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明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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空ろの箱と零のマリア5 

空ろの箱と零のマリア〈5〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈5〉 (電撃文庫)
(2012/07/10)
御影 瑛路

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読書期間:2012/7/17

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成
緊張感
狂気



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 大嶺醍哉が手にした箱は、“罪と罰と罪の影”。
 人々の罪を可視化、それを取り込むことによって対象を傀儡化する“箱”を使い、彼は人間を『選別』していく。
 自身の信念に基づき邁進する醍哉。
 そんな彼を“敵”とみなす星野一輝は、醍哉を止めるため、箱“願い潰しの銀幕”の使用を決断する。
 そして醍哉は、気づけば無人の映画館の中に閉じ込められていた。ここが一輝が展開した“箱”の中だと気づいた醍哉は、対抗するための手段を模索する。
 “箱”VS“箱”。衝突する二人。
 果たして勝者は――?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


2年振りに発売された待望「はこマリっ!」シリーズ、第5巻。
合間に別作品を挟んだことで、打ち切りかと危惧されましたが、無事に刊行されて本当に良かった。
今現在追いかけているシリーズ作品でも、指折りのお気に入り作品です。

さすがに忘れていることも多く、ややこしい設定などに思い出すのに苦労しました。
もしも期間を置いて読むのであれば、軽くおさらいしておくことをお薦めします。

物語は佳境に入り、遂に正面衝突となった一輝と醍哉。
互いの願いを遂げるために、互いの願望を潰さねばならない。
“箱”の使用者同士の争いは、苛烈を極めていく……。

そう、これを待っていました!
じっくりと読みこみたくなる面白さは、他では早々味わうことが出来ません。

醜悪な人間模様と突き抜けた爽快感が混在した作風は変わらず。
娯楽性の濃かった「怠惰なる遊戯」編と比べると、“箱”自体のギミックよりも、軸のしっかりしたストーリーに興味をそそられます。
タイトルに結びつけた構成力には、驚愕を覚えます。

えげつない話を書かせたら、著者の右に出るラノベ作家は存在しないのではないでしょうか。
残虐かつ非道な人間を描く際に、読者層を想定してオブラートに包まれるどころか、容赦のない表現で徹底的に虐め抜いています。
この手の残酷さが好きな人にとっては、堪らなくゾクゾクとするでしょうね。

抽象的な事象を具体的表現で置換する手法に長けているのが特徴ですね。
少し曖昧すぎてボカしている部分は見受けられますが、本筋には影響ありません。
“箱”という認識し辛い現象を的確に書き表しており、読者が想像しやすい配慮がなされています。
特に今回の場合、醍哉が手にした箱“罪と罰と罪の影”は、名称通り、人間の罪や罰を具現化しているので、描写のキツさが跳ね上がっているように感じられます。

醍哉をダブル主人公の片割れとして書いたというだけあって、5巻の主役は紛れもなく彼です。
ばら撒かれていたヒントを繋ぎ合わした解答編ともいうべき構成となっており、中学時代から大きく変化した醍哉の背景に迫るものとなっていました。
その一方で、従来の主人公であった星野一輝は、もはやラスボス化していますね。
いや、ダークヒーローと言った方が適正かな。

醍哉の思考には共感を覚えるところが多数あります。
どちらかといえば、一輝の方が異常だと感じるから、醍哉の方に寄りついた……というわけではなく、常日頃から醍哉のような考え方が根底にあるからです。
現実は、不条理で不平等だと痛感し、理解しているからこその願望でしょうね。
実現可能な方法が存在しないために諦めていたのが、突如“箱”という形で転がりこんできたら、賭けたくなるのも心情的に仕方がないことです。

3,4巻で登場した新藤色葉と柳悠里にも積極的な介入があるのが嬉しい。
両者ともに、ゲストキャラとするにはあまりに惜しい人材でしたからね。
清純派ビッチというワケのわからないキャラ設定が妙にしっくりくる柳悠里。
己の力量を正しく把握して如何無く発揮出来る強さを持つ新藤色葉。
どちらも非常に魅力的かつ刺激的で、ゲームを盛り上げてくれます。

元々安定していなかったイラストは、2年の時で更に変貌を遂げましたね。
口絵の一輝や醍哉を見て、誰だこれ?と思いましたよ。
個人的には、1~3巻頃の絵柄が好きですね。

さて、明確に埋められた伏線が、明かされるまま終わりました。
全てが引っくり返る可能性を秘めた仕掛けは、果たしてどのように動き出すのか。
次巻も目が離せませんね。

登場人物達の駆け引きが逆転の応酬でワクワクが止まりません

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テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  鉄雄  評価A- 

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空ろの箱と零のマリア4 

空ろの箱と零のマリア〈4〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈4〉 (電撃文庫)
(2010/06/10)
御影 瑛路

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読書期間:2010/6/11
月間マイベスト作品

【評価……A
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★★★
 … 9
物語 ★★★★★★★★★
 … 9
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成
ミステリー
緊張感
完成度


 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 「ああ……分かったよ。僕が――僕が、『王』になってやる」
 クローズド・サークル『王降ろしの国』。中世風の職業に就き、一度の面談を介し行われるそのゲームの勝利条件は、他プレイヤーを殺して生き残ること――。つまりこれは、“殺し合い”にまみれた狂気のゲーム。
 その“騙し合い”のゲームから、未だ抜け出せない星野一輝。彼はついに、事態打開のため自ら“王”となるべく動き出す。カギとなるのは、トリックスターである大嶺醍哉。この空間を作り上げた“箱の所有者”はいったい誰なのか、一輝はついにその真実へとたどり着くが……。
 『王降ろしの国』完結編、登場!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


略称の可愛らしさと裏腹に、シビアな展開の連続である「はこマリっ!」第4巻。

これは凄かった。

作者の発想には、いつも予想を超えられるわけですが、今回は数えられないぐらい裏を突かれました。

しかし、少しでも語ってしまうと、ネタバレに繋がりそうなので難しい。
人数や空間が限定され、さらには縛れたルールの中で、どうしてこんなにも二転三転する物語を綴れるのか。
毎度のことながら、作者の腕には脱帽しますね。

このシリーズの感想を書くたびに言っていますが、ミスリードが自然すぎて全く気付けない。
いや、正確にいうと、予想をしたつもりが、作者に気付かされているだけなんですよ。
まさに作者の掌の上で転がされているかのように、右へ左へと揺さぶられます。
だから、いきなり死角から殴られたかのような衝撃を受けるわけなんですよね。
しかも、後から振り返ってみると、ちゃんと伏線を残していて、それが悔しさを倍増させます。
読者としては、当然騙されるたびにハードルを上げて、疑り深くなっているにもかかわらず、その上を行くのが凄すぎる。

醍哉が1つの策略に複数の意味を持たせる手腕見せていますが、これってそのまま作者への褒め言葉にも当てはまりますね。
幾重にも伏線を張ることで、物語に厚みをもたせています。

ここまで騙される理由には、文章の巧さがあるんでしょうね。
設定やストーリーだけで目先を変えても、そうは上手く行かないはずですから。
ライトノベルらしい読みやすさを残しつつ、強調点で文章の面白さを抽出してくれています。
言葉選びのセンスが抜群なので、ある種爽快な気分さえも味わえます。

たった6人しかいない世界で、生死をかけたゲームに挑む関係図が状況に応じて刻々と移り変わっていくのは、見応えありますね。
このメンバーの中では、一輝は決して頭脳では優位には立てないのだけれど、負けてもいないんですよね。
何というか、一人だけ別次元で戦っているかのような印象を受けます。
さすが“○”に興味を持つだけのことはあります。

唯一にして最大の欠点は、プレイヤーキャラ以外はNPCだと認識してしまうことで緊張感が削がれてしまうこと。
前回のラストで醍哉が告げたゲームルールとクリア方法のおかげで、リセット前提で読んでしまうんですよね。
クローズド・サークルとループ物の相性の悪さが出てしまったかなーという印象は拭えませんでした。
そういう意味では、ゲームの面白さは、前回の方が上でしたね。

解決後の「日常」シーンは、色んな意味で反則的な女の子たちばかりだった。
姑息だと思っていても、惹かれずにはいられない男心を弄びやがって……!
もっともっと積極的に誘惑してください、よろしくお願いしますっ。

無から創造し、未だ誰もが思いつかないような発想をもって話を作ることができたなら、もちろん評価されるべきです。
しかし、想像可能なはずなのに、巧みに答えを隠して予想を外させる技もまた同様に、凄い技術だと称賛されていいのではないかなと思います。
このシリーズおよび作者は、もっと評価されて欲しいですね。

幾重にも張り巡らされた伏線と登場人物の行動理由に驚かされます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  鉄雄  評価A 

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空ろの箱と零のマリア3 

空ろの箱と零のマリア〈3〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈3〉 (電撃文庫)
(2010/01/10)
御影 瑛路

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読書期間:2010/1/20
月間マイベスト作品

【評価……A
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★★★
 … 9
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
狂気




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 「お前、“O”と関わっているだろ?」
 クラスメイト・大峰醍哉が、星野一輝に向かって発したその言葉は、新たな“箱”への入り口だった。
 気付けば一輝は音無麻理亜と共に、“騙し合い”のゲーム――『王降ろしの国』のプレイングルームにいた。中世風の職業に就き、一度の面談を介し行われるそのゲームの勝利条件は、他プレイヤーを殺して生き残ること――。つまりこれは、“殺し合い”にまみれた狂気のゲーム。
 “箱”に願い、この空間を作り上げた“所有者”の正体とは……?緊迫の第三巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


キャラクター同士の駆け引きが魅力的な「はこマリっ!」第3弾。
この略称はありだと思う。

いやはや、これは素晴らしい。
……って、この褒め言葉は倫理的にマズイ気がする。
とにかくまぁ、凄かったです、はい。

2巻ラストの引きが強烈で、待ち遠しかった今巻。
序盤は意外にもヌルい日常シーンが続き、それはそれで面白いラブコメ風でしたが、肩透かしを食らいました。
しかし、それも新たな“箱”である“怠惰なる遊戯”に一輝たちが取り込まれてからは、物語は急転。
強制的に参加させられた一輝たちに待っていたのは、殺し合いゲームという過酷なものでした。

密室の中に放り込まれた男女がゲームという体裁で殺し合いをする……というのは、よくある題材です。
かなり好みの設定なんですが、この作品には他ではあまり見られない特徴があります。

それは、登場人物全員が切れ者だという点です。
危機感の足りない人物がやられ役になるのが、この手のタイプではパターンとなっていますが、それがありません。
最初から油断を見せず、隙あらば生き残るために相手を陥れようとするものたちばかり。
レベルの高い駆け引きが、緊張感を伴って非常に面白い。

中盤からは、のめり込むようにして読んでいました。
必死に推理しながらページをめくる様は、まさに没頭中という言葉がピッタリだったかと思われます。
それでも裏をかかれて騙されたのは、1,2回では済みませんでした。
作者のリードの巧さには、惚れ惚れしますね。

キャラの思考を読者に理解させる独特のアクセントのある文章もやみつきになります。
たとえ共感ができずとも、別の考え方を持った人間がいるということを明確に教えてくれるのは何気に凄いことだと思うんですよね。

今回、閉じ込められた6人は全員キャラが立っていて好感が持てますが、その中でもお気に入りは生徒会長の新藤色葉かな。
いち早く特異な状況を判断して行動に移す姿は、個人的には物凄いシンパシーを感じられました。
普段はきっと明るくみんなから好かれる性格なんだろうなぁ。

大満足の一冊でした。
これまた気になるところで終わってしまっているので、続きが待ち遠しくてたまりません。

閉ざされた空間で、己の命を賭けた心理戦が熱い

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  鉄雄  評価A 

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空ろの箱と零のマリア2 

空ろの箱と零のマリア〈2〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈2〉 (電撃文庫)
(2009/09/10)
御影 瑛路

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読書期間:2009/9/27~2009/9/28
月間マイベスト作品

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
構成 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
クーデレ ★★★★★★☆☆☆
 … 7

繰り返しの日々の果てに、再び星野一輝の前に現れた音無麻理亜。しかし、ふたりで過ごす穏やかな時間は長くは続かない。一輝の周辺で不思議な事が起き始めたのだ。
送った記憶のない告白メール、断絶する記憶、「自分ではない自分」が引き起こす事件、死体。そして、携帯電話に残された宣戦布告――

『ボクはアンタを壊す。アンタが大切にしているものを全部壊す。“箱”を手にしたボクは、アンタから全てを奪える』

“所有者”が一輝に向ける<悪意の理由>と<願い>とは……? 緊迫の第二巻。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


御影氏による独特の世界観が売りのシリーズ第2巻。
著者の作品の中で、初めてナンバリングされたものになります。
1巻で綺麗に締めていたので、本当に続きが出るのか疑心暗鬼でしたが、なるほど、こう繋げますか。

ループする日々を抜け出した一輝と麻理亜の前に立ち塞がるものは、またしても“箱”でした。
浸食されていく日常を取り返すために、もがく一輝が恐怖感をかき立てます。

トリックは、前回とまるで違うのに作品から漂う雰囲気が変わらないのは、さすがというべきでしょうか。
やり直しのきかないことが緊張感を生む結果となり、非常にドキドキしながら読めました。
巧みに読者をリードする手腕はお見事で、作者の思うツボだと理解しつつも引っかかってしまいます。
でもそれが決して嫌ではなく、むしろすがすがしいぐらいの気分なんですよね。
オチが弱かったところだけは惜しいものの、極めて良質な物語だったと思います。

それにしても、変な言い方ですが、随分とライトノベルらしくなりましたね。
1巻の感想でも似たようなことを書きましたけど、今回はさらにラノベ色が濃くなっています。
ラブコメ要素も上手く溶け込んでいて、思わずニヤニヤしてしますね。

イラスト効果の大きさも実感します。
口絵にある麻理亜と心音が可愛すぎて悶えそうです。
しかし、誰が一番好きかといわれると、茂木さんですけどね!

やっぱり、御影瑛路の作品は好みに合うなぁと思いますね。

二転三転するストーリーの切り返しが秀逸

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  鉄雄  評価B+ 

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空ろの箱と零のマリア 

空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)空ろの箱と零(ゼロ)のマリア (電撃文庫)
(2009/01/07)
御影 瑛路

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読書期間:2009/1/22~2009/1/23
月間マイベスト作品

【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
構成 ★★★★★★★★
 … 9
ミステリー ★★★★★★★★☆☆
 … 8

3月。中途半端な時期にやってきた転校生・音無彩矢。そのあまりの美しさに息を呑む教室の中で、彼女は教壇に立ち、無愛想にただ自分の名前だけを告げた。教室全体が次の言葉を待っていた、その時――。

「星野一輝」

――呼んだのは、何故か僕の名前。

「私はお前を壊すために、ここにいる」

そして、突然の宣戦布告。
ただ超然と、毅然と言い放ち、静かに微笑む彼女の真意は……!?
御影瑛路が贈る新作登場!!

【感想】


御影瑛路氏の3年振りの新作。
これまでの作品と異なり、初めてイラストが付きました。

これは良い!
期待していた以上に面白かったです。
やっぱり、著者の作品は興味深いですね。

時間がループする空間からの脱出を描いた作品。
この題材は、他でも何度か見たことありますが、大好きな設定です。

同じ時間軸を何度もなぞりつつ、しかしながら少しずつ差異が露わになっていく過程が面白い。
5桁を超える繰り返し回数を順番に追うのではなく、前後しながら読ませる構成が素晴らしいですね。

主人公・星野一輝は、全ての記憶を引き継いでいるわけではなく、ループの日々を断片的にしか覚えていません。
その設定の活かし方が非常に巧く、ピースの散ばせ方が実に秀逸です。

最初に読んだときは、著者の作品に慣れていない方は戸惑われるかもしれません。
巧妙に隠された伏線が、再読すると、まるで違う本を読んでいるかのような気にさせてくれます。
2回読むことを推奨しますが、作者のいいように振り回されるのも醍醐味の一つかなと思います。

また、あまりにも自然すぎるミスリードに、見事に引っかかってしまうのは僕だけではないはずです。
作者のやり口は知っていたはずなのに、幾重にも張り巡らされたトリックに気持ちいいくらいにやられました。
二転三転する話に時には付いていくのさえ精一杯になったりしますが、それがいい意味で目が離せません。

印象的なセリフが非常に多いのも特徴。
繰り返し使われているからこそ、胸に痛みを伴うほどの切なさに襲われます。

「明日まで待って」

この言葉の真の重さは、最後まで読まないと理解できません。

そして、暗い陰を落とし続けてきた物語が、最終的に昇華される様は見事というしかありません。
この点だけは、著者の他作品と正反対ですね。
ダーク要素は随分と温くなってしまっていて、御影ファンとしては残念であるものの、おかげで人に勧めやすい内容になっています。
しかも、読了感が抜群によろしいので、本当に面白かったなぁと思い浸ることができます。

イラストは、ほぼ口絵のみで挿絵は章の切り替わる際に数枚ある程度で、作風に合っていると思いました。
お気に入りのキャラクターは、茂木霞
キャラ造形が、御影氏独特の無機質なものからラノベらしい色付けが多少加わっていて、読みやすくなりましたね。

綺麗に締めているので、続編を読みたい気持ちもありますがこのまま完結でもいいかな。
どちらにせよ、今度は3年とは言わずに早い周期で新作を読みたいですね。

膨大な時の滞留による人の心の移ろいに、儚さを抱かずにはいられません

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  415  評価A- 

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