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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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リバーズ・エンド after days 

リバーズ・エンド after days (電撃文庫)リバーズ・エンド after days (電撃文庫)
(2004/06)
橋本 紡

商品詳細を見る

【評価……C+
舞台 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

一年が過ぎようとしていた。自らの足元を見つめ、戸惑い、けれど彼らはそうやって“何か”を見つけだしてゆく――。
二ノ宮直人は故郷にいた。家族との平穏な生活。当り前の日々。でもさ、と直人は思う。こんなんでいいのかよ……。
豊かな生活の中、紺野七海はスクールでの日々を思い続けていた。四方弥生が闇と向き合っていることに気づかぬまま。
そして瀬川拓己はスクールに残っていた。そばにはいつも、あの唯がいた。拓己は自らに問う。僕は誰と暮らしているんだろう。隣を歩いているのは誰なんだろう。
『リバーズ・エンド』スペシャル、八人のアフターデイズを綴った一冊が登場!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

リバーズ・エンドの後日談を描いた作品。
第6巻と称してもいいような気もするけど、一応物語としては5巻で終止符が打たれているからこれでいいのかな。
もちろん、当然の如く先に5巻まで読んでおかないと半分くらいしか楽しめません。

SF要素がなければ、こうも違うのかと言いたく程の出来です。
ここまで読んできた人なら、5巻が楽しめた人もそうでなかった人も読むべきだと思います。
これこそリバーズ・エンドの締めに相応しい内容だと言えますね。
作者が書きたかったのは5巻の内容だったのかもしれないけど、読者が期待してたのはこういった日常シーンだったんじゃないかな。

あらすじを読んでの通り、3人のキャラクターをピックアップしています。
3人を主人公にした後日談が1話ずつあり、その合間にそれぞれの話を繋ぐ小話が挟み込まれています。
非現実的な閉鎖空間から解放され、元の日常または変化した日常の中に身を置く少年少女たちの揺れ動く心情が細かく書かれています。

個人的には、直人の話が一番面白かったかな。
直人のツンデレっぷりが、かわいらしかったw

会話中心で進む小刻みなテンポも復活して、非常に読みやすかったです。
毎度のことながらページ数の割に、あっさり読めてしまえます。

やっぱり、この作者は何気ない日常的なやり取りを読ませるのが上手いんだよね。
それに関しては、素直に楽しめます。
だから、リバーズ・エンドの結末には残念だったけれど、作風は嫌いではないですね。
長所と短所がこんなに分かりやすい作家って、あまりいないんじゃないかなって思います。

長いようで短かった気もするリバーズ・エンドもこれでおしまいです。
突っ込みたいところは山ほどあるけど、最後に一つだけどうしても気になったことがあります。
2巻に出てきた六川豊の存在ってなんだったんだろうか……と。
あの惨状もだけど、そのあと誰にも思い出されないというのが可哀そうすぎる。
しかも、文字通り体を張って示した共生体の設定は、いつの間にかに忘れられているしね。

さてと、半分の月がのぼる空に手を出すべきかどうか悩むなぁ……。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  リバーズ・エンド  橋本紡  高野音彦  評価C+ 

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リバーズ・エンド5 change the world 

リバーズ・エンド〈5〉change the world (電撃文庫)リバーズ・エンド〈5〉change the world (電撃文庫)
(2003/07)
橋本 紡

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【評価……D
舞台 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 1
物語 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
人物 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
文章 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★☆☆☆☆☆☆
 … 2

唯は目覚めた。その姿に拓己は希望を見い出し、彼女にかつての思い出を語りはじめる。
短くて儚かったけれど、ぬくもりに満ちた日々のことを。そんな拓己の姿に、七海は複雑な思いを抱く……。
一方、コクーンによって送り出される世界では、戦いが激しさを増していた。拓己はしかし、かつて家族と友人を奪っていった『戦い』に身を投じることができない。それを見た伊地知たちは、新たな状況を作り出そうとするのだった。
希望と絶望が交錯する中、拓己は最後の選択を迫られる!
橋本紡&高野音彦が贈る大好評シリーズ、ついに感動の完結!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

後日談を描いた「after days」はあるものの、物語としては実質最終巻になる第5巻。
ここまで伏せられていた謎や伏線がどのように暴かれ消化していくのかが見所だったわけですが……。
残念ながら、期待はずれだったと言わざるを得ないですね。

今まで築き上げてきたものが、何もかもが裏目に出てしまいました。
あれだけ長々と子どもたちの心情を丁寧すぎるくらいに書いていたのはなんだったんでしょうかね。
終わりよければ全てよしという言葉の裏には、締め方を間違えると作品全体の評価が崩れるという意味がありますが、まさにそのことを教えてくれた本だったように思います。

1巻から4巻まで、期待という名の我慢をしていたものがあります。
それが、SF設定の甘さと物語内の大人たちの対応です。
最初の頃は、後々納得のいく理由を知ることになるんだろうなと思って読んでいたので、あえてその場での突っ込みはしてきませんでしたが、3,4巻を読んでいる辺りから徐々に不安が増大していき、そしてとうとうこの5巻で爆発してしまいました。

4巻の感想の時に、設定部分に引っかかると楽しめなくなると言いましたが、今回ばかりはスルーできません。
物語の核心が触れられる部分ですからね。
それがもう、目も当てられない内容となってるんですから、この評価になるのは致し方ありません。
無駄にSF要素に凝ろうとして失敗してます。
あの理不尽な閉鎖的状況を作り出されたのが、人為的なものでなければさほど問題じゃなかったんですよ。
超常現象ってことにしておけば、それだけで説明付きますから。

結局、作者は何を書きたかったんでしょう。
最終章のあの言葉ですかね?
あれも、泣いたって人も多くいるようですが、僕は感動したという程ではなかったですねぇ。
あのラストにインパクトを与えたいのであれば、最初から構成が間違っていた気がします。
駆け足で走り去った1巻の唯との思い出よりも、2巻から4巻までじっくりと築き上げた仲間たちとの絆の方がよっぽど強く見えるのは僕だけなんでしょうか。

ここまで作品の魅力を引っ張ってきたキャラクター面も、今回はイマイチです。
いや、サブキャラクターは今まで通りいいんですよ。
問題は……主人公の拓己。
ここにきて、このヘタレモードはないでしょ。
この年代に求めるのは酷なのかもしれないけど、あまりに考えが浅い気がする。

そういえば、以前八神さんが「イリヤの空、UFOの夏」と比べてしまうという話をしていましたが、なるほど、確かにこの辺りは似てなくはないかもしれませんね。
でも「イリヤの空、UFOの夏」の主人公である浅羽には、いい意味で人間の嫌な部分があったり、成長が見て取れる姿があったりして、最後まで立派に主人公をやっていました。
それに対して、拓己は選択しなければならない時に決めることができない優柔不断さが目立ち、ここまで積み重ねてきたのは何だったのかと問いただしたいくらいでした。

さらには独特のテンポのいい文章も、説明文が多くていつもの勢いがありません。
同じような文章が何度も続いていたりして、マイナス点となってしまいました。

日常部分は相変わらずよかったんですが、最終巻になってもそこでページを割くのはどうかなと思いますね。
まぁ、結局良かったと思えるところは、ほとんどその部分のみなんですが。

とまぁ、かなりの酷評になったわけですが、ネット上での感想を見ると大方好評を博しているんですよね。
こんな風に感じたのは僕だけなのかなぁと不安に思いましたが、先週の座談会で黒依さんも同意見だったので少し安心しました。

さて、ここまで酷い評価だと、この作品だけではなく作者の評価も低くなりそうですが、実はそうでもなかったりします。
その理由は、「リバーズ・エンド after days」の感想で語ることとします。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  リバーズ・エンド  橋本紡  高野音彦  評価D 

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リバーズ・エンド4 over the distance 

リバーズ・エンド〈4〉over the distance (電撃文庫)リバーズ・エンド〈4〉over the distance (電撃文庫)
(2003/02)
橋本 紡

商品詳細を見る

【評価……C
舞台 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4

■評価【C+】⇒【C】 2008.6.17修正

傷ついた孝弘が入院しているあいだも、SIFMAによる実験は続けられていた。その過酷な日々の中、拓己たちの心は激しく揺れ動く。
拓己は目覚めぬ唯を思い、七海は自らの気持ちに気づき、茂や弥生たちもまたそれぞれの思いを募らせる。
一方、伊地知と柚木は冷酷な真実に立ち向かっていた。それは失敗の許されない、ぶっつけ本番のゲームだった。失敗はすなわち人類の滅亡を意味する――。
真実を知らぬまま拓己たちは『戦い』へと呑み込まれてゆく!
第4回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞の橋本紡が贈るラブ・ファンタジー4弾。

前巻の終盤からようやく進み始めた物語が加速するかと思ったら、そうでもなかった4巻目です。
3巻の頃から薄々感じてはいましたが、これはSFを売りにした作品ではないですね。
非日常生活を強いられる中でも、日常と大して変りのない生活を送る子どもたちの心情を読むものなんでしょうね。

ストーリーに関しては、未だ不鮮明のところもありますが、今までのヒントから大体の見当はつくようになりました。
しかし、これ、設定に穴がありすぎなんじゃないでしょうか?
あまり意識はしないようにはしてますが、そこで引っかかると楽しめなくなるシリーズでしょうね。

逆に、人間関係の描写については、毎度のことながらテンポがよくて読みやすいです。
実年齢に対して精神年齢が低いようにも感じられましたが、それはたぶん他の小説や漫画などで、現実ではありえないような中学生を多く見てきたせいでしょうw
これぐらいの方が、リアルっぽい気がします。

読んでいませんが「半分の月がのぼる空」が評価されている理由はこの辺りにあるんじゃないかなーと思っています。
下手にSF要素を入れない方が、この作者はいいものを書けると思いますね。

なんだか毎回同じような感想しか書けていませんが、これくらいしか書くことがないんですよ、ホントに。
いいところも悪いところも安定していて、長所にも短所にもなってます。

それにしても、伏線を残しすぎで心配になってきた。
次で最終巻ですし、ちゃんとまとまっているといいんだけど……。
それ次第で、シリーズ通しての評価が大きく変わってきそうです。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  リバーズ・エンド  橋本紡  高野音彦  評価C 

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リバーズ・エンド3 free the birds 

リバーズ・エンド〈3〉free the birds (電撃文庫)リバーズ・エンド〈3〉free the birds (電撃文庫)
(2002/09)
橋本 紡

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【評価……C+
舞台 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

■評価【B-】⇒【C+】 2008.6.17修正

スクールも、そこでの生活も、見せかけの現実にすぎない……。死が訪れるまでの、かりそめの生だった。
けれど、だからこそ、拓己たちはそこで本物のぬくもりを見いだすようになる。みんなと騒ぎながらのテスト勉強、夜の校舎を舞台にした肝試し――。そういった触れあいの中、拓己は確かな何かを掴んでゆくのだった。拓己は唯に告げる。僕は、ここで、この下らない場所で、それでも友達と生きてるんだ……。
だが、まさにその時、SIFMAによる『実験』が始まろうとしていた……!
第4回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞の橋本紡が贈るラブ・ファンタジー3弾。

面白くなってきました。
相変わらずの安定性なので、2巻が楽しめた人ならまず間違いなく楽しめるでしょう。

前半は、2巻から続いた脇役をピックアップする流れを今回も引き継ぐ形。
子供たちの中で、一番謎に包まれている遥の話も少し触れられています。
いくらなんでも特殊すぎな気がしないでもないですが、考えてみれば各所にオーバーテクノロジーが散りばめられている世界なんだから、ありえる範囲内なのかもしれません。
まぁ、遥に関しては、まだまだこれから暴かれていく秘密があるでしょうから、今の段階で突っ込むのも野暮でしょうかね。

肝心の物語は、3巻のラストになってようやく廻り始めたところで、それ以外の大部分は田舎の学校生活を見ているような気分になります。
しかし、それは悪いことではなく、子供たちの悲しい背景の上に成り立つ談笑は、重苦しい裏事情を忘れさせ、微笑ましくさえ感じられます。
あらすじの中にもある、テスト勉強や肝試しといったイベントは、今までで一番楽しく読めたシーンでしたね。
じっくりと一人一人を掘り下げて描写してきたので、大勢で話し合っていても、それぞれキャラの特徴がよく分かるんですよ。

ただ、苦言を呈すならば……。
いつになったら、話が進むんだろうか、と。
ここまで来るのに、ページ数を割きすぎのように思います。
一文が短いために、必然的に増えてしまうんでしょうけど、もう少しまとめて欲しい気がします。
2巻と3巻は、合わせて一冊でいいと思うんですけどね。

次こそは、物語の核心に入るといいなぁと思いつつ、早めに読もうと思ってます。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  リバーズ・エンド  橋本紡  高野音彦  評価C+ 

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リバーズ・エンド2 slash the heart 

リバーズ・エンド〈2〉slash the heart (電撃文庫)リバーズ・エンド〈2〉slash the heart (電撃文庫)
(2002/05)
橋本 紡

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【評価……C
舞台 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
オススメ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3

■評価【C+】⇒【C】 2008.6.16修正

そこはスクールと呼ばれていた。たった八人の生徒しかいない学校だ。八人はみな、知っていた。自らが……いや、そこにいる全員が、やがて無残な死を迎える運命にあるのだと。
一方、SIFMAに収容された拓己は、眠り続ける唯をただ眺めていた。彼は小さな声で呟く。唯はもう目覚めないほうがいいんだ、このまま眠っていたほうがいいんだ――。これ以上、唯が傷つく姿を見たくなかった。唯を守りたかった。
八人と拓己が出会う時、運命の輪が、優しく、冷徹に、まわりはじめる……。
第4回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞の橋本紡が贈るラブ・ファンタジー2巻。

ついこの間1巻を読んだばかりだと思っていましたが、もう2か月以上も前になるんですね。
ページ数はそこそこあるのに、一文が短いので、一巻同様あっさり読み終えました。

全体的に淡々としていて、物語も理不尽な展開だった一巻に比べたらマシってだけで、核心には程遠い内容ですね。
この二巻は、主要人物を取り上げて、これからの物語に深みを与えるためのものと言えるかと思います。
連続ドラマでよく使われる、主人公が脇役と一人ずつ仲良くなっていく手法ですね。

内容は、よく言えば無難。悪く言えばありきたり。
でも、登場人物一人一人、それぞれの悩みを抱えつつ生きる様が、しっかりと書かれているので、引っかかることなく読めました。
点数をつけるとどうしても低くなってしまいますけど、数字では測れない面白さがあります。
安定している、ってことなのかな。

一巻読み終えたとき、続きを読むべきかどうか悩みましたが、この二巻だけでは読み続けて正解だったという答えを出せませんでした。
展開が非常にゆっくりしすぎているので、早く先を読みたいと思えないのは減点かもしれません。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  リバーズ・エンド  橋本紡  高野音彦  評価C 

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リバーズ・エンド 

リバーズ・エンド (電撃文庫) リバーズ・エンド (電撃文庫)
橋本 紡 (2001/12)
メディアワークス
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【評価……C-
舞台 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
物語 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
人物 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
文章 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
挿絵 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
オススメ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3

評価【C+】⇒【C-】 2008.2.2修正

拓己は十四歳の中学生。そんな彼の携帯に突然メールが送られてくる。あなたの町に海はありますか――?拓己は戸惑うが、やがてメールの送り主である唯という少女と、心を通わすようになる。
雪の降る夜、息が白くなる朝、騒々しい昼休み、何度も何度もふたりは『言葉』を交わしつづける。なにもかも不確かな世界の中で、ただ互いの『言葉』だけがリアルだった。ひとときの優しさ、ぬくもり、そして――。
彼らは気付いていなかった。その時、なにかが始まろうとしていたことに。
第4回電撃ゲーム小説大賞<金賞>受賞の橋本紡が贈る気鋭の新作ついに登場!

今となっては、この作品よりも『半分の月がのぼる空』の著者として有名な橋本紡の作品。
この1巻が発売されたのは、もう6年近くも前なのですが、前々から興味があり、ようやく手に取ってみたのでした。

一応、ジャンルとしてはラブストーリーということでいいのかな。
ラノベとは切り離せないSF要素は、今のところはさほど出てきていません。
というのも、この1巻だけでは話の全貌がちっとも分からないというのが原因です。
どうやらこの作品は、全5巻+1(後日談?)らしく、第1巻に関してはプロローグに過ぎないようなのです。

それを踏まえた上での感想。
正直なところ、内容は可もなく不可もなくといったところで、まぁまぁといった評価が一番的を射たものだと思います。
後半の説明不足の急展開を除けば、特に指摘すべき点もありませんし、だからといって素晴らしいと声を大にして言うほどのものでもありません。
前半部分の等身大の中学生たちが織り成す物語は、微笑ましいものだったり、胸が痛くなるものだったり、現実感を感じられるものが多くなっています。
いい意味でも悪い意味でも、普通のライトノベルですね。

ところで、これは僕の持論ですが、本に限らず、フィクション作品の評価をする際に「終わりよければ全てよし」というのは当てはまらないと思ってます。
特にライトノベルのシリーズ物というのは、1巻の出来が非常に重要です。
何故なら、続きを買うか否かはその評価で決まるといっても過言ではないからです。
たとえ、どれだけ伏線が張り巡らされた大作であっても、過程で楽しめなければそれは一級品じゃないでしょう。

その意味で、この作品は惜しいなと思います。
2巻以降の評判がいいだけに、1巻が淡白すぎた感があって勿体無いですね。
僕自身、2巻を買うべきか悩んでいます。

また、この著者の作品を初めて読みましたが、テンポのいい文章を書くんだなぁと思いました。
多分、著者の特徴なんだと思いますが、動詞や単語だけ、10文字程度の文章で改行するのが多いんですね。
作品中の、主にほのぼのとしている前半の雰囲気に合っているように感じられました。
ただし、その分、文字数が少ないため、ページ数の割りに中身が薄く感じられなくもないですが。

1巻だけでは謎ばかりが残ってしまうので、読むのであれば最後まで読みきるべきなんでしょうね。
どなたか、背中を押してはくれないでしょうか?w

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  リバーズ・エンド  橋本紡  高野音彦  評価C- 

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