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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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バカとテストと召喚獣10.5 

バカとテストと召喚獣10.5 (ファミ通文庫)バカとテストと召喚獣10.5 (ファミ通文庫)
(2012/09/29)
井上 堅二

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読書期間:2012/10/1~2012/10/2

【評価……A-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
バカ
ギャグ
ラブコメ



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 進路希望調査の記入内容に迷う明久・雄二・ムッツリーニの三人に、学園長が提案したのは召喚者の未来をシミュレートする新たな実験――「間に合ってます」「なんだいその反応!?」(正しい教師とのやりとり)。
 とはいえ興味をそそられたFクラス面々は早速試してみることに……。
 『僕と未来と召喚獣』他、明久と雄二を襲った衝撃の人格入れ替わり事件の顛末『僕と雄二と危ない黒魔術』など全4本でお贈りする青春エクスプロージョンショートストーリー第5弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


バカテスシリーズ通算15冊目、短編集第5弾。
美春と共に玉野さんが早くも表紙登場。
大躍進ですなぁ。

やっぱり、バカテスは短編集の方が面白い。
皮肉なことに、テストや召喚獣が関わらない方が、ギャグセンス抜群である作者の力を存分に発揮できるんですよね。

僕と兄さんと謎の抱き枕

高校見学にやってきた久保弟&土屋妹から見た文月学園の非日常的な学園生活。
兄が明久の抱き枕などを所有していることを知った久保弟が事実を確かめに調査しにやってくる話です。

情報収集に努める久保弟を嘲笑うかのように、生徒たちの吉井明久評が酷いw
誰に尋ねても一言目にバカと言われ、二言目に衝撃的な噂を流される始末。
それがあながち間違いではないのが、明久の明久たる所以なのでしょうがねw
久保弟は、作品内では稀にみる常識人なので、文月学園に関わらない方が彼にとっては幸せではないかな……。

僕と雄二と危ない黒魔術

バカテス版「ココロココネクト ヒトランダム」編。
怪しげな黒魔術により明久と雄二の人格が入れ替わってしまい、いつものメンバーを巻き込んだ一騒動が繰り広げられます。

もはや召喚獣のシステムすら関係のないファンタジー設定は少々突飛すぎる気がしましたね。
しかし、それすら気にならないほどに勢いが凄まじく、笑いが止まりません。
見慣れたやり取りのはずなのに、言葉のチョイスが絶妙で、何度噴き出してしまったことやら。
笑いの破壊力は、今巻最大でしたね。
玉野さんの行動がガチ過ぎて、ギャグで収まりきれなかったのはいかがと思うw

僕と未来と召喚獣

進路に悩む明久達の前に、学園長による召喚獣調整の実験が行われれる恒例の展開。
今度の召喚獣は、未来のシミュレートができるというもの。

これは興味深いエピソードでしたねー。
みんな身長が伸びたり、大人っぽくなったりしていて、外見的な成長が窺えます。
葉賀ユイさんのイラストを眺めることが出来ただけでも、この話は大成功でした。
20代中頃の明久には、今にはない余裕が生まれていて格好良かったですね。

私とウサギと仄かな初恋

吉井くんと瑞希ちゃんの過去話。
瑞希が事あるごとに匂わせていた明久に好意を抱くようになったキッカケですね。
それが遂に明かされます。

未来以上に有り得ないくらい美少年な明久がいる!
明るくて皆の輪の中心にいて、周囲に笑顔を振りまくクラスの人気者。
一体この天使のような子が、どうしてあんなにバカになってしまったんだ……。
まぁ、視点の関係から瑞希フィルターによる補正が強かったのかもしれませんが。

ネガティブな思考が常な瑞希ちゃんにとって、明久は眩しい存在だったでしょうね。
些細なことで喜ぶ二人が、微笑ましくてほんわかとした気持ちになりました。
それだけに意外なストーリー運びに少々驚きましたけど、この話、絶対裏側がありますよね。
美波の過去話が雄二視点でも語られたように、今度は明久視点で見せてくれそう。

ノンストップバカコメディの真骨頂は短編にこそある

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカとテストと召喚獣  井上堅二  葉賀ユイ  評価A- 

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とある飛空士への夜想曲 下 

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)
(2011/09/17)
犬村 小六

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読書期間:2012/8/21~2012/8/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
感動
ロマンス



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 サイオン島には「魔犬」がいる――。ヴィクトリア海海戦より半年後、帝政天ツ上軍の撃墜王・千々石は、神聖レヴァーム皇国軍の飛空士たちにそう呼ばれ恐れられていた。
 しかし、物量に劣る天ツ上の兵士たちは、レヴァーム軍の果てしない攻撃を前に次々と命を散らしてゆく。
 そして、ついに東進を開始したバルドー機動艦隊。迎え撃つべく、空母「雲鶴」に再び乗り込んだ千々石を待ち構えていたのは、最新鋭科学兵器に守られた海の要塞と、あの男の技だった……!
 魔犬と海猫――ふたりの天才は決着を求め、天空を翔る!「夜想曲」完結!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「とある飛空士」シリーズ第三部、完。

圧倒された。
ただそれに尽きます。

魔犬vs海猫、決着。
フルスロットルで翔け抜けた男達の戦いが、ここで一つ幕を閉じます。

運命というものはあまり信じないタチなのですが、この物語ばかりはそんな言葉がよぎってしまいます。
千々石武夫と吉岡ユキが出逢い、魔犬と海猫が出逢う。
二つの点を結ぶことで生まれる直線は、結末までも決めてしまったのではないでしょうか。

ストーリーは、誰もが予想した内容を辿ったものでした。
それなのに、どうしてこんなにも心を揺さぶられるのでしょう。
戦中ならば有り触れた出来事なのだとしても、陳腐だと一蹴は出来ません。
過酷な状況下で輝く命の尊さと、恐怖を乗り越えた感情の強さは、目が離せず惹きつけられます。
作中の表現にあった通り、まさしく「命を絞り尽くして」生きた者たちの物語だからこそ、胸を打つのでしょうね。

エースのエースたる所以。
千々石武夫の信念と実行に移せる実力に惚れ込みます。
確かに普段は古風なまでに不器用な千々石に対して、もどかしさを覚えてばかりで、波佐見やユキが憤るのも仕方がないなと思いました。
しかし、千々石の図太く育った根幹は、一種の憧れを抱かせる力強さがあります。
英雄を夢見る子供はもちろん、大人ですら勘違いして焦がれてしまうほどに。

そして、もう一人の主人公である海猫。
熾烈な戦いが繰り広げられる最中で、美しさすら感じさせたライバル関係。
彼が空を飛び続ける理由が、たった一言文中に登場しただけで、多大なる破壊力がありました。
魔犬と海猫だったからこそ生まれた空中舞踏だったのだと思います。

苛烈を極める戦争描写に遠慮が一切ありません。
形勢が傾き、消耗していく戦力と疲弊する飛空士たち。
それでも引かない、引くわけにはいかない男たちの執念。
お見事という他ありません。

これは果たして浪漫と呼べる代物だったのでしょうか。
戦争のやるせなさを痛感させられ、結果を見れば哀しみばかりが生まれました。
最後に紡がれた歌だけが救いであったように感じてなりません。
ただ一つ確かなのは、紛れもなく傑作だったということでしょう。

愛する人との約束を胸に抱き、宿敵との決戦に挑む男の物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とある飛空士への夜想曲  犬村小六  森沢晴行  評価A- 

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空ろの箱と零のマリア5 

空ろの箱と零のマリア〈5〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈5〉 (電撃文庫)
(2012/07/10)
御影 瑛路

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読書期間:2012/7/17

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成
緊張感
狂気



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 大嶺醍哉が手にした箱は、“罪と罰と罪の影”。
 人々の罪を可視化、それを取り込むことによって対象を傀儡化する“箱”を使い、彼は人間を『選別』していく。
 自身の信念に基づき邁進する醍哉。
 そんな彼を“敵”とみなす星野一輝は、醍哉を止めるため、箱“願い潰しの銀幕”の使用を決断する。
 そして醍哉は、気づけば無人の映画館の中に閉じ込められていた。ここが一輝が展開した“箱”の中だと気づいた醍哉は、対抗するための手段を模索する。
 “箱”VS“箱”。衝突する二人。
 果たして勝者は――?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


2年振りに発売された待望「はこマリっ!」シリーズ、第5巻。
合間に別作品を挟んだことで、打ち切りかと危惧されましたが、無事に刊行されて本当に良かった。
今現在追いかけているシリーズ作品でも、指折りのお気に入り作品です。

さすがに忘れていることも多く、ややこしい設定などに思い出すのに苦労しました。
もしも期間を置いて読むのであれば、軽くおさらいしておくことをお薦めします。

物語は佳境に入り、遂に正面衝突となった一輝と醍哉。
互いの願いを遂げるために、互いの願望を潰さねばならない。
“箱”の使用者同士の争いは、苛烈を極めていく……。

そう、これを待っていました!
じっくりと読みこみたくなる面白さは、他では早々味わうことが出来ません。

醜悪な人間模様と突き抜けた爽快感が混在した作風は変わらず。
娯楽性の濃かった「怠惰なる遊戯」編と比べると、“箱”自体のギミックよりも、軸のしっかりしたストーリーに興味をそそられます。
タイトルに結びつけた構成力には、驚愕を覚えます。

えげつない話を書かせたら、著者の右に出るラノベ作家は存在しないのではないでしょうか。
残虐かつ非道な人間を描く際に、読者層を想定してオブラートに包まれるどころか、容赦のない表現で徹底的に虐め抜いています。
この手の残酷さが好きな人にとっては、堪らなくゾクゾクとするでしょうね。

抽象的な事象を具体的表現で置換する手法に長けているのが特徴ですね。
少し曖昧すぎてボカしている部分は見受けられますが、本筋には影響ありません。
“箱”という認識し辛い現象を的確に書き表しており、読者が想像しやすい配慮がなされています。
特に今回の場合、醍哉が手にした箱“罪と罰と罪の影”は、名称通り、人間の罪や罰を具現化しているので、描写のキツさが跳ね上がっているように感じられます。

醍哉をダブル主人公の片割れとして書いたというだけあって、5巻の主役は紛れもなく彼です。
ばら撒かれていたヒントを繋ぎ合わした解答編ともいうべき構成となっており、中学時代から大きく変化した醍哉の背景に迫るものとなっていました。
その一方で、従来の主人公であった星野一輝は、もはやラスボス化していますね。
いや、ダークヒーローと言った方が適正かな。

醍哉の思考には共感を覚えるところが多数あります。
どちらかといえば、一輝の方が異常だと感じるから、醍哉の方に寄りついた……というわけではなく、常日頃から醍哉のような考え方が根底にあるからです。
現実は、不条理で不平等だと痛感し、理解しているからこその願望でしょうね。
実現可能な方法が存在しないために諦めていたのが、突如“箱”という形で転がりこんできたら、賭けたくなるのも心情的に仕方がないことです。

3,4巻で登場した新藤色葉と柳悠里にも積極的な介入があるのが嬉しい。
両者ともに、ゲストキャラとするにはあまりに惜しい人材でしたからね。
清純派ビッチというワケのわからないキャラ設定が妙にしっくりくる柳悠里。
己の力量を正しく把握して如何無く発揮出来る強さを持つ新藤色葉。
どちらも非常に魅力的かつ刺激的で、ゲームを盛り上げてくれます。

元々安定していなかったイラストは、2年の時で更に変貌を遂げましたね。
口絵の一輝や醍哉を見て、誰だこれ?と思いましたよ。
個人的には、1~3巻頃の絵柄が好きですね。

さて、明確に埋められた伏線が、明かされるまま終わりました。
全てが引っくり返る可能性を秘めた仕掛けは、果たしてどのように動き出すのか。
次巻も目が離せませんね。

登場人物達の駆け引きが逆転の応酬でワクワクが止まりません

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  鉄雄  評価A- 

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ココロコネクト ステップタイム 

ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)
(2012/06/30)
庵田定夏

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読書期間:2012/7/6

【評価……A-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
ラブコメ
リア充



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 お付き合いするということは、二人の仲が進展するということ――生まれて初めて恋人ができた桐山唯は悶えていた。それを見かねた親友の雪菜は太一&稲葉、中山&石川を巻き込んだトリプルデートを計画して……!?
 戸惑いの初デートから、五人が互いの第一印象を語る創部ヒストリー、稲葉と伊織の友情秘話に藤島麻衣子と1年生コンビが立ち上げたプロジェクトの全貌まで!
 愛と青春の五角形コメディ、美味しいところを詰め込んだココロコレクト第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ココロコ短編集「ココロコレクト」第2弾。

恋あり友情あり、シリアスありコメディあり。
過去話から最新話まで、文研部2年生5人以外にも見せ場が用意された幅広い内容となっています。
以前より告知されていました最終章の目前として相応しいラインナップだと思います。

表紙絵は、太一&稲葉んのカップルに他2名。
稲葉んの表情が完全に恋する乙女で、初期のクールなイメージはどこへやらという可愛さ。
背まで縮んでしまったかのように見えますね。
短編の中身も稲葉ファンとしては嬉しい展開が多くて堪能させていただきました。

ちゃっかり最前列でカメラ目線の藤島姐さんはさすがです。
そして今回の短編集でまるで関係のない妹の莉奈が登場しているのはファンサービスなんでしょうかね。

「ファーストエンカウンター」

タイトルから察することが出来るように、文研部の創設が語られるエピソード。
八重樫太一・稲葉姫子・永瀬伊織・桐山唯・青木義文の5人それぞれの視点から各人物に抱いた印象をモノローグで綴られています。
まだ出逢って間もないということで、距離感の掴めない皆の様子が初々しい。
しかし、既にこの頃には部の雰囲気は雛型が完成しており、仲良くなることが約束されていたかのよう。
まるで記憶消失されたループ物かのように自然と馴れ合っているんですよね。
実は、ふうせんかずらによって現象が起きた2回目以降の世界なのかと思うのは疑いすぎかな。
それにしても、「ヒトランダム」で伊織は相手に合わせてきたとドヤ顔で太一に告白しましたが、みんなにバレバレじゃねーかw

「ふたりぼっちの友情」

伊織と稲葉んの友情秘話。
対外的に仮面を被っている節のある似た者同士の二人が、本物の友情を育むキッカケとなった1年生の頃のストーリーです。
意外と精神面が脆い二人が、窮地に立つことで互いの心を曝け出す展開は、ココロコらしい。
たとえ不思議な現象が起きてなくても、少女達の成長物語というコンセプトは変わらないですね。

「デート×デート×デート」

伊織と雪菜が見守る中で行われる太一&稲葉、青木&唯、石川&中山のトリプルデート話。
唯と中山が不甲斐ないと雪菜が憤り、デートしろと発案したのが事の始まり。
青木や石川は彼氏として頑張っているのに対し、唯と中山は可哀想になるくらいテンパってますね。
ガチガチに固まっていて、ミスしたことに落ち込み、初々しさを通り越して痛々しい。
それに比べて、太一と稲葉のカップル指数は、さすが数々の関門を乗り越えてきただけのことはあって、まだ付き合い始めて半年とは思えない程の安定感ですね。
稲葉んが太一と二人っきりのときだけ自然体で、少しだけいつもより表情や会話が柔らかいところにトキメキを感じずにはいられません。

口絵にファッションチェックがありますが、ここも稲葉んの圧勝すぎる。
まぁ好みはあるんでしょうけどね。

「この我が道を行く疾走」

時系列としては最新のエピソード。
文研部2年生のリア充っぷりをまざまざと見せつけられた紫乃と千尋が、藤島と組んで「リア充とは何か?」を改めて研究する一風変わったお話。
藤島麻衣子視点で心情が描かれており、彼女の真意がどこにあったのかが分かる貴重な短編でした。
妙なところだけ鋭く変に鈍感だから、春が訪れるのは時間が掛かりそうだなぁ。

次回以降に迎える転機を不安感いっぱいに煽っていますね。
ココロコシリーズは、毎度引きが強烈だなー。

現象が起きないからこそ人間関係が生々しく描くことが出来ている短編集

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ココロコネクト  庵田定夏  白身魚  評価A- 

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ベン・トー9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 

ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2012/06/22)
アサウラ

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読書期間:2012/6/27~2012/6/29

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
バカ
ギャグ
変態
ラブコメ
燃え
ロリ
 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9

 半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会は正月明け、冬の合宿へ向かう。槍水仙の愛妹・茉莉花も同行し、佐藤の心は密かに躍る。しかしその合宿地では元HP部の《大厄の闘牛士》と呼ばれる狼が待ち受けていた。彼は槍水と深い因縁があるのだと言うのだが…。さらに佐藤たちは《ギリー・ドゥー》こと禊萩真希乃とも再会を果たし、田舎のスーパーは激闘の最前線と化す!そんな中、茉莉花と佐藤がゲレンデでアクシデントに遭ってしまい、そして…!?
 雪山に響く狼たちの咆哮!香辛料が青春にピリッと効く、庶民派シリアスギャグアクション、第9巻!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


半額弁当を求めて遥か北へ。
雪をも溶かさんとする情熱で行われる半額弁当争奪戦、シリーズ通算第11冊です。

変態は、レベル上がった!(ぱららぱっぱっぱ~)
……いやいやいや、犯罪じゃねえか、オイ!
この男、やるときはやると思っていましたが、ヤるときもヤりやがる……!

そんなわけで、佐藤の毒牙にかかったのは、表紙を飾る中学生と小学生。
禊萩真希乃槍水茉莉花が再登場した今回は、以前から何度も作中で話題に上がっていた冬の合宿編となります。
HP部が離散したキッカケが、遂に明かされる……と思ったいたのですが、進んでいるようで進んでいないなぁ。

合宿地のスーパーで現れたのは、かつてのHP部の一員である秋鹿雅
とある思惑で槍水に最接近した秋鹿との争奪戦がメインの回となります。

終わって欲しくないシリーズとはいえ、引き伸ばし感も尋常ではないですね。
1巻の頃からの謎が、未だに本題に突入していないんですから。
そろそろ一度決着をつけて、2年に進級した佐藤達の新章を始めてもいいんじゃないでしょうか。
語られていない秘密が、それほど凄いことだと予感させませんしね。

秋鹿サイドの描写も結構な割合を占めているため、早めの段階で何となく彼の考えて読めてしまいました。
それでもなお物語を熱く展開させてくれるところは、さすがというべきですか。
くだらないのに燃えてしまうのが、悔しいどころか嬉しいんですよね。

それにしても、キャラが濃いのなんの。
中でも特筆すべきなのは、やはり幼女・茉莉花でしょうね。
10歳という年齢にして、作中の誰よりもフェロモンを撒き散らしていますよ、この娘。
これを天然でやっているんだから、末恐ろしい。
健気で無防備な幼女を、変態の傍に置いておいたら、そりゃあ間違いの一つや二つ起きても不思議じゃないです。

白粉も佐藤に負けじと成長してますね……変態として。
これまでも女版佐藤とも言うべき行動力でしたが、一歩抜け出した感があります。
果たして佐藤は卒業まで貞操を守り抜くことができるんだろうか……いや、無理そうだなw
佐藤が絡む事象を全てアッチ系に変換できる能力は、防ぎようがないもんなぁ……w
ああ、あと久しぶりに狼としての見せ場があったのが嬉しかったです。
勝率的にも佐藤より上なんだし、そろそろ彼女にも二つ名が欲しいところですね。

ロリルートは犯罪臭が半端ないこともあって、ラブコメ的にはイマイチ萌えられませんでした。
個人的に最もグラリと来たのは、白梅様でした。
ひたすらツンしか見せてこなかっただけに、僅かな隙でもギャップが凄まじいことになります。
佐藤は、もっと彼女との妄想に励むべきだと思うんだ、うん。

真希乃の再登場は嬉しかったですね。
ただのゲストキャラで終わらせず、しっかりと《ギリー・ドゥー》としての活躍を見せてくれました。
彼女は、尽くす女というイメージが強いですね。
男にとっては都合が良過ぎるほどに、イイ女の子ですよ。

再登場が嬉しかったといえば、彼は色んな意味で美味しかったですね。
ネタバレになるので直接的には触れられませんが、彼特有の空気が大好きです。
ギャグ要因としても、燃え要素としても、作品の味を決定付けるスパイスとして見事な配役でした。

他にも遠征先で登場した狼の面々を掘り下げてくれたりと、丁寧な仕事が光ります。
《東北のカナリア》の正体は意外でしたね。
アニメ化されていないエピソードだったので、絵的には確かに見たこと無かったわけですけど。
一本取られたなと思いました。

相変わらず年長者なのにが一番幼く見えますね。
他が分かっていながら黙っているところを変に大人ぶったり、逆に落ち着きがなかったり。
おかげさまで、奢莪の本妻っぷりを見せつけるカマセ犬になりつつあるような気さえしますよ。
過保護なまでに守られる彼女が抱える過去とはなんなんでしょうね。

弁当に限らず食事のシーンは、本当にウマそうだなぁ。
今回は、いつも以上に身近な食べ物が多くて、味を想像しやすかった分、更に胃が刺激されました。
舞台が冬の東北ということもあって、温かい食べ物が非常に美味しそうで、涎が出てきます。
あー、夏バテ解消法として、この本を読むのはいいかもしれませんねw

遠征先キャラ総出演によるハードなギャグと熱い物語が堪能できます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ベン・トー  アサウラ  柴乃櫂人  評価A- 

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暴風ガールズファイト2 

暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫)暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫)
(2007/12/25)
佐々原 史緒

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/26~2012/5/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春
スポコン
燃え
友情
構成

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8


 グラウンド、ユニフォーム、チーム名をGETし意気揚々の、ラクロス同好会改め≪聖ヴェリタス ロッソ・テンペスタ≫。
 校外合宿と公式戦出場を目指し、次に狙うはオージーからの不思議な留学生カレンと、ヴェリタスの王子こと九條香月(とそのお供)!ミッション遂行のため、級長様の謀略が冴え渡る!?ああコワいですわ!
 「コラーっ、宮前!それじゃわたしが悪者みたいじゃん!」(by広海)
 合宿・特訓・肝試し!?体育会系美少女グラフィティ第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


嵐を撒き散らす女子ラクロス部の熱血スポコン小説、第2巻。

何という熱い戦い。これは燃える!

遂に部員が集まり、正式なクラブとして昇格したチーム≪ロッソ・テンペスタ≫。
合宿でスキルアップした彼女達は、念願の公式戦出場を果たす。
一度敗れたらお終いとなるトーナメント方式で、目標の日本一を目指す王道ストーリーです。

これぞ正統派スポコン小説でしょう。
とにかく感情そのものが生で発露する感覚といいましょうか。
声、汗、涙……。
彼女達が叫ぶと、こちらまで叫び出したくなるようなシンクロ率。
麻生広海の一人称で語られる心情は、ダイレクトに読者の心をガッチリと掴んで離しません。

多種多様な女の子が登場し、いずれも魅力的なキャラであるこの作品。
新たな部員が増えても、埋もれてしまうどころか、パワーアップしています。
ラクロス経験豊富なオカルト趣味の留学生、カレン・バクスター
女子校にありがちな王子系キャラ、九條香月
その九條の取り巻きであるミーハーな、高梨光葉明葉の双子姉妹。

個人的には好きなのは、不思議な観念を片言の日本語で話すカレン。
ちょっと浮いた感じが、グループ内のポジショニングとして面白い位置に収まっていますね。
我が強いメンバーの中で、ふわふわとした怪しさがイイ味を出していました。

エピソード的には、九條と小坂の掘り下げが良かった。
一人一人の個性を蔑ろにせず、キッチリと物語に絡めてくれるところに完成度の高さを感じさせます。

本当にかる~く漂わせる恋愛臭も嫌いじゃありません。
昨今の作品だと百合に走りがちなところなので、むしろこの方向性は大歓迎ですね。

相変わらずまとめ役の麻生さんと、一番を譲れない宮前の黒さがイイなぁ。
いつの間にか麻生さんと相棒役みたいになった長谷川が抑え役となっているのも面白い。

そして、何と言っても評価したいのは、ラクロスの試合描写でしょう。
三人称ならまだしも、一人称でライブ感溢れる展開を見せられるって相当だと思うんですよ。

スポコン漫画は大好きでよく読むんですが、ラノベでは何故か取り上げられにくい題材なんですよね。
確かに、表現上、絵的な効果が大きいために扱われにくいとは思うんです。
更にいえば、スポーツ物を書ける作家が少なかったのではないでしょうか。
あくまで設定や舞台装置にスポーツを利用しただけのコメディだったり、萌えだったりすることが多数見られます。
それはそれで構いやしませんが、ガチの熱血系作品はなかなかありません。

その観点において、佐々原史緒さんの姿勢は、情熱を注ぎ込んでいるのが読み手に伝わってくるぐらい熱いもので、大変貴重なものです。
ブログで感想を書き始める前から読んできたラノベ歴で、最も楽しかったスポコン小説でした。

3巻の予定がないのが残念すぎます。
おそらくそれを理解しての執筆だったんでしょうね。
若干ながら、端折った部分もありましたし。
今からでも遅くはないので、続きを出して欲しいなぁ。

一つ一つのプレーに一喜一憂できるスポーツの醍醐味が詰まった熱血青春モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  暴風ガールズファイト  佐々原史緒  倉藤倖  評価A- 

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東京レイヴンズ7 _DARKNESS_EMERGE_ 

東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)
(2012/05/19)
あざの 耕平

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/23~2012/5/25

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
世界観
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 『D』による陰陽塾銃撃事件からしばらく。
 その傷跡は大きく、陰陽塾は一時閉鎖に追い込まれ、退塾する生徒も続出していた。そんな中、『D』と大友の熾烈な呪術戦に心を奪われたままの春虎は、夏目とともに訪れた陰陽塾屋上の祭壇で、一人の少女と出会う。
 「君たち二人のことはよく知ってる。初めまして――ぼくは相馬多岐子」
 その出会いが、のちにもたらす意味を知らないままに。
 時同じくして、呪捜部公安課による双角会掃討作戦が密かに始動。陰陽庁内部に潜む“敵”の炙り出しが行われるのだが!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽術を駆使して邪念を祓う若き闇烏たちの物語、第7巻。
信じていたものが崩れていく分岐点といえるエピソードでした。

良い意味でイヤな感じに盛り上がってきた!

表面上は見えていなかったものが、遂に噴出してきましたね。
前回が分かりやすい燃え回だとすると、今回は様々な陰謀に混迷をきたす回でした。
絶望的な状況を作り出し、先の見えない不安を与えることに長けた作者さんらしい巻だったと思います。

450ページを超えるボリューミーな内容は、複数サイドの視点によるものです。
数々の思惑と困惑が絡み合い、継続する緊迫感のために心休まる暇はありません。
一歩誤れば、どこからでも破綻してしまう危うい道を進む春虎たちでしたが、いつまでも耐えられると思っていたら大間違いですよね。
たまたま成功していただけで、失敗はすぐ傍にまで迫っていました。

ストーリー展開は、最初から物凄く嫌な予感があったので、衝撃的といえども「やっぱりな」という思いを強く抱きました。
一体どこに人が頼っている柱があるのか認識し、的確に折ってくるから容赦がない。
登場人物と読者をまとめて精神的なダメージを与えてくれますなぁ。

裏でおっさんが暗躍する話こそ、あざのさんの真骨頂でしょう。
6巻では大友先生の術比べに鳥肌が立ちましたが、今度は天海大善の渋さにゾクゾクとしました。
二手三手先を読む洞察力と、言葉は悪いですが、老獪な駆け引きが格好良すぎます。

執り成し役のポジションが板についていた京子に、再びヒロインとしてのスポットライトが当てられたことは素直に嬉しい。
なあなあで済ませてしまわず、しっかりと伏線を回収してくれたことを評価したい。
彼女だって、まだ春虎たちと歳も変わらない学生。
弱さを見せたっていいと思います。
彼女の宙ぶらりんとなった想いは、果たしてどちらへ向くのか気になります。

春虎にとってのターニングポイントは、大友vs蘆屋道満を間近で目撃したことだったようですね。
これまでも比較的機転を利かせられるタイプではあったのですが、術の連動性という意味合いでは皆無で、呪符にしろ護符にしろ単発的なものばかりでした。
それを見よう見まねで、拙いながらも工夫を自分なりに重ねて、次へ次へと繋げようとする様は、成長を感じさせます。
必死に頭を使って組み立てようとする春虎が、何だか頼もしくなってきました。

前半の説明過多は、それはそれで読み応えがあったのですけれども、やはり特筆すべきは後半に突入してからのノンストップ展開。
ギリギリの状況下の中で、仲間と共に立ちあがる春虎パーティーが熱い。
着々と経験値を稼いでいっていますね。
まぁ、それでも実力は足りなさ過ぎなんですけども。

部分的に発覚した真実が、どのように連鎖反応を起こしていくのか。
次巻も目が離せません。

繋がり始めたピースと暴かれた事実が、人間関係に変化をもたらします

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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塩の街 

塩の街塩の街
(2007/06)
有川 浩

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読書期間:2012/3/27~2012/4/1

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 なし
恋愛
世界観
完成度



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。男の名は秋庭、少女の名は真奈。静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた……。
 第10回電撃大賞<大賞>受賞作にて有川浩のデビュー作でもある『塩の街』が、本編大幅改稿、番外編短編四篇を加えた大ボリュームでハードカバー単行本として刊行される。

【感想】


数々の名作を発表している有川浩さんのデビュー作。

元は電撃文庫で出版されたものを改稿&加筆してハードカバーとして売り出されたものです。
のちに文庫版でも出されているので、今はそちらから入手するのが最適でしょうね。
ハードカバーは、やっぱり重いし持ち運びに不便です。

有川浩さんというと「図書館戦争」シリーズを連想する人は多いでしょう。
自分もその例に漏れず、アニメ版「図書館戦争」のイメージが下地にありました。
正直、あのアニメは悪くないところもあったものの、設定が突飛な割には慢性的な説明不足で、世界観の歪さが浮いてて理不尽さが納得できませんでした。
そんなわけで、有川浩さんの本にはあまり興味が湧かなかった経緯があります。
しかし、実際にこの「塩の街」を読んでみたら、いかに間違った認識だったのかと思い知らされました。

文句なしに面白かったです。

突如、世界に飛来した巨大な白い隕石。
その塊が落下したのと時を同じくして、人が塩になってしまう現象が起こる。
世界の人口は大幅に削れ、ライフラインは断絶し、世は終末へと向かっていた。
一組の男女の恋物語が、世界に多大なる影響を及ぼすとは知らずに……というストーリー。

これが本当に電撃文庫から発売されたのかと、読み終わった後でも信じ難いです。
ハードカバーで刊行するにあたって文章を見直ししたんでしょうが、それでも昨今のラノベとは趣がまるで異なります。
単に物語が重いだけなら他にも多くあるんですけど、地に足が付いていると言いますか、テーマが一貫としていて、隙のない構成となっています。
なるほどなぁ、担当がハードカバーで出したがるわけだ。

塩の柱となってしまう通称・塩害の設定は、SFとファンタジーが8:2といった比率でしょうか。
塩害が起こる理由は推察されていますが、そもそも何故落ちてきたのかは一切不明です。
土台となる舞台に関しては、設定そのままを受け取るほかありません。

一見奇抜な設定が売りに見えますが、実際のところは世界を舞台にしたラブストーリーが主軸です。
塩害で孤立した18歳の少女・真奈と、彼女に手を差し伸べた二十代後半の男・秋庭
人の気配が立ち消えた街で、二人の微妙な距離感がほろ苦くも生々しく描かれています。
女のために仕事をする男と、男と一緒に居たいために引き留める女。
どこにでも転がっているかのような男女関係の縮図が、この本に凝縮されています。

自分が男だからなんでしょうが、感情よりも理屈で動いてしまう秋庭の気持ちに共感してしまいますね。
真奈の感情論が駄目というわけではなく、心の強さに感心してしまうほどなんですが、それを理解した上で、この女を守りたいという方向へ思考がシフトしてしまう秋庭は責められません。
ここまで想われてしまうと、やるしかないよなー。

クライマックスは、どうやら電撃文庫版と大幅に内容が異なるようで、ちょっと興味が沸きました。
あっさりと思わってしまったので、あれ?と思わないでもなかったり。
物語の主題は、キッチリと描ききっているので、これはこれでいいと思いますけどね。

後半の半分は「塩の街、その後」と題して、短編が4本収録されています。
これが電撃文庫版ではなかったもののようで、ハードカバーで購入した最大の理由です。
ただ、面白いのは面白かったんですけど、少々蛇足気味に感じてしまいました。
昇ってきた階段をまた昇り直しているような感覚で、更なる高みへは望めなかったかなという印象です。

それにしても、電撃文庫版ではイラストが随分と不評ですね。
確かに、読了後に表紙絵を見てみましたが、想像図と全く違いますが。

デビュー作だとは思えないクオリティでした。
次に何を読むかまだ決めていませんが、有川浩さんの本は必ず読んでみたいと思います。

大人版ライトノベル、ジャンル・セカイ系ラブストーリー

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  塩の街  有川浩  評価A- 

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ココロコネクト ユメランダム 

ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)
(2012/02/29)
庵田 定夏

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読書期間:2012/3/1~2012/3/2

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
ラブコメ




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 修学旅行を控えた9月末、太一たち二年生には進路調査票が配られていた。
 部室で将来を見据えて語るメンバーを見て、一人焦りを覚える太一。
 そんな時、「――これで最後です」と<ふうせんかずら>が終わりと始まりを告げる。
 山星高校全員の願望が見える、その現象を危惧した稲葉は何もしないことを部員たちに強要。
 しかし見捨てることはできないと主張する太一と唯、反対派の稲葉と青木で意見の衝突が始まって……。
 愛と青春の五角形コメディ第6巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


不思議な現象に巻き込まれるたびに成長する少年少女の青春ラブコメディ、第7巻。
アニメ化に続き、ゲーム化も発表され、名実ともに人気シリーズとして相応しくなってきました。

本当に面白い作品だなぁと、しみじみ思います。

<ふうせんかずら>より告げられた最後の現象『夢中透視』は、二年生5人に力が宿るものだった。
その力は、文研部以外の山星高校に在学する者すべての願望を見通すという。
他人の手助けを積極的に行いたい自己犠牲野郎の太一や、見て見ぬ振りが出来ない唯は、力の行使を主張するが、稲葉と青木は異常な方法で手に入れた情報に手を出してはいけないと反対する。
意見の食い違いにより文研部の空気が怪しくなっていく――というストーリーです。

数々の苦境を乗り越えたことで、10代とは思えないほどの精神力を身に付けた文研部メンバー達。
一年生の千尋や紫乃と比べると、もはや隙など見当たらないのではないかと思っていました。
ところが、強固な絆だからこそ、僅かな綻びが深刻な裂け目となってしまいます。
第1巻の「ニセランダム」の時からこの構想を練っていたんでしょうか。
どちらにせよ物語の流れが計算付くとなっており、感服するしかないですね。

毎回誰かしらがズタズタのボロボロまで追い込まれますが、今回は太一の番でした。
かつてないほどに失敗を繰り返す太一に、何度モヤモヤとさせられたことやら。
自己犠牲野郎の言葉で片付けられていた太一の本質を、更に一歩踏み込み暴く展開はさすが。
どこまでも青く、だからこそ一皮剥けたときの輝きは、羨むぐらいに眩しい。
一人では越えられない壁も、かけがえのない友となら越えられる、なんて青臭くて言葉に出すのも恥ずかしくなるようなことを体現している彼らは、まさに青春してますね。

太一の問題は作中で散々掘り下げられましたが、今回の件のキッカケは、稲葉だったと思います。
議論すら取り合わず、独裁的に話を完結させようとしたのがそもそもの始まりでしょう。
太一の危うさを理解していながら……いや、理解しているからこそなのか、反論を許さない姿勢で『夢中透視』の力を使わないよう強制したのが、拗れてしまった原因でした。
二人とも頑固だからなぁ……。

結局、人は身近な人間、もしくは自分に影響を与える人間のことしか考えられないんですよね。
そして、それは概ね正しいと思います。
名も知らない人の不幸よりも、大切な人間の幸せを願っても何も悪くないですし、当然でしょう。
そこへ思考が至ったキャラがいなかったのが惜しい。
正直、青木家の件については、太一たちが責められる筋合いはなく、むしろ正当な判断が出来る状況を作り出したと褒めらるべきことです。

要するに、客観的に見えて感情論で語っているのは、稲葉も青木も同じなわけで。
力が芽生えてしまった以上、力を使用するにしても見なかったことにするにしても、己の基準で判断するしかないわけですよね。
幸い、伊織が慎重派で中間を担ってくれましたけど、空中分解してもおかしくなかった。
それぐらい極論のぶつけ合いで、もう少し柔軟に対応すればいいのにと思いました。

藤島の存在感が半端じゃない件については、もう藤島だから仕方がないで説明がつくと思うw
何だか彼女だけ別の軸で動いているかのような独特感がありますよね。

挿絵は脇役メインで物足りませんでしたけど、その代わり表紙が良かったです。
対立している4人と中心に佇む伊織が、作品の内容を見事に捉えていました。

恋愛事情に関しては、大きな進展があった割には、晴れ渡るような解放感はあと一歩だったかなぁ。
良かったのは間違いないんですけど、読者視点で対立関係を引きずって読んでしまいました。

本編は次で最後のエピソードだそうですが、とんでもない展開になりそうな爆弾が……。
それでも彼や彼女ならば、きっとどんな苦難も乗り越えて、ハッピーエンドになるはず。
そう信じられるだけの成長を果たした巻だったと思います。

少年が己の本質から逃げずに向き合い、初めてスタートラインに立つ話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ココロコネクト  庵田定夏  白身魚  評価A- 

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サクラダリセット6 BOY, GIRL and ―― 

サクラダリセット6  BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)サクラダリセット6 BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)
(2011/11/30)
河野 裕

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読書期間:2012/1/24~2012/1/28
月間マイベスト作品

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
恋愛
透明感
切なさ
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 「これで、最後だから。たぶん、あと数日で、すべて終わる」
 復活後、姿を見せなかった相麻菫。しばらくぶりの彼女からケイへの連絡は、奇妙なものだった。
 一つ目は、春埼と一緒に交差点でゴミ拾いをしろというもの。
 一方、管理局対策室室長・浦地は“咲良田のリセット”――全能力の消滅を目論んでいた。彼は未来視能力を持つ二代目魔女・相麻に接触し……。
 初代魔女が名前を失う前、咲良田の「始まりの一年」が明らかに!最終章突入!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


壮大な舞台で綴られるのは、少年と少女の恋物語。
能力の是非を問うクライマックス突入のシリーズ第6巻です。

何という切なく、そして綺麗なお話。
この作者が紡ぎ出すキャラ、言葉使い、雰囲気。
いずれも美しいという言葉がピタリと似合います。
透き通った文章が、静かに心の奥深いところへと沈む込んでいき、離しません。
期待通り面白かったです。

遂に明かされる咲良田の始まりと、相麻菫の意図。
秘められた過去に気が付いた時、一言では言い表せられない想いが胸に込み上げてきます。
数々の伏線がたった一つのことへと収束しく様は圧巻で、様々な関門を貫いて届く想いを美しいと言わずとして何と表現すればいいのか分かりません。

相麻菫の悲痛なる決意を思うと、吐息が重くなります。
傍から見れば、たったそれだけのことであっても、彼女は文字通り身を投げてまで守りたかったのか。
彼女が抱える愛情の深さに涙腺が刺激されっぱなしです。
覚悟を決めた人間の格好良さに男も女も関係ありませんね。

ケイ、菫、そしてもう一人の主役となる浦地正宗。
彼らが幸せを求め、それぞれの世界を望み、我を通す行為に嫌悪感を抱かないのが凄い。
この作品の素晴らしいところは、皆が純粋に心を追い求めるところにあると思いますね。

脇を固める役柄も欠かせません。
全てはこのために配置していたのかと言わんばかりに、集うピース。
余すところなく全員が物語に関わり合い、ケイに影響を与えていく構成には目を瞠ります。
最初から完成形がある程度出来ていないと作れませんよ、これは。

小説に華を添える椎名優さんのイラストは、相変わらずの画力で文句のつけようがありません。
春埼の作り笑顔から、菫の慟哭まで、いずれも脳内に直接焼きついたかのように覚えています。
冒頭で登場人物紹介を載せてくれたことも有難い配慮でした。

能力は、人を幸せにするか否か。
最終巻を読むのが今から楽しみでなりません。

少女の苦しみと慈しみが詰まった未来が、優し過ぎて切なくなります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価A- 

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ベン・トー8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 

ベン・トー 8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 (ベン・トーシリーズ)(集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー 8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 (ベン・トーシリーズ)(集英社スーパーダッシュ文庫)
(2011/12/22)
アサウラ

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読書期間:2011/12/24~2011/12/26

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
バカ
ギャグ
変態
ラブコメ
燃え
完成度
 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9

 半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会ではメンバーの白粉に元気がないことを気に掛けていた。佐藤達は彼女を元に戻そうと奔走する一方、クリスマスに合わせるかのように『最も最強に近い狼』と呼ばれる猛者、サラマンダーが徐々に街へと近づきつつあるのを警戒していた。そんな中、槍水はHP同好会のメンバーと伝統である聖夜のパーティをしようとしていたのだが、白粉、そして佐藤も奢莪と別の予定を立ててしまっていて大変なことに――!?
 トナカイより多忙な「狼」たちの聖夜!庶民派シリアスギャグアクション、全国の同志へ贈るクリスマス・ギフト!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


半額弁当を求めし狼たちの熱き闘いの記録、通算10冊目。
一発ネタかと思われたこのシリーズも遂に大台に乗りましたね。

素晴らしい完成度。
集大成といえる出来にテンションがあがります。

8巻の発売が、ちょうどアニメ最終回の放送タイミングと重なったのは偶然じゃないでしょう。
アニメ効果を期待して仕上げたんだろうなと思いますが、内容もまたお見事でした。
いつの間にか増えた登場人物を総動員させ、かつ一人一人の見せ場も作りつつ、ストーリーも原点回帰させたシンプルながらも力強いものとなっています。
更には、アニメ化されたエピソードから伏線を拾ってくる視野の広さ、構成力の高さは驚きを禁じ得ません。

サブタイトルにある今回の目玉弁当「超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円」のインパクト、涙を浮かべる表紙の槍水先輩、『最も最強に近い狼』ことサラマンダーとの争奪戦を予感させるあらすじ――と、読む前から期待の高まる要素ばかりがこれでもかと並べられています。
作中の季節と発売の季節も合致していて、まさに作者からのクリスマスプレゼントですね、これは。
読んで楽しいセガネタも相変わらずで、ぎゅうぎゅうに詰まった文章の隅々まで美味しく戴けます。
このサービス精神てんこ盛りとなった8巻は、一種の完成形と呼べると思います。

とまぁ、大絶賛しておいてなんですが、欠点もいくつか。
まず第1章のエロ要素について。
詳しい内容はネタバレになるので触れませんが、佐藤の白梅様へのセクハラは度を越していたかなと。
白梅様のキャラは好きですし、佐藤とのやり取りも毎回楽しんでいますが、あれはなぁ……。
正直なところ、興奮しなかったわけではないんですけど、何か違うなーと感じました。

次に、物語の本筋ともいえるの性格について。
先輩ぶって偉そうにしているけれど、実のところ誰よりも子供なのが彼女ですね。
話題に入れないと怒ったり、拗ねたりする精神面は、幼いと言わざるを得ません。
これまではギャップ萌えが効果的で、可愛らしい一面しか見せてこなかった彼女の我が儘っぷりが、逆方向に働いてしまったのが、今回の衝突に繋がりました。
烏頭が腹を立てるのも仕方がない部分はあると思いますね。
佐藤の先輩像は思慕が入り過ぎてて甘く、私情込みの烏頭の方が客観的に仙のことを捉えています。

佐藤や白粉がメキメキと成長をしていっているのに対して、仙はHP部の想い出を引きずったまま。
結局言葉が足りなかったばかりに面倒事になったというのに、最後の最後まで変わらないんですよねぇ。
ラストで感謝でも謝罪でも言葉にして伝えていれば、だいぶ印象は変化したはずなんですが。
まぁ、キャラ的な意味合いでいえば、そんな面倒臭い性格なところが可愛いとも言えるのかもしれませんがね。
賛否両論を生んでしまうような態度だったのは否めません。

佐藤との結び付きでいえば、圧倒的に奢莪に軍配が上がりますね。
そこら辺のカップル以上にベッタリと深部でくっ付いているからなぁ……。
高段位桜桃少年団≪ハイクラスチェリーボーイズ≫が妬むのも致し方がないでしょうw

何気に白粉と仲良くやっているシーンがあるのも面白い。
普段はクリーチャーだと蔑んでいるにも関わらず、油断して女子扱いすると手痛いしっぺ返しを受けるのも定番ですね。
白梅との絡みも含めて、この三角関係はどこを切り取ってもニヤニヤさせられます。

魅力的な女の子は数多くいますが、その中でも一番は何と言っても沢桔梗ですね。
ずっと言い続けていますけど、アホの子+エロ言動で自虐に走る彼女は愛おし過ぎる。
茉莉花を除くと、あんなに好意全開なコミュニケーションを取ってくれる娘は、梗ぐらいなんですよね。
久しぶりにオルトロスの出番が満載で嬉しかったなぁ。
個人的には、梗×佐藤、鏡×二階堂という組み合わせが最高のカップリングです。

茶髪の格上げについては、やっと来たかという感じ。
弁当奪取率からすると、とうに二つ名クラスとしての実力は持ち合わせていましたからね。
気品溢れる立ち振る舞いで、もっと活躍して欲しいような脇役のまま輝いて欲しいような、悩ましいキャラですね。

ガンコナーこと山乃守烏頭のカップルも大好きです。
佐藤は苦手意識を持っているようですが、烏頭って凄くイイ女だと思うんですよね。
山乃守の人心掌握術は、更に磨きをかけていて、一杯喰わされました。

サラマンダーとの熱い争奪戦にも燃え上がりましたし、本当に隙間なく詰め込んだ一冊ですね。
主人公が活躍する王道的な展開も熱さに拍車をかけました。
魔術師、毛玉、坊主、顎鬚、ウルフヘア、柚子、ビッグ・マム、レッド……ああもう良キャラが多すぎて、書きたいことを全部綴っていてはキリがないw
とにもかくにも大満足な内容だったことは、間違いなかったです。

クリスマスだよ全員集合!とばかりにオールスターによる夢の共演が繰り広げられています

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ベン・トー  アサウラ  柴乃櫂人  評価A- 

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東京レイヴンズ6 Black Shaman ASSAULT 

東京レイヴンズ6  Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ6 Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)
(2011/10/20)
あざの 耕平

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読書期間:2011/11/27~2011/11/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
青春
期待感



 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★
 … 9




 思い出の中の大切な少女、北斗の正体は、夏目――?
 実技合宿以来、そんな疑念が拭いきれない春虎。北斗への自分の気持ちが整理できないままの春虎は、夏目に対しても今までのように接することができず、二人の中は次第にぎくしゃくしたものとなっていく。一方、『上巳の再祓』以降、その脅威が現実的なものとなった『D』は、陰陽庁に宣戦布告。事態を重く見た陰陽庁は『十二神将』を配置し迎撃を試みる。いち早く情報を察知した陰陽塾でも、警戒を強め、密かに準備を整えるのだが――!?
 すれ違う式神と主、激しさを増す陰と陽の戦い。若き闇鴉たちを取り巻く戦いは、いよいよ本格的になり!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


本格的な陰陽バトルが開始される、シリーズ第6巻。

面白かった!
スロースターターとして有名な著者ですが、遂にエンジンがかかりましたね。
まぁ、いつか必ず爆発するとは信じていたので心配はしていませんでした。

前半は、5巻からの流れで春虎と夏目の関係がギクシャクする話。
2冊ほど続いたラブコメの余韻を残す展開で、モヤモヤとする人間模様が描かれています。
少しバカで天然だけど真っ直ぐでイイ奴である春虎が下手に考え出すと、空気が停滞していまいますね。
今更ながらに夏目と北斗が同一人物なのかと思い悩んでいることを冬児あたりが知ったら、きっと呆れながら苦笑するんだろうなぁ。
本人はいたって真剣なんでしょうが、夏目からのカミングアウトを誤解した経緯を考えると、ツッコミの一つでも入れたくなります。

そんな春虎の代わりにムードメーカーとして活躍したのが、鈴鹿でした。
勝気な性格をしている一方で弄られ慣れていないので、リアクションが凄く可愛らしくて場が和みますね。
京子や冬児からの挑発に乗っかってしまう彼女を見ているだけでも楽しかったです。

ギャグパートでは、幼女先輩とのもコントも相変わらず畳みかける構成が見事でした。
先輩の春虎弄りは一級品で、この辺りのくだりを読んでいると、一冊丸々ギャグ小説を書けるのではないかなと思いますね。

しかし、今回の真髄は、ギャグではなく間違いなくバトルでしょう。
これまで姿を掴ませなかった蘆屋道満からの陰陽庁へ襲撃予告が入り、不穏な空気が漂い始めます。
その情報は陰陽塾にも伝わり、警戒態勢が敷かれる中、いよいよその時が訪れます。

危機に瀕した際に、未熟ながらも助け合う春虎たちパーティーが熱くて燃える。
まだまだ陰陽師としての力量は大したことがなくても、お互いにフォローしながら打破しようとするところがイイ。
RPGを彷彿とさせるような攻守は、見応え抜群でした。
こんな多人数バトルを的確な文章のみで表現する筆力は素晴らしいの一言です。

中でもやっぱり鈴鹿は、格の違いを見せつけてくれました。
研究職だったとはいえ、さすが十二神将の肩書きは伊達ではないですね。

あと、地味に天馬にも成長フラグが立っているところも見逃せません。
彼の活躍の方向性が垣間見ることが出来ました。

そして、後半の手に汗握る決戦には痺れましたね。
大友先生の格好良さが半端じゃねえ!
著者があとがきで述べていた通り、おっさんが活躍してからが本番ですよね。
ただ強いだけではなく、講師として、人間として魅せてくれます。
『BBB』でも陣内が一番好きな身としては、これは惚れてしまうわ。

加速し始めた物語は、もう止まらないでしょうね。
予告ページにある「覚醒」に期待せざるを得ません。

壮絶なる力と知恵の陰陽バトルにゾクゾクと震え上がります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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ココロコネクト ニセランダム 

ココロコネクト ニセランダム (ファミ通文庫)ココロコネクト ニセランダム (ファミ通文庫)
(2011/10/29)
庵田 定夏

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読書期間:2011/10/31

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
構成




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 新メンバーの千尋と紫乃が加わり、来るべく体育祭に向けて盛り上がる太一たち文研部。だがそんな一大イベントを前に一年生の二人はどこか浮かない顔をしていた。
 そんなある日、太一は伊織から「未練」があると告げられる。さらに周囲の言動から立ち上る強烈な違和感――信頼しているからこそ相手の言葉を疑いなく受け入れてしまう五人、そんなメンバーを陰で嘲笑うのは太一たちが予想もしない人物で……。
 愛と青春の五角形コメディ、絆を貫く第5巻!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


少年少女たちの愛と青春の成長物語、シリーズ通算6冊目。
帯にてアニメ化が発表され、ますます勢いの乗る本作。
今回も青臭過ぎて、痛々しさを通り越した清々しさが詰まっています。

一筋縄ではいかないからこその面白さがあるシリーズですね。
ライトノベルという言語通り、さらりと軽く流す物語が多い中で、キャラの掘り下げが素晴らしい。
表面だけでは留まらず、どんどん踏み込む容赦のなさは、なかなか見られません。

普段がリア充全開の和気藹々とした雰囲気だけに、追い込まれた時のギャップが凄まじい。
読んでいるこちらのココロまでもがズタズタになりますよ。
大人しく読むことが出来ず、呻いたり喚いたりしながらベッドの上でゴロゴロしまくってました。

心臓までに届く皮膚を一枚一枚剥いでいくような構成は、何度体験しても慣れません。
余計なものを取っ払い、文字通り心を裸にする追い詰め方には、躊躇いを感じさせませんね。
もちろん一切手加減ナシとまでは言いませんし、ぬるいなと思う場面も中にはあるんですけど、他多数のラブコメであるような安易で優しい解決は見当たらないです。
ホラーサスペンスならまだしも、青春系小説でここまでシビアなのは珍しい。

それにしても、今回の話は卑しい……もっと直接的に言えば、ゲスいものだったなぁ。
作品のテイストから考えると、境界線を越えた先の外道さだと感じました。
これまでの現象と比較すると、厭らしさが一際異質です。

主観をどこに置くかによって、大きく評価が割れるでしょうね。
個人的には、作品としてはありだと思うものの、文研部メンバーは聞き分けが良過ぎるなーとも思いました。
大人びた思考とか、成熟しているとか、そんなレベルじゃないですよこれは。
絆が強固すぎて隙がなく、人間が出来た考えばかりで、聖人君子にしか見えない。
2年生5人組のリア充オーラが圧倒的すぎて、2人の後輩が気後れしてしまうのも致し方がないかな。

紫乃は、初顔見せだった前回で察した通り、臆病な性格をしたキャラでしたね。
憧れの先輩達に羨望の眼差しで向けて、自分も変わることが出来たらと願う姿は年相応でした。
彼女の視点から見ることで、2年生組の異常さを痛感しました。

千尋の性格を受け入れられる人は、あまり多くはないかもしれません。
でも、太一たちが成長し過ぎているだけで、高校生になったばかりの男子としては、最もリアリティのある姿だったのではないかなと思います。
彼の心境の変化と行動に移れない情けなさは、嫌になるくらい共感を覚えました。
駄目だと頭で理解出来ていても直面する問題から逃げてしまい、より一層状況が悪くなるなんてことは誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
酷いことをしてしまったのは事実でしょうけど、嫌いにはなれません。
むしろ、紫乃よりも好きなくらいです。厨二病要素とかw

難しいなー、この回は。
読者の倫理観や感情で、ガラリと見方が変わってしまいます。
千尋の心理描写を上辺だけではなく詳細まで浮き彫りにしたことは、長所であるといえます。
ただし、それを踏まえた上でも、好意的な解釈は出来ないという人の気持ちもよく分かります。
オチを考えたら、もう少しスカッとした罰が与えられても良かったかなと思いますね。

どうしても後輩をクローズアップした巻だったので、既存の文研部メンバーの描写は少なめでした。
デレばんと太一の絡みをもっと読んでみたかったなー。
短編集と比べると、壊れっぷりにセーブがかかっているように見えましたし。

白身魚さんの挿絵が、若干少なく、あっさりしすぎだったのが少々残念。
あとがき絵は滅茶苦茶良かったんですが、力の入れどころが違う気がしますよw
髪を下ろした伊織の絵も、ようやく見慣れてきました。

これだけ結びつきの強い絆を崩壊させるような事件がまだ起こるんでしょうかね。
依存が強いほど、失った時のショックも大きなものとなるんでしょうが……はてさて。

最後にふと思ったこと。
太一の妹と千尋の弟って、もしかしてアレだったりするのかな……?

己が欲するものを持っている文研部メンバーに憧れて入部した後輩達の試練と成長を描いた物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ココロコネクト  庵田定夏  白身魚  評価A- 

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神様のメモ帳8 

神様のメモ帳〈8〉 (電撃文庫)神様のメモ帳〈8〉 (電撃文庫)
(2011/09/10)
杉井 光

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読書期間:2011/10/18~2011/10/19

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー





 ★★★★★★☆☆☆ … 7






 年末年始、四代目を悩ませていたのは頻発する雀荘荒らしだった。なぜか麻雀打ちとして駆り出された僕は、雀荘で奇妙な男と出逢う。雛村玄一郎――なんと四代目の父親!
 緊迫する親子勝負の裏で、雀荘荒らしをはじめ、無関係に見えたいくつもの事件が結びついていき、やがてよみがえるのは一年前のあの悪夢。
 「あの事件をもう一度、完膚無きまでに終わらせるんだ」
 アリスが、テツ先輩と四代目が、そして彩夏までもが、赤い悪夢の残り滓に突き動かされて走り出す――加速するニートティーン・ストーリー、第8弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ニート探偵物語、第8弾。
アニメ化真っ最中の時期に発売されたのは、偶然ではないでしょうね。

あー、読み応えあるなぁ。
アニメの内容は残念でしたけど、やっぱりこのシリーズは面白いです。

電撃MAGAZINEに掲載された「三代目襲来」に書き下ろしを2編加えた一冊。
各章ごとにある程度話がまとまっているため短編集のようにも感じられますが、最後に収束していく物語の伏線がしっかりと全体に張られているため、長編としても読めなくないですね。
全3章を無理矢理まとめたのではなく、あえて別々の形の話を組み合わせることで一つの全体像を表現してみましたという感じ。
コメディとシリアスのバランスがよく、満足度が非常に高い本でしたね。

原点回帰となる物語には、強烈な牽引力がありました。
終わっていなかったあの事件を今度こそ締めるために、暗中模索ながらも足掻こうとする彼や彼女らの心情が痛いほどに伝わってきます。
正しいことを選択しているつもりなのに、己と大切な人を傷つけ、衝突してしまう。
何もかもが上手くいくなんてことはなく、ただひたすらに悲劇を繰り返す。
それでも、真実を知ることで、過去と向き合い前に進もうとする彼らの姿が目に焼きつきました。

もどかしいほどに、本当にどうしようもなく不器用な人間達ばかりですね。
一人一人のスキルは、カタギとは比べ物にならないのに、頑なまでに心の柔らかいところを誰にも触れさせようとはしません。
いや、だからこそ独りで全て片付けようとしてしまおうとするのか。
そんな人間を繋ぐナルミは、ニート探偵団や平坂組にとって、切り離せない懸け橋となりましたね。
ナルミ自身、根本的な逃げの性格は改善されていませんが、初期のような情けないだけの人間ではなくなりました。

彼の両親と出逢う第1章のエピソードは、四代目の信念と優しさが滲み出るような良い話でした。
ナルミの発想は、強引過ぎるものでしたけど、それが許せてしまえる世界というのが凄い。
あと、想像していたよりも大阪人の血が濃い両親が面白かったですね。
このまま眠らせるには勿体無いキャラだなと思いました。

4巻以降出番が極端に減った彩夏に再びスポットが当てられたことが、何よりも嬉しい。
ヒロイン的なポジションを剥奪され、脇役というかモブキャラに近いものがありましたからね。
しかし、事ある毎に記憶喪失前の彩夏と比較してしまう自分がいます。
同じ人間なのに、一度死んでしまったんだなぁと、しみじみと痛感してしまいます。
ここまで明確なまでに書き分けられる技量は素晴らしいの一言ですね。

毎回楽しんで読んでいますが、そろそろ伏せられたままのアリスの事情が知りたいところ。
もちろん終わって欲しいわけではないんですけどね。

シビアな現実と向き合い、大切な人との絆を護ろうとする話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  神様のメモ帳  杉井光  岸田メル  評価A- 

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偽りのドラグーンⅤ 

偽りのドラグーン 5 (電撃文庫 み 6-28)偽りのドラグーン 5 (電撃文庫 み 6-28)
(2011/07/08)
三上 延

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読書期間:2011/9/30~2011/10/2

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
世界観
燃え
構成



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 セーロフ王国を巡る攻防戦は、レガリオン帝国軍が優勢のまま最終局面を迎えた。
 その頃、騎士学院では衝撃が走っていた。偽りの王子であることが暴かれたジャン。だが、彼は自分こそがヴィクトルであると主張する――偽物は自分が討つと宣言をして。それはジャン・アバディーンという名を捨てるということであり、二度と本当の自分に戻れなくなることを意味していた。
 そして、すべての決着をつけるべく、ジャンは驚くべき秘策を編み出す。その姿は神童と呼ばれたヴィクトル、そのものだった。物語はついにクライマックスへ!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


三上延氏による竜と騎士の物語、最終章。

ああ……終わっちゃった……。
物語のラストを読んだ時に湧き上がる虚無感は、名作であるほど抱く傾向がありますよね。
自分にとって、それだけ心のキャパシティを占めていた証拠ともいえます。
「偽ドラ」は、まさにその象徴たる例でした。

物凄く面白かったです……が、読了感は正直なところスッキリとはしません。
これほどモヤモヤした気分が残る最終巻を読んだのは久しぶりです。
あまりにも濃い動向に感情の整理が付いていき辛かったのが原因かもしれません。

打ち切りだろうと世間では噂されていますが、おそらく事実でしょう。
どうしても「勿体無い」という言葉が、最初に出てきてしまいますねぇ。
魅力的な舞台設定を作り、惹かれるキャラを用意し、物語を順調に重ねてきただけに、詰め込みまくりの最終巻が惜しいにも程がある。
残り1冊という状況から素晴らしく綺麗にまとめられているのは間違いないんです。
作者の力量には感心させられますし、良作だったと断言できます。
だからこそ、もっと巻数を伸ばすことが出来たならば……と夢を見てしまいます。
中途半端な解決などにはせず、回収できずに終わった伏線も残さないで完結出来たんだろうなぁ。

随所に頑張った感は見え隠れするものの、無理矢理さを感じさせないのはお見事。
特に、戦争の行方に関しては、王道的でありながらも揺れる戦局に胸が熱くなりっぱなしでした。
詰め込み過ぎというのは、逆に考えると、それだけ充実した内容だったともいえます。
段階ごとに加速する盛り上がりは、メリハリが効いていて夢中になりました。

主役はもちろん、脇役も含めてキャラクターの造形が映えていましたね。
サラやグングニル、ガートルード、ヴェルトフなど出番は少なくても、無駄なキャラは一切いませんでした。

ジャンが兄の裏切りを知ったことによる動揺から立ち直る流れは、じんわりと痺れましたね。
叱咤されたりするわけでもなく、自ら答えを見つけ出した経緯が自然に描かれていました。
主人公の成長度合いが、目に見えて分かる素晴らしい演出だったと思います。
精神論で片付けずに不利な状況を打開しようと頭を巡らせる様は、見応えがありました。

クリスは、もはや誰が見てもデレデレですよね。
行動の指針が、全てジャンが基準となっていますもん。
この娘を男とだと勘違いするのには、無理があるんじゃなかろうかw
クーデレのティアナも可愛いんですが、個人的に女の子としての魅力はずっとクリスに軍配が上がってましたね。
恋の決着は、詳しく語るとネタバレになるので避けますが、満足の出来る内容だったということだけは断言できます。
ジャンの気持ちがいまいちハッキリしなかったり、ヒロインにもっと葛藤して欲しかったりと要望はいくらでもありますけど、限られた中でよくまとまっていたと思います。

ラフエッジマグノリアの関係は、これだけでも一本の作品が書けるレベルですね。
反則的な見せ方にやられました。

その一方で、ヴィクトルグロリアの描写が、もう少し欲しかったかなという思いはあります。
単純明快な敵役には留まっていないだけに、この二人にも熱いドラマが期待できたんですがね。
唐突ながらも、僅かに垣間見ることが出来たシーンには、切なさが詰まっていました。

誰よりも一貫としていたのは、アダマスでしょう。
ベジータ的なツンデレキャラだと信じていたのに、ほとんどデレを見せずに終わっちゃいましたよ。
半端ないキャラの立ちようで、珍しいポジションのキャラで良い味出していましたね。

惜しい気持ちは残り続けますが、綺麗な終わりだったとは思います。
椎名優さんのイラストも、最後まで乱れずに魅せてくれました。
「ビブリア古書堂の事件手帖」も好きですが、いつかまたこのコンビで電撃文庫に帰ってきてくれることを願います。

タイトル「偽りのドラグーン」の意味の重さを痛感させられます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  偽りのドラグーン  三上延  椎名優  評価A- 

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二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない 

二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)二年四組 交換日記 腐ったリンゴはくさらない (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2010/10/22)
朝田 雅康

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読書期間:2011/9/29

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
構成
青春




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 私立伯東高校。問題児ばかりで構成されたクラス、それが二年四組だ。
 クラスのボスである委員長は強権を発動し「皆の心をひとつにする」ために交換日記を開始する。日記は誰が書いているのかわからないようにされ、登場するクラスメイトも属性に基づく異名や派閥で表現される。日記には予想外の事件や恋が描かれて…?
 第9回SD小説新人賞佳作受賞作、パズル感覚で読み明かされる、学園青春小説が登場です!!

【感想】


どこの学校、学年にも問題児は数人いるもの。
そんな問題児達を一クラスにまとめてしまったら一体どうなってしまうのか。
あらゆる方面から舞い込んでくる事件を交換日記形式で綴る新感覚の青春学園ストーリーです。

これぞまさに発想の勝利というべきでしょう。
ゲーム感覚で楽しめる新しいラノベの形がここにありました。

まず最初に、二年四組在籍生徒35名の顔とあだ名が提示されます。
カラーの折り込みページにて、クラスメイト全員の紹介があるんですが、名前だけが伏せられている状態です。
公式の作品紹介ページでもPDF形式でDLすることができますので、是非ご覧ください。

本名が隠された状態で書く交換日記を読みながら、名前を当てていくというパズル的なギミックが非常に面白い。
これは新しいなぁ。
いや、ある意味昔懐かしのゲームブックを彷彿とさせるような、遊べる本ともいえますか。

はっきりいって難易度は低く、1/3読んだ辺りでほぼ全員特定出来てしまいます。
それでも、パズルのように一つ一つのピースを当て嵌めていく過程に夢中になりました。
面白い作品は多くても、楽しいという感情を得られる作品は結構貴重です。

そして、何気に凄いのは、これだけの人数のキャラを個性立てて、なおかつ出番を用意している点です。
もちろん程度の差はあるんですが、各自にしっかりと見せ場を作っているのは素晴らしい。
しかも、読者が名前当てを必死になることで、作中のキャラを意識的に覚えようとし、印象を強める効果が生まれています。
そこまで狙ってやったのかは不明ですが、相乗効果が期待できる仕組みを考案した時点で評価したいですね。

ストーリーは、収束していく複数の事件が思わぬ展開に……どころか、作品の方向性さえ捻じれる超展開。
強引というか豪快というか、ぶっ飛んでいる部分があるので、許容する心が必要ですね。
関連のある生徒を一クラスにまとめたという経緯があるにしろ、クラス内で話が完結してしまっているところは、ちょっと突っ込みを入れたい箇所ではありますが、下手に入り乱れると収拾がつかなくなるので仕方がないかな。
クラスメイトそれぞれの特技を活用して、解決していく様は実に爽快でした。

そして、忘れてはならないのは、イラストです。
庭さんの仕事があってこそ成功した作品だと断言できるでしょう。
素朴でありながら描き分けが出来ており、人間的な味を表現する魅力溢れるキャラばかりです。
装飾に頼らずとも、これだけ魅せることができる腕前に、惚れ惚れしました。

良キャラが多くて、続きが見たい気持ちもありますが、それ以上にこのギミックを使用した難易度の高い作品を描いて欲しいですね。
それこそ答え合わせをしたくなるような難しい問題を読んでみたいです。
新作に注目ですね。

クラス内の相関図と名前当てが楽しい交換日記形式の新感覚ラノベ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  二年四組交換日記  朝田雅康    評価A- 

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とある飛空士への恋歌5 

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)
(2011/01/18)
犬村 小六

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読書期間:2011/9/6~2011/9/11

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
感動
ロマンス
切なさ



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 イスラとの休戦交渉の座に就いた空の一族の要求は、風呼びの少女ニナ・ヴィエントの身柄だった。イグナシオの取りなしにより機会を得たカルエルは、出立の日、想いの丈を彼女にぶつける。
 「このまま逃げよう、クレア。ふたりで。空の果てまで――」
 かつての力を取り戻し、愛すべき人を救った風呼びの少女。革命によりすべてを失い、追放劇の果てにかけがえのない生を得た元皇子。ふたりの選ぶ道、未来は……。
 そしてイスラは「空の果て」にたどり着く。すべての謎が解き明かされる!
 超弩級スカイ・オペラ「恋歌」、感動のフィナーレ!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「とある飛空士への恋歌」最終幕。
憎悪を越えた愛情に気付いた少年と少女の終わりと始まりが綴られます。

怒濤の戦場を描いた3,4巻とは異なり、物語は急激にエピローグへと突入。
遂に本当の意味で相思相愛となったカルエルとクレアだが、残酷な現実は二人を引き離す。
決断に迫られた彼と彼女の選択が最大の見せ場になる――そう思っていました。

しかし、実際はそれだけで留まっていません。
イスラが旅立った本当の目的である「空の果て」に辿り着いた先が描かれています。
恋物語が中心になるかと思いきや、空の浪漫が零れんばかりに詰まっていました。
そして、感動のエピローグへと続いていきます。

心に残る物語でした。
けれども、これは賛否両論になるのも致し方がないかなぁと思いますね。
結末自体に異論を唱える人は少ないでしょうが、最後の最後で焦点がズレた感覚があります。
ここまでカルエルとクレアの悲恋で引っ張ってきただけに、スッキリとしないといいますか。
見たかったものが見れなかったという想いは、少なから残ってしまいました。

でも、これは今後の布石だと思うんですよね。
「とある飛空士」シリーズは、今後も続きそうですし、いつか本当の最終回が読める日が来るのではないかと根拠もなく信じています。

それに、丁寧過ぎるぐらいに長く語られるエピローグは、決して見劣りするものでもありません。
派手さはないけれど、まるでテレビドラマの最終回のような時の流れを感じ取ることができる、素晴らしい終わり方でした。

何だか後半はずっとエンディングテーマが流れているような感覚がありました。
作中で振り返ったり、逆に未来を見据えているため、終わりの雰囲気が随所に出ていたのが原因ですね。
そのため、読了後ではなく、読みながら余韻に浸っているような不可思議な気持ちになりました。
確かに描かれた物語こそ「あれっ?」と首を傾げたものの、内容は非常に満足度の高い仕上がりになっていたと思います。

ヘタレだったカルは、よくもまぁここまで成長したもんだなぁ。
そんなカルを支えた続けたアリエルは、本当に魅力的な心優しい女の子でした。
彼女がいたからこそ、このロマンスは成り立ったんだと思います。

夕焼けが印象的な表紙を初めて見た時に違和感を覚えましたが、なるほど、そういうことですか。
該当するシーンのことを考えると、心が沁みますね。

おそらく珍しいタイプでしょうが、「追憶」よりも「恋歌」の方が楽しめました。
この本に出会えたことを感謝します。

恋歌の旋律が空へと舞い、切なさと穏やかさが感じ取れるフィナーレ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とある飛空士への恋歌  犬村小六  森沢晴行  評価A- 

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ベン・トー7.5 箸休め ~Wolves,be ambitious!~ 

ベン・トー 7.5 箸休め ~Wolves, be ambitious!~ (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー 7.5 箸休め ~Wolves, be ambitious!~ (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2011/07/22)
アサウラ

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読書期間:2011/8/25~2011/8/29

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
バカ
ギャグ
変態
ラブコメ
燃え

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7


 半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋たちHP同好会は、槍水の妹・茉莉花のおねだりを端を発した一泊二日の旅行に行くことに!
 季節外れの観光地に向かう一行だったが、途中で予期せぬアクシデントに遭ってしまう。そこへかつて出会ったあいつが現れ…!?
 その他に、佐藤たちの旅行のウラで静かに起きた奢莪とその友人たちの日常編や、ウェブ掲載された短編、雑誌連載で大反響をよんだ「間食版」も書き下ろし分を加えて収録!
 もはや短編集ではないボリューム感満点でお届けする、メガ盛りの箸休め、庶民派シリアスギャグアクション、狼が大志を抱く7.5巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


半額弁当を追い求めし狼たちの休息、シリーズ2回目の番外編です。
書き下ろし中編1本、短編1本、公式サイトや付録等が初出の短編が7本の全9章。
箸休めというサブタイトルに相応しくない、ボリューミーな短編集となっています。

お腹いっぱいの幸福感が得られる良作です。
本編ではないのに、これほど面白いとは。素晴らしい。

最も大きな違いは、熱さよりもラブコメに比重を置いたところ。
通常の争奪戦は少なめの代わりに、ヒロイン達の乙女チックな一面が見れたり見れなかったりします。
というのも、男はその気になっていても、気付かない娘もいますからね。
ニヤニヤしたり、逆にコメディ色が強くて笑ったりと、いろんな味が楽しめます。

中でも、第9章「ある日の奢莪あやめ」は、言葉に言い表せにくい気持ちを抱かせてくれる話でした。
恋愛に対して深い捉え方をしてこなかった奢莪が、とある経緯により少し真面目に考え始めた結果、悶々としてしまうんですけど、これが何とも初々しい。
佐藤と会話する時だけに見せる自然な笑顔が、台詞の端々から想像できます。
物理的には近過ぎるぐらいのコミュニケーションを取るのに、恋愛的にはある意味遠い二人の距離感が絶妙ですね。

佐藤は鈍感というよりも、ほぼ無意識的に奢莪のことを恋愛事情から遠ざけている節があるように見えます。
本人も言っている通り、双子のような存在ですから、愛はあっても恋の対象にはなり辛いでしょうね。
しかし他の男子高校生からすると、あれだけ親しくしている可愛い従姉がいれば、やっかみの一つでも言いたくなる心境は理解できます。

単純に一番面白かったといえるのは、第1章の中編「3.5倍」。
漫画やラノベで定番の温泉回で、もちろんエロいサービスシーンも良かったのですが、それ以上に前半の電車のくだりが楽し過ぎましたね。
遠征での電車移動というと、そう、アイツの登場です。
無駄に暑苦しく自分に酔う彼は、妙にカッコイイのだけれど締まりが悪いんですよね。
何とも運が悪い可哀想な人ですが、盛大に笑わせてもらいましたw
無茶しやがって……。

今回の弁当獲得作戦は、これまでと趣きが異なっており、新たな面白味がありました。
マンネリするとまでは行きませんが、普段の半額弁当争奪戦に読者も慣れてきたのは事実。
まるでクエストのような戦いは、フレッシュな味わいを楽しめました。

そういう意味では、槍水仙が一年の頃、魔導士・金城優烏頭みことと一緒にスーパーを駆けていた過去話も興味をそそられましたね。
噂だけではとても高校生とは思えない魔導士が、思っていたよりも庶民的で驚きました。
ちなみに、個人的にはエビフライの尻尾の処理については、仙派です。
美味しすぎる場合のみ、烏頭と同じようなスタイルになるかな。中途半端でスミマセンw

他にも、多くのキャラに見せ場が用意されていて、語り尽くせません。
家庭的かつ献身的な白梅様は、大変お美しゅうございました。
とてつもない茉莉花のロリ・エネルギーには、霧島君が暴徒と化すのも頷けます。
仙の友人である紫華蔓は、ストーカー気質が入っているけど根は良い娘だと思うんですよ。

魅力的なキャラが多いのと、短編だからといって妥協しない物語が、満足感を底上げしてくれています。
本編ももちろん読みたいたいですが、これからも定期的に短編集を挟んで欲しいですね。

濃厚な食材という名のキャラクターを普段と異なる調理で仕上げた料理(ラブコメ風味)

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ベン・トー  アサウラ  柴乃櫂人  評価A- 

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ゴールデンタイム2 答えはYES 

ゴールデンタイム2 答えはYES (電撃文庫)ゴールデンタイム2 答えはYES (電撃文庫)
(2011/03/10)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2011/7/13~2011/7/15

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 圧倒的なオーラを放ち、自称完璧、その実ちょっと残念なお嬢様、加賀香子。彼女は独自のシナリオによって定めし幼馴染との運命の結婚が破綻して傷心気味。
 一方、同じサークルの気さくないい先輩、リンダ。彼女は実は万里の高校の同級生で、しかもどうやら浅からぬ仲だったようで、それをひた隠しにしていた。
 記憶喪失男、多田万里の心はそんな二人の狭間に立たされて千々に乱れる。万里が二人に向けた問いかけの、その答えははたして――?
 竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る青春ラブコメ、待望の第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


大学生のキャンパスライフを描くリアル系ラブコメ、第2巻。
ラノベとしては新機軸と言ってもいいぐらい珍しい舞台設定ですね。

感嘆させられるほどに面白い。
本当にこの作者のラブコメは質が良くて素晴らしい。

1巻を土台作りとすると、2巻は物語の流れを作る重要な回といえます。
どのように展開させるのかワクワクしながら読みましたが、思いのほか進み具合が早いですね。
この辺りが、青臭い高校生と大人としては未熟な大学生の違いか。

昨今のラブコメブームのおかげで、テンプレ化が激しいため、ストーリーの楽しみが減っている中、こんなにも先が読めない恋物語は貴重です。
いや、おそらく最終的には万里と香子はくっ付くと思うんですよ。
しかし、そこに至るまでに荒れ狂う模様が繰り広げられるのは、確定的でしょう。
今はまだ大人しい人間関係が、いかにして亀裂が入り崩れていくのか、はたまた絆を結び直すのか、期待に胸が高まります。

大学生の生々しい生活スタイルを見事なまでに表現できており、想像が容易いです。
履修登録や飲み会の会話は、たとえ経験がない人であってもリアルっぽく感じるでしょう。
もちろん、大学に通ったことがある人ならば、あるあると共感できることは間違いないはずです。

設定もさることながら、文章の効果が絶大ですね。
口語と文語のミックスが新しい文章を生み出しています。
知識を身につけても書けるものとは思えませんし、きっと天性のものでしょうね。
合う合わないは人によって異なるでしょうし、文章力が突出しているわけでもありませんが、ラノベ作家の中でもセンスは抜群ですよ。

妙に賢い割に恋愛関係には鈍感な主人公ばかりのラブコメ作品において、多田万里のようなキャラは珍しい。
必要最低限に相手を思いやることはできていても、やっぱり何だかんだいって自分が一番大事で、自己中心的な考えを持っているところや、微妙に頭の弱いところなど、まさによく見かける大学生そのままです。
正直、恋愛観に関しては、香子は言うまでもなく、万里もまだまだ子供っぽいところがあります。
堪え性がないところが、今後多大な影響を与えそうな気がします。

1巻ではカラーイラストのみだったのに、2巻では挿絵も描かれていますね。
マッチしてはいないんですけど、絵のレベルは高いので、挿入されているだけでも嬉しいです。
表紙絵の香子の服の質感は目を奪われました。

癖の強い作品なので、万人にお薦めできるわけではありません。
ただ、ハマれば「とらドラ!」の時のような破壊力もあります。
続きが非常に気になりますね。

大学生活が始まって間もない頃の人間関係が絶妙な距離感で描かれています

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価A- 

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涼宮ハルヒの驚愕(後) 

涼宮ハルヒの驚愕(後<br> (角川スニーカー文庫 168-11)涼宮ハルヒの驚愕(後)
(角川スニーカー文庫 168-11)

(2011/06/15)
谷川 流

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読書期間:2011/5/26

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
SF
ラブコメ
世界観
構成
衝撃度

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8


 団長閣下による難関極まりないSOS団入団試験を突破する一年生がいるとは思わなかったが、俺に押しつけられた「雑用係」という不本意な肩書きを譲渡できる人員を得た幸運を噛みしめるのに、何のはばかりもないはずだ。なのに、ハルヒ同席のあのぎこちない再会以来、佐々木たちが顔を見せていないことが妙に引っかかるのはどうしてかね。類い稀なる経験に裏打ちされた我が第六感は、何を伝えたいんだ?
 圧巻のシリーズ第11巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「涼宮ハルヒ」シリーズ第11弾。
「分裂」「驚愕(前)」から続く分岐ルートの収束点であり、解決編となります。

amazonの画像は、通常版の後巻となっています。
涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版」のセット購入希望の方はご注意ください。

素直に面白かったです。
ここまで読み終えて、ようやくすっきりとした心地になりましたね。
ずっと燻っていたものが、物語を紐解くごとに解かれて、晴れやかな気持ちにさせてくれました。

前巻を読んでいたときにも感じたことですが、後半に進めば進むほど筆の走りが快調になっていき、滑らかな語り口調が面白くなっていますね。
筆者がどの時期にスランプに陥ったのか、推察しても解答は得られませんが、おそらく序盤だったんでしょう。
明らかに文章の勢いが違います。

これまた想像でしかありませんけど、初期の構想は一旦リセットして、再度練り直したのではないでしょうか。
仕切り直しといってもいいかもしれません。
「憂鬱」を想起させるようなハルヒとキョンの関係性が、リスタートを印象付けています。

SOS団結成からちょうど1年経った話として、相応しいストーリーでした。
ハルヒの何でもありな力に振り回される団員たちの図に変化はなくとも、団結力は段違いです。
みんながみんな成長し、パワーアップしています。

その最たる例として、外的要因として投入された佐々木への応対でしょう。
ハルヒとキョンの二人の仲に、一陣の風が吹いたわけですが、これが思いのほか揺るがない。
確かに「分裂」初期では、神人を発生させてしまうぐらいハルヒの内心は穏やかでなかったので、もっと直接的にラブコメチックなやり取りがあるのかと思っていました。
しかし、実際はキョンを中心とした、ハルヒと佐々木の両側面を見せる手法としての活用に留まっています。
まぁ、あくまで主人公はキョンだということをアピールする狙いもあったのでしょうが、もっと波乱が待っていると思っていたんですけどね。

分裂したルートと二択を迫られるキョンが、交わるようにして繋がる展開は、期待通り面白かった。
この部分が読みたくて4年間待っていたようなもんですしね。
某キャラが今までのイメージから大きく崩れて、思わず吹き出してしまいましたよw

「分裂」の感想でも書きましたが、著者の「学校を出よう!」を彷彿とさせるギミックが散りばめられていましたね。
多次元世界論は、興味深くはありましたけど、読み応えは足りなかったかな……?
文章に遊びがあるのは大歓迎です。
でも、余分なくだりや段落が散見され、同じことを繰り返している構成は、もう少し絞り込むべきでした。

佐々木が可哀想になってしまうぐらい、キョンの気持ちが既に強固なものとなっていましたね。
みくるに父性感情に近い好意を抱いたり、長門へ絶大な信頼を寄せたりとしていても、女の子として魅力を感じるのはハルヒってことなんでしょう。
これまでは自覚しないよう努めていた想いが、節々でこぼれ落ちていて、ほんわかとさせられます。
ただし、キョンがSOS団員以外に対して、過剰なまでに排他的なのは気になりました。

佐々木も悪くないどころか、凄く良い子なんですが、勝負の相手や時期がマズかったかな。
一般人でありながら、誰よりも根幹からブレない頼もしさや、他人の言葉の真理に鋭く気付く聡い一面は、人間的にとても魅力的でした。
結局、三角関係にすら持ちこめなかったのは、残念というか気の毒でしたねぇ。
今後の登場も是非期待したいところです。

新しくSOS団の一員として加わった渡橋泰水の素性は、なるほど、これは良いアイデアですね。
将来のSF展開に、一つ新たな要因を投石できる可能性を作ったことになります。
幾つもの可能性を疑っていたのですが、何故か不思議とこのパターンだけは抜け落ちていて、正直予想外でした。
「分裂」から登場しているにも関わらず、後巻に至るまで挿絵がなかったので、やっと容姿が判明しましたわけですが、なかなか可愛かったと思います。
それにしてもハルヒ、佐々木、長門、ヤスミとショートカットの女の子が多いのは作者の趣味なんだろうかw

「憂鬱」がハルヒ、「消失」が長門、「陰謀」がみくるだとすると、順番的には古泉の回だったわけです。
古泉の活躍は、当初から決まっていたのではないか……というより、主役だったのではないでしょうかね。
ハルヒ寄りにシフトしたのは、4年の空白があったからではないかなと。

宇宙人や未来人ばかりクローズアップされますが、古泉は何気に凄いと思うんですよ。
華やかなSOS団の女子メンバーに埋もれることなく、見事なまでにキャラを立たせています。
よくある親友や悪友とはまた違う立ち位置で、キョンと最も会話をしている人物、それが彼ですね。
超能力は限定的条件付きであっても、古泉の思考回路や分析力は、相当な力だと思います。
本当に今回の古泉は、格好良かった。
そして、一気に怪しい存在になりましたw

あとは、やはりハルヒか。
キョンが驚愕することばかりで、おかしいなと訝しんでいましたが、最後に来ましたね。
ハルヒの驚愕する顔は、思わずニヤケてしまいました。
傍若無人なイメージが付きやすいけれど、実は中身は非常に女の子らしいですよね。

キョンは、一応主人公のはずなのに、無力感が漂っているなぁ。
藤原たちに追い詰められて、手も足も言葉さえも出てこないのは、仕方がないとはいえ、本人も自覚している通り少々情けない。
古泉とは正反対で、考えているようで考えが甘い。
男前にはなったなと思いますが。

【いとうのいぢさんのイラストについて】

本人も公言している通り、随分絵柄が変わりました。
塗り方の変化や下まつ毛のせいで、何だかケバいw
例えるならば、淡く野暮ったかった田舎娘が、都会でメイクを覚えた感じ。
好みはあるでしょうが、絵のレベルは上がっており、これはこれで良いと思います。
みくると佐々木が可愛かったです。

しかし、前後巻合わせて、口絵でキョンの顔ドアップを3枚も描いたのはやりすぎ。
佐々木なんて、後巻の表紙以外に、本編ではカラーイラストないというのに。

【Rainy Day】

初回限定版のみについてくる小冊子に収録されている書き下ろし短編。
キョンと佐々木の中学時代を描いた、とある夏のエピソードです。
内容的には、本編を読んでから手をつけることをお薦めします。
ページ数は少なめなので中身は何とも言えませんが、佐々木の絵が最高でした。

【総評】

読んで良かったと思える良作でした。
しかし、4年の時を待つほどのものだったかと問われると、首を傾げてしまいます。
シリーズ最高傑作である「消失」のラインには残念ながら届いていません。
期待をし過ぎると、楽しめなくなるでしょうね。
それでもこの世界観は大好きです。

次は、果たしていつになるのかな。
短編ネタを形にしたいそうですが、今回で先が気になる伏線がいっぱい出来上がりました。
さすがにまた4年後ってことがないことを切に願います。

各々の成長が見られ、SOS団の絆の強さを思い知らされる原点回帰の物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  涼宮ハルヒの憂鬱  谷川流  いとうのいぢ  評価A- 

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涼宮ハルヒの陰謀 

涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)涼宮ハルヒの陰謀 (角川スニーカー文庫)
(2005/08/31)
谷川 流

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読書期間:2011/5/13~2011/5/15

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
SF
ラブコメ
世界観
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7



 年末から気にしていた懸案イベントも無事こなし、残りわずかな高一生活をのんびりと楽しめるかと思いきや、ハルヒがやけにおとなしいのが気に入らない。
 こんなときには必ず何かが起こる予感のそのままに、俺の前には現れたのは8日後の未来から来たという朝比奈さんだった。しかも、事情を全く知らない彼女をこの時間に送り出したのは、なんと俺だというのだ。未来の俺よ、いったい何を企んでいるんだ!?
 大人気シリーズ怒濤の第7弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「涼宮ハルヒ」シリーズ第7弾。
「消失」以来の長編であり、420ページを越える過去最厚の本でもあります。
色んな人物の陰謀が渦巻き、風向きが変わりつつある伏線が張り巡らされた回でした。

導入部が素晴らしい。
巻数にして2冊分棚上げされていた世界改変時の解決編は、まさに待望の話でした。
「消失」で最後まで語られずにヤキモキしていたので、やっとスッキリしましたよ。

そして、ようやく落ちついたと思ったのも束の間、近未来からみくるが時間移動してきて一騒動が巻き起こります。
8日後の未来からキョンに言われるがままにタイムリープしてきたみくるは、何も知らないという。
この展開には、期待の高まりを抑えられませんでしたね。
同じ時間軸上に同一人物がいる世界は、ドキドキハラハラする緊張感があって楽しいなぁ。
中盤以降、若干グダグダするところは惜しいものの、忙しない展開が面白かったです。

表紙を飾っているみくるが、今回の主役のはずなんですが、相変わらず何も分かってないので、中心に居るのに無知という可哀想なことになっています。
彼女は、キョン以上に巻き込まれ型ですね。
作者のあざとさを感じるほどに、純真で可愛かったです。
個人的には、恋人にしたいというよりも娘に欲しいタイプですね。

キョンは、みくるに対して紳士すぎる。
内心では過剰なまでに崇拝し、計り知れないほど好意を抱いているというのに、全然手を出そうとしないからもどかしい。
実際に抱きしめたり、押し倒すぐらいのことをやって欲しいもんです。
萌えキャラとしてSOS団に入団したみくるなのに、ラブコメ要素は意外と少ないですからねぇ。

長門は、人間味のある言葉を発するようになったなぁ。
感情的な台詞を吐くたびに、ハッとさせられます。
能力の縮小化に繋がるのかもしれませんが、長門個人としては良い傾向だなって思いますね。

何気に一番可愛かったのは、古泉かもしれません。
時間旅行をおねだりしたり、体験したキョンに聞きたがったり、喜々として解説したりと妙に萌えポイントが豊富でしたw
キョンと古泉の会話は、本当に楽しいなぁ。

タイトルにもなっているハルヒの陰謀は、途中で気付きました。
巧妙に隠してはいますが、ヒントも多かったので予想がついちゃいましたね。

やっぱり、未来は知らないからこそ楽しいんだろうなぁ。
物語上仕方がないとはいえ、規定事項をなぞるような構成は、作業のように感じられましたし。
未来人が絡む話は好きなんですが、作り方は難儀してそうですね。

カラーページのハルヒ、みくる、長門の三人娘が無茶苦茶可愛かったです。
他の絵師さんと比べ、飛び抜けた画力があるというわけではないはずなんですが、キャラクターの魅せ方が上手いのかな。

なるほど、この頃から「分裂」以降の伏線も張られていたんですね。
再読でなければ気付きませんでした。
これは、今後の大きなうねりを感じさせますね。

新たなる局面を予感させる伏線が盛り込まれた転換期の前段階

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  涼宮ハルヒの憂鬱  谷川流  いとうのいぢ  評価A- 

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涼宮ハルヒの暴走 

涼宮ハルヒの暴走 (角川スニーカー文庫)涼宮ハルヒの暴走 (角川スニーカー文庫)
(2004/10/01)
谷川 流

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読書期間:2011/5/6~2011/5/10

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
SF
ラブコメ
世界観
青春


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 夏休みに山ほど遊びイベントを設定しようとも、宿敵コンピ研が持ちかけてきた無理無茶無謀な対決に挑もうとも、ハルヒはそれが自身の暴走ゆえとはこれっぽっちも思っていないことは明白だが、いくらなんでもSOS団全員が雪山で遭難している状況を暴走と言わずしてなんと言おう。
こんなときに頼りになる長門が熱で倒れちまって、SOS団発足以来、最大の危機なんじゃないのか、これ!?
 非日常系学園ストーリー、絶好調の第5巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「涼宮ハルヒ」シリーズ第5弾。
短編集のため時系列はまちまちですが、「消失」の続きの話もあります。
発刊順に読まないとネタバレを食らいますので、飛ばさずに順番に読むことをお薦めします。

【エンドレスエイト】

SOS団の長い夏休みを描いた短編。
もはやアニメ版の方が有名になってしまったエピソードでもありますね。

純粋に好みです、この話。
堪能していた夏季休暇に思わぬ落とし穴が待っていたというか、既に迷宮に入り込んでいたという事実に気付く流れは、実にワクワクさせられます。
時間概念のトリックは、シリーズでも見ていて一番楽しいです。
それにしても、一応専門分野であろう話なのに、みくるは活躍しないなぁ……w

【射手座の日】

文化祭もつつがなく閉幕し、日常の落ち着きを取り戻した秋の日を描いた短編。
コンピ研とゲームで対戦することになる話。

今までの中で、一番平和なお話なのではないでしょうか。
SOS団員の反応が、みんながみんな、らしくてニヤニヤしちゃいます。
ハルヒの暴走が騒がしくて面白く、みくるの鈍重さに微笑ましい気持ちになり、長門のスーパーテクに爽快感を覚え、古泉とキョンの信頼感の厚い会話が楽しい。
他の話に比べると、特別と呼べるような出来事はないのですが、だからこそSOS団という仲の良いグループに嫉妬してしまいますね。

【雪山症候群】

冬休みにやってきた雪山で遭難したSOS団が、クローズドサークルに陥る中編。
「消失」直後の話で、文章量から見ても今回のメインとなるエピソードといえます。
今巻では、2011年現時点で唯一アニメで放送されていない話でもあります。

作中でもキョンや古泉が気付いている通り、ハルヒの変化が見て取れますね。
ツンデレで素直に受け取れないところがありますが、団員をちゃんと友人として大事に想っているのが節々から伝わってきて、キョンならずとも嬉しくなります。
長門もまた自律進化の兆しが見られ、成長を感じさせます。

それに対して、みくるの頼りにならなさが浮きまくっています。
危機感が不自然なぐらい足りない。
天然で済ませるには、ちょっと異質な何かを感じました。
ただの勘違いなのか、それとも将来的な伏線なのか、少々気になります。

見所が多く話も面白かったです。
長門の脱落で緊迫した事態に陥ったSOS団で、古泉の頼もしさが光りました。
理知的で偽悪的なスマイルを浮かべる古泉と、それを平然と流すキョンのコンビは大好きです。
しかし、話の畳み方が、唐突かつ乱暴なところがあり、それだけが残念でしたね。

非日常的な状況に巻き込まれつつも、充実した高校生活を送るキョン達が羨ましくなります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  涼宮ハルヒの憂鬱  谷川流  いとうのいぢ  評価A- 

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ベン・トー7 真・和風ロールキャベツ弁当280円 

ベン・トー 7 真・和風ロールキャベツ弁当280円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー 7 真・和風ロールキャベツ弁当280円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2011/02/25)
アサウラ

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読書期間:2011/4/23~2011/4/25

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
バカ
ギャグ
変態
燃え


 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 半額弁当争奪バトルに青春を賭ける佐藤洋は、ひょんんあことから未曾有の経済危機に陥り、『変態』の二つ名を体現する日々を送っていた。
 そんなある日修学旅行で槍水が不在になる間、佐藤は彼女の縄張りであるスーパーを託されることに。
 しかし槍水と入れ替わるようにHP同好会に烏頭みことと名乗る美人OGが現れ、佐藤は彼女に翻弄されてしまうのだった。
 烏頭はかつてHP部が解散するに至った原因は槍水にあると告げるのだが――。
 毒を食わば皿まで!「狼」の誇りを持って落とし前はきっちりつけろ!庶民派シリアスギャグアクション第8作!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


半額弁当にプライドを賭ける若者たちの庶民派シリアスギャグアクション、本編第7巻。
今巻の帯にて、遂に待望のアニメ化が発表されました。

美味しかった!じゃなくて、面白かった!
でもまぁ、この作品においてはあながち大間違いというわけでもないですがね。
食事中に読むと、ご飯が一層おいしくなるフリカケのような本です。

半額弁当の夕餉シーンはもちろん、口に入れるものならばジャンクフードや菓子類でも、涎が出てくるぐらいウマそうに描写されています。
テレビ番組で高級料理をレポーターが解説している姿よりも、鮮明に味が伝わってくるんですよね。
視覚的要素がなくとも、文章の表現力が凄まじく、擬音が傍で聞こえてきそうな感じすらあります。
佐藤は争奪戦に敗れると、飽きもせずどん兵衛を食べますけど、味の感想の言い回しに読者も飽きずに読めるというのが、何気に凄いことだと思います。

ギャグセンスも素晴らしく、腹を抱えるほど笑えます。
マラソン大会を開催する真の理由に気付くなんて、天才でしょう。変態と言う名の。
ガチムチネタは、基本そこまで好んでいないはずなのに、この作品ではドンドン出して欲しいとさえ思ってしまいます。
クリーチャー白粉の恐ろしさが、日に日にレベルアップしていることに恐怖を覚えますね。

全3章構成のうち、第1章がギャグ成分多めの短編気味の話で、2章以降に本筋が開始となるシリーズでは恒例になりつつの展開は、この7巻でも同様でした。
ひとしきり笑った後に待ち構えていたのは、ド直球の燃えるストーリー。
7巻に来て、ようやくHP部の崩壊について暴かれようとしています。

あらすじにもある通り、槍水先輩は修学旅行のため不在、奢莪もまた出番は少なめです。
だからといって物足りないかと言われると、そんなことはありません。

個人的にお気に入りキャラである沢桔姉妹は、狼としても女の子としても見せ場があって良かった。
特に姉の梗の妄想エロ暴走は、ニヤケ顔が止まらずに困ります。
二つ名襲名が近い茶髪の活躍も見逃せません。
佐藤よりも勝率は断然高いんじゃなかろうか。
日常場面においては、白粉白梅様のコンビによる佐藤への精神的&肉体的攻撃が強烈です。
魅力的な女の子が多い作品なので、たまには正ヒロイン以外の女の子たちが活躍する今回のような話があった方が嬉しいですね。

追い込まれた佐藤に手を差し伸べるライバルたちが熱い。
アクションバトルの基本であり真髄でもある戦が見ることが出来た気がします。
久しぶりに争奪戦が主題といった感じで、充足感もたっぷりありました。

表紙を飾っている元HP部員・烏頭みことは、意外な性格でしたね。
見た目からクールビューティーなタイプなのかと思いきや、暗いなオイ。
女の子としては個人的な好みから外れるものの、良いキャラしています。
裏設定がバレバレなのに引っ張り過ぎな点だけは、惜しかったかな。

ちなみに、奢莪の出番が物足りない!という方には、こちらをお薦め。

▼ベン・トー7巻特設ページ WEB特別書き下ろしあり
 http://dash.shueisha.co.jp/feature/1102/index.html

本編でも言えることですが、佐藤が男連中と全力で馬鹿な事をするくだりは最高ですねw

佐藤が狼として一皮剥ける少年漫画的な熱血成長物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ベン・トー  アサウラ  柴乃櫂人  評価A- 

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神様のメモ帳6 

神様のメモ帳〈6〉 (電撃文庫)神様のメモ帳〈6〉 (電撃文庫)
(2011/02/10)
杉井 光

商品詳細を見る
読書期間:2011/3/25

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー
世界観




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 高校の文化祭が押し迫る晩秋、ラーメンはなまるにやってきたのは、チャイナマフィアの後継者兄妹。なんとミンさんの親戚だという。ミン父・花田勝の引き起こした事件をきっかけに、なぜか持ち上がるミンさんの縁談。それに憤然と立ち上がったのは、ヒロさんだった。
 「おれからの依頼。この婚約、ぶっ壊してくれ」
 ヒモのくせして、ついにミンさんに本気!二転三転の結婚騒動を描いた「電撃MAGAZINE」掲載作に、ヒロさんの師匠初登場の書き下ろし短編『ジゴロ先生、最後の授業』を加えた、大ボリュームのニートティーン・ストーリー第6弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ニート探偵第6弾。
帯にてアニメ化が発表され、これから活気づくことが期待される人気シリーズです。

今回は、ニート探偵団のうちの一人であるヒロさん、そしてラーメンはなまるの現店主であるミンさんを主軸に置いたお話……であるのは間違いなのですが、それだけでは終わりませんでした。
冒頭やあとがきで語っている通り、これはある一人の男の物語でした。

熱い、切ない、楽しい……作品を評価する上で、色々な形容詞がありますが、この本の場合、面白いというシンプルな言葉が一番ピッタリときます。
どっぷりと漬かることのできる物語は、読了後の充実感が素晴らしく、とても良い時間の過ごし方をしたなぁという満足感を得られます。

ヘタレ気味のナルミが致命的なミスを犯し、終盤で起死回生の案を提示する流れは、もはや様式美。
今回はミステリー要素は少なめで、伏線が分かりやす過ぎたので、途中で作戦なども予想がついてしまいましたが、最後のオチは死角から殴られたようにガツンと来ました。
ううむ、これは何とも言葉にし辛い。

ニート探偵団を始めとしたキャラクターの立ち具合は、まさにお見事。
登場人物が纏う空気さえも感覚的に伝わってくるほどに、明確に色付けされた描写が凄い。
ナルミなんて、高校生活を送っていることに違和感すら覚えるほどニートが様になってきましたしw

アリスのデレ期がますます加速していて、ナルミに対する挙動が取り乱すことが多くなってますね。
相変わらず犯罪的なまでの鈍感っぷりを発揮しているナルミですが、彩夏推しの立場ということもあって、あまり腹が立ちません。
本人は無意識の天然系ジゴロになりつつありますが、果たしてこれは成長と呼べるんでしょうかw

彩夏をもっと絡めた青春模様が見てみたいなぁ。
今となっては、どちらもほとんど意識していないようで、寂しい気持ちになります。
アリスが妬くような展開になれば面白いんですがね。

書き下ろし短編である「ジゴロ先生、最後の授業」も良かったです。
ヒモも、ここまで来ると屑を通り越して立派に見えるというのが、よく分かりましたw

岸田メルさんのイラストは、塗りが丁寧で惹きこまれます。
微妙にリアルらしさも入り混じっていて、無二の絵師さんだなぁと思わされます。

さて、次は順番で行けば少佐の番なのかな?
アニメ直前に発売されるそうですが、待ち遠しいですね。

ミンさんの結婚騒動の裏で泥臭く躍動する男達の格好良さに惚れます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  神様のメモ帳  杉井光  岸田メル  評価A- 

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バカとテストと召喚獣9 

バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)バカとテストと召喚獣9 (ファミ通文庫)
(2011/01/29)
井上 堅二

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読書期間:2010/1/31

【評価……A-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
バカ
ギャグ
ラブコメ
燃え


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 墓穴と姦計が入り乱れた対Cクラス試召戦争。Fクラスは、なんとか初日をタイムアップで切り抜け、勝負を二日目に持ち越すことに成功した。しかし、ただでさえ低い点数をさらに減らしてしまった彼らは、いきなりピンチ状態からのスタートに!しかも、明久は風邪で不在……。どうなるCクラス戦!?この劣勢を覆すことができるヒーローはいないのか!?
 「それで、話ってなんだい吉井君?」(by知的眼鏡先生)
 勝利を信じる心と心の絆が奇跡を呼ぶ第9巻!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


バカだからこそ、一直線に目的に突っ走ることができる熱い奴らの学園コメディ、第9巻。
Cクラスとの試召戦争後半戦に突入です。

うおー、面白れー!
ここ最近のバカテスの中では、一番楽しかったです。
本編よりも短編集の方が良かったりしてたからなぁ。

姫路さんの不意打ちによるキスで呆然となってしまった明久。
我を取り戻して学校に遅刻した時には、既に試召戦争は始まっていた。
仲間との合流を諦め別行動を取ることにした明久、開始早々苦境に立たされている雄二たちFクラス。
二人の視点から交錯する試召戦争という熱血バトルが繰り広げられています。

明久雄二の燃える友情展開は珍しくはないんですが、今回は飛びきり熱いですね。
口に出さなくても伝わる信頼関係というのは、卑怯なくらい格好良いなぁ。
普段、お互いを陥れることしか考えていないのに、いざというときに信じられるってのは輝いて見えます。

正直、召喚獣の設定的に限界が見えているので、話を広げるのは難しいんでしょうね。
それでも、十分見応えのある駆け引きが描かれていて、システムの穴を指摘するよりも絞り出した知恵に感心させられました。

まさか、Aクラスメンバーにここまで多くの出番があるとは思いませんでしたね。
明久との絡みが新鮮。
いつものFクラスとの荒っぽい関係とは一味違うマイルドなボケがおかしくて何度も笑いました。

秀吉人気に押されて不遇の立場となってしまっていた優子に、やっと光が当てられましたね。
ちょっと気が強いショタコン程度だと、濃い人間の多い文月学園では埋もれてしまいますけれど、しっかり者のツンデレってのはポイント高いよ。
何度かニヤケさせてもらいました。
今巻に限っては、秀吉よりも萌えましたよ。

ニヤけたというのは、愛子も同様ですね。
私はHだよと公言している女の子が見せる純情さは、破壊力が凄い。
ギャップ萌え好きとしては、たまりませんでした。
もちろん、お約束の誘惑的な行動もあり、何ともまぁご馳走様でしたという感じw

久保君は、相変わらず美味しいポジションでいらっしゃることで。
明久との勘違いコントは、もう楽しくて仕方ありません。

姫路さんは、ようやくメインヒロインとして板についてきたなぁ。
Fクラスの空気に感染してしまい、どす黒い方向に進化してしまった時は、もう清純派ヒロインに戻ることはできないなと思っていましたが、一周して芯の強い魅力的な女の子になりましたね。
明久のために、みんなのためにと頑張る姿は、頼もしさすら感じられました。

表紙の翔子は、いつの間にかに随分と成長していたんだなぁと感慨深くなったりするね、うん。
挿絵では、木下姉弟とデフォルメ明久が可愛かった。
葉賀ユイさんのイラストは、ページをめくる瞬間のドキドキ感がいいなぁと思います。

それにしても、この作者はあとがきまで笑わせてくれますね。
これぞプロというやつか、なるほど。

いつもよりコメディが控えめのかわりに、熱いストーリーを魅せてくれます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカとテストと召喚獣  井上堅二  葉賀ユイ  評価A- 

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とある飛空士への恋歌4 

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)
(2010/08/18)
犬村 小六

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読書期間:2011/1/9~2011/1/13
月間マイベスト作品

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
燃え
感動
緊張感
家族愛
ロマンス

 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8


 「大好きだから……さよなら」
 級友の死に苛まれていたカルエルとクレアは、思い出の湖畔で思いがけず再会する。お互いの気持ちを確かめるため、正体を明かしたカルエルだったが、クレアには別れを告げられてしまう――。
 一方「空の一族」との戦いで多くの仲間を失い、疲弊した飛空科生徒たちは、悩みと苦しみを抱えたまま、再び決戦の空へ向かうこととなる。仲間の思いを受け継ぎ、潰滅の危機に瀕している大好きなイスラを、大切なひとを守るために……。
 超弩級スカイ・オペラ「飛空士」シリーズ、驚天動地のクライマックスに突入!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


空を翔ける者たちの愛と憎しみのロマンス、第4巻。

震えた。
周囲の雑音が気にならないくらい没頭して読み耽りました。

通常、シリーズ物が途中で急激に評価を上げることは少ないはずなのですが、この作品は3巻4巻で明らかに一つ上の水準に到達しましたね。

戦争という現実の前に、学生たちが甘さを捨てざるを得ない状況になっていくのが見ていて辛い。
しかし、そんな緊迫した中で、一皮むける男たちが何と熱いことか。
「男子三日会わざれば刮目せよ」とは、まさにこのこと。
死への恐怖、逃げ出したい気持ちを抱えながらも、やるべきことを見失わない彼らが格好良すぎる。
ミツオやファウスト、ウォルフガングの勇姿にも涙しましたが、今回も同等の破壊力が胸に来ました。

空戦そのものは、戦艦や戦争に詳しくないため、細かい指摘を上げることはできません。
知識のないものからすると、説明文が的確で分かりやすく、盛り上げどころも押さえていて良かったです。
ラノベらしくない濃厚な文章で、ギリギリの戦いに何度も鳥肌が立ちました。
映像ではなく文章だからこその面白味があって、お見事だったと思います。

あらすじ通り、遂に明かされた秘密。
物語は加速し、息をつく暇もありません。
前巻同様、展開は予想の範囲内なのに、どうしてこう心躍らされるんだろうか。
伏線が見え過ぎていることに関しては気にならないわけではないんですが、これが王道の良さでしょうかね。

過去との決別があっさりと取るべきか、グダグダで情けないと見るべきか、読み手次第かな。
個人的には、周りが立派過ぎるだけで、カルエルのように苦悩するのは当然だとも思うので、適度な塩梅だと思いました。

今回キーマンとなったのは、これまで背景が謎だったイグナシオ
情報がなさすぎたので、急に湧き出てきた印象が拭えませんでしたが、良い役柄でした。
彼が居てくれて、本当に良かった。

イラストのレベルも総じて高く、見応え十分です。
登場人物が多いので、口絵でキャラ紹介してくれていると、もっと読みやすかったかな。
まともに載っているのが2巻しかいないので。

素晴らしい一冊でした。
次回の最終巻、感動のラストを期待します。

臨場感のある空戦描写が圧巻のクライマックスに打ち震えます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とある飛空士への恋歌  犬村小六  森沢晴行  評価A- 

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涼宮ハルヒの憂鬱 

涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)涼宮ハルヒの憂鬱 (角川スニーカー文庫)
(2003/06)
谷川 流

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読書期間:2011/1/4~2011/1/7

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
ラブコメ
世界観
完成度


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9



 「ただの人間には興味ありません。この中に宇宙人、未来人、超能力者がいたら、あたしのところに来なさい。以上」。
 入学早々、ぶっ飛んだ挨拶をかましてくれた涼宮ハルヒ。そんなSF小説じゃあるまいし……と誰でも思うよな。俺も思ったよ。だけどハルヒは心の底から真剣だったんだ。それに気付いたときには俺の日常は、もうすでに超常になっていた――。
 第8回スニーカー大賞<大賞>受賞作、ビミョーに非日常系学園ストーリー!

【感想】


今やラノベ読者に限らず、オタク文化を好む者であれば知らない人はいないであろう超有名作品。
アニメ版は京都アニメーションの名を世に轟かせた、角川スニーカー文庫の看板タイトルです。

シリーズのファンは、国内にとどまらず、海外でも熱狂的なファンが多数存在しています。
さらには、作家志望者に多大な影響を与え、類似作品が山のように生まれました。
まさしく00年代ライトノベル業界の代表作品といっても決して過言ではないでしょう。

さて。
そんなメジャータイトルを今更感想を書かなくても、そこらじゅうに溢れかえっていますが、せっかくなので自分が感じたことを書き残したいと思います。

2011年の1冊目として読んだ今巻ですが、通算では5回目くらいの再読になります。
これだけ読みなおしたラノベは、他に1,2冊あるかどうか。
それだけ思い入れ深い特別な一冊です。

初読はアニメ放送第一期放送終了直後の2006年8月。
アニメ1話を見た瞬間にこれは絶対に面白いという確信を得ましたが、先に原作を読んでしまうとアニメが楽しめくなるかもしれないと思って、最終話を視聴するまで手をつけなかった思い出があります。
その判断が正解だったかどうかは分かりませんけど、当時の最新刊である「涼宮ハルヒの憤慨」までノンストップで読んでしまうぐらいハマりました。

内容については、アニメの作りが丁寧過ぎて、原作ならでは得られる充実感というのがほぼありません。
つまり、初見であるにも関わらず、既にほとんど把握済みという状態でした。
おそらく、自分みたいな人は大勢いたんじゃないかな。

何といっても特徴的なのが、主人公・キョンの語り口でしょう。
地の文が、流暢な喋り言葉でなだれ込んで来るのは、実に衝撃的でした。
これがハルヒの評価を決定づける上で、最も大きなポイントになっていると思われます。
事実、テンポの良さに病み付きになる人もいれば、嫌悪感を覚える人だっています。
ちなみに、言うまでもなく自分の場合は前者でした。

ライトノベルという分野において、この軽さは武器になります。
一つの文章における面白味を損なうことなく、サクサクと読める為、非常に心地良いんですよね。
登場人物が活き活きしているのも長所の一つですが、それもこの文体のおかげともいえます。
読者はキョンに同調することで、シンパシーを得ることができました。

キョンだけではなく、取り巻く仲間達も魅力的です。
我が儘なツンデレ娘であり台風のように騒がしいヒロイン・涼宮ハルヒを筆頭に、無口系キャラの王道を往く万能少女・長門有希、天然ロリ顔巨乳の癒し系お姉さん・朝比奈みくると、スタンダードが故に外れもない可愛い女の子達。
そして、キョンを除くと唯一の男子である二枚目・古泉一樹も含めた計5人の集まりは、中高生を中心とするラノベ読者にとっては憧れを覚えるほどのものでした。

第1巻となる今作では、まだキャラ紹介程度にしか話が進んでいません。
説明に量を費やし、ストーリーに関しては終盤にちょっとだけ進展するかなってレベルです。
とはいえ、セカイ系の基本的な骨格は形成されていて、完成度は間違いなく高いと思います。
これが新人作品だったわけですから、そりゃあ大賞を受賞するでしょうね。

イラスト担当は、これまたハルヒで名を馳せたいとうのいぢさん。
この作品が流行った理由の一つでもあるキャラ造形は、古さと新しさがミックスされたもので、テンプレ的な要素も踏まえつつ独自の色を出すことに成功しました。
挿絵は、渾身のイラストと比較すると、何気に結構粗かったりするので過度な期待は禁物です。

何度も触れすぎて素直な感想は書きにくくなってしまいました。
それでも、面白いといえる名作だと思います。
ラノベの入門書に相応しい本のうちの一冊ですね。

非日常に憧れる自由奔放な女の子と、それに振り回されダルそうな男の子のボーイミーツガール

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  涼宮ハルヒの憂鬱  谷川流  いとうのいぢ  評価A- 

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僕は友達が少ない⑤ 

僕は友達が少ない (5) (MF文庫J)僕は友達が少ない (5) (MF文庫J)
(2010/11/20)
平坂 読

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読書期間:2010/11/28~2010/11/29

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
ラブコメ
青春
ロリ
リア充
衝撃度

 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★★★
 … 10
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8


 ある日父・隼人から電話でよくわからない話を聞かされて驚く羽瀬川小鷹だったが、星奈にそれとなく確認してみたところ、彼女のほうは特に変わった様子もない。一応気になりはつつも、隣人部ではいつものように残念な部員たちとの騒がしい日々が続いていく。遊園地に行ったり温泉に行ったり理科が作ったタイムマシンで過去に行ったり(!?)、いろんなところにGO(5巻だけに)!
 隣人部の人間関係にも変化がおとずれる、はいてもいるしはいてなくもあり、ついているようでついてない、大人気残念系青春ラブコメディ、変化と原点回帰の二学期編突入!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


友達が欲しいと思っている思春期の少年少女が友達と送る学園ライフ、通称「はがない」第5弾。

なん……だと……?
うわー、物凄いサプライズが隠されていましたよ。
いやいや、考えてみれば至極当然のことなのかもしれませんが、完全に想定外でした。
これは上手く読者の思考の死角を突いてきたなぁ。
固定観念とは恐ろしい。

この件で、ある事に対して驚きと同時に印象がまるで変わったわけですけど、意外にも賛否両論のようですね。
否定派の心情も理解はできますが、個人的には大いに支持したい。
自分でも現金だと思うんですが、湧き立つドキドキ感が止まりません。
既刊も読み直してみたら、おそらく全然別物のように感じ取ることができるんだろうなぁ。

そんな衝撃的な事実が判明した今巻ですが、相変わらず面白かったです。
若干、同じネタやオチが多いのが気になるものの、隣人部員たちのやり取りを見ているだけでも楽しいもんです。
今まで通り、表紙のキャラがメインとなる話が多く、幸村と理科のエピソードが豊富でした。

幸村も輝いていましたが、やっぱり取り上げるべきなのは理科でしょう。
前々から言っていますが、小鷹に積極的にアピールする姿は、本当に可愛いと思います。
変態というか下品な言葉を頻繁に口にするので誤解されやすいですが、彼女も年頃の女の子なんですよ!
世間的に、5巻で「理科が可愛く見える」という感想が多くて絶望しました。
理科は最初から可愛いってば!
小鷹の反応に一喜一憂している恋する少女らしい一面に、ときめいてしまいます。

それにしても、だ。
それぞれに友達のできない残念な理由があるけれど、小鷹は女の子の気持ちに無頓着すぎるのが原因だなぁ。
これだけ周囲から浴びるように好意を得ているのに、気付く素振りが一切ない。
さすがに、理科を筆頭に女の子たちが可哀想に見えました。

お気に入りキャラである星奈は、残念さが巻を追うごとに酷くなっているような気がします。
美少女な外見に反して性格の酷さが面白可笑しいところであったとはいえ、小鷹や夜空に対して照れるところや、中身は純真なところが可愛かったのに、今回は負の面ばかりが表に出ていました。
この娘は、分かりやすいツンデレを見せてくれた方が魅力的だと思うんですよね。

逆に夜空は、残念さが鳴りを潜めつつあり、小鷹に対する好意が顔や声に出ていましたね。
非道な罠に嵌めたり、暴言を吐いたりしてこそ夜空ですが、こういう彼女も悪くないかな。
まぁ、肉に対しては相変わらずでしたがw

ストーリーは、予想通り進展がなくて少々ガッカリ。
前回の引きで、星奈との結婚話が浮上しましたが、ほとんどスルーして終わりました。
いやまぁ、きっとシリーズ終盤でまたこの話が関わってくるんでしょうがねぇ。
引きが強くても、肩透かしばかりだと、どうせ大した進展はないんだろうなと読者に悟られてしまうので、演出だとしてもやりすぎないようにして欲しいなぁ。

ブリキさんのイラストは、いつにも増してR指定が入っちゃうようなギリギリなものが多かったですね。
単純にエロティックなものから、ヤバそうな描写なまで、見所満載でした。

余談。
作中で出てきた遊園地のモデルが、地元三重県のナガシマスパーランドまんまでニヤリとしました。
ジェットコースターは、完全にスチールドラゴンだったもんなぁw
ここの温泉は、何回も行ったことがあるので、間取りが頭の中にあって滅茶苦茶想像しやすかったです。

友達作りのはずが、周囲は彼女候補ばかりの鈍感な主人公の青春ラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  僕は友達が少ない  平坂読  ブリキ  評価A- 

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電波女と青春男⑥ 

電波女と青春男〈6〉 (電撃文庫)電波女と青春男〈6〉 (電撃文庫)
(2010/09/10)
入間 人間

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読書期間:2010/10/29~2010/11/1

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春
構成
リア充


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9



 どもども丹羽真です。
 えー、俺は今、青春ポイントが浮遊しまくる魅惑のボーナスステージに立っているのだった……!
 そう。本日は我が母校の文化祭なのである。
 今年は『引力』をテーマとしているらしく、生徒も一般入場者も、全員その小指にはカラフルな糸がぷらぷら結ばれている。なんでも、同じ種類の糸を巻いている人を発見して結び合えば、『運命という引力で引き寄せられた者』同士ということで、めでたく文化祭のメインイベントである体育館ライブコンサートにアリーナ席で参加出来るらしい。さて。俺はその『引力』とやらでどんな相手を引き寄せるんだろうねぇ。
 ふと気づけば、見慣れた水色の粒子があたりをキラキラ散乱していた。
 この晴れ舞台で、ついにエリオは「せーしゅん女」になる。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


粒子を振りまく少女と鈍感なリア充少年の青春モノ、第6巻。
青春ポイントのボーナスステージである文化祭のお話です。

青春してるなぁ。
今回は真以外の視点も多く取り込んでいるため、文化祭の賑やかさが伝わってきますね。
各々の心情が甘酸っぱかったり、純粋で眩しかったりと、まさにこれぞ青春って感じ。

クロスオーバーと群像劇が好きな作家さんというのは百も承知のつもりでしたが、随分力を入れてきましたね。
入間ファンであれば、ニヤリするキャラが続々登場し、お祭り気分を味わえます。
構成も見事で、巧妙に隠された伏線に気付かず、後半で判明した際には一本取られたなと思いました。

そもそも文化祭テーマである「引力」ってところからして、仕掛けていますよね。
小指に括りつける糸を配布して、同じ柄の人を探し出すという試みは、実際の文化祭でやってみても結構面白いんじゃないかなー。
みーまーネタをこんなところで活かしてくるとはニクイっすね。

エリオの成長は、真じゃなくても父親の心境で見守りたくなりますな。
他のキャラと比べた場合、とても同い年には見えないぐらい幼いけれど、それでも少しずつ前進しているのが分かります。
もう電波女というレッテルは相応しくない、立派なせーしゅん女ですね。
もしくは、布団女かw

個人的イチオシである前川さんは、今日も今日とて可愛かったです。
初期の頃はコスプレで徘徊する変わった人という認識でしたけど、今では数少ない常識人として欠かせない存在となっています。
エリオやリュウシさんに遠慮して、一歩引いた立場に立ってしまう自分に対して、モヤモヤするところなんかは乙女チックすぎて悶えてしまいますよ。
真は、もっと前川さんの可愛さを感じ取るべきだよ、うん。

リュウシさんは、文化祭でテンションが上がっているのか、いつにも増してウザかったw
悪口ではなく、もちろん良い意味で騒がしかったってことです。
にわ君に取り巻く女はいかんですよー!と顔を膨らませる様が容易に想像できて楽しいわぁ。
自称普通っ子のはずが、どんどん頭が天然さんになっていく。あと胸も。天然万歳やっちゅーに。

ウザいといえば、多摩湖さんと黄鶏くんを忘れちゃいけません。
5巻で分かりやすい伏線が張ってあった上に、直前で文庫化されていたので当然出てくると思っていましたが、予想以上に出番が多くて驚きました。
てっきりチョイ役程度だと思っていたので、ガッツリと絡みがあって面白かったです。
まぁ、でも客観的にみると、バカップル以外の何物でもないですね、この二人w
ブリキさんの絵でも案外違和感なく受け入れることができたのは、何気に凄いことなんじゃないかな。

他にも語りたいキャラはいっぱいいますが、ネタバレになるので伏せておきます。
一つだけ言えることは、挿絵を見ると面白さが半減してしまうので、ちゃんと最初から読むことをお薦めしますってことだけですね。

後半の盛り上がりから、読了後の爽快感まで素敵な物語でした。
ページ数としては300P弱なのに、多くのキャラに見せ場があって読み応え抜群なのは素晴らしい。
シリーズ内では、1,2を争う面白さだったと思います。

綺麗に終わっているので、アニメ最終回はこの辺りになりそうですね。

一人の少女が過去を乗り越えて新たな一歩を踏み出す青春小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価A- 

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東京レイヴンズ2 RAVEN゛s NEST 

東京レイヴンズ2  RAVEN゛s NEST (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ2 RAVEN゛s NEST
(富士見ファンタジア文庫)

(2010/09/18)
あざの 耕平

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読書期間:2010/10/13~2010/10/14

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
燃え
ツンデレ
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 教室中から突き刺さる、視線、視線、視線。好奇と、僅かな敵意。級友から向けられる幾つもの視線に春虎は気圧される。けれど――
 ――バカ虎!
 迷いのない、まっすぐな瞳。自分を見つめる幼なじみの少女――夏目の姿に、春虎は自分を取り戻す。
 闇鴉たちを育成する陰陽師育成機関、陰陽塾。夏目の式神として生きることを決めた春虎は、東京の陰陽塾に転入する。しかし、そこで春虎を待っていたのは、『しきたり』により男装した夏目と、土御門に冷たい塾生たち――そして、二人を付け狙う呪術界の闇だった!?時を超える陰×陽ファンタジー、学園編スタート!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽師の学園生活が始まる現代ファンタジー、シリーズ第2巻。

いいねいいね、面白くなってきた!

1巻も悪くはなかったのですが、ボチボチといったところでした。
著者の腕を疑っているわけではないんですが、個人的な好みに合うかどうかが不安だったんです。
滑り出しが慎重すぎるのは、あざの耕平さんの良いところでもあり悪いところでもありますね。

悪友の冬児とともに陰陽塾に転入してきた春虎。
転入生の土御門という名に対して構える級友たちと、クラスから孤立している夏目。
一筋縄ではいかないクラスの人間関係に頭を抱える春虎だったが、そんな最中に夏目に魔の手が忍び寄る――という展開なんですが、口絵を見ただけで流れが大体分かってしまいました。
的確なイラストは素晴らしいのだけれど、もうちょっとネタバレを自重して欲しいな。

完全にエンジンが掛りきっているわけではないものの、物語がノってきてワクワクしてきました。
1巻は意図的に規模を抑え気味に書いていたのに対し、2巻で風呂敷を一気に広げています。
伏線を張りつつ綺麗にストーリーを完遂するってのは、存外難しいはずなんですけど、いとも容易くやってのけちゃうように見えてしまいますね。

舞台が変わり、新キャラも盛り沢山となっていますが、まだまだ序の口だそうです。
過去の例を振り返ってみれば、そうだろうなぁと激しく納得。
キャラを覚えるのは、さほど難しくないのですけど、式神の設定は少々複雑で大変ですね。
期間を空けすぎると、忘れてしまいそうなので、早い周期で読みたいところです。

今回登場したキャラの中では、クラスメイトの倉橋京子がお気に入り。
夏目と同様に尖がった性格をしていますが、京子の方が可愛げがあっていいですねー。
すみ兵さんのイラストもお団子が可愛らしくて、惹きつけられました。
渋い男とか爺婆が活躍することの多い作者さんにしては、比較的普通の女の子って感じが珍しくもあります。

春虎の天然で人懐っこいところは、魅力的だなぁ。
主人公のキャラが立っていると、作品の面白さが段違いに良くなりますね。
冬児の悪友ポジションもニヤリとさせられますし、主要キャラについては文句のつけようがありません。
表紙の狐娘も賑やかし要因として良かったですよ。

あと、登場人物のレベルの違いを見せるのが、本当に上手いですね。
陰陽師や式神の強さにランク付けをし、ハッキリと差をつけるのが実に巧みです。
にもかかわらず、相対的にランクが低いキャラに弱者という印象を与えないのが凄い。
どのキャラにも強さを感じさせる演出力という点において、作者さんはずば抜けていると思います。

そろそろ大きく物語が動き始める気配してきました。
次は心して読まねば。

敵視される立場で転入してきた主人公が、人柄の良さで仲間を増やしていく学園生活の始まり

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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