明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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バカとテストと召喚獣10.5 

バカとテストと召喚獣10.5 (ファミ通文庫)バカとテストと召喚獣10.5 (ファミ通文庫)
(2012/09/29)
井上 堅二

商品詳細を見る
読書期間:2012/10/1~2012/10/2

【評価……A-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
バカ
ギャグ
ラブコメ



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 進路希望調査の記入内容に迷う明久・雄二・ムッツリーニの三人に、学園長が提案したのは召喚者の未来をシミュレートする新たな実験――「間に合ってます」「なんだいその反応!?」(正しい教師とのやりとり)。
 とはいえ興味をそそられたFクラス面々は早速試してみることに……。
 『僕と未来と召喚獣』他、明久と雄二を襲った衝撃の人格入れ替わり事件の顛末『僕と雄二と危ない黒魔術』など全4本でお贈りする青春エクスプロージョンショートストーリー第5弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


バカテスシリーズ通算15冊目、短編集第5弾。
美春と共に玉野さんが早くも表紙登場。
大躍進ですなぁ。

やっぱり、バカテスは短編集の方が面白い。
皮肉なことに、テストや召喚獣が関わらない方が、ギャグセンス抜群である作者の力を存分に発揮できるんですよね。

僕と兄さんと謎の抱き枕

高校見学にやってきた久保弟&土屋妹から見た文月学園の非日常的な学園生活。
兄が明久の抱き枕などを所有していることを知った久保弟が事実を確かめに調査しにやってくる話です。

情報収集に努める久保弟を嘲笑うかのように、生徒たちの吉井明久評が酷いw
誰に尋ねても一言目にバカと言われ、二言目に衝撃的な噂を流される始末。
それがあながち間違いではないのが、明久の明久たる所以なのでしょうがねw
久保弟は、作品内では稀にみる常識人なので、文月学園に関わらない方が彼にとっては幸せではないかな……。

僕と雄二と危ない黒魔術

バカテス版「ココロココネクト ヒトランダム」編。
怪しげな黒魔術により明久と雄二の人格が入れ替わってしまい、いつものメンバーを巻き込んだ一騒動が繰り広げられます。

もはや召喚獣のシステムすら関係のないファンタジー設定は少々突飛すぎる気がしましたね。
しかし、それすら気にならないほどに勢いが凄まじく、笑いが止まりません。
見慣れたやり取りのはずなのに、言葉のチョイスが絶妙で、何度噴き出してしまったことやら。
笑いの破壊力は、今巻最大でしたね。
玉野さんの行動がガチ過ぎて、ギャグで収まりきれなかったのはいかがと思うw

僕と未来と召喚獣

進路に悩む明久達の前に、学園長による召喚獣調整の実験が行われれる恒例の展開。
今度の召喚獣は、未来のシミュレートができるというもの。

これは興味深いエピソードでしたねー。
みんな身長が伸びたり、大人っぽくなったりしていて、外見的な成長が窺えます。
葉賀ユイさんのイラストを眺めることが出来ただけでも、この話は大成功でした。
20代中頃の明久には、今にはない余裕が生まれていて格好良かったですね。

私とウサギと仄かな初恋

吉井くんと瑞希ちゃんの過去話。
瑞希が事あるごとに匂わせていた明久に好意を抱くようになったキッカケですね。
それが遂に明かされます。

未来以上に有り得ないくらい美少年な明久がいる!
明るくて皆の輪の中心にいて、周囲に笑顔を振りまくクラスの人気者。
一体この天使のような子が、どうしてあんなにバカになってしまったんだ……。
まぁ、視点の関係から瑞希フィルターによる補正が強かったのかもしれませんが。

ネガティブな思考が常な瑞希ちゃんにとって、明久は眩しい存在だったでしょうね。
些細なことで喜ぶ二人が、微笑ましくてほんわかとした気持ちになりました。
それだけに意外なストーリー運びに少々驚きましたけど、この話、絶対裏側がありますよね。
美波の過去話が雄二視点でも語られたように、今度は明久視点で見せてくれそう。

ノンストップバカコメディの真骨頂は短編にこそある

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テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカとテストと召喚獣  井上堅二  葉賀ユイ  評価A- 

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とある飛空士への夜想曲 下 

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)
(2011/09/17)
犬村 小六

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読書期間:2012/8/21~2012/8/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
感動
ロマンス



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 サイオン島には「魔犬」がいる――。ヴィクトリア海海戦より半年後、帝政天ツ上軍の撃墜王・千々石は、神聖レヴァーム皇国軍の飛空士たちにそう呼ばれ恐れられていた。
 しかし、物量に劣る天ツ上の兵士たちは、レヴァーム軍の果てしない攻撃を前に次々と命を散らしてゆく。
 そして、ついに東進を開始したバルドー機動艦隊。迎え撃つべく、空母「雲鶴」に再び乗り込んだ千々石を待ち構えていたのは、最新鋭科学兵器に守られた海の要塞と、あの男の技だった……!
 魔犬と海猫――ふたりの天才は決着を求め、天空を翔る!「夜想曲」完結!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「とある飛空士」シリーズ第三部、完。

圧倒された。
ただそれに尽きます。

魔犬vs海猫、決着。
フルスロットルで翔け抜けた男達の戦いが、ここで一つ幕を閉じます。

運命というものはあまり信じないタチなのですが、この物語ばかりはそんな言葉がよぎってしまいます。
千々石武夫と吉岡ユキが出逢い、魔犬と海猫が出逢う。
二つの点を結ぶことで生まれる直線は、結末までも決めてしまったのではないでしょうか。

ストーリーは、誰もが予想した内容を辿ったものでした。
それなのに、どうしてこんなにも心を揺さぶられるのでしょう。
戦中ならば有り触れた出来事なのだとしても、陳腐だと一蹴は出来ません。
過酷な状況下で輝く命の尊さと、恐怖を乗り越えた感情の強さは、目が離せず惹きつけられます。
作中の表現にあった通り、まさしく「命を絞り尽くして」生きた者たちの物語だからこそ、胸を打つのでしょうね。

エースのエースたる所以。
千々石武夫の信念と実行に移せる実力に惚れ込みます。
確かに普段は古風なまでに不器用な千々石に対して、もどかしさを覚えてばかりで、波佐見やユキが憤るのも仕方がないなと思いました。
しかし、千々石の図太く育った根幹は、一種の憧れを抱かせる力強さがあります。
英雄を夢見る子供はもちろん、大人ですら勘違いして焦がれてしまうほどに。

そして、もう一人の主人公である海猫。
熾烈な戦いが繰り広げられる最中で、美しさすら感じさせたライバル関係。
彼が空を飛び続ける理由が、たった一言文中に登場しただけで、多大なる破壊力がありました。
魔犬と海猫だったからこそ生まれた空中舞踏だったのだと思います。

苛烈を極める戦争描写に遠慮が一切ありません。
形勢が傾き、消耗していく戦力と疲弊する飛空士たち。
それでも引かない、引くわけにはいかない男たちの執念。
お見事という他ありません。

これは果たして浪漫と呼べる代物だったのでしょうか。
戦争のやるせなさを痛感させられ、結果を見れば哀しみばかりが生まれました。
最後に紡がれた歌だけが救いであったように感じてなりません。
ただ一つ確かなのは、紛れもなく傑作だったということでしょう。

愛する人との約束を胸に抱き、宿敵との決戦に挑む男の物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とある飛空士への夜想曲  犬村小六  森沢晴行  評価A- 

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空ろの箱と零のマリア5 

空ろの箱と零のマリア〈5〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈5〉 (電撃文庫)
(2012/07/10)
御影 瑛路

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読書期間:2012/7/17

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成
緊張感
狂気



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 大嶺醍哉が手にした箱は、“罪と罰と罪の影”。
 人々の罪を可視化、それを取り込むことによって対象を傀儡化する“箱”を使い、彼は人間を『選別』していく。
 自身の信念に基づき邁進する醍哉。
 そんな彼を“敵”とみなす星野一輝は、醍哉を止めるため、箱“願い潰しの銀幕”の使用を決断する。
 そして醍哉は、気づけば無人の映画館の中に閉じ込められていた。ここが一輝が展開した“箱”の中だと気づいた醍哉は、対抗するための手段を模索する。
 “箱”VS“箱”。衝突する二人。
 果たして勝者は――?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


2年振りに発売された待望「はこマリっ!」シリーズ、第5巻。
合間に別作品を挟んだことで、打ち切りかと危惧されましたが、無事に刊行されて本当に良かった。
今現在追いかけているシリーズ作品でも、指折りのお気に入り作品です。

さすがに忘れていることも多く、ややこしい設定などに思い出すのに苦労しました。
もしも期間を置いて読むのであれば、軽くおさらいしておくことをお薦めします。

物語は佳境に入り、遂に正面衝突となった一輝と醍哉。
互いの願いを遂げるために、互いの願望を潰さねばならない。
“箱”の使用者同士の争いは、苛烈を極めていく……。

そう、これを待っていました!
じっくりと読みこみたくなる面白さは、他では早々味わうことが出来ません。

醜悪な人間模様と突き抜けた爽快感が混在した作風は変わらず。
娯楽性の濃かった「怠惰なる遊戯」編と比べると、“箱”自体のギミックよりも、軸のしっかりしたストーリーに興味をそそられます。
タイトルに結びつけた構成力には、驚愕を覚えます。

えげつない話を書かせたら、著者の右に出るラノベ作家は存在しないのではないでしょうか。
残虐かつ非道な人間を描く際に、読者層を想定してオブラートに包まれるどころか、容赦のない表現で徹底的に虐め抜いています。
この手の残酷さが好きな人にとっては、堪らなくゾクゾクとするでしょうね。

抽象的な事象を具体的表現で置換する手法に長けているのが特徴ですね。
少し曖昧すぎてボカしている部分は見受けられますが、本筋には影響ありません。
“箱”という認識し辛い現象を的確に書き表しており、読者が想像しやすい配慮がなされています。
特に今回の場合、醍哉が手にした箱“罪と罰と罪の影”は、名称通り、人間の罪や罰を具現化しているので、描写のキツさが跳ね上がっているように感じられます。

醍哉をダブル主人公の片割れとして書いたというだけあって、5巻の主役は紛れもなく彼です。
ばら撒かれていたヒントを繋ぎ合わした解答編ともいうべき構成となっており、中学時代から大きく変化した醍哉の背景に迫るものとなっていました。
その一方で、従来の主人公であった星野一輝は、もはやラスボス化していますね。
いや、ダークヒーローと言った方が適正かな。

醍哉の思考には共感を覚えるところが多数あります。
どちらかといえば、一輝の方が異常だと感じるから、醍哉の方に寄りついた……というわけではなく、常日頃から醍哉のような考え方が根底にあるからです。
現実は、不条理で不平等だと痛感し、理解しているからこその願望でしょうね。
実現可能な方法が存在しないために諦めていたのが、突如“箱”という形で転がりこんできたら、賭けたくなるのも心情的に仕方がないことです。

3,4巻で登場した新藤色葉と柳悠里にも積極的な介入があるのが嬉しい。
両者ともに、ゲストキャラとするにはあまりに惜しい人材でしたからね。
清純派ビッチというワケのわからないキャラ設定が妙にしっくりくる柳悠里。
己の力量を正しく把握して如何無く発揮出来る強さを持つ新藤色葉。
どちらも非常に魅力的かつ刺激的で、ゲームを盛り上げてくれます。

元々安定していなかったイラストは、2年の時で更に変貌を遂げましたね。
口絵の一輝や醍哉を見て、誰だこれ?と思いましたよ。
個人的には、1~3巻頃の絵柄が好きですね。

さて、明確に埋められた伏線が、明かされるまま終わりました。
全てが引っくり返る可能性を秘めた仕掛けは、果たしてどのように動き出すのか。
次巻も目が離せませんね。

登場人物達の駆け引きが逆転の応酬でワクワクが止まりません

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  鉄雄  評価A- 

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ココロコネクト ステップタイム 

ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)
(2012/06/30)
庵田定夏

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/6

【評価……A-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
ラブコメ
リア充



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 お付き合いするということは、二人の仲が進展するということ――生まれて初めて恋人ができた桐山唯は悶えていた。それを見かねた親友の雪菜は太一&稲葉、中山&石川を巻き込んだトリプルデートを計画して……!?
 戸惑いの初デートから、五人が互いの第一印象を語る創部ヒストリー、稲葉と伊織の友情秘話に藤島麻衣子と1年生コンビが立ち上げたプロジェクトの全貌まで!
 愛と青春の五角形コメディ、美味しいところを詰め込んだココロコレクト第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ココロコ短編集「ココロコレクト」第2弾。

恋あり友情あり、シリアスありコメディあり。
過去話から最新話まで、文研部2年生5人以外にも見せ場が用意された幅広い内容となっています。
以前より告知されていました最終章の目前として相応しいラインナップだと思います。

表紙絵は、太一&稲葉んのカップルに他2名。
稲葉んの表情が完全に恋する乙女で、初期のクールなイメージはどこへやらという可愛さ。
背まで縮んでしまったかのように見えますね。
短編の中身も稲葉ファンとしては嬉しい展開が多くて堪能させていただきました。

ちゃっかり最前列でカメラ目線の藤島姐さんはさすがです。
そして今回の短編集でまるで関係のない妹の莉奈が登場しているのはファンサービスなんでしょうかね。

「ファーストエンカウンター」

タイトルから察することが出来るように、文研部の創設が語られるエピソード。
八重樫太一・稲葉姫子・永瀬伊織・桐山唯・青木義文の5人それぞれの視点から各人物に抱いた印象をモノローグで綴られています。
まだ出逢って間もないということで、距離感の掴めない皆の様子が初々しい。
しかし、既にこの頃には部の雰囲気は雛型が完成しており、仲良くなることが約束されていたかのよう。
まるで記憶消失されたループ物かのように自然と馴れ合っているんですよね。
実は、ふうせんかずらによって現象が起きた2回目以降の世界なのかと思うのは疑いすぎかな。
それにしても、「ヒトランダム」で伊織は相手に合わせてきたとドヤ顔で太一に告白しましたが、みんなにバレバレじゃねーかw

「ふたりぼっちの友情」

伊織と稲葉んの友情秘話。
対外的に仮面を被っている節のある似た者同士の二人が、本物の友情を育むキッカケとなった1年生の頃のストーリーです。
意外と精神面が脆い二人が、窮地に立つことで互いの心を曝け出す展開は、ココロコらしい。
たとえ不思議な現象が起きてなくても、少女達の成長物語というコンセプトは変わらないですね。

「デート×デート×デート」

伊織と雪菜が見守る中で行われる太一&稲葉、青木&唯、石川&中山のトリプルデート話。
唯と中山が不甲斐ないと雪菜が憤り、デートしろと発案したのが事の始まり。
青木や石川は彼氏として頑張っているのに対し、唯と中山は可哀想になるくらいテンパってますね。
ガチガチに固まっていて、ミスしたことに落ち込み、初々しさを通り越して痛々しい。
それに比べて、太一と稲葉のカップル指数は、さすが数々の関門を乗り越えてきただけのことはあって、まだ付き合い始めて半年とは思えない程の安定感ですね。
稲葉んが太一と二人っきりのときだけ自然体で、少しだけいつもより表情や会話が柔らかいところにトキメキを感じずにはいられません。

口絵にファッションチェックがありますが、ここも稲葉んの圧勝すぎる。
まぁ好みはあるんでしょうけどね。

「この我が道を行く疾走」

時系列としては最新のエピソード。
文研部2年生のリア充っぷりをまざまざと見せつけられた紫乃と千尋が、藤島と組んで「リア充とは何か?」を改めて研究する一風変わったお話。
藤島麻衣子視点で心情が描かれており、彼女の真意がどこにあったのかが分かる貴重な短編でした。
妙なところだけ鋭く変に鈍感だから、春が訪れるのは時間が掛かりそうだなぁ。

次回以降に迎える転機を不安感いっぱいに煽っていますね。
ココロコシリーズは、毎度引きが強烈だなー。

現象が起きないからこそ人間関係が生々しく描くことが出来ている短編集

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ココロコネクト  庵田定夏  白身魚  評価A- 

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ベン・トー9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 

ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2012/06/22)
アサウラ

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/27~2012/6/29

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
バカ
ギャグ
変態
ラブコメ
燃え
ロリ
 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9

 半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会は正月明け、冬の合宿へ向かう。槍水仙の愛妹・茉莉花も同行し、佐藤の心は密かに躍る。しかしその合宿地では元HP部の《大厄の闘牛士》と呼ばれる狼が待ち受けていた。彼は槍水と深い因縁があるのだと言うのだが…。さらに佐藤たちは《ギリー・ドゥー》こと禊萩真希乃とも再会を果たし、田舎のスーパーは激闘の最前線と化す!そんな中、茉莉花と佐藤がゲレンデでアクシデントに遭ってしまい、そして…!?
 雪山に響く狼たちの咆哮!香辛料が青春にピリッと効く、庶民派シリアスギャグアクション、第9巻!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


半額弁当を求めて遥か北へ。
雪をも溶かさんとする情熱で行われる半額弁当争奪戦、シリーズ通算第11冊です。

変態は、レベル上がった!(ぱららぱっぱっぱ~)
……いやいやいや、犯罪じゃねえか、オイ!
この男、やるときはやると思っていましたが、ヤるときもヤりやがる……!

そんなわけで、佐藤の毒牙にかかったのは、表紙を飾る中学生と小学生。
禊萩真希乃槍水茉莉花が再登場した今回は、以前から何度も作中で話題に上がっていた冬の合宿編となります。
HP部が離散したキッカケが、遂に明かされる……と思ったいたのですが、進んでいるようで進んでいないなぁ。

合宿地のスーパーで現れたのは、かつてのHP部の一員である秋鹿雅
とある思惑で槍水に最接近した秋鹿との争奪戦がメインの回となります。

終わって欲しくないシリーズとはいえ、引き伸ばし感も尋常ではないですね。
1巻の頃からの謎が、未だに本題に突入していないんですから。
そろそろ一度決着をつけて、2年に進級した佐藤達の新章を始めてもいいんじゃないでしょうか。
語られていない秘密が、それほど凄いことだと予感させませんしね。

秋鹿サイドの描写も結構な割合を占めているため、早めの段階で何となく彼の考えて読めてしまいました。
それでもなお物語を熱く展開させてくれるところは、さすがというべきですか。
くだらないのに燃えてしまうのが、悔しいどころか嬉しいんですよね。

それにしても、キャラが濃いのなんの。
中でも特筆すべきなのは、やはり幼女・茉莉花でしょうね。
10歳という年齢にして、作中の誰よりもフェロモンを撒き散らしていますよ、この娘。
これを天然でやっているんだから、末恐ろしい。
健気で無防備な幼女を、変態の傍に置いておいたら、そりゃあ間違いの一つや二つ起きても不思議じゃないです。

白粉も佐藤に負けじと成長してますね……変態として。
これまでも女版佐藤とも言うべき行動力でしたが、一歩抜け出した感があります。
果たして佐藤は卒業まで貞操を守り抜くことができるんだろうか……いや、無理そうだなw
佐藤が絡む事象を全てアッチ系に変換できる能力は、防ぎようがないもんなぁ……w
ああ、あと久しぶりに狼としての見せ場があったのが嬉しかったです。
勝率的にも佐藤より上なんだし、そろそろ彼女にも二つ名が欲しいところですね。

ロリルートは犯罪臭が半端ないこともあって、ラブコメ的にはイマイチ萌えられませんでした。
個人的に最もグラリと来たのは、白梅様でした。
ひたすらツンしか見せてこなかっただけに、僅かな隙でもギャップが凄まじいことになります。
佐藤は、もっと彼女との妄想に励むべきだと思うんだ、うん。

真希乃の再登場は嬉しかったですね。
ただのゲストキャラで終わらせず、しっかりと《ギリー・ドゥー》としての活躍を見せてくれました。
彼女は、尽くす女というイメージが強いですね。
男にとっては都合が良過ぎるほどに、イイ女の子ですよ。

再登場が嬉しかったといえば、彼は色んな意味で美味しかったですね。
ネタバレになるので直接的には触れられませんが、彼特有の空気が大好きです。
ギャグ要因としても、燃え要素としても、作品の味を決定付けるスパイスとして見事な配役でした。

他にも遠征先で登場した狼の面々を掘り下げてくれたりと、丁寧な仕事が光ります。
《東北のカナリア》の正体は意外でしたね。
アニメ化されていないエピソードだったので、絵的には確かに見たこと無かったわけですけど。
一本取られたなと思いました。

相変わらず年長者なのにが一番幼く見えますね。
他が分かっていながら黙っているところを変に大人ぶったり、逆に落ち着きがなかったり。
おかげさまで、奢莪の本妻っぷりを見せつけるカマセ犬になりつつあるような気さえしますよ。
過保護なまでに守られる彼女が抱える過去とはなんなんでしょうね。

弁当に限らず食事のシーンは、本当にウマそうだなぁ。
今回は、いつも以上に身近な食べ物が多くて、味を想像しやすかった分、更に胃が刺激されました。
舞台が冬の東北ということもあって、温かい食べ物が非常に美味しそうで、涎が出てきます。
あー、夏バテ解消法として、この本を読むのはいいかもしれませんねw

遠征先キャラ総出演によるハードなギャグと熱い物語が堪能できます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ベン・トー  アサウラ  柴乃櫂人  評価A- 

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暴風ガールズファイト2 

暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫)暴風ガールズファイト 2 (ファミ通文庫)
(2007/12/25)
佐々原 史緒

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/26~2012/5/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春
スポコン
燃え
友情
構成

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8


 グラウンド、ユニフォーム、チーム名をGETし意気揚々の、ラクロス同好会改め≪聖ヴェリタス ロッソ・テンペスタ≫。
 校外合宿と公式戦出場を目指し、次に狙うはオージーからの不思議な留学生カレンと、ヴェリタスの王子こと九條香月(とそのお供)!ミッション遂行のため、級長様の謀略が冴え渡る!?ああコワいですわ!
 「コラーっ、宮前!それじゃわたしが悪者みたいじゃん!」(by広海)
 合宿・特訓・肝試し!?体育会系美少女グラフィティ第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


嵐を撒き散らす女子ラクロス部の熱血スポコン小説、第2巻。

何という熱い戦い。これは燃える!

遂に部員が集まり、正式なクラブとして昇格したチーム≪ロッソ・テンペスタ≫。
合宿でスキルアップした彼女達は、念願の公式戦出場を果たす。
一度敗れたらお終いとなるトーナメント方式で、目標の日本一を目指す王道ストーリーです。

これぞ正統派スポコン小説でしょう。
とにかく感情そのものが生で発露する感覚といいましょうか。
声、汗、涙……。
彼女達が叫ぶと、こちらまで叫び出したくなるようなシンクロ率。
麻生広海の一人称で語られる心情は、ダイレクトに読者の心をガッチリと掴んで離しません。

多種多様な女の子が登場し、いずれも魅力的なキャラであるこの作品。
新たな部員が増えても、埋もれてしまうどころか、パワーアップしています。
ラクロス経験豊富なオカルト趣味の留学生、カレン・バクスター
女子校にありがちな王子系キャラ、九條香月
その九條の取り巻きであるミーハーな、高梨光葉明葉の双子姉妹。

個人的には好きなのは、不思議な観念を片言の日本語で話すカレン。
ちょっと浮いた感じが、グループ内のポジショニングとして面白い位置に収まっていますね。
我が強いメンバーの中で、ふわふわとした怪しさがイイ味を出していました。

エピソード的には、九條と小坂の掘り下げが良かった。
一人一人の個性を蔑ろにせず、キッチリと物語に絡めてくれるところに完成度の高さを感じさせます。

本当にかる~く漂わせる恋愛臭も嫌いじゃありません。
昨今の作品だと百合に走りがちなところなので、むしろこの方向性は大歓迎ですね。

相変わらずまとめ役の麻生さんと、一番を譲れない宮前の黒さがイイなぁ。
いつの間にか麻生さんと相棒役みたいになった長谷川が抑え役となっているのも面白い。

そして、何と言っても評価したいのは、ラクロスの試合描写でしょう。
三人称ならまだしも、一人称でライブ感溢れる展開を見せられるって相当だと思うんですよ。

スポコン漫画は大好きでよく読むんですが、ラノベでは何故か取り上げられにくい題材なんですよね。
確かに、表現上、絵的な効果が大きいために扱われにくいとは思うんです。
更にいえば、スポーツ物を書ける作家が少なかったのではないでしょうか。
あくまで設定や舞台装置にスポーツを利用しただけのコメディだったり、萌えだったりすることが多数見られます。
それはそれで構いやしませんが、ガチの熱血系作品はなかなかありません。

その観点において、佐々原史緒さんの姿勢は、情熱を注ぎ込んでいるのが読み手に伝わってくるぐらい熱いもので、大変貴重なものです。
ブログで感想を書き始める前から読んできたラノベ歴で、最も楽しかったスポコン小説でした。

3巻の予定がないのが残念すぎます。
おそらくそれを理解しての執筆だったんでしょうね。
若干ながら、端折った部分もありましたし。
今からでも遅くはないので、続きを出して欲しいなぁ。

一つ一つのプレーに一喜一憂できるスポーツの醍醐味が詰まった熱血青春モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  暴風ガールズファイト  佐々原史緒  倉藤倖  評価A- 

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東京レイヴンズ7 _DARKNESS_EMERGE_ 

東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ7_DARKNESS_EMERGE_ (富士見ファンタジア文庫)
(2012/05/19)
あざの 耕平

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/23~2012/5/25

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
世界観
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 『D』による陰陽塾銃撃事件からしばらく。
 その傷跡は大きく、陰陽塾は一時閉鎖に追い込まれ、退塾する生徒も続出していた。そんな中、『D』と大友の熾烈な呪術戦に心を奪われたままの春虎は、夏目とともに訪れた陰陽塾屋上の祭壇で、一人の少女と出会う。
 「君たち二人のことはよく知ってる。初めまして――ぼくは相馬多岐子」
 その出会いが、のちにもたらす意味を知らないままに。
 時同じくして、呪捜部公安課による双角会掃討作戦が密かに始動。陰陽庁内部に潜む“敵”の炙り出しが行われるのだが!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


陰陽術を駆使して邪念を祓う若き闇烏たちの物語、第7巻。
信じていたものが崩れていく分岐点といえるエピソードでした。

良い意味でイヤな感じに盛り上がってきた!

表面上は見えていなかったものが、遂に噴出してきましたね。
前回が分かりやすい燃え回だとすると、今回は様々な陰謀に混迷をきたす回でした。
絶望的な状況を作り出し、先の見えない不安を与えることに長けた作者さんらしい巻だったと思います。

450ページを超えるボリューミーな内容は、複数サイドの視点によるものです。
数々の思惑と困惑が絡み合い、継続する緊迫感のために心休まる暇はありません。
一歩誤れば、どこからでも破綻してしまう危うい道を進む春虎たちでしたが、いつまでも耐えられると思っていたら大間違いですよね。
たまたま成功していただけで、失敗はすぐ傍にまで迫っていました。

ストーリー展開は、最初から物凄く嫌な予感があったので、衝撃的といえども「やっぱりな」という思いを強く抱きました。
一体どこに人が頼っている柱があるのか認識し、的確に折ってくるから容赦がない。
登場人物と読者をまとめて精神的なダメージを与えてくれますなぁ。

裏でおっさんが暗躍する話こそ、あざのさんの真骨頂でしょう。
6巻では大友先生の術比べに鳥肌が立ちましたが、今度は天海大善の渋さにゾクゾクとしました。
二手三手先を読む洞察力と、言葉は悪いですが、老獪な駆け引きが格好良すぎます。

執り成し役のポジションが板についていた京子に、再びヒロインとしてのスポットライトが当てられたことは素直に嬉しい。
なあなあで済ませてしまわず、しっかりと伏線を回収してくれたことを評価したい。
彼女だって、まだ春虎たちと歳も変わらない学生。
弱さを見せたっていいと思います。
彼女の宙ぶらりんとなった想いは、果たしてどちらへ向くのか気になります。

春虎にとってのターニングポイントは、大友vs蘆屋道満を間近で目撃したことだったようですね。
これまでも比較的機転を利かせられるタイプではあったのですが、術の連動性という意味合いでは皆無で、呪符にしろ護符にしろ単発的なものばかりでした。
それを見よう見まねで、拙いながらも工夫を自分なりに重ねて、次へ次へと繋げようとする様は、成長を感じさせます。
必死に頭を使って組み立てようとする春虎が、何だか頼もしくなってきました。

前半の説明過多は、それはそれで読み応えがあったのですけれども、やはり特筆すべきは後半に突入してからのノンストップ展開。
ギリギリの状況下の中で、仲間と共に立ちあがる春虎パーティーが熱い。
着々と経験値を稼いでいっていますね。
まぁ、それでも実力は足りなさ過ぎなんですけども。

部分的に発覚した真実が、どのように連鎖反応を起こしていくのか。
次巻も目が離せません。

繋がり始めたピースと暴かれた事実が、人間関係に変化をもたらします

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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塩の街 

塩の街塩の街
(2007/06)
有川 浩

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読書期間:2012/3/27~2012/4/1

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 なし
恋愛
世界観
完成度



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 塩が世界を埋め尽くす塩害の時代。塩は着々と街を飲み込み、社会を崩壊させようとしていた。その崩壊寸前の東京で暮らす男と少女。男の名は秋庭、少女の名は真奈。静かに暮らす二人の前を、さまざまな人々が行き過ぎる。あるときは穏やかに、あるときは烈しく、あるときは浅ましく。それを見送りながら、二人の中で何かが変わり始めていた……。
 第10回電撃大賞<大賞>受賞作にて有川浩のデビュー作でもある『塩の街』が、本編大幅改稿、番外編短編四篇を加えた大ボリュームでハードカバー単行本として刊行される。

【感想】


数々の名作を発表している有川浩さんのデビュー作。

元は電撃文庫で出版されたものを改稿&加筆してハードカバーとして売り出されたものです。
のちに文庫版でも出されているので、今はそちらから入手するのが最適でしょうね。
ハードカバーは、やっぱり重いし持ち運びに不便です。

有川浩さんというと「図書館戦争」シリーズを連想する人は多いでしょう。
自分もその例に漏れず、アニメ版「図書館戦争」のイメージが下地にありました。
正直、あのアニメは悪くないところもあったものの、設定が突飛な割には慢性的な説明不足で、世界観の歪さが浮いてて理不尽さが納得できませんでした。
そんなわけで、有川浩さんの本にはあまり興味が湧かなかった経緯があります。
しかし、実際にこの「塩の街」を読んでみたら、いかに間違った認識だったのかと思い知らされました。

文句なしに面白かったです。

突如、世界に飛来した巨大な白い隕石。
その塊が落下したのと時を同じくして、人が塩になってしまう現象が起こる。
世界の人口は大幅に削れ、ライフラインは断絶し、世は終末へと向かっていた。
一組の男女の恋物語が、世界に多大なる影響を及ぼすとは知らずに……というストーリー。

これが本当に電撃文庫から発売されたのかと、読み終わった後でも信じ難いです。
ハードカバーで刊行するにあたって文章を見直ししたんでしょうが、それでも昨今のラノベとは趣がまるで異なります。
単に物語が重いだけなら他にも多くあるんですけど、地に足が付いていると言いますか、テーマが一貫としていて、隙のない構成となっています。
なるほどなぁ、担当がハードカバーで出したがるわけだ。

塩の柱となってしまう通称・塩害の設定は、SFとファンタジーが8:2といった比率でしょうか。
塩害が起こる理由は推察されていますが、そもそも何故落ちてきたのかは一切不明です。
土台となる舞台に関しては、設定そのままを受け取るほかありません。

一見奇抜な設定が売りに見えますが、実際のところは世界を舞台にしたラブストーリーが主軸です。
塩害で孤立した18歳の少女・真奈と、彼女に手を差し伸べた二十代後半の男・秋庭
人の気配が立ち消えた街で、二人の微妙な距離感がほろ苦くも生々しく描かれています。
女のために仕事をする男と、男と一緒に居たいために引き留める女。
どこにでも転がっているかのような男女関係の縮図が、この本に凝縮されています。

自分が男だからなんでしょうが、感情よりも理屈で動いてしまう秋庭の気持ちに共感してしまいますね。
真奈の感情論が駄目というわけではなく、心の強さに感心してしまうほどなんですが、それを理解した上で、この女を守りたいという方向へ思考がシフトしてしまう秋庭は責められません。
ここまで想われてしまうと、やるしかないよなー。

クライマックスは、どうやら電撃文庫版と大幅に内容が異なるようで、ちょっと興味が沸きました。
あっさりと思わってしまったので、あれ?と思わないでもなかったり。
物語の主題は、キッチリと描ききっているので、これはこれでいいと思いますけどね。

後半の半分は「塩の街、その後」と題して、短編が4本収録されています。
これが電撃文庫版ではなかったもののようで、ハードカバーで購入した最大の理由です。
ただ、面白いのは面白かったんですけど、少々蛇足気味に感じてしまいました。
昇ってきた階段をまた昇り直しているような感覚で、更なる高みへは望めなかったかなという印象です。

それにしても、電撃文庫版ではイラストが随分と不評ですね。
確かに、読了後に表紙絵を見てみましたが、想像図と全く違いますが。

デビュー作だとは思えないクオリティでした。
次に何を読むかまだ決めていませんが、有川浩さんの本は必ず読んでみたいと思います。

大人版ライトノベル、ジャンル・セカイ系ラブストーリー

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  塩の街  有川浩  評価A- 

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ココロコネクト ユメランダム 

ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)ココロコネクト ユメランダム (ファミ通文庫)
(2012/02/29)
庵田 定夏

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読書期間:2012/3/1~2012/3/2

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
ラブコメ




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 修学旅行を控えた9月末、太一たち二年生には進路調査票が配られていた。
 部室で将来を見据えて語るメンバーを見て、一人焦りを覚える太一。
 そんな時、「――これで最後です」と<ふうせんかずら>が終わりと始まりを告げる。
 山星高校全員の願望が見える、その現象を危惧した稲葉は何もしないことを部員たちに強要。
 しかし見捨てることはできないと主張する太一と唯、反対派の稲葉と青木で意見の衝突が始まって……。
 愛と青春の五角形コメディ第6巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


不思議な現象に巻き込まれるたびに成長する少年少女の青春ラブコメディ、第7巻。
アニメ化に続き、ゲーム化も発表され、名実ともに人気シリーズとして相応しくなってきました。

本当に面白い作品だなぁと、しみじみ思います。

<ふうせんかずら>より告げられた最後の現象『夢中透視』は、二年生5人に力が宿るものだった。
その力は、文研部以外の山星高校に在学する者すべての願望を見通すという。
他人の手助けを積極的に行いたい自己犠牲野郎の太一や、見て見ぬ振りが出来ない唯は、力の行使を主張するが、稲葉と青木は異常な方法で手に入れた情報に手を出してはいけないと反対する。
意見の食い違いにより文研部の空気が怪しくなっていく――というストーリーです。

数々の苦境を乗り越えたことで、10代とは思えないほどの精神力を身に付けた文研部メンバー達。
一年生の千尋や紫乃と比べると、もはや隙など見当たらないのではないかと思っていました。
ところが、強固な絆だからこそ、僅かな綻びが深刻な裂け目となってしまいます。
第1巻の「ニセランダム」の時からこの構想を練っていたんでしょうか。
どちらにせよ物語の流れが計算付くとなっており、感服するしかないですね。

毎回誰かしらがズタズタのボロボロまで追い込まれますが、今回は太一の番でした。
かつてないほどに失敗を繰り返す太一に、何度モヤモヤとさせられたことやら。
自己犠牲野郎の言葉で片付けられていた太一の本質を、更に一歩踏み込み暴く展開はさすが。
どこまでも青く、だからこそ一皮剥けたときの輝きは、羨むぐらいに眩しい。
一人では越えられない壁も、かけがえのない友となら越えられる、なんて青臭くて言葉に出すのも恥ずかしくなるようなことを体現している彼らは、まさに青春してますね。

太一の問題は作中で散々掘り下げられましたが、今回の件のキッカケは、稲葉だったと思います。
議論すら取り合わず、独裁的に話を完結させようとしたのがそもそもの始まりでしょう。
太一の危うさを理解していながら……いや、理解しているからこそなのか、反論を許さない姿勢で『夢中透視』の力を使わないよう強制したのが、拗れてしまった原因でした。
二人とも頑固だからなぁ……。

結局、人は身近な人間、もしくは自分に影響を与える人間のことしか考えられないんですよね。
そして、それは概ね正しいと思います。
名も知らない人の不幸よりも、大切な人間の幸せを願っても何も悪くないですし、当然でしょう。
そこへ思考が至ったキャラがいなかったのが惜しい。
正直、青木家の件については、太一たちが責められる筋合いはなく、むしろ正当な判断が出来る状況を作り出したと褒めらるべきことです。

要するに、客観的に見えて感情論で語っているのは、稲葉も青木も同じなわけで。
力が芽生えてしまった以上、力を使用するにしても見なかったことにするにしても、己の基準で判断するしかないわけですよね。
幸い、伊織が慎重派で中間を担ってくれましたけど、空中分解してもおかしくなかった。
それぐらい極論のぶつけ合いで、もう少し柔軟に対応すればいいのにと思いました。

藤島の存在感が半端じゃない件については、もう藤島だから仕方がないで説明がつくと思うw
何だか彼女だけ別の軸で動いているかのような独特感がありますよね。

挿絵は脇役メインで物足りませんでしたけど、その代わり表紙が良かったです。
対立している4人と中心に佇む伊織が、作品の内容を見事に捉えていました。

恋愛事情に関しては、大きな進展があった割には、晴れ渡るような解放感はあと一歩だったかなぁ。
良かったのは間違いないんですけど、読者視点で対立関係を引きずって読んでしまいました。

本編は次で最後のエピソードだそうですが、とんでもない展開になりそうな爆弾が……。
それでも彼や彼女ならば、きっとどんな苦難も乗り越えて、ハッピーエンドになるはず。
そう信じられるだけの成長を果たした巻だったと思います。

少年が己の本質から逃げずに向き合い、初めてスタートラインに立つ話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ココロコネクト  庵田定夏  白身魚  評価A- 

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サクラダリセット6 BOY, GIRL and ―― 

サクラダリセット6  BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)サクラダリセット6 BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)
(2011/11/30)
河野 裕

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読書期間:2012/1/24~2012/1/28
月間マイベスト作品

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
恋愛
透明感
切なさ
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 「これで、最後だから。たぶん、あと数日で、すべて終わる」
 復活後、姿を見せなかった相麻菫。しばらくぶりの彼女からケイへの連絡は、奇妙なものだった。
 一つ目は、春埼と一緒に交差点でゴミ拾いをしろというもの。
 一方、管理局対策室室長・浦地は“咲良田のリセット”――全能力の消滅を目論んでいた。彼は未来視能力を持つ二代目魔女・相麻に接触し……。
 初代魔女が名前を失う前、咲良田の「始まりの一年」が明らかに!最終章突入!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


壮大な舞台で綴られるのは、少年と少女の恋物語。
能力の是非を問うクライマックス突入のシリーズ第6巻です。

何という切なく、そして綺麗なお話。
この作者が紡ぎ出すキャラ、言葉使い、雰囲気。
いずれも美しいという言葉がピタリと似合います。
透き通った文章が、静かに心の奥深いところへと沈む込んでいき、離しません。
期待通り面白かったです。

遂に明かされる咲良田の始まりと、相麻菫の意図。
秘められた過去に気が付いた時、一言では言い表せられない想いが胸に込み上げてきます。
数々の伏線がたった一つのことへと収束しく様は圧巻で、様々な関門を貫いて届く想いを美しいと言わずとして何と表現すればいいのか分かりません。

相麻菫の悲痛なる決意を思うと、吐息が重くなります。
傍から見れば、たったそれだけのことであっても、彼女は文字通り身を投げてまで守りたかったのか。
彼女が抱える愛情の深さに涙腺が刺激されっぱなしです。
覚悟を決めた人間の格好良さに男も女も関係ありませんね。

ケイ、菫、そしてもう一人の主役となる浦地正宗。
彼らが幸せを求め、それぞれの世界を望み、我を通す行為に嫌悪感を抱かないのが凄い。
この作品の素晴らしいところは、皆が純粋に心を追い求めるところにあると思いますね。

脇を固める役柄も欠かせません。
全てはこのために配置していたのかと言わんばかりに、集うピース。
余すところなく全員が物語に関わり合い、ケイに影響を与えていく構成には目を瞠ります。
最初から完成形がある程度出来ていないと作れませんよ、これは。

小説に華を添える椎名優さんのイラストは、相変わらずの画力で文句のつけようがありません。
春埼の作り笑顔から、菫の慟哭まで、いずれも脳内に直接焼きついたかのように覚えています。
冒頭で登場人物紹介を載せてくれたことも有難い配慮でした。

能力は、人を幸せにするか否か。
最終巻を読むのが今から楽しみでなりません。

少女の苦しみと慈しみが詰まった未来が、優し過ぎて切なくなります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価A- 

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ベン・トー8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 

ベン・トー 8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 (ベン・トーシリーズ)(集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー 8 超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円 (ベン・トーシリーズ)(集英社スーパーダッシュ文庫)
(2011/12/22)
アサウラ

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読書期間:2011/12/24~2011/12/26

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
バカ
ギャグ
変態
ラブコメ
燃え
完成度
 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9

 半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会ではメンバーの白粉に元気がないことを気に掛けていた。佐藤達は彼女を元に戻そうと奔走する一方、クリスマスに合わせるかのように『最も最強に近い狼』と呼ばれる猛者、サラマンダーが徐々に街へと近づきつつあるのを警戒していた。そんな中、槍水はHP同好会のメンバーと伝統である聖夜のパーティをしようとしていたのだが、白粉、そして佐藤も奢莪と別の予定を立ててしまっていて大変なことに――!?
 トナカイより多忙な「狼」たちの聖夜!庶民派シリアスギャグアクション、全国の同志へ贈るクリスマス・ギフト!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


半額弁当を求めし狼たちの熱き闘いの記録、通算10冊目。
一発ネタかと思われたこのシリーズも遂に大台に乗りましたね。

素晴らしい完成度。
集大成といえる出来にテンションがあがります。

8巻の発売が、ちょうどアニメ最終回の放送タイミングと重なったのは偶然じゃないでしょう。
アニメ効果を期待して仕上げたんだろうなと思いますが、内容もまたお見事でした。
いつの間にか増えた登場人物を総動員させ、かつ一人一人の見せ場も作りつつ、ストーリーも原点回帰させたシンプルながらも力強いものとなっています。
更には、アニメ化されたエピソードから伏線を拾ってくる視野の広さ、構成力の高さは驚きを禁じ得ません。

サブタイトルにある今回の目玉弁当「超大盛りスタミナ弁当クリスマス特別版1250円」のインパクト、涙を浮かべる表紙の槍水先輩、『最も最強に近い狼』ことサラマンダーとの争奪戦を予感させるあらすじ――と、読む前から期待の高まる要素ばかりがこれでもかと並べられています。
作中の季節と発売の季節も合致していて、まさに作者からのクリスマスプレゼントですね、これは。
読んで楽しいセガネタも相変わらずで、ぎゅうぎゅうに詰まった文章の隅々まで美味しく戴けます。
このサービス精神てんこ盛りとなった8巻は、一種の完成形と呼べると思います。

とまぁ、大絶賛しておいてなんですが、欠点もいくつか。
まず第1章のエロ要素について。
詳しい内容はネタバレになるので触れませんが、佐藤の白梅様へのセクハラは度を越していたかなと。
白梅様のキャラは好きですし、佐藤とのやり取りも毎回楽しんでいますが、あれはなぁ……。
正直なところ、興奮しなかったわけではないんですけど、何か違うなーと感じました。

次に、物語の本筋ともいえるの性格について。
先輩ぶって偉そうにしているけれど、実のところ誰よりも子供なのが彼女ですね。
話題に入れないと怒ったり、拗ねたりする精神面は、幼いと言わざるを得ません。
これまではギャップ萌えが効果的で、可愛らしい一面しか見せてこなかった彼女の我が儘っぷりが、逆方向に働いてしまったのが、今回の衝突に繋がりました。
烏頭が腹を立てるのも仕方がない部分はあると思いますね。
佐藤の先輩像は思慕が入り過ぎてて甘く、私情込みの烏頭の方が客観的に仙のことを捉えています。

佐藤や白粉がメキメキと成長をしていっているのに対して、仙はHP部の想い出を引きずったまま。
結局言葉が足りなかったばかりに面倒事になったというのに、最後の最後まで変わらないんですよねぇ。
ラストで感謝でも謝罪でも言葉にして伝えていれば、だいぶ印象は変化したはずなんですが。
まぁ、キャラ的な意味合いでいえば、そんな面倒臭い性格なところが可愛いとも言えるのかもしれませんがね。
賛否両論を生んでしまうような態度だったのは否めません。

佐藤との結び付きでいえば、圧倒的に奢莪に軍配が上がりますね。
そこら辺のカップル以上にベッタリと深部でくっ付いているからなぁ……。
高段位桜桃少年団≪ハイクラスチェリーボーイズ≫が妬むのも致し方がないでしょうw

何気に白粉と仲良くやっているシーンがあるのも面白い。
普段はクリーチャーだと蔑んでいるにも関わらず、油断して女子扱いすると手痛いしっぺ返しを受けるのも定番ですね。
白梅との絡みも含めて、この三角関係はどこを切り取ってもニヤニヤさせられます。

魅力的な女の子は数多くいますが、その中でも一番は何と言っても沢桔梗ですね。
ずっと言い続けていますけど、アホの子+エロ言動で自虐に走る彼女は愛おし過ぎる。
茉莉花を除くと、あんなに好意全開なコミュニケーションを取ってくれる娘は、梗ぐらいなんですよね。
久しぶりにオルトロスの出番が満載で嬉しかったなぁ。
個人的には、梗×佐藤、鏡×二階堂という組み合わせが最高のカップリングです。

茶髪の格上げについては、やっと来たかという感じ。
弁当奪取率からすると、とうに二つ名クラスとしての実力は持ち合わせていましたからね。
気品溢れる立ち振る舞いで、もっと活躍して欲しいような脇役のまま輝いて欲しいような、悩ましいキャラですね。

ガンコナーこと山乃守烏頭のカップルも大好きです。
佐藤は苦手意識を持っているようですが、烏頭って凄くイイ女だと思うんですよね。
山乃守の人心掌握術は、更に磨きをかけていて、一杯喰わされました。

サラマンダーとの熱い争奪戦にも燃え上がりましたし、本当に隙間なく詰め込んだ一冊ですね。
主人公が活躍する王道的な展開も熱さに拍車をかけました。
魔術師、毛玉、坊主、顎鬚、ウルフヘア、柚子、ビッグ・マム、レッド……ああもう良キャラが多すぎて、書きたいことを全部綴っていてはキリがないw
とにもかくにも大満足な内容だったことは、間違いなかったです。

クリスマスだよ全員集合!とばかりにオールスターによる夢の共演が繰り広げられています

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ベン・トー  アサウラ  柴乃櫂人  評価A- 

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東京レイヴンズ6 Black Shaman ASSAULT 

東京レイヴンズ6  Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)東京レイヴンズ6 Black Shaman ASSAULT (富士見ファンタジア文庫)
(2011/10/20)
あざの 耕平

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読書期間:2011/11/27~2011/11/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
青春
期待感



 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★
 … 9




 思い出の中の大切な少女、北斗の正体は、夏目――?
 実技合宿以来、そんな疑念が拭いきれない春虎。北斗への自分の気持ちが整理できないままの春虎は、夏目に対しても今までのように接することができず、二人の中は次第にぎくしゃくしたものとなっていく。一方、『上巳の再祓』以降、その脅威が現実的なものとなった『D』は、陰陽庁に宣戦布告。事態を重く見た陰陽庁は『十二神将』を配置し迎撃を試みる。いち早く情報を察知した陰陽塾でも、警戒を強め、密かに準備を整えるのだが――!?
 すれ違う式神と主、激しさを増す陰と陽の戦い。若き闇鴉たちを取り巻く戦いは、いよいよ本格的になり!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


本格的な陰陽バトルが開始される、シリーズ第6巻。

面白かった!
スロースターターとして有名な著者ですが、遂にエンジンがかかりましたね。
まぁ、いつか必ず爆発するとは信じていたので心配はしていませんでした。

前半は、5巻からの流れで春虎と夏目の関係がギクシャクする話。
2冊ほど続いたラブコメの余韻を残す展開で、モヤモヤとする人間模様が描かれています。
少しバカで天然だけど真っ直ぐでイイ奴である春虎が下手に考え出すと、空気が停滞していまいますね。
今更ながらに夏目と北斗が同一人物なのかと思い悩んでいることを冬児あたりが知ったら、きっと呆れながら苦笑するんだろうなぁ。
本人はいたって真剣なんでしょうが、夏目からのカミングアウトを誤解した経緯を考えると、ツッコミの一つでも入れたくなります。

そんな春虎の代わりにムードメーカーとして活躍したのが、鈴鹿でした。
勝気な性格をしている一方で弄られ慣れていないので、リアクションが凄く可愛らしくて場が和みますね。
京子や冬児からの挑発に乗っかってしまう彼女を見ているだけでも楽しかったです。

ギャグパートでは、幼女先輩とのもコントも相変わらず畳みかける構成が見事でした。
先輩の春虎弄りは一級品で、この辺りのくだりを読んでいると、一冊丸々ギャグ小説を書けるのではないかなと思いますね。

しかし、今回の真髄は、ギャグではなく間違いなくバトルでしょう。
これまで姿を掴ませなかった蘆屋道満からの陰陽庁へ襲撃予告が入り、不穏な空気が漂い始めます。
その情報は陰陽塾にも伝わり、警戒態勢が敷かれる中、いよいよその時が訪れます。

危機に瀕した際に、未熟ながらも助け合う春虎たちパーティーが熱くて燃える。
まだまだ陰陽師としての力量は大したことがなくても、お互いにフォローしながら打破しようとするところがイイ。
RPGを彷彿とさせるような攻守は、見応え抜群でした。
こんな多人数バトルを的確な文章のみで表現する筆力は素晴らしいの一言です。

中でもやっぱり鈴鹿は、格の違いを見せつけてくれました。
研究職だったとはいえ、さすが十二神将の肩書きは伊達ではないですね。

あと、地味に天馬にも成長フラグが立っているところも見逃せません。
彼の活躍の方向性が垣間見ることが出来ました。

そして、後半の手に汗握る決戦には痺れましたね。
大友先生の格好良さが半端じゃねえ!
著者があとがきで述べていた通り、おっさんが活躍してからが本番ですよね。
ただ強いだけではなく、講師として、人間として魅せてくれます。
『BBB』でも陣内が一番好きな身としては、これは惚れてしまうわ。

加速し始めた物語は、もう止まらないでしょうね。
予告ページにある「覚醒」に期待せざるを得ません。

壮絶なる力と知恵の陰陽バトルにゾクゾクと震え上がります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  東京レイヴンズ  あざの耕平  すみ兵  評価A- 

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ココロコネクト ニセランダム 

ココロコネクト ニセランダム (ファミ通文庫)ココロコネクト ニセランダム (ファミ通文庫)
(2011/10/29)
庵田 定夏

商品詳細を見る
読書期間:2011/10/31

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
構成




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 新メンバーの千尋と紫乃が加わり、来るべく体育祭に向けて盛り上がる太一たち文研部。だがそんな一大イベントを前に一年生の二人はどこか浮かない顔をしていた。
 そんなある日、太一は伊織から「未練」があると告げられる。さらに周囲の言動から立ち上る強烈な違和感――信頼しているからこそ相手の言葉を疑いなく受け入れてしまう五人、そんなメンバーを陰で嘲笑うのは太一たちが予想もしない人物で……。
 愛と青春の五角形コメディ、絆を貫く第5巻!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


少年少女たちの愛と青春の成長物語、シリーズ通算6冊目。
帯にてアニメ化が発表され、ますます勢いの乗る本作。
今回も青臭過ぎて、痛々しさを通り越した清々しさが詰まっています。

一筋縄ではいかないからこその面白さがあるシリーズですね。
ライトノベルという言語通り、さらりと軽く流す物語が多い中で、キャラの掘り下げが素晴らしい。
表面だけでは留まらず、どんどん踏み込む容赦のなさは、なかなか見られません。

普段がリア充全開の和気藹々とした雰囲気だけに、追い込まれた時のギャップが凄まじい。
読んでいるこちらのココロまでもがズタズタになりますよ。
大人しく読むことが出来ず、呻いたり喚いたりしながらベッドの上でゴロゴロしまくってました。

心臓までに届く皮膚を一枚一枚剥いでいくような構成は、何度体験しても慣れません。
余計なものを取っ払い、文字通り心を裸にする追い詰め方には、躊躇いを感じさせませんね。
もちろん一切手加減ナシとまでは言いませんし、ぬるいなと思う場面も中にはあるんですけど、他多数のラブコメであるような安易で優しい解決は見当たらないです。
ホラーサスペンスならまだしも、青春系小説でここまでシビアなのは珍しい。

それにしても、今回の話は卑しい……もっと直接的に言えば、ゲスいものだったなぁ。
作品のテイストから考えると、境界線を越えた先の外道さだと感じました。
これまでの現象と比較すると、厭らしさが一際異質です。

主観をどこに置くかによって、大きく評価が割れるでしょうね。
個人的には、作品としてはありだと思うものの、文研部メンバーは聞き分けが良過ぎるなーとも思いました。
大人びた思考とか、成熟しているとか、そんなレベルじゃないですよこれは。
絆が強固すぎて隙がなく、人間が出来た考えばかりで、聖人君子にしか見えない。
2年生5人組のリア充オーラが圧倒的すぎて、2人の後輩が気後れしてしまうのも致し方がないかな。

紫乃は、初顔見せだった前回で察した通り、臆病な性格をしたキャラでしたね。
憧れの先輩達に羨望の眼差しで向けて、自分も変わることが出来たらと願う姿は年相応でした。
彼女の視点から見ることで、2年生組の異常さを痛感しました。

千尋の性格を受け入れられる人は、あまり多くはないかもしれません。
でも、太一たちが成長し過ぎているだけで、高校生になったばかりの男子としては、最もリアリティのある姿だったのではないかなと思います。
彼の心境の変化と行動に移れない情けなさは、嫌になるくらい共感を覚えました。
駄目だと頭で理解出来ていても直面する問題から逃げてしまい、より一層状況が悪くなるなんてことは誰しも一度は経験したことがあるのではないでしょうか。
酷いことをしてしまったのは事実でしょうけど、嫌いにはなれません。
むしろ、紫乃よりも好きなくらいです。厨二病要素とかw

難しいなー、この回は。
読者の倫理観や感情で、ガラリと見方が変わってしまいます。
千尋の心理描写を上辺だけではなく詳細まで浮き彫りにしたことは、長所であるといえます。
ただし、それを踏まえた上でも、好意的な解釈は出来ないという人の気持ちもよく分かります。
オチを考えたら、もう少しスカッとした罰が与えられても良かったかなと思いますね。

どうしても後輩をクローズアップした巻だったので、既存の文研部メンバーの描写は少なめでした。
デレばんと太一の絡みをもっと読んでみたかったなー。
短編集と比べると、壊れっぷりにセーブがかかっているように見えましたし。

白身魚さんの挿絵が、若干少なく、あっさりしすぎだったのが少々残念。
あとがき絵は滅茶苦茶良かったんですが、力の入れどころが違う気がしますよw
髪を下ろした伊織の絵も、ようやく見慣れてきました。

これだけ結びつきの強い絆を崩壊させるような事件がまだ起こるんでしょうかね。
依存が強いほど、失った時のショックも大きなものとなるんでしょうが……はてさて。

最後にふと思ったこと。
太一の妹と千尋の弟って、もしかしてアレだったりするのかな……?

己が欲するものを持っている文研部メンバーに憧れて入部した後輩達の試練と成長を描いた物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ココロコネクト  庵田定夏  白身魚  評価A- 

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神様のメモ帳8 

神様のメモ帳〈8〉 (電撃文庫)神様のメモ帳〈8〉 (電撃文庫)
(2011/09/10)
杉井 光

商品詳細を見る
読書期間:2011/10/18~2011/10/19

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー





 ★★★★★★☆☆☆ … 7






 年末年始、四代目を悩ませていたのは頻発する雀荘荒らしだった。なぜか麻雀打ちとして駆り出された僕は、雀荘で奇妙な男と出逢う。雛村玄一郎――なんと四代目の父親!
 緊迫する親子勝負の裏で、雀荘荒らしをはじめ、無関係に見えたいくつもの事件が結びついていき、やがてよみがえるのは一年前のあの悪夢。
 「あの事件をもう一度、完膚無きまでに終わらせるんだ」
 アリスが、テツ先輩と四代目が、そして彩夏までもが、赤い悪夢の残り滓に突き動かされて走り出す――加速するニートティーン・ストーリー、第8弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ニート探偵物語、第8弾。
アニメ化真っ最中の時期に発売されたのは、偶然ではないでしょうね。

あー、読み応えあるなぁ。
アニメの内容は残念でしたけど、やっぱりこのシリーズは面白いです。

電撃MAGAZINEに掲載された「三代目襲来」に書き下ろしを2編加えた一冊。
各章ごとにある程度話がまとまっているため短編集のようにも感じられますが、最後に収束していく物語の伏線がしっかりと全体に張られているため、長編としても読めなくないですね。
全3章を無理矢理まとめたのではなく、あえて別々の形の話を組み合わせることで一つの全体像を表現してみましたという感じ。
コメディとシリアスのバランスがよく、満足度が非常に高い本でしたね。

原点回帰となる物語には、強烈な牽引力がありました。
終わっていなかったあの事件を今度こそ締めるために、暗中模索ながらも足掻こうとする彼や彼女らの心情が痛いほどに伝わってきます。
正しいことを選択しているつもりなのに、己と大切な人を傷つけ、衝突してしまう。
何もかもが上手くいくなんてことはなく、ただひたすらに悲劇を繰り返す。
それでも、真実を知ることで、過去と向き合い前に進もうとする彼らの姿が目に焼きつきました。

もどかしいほどに、本当にどうしようもなく不器用な人間達ばかりですね。
一人一人のスキルは、カタギとは比べ物にならないのに、頑なまでに心の柔らかいところを誰にも触れさせようとはしません。
いや、だからこそ独りで全て片付けようとしてしまおうとするのか。
そんな人間を繋ぐナルミは、ニート探偵団や平坂組にとって、切り離せない懸け橋となりましたね。
ナルミ自身、根本的な逃げの性格は改善されていませんが、初期のような情けないだけの人間ではなくなりました。

彼の両親と出逢う第1章のエピソードは、四代目の信念と優しさが滲み出るような良い話でした。
ナルミの発想は、強引過ぎるものでしたけど、それが許せてしまえる世界というのが凄い。
あと、想像していたよりも大阪人の血が濃い両親が面白かったですね。
このまま眠らせるには勿体無いキャラだなと思いました。

4巻以降出番が極端に減った彩夏に再びスポットが当てられたことが、何よりも嬉しい。
ヒロイン的なポジションを剥奪され、脇役というかモブキャラに近いものがありましたからね。
しかし、事ある毎に記憶喪失前の彩夏と比較してしまう自分がいます。
同じ人間なのに、一度死んでしまったんだなぁと、しみじみと痛感してしまいます。
ここまで明確なまでに書き分けられる技量は素晴らしいの一言ですね。

毎回楽しんで読んでいますが、そろそろ伏せられたままのアリスの事情が知りたいところ。
もちろん終わって欲しいわけではないんですけどね。

シビアな現実と向き合い、大切な人との絆を護ろうとする話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  神様のメモ帳  杉井光  岸田メル  評価A- 

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偽りのドラグーンⅤ 

偽りのドラグーン 5 (電撃文庫 み 6-28)偽りのドラグーン 5 (電撃文庫 み 6-28)
(2011/07/08)
三上 延

商品詳細を見る
読書期間:2011/9/30~2011/10/2

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
世界観
燃え
構成



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 セーロフ王国を巡る攻防戦は、レガリオン帝国軍が優勢のまま最終局面を迎えた。
 その頃、騎士学院では衝撃が走っていた。偽りの王子であることが暴かれたジャン。だが、彼は自分こそがヴィクトルであると主張する――偽物は自分が討つと宣言をして。それはジャン・アバディーンという名を捨てるということであり、二度と本当の自分に戻れなくなることを意味していた。
 そして、すべての決着をつけるべく、ジャンは驚くべき秘策を編み出す。その姿は神童と呼ばれたヴィクトル、そのものだった。物語はついにクライマックスへ!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


三上延氏による竜と騎士の物語、最終章。

ああ……終わっちゃった……。
物語のラストを読んだ時に湧き上がる虚無感は、名作であるほど抱く傾向がありますよね。
自分にとって、それだけ心のキャパシティを占めていた証拠ともいえます。
「偽ドラ」は、まさにその象徴たる例でした。

物凄く面白かったです……が、読了感は正直なところスッキリとはしません。
これほどモヤモヤした気分が残る最終巻を読んだのは久しぶりです。
あまりにも濃い動向に感情の整理が付いていき辛かったのが原因かもしれません。

打ち切りだろうと世間では噂されていますが、おそらく事実でしょう。
どうしても「勿体無い」という言葉が、最初に出てきてしまいますねぇ。
魅力的な舞台設定を作り、惹かれるキャラを用意し、物語を順調に重ねてきただけに、詰め込みまくりの最終巻が惜しいにも程がある。
残り1冊という状況から素晴らしく綺麗にまとめられているのは間違いないんです。
作者の力量には感心させられますし、良作だったと断言できます。
だからこそ、もっと巻数を伸ばすことが出来たならば……と夢を見てしまいます。
中途半端な解決などにはせず、回収できずに終わった伏線も残さないで完結出来たんだろうなぁ。

随所に頑張った感は見え隠れするものの、無理矢理さを感じさせないのはお見事。
特に、戦争の行方に関しては、王道的でありながらも揺れる戦局に胸が熱くなりっぱなしでした。
詰め込み過ぎというのは、逆に考えると、それだけ充実した内容だったともいえます。
段階ごとに加速する盛り上がりは、メリハリが効いていて夢中になりました。

主役はもちろん、脇役も含めてキャラクターの造形が映えていましたね。
サラやグングニル、ガートルード、ヴェルトフなど出番は少なくても、無駄なキャラは一切いませんでした。

ジャンが兄の裏切りを知ったことによる動揺から立ち直る流れは、じんわりと痺れましたね。
叱咤されたりするわけでもなく、自ら答えを見つけ出した経緯が自然に描かれていました。
主人公の成長度合いが、目に見えて分かる素晴らしい演出だったと思います。
精神論で片付けずに不利な状況を打開しようと頭を巡らせる様は、見応えがありました。

クリスは、もはや誰が見てもデレデレですよね。
行動の指針が、全てジャンが基準となっていますもん。
この娘を男とだと勘違いするのには、無理があるんじゃなかろうかw
クーデレのティアナも可愛いんですが、個人的に女の子としての魅力はずっとクリスに軍配が上がってましたね。
恋の決着は、詳しく語るとネタバレになるので避けますが、満足の出来る内容だったということだけは断言できます。
ジャンの気持ちがいまいちハッキリしなかったり、ヒロインにもっと葛藤して欲しかったりと要望はいくらでもありますけど、限られた中でよくまとまっていたと思います。

ラフエッジマグノリアの関係は、これだけでも一本の作品が書けるレベルですね。
反則的な見せ方にやられました。

その一方で、ヴィクトルグロリアの描写が、もう少し欲しかったかなという思いはあります。
単純明快な敵役には留まっていないだけに、この二人にも熱いドラマが期待できたんですがね。
唐突ながらも、僅かに垣間見ることが出来たシーンには、切なさが詰まっていました。

誰よりも一貫としていたのは、アダマスでしょう。
ベジータ的なツンデレキャラだと信じていたのに、ほとんどデレを見せずに終わっちゃいましたよ。
半端ないキャラの立ちようで、珍しいポジションのキャラで良い味出していましたね。

惜しい気持ちは残り続けますが、綺麗な終わりだったとは思います。
椎名優さんのイラストも、最後まで乱れずに魅せてくれました。
「ビブリア古書堂の事件手帖」も好きですが、いつかまたこのコンビで電撃文庫に帰ってきてくれることを願います。

タイトル「偽りのドラグーン」の意味の重さを痛感させられます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  偽りのドラグーン  三上延  椎名優  評価A- 

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