人見知り部は健全です2
2012/04/20 Fri 23:59:48 [edit]
![]() | 人見知り部は健全です 2 (電撃文庫 さ) (2012/01/07) 佐野 しなの 商品詳細を見る |
【評価……B-】
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5 設定 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 物語 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5 人物 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 文章 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 挿絵 ★★★★★★★★☆☆ … 8 | ラブコメ ツンデレ エロ | ★★★★★★★☆☆☆ … 7 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 |
発言エロ過ぎ残念美人・乃花さん率いる『人見知り部』の活動も、あがり症、オネエ言葉、無表情……と、相変わらずのメンバーで二年目に突入。そして人見知り部のお陰(?)で、晴れて幼なじみの明とつきあうことになった俺は、青春まっただ中!……のはずが、明との仲は進展せず、それどころかちょっとぎくしゃくしている始末。 そんなある日、人見知り部に執事をつれた高飛車お嬢様・礼香がやってくる。彼女の目的は部をつぶすことだというが、どうも彼女からも“人見知り”のにおいがして――!? 乃花さんと青春不適合者たちが贈る不健全系学園ラブコメ、第2弾! |
【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>
人見知り達が集ったコミュニティの楽しい部活動を描いたラブコメ作品、第2巻。
題して『バカップルは不健全です』の巻。
面白かったです……が、よくあるラブコメ作品との違いがなくなってしまったなぁ。
僅か4ヶ月で2巻を発売したことから、1巻入稿直後から構想に取り掛ったのだと思われます。
短期間で仕上げるためには、安直なパターンに持ち込むしかなかったのかなぁ。
新キャラである年下の金髪碧眼ツインテールお嬢様・一条礼香は、設定からして既視感バリバリ。
ですわ口調で高飛車で、しまいにはツンデレというテンプレもいいところ。
素直になれない彼女が、人見知り部の面々と触れ合い、心が紐解かれていくストーリーに目新しさは皆無です。
同時進行される寿藍人と臼潮明のすれ違いもまた読者にはバレバレで、意外性はありません。
定番といえば聞こえはいいですけど、もう少し捻りを生み出して欲しかった。
藍人の無表情や、明のあがり症設定が置いてけぼりにされている感があります。
仲良くなった面子では壁を作らなくなったということなのかもしれませんが、せっかくの独自性を蔑ろにしています。
唯一、乃花の親父的下ネタ雑学は相変わらずで楽しめました。
たとえ話をするたびに、エロ方面で直結させる話術は素敵です。
しかし、礼香に出番を奪われ、物語的のも外野にいたために、絡みが著しく減少してしまったのは痛かった。
ぶっちゃけ、執事の波佐宮は惜しいものの、新キャラを出さずに既存キャラだけで構築した方が良かったと思いますね。
なにしろカップルが成立してイチャイチャしているシーンが面白かっただけに、余計にそう思います。
明の初々しさは反則級ですよ。
一般的に男性が好む女キャラに興味が持てないことが多いのですが、明は別ですね。
257Pの甘さは、熟した苺が一粒で口内に広がってくるかのように甘々でした。
妹の平和は、登場頻度が限られますが、キャラが濃くて印象に残りますね。
無表情ながらも感情が見えた1巻と比較すると、キャラがコントしているように見えました。
表紙が礼香ではなく、明で嬉しかったです。
八の字眉毛に三角形の口をした困り顔が可愛いなー。
笹井さじさんのイラストは、トーン張りが丁寧で好感が持てますね。
2巻で完結なのは残念ですけど、ネタ切れ感も漂っていますし仕方がないかな。
また3年間待たされるのは困りますが、じっくりと練った新作を期待しています。
▼ | 付き合い出したばかりのカップルがツンデレ少女に邪魔されながらイチャつく話 |
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 人見知り部は健全です 佐野しなの 笹井さじ 評価B-人見知り部は健全です
2012/01/10 Tue 23:58:57 [edit]
![]() | 人見知り部は健全です (電撃文庫 さ 12-3) (2011/09/10) 佐野 しなの 商品詳細を見る |
読書期間:2011/10/29~2011/10/30
【評価……B+】
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 設定 ★★★★★★★★☆☆ … 8 物語 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 人物 ★★★★★★★★☆☆ … 8 文章 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 挿絵 ★★★★★★★★☆☆ … 8 | ラブコメ 青春 エロ | ★★★★★★★★☆☆ … 8 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 |
高1の俺と幼なじみの明(♀)は、屋上へ続く階段でふたりぼっちなお弁当を食べる毎日。なぜかって?俺は“無表情すぎ”て、そして明は“あがり症すぎ”て、4月の自己紹介に失敗したからだ。 そんな俺たちの前に現れたのは、超絶美人さんなのに“発言エロすぎ”という残念な人、乃花先輩だった。 「ここらで人生を変えてみないかい?」 そして俺と明は、ほぼ強制的に「人見知り部」なる謎の部に入部させられることになる。コミュニケーション能力向上が目的らしいけど、無表情にあがり症に下ネタ好きetc――って、この部もしかして、青春不適合者の集まりじゃねぇか!?不健全系学園ラブコメ登場! |
【感想】
「リヴァースキス」「僕は彼女の9番目」を執筆した佐野しなのさんの新作ラブコメディ。
3年振りの新刊なので知らない人も多そうですが、個人的には毎回買うぐらい好きな作家さんの一人です。
おお、こりゃあ面白い。
買っておいてなんですが、パターン化されたラブコメが展開されるだけかもと思っていました。
作者独自の色がしっかりと出ていて非常に楽しんで読むことができましたね。
内容は「僕は友達が少ない」の系統に属する、いわゆる残念系ラブコメです。
とはいえ、種別が同タイプなだけで、作品の方向性は結構違いますね。
ぼっちだと喚くリア充達が青春を謳歌する作品ではなく、人見知りに悩む人間が集まって前向きに雑談するという作品です。
主人公やヒロインは洩れなくコミュニケーション能力に問題があり、それを改善するための部活動を行うもので、連作短編形式となっています。
ただし、極端に性格が破綻している訳ではないので、あるあるネタに共感できるところが特徴です。
主人公・寿藍人の抱える問題は、表情が作れないこと。
内心では喜んだり動揺したりしていても、顔に出ないので無表情キャラとして周囲から気持ち悪がられています。
結構切実な悩みですが、性格は歪んでおらず、暗くもないので、読者視点では凄くイイ奴に映ります。
そんな藍人が想いを寄せる相手が幼なじみの臼潮明。
彼女は彼女で極度のあがり症のため、見知った人間以外とはまともな交流ができないことに頭を悩ませています。
こちらも外部との交流の描写が皆無のため、表情がコロコロと変わる素直で賑やかな可愛い女の子にしか見えません。
その二人を「人見知り部」に勧誘した張本人が、表紙の裾ノ花乃花という先輩。
見た目は誰もが見惚れるような美人なのに、口を開けば昨今のエロ親父でも言わなくなったようなセクハラ発言満載で、エロいというより下品といった方が近い。
これは人を選ぶと思いますが、下ネタの親父ギャグが好きな人ならばハマると思います。
個人的には、ツボに入るとまではいかなくとも、終始楽しい気分になれましたね。
エロティックなお姉さまはよく見かけるキャラですけど、周囲から浮くくらい堂々とした立ち振る舞いは何だか新鮮に感じました。
ハーレム系ラブコメと異なり、藍人が明を一途に想い続けているのが良いなぁ。
本人は至って真面目に想いを伝えても、真剣には受け取ってもらえないというのが寂し過ぎるけど、友達以上恋人未満な間柄なのでイチャイチャしているようにも見え、悲壮感は薄く済んでいますね。
そんなカップル未満な二人を弄繰り回す乃花と、ツッコミを欠かさないオネエ系男子・大和倫太郎の計4人で織りなす構図が目新しい。
ただひたすら部室でダベる話なのに、ニヤニヤできる箇所が多くて、非常に楽しかったです。
藍人の妹・平和もまた兄同様に無表情の持ち主なんですけど、ちょっと不思議系少女で可愛い。
作中でも取り上げられていますが、やはりギャップから生じる萌えの威力は凄まじいものがあります。
話のネタになりそうな雑学が多く含まれており、単純に聞き手としても興味をそそられました。
ギャグが安っぽくて頑張りましたという雰囲気が伝わってくる時もあるんですが、嫌いじゃないです。
このままダラダラと続くのかと思いきや、後半で一転した時は不覚にもやられたと思いました。
伏線の張り方が雑だったので、オチが来ることは分かっていたんですけどね。
ネタバレに繋がるので触れづらいんですが、軽く感動してしまいましたよ。
イラスト担当は、笹井さじさん。
無表情の藍人の内面と外面の差を上手く表現していて、漫画でも読みたいなと思わせてくれます。
挿絵にも手を抜いておらず、キャラ付けをしっかりしているところは評価されるべきですね。
綺麗に締めくくられているので終わりかなと思っていただけに、続巻が出たことが嬉しかった。
明日2巻買ってきます。
▼ | 人見知り達が部室で駄弁る残念系青春ラブコメ |
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 人見知り部は健全です 佐野しなの 笹井さじ 評価B+| h o m e |