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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル 

ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)
(2012/06/08)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2012/9/19~2012/9/28

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 三次元に絶望した男――その名も二次元くん。本名は佐藤。大学一年生。
 大学でも三次元の女は完全スルー、脳内嫁(名前はVJ。セーラー服で日本刀を持って戦う14歳)との対話や自作小説の執筆に明け暮れていた。
 そんな彼へ三元からの刺客が現れる。
 中学時代の後輩――魔性の秋。雰囲気のあるある美少女で、思わせぶりな距離感で接してくる。大学の同級生――同人戦士・愛可。二次元に生きる者同士の共感を武器に二次元くんに迫りくる。
 はたして二次元くんは二次元への想いを貫けるのか!?竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る二次元叙情巨編!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「ゴールデンタイム」シリーズ初となる外伝作品。
本編では脇役である二次元くんを主人公として一冊丸々描かれています。

いやー、二次元くんを舐めてましたね。
その名に相応しい完全に向こうの世界に旅立った漢でした。
ドン引きするぐらい重症ですよ、彼……。
脳内嫁の設定の細かさや、現実と妄想の境界線の曖昧さが危ないよ……。

共感できる部分があるだけに、情けないなぁと思ってしまいますね。
自分に言い訳しまくりなところが、身に覚えありまくりでかなりキツイです。
大学生で中二病を患っている姿が痛々し過ぎて、見ていて苦しい。
個人的に脳内嫁であるVJが全く萌えられなかったので、余計に引いた目で見てしまいました。

そんな引き返せない境地まで辿り着いてしまったオタクが、リアルの女の子とお近づきになる話。
あー、所詮二次元くんも二次元の存在だったか。
そう簡単に可愛い女の子が接近するわけないだろうがと叫びたくなりますよね、うん。

男を誘惑する気配を放つ後輩・秋よりも、己の信念を持つ腐女子・愛可の方が好きです。
傍目から見たら、二次元くんとの相性も良いですし、付き合うなら愛可をお薦めしたいなぁ。

この作者は、思考の生臭さを書かせたら一級品ですね。
妙なリアリティとラノベ的フィクションの融合性に毎度のことながら感心させられます。
例えば、ヒロインの一人である秋は、大人と子供の中間である高校生のフラフラした脳内と形態を実に見事に描いていると思います。
ラノベであれば、つい魅力的なキーワードでキャラ設定を埋めつくしたくなるところを、回避したくなるような厭らしさを付随させてキャラを立たせるんですから凄い。

二次元くんが二次元の世界に逃避するだけではなく、三次元の行動で示すところは良かった。
たとえ格好悪くても、もがいて打開しようと必死なところは、プライドが高いだけのオタクじゃないなと思わせてくれました。

妄想に逃避するオタクの心理描写が生々しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B 

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ゴールデンタイム4 裏腹なるdon't look back 

ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon’t look back (電撃文庫)ゴールデンタイム〈4〉裏腹なるdon’t look back (電撃文庫)
(2012/03/10)
竹宮 ゆゆこ

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/15~2012/5/16

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
青春
恋愛
期待感


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7



 とある深夜、束の間だけかつての記憶が戻り、当時抱えていた想いそのままにリンダのもとへ駆けつけようとして見事にこけた多田万里。
 翌朝。万里は唇を腫らし超絶ブサイクになっていた。発熱までしてみんなの看病を受けることになるが、なぜかその流れから香子と夏に海に行く話が持ち上がる。先立つものは金!とバイトを探す万里だが、香子からは大反対され――。
 かつての自分が好きだったリンダといまの自分が好きな香子。二人の狭間で揺れる万里の心の旅路はまだ半ば?
 竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る青春ラブコメ、第4弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


記憶を失った男が過去と現在で想いを寄せる相手が違うことに苦しむ青春物語、第4巻。
恋にバイトにサークルにと多忙を極める大学生達のキャンパスライフが舞台です。

衝撃のラストだった前回から引き続く展開が待っている……と思っていたんですが、何だろうこの全体的にボカし気味な感じは。
直接的な騒動は局地的で、ほとんどが万里の脳内が混乱している模様に終始しているためか、物語が進んでいるようで進んでいません。
いや、きっと万里の中では決着をつけているつもりなんでしょう。
でも、この程度で完結できるような簡単な事柄だったら、そもそも悩まないでしょうに。

香子とリンダへの想いが共存し、どちらも嘘偽りないもので、だからこそ万里の抱える苦しみが圧し掛かります。
リンダが自然体であればあるほど、万里と親密な仲だったことを想起させ、切なさが増してきます。
十中八九、最終的には香子とくっ付くんだろうなぁと思っていますが、希望はリンダルートを見てみたい。
きっと作中内外で相当荒れ狂うだろうなぁ。

香子も悪くないんですけどね。
ウザったいだけの女に終わらず、彼女なりの純真さや想いの力強さなどが魅力的に描かれています。
ちょっと(?)世間知らずな一面もありますが、それもまた愛嬌ってもんでしょう。
彼氏のバイトぐらいは許してやれよと思いますがね。
まぁ、正直二次元なら楽しめますけど、三次元なら絶対関わりたくない人種だよなぁ……w

まどろっこしくも濃い文章は相変わらず。
人を選ぶ文体で、たまにコメディのノリに置いてけぼりをくらいますが、個人的には好きです。
他にはない生々しさが癖になりますね。

地面にある不発弾を認識しながら、その上に着々とピースを積み重ねていく展開が恐ろしい。
一体いつ爆発して、築いてきた想いの欠片の重圧に屈するのか。
早めの時期の方が傷は浅く済むのに、もう手遅れのところまで来ているという意識なんだろうなぁ。
これから更にとんでもないことになると思いますし、そうなることを期待します。

エンターテイメント性を狙い打ちする傾向があるライトノベルという分野において、内面を重要視し、物語の進行方向が不透明なこの作品は非常に珍しいと思います。
分かりやすい面白さを求めるのであれば、お薦めできないシリーズですね。

甦りつつある過去の想いの大きさに動揺を隠せない主人公が痛々しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B 

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ゴールデンタイム3 仮面舞踏会 

ゴールデンタイム〈3〉仮面舞踏会 (電撃文庫)ゴールデンタイム〈3〉仮面舞踏会 (電撃文庫)
(2011/08/10)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2011/9/20~2011/9/21

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
リア充



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 はれて彼氏彼女の関係となった記憶喪失男・多田万里と、自称完璧なお嬢さま、加賀香子。
 幕が開けた二人のラブラブな日々は、天然だったりやっぱり完璧志向だったり。一方で、万里は過去の関係が白日のもとに晒されたリンダとは真っ直ぐに向き合えずにいた。
 そして凹んだ男が一人。柳澤光央は一年生会での盛大な自爆のため深く落ち込んでおり、そんな彼を励ますために万里の部屋でお泊り会的なイベントが発生するが――!?
 竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る青春ラブコメ、第3弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


大人と子供の中間を捉えた大学キャンパス青春物語、第3弾。
妙に生々しくてリアルっぽいのに、二次元テイストが存分に盛り込まれている作風こそ売りですね。
これを、ゆゆこ節と呼ぶのでしょうか。

今回も面白かったです。
悪ふざけな下ネタはあっても、量産的なエロコメみたいなサービスではないのが素晴らしい。
恋愛を中心に添えた、これぞ真の意味でのラブコメだと思いますね。

入学式やサークル活動、講義、飲み会など大学生らしいイベント満載だった1,2巻と比べると、今巻は些か地味な印象を受けました。
主要人物が増えることもなく、キャラを掘り下げ、関係性を深めることに費やした一冊でしたね。
とはいえ、決して退屈だったわけではありません。
細かくネタを挟んでいることもあって、十分楽しく読むことが出来ました。

それを受けてのことなのかどうかわかりませんが、物語の進展は予想以上に早いですね。
2巻のラストで万里と香子がくっついてしまうとは思いませんでしたが、それ以上にこの3巻の締めには驚かされました。
そこまでが順当な話だったので、衝撃のラストを味わいました。
もしかして、そんなに長々と続ける気がないんでしょうか。
それとも早々に関係を熟成させて、昼ドラのようなドロドロした修羅場にさせたいのかな。
どちらにせよ、変に引き伸ばしさせる嫌いがあるより、テンポが早い方が断然良いですけどね。

やなっさんをストーキングしてた頃から分かっていましたが、香子の愛情って病的に重いなぁ……w
互いに受け止め合うことが出来るからとはいえ、付き合える万里って凄いと思う。
個人的にはリンダの方が可愛いと思いますが、今の万里には香子の方が合ってますね。
ただ、バカップルをやっているときは幸せだろうけど、今後の展開を考えるとガクブルもんです。

万里も香子も光央もリンダも精神的に弱い一面があるというか、ぶっちゃけヘタレ気味ですよね。
おかげで、岡ちゃんが物凄くデキた子に見えてしまいます。
見た目から幼さが残る無垢な少女と周囲の人間は捉えがちですが、実は一番しっかりしていると思いますね。
良キャラなだけに、もっと積極的に恋愛関係図の中に入り込んで欲しいなー。

リア充ライフを満喫するバカップルの大学ラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B+ 

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ゴールデンタイム2 答えはYES 

ゴールデンタイム2 答えはYES (電撃文庫)ゴールデンタイム2 答えはYES (電撃文庫)
(2011/03/10)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2011/7/13~2011/7/15

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
期待感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 圧倒的なオーラを放ち、自称完璧、その実ちょっと残念なお嬢様、加賀香子。彼女は独自のシナリオによって定めし幼馴染との運命の結婚が破綻して傷心気味。
 一方、同じサークルの気さくないい先輩、リンダ。彼女は実は万里の高校の同級生で、しかもどうやら浅からぬ仲だったようで、それをひた隠しにしていた。
 記憶喪失男、多田万里の心はそんな二人の狭間に立たされて千々に乱れる。万里が二人に向けた問いかけの、その答えははたして――?
 竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る青春ラブコメ、待望の第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


大学生のキャンパスライフを描くリアル系ラブコメ、第2巻。
ラノベとしては新機軸と言ってもいいぐらい珍しい舞台設定ですね。

感嘆させられるほどに面白い。
本当にこの作者のラブコメは質が良くて素晴らしい。

1巻を土台作りとすると、2巻は物語の流れを作る重要な回といえます。
どのように展開させるのかワクワクしながら読みましたが、思いのほか進み具合が早いですね。
この辺りが、青臭い高校生と大人としては未熟な大学生の違いか。

昨今のラブコメブームのおかげで、テンプレ化が激しいため、ストーリーの楽しみが減っている中、こんなにも先が読めない恋物語は貴重です。
いや、おそらく最終的には万里と香子はくっ付くと思うんですよ。
しかし、そこに至るまでに荒れ狂う模様が繰り広げられるのは、確定的でしょう。
今はまだ大人しい人間関係が、いかにして亀裂が入り崩れていくのか、はたまた絆を結び直すのか、期待に胸が高まります。

大学生の生々しい生活スタイルを見事なまでに表現できており、想像が容易いです。
履修登録や飲み会の会話は、たとえ経験がない人であってもリアルっぽく感じるでしょう。
もちろん、大学に通ったことがある人ならば、あるあると共感できることは間違いないはずです。

設定もさることながら、文章の効果が絶大ですね。
口語と文語のミックスが新しい文章を生み出しています。
知識を身につけても書けるものとは思えませんし、きっと天性のものでしょうね。
合う合わないは人によって異なるでしょうし、文章力が突出しているわけでもありませんが、ラノベ作家の中でもセンスは抜群ですよ。

妙に賢い割に恋愛関係には鈍感な主人公ばかりのラブコメ作品において、多田万里のようなキャラは珍しい。
必要最低限に相手を思いやることはできていても、やっぱり何だかんだいって自分が一番大事で、自己中心的な考えを持っているところや、微妙に頭の弱いところなど、まさによく見かける大学生そのままです。
正直、恋愛観に関しては、香子は言うまでもなく、万里もまだまだ子供っぽいところがあります。
堪え性がないところが、今後多大な影響を与えそうな気がします。

1巻ではカラーイラストのみだったのに、2巻では挿絵も描かれていますね。
マッチしてはいないんですけど、絵のレベルは高いので、挿入されているだけでも嬉しいです。
表紙絵の香子の服の質感は目を奪われました。

癖の強い作品なので、万人にお薦めできるわけではありません。
ただ、ハマれば「とらドラ!」の時のような破壊力もあります。
続きが非常に気になりますね。

大学生活が始まって間もない頃の人間関係が絶妙な距離感で描かれています

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価A- 

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ゴールデンタイム1 春にしてブラックアウト 

ゴールデンタイム〈1〉春にしてブラックアウト (電撃文庫)ゴールデンタイム〈1〉春にしてブラックアウト (電撃文庫)
(2010/09/10)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2011/2/1~2011/2/7

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 晴れて大学に合格し上京してきた多田万里。大学デビュー、東京デビュー、ひとり暮らしデビュー、と初めてのことづくしで浮足立つ彼は、入学式当日、不意打ちにあう。
 圧倒的なお嬢様オーラ!完璧な人生のシナリオ!得意なのは一人相撲!
 襲撃者の名は加賀香子。薔薇の花束を万里に叩きつけた彼女は、万里の友達でもある幼馴染みの柳澤を追いかけて、同じ大学に入学してきたという。そんな眩しくも危うい香子が気にかかり、放っておけない万里だが――?
 竹宮ゆゆこ&駒都えーじの強力タッグが贈る青春ラブコメ!

【感想】


竹宮ゆゆこ×駒都えーじが贈る、青春ラブコメ開幕。

期待通り面白かったです。
しかし、土台作りがメインのため、まだまだ序章で、これからといった感じ。

ラノベでは非常に珍しい大学が舞台のお話。
御法度とまではいかなくとも、購読層に中高生が多いラノベでは、あまり見かけません。
そのためにメディアワークス文庫を立ち上げたようなもんですしね。

大学版「とらドラ!」と呼ばれるのも分かりますが、感覚としては「わたしたちの田村くん」の方に近い。
主人公・多田万里の奔放さが、そう思わせるのかもしれません。
恋慕のベクトルが噛み合わず、複雑な人間模様が描かれそうな予感がしますね。

舞台設定もさることながら、ヒロイン役の加賀香子の性格付けは冒険したなぁ。
「とらドラ!」の大河も凶暴な役柄でしたが、暴力系美少女は昔から需要がありましたし、それこそラノベ風味に仕上げていたので多くの人に親しまれました。
しかし、香子の場合、言動がまさに病的なストーカーで、ちょっと怖い。
登場人物の年齢層が上がっていることもあって、ギャグで済まされない雰囲気もまた危うさを助長させます。

表面だけ見たら、どう考えてもお近づきになりたくない人物像です。
少女から女性へと成長する過程にある純真さ、不器用さが物凄く生々しい。
香子自身にも暴走をしている自覚があり、隠れた素顔を垣間見たら嫌いになれません。

物語の掴みとしては、ちょっと弱いかな。
先が読めない面白さはありますけど、引き込まれるまでに時間がかかります。
エンジンが掛り始めると、今度は止め時が見つからないんですけどね。

それにしても、相変わらず癖のある文章を書きますね。
痛々しい自虐を笑いの方向へと持っていく文体が独特です。
会話が型に嵌っていなくて、意図的に崩した言葉が絶妙なリアリティを伴います。
雑なようで密度の濃い文章は、計算してもなかなか書けるものではないかと思います。

絵の担当は、人気イラストレーターのこつえーこと駒都えーじさん。
「イリヤの空、UFOの夏」の頃から好きな絵師さんで、竹宮ゆゆこさんとの相乗効果に期待していました。
なのですが……、うーん、ちょっと相性悪いかもしれませんね。
元々幼女から中高生の絵柄が得意な方なので、大学生という大人びた人物だったことも影響はあると思いますが、それ以上に作風とかけ離れているように見受けられました。
各章の頭に小さな絵はあるだけで、挿絵がなかったのも残念。
作者が女の子の服装描写に力入れているだけに、惜しい。
イラストそのものは綺麗なんだけどなぁ。

生々しい心理描写が売りの大学生青春ラブコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B+ 

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わたしたちの田村くん2 

わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)わたしたちの田村くん〈2〉 (電撃文庫)
(2005/09)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2010/7/22~2010/7/23

【評価……C+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
ラブコメ
青春
ツンデレ



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 松澤小巻。進路調査票の志望校欄に「故郷の星へ帰る」と書き続ける不思議少女。中学三年の夏、田村くんを魅了し翻弄し、その心をとらえたまま過程の事情で遠方へ去る。
 相馬広香。孤高の美少女。でも少し寂しがりやの意地っ張り。高校一年の春、罵りあったり励まされたりした末、田村くんのファーストキスを奪う。
 そして奇しくもそのキスと同じ日、久しく音沙汰のなかった松澤から届いた一通のハガキが波乱を呼ぶ――。はたして三人の恋の行方は!?
 おかしくてちょっと切ない、あなたのツボにくるラブコメディ―第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


二人の女の子が気になってしまった田村くんの青春物語、完結編。

無性に腹が立った。

ハッキリ言って、田村がサイテーすぎる。
人のせいばかりにして、お前は何かやったのかと問い詰めたくて仕方ありませんでした。

青春物語としては、先が気になる展開で面白いとは言えますが、主人公がグズ野郎でイライラした。
松澤とも相馬とも正式に恋人関係になっていたわけじゃないので、二股というよりも中間で揺れて何もできないって状態なのは、ある意味誠実だと言えなくはないです。
しかし、たぶらかすという意図がなくても、結果的にやっていることは同じなのはいただけない。

結局、どっちの女の子もキープしているだけに見えてしまう。
田村自身も悩んでいるのは分かるけど、だからといって許されるわけではない。
しかも、その悩みがまたムカつく。
紳士的な態度をとるのであれば、相手の気持ちの前に自分がどちらが好きなのかを選べよ。
自分のことを棚に上げて、女の子に対して「グズ」とか「最低」とか酷過ぎる。

ダブルヒロインの女の子は、タイプは異なれども魅力的で可愛いのになぁ。
個人的には相馬の方が好きですが、どちらと結ばれてもいいと思っていました。
結果はネタバレになるので控えますけれど、ラスト付近の演出はドラマっぽくて良かったと思います。

好きな女の子がいるはずなのにも関わらず、他の女の子に惹かれ始めてしまい、自分の恋心がどちらにあるのかと思い悩むシチュエーションってのは、実は結構好きなんですけどねぇ。
己の中で答えを出して欲しかったです。
1巻の松澤の話のときみたいに、暴走気味に行動する田村が見たかった。

まぁ、読者の感情を良くも悪くも動かすだけの内容だったといえます。
誤解されないように言っておきますけど、決してつまらなかったというわけではないんです。
個人的に、田村が気に食わなかっただけです。
全体的には面白かった……んでしょうが、うーん、やっぱり感情が邪魔するな。

発売当時の5年前に読んでいたら感想変わっていたかな……いや、そうでもないな。
ネット上での評判は好評ですが、こういう意見もあるということで。

二人の女の子の間で揺れる男子高校生の内面を描いた青春物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  わたしたちの田村くん  竹宮ゆゆこ  ヤス  評価C+ 

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わたしたちの田村くん 

わたしたちの田村くん (電撃文庫)わたしたちの田村くん (電撃文庫)
(2005/06)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2010/7/20~2010/7/21

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 「中学生活最後の夏」という魅惑のフレーズに浮かれるクラスから取り残されていた田村くんの前に現れたのは、進路調査票に「故郷の星へ帰る」と書き続ける不思議少女系、松澤小巻だった。
 受験直前のバレンタインデー、田村くんの部屋に投石して窓を粉砕&チョコを誤爆したのは、学年随一の美少女にしてクールなツンドラ系、相馬広香だった。
 そんな変わり者の女の子二人と、空回りしながら奮闘する田村くんが贈る、おかしくてちょっと切ないラブコメディ―。
 「電撃hp」で人気の『うさぎホームシック』『氷点下エクソダス』に、田村をそそのかす男・高浦とその奇妙な妹を描く番外編を加えて待望の文庫化!

【感想】


青春の切なさが入り混じる竹宮ゆゆこさんのデビュー作品。
「とらドラ!」が面白かったので、こちらにも手を出してみました。

なるほど、この時期から既に独特な突き抜け方と、微妙にリアリティのある切なさが売りだったのか。
真面目なんだかふざけているのか分かり辛いので、このノリは人を選ぶでしょうねー。
「とらドラ!」が楽しめた人なら、こちらも気に入って貰えるかと思います。
刊行順的には、逆なんですがね。

というわけで、面白かったです。
著者の本を読むのが久しぶりだったというのもあって、文章が懐かしかったですね。

主人公の田村雪貞は基本的に馬鹿で、行動が非常に短絡的です。
しかし、別に何も考えていないというわけではなく、中高生特有の見栄や照れなどが巧く表現されていて、不思議なぐらいに面白いキャラクターとなっています。
駄目なところもいっぱいあるのですが、何だか憎めません。

そんな田村が中学時代に親しくなろうとアプローチする不思議系おっとり少女の松澤小巻、高校入学直後に因縁ともいえる関係で急接近するツンドラ系の相馬広香との青春ラブコメを描いた話がメインとなります。
どちらの女の子も一見変わった性格に見えますが、それには大きな理由が隠されています。
秘密を知った田村が、彼女たちの抱えるものを解放していくといったストーリー展開は、ギャルゲー的な印象を受けました。

この著者の作品って、ラブコメとカテゴライズされているけど、どうにもしっくり来なかったり。
ラノベのラブコメというと、もっと無茶な展開やドタバタな日常風景がありがちなんですが、それがないんですよね。
意外にも真っ当なシリアスな話が挿入され、だけど重すぎないようギャグ色を混ぜている手法が、絶妙なブレンドとなっていて、面白いんだけど切なくもさせてくれます。
中途半端とぶった切るには、なかなか高度なバランス感覚だと思いますよ、これは。

逆に、ヤスさんのイラストは、同じキャラを描いているはずなのに、バラつきがありますね。
可愛い絵もあるんだけど、統一感がもう少し欲しかったかも。

それにしても、このタイトルはどうにかならなかったのだろうか。
ハーレム系ラブコメだと誤解を受けてしまいますよ。

少しおバカな男が、殻に籠っている女の子の心を解き放つ青春ラブコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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とらドラ・スピンオフ3! 俺の弁当を見てくれ 

とらドラ・スピンオフ!〈3〉―俺の弁当を見てくれ (電撃文庫)とらドラ・スピンオフ!〈3〉―俺の弁当を見てくれ (電撃文庫)
(2010/04/10)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2010/4/14~2010/4/15
月間マイベスト作品

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 北村の祖母が作った超豪華三段お重のお弁当を見て、竜児の主婦魂に火がついた!――表題作「俺の弁当を見てくれ」。
 忘れ物を取りにみんなで忍び込んだ夜の学校で目にする、お馴染みの面々の残念な未来とは――「不幸のバッドエンド大全」。
 もしも竜児が定食屋を開いたら、お手伝いは北村でお客は大河と実乃梨だけ!?――「ドラゴン食堂へようこそ」。
 などなど海賊本掲載作から各種商品特典まで、文庫本未収録の掌編・短編を完全網羅!もちろん書き下ろしもあります。超弩級ラブコメ番外編、再び登場!

【感想】


本編とアニメ終了から早1年。
これが本当の最後となる「とらドラ!」シリーズとなります。

いやー、懐かしい。
作者の文章に触れるのも1年振りなので、そう感じるのも無理はないか。

内容は、各種特典で書き下ろしされた短編を集めたものとなっています。
追いかけていたファンにとっては損をした気分になるかもしれませんが、個人的には小説のためだけにゲームやDVDは買えなかったので、嬉しい限りです。
短編の長さはまちまちで、10ページ未満のものもあれば、80ページ相当になるものもあります。

基本的に、特典として描かれていたこともあって、主要キャラの竜児と大河メインの話ばかりです。
もっとみのりん、あーみん、北村のエピソードがあれば良かったんですけどねー。
スピンオフなのに、脇役にスポットが当たらないのは残念でした。

とはいえ、久しぶりの「とらドラ!」ワールドの空気は、何だか自分までもが高校時代に戻ったような感覚で、楽しかったです。
馬鹿みたいに騒いだり、むず痒くなるような恋心を秘めていたりと、青春を感じました。
目の前のことで精一杯で、がむしゃらに生きている若さが何と眩しいことか。
特に書き下ろしで最終エピソードである「ラーメン食いたい透明人間」は、まさに等身大の高校生みたいで素晴らしかった。

その一方で、パラレル展開やifストーリーの絶妙な救えなさは、スゲー嫌な感じ。
いや、面白いのは面白いんだけど、笑うに笑えないんだよなぁ……w
不幸のバッドエンド大全」の生々しさは、ちょっと凹みましたよ。
みのりんと北村の未来が、鬱展開すぎるわ!

コメディとして一番笑えたのは、タイトルにもある「俺の弁当を見てくれ」。
竜児の暴走具合と、著者のノリノリな文体がマッチしていて、まるでコントを見ているようでした。
こういうのも「とらドラ!」ならではの良さだよなぁ。

これにて、シリーズも終結。
今後は、準備中であるという次回作に期待ですね。

オマケの寄せ集めではあるけれど、らしさも味わえる青春ラブコメ最終巻

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とらドラ!  竹宮ゆゆこ  ヤス  評価B 

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とらドラ10! 

とらドラ10! (10) (電撃文庫)とらドラ10! (10) (電撃文庫)
(2009/03/10)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2009/3/6~2009/3/7

【評価……B
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春 ★★★★★★☆☆☆
 … 7

春。衝撃の出会い。
ラブレター。共同戦線。電柱キック。
偽乳特戦隊。かぶせたティアラ。
エンジェル大河。くまサンタ。雪山の告白――
そして、雪舞い落ちる二月。
手を取り合って逃げ出した竜児と大河。
それぞれの想いを胸に、二人はともに未来を切り拓こうとする。立ちはだかるのは、ままならない世界。
ぎりぎりの状況に立たされた竜児の下す決断とは。竜児と大河の、実乃梨、亜美、北村の、それぞれの想いの行方は。
超弩級ラブコメ、感動の完結編。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


超弩級ラブコメと銘打ってきた「とらドラ!」本編、完結。

僕が「とらドラ!」を読み始めたのは、7巻が発売された頃だったので今から約1年前のことでした。
ちょうどその7巻でアニメ化が決まり、この1年は原作・漫画・アニメと「とらドラ!」尽くしでしたね。
9巻の盛り上がりは半端なく、集大成となる本編最終巻には、多大な期待を寄せていました。

なんだろう、すごく不思議な読了感です。
着地点としては、これで良かったと思える内容ではあったんです。
構成に関しても、ままならない現実やもどかしい人間関係を描いていて、悪くはなかったと思います。

しかし、読書中はずーっと微妙と感じてしまっていました。
きっと途中から面白くなるはず!という期待は叶わず。
楽しめなかったわけではないので裏切られた感はないんですけど、肩透かしを食らってしまったというのが本音かな。

自己評価をBランクと位置付けているように、決して悪いとは言えないんです。
1~9巻までが、ほぼ文句なしの出来だっただけに、相対的に辛口になってしまうんです。

世間の評判では概ね絶賛されていて、最終巻補正もあり「言いたいことはなくはないけど面白かった」という意見が散見されます。
おそらく自分はその「言いたいこと」が我慢しきれなかったということなんでしょうね。
みんな楽しめているのに自分は乗り遅れたみたいで、何だか凄く悔しい気分。

まぁ、こんな風に感じた人間もいるんだなーとでも思っていて下さい。


◆強引過ぎた文章

地の文が抽象的で読み辛かったのが、没頭できなかった最大の理由ですね。
「とらドラ!」の既存巻は、いつも仕掛けが遅くて前半はぬるぬるとラブコメが展開されていることが多かったんですが、今回は最終巻ということで初っ端から全力疾走しているような文章でした。
勢いで書かれた文章は時として効果的だと思いますけど、これはちょっと疲れてしまいましたね。
途中、本から視線を外して息をつくということが度々ありました。

作者がノっていることは分かるんだけど、読者にもノせて欲しかった。
力技の悪い部分が出てしまった感じでしたね。


◆描ききれなかった物語

大河と母親の問題が、あまりにも放り投げていると思いました。
これなら、高須家の家庭問題が急浮上させることなく、大河の母親との関係をきっちり描いた方が良かったんじゃないかな。
竜児と泰子の話はイイ話ではあったんだけど、このタイミングで挿入するなら、他の話も削らずに同じ文章量で描くべきだった。
これまでメインで描かれていたのは5人の恋物語と、大河の家庭環境の話だったのに、都合よくまとめ過ぎているのが気になったところです。

またラブコメとしては、真面目な展開においてもコメディを挿入しなければいけないのかもしれませんが、今回のは不協和音に感じてしまいました。
確かに面白くはあるんですが、笑いたくないのに笑わさせられているとでも言いましょうか。
シリアスとギャグの切り替えが上手くできなかったのは、自分の感情の問題だけではないと思いました。

あとキャラ心理をリアルに描きすぎた弊害か、ラノベなのに非現実的な要素が介入すると冷めてしまうところがありましたね。
これまでの内容がギリギリ現実感のある青春モノだったのに対して、最終巻はドラマの中の青春物語だったと言えます。
どちらが良い悪いという問題ではなく、一貫して欲しかったなぁということです。


◆川嶋亜美の変化

亜美の変わりっぷりに泣いた。
何でこんなに急に丸くなっちゃってるの。
根はいい娘でお節介焼きな性分だというのは分かっていたけど、別人のようですよ。
最終的に収まる形としては無難だとは思うけど、もうちょっと段階踏ませてあげたかった。

竜児への想いは恋愛的なものではなかったということになるんだろうか。
もっと純粋に人間的に好きで、好かれたかった、仲間に入れて欲しかったって意味になるのかなぁ。
時折漏れていた感情からは、恋心にしか見えなかったんだけどなー。
それに、転校前ならいざ知らず、今では木原や香椎という友人たちもいるのにな。

みのりんとのも和解もなし崩し的で、残念で仕方ありませんでした。
(この辺りはアニメで優遇されているとはいえますが、原作でもやるべきだったと思います。)
竜児の「みんな幸せ!」という願いは、亜美の想いを気付いてから言うべきだったよなぁ。
やはりここも都合の良さがプンプンと匂ってきて、丁寧に描いてきた心理描写を最後の最後で投げ出してしまったように見えました。


◆総評

結局まとめてみると、ラブコメだったんだな、ということになりますね。
5巻ぐらいからシリアス路線に走っていたものの、完全にはそちらに振りきれていなかったようです。
コメディとシリアスの融合の難しさを改めて実感した本でもありました。

最後は不満をぶちまけるような形になってしまいましたが、シリーズとして見れば凄く面白かった作品でした。
間違いなく読んで良かったと思っています。

この感想を読んで気分を悪くされた方には申し訳ないです。
各所で褒め称える感想がズラリと並んでいると思われますので、そちらで気分転換してください。

なにとはともあれ、作者にはお疲れ様でしたと言いたいですね。
アニメやゲームなど同時進行で大変だったと思います。
スピンオフが出る予定らしいですが、しばらく骨を休めてください。
ありがとうございました。

⇒ 【 「とらドラ10!」簡易感想 】

中身は多少粗いものの、締めは綺麗な大団円

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とらドラ・スピンオフ2! 虎、肥ゆる秋 

とらドラ・スピンオフ〈2!〉虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)とらドラ・スピンオフ〈2!〉虎、肥ゆる秋 (電撃文庫)
(2009/01/07)
竹宮 ゆゆこ

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読書期間:2009/1/10~2009/1/14

【評価……B
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆
 … 7

食欲の秋。秋刀魚、栗、きのこ……おいしいもの、たくさん……かくして虎は、太った。実乃梨考案の不思議ダイエット法を早々に断念した大河は、不倶戴天の敵、亜美とジムに行くことにするが、そこで彼らを待っていたものとは!?
春田浩次、十七歳。女子との理想の出会いは、川で溺れているところを助けて人工呼吸、そのまま彼女の部屋へ、その後は……フヒヒ!そんな妄想がなんと現実のものに。はたしてその顛末は?
などなど「電撃文庫MAGAZINE」に掲載された短編を詰め合わせました。注目の書きおろしは独身話です!
超弩級ラブコメ、待望の番外編!

【感想】


「とらドラ!」番外編、第2弾。
スピンオフ第1弾「幸福のトルネード」と異なり、短編集の色が濃い本となってます。

無難に面白かったです。
最終巻である本編10巻の前に刊行されましたが、9巻と10巻の間に読む意味はほぼないですね。
本編読み終わってから、気になる人だけ買って読めばいいかなって内容でした。

全部で5編の短編が収録されています。
メインとなるスピンオフ作品「春になったら群馬に行こう!」は春田が主人公の話です。
9巻を読んだ方なら何の話かは見当がつくかと思われますが、春田の色恋沙汰の話ですね。
竜児視点だと脳の可哀想な子にしか見えない春田ですが、意外にも人の心には敏感なのが分かってビックリ。
まぁ、本能的に指摘してるだけなのかもしれませんけどw
バカだと自覚しつつも大事なところで選択を誤らないのは、好感アップになりましたね。

書きおろしである「先生のお気に入り」は、独身こと恋ヶ窪ゆりが教師になったばかりの頃のエピソード。
若い時から苦労してるなぁーとしみじみ感じてしまいました。
今回の短編の中では20代前半のはずなのに、三十路臭を醸し出しているのはキャラが立っていると言えるんだろうかw

残り3編は、いつもの面々のラブコメ。
シリアス分のない初期のラブコメが展開されていて、懐かしかったですね。
竜児と大河が周りを巻き込みつつワイワイと騒いでいるだけの日常ですが、それゆえ単純に楽しいです。

アニメしか観ていない人でも、この番外編だけ読むことは可能ですので、最終回を見終わって燻っている方は手を取ってみてもいいかもしれません。

「とらドラ!」1~4巻(別荘編)までのラブコメが好きな人なら楽しめます

テーマ: ライトノベル

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とらドラ9! 

とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)とらドラ!〈9〉 (電撃文庫)
(2008/10/10)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……A
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
リアリティ ★★★★★★★★
 … 9
青春 ★★★★★★★★
 … 9

修学旅行の冬の雪山で思いがけず大河の本当の気持ちを知ってしまった竜児。大河はそのとき事故によって意識朦朧となっており、しゃべってしまったことを覚えていなかった。そんな大河を前に竜児は態度を決めかねるが……。
そして高校二年も残りわずかとなり、竜児は進路をめぐって泰子と衝突。なにかと先の見えない五里霧中の竜児に、一方では実乃梨と亜美が本当のところを見せはじめる――。
超弩級ラブコメもいよいよ佳境に突入。目が離せない第9弾!

【感想】 <前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

ラブコメ作品「とらドラ!」第9巻です。

だああっ、何だこの重苦しさは!

8巻で僅かに残っていたラブコメのコメディ部分が見事に消え去ってシリアス全開です。

学生時代にタイムスリップしたかのように、切なさが蘇ってきます。
誰しも避けて通ることはできない壁にぶつかる竜児が、昔の自分を見ているようで心が痛い……。
まさかライトノベルで、こんなに生々しい現実的な話と直面することになるとは思わなかったですよ。
何だか、登場人物たちの心情とシンクロしすぎていて、読んでいる間、溜息が止まりませんでした。
こうして感想を書いている間も、9巻の内容を思い出しては胸がえぐられるかのような思いになります。

◆キャラクター別感想

▼ 高須竜児
大河から見ても心配になるくらい終始悩みっぱなし。
恋愛関係だけに限らず、今回は進路の話まで絡んできて、精神的にかなり参ってます。
色んな感情が限界を超えて漏れ出している様は、高2の少年らしさが全面に出ていました。

そりゃあ大人から見ればガキだと一蹴されてしまいかねない物の考え方かもしれないけれど、現実に対して逃げずに真剣に考えようとしている姿勢は凄いと思います。
家事全般などを完璧すぎるほどにこなしている方が異常であって、この姿こそが年齢的に自然だと思うんですよね。
だからこそ、共感できるし、報われてほしいと願わずにいられません。
前向きに生きている実乃梨を見て、自分もそのように同じようになりたいと思うところなんかは素直に偉いなぁと思いますよ。
逃げ出したくてたまらなくて、死んでしまえば楽になるかなぁと馬鹿なことを考えていた自分と比べると、天と地ほどの差があります。

しっかし、進路って難しいですよねぇ。
社会に出てからでないと、どれが正解に近いルートなのかなんて分かりませんよ。
高校生で先を見据えて進むことができる人間なんて、一握りです。

そういう意味でも、竜児は立派だと思うんですけどねー。
泰子の言い分は今巻だけ見ているとあまりに勝手ですが、何となく言いたいことが分かるのは年を取ったからでしょうか。
でも、泰子は言葉が足らなさすぎでしたね。
もっと真面目に意見の交換を設けなければいけなかったと思いますね。


▼ 櫛枝実乃梨
あまりこう評したくはないんだけど、本当に強い娘だなと思います。
陰で泣いたり悩んだりすることはあっても、ひとたび決めたら迷わず突き進む姿は格好良いよなぁ、と。
みのりんの場合は、意志が強いを通り越して頑固者といった方が正しいような気もしますがね。

今回、みのりんが語った決意は全面的には納得できるというものではありません。
彼女にとっては無理な選択だったということでしょうが、両立は決して不可能だったものではないはずです。
みのりんの口から語られた本音には、潔さを感じる反面、読者である自分はそこまで気持ちが追いつけなかったなぁ。

まぁ、これはきっと人によって感じ方が違うんでしょうね。
7,8巻の流れでこれ以上引っ張るのは煮え切らないと感じる人もいるでしょうし。


▼ 逢坂大河
傍若無人な性格だったはずが、いつの間にかに作品一健気なキャラとなっていますね。
好きな人(竜児)を親友(実乃梨)とくっ付けようとせざる得ない立場なので、どうしても際立ちます。

大河の行動は、実乃梨に言わせれば「逃避」なのかなぁ。
しかし、恋と友情を天秤に掛けることはそんな間違いではないと思うんですよね。
確かに実乃梨の考え方は真理だとは思いますけど、そこまで求めるのは酷なのではないでしょうか。


▼ 川嶋亜美
亜美の心の叫びが哀しすぎる……。
竜児に対して、ようやく口を開いたけれど、肝心の自分の思いは未だ伏せたまま。
分かってほしいという気持ちは、決してエゴじゃないと思います。

竜児が鈍感ということもあるけど、亜美も攻撃的な態度しか取れないからなぁ。
お互いが似ているところを持っていると感じながらも、不器用な性格ゆえにもう一歩が踏み出せない二人をみていると、もどかしくてたまりません。
怖くて二の句が継げないは誰しも一緒のことなのにね。

ここに来て、自分の中では一番幸せになって欲しい人物となりました。
もともと芽がなかった亜美ENDも、今回事実上なくなったも同然ですしね……。

せめて、竜児には亜美の想いに気付いてもらいたい。
そして、軽くスルーせずにしっかりと悩んでもらいたい。
実乃梨ほど濃いものでなくてもいいから。


◆総評
本編が228ページ程度とは思えないぐらい、登場人物たちの想いがギュウギュウに詰まった内容でした。
竜児視点で進むにも関わらず、彼だけではなく大河や実乃梨や亜美の切なく苦しい想いが伝わってくる文章には感服します。

肉付けこそライトノベルですが、中身は等身大のキャラクターたちによる青春物語なので、リアリティが半端じゃありません。
高校生に是非とも読んで欲しい作品ですね。
アニメでは感じ取れない微細な心の動きなどが伝わってきますから、原作の方を強く推奨します。

ところで、作品中で一番まともな大人なのって独身(30)ではなかろうか。
あとは兄貴の両親ぐらいしかいないような気がする……。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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とらドラ8! 

とらドラ 8 (8) (電撃文庫 た 20-11)とらドラ 8 (8) (電撃文庫 た 20-11)
(2008/08/10)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
青春 ★★★★★★★★
 … 9

始業式前日。インフルエンザからようやく回復したものの、精神的にはいまだ立ち直れない竜児に、大河は自立宣言を突きつける。それは……、他ならぬ竜児と、実乃梨のため。
そして幕を開ける新学期。竜児はぎくしゃくしながらも実乃梨となんとかもう一度向き合おうとする。折りしも学年最後のイベント、修学旅行が目前に迫っており、竜児はそこで実乃梨の真意を確かめようと決意するが――。
なにやら雰囲気の変わった大河と北村、新学期になって突き放すような態度をとる亜美。それぞれの思惑を秘めた修学旅行の行方は!?超弩級ラブコメ第8弾!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

アニメ化が始まり、今の電撃文庫で最も勢いのある作品と言っては過言ではない「とらドラ!」8巻です。
文化祭、クリスマスときて、今回は学生最大のイベントである修学旅行の話です。

今回を持って、「とらドラ!」の評価よりラブコメ項目を消すことにしました。
だってもうこれ、ラブコメで括るのは間違っていますよ。
まさか、ここまで真っ当な青春学園モノになるとは、1巻の頃には予測できませんでしたね……。

◆ストーリー
とうとう動き出した恋模様が、さらなる表面化。
あちらこちらで衝突が発生していて、先が気になるのに見たくないという葛藤に悩まされます。
嗚呼……胸が痛い。

竜児にも大河にも実乃梨にも亜美にも北村にも隠し事があって、それゆえに自分自身が正しいと信じ切っている節が見られます。
確かにそれぞれの観点からみると「あいつは分かっていない」「自分の気持ちは誰も分かってくれない」と考えてしまうのも仕方ないところはあります。

相手の気持ちを確かめたくても、実際に問いただすのは怖いという心情は、心の底から同意しますね。
どれだけ年を重ねても、人の感情を確認するということには勇気が要りますよ。
しかし、一歩引いて全体を見ることができる読者としては、登場人物たちが誤解しあって正しく気持ちが伝わっていないところを見ると、非常にもどかしく感じます。

一体、誰が最初の一歩を歩み寄るのか。
鍵はラストで明らかになったあの事実、か。

◆キャラクター
大河・実乃梨・亜美のヒロイン3人はキャラが立ちまくりですね。
女性作家さんということもあってか、思春期の女の子の生々しいところが見事に描かれています。
女の子って、怖いよね……。

しかし、どうして「とらドラ!」に出てくる女の子は、こうも本心を隠したがるんでしょうか。
いや、もちろん理由は分かるんですけどね。
好きだとアピールしているのは木原ぐらいなもんですよ。

実乃梨は、なすことすべてが裏目裏目に出てますね。
竜児にとってあまりに残酷な態度に出る彼女だけど、それが一周して自分や大河にもはね返って来ているのが痛ましい。
自分が男だからというのもあるけど、竜児視点で進むこの物語では、実乃梨の考え方は理解はできても同調はし辛いかな。

亜美は、おそらく最後までキーマンとなるポジションにいるんでしょう。
三角関係を外から見るしかない立場の亜美は、見ているこちらの方が辛いくらいです。
当事者になれない苦しみは、きっと竜児や大河や実乃梨には分からないんでしょうね。
亜美の口の悪さにムカッとくる気持ちも分かるけど、彼女の真意も汲み取ってあげて欲しいです。

ところで、本筋から若干離れますが、大河と亜美の関係っていいですよね。
亜美の初登場の時は、犬猿の仲を地で突っ走る二人だったのに、いつの間にかに喧嘩するほど仲がイイ状態になってて、何だか微笑ましい。
ケンカ腰ながらも亜美を本気で嫌っているわけでない大河と、文句を言いながらも大河の面倒を見てしまう亜美のペアはかなり好きです。

◆総評
仲の良かったグループはどこへやら。
これまで何とか避けてきた地雷がとうとう爆発し始めて、雰囲気が殺伐としてます。
はたして最後にはみんなが笑っていられるようなハッピーエンドになるんでしょうか。

順当にいけば大河ENDになるんでしょうけど、実乃梨や亜美と結ばれる結末も見てみたいなぁ。
本編が完結したら、本編の途中から分岐するifストーリーを書いて欲しいと思うのは欲張りでしょうか。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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とらドラ・スピンオフ! 幸福の桜色トルネード 

とらドラ・スピンオフ!―幸福の桜色トルネード (電撃文庫 た 20-7)とらドラ・スピンオフ!―幸福の桜色トルネード (電撃文庫 た 20-7)
(2007/05)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……B
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
エロ ★★★★★★★★☆☆
 … 8

高校一年、生徒会庶務にして不幸体質の冨家幸太は、ある日みんなの兄貴な生徒会長すみれの妹、さくらと出会う。明るくてかわいい彼女に幸太は惹かれるが、さくらは自分の色香に無自覚で無防備な天然扇情娘だった!
彼女の追試の勉強を手伝うことになった幸太は、いけない妄想と煩悩の戦いを強いられることになるが――。幸せに不慣れな幸太と天真爛漫なさくらの恋の行方ははたして!?
「電撃hp」に連載された三編に大河と竜児が登場する書き下ろしを収録。超弩級ラブコメ番外編、待望の文庫化!

「とらドラ!」シリーズ番外編。
2巻の終末に収録されたスピンオフ作品を広げて、丸々一本のラブコメを書いたものとなっています。

これはエロい

今作のヒロインであり、すみれの妹でもある狩野さくらがエロすぎる。
この天然ボケボケ娘は、自分が全身から発しているフェロモンに全く気付いません。
感度高すぎて、息漏れがいちいちエロいw

そのおかげで、主人公の冨家幸太と二人で作り出す世界は、真夏真っ盛りの話なのに満開の桜が咲き誇っているかのようなピンク色に塗りつぶされています。
「あはん」「うふん」といった喘ぎ声を洩らしながら、くねくねと体を揺らして悶えている様はよからぬことをしているようにしか思えません。
これで実際にやっていることは、高校生として至極真っ当なものというのが納得いかないw

イチャイチャ度の高いラブコメが好きな人なら、読んでいて幸せになれるかと思います。
こってり濃厚なエロス……じゃなくて、ラブラブっぷりは、見ているこちらが恥ずかしくなるくらいです。
内容がコメディに傾倒できるものとなっているため、バカバカしい面白さは本編より上かも。

しかしながら、ライトノベルだからこそ楽しく読めたけど、もし現実にこのバカップルいたらかなりウザったいだろうなぁw
……僻み?チガウチガウ。

また、本編では出番の少ない生徒会長のすみれも今回は見どころいっぱいです。
学校では兄貴と呼ばれているすみれですが、さくらの前ではしっかりしたお姉ちゃんをやっています。
女の子らしい一面を多くみられるので、すみれファンは必見ですね。

本編のメイン5人衆の中で、唯一の生徒会メンバーである北村も幸太たちの先輩として登場しています。
普段よりも人間味あふれているように感じたのは、活き活きしているからでしょうね。

書き下ろしの「不幸の黒猫男伝説」は、本編主人公の竜児や大河目線で幸太やさくらを見ることができて面白かったです。
甘ったるい番外編ストーリーのあとにいつもの「とらドラ!」を読むと新鮮ですね。
純粋な青春モノだと思っていましたが、ピンク色全開の番外編に比べると、本編は何だかどす黒いんだなぁ……w

「とらドラ!」本編を読んでいなくても、1つのラブコメ作品として楽しめるものとなっています。
とはいえ、やはりここは本編を読んでからにする方が吉でしょう。
「とらドラ!」ファンは読んでおくべし。
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とらドラ7! 

とらドラ 7 (7) (電撃文庫 た 20-10)とらドラ 7 (7) (電撃文庫 た 20-10)
(2008/04/10)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春 ★★★★★★★★
 … 9

停学が明け、大河が学校に戻ってくる。
折りしも世間はクリスマスの季節。クリスマス大好きという大河は、唐突にいい子バージョンに変身。一方、実乃梨は部活の試合でエラーをしたとかでふさぎこみ、竜児にもぎこちない態度を取るようになる。
そんな中、新生徒会長・北村が、有志によるクリスマスパーティの企画を立ち上げる。竜児や大河、そして学園の公式美少女、亜美の参加もあり準備は盛り上がるが、実乃梨は相変わらず元気がなくて――。はたしてクリスマスパーティの行方は!?
今回も目が離せない展開です!超弩級ラブコメ第7弾!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

ラブコメの青春モノにおいて、欠かすことのできない一大イベントであるクリスマスのお話。
「とらドラ!」第7巻は聖夜を好きな人と一緒に過ごしたいという想いでいっぱいの内容となっています。

まず先に注意。
カラーイラストを見るときは、心してかかれ!
生半可な気持ちで覗いたら、目がやられるぞ!

……「アレ」は、正直ガチでキツかったw
あまりに強烈だったので、数ページ戻してあーみんの絵に癒しを求めましたよw

さて、本題ですが、ますますラブコメから青春群像劇へ移行しつつありますね。
ギャグパートは作者の自虐ネタを独身(30)に喋らせているぐらいで、他はほとんど鳴りを潜めています。
その独身(三十路)のネタも爆笑というよりも、苦笑いの延長線上にあるようなもんですねw
……でも、考えてみれば、それはいつも通りですか。

内容は、面白かったです。
面白かったんですけど……一つだけ苦言を呈したいところがあります。

それは何かというと、4,5巻辺りから構成がワンパターン過ぎじゃないかなー、と思うわけです。
冒頭でその回の主役となる人物の問題のタネとなる部分を見せ、先が見えないまま竜児が奮闘し、終盤で大きく物語をひっくり返す。
起承転結が分かりやすいのは悪くないんですけど、形式化しすぎていると味気ないというか。
来るぞ来るぞ!と構えすぎてしまうと、インパクトが薄れてしまうんですよね。
「承」に当たる部分が長すぎるのも、「転」と「結」が神懸かっているため余計にMOTTAINAIです。

とはいえ、本当に4巻以降は終盤の加速度が半端じゃないありませんね。
この7巻は、負けず劣らず凄いことになっちゃってます。
急展開というか、1つ段を飛ばして階段を駆け上がっていくかのようなストーリーには驚かされました。
いきなりこう来たかっ!て具合ですね。

自分の気持ちに気付いた者もいれば、逆に分からなくなってしまった者もいて、物語がどちらの方向に進むのか予想できません。
竜児も大河も実乃梨も亜美も、みんなの気持ちが痛いほど伝わってきます。
全員の気持ちが報われるようなことなんてありえないことが分かっているため、より彼らの置かれている立場の辛さが胸に突き刺さります。

竜児の大河に対する情というのは、友情や恋愛対象への愛情ではなく、家族に対する愛情のようなものなんだろうなぁ。
泰子やインコちゃんと同じで、竜児にとって最も身近な存在で、かけがえのない人物なんだと思う。
読み手からしてみても、竜児と大河は相棒としてはベストパートナーだと思いますが、恋人同士の二人は想像できないですねぇ。
ああでも、夫婦として見れば、ある意味既に成立しちゃっているような気がしないでもないな……!w

竜児は亜美に対してだけ、異常に鈍感なような気がする。
結構分かりやすいサインを何度も送っているよ、あーみん。
亜美が一番泣きたくなる立場にいると感じるので、ついつい肩入れしてしまいますね。
一人だけ周りが見えていることで、亜美にとってどれだけ辛いポジションを強いられているのか。
好きな相手に声を出しても届かず、それどころか目の中にすら入れてもらえないなんて、可哀想すぎる。
竜児も必死だというのは理解できるんですけどねぇ。

亜美にも増して余裕がないのは元祖天然娘の実乃梨
何も考えないで笑って済ませられた頃と比べて、明らかに元気がなくなってしまってます。
笑って誤魔化すタイプの人間って、意外と精神的に脆いところがありますよね。
まさしくみのりんはその典型例。
みのりんって、相当自分のことを嫌っていそう。
しかも、タチが悪いことに、現時点で実乃梨にとっての明確な解決策ってないんですよね。
どのように行動するにしても、自分の手で誰かを傷つけないといけない状況は酷だなぁ。

恋愛模様において、今までで一番大きな動きを見せたものとなっていました。
いよいよ修羅場が近いづいてきましたね。
大河と実乃梨がいつ衝突するのか、今からガクブルですよ。


以下、少しだけネタバレありで書きたいことがあったので、折りたたみます。
「とらドラ!」7巻を既読済みの方のみ、どうぞ。
-- 続きを読む --

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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とらドラ6! 

とらドラ! 6 (6) (電撃文庫 た 20-9)とらドラ! 6 (6) (電撃文庫 た 20-9)
(2007/12/10)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……A
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★★
 … 9
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春 ★★★★★★★★
 … 9

文化祭以後、少し距離が縮まったような竜児と実乃梨。一方、学校内には大河と北村が付き合っているという噂が流れる。そんな中、迫る生徒会長選挙でも本命と目される北村は突然……グレた。
それに対して、突き放すような態度をとる現・生徒会長のすみれ兄貴。やたらと攻撃的な幼馴染の亜美。心労で老けていく独身。
竜児と大河は北村がグレた原因を突き止め、立ち直させようと奮闘するが……。すべてが白日のもとにさらされたとき、大河がとる選択は?。
波乱ぶくみの超弩級ラブコメ第6弾!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

やられた。

……という一言がため息とともに出る、とらドラ!第6巻です。
こんな胸が熱く焦がれるほど怒涛の展開を見せられるとは想定外でした。

正直、読んでいる途中まで舐めていました。
いや、もちろん面白いなーと思ってはいましたが、中盤まではノンビリした雰囲気で進んでいたので気を抜いてました。
それまでのだらけ気味のムードが、記憶の彼方へと飛び去るくらいに終盤の畳み掛ける展開は凄かったです。

どうして、人って不器用なんでしょう。
思春期の学生は特にそう。
もっと上手く立ち回りたいと思っているのに、どうしてそのように動くことが出来ないんだろう。
読了直後は、そんなことを考えずにはいられない精神状態になります。
心が、胸が、息苦しくなるくらいに切ないです。

誰もかもが迷い悩み生きているというのに、自分だけが苦しんでいるかのように錯覚する。
恋はエゴの塊というけれど、それに気づいた時は自己嫌悪に陥る。
誰が正しくて、どの選択が正しくないのか――そういった話ではないのを知りながらも正解を探そうとして、でも当然ながら答えは見つからなくて。

まさにそんな青春時代の、胸が張り裂けそうなくらい痛い想いを、これでもかと思い出させてくれる素晴らしい本でした。
久々ですよ。この感覚。


■ 物語
さてさて、大絶賛な今回の感想を仕切り直し。
今まで主役たちの中において、地味な存在だったと言わざるを得ない北村にとうとうメインの座が舞い込んできた回です。

まさか北村の話でここまで盛り上げてくれるとは思わなかったです。(←失礼)
いやぁ、だってあの露出狂だよ?シリアス似合わないじゃんw

そんな感じで読み進めて、途中までは予想通りに話が進みました。
「とらドラ!」って、ストーリーに意外性はあまりなく「登場人物の心情を段階を踏んで丁寧に描くラブコメ」という認識なので、良くも悪くもいつものノリで面白いなと思っていました。
それが油断だったんです。
まさか、残りページ数が少なくなってきた段階で、あそこまで魅せてくれるとは。

後から冷静に考えれば、十分予想できる展開だったと思います。
しかし、それをさせないだけの勢いや、盛り上がりの強弱の付け方が秀逸で、考えさせる暇を与えていません。
多少強引すぎるように感じる人もいるかもしれませんが、これまでのキャラクターの動きを見ていたら、それぞれの行動は深々と頷けるほどに納得がいくものだと自分は思いました。


■ キャラクター
登場人物たちがこれほどまでに熱い想いを抱いているのを見ると、羨ましくなりますね。
それこそ夜空に輝く星のように眩しいくらいに。
この6巻を読んでいる間、たびたび高校時代を思い出してしまいましたよ。

竜児も大河も、本当に「いい奴」だよなぁって思います。
友達のために泣くことができて、友達のために行動に移すことができるところが素敵です。
若さゆえに多少の過ちは犯すときもあるけれど、それは純粋な心を持っているが故にだと思いますね。

純粋な心を持っていたのは北村も同じですね。
何でもそつなくこなすイメージがありましたが、年相応の優柔不断な一面もあったことに親近感が湧きます。
北村やすみれ兄貴だって、まだまだ未熟な高校生であることを痛感しました。
とても自分には、二人を責められません。
どんな時にでも現実に立ち向かっていける人なんて、一握りしかいないんですから。

今回は、どちらかというと出番の少なめだったみのりんは、その代りに伏線が多く張られてましたね。
竜児への微妙な想いが漏れ出しているのを見ると、みのりん派としては嬉しいものがあります。
ただ実乃梨自身は、大河との兼ね合いもあって、それを素直に受け止めたくないんでしょうね。
これが初恋だと、恋に臆病になってしまうのも致し方がないよなぁ。

亜美の損な役回りレベルがさらに上昇していて、見ているこちらまで辛くなってきます。
前巻で竜児や亜美自身が言っていたように、一人だけ先に大人の階段を昇っている姿がよく目に止まりました。
彼女がいなかったら、いろいろな大切なモノがもっと早くに壊れてしまっていたでしょうに、そのことに気付いている人物が少なすぎる。
それでも完璧超人ではないために時に見せる綻びが、さらに彼女を苦しめていて、誰か手を出し伸べてやってくれと思わずにはいられません。
できれば、それが竜児だといいんですが……そこまで周り見えてないからなぁ。


■ 総評
中盤のgdgd感も「望んだとおりにならないのが人生」というのを表していて、最終的にはプラスに感じられたのは良かったと思います。
締め方が酷く切ないもので、読了後も余韻がしばらく残りました。

もはやこれはラブコメではなくなりつつありますね。
コメディパートも面白いけど、それ以上に恋の行方が気になって仕方ありません。
青春モノとしては、今一番熱いシリーズでしょう。
もしこれ以上にホットな作品があるのであれば、教えてほしいですね。読みたいのでw

テーマ: ライトノベル

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とらドラ5! 

とらドラ! 5 (5) (電撃文庫 た 20-8)とらドラ! 5 (5) (電撃文庫 た 20-8)
(2007/08)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春 ★★★★★★★★☆☆
 … 8

夏休みもあけて、文化祭の季節。
クラスの演しものをめぐっての男子連中と実乃梨と独身の争いや、ミス・コンテストのクラス代表の選出など、当日に向けて徐々に雰囲気が高まっていく。
そんなある日、大河の父親が現れ竜児と大河のなれあい関係に波紋を投げかける。また実乃梨と亜美も、夏の別荘以来微妙な変化を見せはじめ……。
それぞれの思惑が交錯し、波乱含みで幕を開けた文化祭の行方は?
ゆりちゃんがつ、ついに三……!?とか裏口入学系・春田の意外な頑張りなどほかにもいろいろ見どころ満載な超弩級ラブコメ第5弾!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

徐々に竜児を取り巻く環境に変化が見えつつある、「とらドラ!」第5巻です。
前回で夏休みを終え、今回は秋の学校行事のメインイベントである文化祭のお話。

正確な順番では、4巻と5巻の間に「とらドラ・スピンオフ! 幸福の桜色トルネード」が発売されております。
僕はどうしても本筋が気になって先に7巻までを一気読みしましたけど、どちらから読んでもまぁいいかなと思います。
先にスピンオフを読むと、本編の今後の展開が読めてしまうところがあるので、後回しにするという手もありでしょう。

閑話休題。
帯やあらすじにもある通り、大河の父親が登場し、大河たちを大きく揺さぶります。。
そういう要因もあって、いつもよりもシリアスさ5割増(元が少ないともいう)となっています。
導入部分こそいつものラブコメですが、中盤から物語は変な空気に。
そして、怒涛と評するに相応しいラストの展開は、ラブコメとは思えない燃える熱さがありました。
ちょっといつもとは違った「とらドラ!」が楽しめます。

ストーリーは、父親の話がどう転ぶのか注目でした。
竜児も大河もみのりんも、決して悪いわけではないと思います。
だけど、誰もが相手に対して説明不足すぎる。
もっと話し合いをしていれば、お互いに傷つかないで済んだものを……不器用な奴ばかりなんだもんなぁ。

今更ですが、不器用な高校生たちの恋愛模様を描いた作品ですよね、これって。
その代名詞というべき竜児が主人公のお話ですし。
本当はどうするべきか、またはどうしたいか分かっていても、人からどう思われるか怖くて行動に移せないことってあるよなーとしみじみ思います。
現役の学生はもちろん、卒業した人も当時の自分と重ねて見てしまうんではないでしょうかね。

夏の別荘旅行をきっかけに、みのりんと亜美が変わりつつあります。
しかし、その変わりようは実に対照的。
どちらも表舞台に立つという点では同じなんですが、みのりんが拒んでいるのに対し、亜美は加わりたいと考えているんですよね。
これは人生そう簡単に上手くはいかないという皮肉なんでしょうか。

またしても主役級の見せ場のあるみのりんは、3巻までの脇役としての立場が完全に過去のものとなっていますね。
実際、普段から男言葉で喋っているのもあって、みのりんカッコイイもんなー。

それに対して、亜美は報われないポジションだよなぁ……。
同情なんて亜美からすれば一番腹が立つことなんだろうけど、それでも思わずにはいられません。
危なっかしくて見ていられないから自分が守りたくなる女の子や、自分には持っていないモノを持っている太陽のように眩しい女の子は、非常に魅力的だし惚れてしまう男が多いのも当然だと思います。
ですが、自分と同格の立場であり同じ目線を持っていて、共感したり支え合ったりすることのできる女の子というのは、あくまで個人的にはですけど理想中の理想といえます。
友達の延長線上にある存在で、肩肘張らずに済む間柄がどれだけ貴重なのか、亜美には分かっているんでしょうね。
竜児にも早くそれに気付いて欲しいもんです。

ただ、実際に現実で亜美みたいな女の子がいたとしたら、関わり合いを避けようとしますけどねw
だって、あのナルシスト全開の亜美ちゃんは、付いていけませんもんw

脇役では、恋ヶ窪ゆり(独身)がとうとう三十路に到達しちゃって、魂抜けたり逆恨みしたり忙しいです。
もうどう見ても、ゆりちゃん=作者にしか思えなくなってきたというのは禁句でしょうかw

春田・能登・木原・香椎のクラスメイトも初めてカラーイラストに登場しています。
今までは一応名前だけは付けられているキャラ程度でしたが、今回の文化祭では個性が肉付けされていますね。
酷い言い方ですが、外野を作ると物語に深みが与えられるので、こういうキャラは必要だと思いますね。

イラストのクオリティが、キャラクターによって大きく差があることが多少気になる点ではあります。
女の子はいいんだけど、北村が毎回別キャラのように変身しています。
描きやすいキャラ設定のように思えるんだけど、ヤスさんは男キャラを描くのが苦手なのかな。

コメディ要素は減ってしまいましたが、その分シリアスなストーリーで魅せてくれました。
人の心の移り変わりを描くのが巧い作者なので、何とも見応えありましたね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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とらドラ4! 

とらドラ! 4 (4) (電撃文庫 た 20-6)とらドラ! 4 (4) (電撃文庫 た 20-6)
(2007/01/06)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……A
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
ラブコメ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春 ★★★★★★★★
 … 9

夏休み、みんなで亜美の別荘に行くことになった竜児と大河。この機会にそれぞれ好きな人との距離を縮めたい二人だが、共倒れを避けるため一方は完全サポートにまわることに。それを賭けて二人は勝負するが――。
そして舞台は海辺の別荘へ。場所は違えどもやっぱり暴れる大河、はじける実乃梨、真意の読めない亜美。そんな中、竜児と大河はとある作戦を敢行するが、はたしてその顛末は……?
絡まりはじめた互いの関係に要注目。大好評の超弩級ラブコメ第4弾!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

とうとう奴の出番がやってきた。
彼女こそ櫛枝実乃梨、通称みのりん
というわけで、みのりんのピースサインがビシッと決まった表紙が目印の「とらドラ!」第4巻です。

何という青春ッ……!!

この甘酸っぱくも切ない物語は、ただのラブコメと油断していると一杯喰わされますぞ!
こんな青春を送りたかったと思わない人は……リア充ですね。そうに決まってます。

3巻のラストで予告していた通り、今回は「夏休み・別荘旅行編」です。
高校生だけで男女混合の旅行なんてけしからんことをしておいて、何も起こらないはずもなく……。
そうでなくても、このメンツだといつ何が勃発してもおかしくありません。

誰が何と言おうと、今回は激しくみのりんのターン!ですよ。
今まで要所でしか登場することのなかったみのりんの魅力がたっぷりと描かれています。

みのりんのように天然を装いつつボケて自分の本心を隠すタイプの人間って、実際にいますよね。
そのためか、今回のみのりんはすごくリアルに感じられました。
自分の中で、櫛枝実乃梨像が固まったような気がします。

「幽霊」の話は、思わずしんみりとさせられました。
言われてみれば確かに今までの態度もそのように感じられますが、みのりんはそんなことを考えていたんですねぇ……。
また文章的にも上手くて、今巻の中でも最も印象的なシーンとして記憶に残りました。

伏せられていた心情を垣間見ることができるのはみのりんだけではありません。
亜美も竜児に対してメッセージを投げかけています。
みのりんと比べると直接的なその問い掛けは、竜児を通り越して読者の心にまで届きます。
寂しいと亜美自身は考えていないからこそ、亜美の孤独さに悲痛な思いを感じてしまいますね。

竜児と大河とその他キャラという分類が可能だった前回までと違い、みのりんと亜美にスポットライトが当たった今回から、主役が2人ではなく5人の物語に変わったと言えますね。
登場人物を限定させることで、キャラクターを深く掘り下げて描かれているのは良かったと思います。
北村だけがちょっと浮いちゃっているところがありますが、大河との関係は1巻の時点で決着がついちゃってると言えなくもないですし、致し方がないですね。

また、イラストが巻を重ねるごとに明らかにレベルアップしているのもポイント高し。
みのりんの赤いカラーと、亜美の青いカラーが対照的に映えていていい感じでした。

もう既に現時点での最新刊8巻まで読了済みなんですが、『とらドラ!』にここまで完璧にのめり込む形となったのは、紛れもなくこの4巻を読んでからですね。
みのりんと亜美とっては、振り返ってみると転換期だったと言えなくもないかな。
個人的にも、二人の好感度が急上昇した内容でした。

最後に、ニヤニヤさせてもらったお気に入りのセリフを反転して置いておきます。

「きゅ……きゅしえだぁ!」
「なんだい!たきゃすきゅん!」

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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とらドラ3! 

とらドラ3! (電撃文庫)とらドラ3! (電撃文庫)
(2006/09)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆
 … 7

まさに抱き合わんとしている(ように見える)ところを大河に目撃されてしまった竜児と亜美。みなが固唾を飲んで見守るなか、はたして手乗りタイガーはどうでるのか……?
そして季節は6月、プール開きの季節。実乃梨の水着!亜美の水着!そして大河の水着!と浮かれる間もなく、竜児の身柄をめぐり大河と亜美がなぜか水泳で勝負をすることに。実は泳げない大河は竜児と特訓を開始するが――。
イベント満載のプールシーンに要注目!どこかヘンな面々が織りなす人気急上昇中の超弩級ラブコメ第3弾!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

竹宮ゆゆこ女史がおくる正統派ラブコメ第3弾です。
毎回あとがきにて、たらこスパへの愛を語るのは必然なのでしょうか。

2巻のラストでぶつ切りにされたところから話が再開します。
冒頭を読んだとき、「あれ?こんな展開だったっけ?」と思いましたが、読み進めればすぐに分かりますのでご安心を。
この2巻と3巻はセットで読むべきものでしょうね。

今回は、水着もといプール開きの話です。
というわけで、狙ったかのように女の子たちの水着イラストばかり。
何と挿絵の水着率、5を超えます。
供給過多なんじゃないのかと思ったりもしましたが、大河・実乃梨・亜美がそれぞれの水着イラスト登場シーンが2,3回程度になっているところを見ると、どのニーズにも応えようとした結果なのかなと思いました。

ちなみに、乳やらスク水やら一部の方に好評な単語が飛び交う今巻ですが、青春ラブコメを謳っているだけあってエロさは控えめ。
竜児の女性に対する初々しさが売りの一つなので、エロはそんな必要なく、これで正解だと思いますね。

前回、亜美という台風によって荒らされた竜児と大河の絆をより強固に結び直すストーリーとなっています。

序盤から中盤にかけては、大河の捻くれた態度にフラストレーションが募る場面がチラホラ。
最後にはスッキリとさせてもらったので読了感は素晴らしいのですが、それに至るまでがちょっと長すぎたかな。
もっとも、逆にいえば、終盤の展開が爽快だったのは前半の反動が大きかったのも理由の一つに挙げられるかと思います。
まぁ、終わりよければ全てよし、ってことかなw

大河はドジばかり踏んでいて、竜児が世話好きだということを省いても放ってはおけないような妹キャラ的要素がありますね。
やっぱり僕は、竜児に対して意地になっているところよりも、ちょっとくらい偉そうにほくそ笑みつつ竜児と仲良くしている大河の方が可愛く見えますし、読んでいて楽しいです。
中盤からは1巻の頃のような竜虎コンビの共闘が再燃して、物語的にも面白かったです。

2巻で竜児に急接近したかと思った亜美は、どうやら一筋縄ではいかない様子。
大河はわりと単純で分かりやすい女の子ですが、亜美はなかなか深い人格設計となってますね。
亜美のキャラ造形を見ると、作者の実力のほどをハッキリと体感します。

みのりんのネジが外れたボケボケっぷりには、毎度笑いと同時に愛おしさを覚えます。
このポジションに、この自由奔放ぶりというだけでもキャラ的にかなりおいしい。
さらにはただの天然娘に終わらず、実はかなり鋭い洞察力を持っているところなんか、ある意味作品内で最強のキャラですよねぇ。
また今回も名言が多いしねw

読み終わって改めて考えてみると、大河の魅力あふれる構成となってましたね。
ストーリー的にも、最後のシーンで全て持って行っちゃった感がありますし。
存分にニヤけさせて頂きましたw
もう、御馳走様でしたと言うしかないですねw

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とらドラ!  竹宮ゆゆこ  ヤス  評価B+ 

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とらドラ2! 

とらドラ2! (電撃文庫)とらドラ2! (電撃文庫)
(2006/05/25)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
期待感 ★★★★★★★★☆☆
 … 8

竜虎並び立つ!と思いきや馴れ合い関係に逆戻りしてしまった竜児と大河。そんな二人に活を入れるかのように一人の転校生がやってくる。
その名は川嶋亜美。北村の幼なじみにしてファッションモデル。顔よしスタイルよし外面、よし。でもその本性は――?
北村に片思い中の大河は心中穏やかでなく、そんな大河に翻弄される竜児になぜか亜美が接近してきて――?
新たな女の子を加え、波乱含みの超弩級ラブコメ第2弾!
巻末には不幸体質の一年生、冨家幸太と“手乗りタイガー”との接近遭遇を描く番外編「幸福の手乗りタイガー伝説」も収録です。

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

正統派ラブコメの第2巻であります。
みのりんを差し置いて表紙絵を飾っている新キャラ・川嶋亜美が嵐のように竜児と大河の間に吹き荒れます。

この2巻を読んでいる途中ずっと「とらドラ!ってこんなに面白かったかな?」と考えていました。
1巻の時点でポテンシャルは感じていたので、その後2,3巻をまとめ買いしてきましたが、これは考え直さないといけないと思い、2巻読了後に既存巻全て購入してきました。
それくらいこの2巻は面白かったです。

面白くなった理由はいくつかありますが、その中でも亜美の存在は大きいですね。
亜美のキャラクター性は決して珍しいものではなく、どちらかというと嫌われることの多いタイプのはずなんですが、それだけに終わらないところが実に巧いです。
またそれを逆手にとって、大河のキレやすい性格と反発させ合うことで、互いのキャラ個性に相乗効果を与え、さらにはストーリーをも面白くさせているところはお見事というしかありません。

こうして2巻を読んでみると、1巻は竜児と大河の関係の始まりとその周囲の状況説明がメインだったんだなぁと感じます。
下地がしっかりとあるので、舞台の上で踊るキャラクターたちの魅力が物語が進めば進むほど実感させられます。

竜児と大河のそれぞれの想い人である、みのりんと北村は特にそうですね。
1巻では、ほとんど主役二人にページが割かれていて重要人物の割に登場シーンが少なめでしたが、少しずつ本筋に絡んでくるようになってどんな人物なのか輪郭がハッキリとしてきました。
みのりんのボケは、この作品内最高峰の笑いを提供してくれます。
87Pのイラストのシーンは、2巻での一番のお気に入りシーンですね。
その上、あのサバサバした性格は、竜児でなくとも惚れてしまいますよ。

女の子として好みなのはみのりん、キャラクター性が好きなのは亜美(ついでに竜児)といったところですね。
大河も好きですけど、この魅力的な二人の女の子の前には少々分が悪いw

他にも、ギャグ要因(笑)のインコちゃんやゆりちゃん先生(29)も良い味出してますw
この1名と1匹については、作者は絶対に楽しく書いているんだろうなぁというのがヒシヒシと伝わってきます。

最後が中途半端、というか思いっきり次に続いているので先が気になって仕方ありません。
少女漫画の如く、本編の後ろに番外編が付いてきてるんですが、それを飛ばして3巻を読もうかなと一度真剣に考えたくらいに。
まぁ、その番外編「とらドラ・スピンオフ!幸福の手乗りタイガー伝説」も面白かったので飛ばさずに済みましたけどね。

ラブコメ好きには、是非お勧めしたいシリーズですね。
読み始めたら、まとめて読みたくなってしまうので、時間に余裕があるときにどうぞ。

余談。
アマゾンの画像にも写っている帯のコメント「こっちの虎はパーフェクトです!」とは、奈須きのこ氏のコメントです。
大河という名前で、あだ名がタイガーというキャラが奈須氏の『Fate/stay night』にも登場する縁でコメントを書くことになったらしいです。
このように他の作家が帯にコメントを寄せるのって時々見かけますけどいいですよね。
読者としては単純にコメントを読むのも楽しいし、お気に入りの作家が薦めていればその作品に興味が沸きます。
訴求効果高いと思うんで、ジャンジャンやって欲しいですね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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とらドラ! 

とらドラ!1とらドラ!1
(2006/03/25)
竹宮 ゆゆこ

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ ★★★★★★★★☆☆
 … 8

桜舞う四月。高校二年。新しいクラス。
目つきは悪いが普通の子、高須竜児は、ちっちゃいのに凶暴獰猛、“手乗りタイガー”と恐れられる逢坂大河と出会う。そして彼女の知ってはいけない秘密を知ってしまい――。それが竜虎相食む恋の戦いの幕開けだった!
いつもにこにこ、超マイペース娘の櫛枝実乃利、文武両道、勤勉実直、だけどちょっとずれてるメガネ委員長、北村祐作も絡み、どこか変なメンツによる恋はすんなりいくはずもなく……!?
『わたしたちの田村くん』の竹宮ゆゆこ&ヤスが贈る超弩級ラブコメ登場!

現在、数あるライトノベルの中でも注目度が非常に高い「とらドラ!」シリーズ。
このライトノベルがすごい!2007」では6、「このライトノベルがすごい!2008」では4と人気もうなぎ昇り。
今秋にアニメの放送も決まり、今一番勢いのある電撃作品と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。

実は今年の初めに『BLACK BLOOD BROTHERS』の1巻とセットで買っていて、ひとまずBBBが現行に追いついたので新しい長編をということで手をつけました。
予備知識何にもなしで、ただ評判だからというだけで手に取った今作ですが、どうやら当たりだったようです。
やっぱり他の人の感想って大事だなぁと思いますね。
自分の感想が少しでも役立っているといいんですが。

今作は、超能力バトルもなければ不思議生物が生息するわけでもない、普通の世界の話です。
キャラクターの肉付けはラノベ色が強いので、二次元世界の作品なのは間違いないんですが、キャラクターの心情については本物の人間らしさを感じるところがあります。
ラブコメの王道を直進する内容で、万人受け(一般人除く)しやすい作品じゃないかな。

素直に面白いと思う。
だけど、どこが面白いのかと聞かれると困りますねぇ。
舞台設定に目新しいところはないし、物語も先の展開が丸見えだし、文章も特筆するほど他の作家さんと比べて優れているわけでもない。
全てが平均もしくはそれ以上ってところに良さがあるのかもしれません。

ベタベタでお約束満載のコメディが、どれもこれも面白くて癖になります。
笑いの種になりそうな設定を登場人物たちに散りばめさせているのは巧いなぁと思いますね。
それを花開かせていけば必然的に笑いが起こるわけですから。
どう転んでも面白いよなぁという安心感すらありますね。

キャラクターは、ヒロインよりも主人公・高須竜児に目が行きます。
竜児のキャラが凄い好きですねー。
さすがは「このライトノベルがすごい!2008」男性キャラクター部門で秀吉に次ぐ5を勝ち取っただけのことはあります。
目つきが悪く周囲から怖がられているのに、実はとっても家庭的な男。
悪事を働くどころか、シャイで女の子とまともに喋ることすらできないという、可愛げのある高校生男子です。
男の自分からして見ても、女の子に人気がありそうだなーと思いますね。

ヒロインの逢坂大河は、昨今のラノベでは非常によく見るタイプの亜種ですね。
アニメの大河役の声優が釘宮理恵さんといえば、分かりやすいでしょうか。
シャナ、ルイスといったツンデレ系わがままヒロインです。ついでに暴力で解決しようとする節があるのも似てます。
正直言って、僕はシャナもルイスも苦手です。
暴言を吐きまくる少女はご遠慮したいと思っています。あ、お姉さまだったらアリですが。
そんな僕でも、大河は不思議と抵抗感ほとんどなく受け入れることができました。
多分それは、ツンデレというよりもツンドジと言った方が正しいからでしょうかw
憎たらしいことを言っていても、大事な場面に限ってドジる大河は愛嬌があって良いですね。

さらに主役級といって過言じゃない、櫛枝実乃梨と北村祐作の二人もキャラが立っていて素敵。
特にみのりん(実乃梨)は、大河よりも好みのタイプだ。元気があってよろしい。うむ。
キャラクターの内面を掘り下げるのが上手い作者だなぁと感じましたね。

1巻だけでも綺麗にまとまっていますが、恋愛模様に関してはこれからが本番といったところかな。
普通に考えれば結末は想像付きますが、はたしてそう単純に話が進むのか。
作者の前シリーズ『わたしたちの田村くん』は未読なので、どういった作者なのかはかりかねてます。
ラブコメの宿命として、終盤gdgdになってしまうところがあるから、そこだけは気をつけて欲しいなー。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とらドラ!  竹宮ゆゆこ  ヤス  評価B+ 

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