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明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 

ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 (メディアワークス文庫)ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 (メディアワークス文庫)
(2012/03/24)
美奈川 護

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/3~2012/6/7

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成
感動
人情
音楽


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 音大を出たけれど音楽で食べる当てのないヴァイオリニストの青年・響介。叔父の伝手で行き着いた先は竜が破壊の限りを尽くした――と思える程に何もない町、竜ヶ坂の商店街の有志で構成されたアマチュアオーケストラだった。激烈個性的な面子で構成されたそのアマオケを仕切るボスは、車椅子に乗った男勝りの若い女性、七緒。彼女はオケが抱えている無理難題を、半ば強引に響介へ押し付けてきて――!?竜ヶ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』を舞台に贈る、音楽とそれを愛する人々の物語。

【感想】


地方の商店街メンバーで構成されたアマチュアオーケストラが奏でる音と人を繋ぐストーリー。

音楽の世界で成功を収めるものは、ほんの一握りという表現すら生温い。
そんな厳しい分野で働き口のなかった藤間響介だったが、叔父より商店街のアマチュアオーケストラを紹介される。
公民館の臨時職員を兼ねつつ、商店街の人情溢れる人々と心を通わせていく、そんな情熱と慈愛の物語です。

美奈川護さんの本を読むのは、デビュー作「ヴァンダル画廊街の奇跡」以来です。
荒削りながらも光るものがあると評してから2年。
知らぬ間に、ここまでの域に達していたのかと驚かされるほどに良く出来た作品に仕上がっていました。

ラノベ色を排除したことで、登場人物たちの心情に焦点が合わさってます。
この方は、ラノベよりも一般向けの方が向いているのかもしれませんね。
余計な設定に振り回されず、剥き出しの想いが塊となってぶつかってくる本作は、音楽モノの人間ドラマとして実に見応えのある出来栄えでした。

主人公・藤間響介が、街に馴染んでいく過程が心地良い。
寂れた街ながらも元気に音楽活動を励む商店街の面子が、故郷に帰ってきたかのような安心感を与えてくれます。
横の繋がりに変なしがらみはなく、ただただ根強い交流に心が温かくなりますね。
その中心に居る車椅子の女性・一之瀬七緒が、飾らない性格で、ガンガン突き進むのも良かったです。

短編連作形式となっているため、まるでテレビドラマを見ているような感覚になりました。
響介と親しくなっていくメンバーが、一人ずつ増えていき、最後に待ち構えるのはヒロイン役の七緒という構成は、定番ながらも巧く乗せられたなぁと感じました。
終盤の引っくり返しは、予想より一歩先に進んだもので、単純に面白かったです。

クラッシックに詳しくなくても理解できるよう配列された文章が非常に丁寧な印象を受けました。
題材も学校の教科書を開けば出てくる有名な音楽家や楽曲を選出していることもあって、想像しやすかったです。
音を楽しむと書いて「音楽」ということを、文字媒体で表現している文章に惹かれました。
惜しいのは、人間ドラマの割合が多めで、演奏シーンの量が物足りなかったこと。
紡がれた単語が並びを得ることで生まれる「音」にもっと浸っていたかったなぁ。

始まりの終わりとも言える内容だったので、綺麗に終わってはいますが、続きも書けそうな感じ。
メインとなる第四楽章はともかく、その他は若干踏み込みの浅さも見られます。
土台は出来たわけですから、続巻が出るのであれば、その辺りにも期待したいところですね。

音楽を愛する人達が自らの想いを音に変えて伝えようとする人間ドラマ

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テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ドラフィル!  美奈川護  富岡二郎  評価B+ 

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ヴァンダル画廊街の奇跡 

ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)ヴァンダル画廊街の奇跡 (電撃文庫)
(2010/02/10)
美奈川 護

商品詳細を見る
読書期間:2010/3/6~2010/3/12

【評価……C+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
感動
世界観




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5





 人は誰もが、
 心の中に一枚の絵を持っている――。

 統一された政府により、様々な芸術が規制を受け始めた世界。しかし、そんな世界各地の壁面に封印されたはずの名画が描き出される事件が起こる。
 『Der Kunst Ihre Freiheit!』(芸術に、その自由を!)
 絵とともにそう書き残していく<アート・テロリスト>を、人々は敬意をこめて「破壊者(ヴァンダル)」と呼んだ。
 政府を敵に回すという危険を冒してまで彼らが絵を描く理由とは。そして真の目的とは――?
 第16回電撃小説大賞<金賞>受賞作!

【感想】

第16回電撃小説大賞<金賞>受賞作。

戦争終結後に結成された世界政府が、<プロパガンダ撤廃令>と呼ばれる、戦争を連想する芸術作品を規制する法を制定した近未来。
そんな世の中で、禁止された絵画を壁面に復元させるテロ行為を行なう「ヴァンダル」という組織が現れた。
目的や素性が謎に包まれた彼らは、また世界のどこかで絵を描く――というストーリー。

最初に思い出したのは「図書館戦争」でした。

この手の設定は時々ありますが、現実味がまるで感じられないんですよね。
いやまぁ創作なんだからリアリティは必要ないのかもしれませんけど、現実をベースにした世界観の確立をするときには、納得できる理由が欲しくなります。
しかし、文化規制をするには理由が弱すぎるし、実際にそんな状態となっては絶対に暴動が起こると思うんですよね。
平和目的のはずが、むしろ戦争の種にしか見えません。

近未来とはいえ、オーバーテクノロジーに溢れているのも引っかかります。
もっと設定を煮詰めて、物語に絡めて欲しかった。
突飛な設定が明らかに浮いていて、その度に興醒めしてしまいます。
この辺りが作品の主題ではないとはいえ、話の規模が大きいだけに、雑に感じてしまいました。
無理にラノベっぽさを出さない方が、良かったんじゃないでしょうか。

さて、本題です。
絵画を見ることで人の心に与える影響の大きさを表現したい、という作者の狙いが分かりやすくて良いですね。
メインテーマが明確となっていて、非常に素晴らしかったと思います。

核となるのは、序章や終章を除く5編からなる短編連作。
前半は脇役視点から、後半は内側から「ヴァンダル」を描いています。
渇いた心に一滴の水を投じ、人々に活気を与えるヴァンダルの活動は痛快かつ感動を得ることができました。
多少、淡白ではあるものの、透明感のある綺麗な物語で、好きな人が多そうだなと思いました。

ただ、見せ方がちょっと甘いかな。
文面から絵画の魅力を引き出すためには、もう少し言葉を重ねるべきだったかと思います。
あっさりしているのは悪くはないんですけど、その分、感動も薄めになってしまい、勿体無かった。
「文学少女」シリーズにて作中で紹介される文学作品のように含蓄を垂れろとまではいいませんが、絵画に興味や知識のない人に対しても実物を見てみたいと思わせる牽引力が足りなかった。
美術作品の知識に乏しい自分でも知っている有名作が多かったので想像はできましたし、正直分からなくても問題はなかったのですが、逆に言えばそれは、絵画である必要性がないとも言えるんですよね。
少々マニアックになってもいいから、絵画について掘り下げていたら、作品の深みが大きく異なったかと思われます。

外堀から埋めていったこともあってか、全体的にキャラが弱いのもマイナス点。
イラストレーターさんも個人的には嫌いではないけれど、作風とは合っていませんね。
雰囲気は良くても、惜しいところが散見される作品でした。

しかし、この作者の方が受賞したのは何となく分かる気がします。
まだまだ荒削りですけど、磨けばイイお話を書いてくれそうな気配がありますね。
このシリーズを追いかけるかどうかは悩み中ですが、次回作や今後には注目したいと思います。

絵に込められた想いが、束縛する人の心を優しく解く物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ヴァンダル画廊街の奇跡  美奈川護  望月朔  評価C+ 

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