fc2ブログ

明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

08«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»10

豚は飛んでもただの豚?2 

豚は飛んでもただの豚?2 (MF文庫J)豚は飛んでもただの豚?2 (MF文庫J)
(2012/03/22)
涼木行

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/14

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
恋愛
ラブコメ



 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6




 元不良の高校1年生・真宮逢人はちょんなことがきっかけで、クラスメイトでポニーテールの美少女・藤室綾に初恋中だ。バイト先の同僚で、綾の妹・瑞姫の協力があるにもかかわらず、真宮の初恋は少しも前に進まない。
 夏――それは恋の季節。少しでも綾とお近づきになるために努力しなければいけない真宮であったが、超バカな彼の前に大きな壁が立ちふさがる。青春を謳歌する高校生にとって最大の敵――「中間試験」である。
 「綾姉に教えてもらえばいいじゃん?」
 赤点必至の真宮は、このピンチをチャンスに変えることができるのか!?
 第7回新人賞<最優秀賞>受賞作・元不良の少年と美少女三姉妹が織り成す、青春×初恋×ぽんこつストーリー第2弾!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


それぞれの高校生活に精一杯な学生たちの青春群像劇、第2巻。

何気ない日常に一喜一憂する少年少女のお話の詰め合わせが、実に面白い。
わー、これは好みだ。

本当にこれはMF文庫のライトノベルなのでしょうか?
1巻の時点でも、エロ系ラブコメとは一線を画する内容に驚きましたが、2巻でもその路線を継続しつつ、ラブコメよりも青春に重きを置いた作品となっています。
感覚的に言えば、メディアワークス文庫の内容を登場人物たちの年齢を下げて書いてみました、という感じ。

三姉妹との恋愛模様が混迷し始めるのだと思いきや、物語が全然始まりません。
それどころか恋にかまけているほどの余裕はないと言わんばかり。
いやー、ラブコメ一色のレーベルで異彩を放ってますね。

これは、青春が遠い日々となった人が懐かしんで愉しむ本の類かもしれません。
文体は柔らかいのですが、対象年齢層は20代後半以降だと思われます。
今現在青春真っ盛りな10代が読んでも魅力を感じ辛いのではないでしょうか。
中間テストで苦しみ、バイトに励み、趣味に没頭する。
いずれも過ぎ去ったからこそ如何に輝かしい瞬間だったのかを思い知っているんですよね。
ああ、あの頃に戻りたい。

ピンで表紙を飾っていることからも分かる通り、瑞姫がメインのエピソードがあります。
前回はヒロイン役でしたけど、今回は主人公でしたね。
三姉妹の中でも優遇され過ぎなぐらい、丁寧に掘り下げられています。
彼女の揺れ動く機微を逃すことなく描写されており、物事を深く考えないタチの真宮よりも主役っぽい。

逆に真宮の片想い相手である綾の内面が、なかなか語られません。
真宮を中心に三姉妹とのラブコメが展開されるんだろうなーと安易に考えていましたが、もしかすると作品の方向性はまるで違うところを向いているのかもしれませんね。
真宮と瑞希を主軸に青春が綴られるのか、それとも綾や雲雀の視点も加えるのか、はたまた真宮視点のラブストーリーに戻るのか。
どの方向に進んでも面白そうなので、期待するしかないですね。
まぁ、やっぱり真宮と瑞希がお似合いだと思うので、最終的にはカップル成立して欲しいなー。

真宮がボクシング以外、全く無頓着だったというのが改めて分かる内容でしたね。
勉強が大の苦手で、恋心に疎く、思考も短絡的。
ただ、彼ほど成長が楽しみな主人公はいないでしょう。
ぶっきらぼうながらも人の声に耳を貸し、馬鹿ながら必死に正しい道を選ぼうとする真面目な考え方が、将来性を感じさせます。
父親との会話シーンからもイイ奴さ加減が存分に出ていました。

恋一つとってみても捉え方は様々。
切ない甘酸っぱさもあれば、胸いっぱいに広がる苦しみもあります。
心が新鮮であるがゆえにもがく少年少女たちの若さが、何と瑞々しいことか。

会話文の砕け方がリアルらしさを含んでいて心地良く読めます。
ただ、地の文だけ、又は会話文だけが連続する傾向があり、些か平坦に感じられます。
物語が進展しないこともあって、若干クドさを覚えてしまう場面もありました。

白身魚さんのイラスト効果は絶大ですね。
瑞姫が可愛すぎて何度ページを遡って見返したことやら。
それに対して、真宮の不安定さはもう少し何とかして欲しいw

おそらく、流行からは外れた作品でしょうね。
短い巻数で打ち切りにはなって欲しくないので、是非とも売れて欲しい作品です。

何もないところにある日常という名の高校生物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  豚は飛んでもただの豚?  涼木行  白身魚  評価B+ 

△page top

豚は飛んでもただの豚? 

豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)豚は飛んでもただの豚? (MF文庫J)
(2011/12/21)
涼木行

商品詳細を見る
読書期間:2012/2/4~2012/2/6

【評価……B+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
恋愛
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 元不良でこの春から高校生になる真宮逢人は、バイト先から逃走する食い逃げ犯を追いかけていた。逃げられそうになったところを、ポニーテールの美少女・藤室綾の純白の……――ではなく、ハイキックに助けられる。真宮はその日から、綾のことをなぜか忘れられずにいた。高校の入学式当日、真宮の席の目の前には、見覚えのあるポニーテールが揺れていて、思わぬ再会を果たす。さらに、バイト先には綾の妹・瑞姫までやってきて、新しい日々が始まる予感。そんなある日、真宮は瑞姫から「綾姉のこと気になるんでしょ?」と言われて――。
 第7回新人賞〈最優秀賞〉受賞作・元不良の少年と美少女三姉妹が織り成す、青春×初恋×ぽんこつストーリー堂々開幕!!

【感想】


恋心に疎い男子高校生が、初恋に戸惑いながらも己の気持ちに正面から向き合う青春物語。
「まよチキ!」「変態王子と笑わない猫。」に続いて、第7回MF文庫Jライトノベル新人賞の<最優秀賞>に輝いた受賞作品となります。

MF文庫Jらしからぬ清々しさ。
隙あらばエロハプニングを挿入する風潮のあるレーベルにおいて、ここまでサービスシーンを排除しているのは珍しい。
穏やかな日常の中で、ほんのちょっぴりほろ苦さが入り混じる青春模様に惹かれました。

主人公・真宮逢人は、物事の関心が薄いために親しい友人もおらず、バイトとボクシングに明け暮れる日々。
ある日、バイト先から逃亡した食い逃げ犯をハイキックで仕留めた藤室綾と出会う。
高校入学後に綾と再開した真宮は、フランクな彼女の性格に心地良さを覚え、次第に惹かれていく。
そんなおり、綾の妹でバイトの同僚である藤室瑞姫に綾への恋心を指摘された真宮は、初めての恋に困惑し、瑞姫に教えを請う――というラブコメの王道的な展開です。

ストーリーは、今更言うまでもなく有り触れたもので、目新しさはないと思います。
協力者である立場の瑞姫と真宮が親しくなるのも当然の流れと言えるでしょう。
でも、こういう三角関係は大好物なので、何度似たような作品を読んでも楽しめてしまいますね。
まだ当事者たちは意識していないんでしょうが、着実に火種を蒔いていっており、将来的な波乱が末恐ろしくなります。

あとは物語的に、どこまで話を展開させて見せるのかの違いなんですけど、投稿作品だったとは思えないぐらい進行がジックリで、長編の1巻にしか見えません。
単作だと思って読むと、オチの弱さが気になるかもしれませんね。
まだ本格的な物語は、始まってさえいませんから。

現時点で、明確なメインヒロインを確立していないのも、どちらに転ぶか分からないので面白い。
綾のざっくばらんな人柄は、親しみやすさと頼もしさを感じます。
瑞姫もまた、くだけた言葉使いに優しさが包容されていてるのが非常に魅力的です。
個人的な好みでいえば、ポニテ姿の綾はポイント高いんですが、内面的には瑞姫に軍配が上がります。

藤室三姉妹の長女・綾と三女・瑞姫と比べると、次女・藤室雲雀の出番は少ないですね。
三つ子という設定は、今のところ必要性皆無ですが、これは後々活かされてくると思います。
雲雀だけは、三つ子の幼馴染みである神指風太郎に惚れられているので、カップリング的には外部になりそうですがね。
ところで、動けるデブこと風太郎が「学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD」の平野コータに見えて仕方なかったのは、自分だけでしょうか。

白身魚さんのイラストに釣られて購入しましたが、正解でしたね。
絵の雰囲気と作風が一致していて、甘酸っぱさが増幅されていました。

ラノベ的な色付けは希薄で、味気ないという人もいるとは思います。
派手な展開を望み、萌えを願う人にとっては、地味な話だと感じたかもしれません。
しかし、一見すると平たい話に見えるからこそ、心の機微を感じ取ることが出来るんだと思います。

面白かったです。
ただ一つ苦言を呈するのであれば、タイトルが微妙だということ。
作品の核となる部分が遠過ぎるのではないかなと思うのですが……いつか伏線回収するんでしょうか。

無愛想な男子高校生が初恋と男女の友情の間で揺れる青春物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  豚は飛んでもただの豚?  涼木行  白身魚  評価B+ 

△page top