

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  俺の妹がこんなに可愛いわけがない  伏見つかさ  かんざきひろ  評価B 

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バカが全裸でやってくる Ver.2.0 

バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)
(2011/09/23)
入間 人間

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読書期間:2012/4/24~2012/4/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
 … 7
構成
完成度




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 ついに僕はデビューした。
 ずっと夢だった、憧れの職業。小説家になった。すべてがバラ色、これからは何もかもがうまくいく……はずだった。
 デビュー作の『バカが全裸でやってくる』は、売れなかった。それはもう悲しいほどに。そして僕の小説家人生はまだ始まったばかりだった。
 担当編集から次作に課せられた命題は、『可愛い女の子を出せ』。まてまて。なんだその意味不明な無理難題は。好きなものを好きなように書くのが小説家じゃないのか?
 業界を赤裸々(?)に描く問題作登場。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


続編が出るとは思っていなかった「バカが全裸でやってくる」第2巻。
普通に読んでいたら、まんまと騙されました。
前回同様に、あとがきが最大のネタバレとなっているので、後ろからめくる人は要注意です。

しかし、これ感想書き辛いな。
内容に触れようとすると核心を突いてしまうので、表面上をなぞるぐらいしか出来ませんよ。

とりあえず、使用されたギミックは面白い試みでしたね。
その代わり、物語の起伏の無さは少々退屈だと感じる人がいても仕方がないかな。
入間人間さんのファンならば、著者自身のことを書いているんだろうなというニュアンスが多分に含まれているので、作品とは別口で楽しめましたけどね。
「電波女と青春男」はそんなにも苦痛だったのか……w

一応の体裁としては、小説家デビューを果たした『僕』の後日談。
縛られずに全裸でいられたアマ時代とは違い、作家として着膨れしていく若き小説家の日々を綴ったものです。
小説以外には何もなく、ただひたすらに書き続けるスタンスが、脳内の入間人間像と被ります。
きっと本音も混ざっているんだろうなと思いつつ、ニヤニヤしながら読みました。

ライトノベルに「可愛い女の子を出せ」という指令は、編集として至極当然であるとは思います。
魅力的な女の子キャラがいるだけで、華々しいってもんです。
昨今のラノベ業界は、些か一辺倒が過ぎるのも否めませんがね。

そういう意味では、ラノベキャラっぽくない甲斐抄子が素敵でした。
いかにもだらしのない女性として描かれるのに、何故か可愛いヒロイン役になっています。
普段から素であるが故に厳しさの割に嫌味がなく、言動に温かみを感じられるのが大きいのかな。
直接的な表現に頼らず、雰囲気で人となりを見せる術はお見事でした。

最後の問い掛けは、正解する自信がありません。
読書回数の問題なのか、読み解く力がないだけなのかは分かりませんが、答えが絞りきれないんですよねぇ。
でも、こうやって混乱しつつも推理するのが、この作品の楽しみ方なのかもしれません。

小説を書くことが生きがいであると作品の隅々から感じられる一冊

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカが全裸でやってくる  入間人間  評価B 

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AHEADシリーズ 終わりのクロニクル7 

終わりのクロニクル〈7〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)終わりのクロニクル〈7〉―AHEADシリーズ (電撃文庫)
(2005/12)
川上 稔

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読書期間:2012/4/9~2012/4/24

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
燃え
世界観



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 2nd-Gの概念化で命刻の攻撃を受け、危篤状態に陥った新庄……。
 一方、その命刻は詩乃を抱え、かつてTop-Gで新庄の両親が作り上げた、概念創造機械ノア=バベルへと向かった。
 そして、マイナス概念の活性化により、全てが喪われる運命の日――。
 佐山たち全竜交渉部隊は、己の全ての力と想いを込め、最後の戦闘を開始する!
 果たして、彼らは滅亡の危機から世界を救うことができるのか!?
 全竜交渉は、未来への道を拓くことができるのか!?
 オールキャストが揃い、「終わりのクロニクル」、遂に感動の完結!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


終わりのクロニクル、最終章。
長く続いたAHEADシリーズは、ここで一つの完結を迎えます。

まず最初に語らねばならないのは、内容ではなく厚さでしょう。
電撃文庫初となる1000ページ越えは、噂に違わぬ重量感で鈍器と呼ばれる所以を身を持って体感しました。
確かに最初から最後までクライマックスが続くのですが、一冊にまとめる必要性があったのかと問われると、ただ読みにくかっただけだと思います。
改行が多くて、紙面に載る文字の割合が少ない。
本の値段は安くなったのかもしれませんけどねぇ。

そんなわけで四苦八苦しながら読み進めました。
物事を段階的に捉えた書き方をする特徴は、とうとう最後まで変化ありませんでしたね。
話が盛り上がるところと単調なところの差が激しく、一定のペースで読むのは難しいです。
作者のアクが強い文章が、全てを同じ彩色にしてしまっているような印象がありますね。

登場人物が増えれば増えるほど、一人当たりの見せ場が減るはずなんですが、この方は万遍なくレギュラーメンバーに機会を与えています。
だからこその量で、面白いんだけどゲップが出てしまいますね。
もう少し直接的かつ簡略的に書いてくれると、ページをめくる手も早く動いたんですがね。
メリハリが足りなかったかな。

川上節のおかげで、キャラ造形が似通っており、人数の割には幅は狭く感じました。
良キャラ揃っているし皆好きだと思う反面、お気に入りキャラは特になく。
強いて言えば、口が立つ佐山かなぁ。
そして、彼が本気で動揺すればするほど物語的には面白かったですね。
中盤で気持ちの整理をつけようとする佐山は、普段見ることが出来ない哀愁を漂わせていて、珍しく直に心を触れたかのような感覚でした。

ギャップという意味合いでは飛場竜司の活躍は嬉しかった。
10代の癖して妙に達観している面子の中で、がむしゃらさが輝いて見えました。

至とsfの関係性は、もはや一種の様式美とさえ言えると思います。
幾度となく繰り返してきた禅問答により作り上げられた二人だけの距離感が良かったです。

全竜交渉と大々的なことを掲げながら、争いの種は限りなく個人的な事柄が発端なのか。
結局のところ、それが人の動機や指針となるのかもしれませんけど、如何せん小物っぽく感じてしまいました。
世界を巻き込んでおいて、命刻は詩乃に比べると覚悟が足りなさ過ぎます。
全竜交渉部隊の面々もそうですが、死人が出ていることを頭で理解していても感情は麻痺しちゃっていたのかなぁ。
第1章の頃は、そうではなかったはずなのに。

その一方で、身近な人物や親、過去に護国課に携わってきた者たちの想いは余すところなく引き継いでいます。
それは素晴らしいことなんですが、その熱意をちょっとでも端役に分けてやって欲しかったな。
まぁ、シリアスなはずの場面でギャグで流されることが常の作品では、野暮ってもんかもしれません。

さとやすさんの絵は安定しているなと思っていましたが、1巻と7巻を見比べるとまるで違いますね。
気付かないうちに、相当腕を上げていたことに驚かされました。
ラノベでエロの限界に挑んでいるかのようなモロな絵が多かったのもビックリしました。

さすがに達成感はありますね。
通算14冊で1冊単位のページ数が半端じゃないので、本当に長かったです。
すぐさま「境界線上のホライゾン」に取り掛かる気力は沸きませんが、いつかまた挑戦してみたいなとは考えています。

長距離を短距離走のスピードで駆け抜けるかのような最終決戦

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  終わりのクロニクル  川上稔  さとやす  評価B 

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バッカーノ!1932-Summer man in the killer 

バッカーノ!1932‐Summer―man in the killer (電撃文庫)バッカーノ!1932‐Summer―man in the killer (電撃文庫)
(2011/06/10)
成田 良悟

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読書期間:2012/4/4~2012/4/8

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
構成





 ★★★★★★★★☆☆ … 8






 その夏、死を恐れる新聞記者は殺人鬼と出会い――死にたがりの少年は、不死者と出会った。

 1932年、NYの街を恐怖に陥れていたのは、『アイスピック・トンプソン』が現れるのは決まって雨の日。アイスピックを凶器に何度も何度も突き刺され、雨が血を流していく――。
 DD新聞社をはじめ、連続殺人鬼の記事や話題で持ちきり中、警察はグラハム・スペクターという不良少年に疑いをかける。一方、NYを訪れていたエルマーも殺人鬼にあたりを付け始め、グラハムと出会うことに。そして、自分の関係者が殺されていくガンドールたちも、徐々に事件の中心へと近づいていき……。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「バッカーノ!」シリーズ通算16冊目。
1930年代でも時系列はまたまた遡って、2冊目となる1932年のエピソードになります。

元々、アニメDVDの特典として執筆された話を加筆して出版したものらしいです。
以前にもドラマCDの特典を通常販売されていましたが、この配慮は非常に有難い。
限定版などを買い揃えている人からすると、納得がいかないであろうとは思いますけどね。

連続殺人鬼が出没した街を舞台に、表と裏で多数の組織が関与し、思わぬ方向へと話が流れていきます。
思惑が入り乱れた結果、誰もが予想だにしない結末へと展開する構成は、もはやお手の物。
作者らしいパズル的な物語構造は、先が読めそうで読めないバランス加減が面白く、単に物語を受け止めるだけではなくて、楽しませて貰っている気分になれます。
さすがに、これだけの数を読んできたら、無闇に死人を作らず、哀しみを悲劇ではなく喜劇に変える作風が得意だというのは百も承知です。
おかげで、読了感が良く楽しめますね。

既存キャラで物語の中心に存在するのは、表紙にも登場するエルマーとグラハム。
登場人物が多過ぎる作品ですので、もはやどこで交流があるのか覚えきれなくなってきました。
最初、この二人が出逢っていたことに驚きましたが、考えてみれば気が合いそうな性格してますよね。
異常気質を持った人間同士、共感する部分があったようです。

しかし、どちらかといえば、彼らは傍観者というか付添人みたいな感じかな。
殺人鬼を軸として、新キャラが物語を動かしています。
ただでさえ、一部キャラ背景を忘れつつあるのに、これ以上増やされると、理解が遠のいてしまいそう。
人物関係図が欲しくなってきました。

一つの事柄に集結していくのではなく、小刻みにどんでん返しがあるような印象でした。
推理する楽しみもあると思いますけど、バカ騒ぎに乗っかって、まんまとミスリードに騙されるのも楽しくなります。

残すところ「バッカーノ!」シリーズは3シーズンだそうで。
これだけ撒き散らした伏線と相関図をどのように回収してくれるのか。
期待したいと思います。

断片的な情報で紡がれる得意の群像劇が先の展開を渇望させます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バッカーノ!  成田良悟  エナミカツミ  評価B 

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あなたが踏むまで泣くのをやめない!! 

あなたが踏むまで泣くのをやめない!! (電撃文庫 み)あなたが踏むまで泣くのをやめない!!
(電撃文庫 み)

(2012/01/07)
御影 瑛路

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読書期間:2012/3/3~2012/3/5

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ロリ
ギャグ
ラブコメ
構成


 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7



 ある日、クラスメイト(で可愛くて俺の女神でそして巨乳)のチョコちゃんに、一緒に部活見学をして欲しいと誘われた。
 なぜか我が家に居候し続けるドS幼女も連れて向かった先は『ポジティ部』。
 ゴクリ……。
 嫌な予感しかしねぇ。
 案の定、その部活はポジティブどころか、頭のネジが外れたネガティブなやつらの集まりで……。しかも『リア充耐性』をつける活動だとか言ってる。
 残念系乙女なチョコちゃんのトラウマを克服するため、亭主関白系男子の俺が立ちあがる……!波瀾万丈の第二弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


残念系少女たちと繰り広げる痛快ラブコメディ、シリーズ第2巻。
タイトルでシリーズ物と判断できないのは、不親切だと思いますね。

意外と良かったというのが率直な感想です。
前巻が好みから外れていたため、過度な期待をしなかったのが良かったのかもしれません。
買おうか悩んでいましたけど、読んで正解だったなと思いました。

1巻と比べて楽しむことが出来た最大の要因は、まず間違いなくヒロイン役の交代にあります。
ひたすらネガティブ思想に走るチョコちゃんこと黛千代子のおかげで、ラブコメが数段面白くなりました。
この娘の逆走は、あまりにも全力疾走なので、ギャグとして笑えるのがいいですね。
帯にある「わたし、ほぼ生ゴミですもんね」という台詞を始め、どこからそんな発想が出てくるんだと感心してしまうほどです。

そんな彼女がネガティブな性格を直すため、ポジティ部と呼ばれる同好会に入部するという話。
レイ部長ニーナ先輩マスクと個性的なメンバーと共に、人見知り体質な彼女たちが勇気を出して人並みの活動を行う様は、シュールな笑いと微笑ましさが生み出されています。
特定層のトラウマを掘り返すようなネタが多いのですが、しっかり笑いに繋げられているところは素晴らしいですね。

後半は、チョコちゃんの過去を知った寿也の行動が焦点となるのですが、シリアスな展開もまた面白かったです。
ラブコメであろうと人間の負の部分を曝け出させるところが、ザ・御影瑛路と感じました。
堕ちるところまで墜ちても、チョコちゃんは可愛かったです。

それにしても、サドな幼女に支配されて喜ぶなんて趣味はないので、アリスには好感を抱けませんね。
ぶっちゃけ、邪魔臭いと思っているぐらいです。
社会的に寿也を追い込もうとする白波瀬の面々が気に入りません。
大した説明もせずに何でもかんでも寿也に任せるのはおかしいでしょう。
家庭の問題に首を突っ込んだのは寿也自身ですが、たかが一高校生の彼にそこまで責任を負わせる理由があるんでしょうか?
あくまで一例ですが、アリスに残された時間が少ないといった理由のように、重大であればあるほど、なおさら所詮他人の寿也に任せる理由が希薄となるんですよね。
ここから、納得できるようなどんでん返しを見せてくれるのであれば嬉しいんですけどねぇ。

会話の応酬は、それだけで笑ってしまうぐらいセンスを感じます。
ただ、テンポを重視しすぎているのか、その場に複数人いても個々の対話となっています。
何故横から話に入ってこないんだろうかという不自然さが隠せませんでした。

最終章の展開は衝撃的でしたね。
しかし、これだけでは何とも判断が付きませんね。
果たしてどう続くんでしょうか、これは。

自虐系少女と急接近するラブコメ模様にニヤニヤさせられます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  あなたが泣くまで踏むのをやめない!  御影瑛路  nyanya  評価B 

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ボンクラーズ、ドントクライ 

ボンクラーズ、ドントクライ (ガガガ文庫)ボンクラーズ、ドントクライ (ガガガ文庫)
(2012/01/18)
大樹 連司

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読書期間:2012/2/27~2012/2/29

【評価……B
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
青春
恋愛
友情
浪漫
切なさ

 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6


 あの頃の僕らは、恋がどんなものかも知らなかった――。
 ネットもケータイもまだ馴染みがなかった1999年、とある片田舎の高校。主人公の肇とカントクは、夢だけは大きく「日本の特撮映画を変えること」だが、映画の撮影準備と称して憧れの特撮ヒーローになりきる「ごっこ遊び」に興じてばかりのボンクラ映画研究部。そんな「撮らない」映画研究部に、わけありの美少女が飛び込んできて――。
 男子ってやつは、バカで、むき出しで、まっすぐで、最低だけど最高だ!!
 誰しもが通り過ぎる、恥ずかしく、苦く、痛々しい青春模様。

【感想】


1999年、舞台は田舎の空気が香る高校。
男2人と女1人の高校生達が、本気で映画撮影に精を出す青春小説です。

もう題材が好み過ぎる。
携帯電話の普及が学生にまでは広がりきっていない時代。
ろくな活動をしていない映研部員である男2人の前に現れた元映研部所属の美少女。
世代的にど真ん中ということもあって、あらすじを読んだ時点で購入が確定しました。

大した数を観ていない人間でも、映画は永遠の浪漫だと思いますね。
映画撮影に情熱を注ぐ若者達の物語を何本も読んできたので、汗と涙の結晶という言葉が過言でないことぐらいは分かります。
まさに青春の1ページの代表格として、古典から幾度となく使用されてきた題材です。

ただ今作は、そんな熱さよりも、三角関係の恋愛方面に焦点が当てられています。
甘酸っぱい恋模様ではなく、キリキリと胸が痛むような感じ。
思わず学生時代を思い出してしまい、主人公達が堪らなく羨ましい。
世界の全てがたった一つのことに収束してしまっているような錯覚……いや、当の本人にとっては間違いなく真実で、だからこそ身体の内から震え、連動するように心も不安定になるんですよね。

しかし、残念なことに、この作品ではあと一歩が届いていません。
主人公の立ち位置は素晴らしいですし、配役も王道から外れず、見事な関係を形成しています。
結論は悪くないのに、作者が物語から逃げちゃっているのが非常に勿体無い。
ここからが本番だろうというところで、軸が若干ズレちゃっているんですよね。
だからこそ美しいともいえなくもないのですが、もっともっと心を掻き乱させて欲しかった。
250p弱で一冊完結ならば、ここが限界だったのでしょうか。

著作「ほうかごのロケッティア」と比べると、文章に力強さが見られませんね。
サラサラと綴られた言葉は、軽めで読みやすい反面、心に訴えかける力も弱かった。
意識してテイストを変えたのかなぁ。

雰囲気は終始良かった。
中盤で登場人物の根幹に触れるようなエピソードがあれば、ラストへのカタルシスへと繋がったんですけどね。
このままでも面白かったと言えますけど、更にワンランク上に行くチャンスがあった本でした。

映画撮影に青春を注ぐ裏で紡がれる男子高校生の切ない恋物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ボンクラーズ、ドントクライ  大樹連司  白味噌  評価B 

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アクセル・ワールド9 ―七千年の祈り― 

アクセル・ワールド〈9〉七千年の祈り (電撃文庫)アクセル・ワールド〈9〉七千年の祈り (電撃文庫)
(2011/10/08)
川原 礫

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読書期間:2012/1/31~2012/2/3

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
SF
燃え




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 「許さない。お前を殺す――バーストポイントが全部なくなって、加速世界から消えるまで、殺し続ける」
 再び≪クロム・ディザスター≫となってしまったハルユキは、≪アッシュ・ローラー≫を痛めつけていたアバターたちを鬼神のごとき力で瞬殺する。そして、深部まで完全に≪災禍の鎧≫と融合してしまうのだった。
 滅ぼすべき敵を求めて≪加速世界≫を飛翔するシルバー・クロウ。そして彼は、次なるターゲットとして、≪ISSキット≫とその制作者たる≪加速研究会≫に憎悪の矛先を向けた。
 誰も制止不能の狂戦士。そんな彼の前に、一体のアバターが立ちふさがる。
 その名は、≪グリーン・グランデ≫。
 最強の大盾≪ザ・ストライフ≫を携える絶対防御の≪緑の王≫と、呪われた狂気のアバターが激突する――!
 ≪災禍の鎧≫編、完結!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


現在アニメ放送中である近未来SFアクション、第9巻。
帯にてアニメ化決定の文字が印字されている通り、発売したのはもう半年も前となります。

5巻から続いた「災禍の鎧」編も遂に完結。
2巻で初登場した際に仕込まれていた種が、ここまで大きく実をつけるとは思っていませんでした。
ブレインバーストのメインストーリーから外れる内容にも関わらず、これだけの巻数を消費するんですから、最終回を迎えるのは当分先になりそうですね。
レベル10となりゲームクリアを目指すという明確なゴールが提示されているのに、辿り着くまでの道が果てしなく長く、なおかつ脇道も全力で描くものですから終わりが見えてきません。
後出し情報の多さなども含め、何だか「ONE PIECE」を彷彿とさせますね。

少年ジャンプ系の王道で面白かったです。
ただし、結局振り返ってみると「災禍の鎧」編は冗長だったかなぁと感じますね。
説明に文章量が多くなってしまう癖と、作品上の時間軸で詰め込み過ぎる構成のおかげで、事件や出来事は頻発しているのに進行が鈍く感じるという不可思議な状態となっています。
以前あとがきで仰っていましたが、物語を畳むのを苦にしている部分が影響しているんでしょうね。
結末は綺麗で良い終わり方だったなと思うんで、あとは見せ方かな。

新キャラ・日下部綸の正体は、ぶっちゃけ察しが付いていました。
世間的には衝撃を受けた人が多いようですけど、おそらく予測できた方も結構いるはずです。
アノ人と親しい間柄という時点で、おかしいなと。
敵役は男ばかりで、味方は女キャラばかりとなる偏向が酷い作者ですから、予想はつきました。

大人しそうに見えて想いは直球で伝えてくる女の子は可愛いと思います。
設定的にも、なるほどと思わせる理屈付けがありました。
ですが、この展開は正直避けて欲しかった。
ご都合主義全開のハーレムが、無理矢理過ぎて興醒めしてしまいます。
読者視点からするとハルユキの良さも理解できますが、それと説得力があるかどうかは別物です。

いつにも増して表紙の黒雪姫がエロい。
布生地の少ない服装で横乳と尻を大胆に見せつつ、棒状のものを股に挟むなんてけしからん。
個人的には、特別女の子として惹かれるわけではないので、ただ買い辛かっただけですが。

ひとまず落ち着くところに落ち着きましたね。
随分と否定的な感想となってしまいましたが、楽しんで読んでいるのは間違いありません。
そろそろ情報を小出しにして驚きを与えるのではなく、システムを前提とした燃えバトルを見てみたいな。

憎しみと哀しみが作り出した「災禍の鎧」完結編

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  アクセル・ワールド  川原礫  HIMA  評価B 

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ショートストーリーズ 3分間のボーイ・ミーツ・ガール 

ショートストーリーズ 3分間のボーイ・ミーツ・ガール (ファミ通文庫)ショートストーリーズ 3分間のボーイ・ミーツ・ガール (ファミ通文庫)
(2011/07/30)
井上 堅二、ほか 他

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読書期間:2011/10/23~2011/10/28

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 “青春”の数だけ“出会い”がある――。
 “3分間”をキーワードに独自の世界観で描かれる珠玉のボーイ・ミーツ・ガール。
 人気作家・井上堅二の贈る、幼馴染みとの窓越しの恋模様『三分間のボーイ・ミーツ・ガール』、野村美月が描く、猫嫌いの女の子への一目惚れの顛末『こっちにおいで、子猫ちゃん。』、新鋭・庵田定夏の紡ぐ『ガチで人生が決まる面接に行ってくる』など、書き下ろし8篇を含めた全19篇!
 切なく甘くほろ苦いショートストーリー集。

【感想】


ファミ通文庫が誇る豪華作家によるショートストーリー集。
テーマは「3分間」と「ボーイミーツガール」。
プロの作家が特色を出した掌編が全部で19編収録されています。

ラノベ界全体で見ると微妙な位置付けにあるレーベルですが、個人的には好きな作品が多いので、評価は結構高かったりします。
昔はゲーム系ラノベばかりでしたけど、最近はだいぶ新人育成の芽が出てきていますしね。
実際この本を手に取るキッカケとなった作家として、井上堅二・野村美月・庵田定夏・本田誠・田尾典丈などの名前が挙げられます。
知っている作家が多ければ多いほど、楽しめるのは間違いないでしょうね。

各章で振り分けられた紙幅に差があり、10~30ページと人によってまちまちです。
お気に入りの作家さんが、何ページ書いているのか気になると思うので書いておきます。

【3min.30cm】 田口仙年堂 10p 評価……B
トップバッターとして相応しい王道的な学園青春モノ。
思春期の学生ならば一度は妄想したことがあるのではないかというシチュエーションが素敵。
心臓の音が聞こえそうな近距離具合がもどかしくてウズウズしてしまいますね。

【詰め込み教育の弊害と教室の片隅に彼女】 日日日 23p 評価……C-
テスト中に記憶喪失を起こしてしまった少年とそれをサポートする少女の学園モノ。
ショートストーリーに設定を詰め込み過ぎて、ゴチャゴチャとしてしまった例ですね
無茶がありすぎますて、楽しめませんでした。

【ガチで人生が決まる面接に行ってくる】 庵田定夏 21p 評価……B+
高校受験の面接前に待合室で出会った少年少女のショートストーリー。
全短編中最もテーマに沿った内容となっていて、なおかつ話も非常に面白い。
緊張している主人公とヒロインが可愛くて、続きも読んでみたくなる隙のない仕上がりです。

【ねこなぶり】 嬉野秋彦 11p 評価……C+
ボーイミーツガールに猫がプラスされた短編その1。
一発ネタすぎて感想を書き辛い。
もうちょっと膨らませることができたんじゃないかなぁ。

【三分間の神様】 榊一郎 32p 評価……B
毎晩3分間だけ繋がる電話の相手は異世界の少女だった――というSFチックな話。
オチの付け方が少々乱暴なことを除けば、見事な構成。
硬派な正統派作品で、基本を押さえた内容となっていました。

【七年前のマリッジブルー】 本田誠 27p 評価……B+
ウェディングドレスを着た女性が目の前に突如現れるというインパクトのある導入で始まる物語。
この限られた枚数で、起承転結をキッチリと書ききっているのが凄い。
タイムトラベルという設定も、著者ならではの調理の仕方がされていて好感が持てました。

【お湯を注いで】 櫂末高彰 8p 評価……B-
カップラーメンが出来上がるまでの僅かな時間のみ現れる精霊とお喋りする話。
3分間というテーマで、まず思いつく題材ですよね。
お手軽にほっこりとできる内容でした。

【こっちにおいで、子猫ちゃん】 野村美月 17p 評価……B-
ノリと勢いだけで突っ走る男が一目惚れした女の子を追っかける話。
複雑に練り過ぎるよりも、簡潔にまとめた方が読みやすいのは確かだけど、少々強引かなぁ。
女の子の可愛さよりも、男の猪突猛進な有り様が記憶に残ります。

【ネオンテトラのジレンマ】 綾里けいし 9p 評価……C+
「私を、食べて欲しいんです」の言葉から綴られるホラー系短編。
ボーイミーツガールのテーマから、甘くて淡い短編が多い中で、飛び抜けて異色。
完成度は高いんですが、ケーキの中に生肉が入っていたかのような感覚で何とも受け付け辛い。

【5400万キロメートル彼方のツグミ】 庄司卓 25p 評価……A-
自力で帰還できなくなった小惑星探索機に搭載されたAIに人格が芽生えた遠距離SFロマンス。
直球の感動系物語で、科学と浪漫のブレンドが絶妙です。
「はやぶさ」に心惹かれた人ほど響くであろう一遍だと思います。

【先輩にリモコンを向けてみた】 前書き 19p 評価……B+
軽い気持ちでイタズラしてみたら、ぶっ飛んだ事実が明るみとなったドタバタコメディ。
テンポのいい会話の応酬がまるでコントのように心地良く、何より単純に笑えます。
3分間の設定を上手く焦りへ繋げていて、刻一刻と迫るタイムリミットにヒートアップしました。

【トキとロボット】 羽根川牧人 17p 評価……B-
殺戮機械として生まれた女の子型ロボットが、戦場で男の子を拾ったところから始まる物語。
バッテリー寿命が尽きかけている彼女の行動が、人間味溢れるもので優しく温かい。
背景が世紀末にしか見えません。

【ロイヤルコーポあさひの真実】 竹岡葉月 24p 評価……B+
朝目覚めたら、昨夜の宴会で飲み潰れた女の子が部屋に残っていた大学生が主人公の話。
うわー、この伏線は全く気が付かなかった。
この状況は面白いなぁ……続きが読んでみたくなります。

【QとK】 築地俊彦 17p 評価……C
児童能力者が罪を犯すと収監される監獄から脱獄しようとする男と女のサスペンス風ドラマ。
後味が悪さは、それはそれで特徴的で構わないのですが、面白さに直結しないのはどうかと。
テーマの意味合いも弱く、微妙でした。

【3分間のABCD】 はせがわみやび 25p 評価……D
美術館で出逢った女の子は、美を栄養として見た目を変化させる人間とは異なる種族だった。
……意味不明。
うーん、頭に浮かんだ設定をただ並べてみただけにしか見えない。

【杉本遥は男前っ!】 新木伸 23p 評価……B
古今東西よく使われてきた親友が実はお嬢様でしたというパターンの王道ラブコメ。
物語の始まりしか描かれていませんが、短編ではこれが普通ともいえる。
最後の選択肢は悩ましくて、先がちょっと気になりました。

【call】 佐々原史緒 9p 評価……A-
卒業式に連絡先を受け取った女の子に会うため、勇気を出して田舎まで追いかける男の子の話。
期待と不安が入り混じる男の子の苦悩が描かれる、滅茶苦茶好みの青春モノでした。
3分間の使い方も秀逸で、情景が浮かび上がるシチュエーションが最高に素晴らしい。

【彼女に関する傾向と対策】 田尾典丈 8p 評価……B
好きな女の子に告白をしたら、何故か面接を受けることになった一風変わったラブコメ。
ネタ一本で勝負しているのですが、上手くハマっており、キャラが確立しています。
二人の掛け合いが甘々で微笑ましいのが何とも素敵。

【三分間のボーイ・ミーツ・ガール】 井上堅二 11p 評価……B
女の子側の視点で語られる窓越し幼馴染み系ラブコメディ。
個人的にはアリの部類に入るけど、このオチは色々と酷いw
著者を知っている人なら薄々感づいていたでしょうけど、初読みの人は怒るんじゃなかろうかw

ラブコメ・青春・SFなど多種多様なボーイミーツガールが楽しめる全19篇

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  3分間のボーイ・ミーツ・ガール  ファミ通文庫作家陣  評価B 

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アクセル・ワールド8 ―運命の連星― 

アクセル・ワールド〈8〉運命の連星 (電撃文庫)アクセル・ワールド〈8〉運命の連星 (電撃文庫)
(2011/06/10)
川原 礫

商品詳細を見る
読書期間:2011/10/4~2011/10/10

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
燃え
友情



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 「着装……≪ザ・ディスティニー≫」
 ≪ISSキット≫に侵された≪シアン・パイル≫ことタクムへ、自分の思いを伝えるべく対戦を挑んだハルユキ。しかし、破格の力を得たタクムの前に、為す術もなく倒れる。
 体力ゲージが残り数ドットとなったハルユキだが、謎の山吹色のアバターの誘いを起点に、≪加速世界≫最強の強化外装をジェネレートする。
 「……それが、≪災禍の鎧≫本来の姿かい?」
 光の力を得た≪クロウ≫と、闇の力に染まった≪パイル≫、二人の心意が強く共鳴し合い、そして、激突した。
 それぞれの想いが絡み合い、ひとつの大きな物語へと収束したその先にあるものは――!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


近未来のMMOを舞台としたSF系青春アクションバトル、第8弾。
「災禍の鎧」編も終盤に差し掛かってまいりました。

連鎖的に繋がっていた物語の種を、回収していくターンに入りましたね。
シルバー・クロウの浄化、アーダー・メイデンの救出、シアン・パイルの解放とドンドン目的がズレていきましたが、主題は忘れていなかったようです。
広げた風呂敷を折り畳みながら、綺麗にまとめられていました。

世間的には続きで終わるような話にせず、ちゃんと締めてくれという声が多いですが、ほとんど気にしません。
それよりも、ストーリー全体が低速である方が気になります。
このペースだと、完結するのは20冊ぐらい先になるのではないかと少し不安になります。
まぁ、面白ければ良いといえば良いんですけど。

心意システムは、作品内外関わらず多くの意見がありますが、個人的にはとてもいい仕様だと思ってます。
イメージが大切というのは、何事においても当たり前のことです。
それを尤もらしく説明付けているのが心意システムであって、現実世界でも似たようなものはあります。
精神状況におけるパフォーマンスの差というのは、確実に存在しているでしょう。
ただそれが、明確な形として見えやすいかどうかの違いでしかないんだろうなぁと思います。
我が身でも実感できることだからこそ、SF設定なのに共感も想像もしやすくなっていますね。

ひたすらネガティブなことを考え続けていたハルユキが、黒雪姫との出会いで日に日に成長していく過程は、眩しくなるほどに微笑ましく心が躍ります。
はっきりいえばマイナス地点にいた少年が、ここまで昇ってきたことに喜びを覚えますね。
今でも自信はあまりないようですが、仲間の窮地に惜しみなく勇気を奮う姿は、タクムが嫉妬するのも仕方がないと思えてしまいます。
本人は自覚ないでしょうけど、ネガ・ネビュラスの核となっているのはハルユキで間違いないですね。

リードの正体については、素直に考えていいものなのかな。
結局肝心な部分は伏せたままとなってしまったので、早いところ答え合わせをして欲しいなぁ。

ラストがまた気になる引きで終わっていますが、何となく予想は出来ていました。
次で「災禍の鎧」編も終了ということなので、どのように決着させるのか、楽しみです。

心に想い描いた願いを具現化する力で仲間との絆を深める話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  アクセル・ワールド  川原礫  HIMA  評価B 

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俺の妹がこんなに可愛いわけがない9 

俺の妹がこんなに可愛いわけがない 9 (電撃文庫 ふ 8-14)俺の妹がこんなに可愛いわけがない 9 (電撃文庫 ふ 8-14)
(2011/09/10)
伏見 つかさ

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読書期間:2011/9/14~2011/9/15

【評価……B
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
コメディ




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 あのルリ姉に――好きな人ぉ?どーせ脳内彼氏でしょ?⑧巻の顛末を“妹”日向の視点から描いた『あたしの姉が電波で乙女で聖なる天使』。腐女子の妹を「世界一可愛い」と豪語する、もうひとつの“残念な兄妹”の物語『俺の妹はこんなに可愛い』。いくつもの“顔”を持つ沙織・バジーナの“ルーツ”に迫る『カメレオンドーター』。桐乃に“トラウマ”を植えつけた瀬菜の恐るべき行動とは?『突撃 乙女ロード!』。お兄さんが彼女と別れたのって、もしかして……私のせい?あやせのフクザツな乙女心と、加奈子のライブ楽屋裏の一幕『過ちのダークエンジェル』。ほか『真夜中のガールズトーク』『妹のウェディングドレス』2本を収録!さらにはアニメOP曲を歌ったClariSとのコラボなど、驚き満載の特別編!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


徐々にタイトルからかけ離れた内容となってきた俺妹シリーズ第9巻。
今回は京介ではなく、女の子達の視点から描かれる特別編となっています。

サクサクと読めて面白かったです。
もともと短編連作のような形式となっているため、雑多な短編集でも違和感はないですね。
それぞれに特色があるので、飽きることなく多様な味を楽しめます。

文章をかなり柔らかめに書いているので、噛みしめるどころか飲み干せてしまいそうです。
「機動戦士ガンダムUC」の原作者である福井氏が以前インタビューで「今のコンテンツはお粥化している」と表現をしていましたが、俺妹はまさにその筆頭ですね。
良し悪しもあるでしょうけど、中高生向けの娯楽小説の一つとしてはありなんじゃないでしょうか。
普段本を読まない人が手に取るライトノベルとしては、凄く入っていきやすいと思います。
他の作品を読んでいないので作者に文章力があるのかどうかまでは判断できませんが、狙って書いているであろうことは想像できます。

内容的には、恋愛編をまだ引きずっていますね。
8巻の補完的なエピソードもあるのですが、フォローというよりも言い訳っぽく見えるのは気のせいかな。
シリーズを継続するという大局的な建前を理由として考えないのであれば、黒猫の行動は道理に適っていないんですよね。
突然の別れ話や、沙織をハブっていたことなど、物語を魅せるために無視してきた要素が大きすぎました。
まぁ、ご都合主義で済まさずに、一応作中でツッコミを入れたことに関しては評価できますがね。

それを除けば、気楽に読めるラブコメで良かったと思います。
シスコン&ブラコン過ぎている高坂兄妹と赤城兄妹は、ないわーと思いつつもコメディとしては面白かったですし、五更姉妹は厨二病を発症する長女と無邪気な三女をオチする次女に和まされました。
大文字を多用するのは個人的にあまり好きではないんですけど、それだけ頻繁に笑い所があったといえます。
また、沙織メインの話は、他よりも真面目な路線でしたが、最終的には心がほっこりと温かくなりました。

一番良かったのは「過ちのダークエンジェル」。
語り手のあやせが、思っていた以上に京介に対してデレデレで驚きました。
セクハラをちょっぴり期待しているあやせが可愛かったです。

全部で7編あるのに麻奈美視点がなかったのが、何だか意図的に感じます。
初期の頃は、全4章のうち1つは麻奈美の話だったのに、いつの間にやらなくなっちゃいましたしね。
黒猫と付き合った流れで、微妙な関係になったままだし、本筋で取り上げてくれるのかな。
確かに黒猫は可愛いんですけど、カップリングとしては麻奈美とくっ付く方が自然だと思っているので、またあの熟年夫婦のような家族ぐるみの温かい雰囲気を感じ取れるような話を読んでみたいなぁ。

女の子達の視点から語られることで、京介の慕われ具合がよく分かる短編集

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  俺の妹がこんなに可愛いわけがない  伏見つかさ  かんざきひろ  評価B 

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ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!disc8 

ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc8 (ファミ通文庫)ギャルゲヱの世界よ、ようこそ! disc8 (ファミ通文庫)
(2011/08/29)
田尾 典丈

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読書期間:2011/9/12~2011/9/13

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
恋愛
SF




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 「一緒の世界で、共に歩もう」
 ヒロイン達とお互いに気持ちを確かめ合った、俺こと都筑武紀。本来の世界と『例外レイヤー』を統合し『現実補正』を使って二つの世界にいる人々の記憶を融合……トゥルーエンドへの道筋は見えている。
 しかし、そこに至るにはこの世界に存在しないあるアイテムが必須……。どうする俺!無いものは作るしかないのか?俺が、あの『エターナルイノセンス』を!!
 選択肢無限の真世界を奔走する青春ADVノベル、遂に完結!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!」シリーズ、本編最終巻。

コンスタントに刊行されたおかげで、2年半ちょっとで11冊も積みあげられました。
当初は一発ネタかと思っていた本作が、ここまで来るとは感慨深いものがあります。
シリーズ途中のテコ入れが成功した数少ない例ですね。

満を持しての最終巻というよりは、ちょっと急だったかなと感じられました。
詰め込み過ぎな面が多々あり、設定や物語の強引さが散見されます。
伏線を無理矢理活用したり、唐突な問いかけがあったりと、不自然さが目立ちました。
テーマや主張は良いんですけど、見せ方が悪かったと言うべきでしょうか。
もう1冊とは言わずとも、もう少しページがあれば、説明も付けられたと思うんですがね。

でもこの作品には、数字では表せられない面白さが内包されています。
欠点が見えやすく、他の要素でカバーしている訳でもないんですが、全て込みで楽しむことが出来ます。

正直なところ、今でもその理由をハッキリとは解りません。
ただ、もしかしたらストーリーの流れが綺麗であることが関係しているのかもしれませんね。
物語上に配置されるキャラとSF設定がパズルのピースのように組み込まれているため、作品の一体感を増大させているように感じました。
材料が別段凄いわけではなく、調理の腕が極めて優秀というわけでなくとも、見事な仕上がりとなったのは、感性の良さと文章的な配慮によるものだったのかなと思います。

主人公・都筑武紀は結局最後まで思考に余裕がないけれど、その必死さは嫌いじゃありません。
幾度となく障害に立ち塞がれ、それでも泥臭く塗れてでも答えを探し続ける根気は、主人公として相応しい姿だと思います。
もどかしい気持ちにさせられた初期と比べると、今では尊敬すらできるぐらいに成長を果たしました。
まぁ、ハーレム願望はないので、そちらは遠慮しますけどw

前回の愛子のターンは、さすがに続きませんでしたけど、時折見せるいじらしさは健在でした。
やっぱりメインヒロインは、愛子で決まりだなー。
表紙にいなかったのが残念でした。

ゆうきの伏線を拾ってくれるとは思いませんでしたね。
正体については、予想は当たっていたのですが考えが浅かったので、半分正解で半分不正解という感じ。
なるほどなぁと感心させられつつも、あっさりしすぎていたのが勿体無くて少々不満。
1冊使っても良かったぐらいのネタだと思うんですけどね。

もう一人の主人公・高橋秀之は、正真正銘デキる男で格好良いのですが、本編での出番は少なめでした。
これは外伝&後日談の短編集でシリーズ本当の最終巻となる「Extradisc」に期待かな。
みんな幸せで終わる大団円を読めることを願いたいと思います。

共感は出来なくともハーレムを目指す男と女の子達の幸せを願わずにはいられない本編最終回

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ギャルゲヱの世界よ、ようこそ!  田尾典丈  有河サトル  評価B 

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半熟作家と“文学少女”な編集者 

半熟作家と“文学少女”な編集者 (ファミ通文庫)半熟作家と“文学少女”な編集者 (ファミ通文庫)
(2011/04/30)
野村 美月

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読書期間:2011/8/20~2011/8/24

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ミステリー
青春
ラブコメ
切なさ


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 新しい担当編集の天野遠子嬢は、清楚な美人だった。――が、いきなり本棚の前でグルメ批評を始めるわ、ほんわか笑顔で容赦なく原稿修正を指示してくるわ、売れっ子高校生作家たるオレが、どうしてこうも振り回される!?
 そんな時届いた脅迫状じみたファンレター。そこにはまだ刊行される前の小説の内容が書かれて……って差出人は、まさか!?
 半熟作家・雀宮快斗とその担当編集者遠子が織りなす、物語や文学を食べちゃうくらい愛する“文学少女”の最後の物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


文学少女、最終章。

5年に渡り続いたファミ通文庫における看板タイトルが、本当のラストを迎えました。
本編8冊、短編集4冊、外伝3冊、そして最後を締めくくる今巻の計16冊。
長く続いただけあって、作品内の世界は十分過ぎるほどに描かれてきました。
終わりが寂しいというよりも、お腹いっぱいと感じる作品はそうはないでしょう。

最終回の内容は、本編から数年後、編集者となった遠子が一人の作家を担当する話。
タイトルだけ発表された当初は、本編ラストの続きかと思いましたが、よくよく考えてみれば心葉が半熟作家なわけないですよね。

主人公は半熟作家の雀宮快斗
とはいえ、高校生でありながら人気シリーズを執筆し、メディアミックス展開も好調で、更にはモデルまでもこなすハイスペックなキャラです。
思想も半熟というよりも若いという方が正しいような気がします。
そんな彼が、担当編集者である遠子と出会い、成熟していくストーリーが語られます。

言ってしまえば、最終回によくあるパターンですね。
最後の最後に新キャラを投入し、第三者の立場からこれまで登場したキャラの後日談を語る手法です。
既知であるキャラの見た目も中身も成長した姿が、懐かしくも新鮮に映り、さながら同窓会に出席したような気分になるこの手法は、結構好きだったりします。
ただ、この「文学少女」においては、ちょっと主人公キャラの位置付けが遠かったかな。
遠子は良いんですけど、心葉を含めた他キャラとの絡みや情報が入ってくる立場だったら、もっと大団円の雰囲気が出たと思うんですよね。

全4章からなるエピソードは、外伝でもない番外編って感じ。
シリーズ最終巻として見るとあっさりしすぎかなと思わないでもないですが、暗い話が続いた作品で、明るく締められたのは良かったと思います。
オチに関しては完全に目から鱗で、スッキリとした気分で読み終えることができました。

本編、外伝と二度も終わりを迎えた作品なので、気持ちの整理をつけることは難しくなかったです。
癖のある文体から手に取るのが少し遅れましたが、読んで良かったと思える作品でした。

第三者視点から描かれる“文学少女”その後の物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  文学少女  野村美月  竹岡美穂  評価B 

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はたらく魔王さま!2 

はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫)はたらく魔王さま!〈2〉 (電撃文庫)
(2011/06/10)
和ヶ原 聡司

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読書期間:2011/8/13~2011/8/18

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
バカ
シュール
安定感


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 店長代理に昇進することになり、ますます張り切る魔王。そんなある日、魔王城(築60年の六畳一間)にご近所さんができる。隣の部屋に、和装の女の子が引っ越してきたのだ。魔王に恋する女子高生・千穂と、魔王の命を狙う勇者は、いろんな意味で心穏やかではいられない。
 時を同じくして、魔王が勤めるファーストフード店の向かいに、競合他社が進出してくる。売り上げで負けたら減給だと言われた魔王は戦慄し、店長代理の職務を全うするため奔走することになる。
 謎の隣人とライバル店の登場で、魔王城は大混乱!?フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、第17回電撃小説大賞<銀賞>受賞作第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


現代の日本でバイトに励む魔王の奮闘記?第二弾。

新人とは思えない安定っぷり。
設定はよくある魔王モノですが、よく練られていてクオリティ高いですよ。

基本的に、流れは1巻同様ですね。
魔王が拠点とする六畳一間のアパートの隣に、謎の和装美人・鎌月鈴乃が越してきます。
明らかに不自然な彼女が、新たな刺客なのか、それともただの偶然か。
展開が読めそうで読めない構成の妙がニクイです。

相変わらずシュールな状況となっているのは、勇者や魔王軍が日本に馴染み過ぎているからですね。
特に真奥はもう取り返しのつかないラインを突破しちゃっているような気がします。
恋愛事情には疎くとも、策略や参謀には鋭く気付くところはさすが魔王なんですが、行動の動機が悉く善良な人間のもので、威厳も何もあったもんじゃないw
甘いというよりも、ただただ優しくてイイ人すぎる。
ここまで来ると、エンテ・イスラ時代の魔王は何を考えていたのか逆に気になりますね。

勇者エミリアこと遊佐恵美も、負けず劣らず日本に慣れ親しんでいます。
テレビ番組をチェックしたり、仕事に精を出したり、お気に入りのコンビニ弁当を買ったり、誰がどう見ても現代日本のOLです。
その一方で真面目に働く真奥を観察して、思い悩むのがシリアスなんだけど笑ってしまいます。
まだ危機感を持っているだけ、真奥よりマシですけどねw

それにしても、彼女の真奥に対する態度が、徐々にツンデレにしか見えなくなってきた。
何となく「Steins;Gate」の牧瀬紅莉栖に通じるものがあるような。
基本的に嫌っていても、正しいことは悔しがりながらも認めるところは、冷静な考えを持っていて好きだなぁ。

安易な女キャラ増加は好まないのですが、新キャラの鈴乃のキャラは結構良かったです。
恵美や千穂などの女性陣と立ち位置が異なっていて、絡みが面白かったですね。
世間知らずな一面があり、何故か日本に詳しい真奥や恵美からツッコミを受けているが可笑しかった。
今後も必要なキャラの一人として期待できそうです。

主夫として優秀なあまり悪の幹部としては駄目さ加減が漂う芦屋、地味に活躍するけれどニートな漆原など脇役も個性的でキャラが立っています。
恵美の同僚である梨香にも挿絵があったのは嬉しかったな。

お気楽な日常パートと、後半のファンタジーバトルのギャップが大きいのも面白い。
二つの要素がバラバラにはなっておらず、巧みに融合させており、完成度の高さが窺えました。

驚く展開などはありませんが、良く出来たお話だったと思います。
これなら今後も安心して買い続けられそうですね。

世界よりも今の生活を優先する勇者と魔王の生活感滲み出るコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B 

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ソードアート・オンライン7 マザーズ・ロザリオ 

ソードアート・オンライン〈7〉マザーズ・ロザリオ (電撃文庫)ソードアート・オンライン〈7〉マザーズ・ロザリオ (電撃文庫)
(2011/04/08)
川原 礫

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読書期間:2011/8/5~2011/8/8

【評価……B
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
感動




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 キリトが巻き込まれた≪死銃≫事件から数週間。
 妖精アバターによる次世代飛行系VRMMO≪アルヴヘイム・オンライン≫にて、奇妙な騒動が起こる。新マップ≪浮遊城アインクラッド≫、その第24層主街区北部に現れる謎のアバターが、自身の持つ≪オリジナル・ソードスキル≫を賭け、1体1の対戦ですべてを蹴散らし続けているという。
 ≪黒の剣士≫キリトすらも打ち負かした、≪絶剣≫と呼ばれるその剣豪アバターにアスナも決闘を挑むのだが、結果、紙一重の差で敗北してしまう。
 しかし、そのデュエルが終わるやいなや、≪絶剣≫はアスナを自身のギルドに誘い始めた!?
 ≪絶剣≫と呼ばれるほどの剣の冴え。そこには、ある秘密が隠されており――。
 『マザーズ・ロザリオ』編、登場!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


次世代バーチャルネットゲームを舞台に生きる少年少女の物語、第7弾。
ヒロイン役であるアスナが主役となる一冊完結の話でした。

ALOの対人戦≪PVP≫で負け知らずのプレイヤー≪絶剣≫がいるという噂が流れる。
突如ALOの世界にやってきた彼女は、あのキリトすらも打ち破ったらしい。
にわかには信じられないアスナは、自らが≪絶剣≫にデュエルを挑むことを決意する。

良く言えば王道。悪く言えば安直。
お涙頂戴の感動路線が肌に合うかどうかがポイントになってきます。

あらすじを読んだだけで、ほぼ最初から最後の展開が読めてしまいました。
キリトが負けるという時点で、≪絶剣≫の抱える秘密に気付きますし、そうなると話の流れる方向も容易に想像できます。
嫌な言い方をすれば、アスナはイイ子っぷりを発揮して、キリトは貫録を損なうことなくヒーローを演じるテンプレが完成されているために、驚きはありません。
作者もあとがきにて触れてますが、ご都合主義があざといと感じてしまうのは仕方がないと思うんです。

しかし、それがつまらないというわけではありません。
創作物として考えるならば、これほど正しい選択はないと言ってもいいぐらいでしょう。
主人公とヒロインが活躍し、バトルあり感動ありのシリアスストーリーが展開されるんです。
ライトノベルの購入年齢層からすると、大正解だと思います。
個人的な意見をいえば、イイハナシダナーと思ったものの好みから多少外れますがね。

話は戻りますが、ご都合主義について。
締め方については、葛藤があったようですが、これで良かったと思います。
詳しく書くとネタバレになってしまうので避けますが、良いエンドでした。

問題は中盤。
SAOではいつものことなんですが、感情の移行が拙い。
順序をすっ飛ばして急に仲良くなったり、又はその反対で険悪になったりと、挿入されるべき描写が足りずに簡素となってしまっています。
おかげで、何故そこまでするのかという動機に繋がっておらず、リアリティに欠けます。
設定等にリアリティを持たせる必要性があるかどうかは作品よって異なりますが、キャラの感情については、仮に精神的に病んでいたりしても、納得できる推移が必須だと思うんですよ。
一目惚れならそれはそれで理由になりますが、著者の場合は、不自然に間が空いているように感じます。
これさえなければ、もっと素直に読めるんですがねぇ。

そういえば、逆手に取ったネタが仕込まれていましたね。
キリトの強さが、VRMMO世界上に轟いていて、あまりの規格外に「これだから……」とモブキャラから突っ込まれているのには思わず笑ってしまいましたw
真面目にプレイしている他の人間からしたら、たまったもんじゃないよねw
廃人というほど必死になっているわけでもないのに超人的な強さで、可愛い女の子達に囲まれている訳ですから、そりゃあ妬まれもするでしょうw

強き想いを胸に秘めた少女と出会い、己を顧みる女の子の物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ソードアート・オンライン  川原礫  abec  評価B 

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東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest Ⅰ 

東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest I (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ4 GIRL RETURN & days in nest I (富士見ファンタジア文庫)
(2011/05/20)
あざの 耕平

商品詳細を見る
読書期間:2011/7/16~2011/7/19

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
ツンデレ
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 土御門夏目――芯が強くて楚々とした、春虎自慢の幼なじみ。……のはずだった。半年前までは。
 しかし現在。「このバカ虎!」。半年ぶりに再会した幼なじみは、陰陽塾きっての秀才で口が悪くて素直じゃなくて、とある理由で男装女子となっていた!?そして、その男装女子に日々振り回されている、日本一ツイていない少年、土御門春虎。「夏目君とデキてる……ホモなんでしょ?」「いや実は幼女好きだって」。クラスメイト曰く『ホモだと思ったらロリコンだった』。心ない噂と運の悪さに苦しむ春虎。しかも二年になった二人を襲ったのは、あの夏の日の「嵐」!大騒動の学園生活を経て波乱の新学期がいまはじまる!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽師を育てる塾にて繰り広げられる現代ファンタジー、第4巻。
「ドラゴンマガジン」にて掲載された短編を含む挿話集となっています。

サブタイトル「GIRL RETURN」の冠の通り、あの少女が帰ってきました。
あの夏の日、春虎が夏目の式神となるキッカケを作った張本人・大連寺鈴鹿です。
彼女の登場により、春虎たちの日常が大きく動き出します。
まさに波乱の幕開けといった内容でした。

絶対にまた戻ってくるだろうなとは思っていましたけど、こんなに早い再登場となるとは予想外でしたね。
どうやら人気の高さもあって、予定を繰り上げたそうですが、キャラが活き活きしてて良いですね。
ラブコメ的にも、夏目の対抗馬として面白い立ち位置にいます。

ぼっちは異性から優しくされると、コロッと惚れちゃいますよね。
鈴鹿の場合、遺恨もあるため簡単な関係ではないところが、なお複雑化させています。
サドスティックな鈴鹿を投入しただけで、舞台が荒れまくってて楽しいなぁ。

今回収録されている短編の中にもありますが、基本的に夏目は耐性がなさすぎるので、他の女の子が春虎と少しでも仲の良い素振りを見せると、嫉妬に狂う鬼と化します。
春虎に対してツンツンした態度を取りつつ、第三者から見るとボロボロと好意をこぼしていく彼女は、可愛いというよりもやれやれって感じw
ギャップ萌えを狙ったようですが、やりすぎてて別の意味で面白いキャラになっちゃってますよ。
ああ、これが流行りの残念系ヒロインなのか。
多分、読者としてはニヤニヤ半分、呆れ半分であろう冬児と一番共感しているでしょうね。

春虎も春虎で、超絶的な鈍感野郎なので、既に痛い目に遭っています。
そんな過去エピソードが全4話の短編という形で語られているのですが、これがどれもこれも酷いw
BBBの時もそうでしたけど、長編シリアスと同じ世界観とは思えないぐらい、砕けたまくった話で良くも悪くも雰囲気がガラリと変わります。
今作はナンバリングタイトルとして挟まれているために飛ばすこともできませんし、人を結構選びそうな気がしますね。

短編の夏目無双も良かったけれど、個人的には中編の鈴鹿の絡みが楽しかったです。
これから発展に期待大ですね。

不幸体質の主人公が女の子に振り回され続けるラブコメ成分多めの短編集+α

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価B 

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サクラダリセット5 ONE HAND EDEN 

サクラダリセット5  ONE HAND EDEN (角川スニーカー文庫)サクラダリセット5 ONE HAND EDEN (角川スニーカー文庫)
(2011/04/28)
河野 裕

商品詳細を見る
読書期間:6/23~6/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
透明感
構成
安定感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 「私を普通の女の子にすることが、貴方にできる?」
 復活した相麻菫。ケイは彼女に、咲良田の外に――能力が存在しない世界に移住することを提案する。だがそれが上手くいくのか、彼にも分からなかった。
 確証を得るため、ケイは管理局の仕事を引き受け、春埼、野ノ尾とともに、九年間眠り続ける女性の「夢の世界」へ入る。そこでケイは、ミチルという少女と青い鳥に出会い――!
 “咲良田”とは?能力とは?物語の核心に迫る第5弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


特殊能力を有する若者たちが、真摯に幸せを追求するハートフルストーリー第5弾。
透明感のある雰囲気は、今巻も継続しています。

久々の本編ですね。
3巻は9割が過去編、4巻は短編集だったこともあり、ようやく物語が再始動しました。
ただし、今回はサブストーリーに本筋の種蒔きを散らしたかの内容ですがね。

中身は、安定した作りで楽しめました。
妙に哲学的な会話が面白く、気が付いたら読み終わっています。
丁寧語の会話が機械的なやり取りだからこそ、言葉に含まれる人肌に触れたかのような温もりが伝わってきますね。

ほのかに温まる優しさと、残酷な消失が表裏一体となっている話でした。
泣きたくなるくらい切ないけれど、救いのあるラストのおかげで、読了感は素晴らしく晴れやかです。
若干インパクトが不足気味ですけれど、及第点はクリアしていると思います。

一人でも多くの笑顔を実現しようと奔走するケイの理念は、凄く心地良い。
現実を脱線しない程度に理想を追い求める彼の努力は、一種の恐ろしさを覚えるほどに純度が高く眩しく見えます。
個を消しているようで、誰よりも我が強いところが好きですね。

登場人物たちが曇ることなくクッキリと描かれる裏で、細かな設定や伏線が配慮されています。
能力の組み合わせ方が絶妙で無駄がないのは、もはや言うまでもなし。
積み重ねていく土台の安定感は見事です。

この作品、刊行順に読んでいても時間軸が激しく前後するので、中間部分が不透明ですね。
意図的に隠された事実が含まれているんでしょうけど、少々把握し辛いのが難点かな。
相麻菫の計画や、管理局内部の思惑が少しずつ見えてきて、シリーズの根幹部分が判明しつつありますが、終着点はまだまだ見えないですね。

きっと作者の頭の中では、完成図が出来あがっているんでしょう。
空いている箇所にピースを一つずつ埋めていくパズルを彷彿とさせる構成で、隙がありません。
刊行が空いてしまうと忘れてしまいそうなので、一気に読みたいですね。

大切な少女のために手段を選ばない主人公が格好良い

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価B 

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バッカーノ!1710 Crack Flag 

バッカーノ!1710―Crack Flag (電撃文庫)バッカーノ!1710―Crack Flag (電撃文庫)
(2010/04/10)
成田 良悟

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読書期間:2011/6/16~2011/6/20

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
構成
世界観
ロマンス



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 全ての発端は1707年。
劇作家でもあるジャンピエールが、友人のマイザーを通じてフェルメートという錬金術師に出会ってしまったことがきっかけだった。
『不老不死』という言葉に釣られ、マイザーはベグやチェスと知り合い錬金術に魅入られていき、ジャンピエールは自分のファンというフェルメートに魅入られていった。
 そして二年後の1709年。
未だ錬金術を学ぶヒューイは、過去に囚われつつも徐々にモニカとエルマーに心を開き始めていた。
だが、この街の異物を探ろうとする使節団の来訪とジャンピエールの書いた新しい劇によって、ヒューイたちにも暗い過去の影が忍び込んでいく――。
 馬鹿騒ぎの始まりに迫る異色作第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「バッカーノ!」シリーズ通算15冊目。
1700年代としては、2冊目になります。

ロットヴァレンティーノの街で起こった一連の「仮面職人」事件から数年後。
ヒューイモニカエルマーの3人は少年少女から青年へと成長しつつあった。
そんな彼らに、不穏な影が舞い込む――というストーリーです。

これまでで最も異色であり、タイトルの馬鹿騒ぎに偽りのある回でした。
刊行順に読んでいれば、ヒューイとモニカの辿る運命は既知と言ってもよくて、覚悟して読んだ人も多いかと思います。
とんでもないことをあっさりと描かれる傾向がある作品ですが、この巻は重かったです。

ヒューイって、こんなに人間味溢れる性格をしていたのか。
1930年代の彼を見ていると、感情はあっても無機物的でしたからね。
モニカとの関係も、もっと機械じみた理論の結果なのかと思いきや、随分と情熱的で驚きました。

だからこそ、分かっていてもこの結末は哀しくなりますね。
胸に鋭利な刃物が突き刺さるかのような痛みがあります。
作者が堪えるぐらいですから、相当ですね。

それにしても、フェルメートの外道っぷりには、嫌悪しか抱きません。
犯罪に手を染めたり、人を簡単に殺めたり、馬鹿な連中は山ほど出てくる作品ですけど、コイツの場合はタチが悪過ぎる。
チェスとの一件を思い出してみても、ヒューイが可愛く思えるぐらいの悪役ですよ。
裏から掻き乱す存在なので、物語を面白くしてくれるのは確かなんですが、感情的には胸糞悪いという複雑なキャラです。
最終的には、きっと盛大に転ぶのでしょうが、フェルメートが痛い目を見る想像がつきませんね。

マイザーベグチェスなど後に不老不死を手に入れる錬金術師たちの若い頃の姿もあり、どのような流れで踏み込んで行ったのか、少しずつ暴かれていく過程も興味深いですね。
特に、マイザーの変貌ぶりは急激でした。
これはまた今後に裏エピソードが挿入されそうな予感がしますね。

久しぶりに読んだ1700年代ということもあって、すぐには思い出せない内容もありました。
ここが「バッカーノ!」シリーズ最大かつ唯一明確な欠点ですね。
構成が入り乱れているのが面白く興味をそそられるのですが、通して読んでいないと忘れてしまいます。
読みなおせよと言われればそれまでなんですが。

次の1700年代は1711年らしいですが、いよいよ錬金術師が結集する話になるっぽいですね。
どう考えても仲良くやれるわけがない面子が、いかにして揃ったのか気になります。

人を信じることができない人間が芽生えた愛情に戸惑いながらも大切にしようとする物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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