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明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA 

サクラダリセット7  BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)サクラダリセット7 BOY, GIRL and the STORY of SAGRADA (角川スニーカー文庫)
(2012/03/31)
河野 裕

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読書期間:2012/4/27~2012/4/30

【評価……A
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
恋愛
透明感
切なさ
構成
完成度

 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★
 … 9


 「私が将来の夢を失くしたのは、貴方に出会ったからよ」
 能力を失くした相麻菫。
 「私は貴方を、覚えていません」
 能力を失くした春埼美空。
 改変された咲良田で、ケイはひとり、ふたつの記憶――街に能力が存在する本物の記憶と、能力が消滅した偽物の記憶――に直面していた。
 自らの過去に区切りをつけるため、ケイは初めて咲良田を出て――。
 複雑でシンプルな、大人のような少年がたったひとつを祈り続ける物語。堂々完結!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


物理法則に従わない能力を所持する者が住む街、咲良田。
人が能力を使用することの意義を問うシリーズ最終巻です。

とても素晴らしい物語でした。
直感で読み始めた作品でしたが、出会えたことに感謝したいです。

全てを見通した上での構成が、尋常ではない完成度にまで引き上げています。
作者自身公言している通り、これ以上の過不足はないでしょうね。
作品内の雰囲気だけに留まらず、シリーズ構成までもが美しく整っているなんて、相当緻密な設計をしていない限り不可能なことです。
予定通りの巻数で終われるだけの売れ行きがあって、本当に良かったと心から思いますね。

1~6巻までに登場してきた人物、能力のいずれもが関わっていることに衝撃を覚えます。
7巻を最初に書きあげて、その後に辻褄を合せるよう物語を組み立てたと言われても疑わないですよ。
適材適所が見事過ぎて、ある意味でご都合主義に見えてしまうほどです。

しかし、それは使う立場がいてこそ初めて輝くもの。
未来視能力を持った相麻ではなく、人よりも少し記憶力の良いケイが導いたことに驚かされます。

理想論を語る主人公なら数え切れないくらい存在します。
それらの多くは、言葉だけが立派で、蛮勇といってもいいものです。
または己の力を過信し、結果論で語る暴力的な思考によります。

しかし、ケイは違います。
彼は自分がどれだけ聡くて、どれだけのことが可能なのか正しく判断できる人間です。
春埼や相麻が絶対的に信じるのは、彼ほど透き通った心を持った人間がいるとは思えないからでしょう。

誰よりも傲慢なのに、目指すべき境地が夢のように心地良い。
彼の夢に乗っかり、理想に浸っていたい。
中野智樹、村瀬陽香、岡絵里、坂上央介、宇川沙々音。
ケイの周りにいる人間は、一括りには出来ない想いを抱いているけれど、みんな彼に惹かれている。
友情であり、嫉妬であり、憧れでもあるそれを人はカリスマと呼ぶのでしょう。

当たり前のことを当たり前にできるのが如何に難しいことなのか。
完璧主義者でありながら切り捨てる勇気も併せ持つケイの凄みが、坂上の台詞に集約されていました。

無垢というより無味な人格だなという第一印象が嘘なほどに春埼は変わりましたね。
作中でも関わり合いの薄い立場から見ると、春埼は意志のない人間に見えるんでしょう。
でも、ここまで物語を追ってきた読者からすると、ぬりえの前と後くらい別物に感じられます。

ケイを通じることで、相麻菫が如何に非情な立場にあったのかを痛感します。
前回で散々泣いた相麻が、なおも苦境に立たされ続けないといけないことに嘆くことしかできません。
それでも、少しでもケイや春埼が彼女の肩代わりができれば、救いとなるのかなと勝手ながらに思いました。

管理局との対立は、そのままケイと浦地による手札の切り合いと化していましたね。
お互いの手の内を読み合う様は、形勢が頻繁に入れ替わり、読み応え抜群でした。
頭脳的な能力バトルは大好きなので、知略戦には心躍りましたね。
雰囲気を大きく壊すようなこともなく、あくまで物語を構成する一つの要素に留めてくれていたのも良かったです。

散りばめられた伏線は、概ね回収されています。
ケイの名前がカタカナ表記だった理由など明かされないと思っていたので、あのくだりは嬉しかった。

潔癖すぎるぐらい綺麗なお話でした。
余分な成分を一切取り除いた後に残された二つの側面は、どちらも正しく、恐ろしいほどに純真で。
人々の感情を大切な宝物のように扱う彼や彼女たちは、とても素敵な人でした。

口絵のイラストは、最後まで高クオリティ。
椎名優さんの優しくも洗練されたタッチによるイラストが、素晴らしい相乗効果を生み出していました。
また次のシリーズもこのコンビによる作品を読んでみたいですね。

矛盾の中に潜む真実を求めて、少年が我儘に己の世界を求める物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価A 

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サクラダリセット6 BOY, GIRL and ―― 

サクラダリセット6  BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)サクラダリセット6 BOY、GIRL and ‐‐ (角川スニーカー文庫)
(2011/11/30)
河野 裕

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読書期間:2012/1/24~2012/1/28
月間マイベスト作品

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
恋愛
透明感
切なさ
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 「これで、最後だから。たぶん、あと数日で、すべて終わる」
 復活後、姿を見せなかった相麻菫。しばらくぶりの彼女からケイへの連絡は、奇妙なものだった。
 一つ目は、春埼と一緒に交差点でゴミ拾いをしろというもの。
 一方、管理局対策室室長・浦地は“咲良田のリセット”――全能力の消滅を目論んでいた。彼は未来視能力を持つ二代目魔女・相麻に接触し……。
 初代魔女が名前を失う前、咲良田の「始まりの一年」が明らかに!最終章突入!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


壮大な舞台で綴られるのは、少年と少女の恋物語。
能力の是非を問うクライマックス突入のシリーズ第6巻です。

何という切なく、そして綺麗なお話。
この作者が紡ぎ出すキャラ、言葉使い、雰囲気。
いずれも美しいという言葉がピタリと似合います。
透き通った文章が、静かに心の奥深いところへと沈む込んでいき、離しません。
期待通り面白かったです。

遂に明かされる咲良田の始まりと、相麻菫の意図。
秘められた過去に気が付いた時、一言では言い表せられない想いが胸に込み上げてきます。
数々の伏線がたった一つのことへと収束しく様は圧巻で、様々な関門を貫いて届く想いを美しいと言わずとして何と表現すればいいのか分かりません。

相麻菫の悲痛なる決意を思うと、吐息が重くなります。
傍から見れば、たったそれだけのことであっても、彼女は文字通り身を投げてまで守りたかったのか。
彼女が抱える愛情の深さに涙腺が刺激されっぱなしです。
覚悟を決めた人間の格好良さに男も女も関係ありませんね。

ケイ、菫、そしてもう一人の主役となる浦地正宗。
彼らが幸せを求め、それぞれの世界を望み、我を通す行為に嫌悪感を抱かないのが凄い。
この作品の素晴らしいところは、皆が純粋に心を追い求めるところにあると思いますね。

脇を固める役柄も欠かせません。
全てはこのために配置していたのかと言わんばかりに、集うピース。
余すところなく全員が物語に関わり合い、ケイに影響を与えていく構成には目を瞠ります。
最初から完成形がある程度出来ていないと作れませんよ、これは。

小説に華を添える椎名優さんのイラストは、相変わらずの画力で文句のつけようがありません。
春埼の作り笑顔から、菫の慟哭まで、いずれも脳内に直接焼きついたかのように覚えています。
冒頭で登場人物紹介を載せてくれたことも有難い配慮でした。

能力は、人を幸せにするか否か。
最終巻を読むのが今から楽しみでなりません。

少女の苦しみと慈しみが詰まった未来が、優し過ぎて切なくなります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価A- 

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偽りのドラグーンⅤ 

偽りのドラグーン 5 (電撃文庫 み 6-28)偽りのドラグーン 5 (電撃文庫 み 6-28)
(2011/07/08)
三上 延

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読書期間:2011/9/30~2011/10/2

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
世界観
燃え
構成



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 セーロフ王国を巡る攻防戦は、レガリオン帝国軍が優勢のまま最終局面を迎えた。
 その頃、騎士学院では衝撃が走っていた。偽りの王子であることが暴かれたジャン。だが、彼は自分こそがヴィクトルであると主張する――偽物は自分が討つと宣言をして。それはジャン・アバディーンという名を捨てるということであり、二度と本当の自分に戻れなくなることを意味していた。
 そして、すべての決着をつけるべく、ジャンは驚くべき秘策を編み出す。その姿は神童と呼ばれたヴィクトル、そのものだった。物語はついにクライマックスへ!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


三上延氏による竜と騎士の物語、最終章。

ああ……終わっちゃった……。
物語のラストを読んだ時に湧き上がる虚無感は、名作であるほど抱く傾向がありますよね。
自分にとって、それだけ心のキャパシティを占めていた証拠ともいえます。
「偽ドラ」は、まさにその象徴たる例でした。

物凄く面白かったです……が、読了感は正直なところスッキリとはしません。
これほどモヤモヤした気分が残る最終巻を読んだのは久しぶりです。
あまりにも濃い動向に感情の整理が付いていき辛かったのが原因かもしれません。

打ち切りだろうと世間では噂されていますが、おそらく事実でしょう。
どうしても「勿体無い」という言葉が、最初に出てきてしまいますねぇ。
魅力的な舞台設定を作り、惹かれるキャラを用意し、物語を順調に重ねてきただけに、詰め込みまくりの最終巻が惜しいにも程がある。
残り1冊という状況から素晴らしく綺麗にまとめられているのは間違いないんです。
作者の力量には感心させられますし、良作だったと断言できます。
だからこそ、もっと巻数を伸ばすことが出来たならば……と夢を見てしまいます。
中途半端な解決などにはせず、回収できずに終わった伏線も残さないで完結出来たんだろうなぁ。

随所に頑張った感は見え隠れするものの、無理矢理さを感じさせないのはお見事。
特に、戦争の行方に関しては、王道的でありながらも揺れる戦局に胸が熱くなりっぱなしでした。
詰め込み過ぎというのは、逆に考えると、それだけ充実した内容だったともいえます。
段階ごとに加速する盛り上がりは、メリハリが効いていて夢中になりました。

主役はもちろん、脇役も含めてキャラクターの造形が映えていましたね。
サラやグングニル、ガートルード、ヴェルトフなど出番は少なくても、無駄なキャラは一切いませんでした。

ジャンが兄の裏切りを知ったことによる動揺から立ち直る流れは、じんわりと痺れましたね。
叱咤されたりするわけでもなく、自ら答えを見つけ出した経緯が自然に描かれていました。
主人公の成長度合いが、目に見えて分かる素晴らしい演出だったと思います。
精神論で片付けずに不利な状況を打開しようと頭を巡らせる様は、見応えがありました。

クリスは、もはや誰が見てもデレデレですよね。
行動の指針が、全てジャンが基準となっていますもん。
この娘を男とだと勘違いするのには、無理があるんじゃなかろうかw
クーデレのティアナも可愛いんですが、個人的に女の子としての魅力はずっとクリスに軍配が上がってましたね。
恋の決着は、詳しく語るとネタバレになるので避けますが、満足の出来る内容だったということだけは断言できます。
ジャンの気持ちがいまいちハッキリしなかったり、ヒロインにもっと葛藤して欲しかったりと要望はいくらでもありますけど、限られた中でよくまとまっていたと思います。

ラフエッジマグノリアの関係は、これだけでも一本の作品が書けるレベルですね。
反則的な見せ方にやられました。

その一方で、ヴィクトルグロリアの描写が、もう少し欲しかったかなという思いはあります。
単純明快な敵役には留まっていないだけに、この二人にも熱いドラマが期待できたんですがね。
唐突ながらも、僅かに垣間見ることが出来たシーンには、切なさが詰まっていました。

誰よりも一貫としていたのは、アダマスでしょう。
ベジータ的なツンデレキャラだと信じていたのに、ほとんどデレを見せずに終わっちゃいましたよ。
半端ないキャラの立ちようで、珍しいポジションのキャラで良い味出していましたね。

惜しい気持ちは残り続けますが、綺麗な終わりだったとは思います。
椎名優さんのイラストも、最後まで乱れずに魅せてくれました。
「ビブリア古書堂の事件手帖」も好きですが、いつかまたこのコンビで電撃文庫に帰ってきてくれることを願います。

タイトル「偽りのドラグーン」の意味の重さを痛感させられます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  偽りのドラグーン  三上延  椎名優  評価A- 

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サクラダリセット5 ONE HAND EDEN 

サクラダリセット5  ONE HAND EDEN (角川スニーカー文庫)サクラダリセット5 ONE HAND EDEN (角川スニーカー文庫)
(2011/04/28)
河野 裕

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読書期間:6/23~6/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
透明感
構成
安定感



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 「私を普通の女の子にすることが、貴方にできる?」
 復活した相麻菫。ケイは彼女に、咲良田の外に――能力が存在しない世界に移住することを提案する。だがそれが上手くいくのか、彼にも分からなかった。
 確証を得るため、ケイは管理局の仕事を引き受け、春埼、野ノ尾とともに、九年間眠り続ける女性の「夢の世界」へ入る。そこでケイは、ミチルという少女と青い鳥に出会い――!
 “咲良田”とは?能力とは?物語の核心に迫る第5弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


特殊能力を有する若者たちが、真摯に幸せを追求するハートフルストーリー第5弾。
透明感のある雰囲気は、今巻も継続しています。

久々の本編ですね。
3巻は9割が過去編、4巻は短編集だったこともあり、ようやく物語が再始動しました。
ただし、今回はサブストーリーに本筋の種蒔きを散らしたかの内容ですがね。

中身は、安定した作りで楽しめました。
妙に哲学的な会話が面白く、気が付いたら読み終わっています。
丁寧語の会話が機械的なやり取りだからこそ、言葉に含まれる人肌に触れたかのような温もりが伝わってきますね。

ほのかに温まる優しさと、残酷な消失が表裏一体となっている話でした。
泣きたくなるくらい切ないけれど、救いのあるラストのおかげで、読了感は素晴らしく晴れやかです。
若干インパクトが不足気味ですけれど、及第点はクリアしていると思います。

一人でも多くの笑顔を実現しようと奔走するケイの理念は、凄く心地良い。
現実を脱線しない程度に理想を追い求める彼の努力は、一種の恐ろしさを覚えるほどに純度が高く眩しく見えます。
個を消しているようで、誰よりも我が強いところが好きですね。

登場人物たちが曇ることなくクッキリと描かれる裏で、細かな設定や伏線が配慮されています。
能力の組み合わせ方が絶妙で無駄がないのは、もはや言うまでもなし。
積み重ねていく土台の安定感は見事です。

この作品、刊行順に読んでいても時間軸が激しく前後するので、中間部分が不透明ですね。
意図的に隠された事実が含まれているんでしょうけど、少々把握し辛いのが難点かな。
相麻菫の計画や、管理局内部の思惑が少しずつ見えてきて、シリーズの根幹部分が判明しつつありますが、終着点はまだまだ見えないですね。

きっと作者の頭の中では、完成図が出来あがっているんでしょう。
空いている箇所にピースを一つずつ埋めていくパズルを彷彿とさせる構成で、隙がありません。
刊行が空いてしまうと忘れてしまいそうなので、一気に読みたいですね。

大切な少女のために手段を選ばない主人公が格好良い

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価B 

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サクラダリセット4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY 

サクラダリセット4  GOODBYE is not EASY WORD to SAY (角川スニーカー文庫)サクラダリセット4 GOODBYE is not EASY WORD to SAY (角川スニーカー文庫)
(2010/11/30)
河野 裕

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読書期間:2010/12/17~2010/12/20

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 7
透明感
切なさ




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 「リセットを、使えません」
 相麻菫の死から二週間。浅井ケイと春埼美空は、七坂中学校の奉仕クラブに入部する。二人は初めての仕事を振られるが、春埼はリセットを使えずにいた。相麻の死をそれぞれに考えるケイと春埼。ケイは、相麻が死んだ山へと向かい……。(「Strapping/Goodbye is not an easy word to say」)。
 中学二年の夏の残骸、高校一年の春、そして夏――。壊れそうな世界をやわらかに綴る、シリーズ第4弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


タイトルだけでは分かりませんが、シリーズ初の短編集となっています。
とはいえ、本編に密接する重要な要素もあるため、読み飛ばしは避けた方がいいでしょう。

ほとんどが「ザ・スニーカー」で掲載されたもので、書き下ろしは一本のみとなります。
その唯一が3巻ラストの続きであり、あらすじにある「Strapping/Goodbye is not an easy word to say」ですね。

相麻菫の死後間もない時期ということもあり、沈痛な空気が肌に突き刺さる話でした。
ケイと春埼の距離感や関係が今に至った理由が明らかとなります。
この二人の特殊性は、とても一言では言い表すことはできませんね。
言葉を交わし過去を積み重ねてきた結果、お互いを求める理由が出来ていた、ということでしょうか。
感情量は細い糸のようなものなのに、結びが強固で解ける気配がありません。
しかし、何だかこの糸が近い未来に切れるようなことがありそうで、不安を覚えました。

その他の短編も少し切なく、だけど優しいエピソードとなっています。
澄んだ空気の表現力が本当に素晴らしい作者さんですね。
短編集となっていても、シリーズ通しての透明感のある雰囲気は失われていません。

その一方で、短編の合間に挟まれているショートショートは、ほんわかとしていて面白い。
春埼視点で描かれるあったかいエピソードで、彼女の魅力が随所に出ていました。

・「ホワイトパズル

最後に「サクラダリセット」と全く関係のない短編が収録されています。
過去に「ザ・スニーカー」で掲載されたらしく、作者にとってのデビュー作であるそうです。
「サクラダリセット」の告知をする意図もあって、雰囲気が酷似しているため、最初はシリーズに関連する作品だと思っていて、半分ぐらい読んでようやく別物なんだと気付きました。

綺麗な空気や洗練された文章は、まさに作者ならではといった感じ。
設定は凝っていても見せ方はシンプルで、テーマにブレがありません。
登場人物たちの儚い想いが心に染み込むようでした。
これだけでも今巻を買う価値があったと思えるぐらい面白かったです。

それにしても、半ページだけの挿絵や関係のない短編が入っているのをみると、少女漫画を連想してしまうのは自分だけでしょうか。

本編よりも恋愛要素が香る切なく優しい短編集

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価B 

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サクラダリセット3 MEMORY in CHILDREN 

サクラダリセット3  MEMORY in CHILDREN (角川スニーカー文庫)サクラダリセット3 MEMORY in CHILDREN (角川スニーカー文庫)
(2010/08/31)
河野 裕

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読書期間:2010/10/7~2010/10/9

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
透明感
安定感




 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 「どうして、君は死んだの?」
 “記憶保持”の能力をもつ浅井ケイ、“リセット”の春埼美空、そして“未来視”の相麻菫。
 二年前。夏の気配がただよう、中学校の屋上で、相麻は問いかけた。
「私たちの中に、アンドロイドがいると仮定しましょう」
 夏の終わりに向けて、三人は考え続ける。アンドロイドは誰?最も人間からかけ離れているのは、誰――?
 二年前死んでしまった少女と、すべての始まりを描く、シリーズ第3弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


特殊な能力者が集う街・咲良田で、少年と少女たちが織りなす不器用で優しい物語、第3弾。
物語の始まりとなる、浅井ケイ・春埼美空・相麻菫の3人の出会いを描いた過去編となっています。

とても美しい物語でした。
読了後の感覚は、哀しいのか、嬉しいのか、自分でも判断がつきません。
しかし、この本に出会えて良かったということだけは確実です。

このシリーズを読んでいて毎回思うんですけど、まるでガラス細工のような物語ですね。
透き通るように綺麗な美術品のような印象と、砕け散ると元に戻せない危うさを感じさせます。
更に今回は、ラムネの瓶という小道具が、より一層そのイメージを強固にさせる手助けをしています。

ガラス細工」という表現を複数の感想記事で見かけましたが、これって何気に凄いことですよ。
作中で使用しているフレーズならともかく、印象の具現化が一致するってことは、それだけ作品の雰囲気が一貫して描かれているということですから。
空気を思い通りに表現できる作家さんは、貴重ですね。

洗練され、研ぎ落された文章が、恐ろしく魅入ります。
余計な装飾がないシンプルさは、直接心に侵入してきて、全身に響き渡るようです。
温もりとはまた違う、人間味を肌で感じ取ることができるような言葉選びにはセンスを感じずにはいられません。

はっきりいって高校生でも違和感あるのに、小中学生の思考としては賢すぎる状況判断などもあるんですが、三者三様の理由で何となく納得できてしまうのは登場人物の掘り下げが成功しているからでしょうか。
その中でも顕著なのが、浅井ケイの捻くれた善人っぷりです。
彼の思考回路は複雑に見えて本質は単純なんだけど、それをひた隠しにしているために裏表があるように見えるんですよね。
相麻菫や中野智樹が上手い表現で指摘なり説明なりしていましたが、それでようやく少しケイを理解できたような気がしました。

春埼美空の感情が乏しい理由は、なんとも皮肉でした。
この娘の純粋な心は、知れば知るほど無垢すぎて怖くなってきますね。
完全な無色透明ではなく、ほんの僅かながら色付けされていることが、彼女の人柄の良さを表わしているんだけど、彼女自身がそれに気付かないんですよねぇ。
もどかしいと感じるケイの気持ちに共感しましたよ。

そして、謎に包まれていた相麻菫の人物像や能力、そして2年前に死んだ経緯が明かされます。
まだ中学生の彼女が抱える運命や未来の重さは、質量があるかのように圧し掛かってきます。
真実を知った時、切なさとか苦しみよりも、嘆きが先に出てきました。
最後のあの言葉は、果たして彼女に届いたのかな……。

ケイが咲良田に来た理由、家族と離れている訳、土台となる環境は出揃いました。
しかし、一つの謎が明かされたと同時に、新たな謎が生まれています。
何故、彼女は死ななければならなかったのか。
ここからが本当の始まりなのかもしれませんね。

ある一つの未来が決まっているボーイミーツガール

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価B+ 

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偽りのドラグーンⅣ 

偽りのドラグーン〈4〉 (電撃文庫)偽りのドラグーン〈4〉 (電撃文庫)
(2010/08/10)
三上 延

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読書期間:2010/8/10~2010/8/11

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
世界観
期待感




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 レガリオン帝国がセーロフ王国に侵攻を開始する。ヴィクトルの不気味な宣告が現実となり、騎士学院の面々もついに戦場へ赴くのだった。
 すでにセーロフ王国は持久戦に持ち込むため、国土の半分から撤退をしていた。その際、取り残されている民間人がいることを知ったジャンは密かに救出を目論む。だが、それは敵占領地深くから縦横に移動するという無茶なものだった。
 検問を突破するため、クリスやティアナは修道女に変装し、ジャンは農夫に化けるが、敵も馬鹿ではない。行く先々で予想もしない事態に陥り!? 大人気、学園ファンタジー第4弾!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


竜騎士ファンタジー、第4巻。
学園を離れ、極寒の地にて、終始シリアスな展開が待ち受けています。

相変わらず地味だけど、面白い。
華のあるラブコメが多い電撃文庫の中で、目立たないものの間違いなく良作です。

本格的に舞台が戦争へと局面が移ってきました。
おかげで、各キャラの台詞が死亡フラグに聞えてしまってヤバイ。
戦争モノで誰も死なないなんてありえないんだろうけど、良キャラが多いから先が怖くなります。
まぁ、アダマスの生死だけは、どっちもアリだと思うけれどw

主題である「偽り」を前面に掲げて描かれた今回。
ジャンはもちろん、ティアナもクリスもアダマスも、そしてヴィクトルも嘘をついています。
これまでは、思い悩んだり、心苦しくなったり、葛藤したりと、各々の心情が内面では激しく動いているわりには波風は小さなものでしたが、とうとう大きく動きを見せ始めました。
次の展開がどのようにも考えられるので、予想が絞りきれません。

それにしても、クリスが他の誰よりも女の子すぎますな。
隠す気があるのかといいたくなるくらい周囲に魅力を降り注いでいます。
アダマスなんて、もう完全に虜にされているしなぁ。
気持ちは分かるけどね。
だって、ジャンのことを考えるたびに微笑むクリスは可愛すぎますよ。

ティアナもジャンの前では竜の仮面が剥がれるようになりましたけど、基本クールだからなー。
メインヒロインのはずなのに、相当分が悪いね。

毎回のことではあるものの、椎名優さんのカラーイラストに目を奪われました。
フリデリカのドアップもさることながら、黒の鉄姫&ヴィクトルの月夜を背景に立ち並ぶ姿は格好良かったです。

ラストシーンのおかげで、次巻が待ち遠しくてたまりません。
王道ならば、次は戦局の悪化、目先を変えて告白イベント、そしてヒーローは遅れてやってくる展開かな?
発売期間が空きすぎていますけど、打ち切りは勘弁してもらいたいなぁ。

「自分を偽るものは必ず報いを受ける」という言葉の重さを実感させられる

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  偽りのドラグーン  三上延  椎名優  評価B+ 

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サクラダリセット2 WITCH,PICTURE and RED EYE GIRL 

サクラダリセット2  WITCH, PICTURE and RED EYE GIRL (角川スニーカー文庫)サクラダリセット2 WITCH, PICTURE and RED EYE GIRL (角川スニーカー文庫)
(2010/02/27)
河野 裕

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読書期間:2010/7/24~2010/7/29

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
透明感
構成
完成度



 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 「貴方は、貴方の未来を知りたい?」
 能力者が集う街、咲良田。記憶保持の能力を持つ少年・浅井ケイと「リセット」能力を持つ少女・春埼美空は、管理局の要人に呼び出される。名前を持たず、「魔女」と名乗るその初老の女性は、30年近く隔離され、窓一つない部屋に住んでいた。彼女の能力は、未来を見ること。その役割は、咲良田の未来を監視すること。そして魔女は、自身の死期が近いことを知っていた――。待望の第2弾!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


瞬間記憶能力を持つ少年と、最大3日間巻き戻す能力を持つ少女によるハートフルストーリー第2弾。
話題作となった1巻から結構期間が空きましたね。
理由はあとがきにありましたが、まぁ体調にはお気を付けくださいとしか言えませんw

咲良田の街に集う能力者を統治する組織「管理局」には、未来を知る能力者「魔女」がいた。
彼女は、自身の死期を悟り、ある目的から浅井ケイと春埼美空に接触を求める。
それと時を同じくして、ケイに接近する人物が複数現れて……という流れで物語が始まります。

うん、これはいい。
穏やかでありながら少し切なく、洗練された物語が心に響きます。
まるで、森林に囲まれた静かな湖に小石を投じて形成される波紋を眺めるような感覚ですね。
ただ面白いだけではなく、趣きがあります。

ちょっぴり怖さを感じるほどに綺麗な雰囲気が素晴らしい。
主人公のケイと、ヒロインの春埼が丁寧語を標準で話すこともあって、言葉が凄く美しいんですよね。
一見、感情がフラットに見える二人ですが、だからこそ些細な変化がはっきりと伝わってきます。 
雰囲気を統一させる作者の腕に惚れ惚れします。
新キャラも安易に出しているわけではなく、必要最低限に絞っているのも好感が持てますね。

時間を巻き戻す「リセット」の能力の使い方も巧い。
この手のギミックは、能力が優秀すぎるが故に粗が目立つことが多くあります。
しかし、この作品において、決定的なミスや矛盾は見られません。
能力の組み合わせによる可能性の拡大がお見事で、構成に隙がないのが素晴らしい。

1巻の内容も絡めて伏線を張り直し、新たに展開することに成功した2巻だったと思います。
椎名優さんのイラストが、完璧といえるぐらいに作風とマッチしていて、完成度を高めていますね。
400ページの長編でしたが、飽きたりすることなく最後まで楽しんで読むことができました。

繰り返しに意味のある物語に目を惹かれます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価B+ 

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偽りのドラグーンⅢ 

偽りのドラグーン〈3〉 (電撃文庫)偽りのドラグーン〈3〉 (電撃文庫)
(2010/04/10)
三上 延

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読書期間:2010/5/8~2010/5/10
月間マイベスト作品

【評価……A-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★★
 … 10
世界観
ラブコメ
ツンデレ



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 騎士学院に予期せぬ訪問者がやってくる。海洋連合に名を連ねるウルス公国の公女サラ。しかも自分はジャンの許嫁だと言う。奔放な彼女の言動に腹を据えかねたのかティアナが爆発。ジャンは婿にやらんとムキになる始末。ついにはジャンを賭けた二人の勝負に発展し!?
 一方、対レガリオン帝国戦線に消極的な公国を抱き込みたい騎士学院は同盟を申し込む。だが公国に同様の提案をする帝国と利害が対立。結果、大公の酔狂により同盟相手を勝負で決めることに。その勝負とは各国の竜騎士達が腕を競い合う競技「プラネッタ」だった。ジャンは再び仮面の男と相まみえることになり!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


竜騎士養成学院における中世風ファンタジー、第3弾。

驚いた。これは面白い。

購入前にあらすじを読んだ時、嫌な予感がしたんですよ。
シリアスで燃える展開が続いていただけに、下手なラブコメ要素が混じって詰まらなくなってしまうのではないか、と。
いやはや、間違っていたのは自分の方でした。

ストーリーの強弱の付け方が、実に素晴らしい。
物語の繋ぎに無理がなく、綺麗に積み重ねてゆく展開に魅せられました。
想像していたものとは違ったけれど、これはこれで面白かったのでありですね。

前半は、予想通りラブ寄せされています。
あ、もちろん良い意味で。
新キャラのお披露目と同時に、既存キャラの心情が揺れ動く様を描いており、ジャンを中心とする関係図に少しずつ変化が生まれるのが見ていて楽しい。
何度ニヤケさせられたのやら、数え切れませんよ。

それに対して、後半は「プラネッタ」と呼ばれる、スポーツの一種のような競技に関わる話。
競技自体は、どこかで似たようなものを見た記憶があるためか、わりとすんなり理解できました。
設定である程度オチは読めはしましたが、分かっていても燃えるってのが王道のいいところですね。

それに加えて、何より今回秀でていた点が、キャラクターです。
ヒロイン勢はもちろんのこと、脇役も含めて魅力的でした。

もうね、クリスが可愛すぎて可愛すぎてたまらんのですよ!
仕草や思考が完全に乙女モードに入っている彼女は、色々とヤバ過ぎる。
そもそも、カラーページのドレス姿からして既に反則です。
あれを先に見て期待が高まりましたが、中身はもっと凄かったですねw

一方で、正ヒロイン(?)であるティアナも巻き返してきました。
クーデレかと思いきや、デレが進行して、一気にツンデレのようになっています。
表情や感情を表に出さずにいた彼女が、オロオロとうろたえたり、嫉妬したりする様は、これまた可愛い。
ジャンを独占したい気持ちがありありと出ていて、これからの恋愛模様がより一層楽しみなってきました。

新キャラのサラは、褐色肌に透き通った金髪が似合う天然美人キャラで、モロ好みですね。
表紙絵は少々幼く見えますが、数枚の挿絵を見る限りでは、もう少し大人っぽい。
明るい性格で、傍にいるだけでニコニコさせられる愛らしい娘ですね。
良いキャラだけに、ヒロイン候補が既に二人も存在している中で後発というのは残念というか可哀想だなぁ。
ストーリー上の活躍も今のところ目立たないし、見せ場も奪われちゃってるし……。
この手のタイプは、いつもメインや対抗馬にもなれない3番手以降のサブヒロインになりがちですね。

主人公のジャンに成長が見られるのが嬉しいなぁ。
猪突猛進としか言いようがない性格だったのが、周囲を気遣ったり、状況を冷静に判断できるようになりつつあって、随分と頼もしくなりました。

脇役のカップリングも、いくつか気になるものがあり、今後の進展から目が離せません。
カギを握るのは、やはりアダマスになるんだろうなぁー。

文章も安定感があります。
ラノベに時々ある、人物描写をイラストに任せっきりにする文章ではなく、しっかり文面で説明してくれているので想像しやすいですね。
当たり前のことではあるんでしょうが、きっちりとこなしている文章には好印象を抱きます。
さらには絵とズレがないところから、絵師との連携もバッチリだということが窺えます。

椎名優さんのイラストは、本当に毎回毎回楽しませてくれますね。
P259の挿絵にはやられた……というか、落とされましたw

巻を追うごとに面白さも上昇していくシリーズですね。
次はまた大きく物語が動きそうですし、期待大です。

掘り下げられたヒロインたちの魅力にどっぷりとハマれます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  偽りのドラグーン  三上延  椎名優  評価A- 

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偽りのドラグーンⅡ 

偽りのドラグーン 2 (電撃文庫 み 6-25)偽りのドラグーン 2 (電撃文庫 み 6-25)
(2009/11/10)
三上 延

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読書期間:2009/12/3~2009/12/4

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
世界観 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
クーデレ ★★★★★★☆☆☆
 … 7

生徒会長アダマスとの試合に勝ち、一躍時の人となったジャン。だが、持ち前の負けん気が災いし、大きな失態を犯してしまう。ジャンは再び厄介者として、立場が危うくなってしまうのだった。
危難は続く。学院島にスパイが潜入している――。その噂が本物となったとき、ティアナが狙撃される。犯人はあろうことか、クリスだった。クリスこそスパイだと決めつけるアダマスに反発するジャン。クリスの無実を信じ、本物のスパイの探索を始めるのだが……。
全ての謎が明らかになった時、騎士学院に大きな危機が迫る!大人気、学園ファンタジー第2弾!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


竜と騎士の養成をする学園を舞台に繰り広げられる中世風ファンタジー、第2弾。

引き続き良い意味で王道的な展開で、素直に面白かったという感想が出てきます。
世間的な注目度はイマイチなので、お薦めしたいシリーズですね。

あらすじの展開は、前巻を読み終えたときに感じた不安がそのまま的中した形でした。
嫌な流れになるのなかなと覚悟していたのですが、話は予想外の方向へと急展開します。
ともすれば、盛り上がりに欠けてしまいかねない第2巻で、キャラの魅力を掘り出しつつ、ストーリー進行をさせた作者の手腕にはお見逸れしました。
適度な謎を絡めたストーリーには惹き込まれ、純粋に楽しめました。

ジャンを筆頭に、生徒たちには全体的に考えの甘さが随所に感じられますが、それが直接的に大きな欠点にはなっていません。
生真面目な性格であったり、トラウマを抱えていたり、熱血思想であったりと、キャラクターの気持ちが伝わってきて嫌いになれないんですよね。
ただ、いつか戦場では取り返しのつかない失敗に結び付きそうで怖くもありますが。

正ヒロインでありながら美味しいところをクリスに奪われていたティアナも、遅まきながら面目躍如といった活躍で出番が増えて何より。
思っていたよりも、デレ期は早くやってきそうな気配がしますね。
まぁ、それでもクリスのギャップ萌えの対抗としてはまだまだ頼りないですがね。

椎名優さんのイラストは、安定度抜群ですね。
この質を維持し続けてもらえるのならば、嬉しい限りです。

個人的に、現在追いかけているラノベで王道的なファンタジー物が珍しいので、この作品は結構貴重だったりします。
このままハラハラドキドキさせられるようなエンターテイメント性の高い物語を期待したいですね。

定番だけど飽きさせない見せ方が素晴らしいファンタジー作品

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  偽りのドラグーン  三上延  椎名優  評価B+ 

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偽りのドラグーン 

偽りのドラグーン (電撃文庫)偽りのドラグーン (電撃文庫)
(2009/08/10)
三上 延

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読書期間:2009/9/4~2009/9/7

【評価……B
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
世界観 ★★★★★★☆☆☆
 … 7

レガリオン帝国の急襲。そしてアバディーン王国は地上から消滅した。最愛の兄を失い、復讐に燃える亡国の王子ジャン。だが、相手は超大国……。ジャンの想いは空回りするばかり。そのとき運命は彼に転機をもたらす。
「あなたを騎士学院に入学させます」
美しき少女は無表情を崩さずそう言った。竜と契約し空を駆り、強力な力を振るう竜騎士。一握りのエリートにだけ許された竜騎士養成学院へ、ジャンを入学させるという。だが、それは亡き兄になりすますという偽装入学だった――。
眠りし己の力を知らず、竜騎士に力を求めた少年の物語、ここに開幕!!

【感想】


元王子の少年が竜に乗り復讐を果たさんとする王道的な中世風ファンタジー。
「モーフィアスの教室」に続く、三上延×椎名優のタッグによる新シリーズです。

なかなか面白かったです。

亡き兄の代わりに入学した竜騎士養成学校で、奮闘する主人公ジャンの話。
力を身につけて復讐を誓うわけですが、そこまで切羽詰まった感じはありません。

「とある飛空士への恋歌」と被っているところが多く見られますね。
まぁ、よくある設定なので仕方ないのですが。

伏線をしっかりと張りつつ、1巻だけでもちゃんと起承転結で締めているところは好印象。
なおかつ今後のキーとなる謎を既にいくつか仕込ませているため、先が気になる内容となっています。
導入部分としては無難な出来だったのではないでしょうか。

キャラクターの魅力もよく出ていたと思います。
ときどき熱くなってしまうこともあるけれど捻くれることはない実直な主人公・ジャン
美麗な容姿をもちながら独りを好むヒロインで、クーデレ化の期待が持てるティアナ
そして今回一番おいしい場面が多かった、クールでありながら内に燃えたぎる闘志を秘めたクリス
主要キャラ3人のベースとなる性格を、物語と絡ませながら上手く表現されていて、非常に読みやすかったです。

イラスト担当の椎名優さんは、さすがの貫録で見応えバッチリです。
カラーはともかく白黒になると途端に味気ないものになってしまう絵師が多い中で、この表現力は素晴らしいの一言。
この絵のためにも、続きを買い続けたくなるぐらいですね。

まだまだ序章に過ぎず、これからどんな展開で進むのか。
ある意味、勝負は次の2巻からでしょうね。

安心感のある文章で語られる中世風ファンタジー世界を舞台にした学園モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  偽りのドラグーン  三上延  椎名優  評価B 

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サクラダリセット CAT,GHOST and REVOLUTION SUNDAY 

サクラダリセット  CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY (角川スニーカー文庫)サクラダリセット CAT, GHOST and REVOLUTION SUNDAY (角川スニーカー文庫)
(2009/05/30)
河野 裕

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読書期間:2009/6/27~2009/6/30

【評価……B+
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
透明感 ★★★★★★★★☆☆
 … 8

「リセット」たった一言。それだけで、世界は、三日分死ぬ――。
能力者が集う街、咲良田。浅井ケイは、記憶を保持する能力をもった高校一年生。春埼美空は、「リセット」――世界を三日分巻き戻す能力をもっており、ケイの指示で発動する。
高校の「奉仕クラブ」に所属する彼らは、ある日「死んだ猫を生き返らせてほしい」という依頼を受けるのだが……。
リセット後の世界で「現実」に立ち向かう、少年と少女の物語。

【感想】

超能力者が集まる街で起こる少年少女たちのハートフルストーリー。
帯にて乙一氏が大絶賛しています。

久しぶりに事前情報なしで買った本です。
いつもなら評判などを調べてから買うことにしているんですが、この本は店頭であらすじを読んだときの「面白そう」という直感を信じて買いました。
その直感は間違っていなかったようです。
今ではネット上でも良い評判が各所で見られます。

これは当たりでした。
読んでいる最中は設定が面白く、読み終わった後は少し優しい気分になれる良作です。

まず最初に惹かれたのが「リセット」と発するだけで3日分を巻き戻すという能力。
時間移動モノが大好物な自分としては、これだけで飛びついてしまいます。
しかし、ただそれだけの設定ではなく、さらに練り込んであるところが好感を持てます。

「リセット」の能力者であるヒロイン役・春埼美空は、自らの記憶までもリセットしてしまいます。
一度見聞きしたものを忘れない能力を持つ主人公・浅井ケイと一緒に行動することによって、「リセット」の恩恵を受けることができます。
しかし、「リセット」の能力も万能ではなく、いくつかの穴もあるため、緊迫感を失わずに済んでいます。

能力者の弊害なのかどうかは分かりませんが、登場人物たちは何かが欠落しています。
それは感情だったり自己意識だったりと様々です。
そんな彼、彼女らだからこそ、僅かに見せる感情の吐露が激しく感じられます。

やっていることは派手なはずなのに、透明感のある不思議な作品ですね。
文章が繊細で、落ち着いた雰囲気が素晴らしい。
田舎の山奥に流れる川のように、綺麗でゆったりとした文体はいつまでも読んでいたいと思わせてくれます。

椎名優さんのイラストも、透き通った雰囲気を与えるのに一役買っていますね。
半ページのイラストも効果的に挿入されており、非常に良かったです。
欲を言えば、もう少し枚数が欲しかったかな。

続きが出るそうなので、今度もぜひ買いたいと思います。

透き通った文章から伝わる雰囲気が素敵

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  サクラダリセット  河野裕  椎名優  評価B+ 

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モーフィアスの教室4 黄昏の王女 

モーフィアスの教室〈4〉黄昏の王女 (電撃文庫)モーフィアスの教室〈4〉黄昏の王女 (電撃文庫)
(2008/11/10)
三上 延

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読書期間:2009/3/10~2009/3/14

【評価……B
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7

正宗の持つ黒い鍵《パンタソス》の力で、ツグミの事件は一応の解決を見た。
だが飯見町には《赤い目》に関する噂が蔓延し、多くの人々が《赤い目》の悪夢に囚われ目を覚まさなくなってしまう。
必死に悪夢の《親》を探す直人と綾乃を尻目に増え続ける犠牲者たち――このままでは《赤い目》が実体化し、現実世界に出てきてしまう。
一方、ツグミの仇を討つため先走った正宗は、《赤い目の悪夢》の《親》が誰かをついに突き止めるが……。
人気シリーズ、いよいよ完結!今回も口絵は椎名優描き下ろしのプレビューコミック仕様!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「モーフィアスの教室」シリーズ、最終巻。

もっと長く続くのかと思っていましたが、案外あっさりと終わってしまいましたね。
予定通りなのか打ち切りなのかよく分かりませんけど、一応綺麗にまとめられているので良かったと思います。

風雲急を告げるかのように見えた前回のラストですが、意外にも4巻の始まりは緩やかでした。
しかし、静かに着々と悪夢の犠牲者が増えてゆく気味の悪さが何とも言えない嫌な雰囲気を漂わせます。
そして、とうとう《赤い目》と対面を果たしてからの緊迫した展開の連続は、大きな絶望感と僅かな希望が交差するもので、物語にのめり込んでしまいました。

うん、面白かったですね。
惜しいところもいくつかありますが、概ね満足できる内容でした。

雰囲気を出すのは巧いんですが、場の盛り上げに関してはあと一歩だと感じるところが多かった。
ちょっと平坦にストーリーが進みすぎだったかなぁ。
退屈だと思ったことは一度もなかったので、内容や展開は悪くないと思います。
燃え成分が多めだったら、さらに評価が上がったでしょうね。

エピローグは、さっぱりとした爽快さを含む良い終わり方で満足。
多少物足らなさを感じるぐらいがちょうどいいという言葉をよく耳にしますが、まさしくこの作品はそれでした。

主役、脇役含めてキャラクターも全体的に立っていましたね。
特に棗と正宗はそれぞれ見せ場があって、より一層好きになれました。
まぁ、ただ三角関係はドロドロした展開こそが真髄!と思っている方は、期待しすぎない方が吉かと。

椎名優さんのイラストには、最後の最後まで圧倒的なクオリティに驚かされました。
直人と正宗の格好良い場面や、棗の照れた表情、綾乃の優しげな微笑みなど、見どころ満載です。
挿絵がこんなにも楽しみなラノベ作品は、そうそうありませんね。

地味ながら面白いシリーズでした。
4巻で完結したことは、人に勧める上では良点になりますね。

軽めのミステリアス&ダーク作品で気分転換しながら読めるシリーズ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  モーフィアスの教室  三上延  椎名優  評価B 

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モーフィアスの教室3 パンタソスの刃 

モーフィアスの教室〈3〉 (電撃文庫)モーフィアスの教室〈3〉 (電撃文庫)
(2008/06/10)
三上 延

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【評価……B
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

ささいな行き違いからケンカをしてしまった直人と綾乃。だが鈍感な直人は、綾乃が怒っている原因に気が付かない。
そんなある日、棗に誘われ二人きりでプールに出かけた直人は、そこでツグミと名乗る謎の女性からの呼び出しを受ける。町はずれの民家にツグミを訪ねた二人の前に現れたのは、「赤い目」を持つ夢神の女性だった――。
一方、ひとり別行動を取っていた綾乃は見知らぬ少年の襲撃を受ける。少年の手には――もう一つの《黒い鍵》パンタソスが!!
今回も口絵は椎名優描き下ろしのプレビューコミック仕様!!

【感想】 <前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


夢神との戦いが本格化する「モーフィアスの教室」シリーズ第3弾。

既存2巻とは打って変わり、ミステリーよりもアクションメインの話でした。
テンポが良い展開で、非常に読みやすかったです。
ただ、ミステリー部分が甘く先の展開も読めやすかったのは、退屈とまではいかないまでも少々物足りませんでしたね。

メインキャラの三角関係は、棗がより直人を意識し始めたことで、混沌としてきました。
綾乃もツンデレ成分が前面に押し出されてきて、素直になれない自分を責めたりしてます。
この辺りの恋愛話だけなら平和的で和むところなんですが、そうはいかないのが直人と綾乃の事情なんですよね。

綾乃が怒っている理由が分からない直人の鈍感さは、1巻の頃から気になっていたところです。
ようやく直人も考えるようになってきましたが、綾乃の気持ちを理解するまでにはまだまだ遠いですねぇ。
棗の積極的なアピールも届いていないし、ううむ、もどかしいっ。

2巻は物語の本筋から外れた印象でしたが、この3巻では元に戻してきてます。
とうとう「赤い目」の正体が明らかになり、物語的にも盛り上がりを見せています。
1巻の頃にあったホラーの雰囲気がなくなり、よくある異能バトル系となってしまっていますので、この作品独特の魅力というものは薄れていますが、その分安定した面白さがありますね。

イラストは、さすがの椎名優さん。
カラーページの漫画や、雰囲気の描き分けた挿絵など、見惚れてしまう絵ばかりです。
表紙イラストの綾乃の身体バランスが気になるところ以外は、完璧でした。
特に棗のキャラデザはモロ好みなので、直人をデートに誘うシーンで照れているところなんかは最高でした。

最大の不満点は、妹の水穂の出番がほとんどなかったこと。
あれだけキャラが立っているんですから、もう少しくらい物語に関わらせてもいいと思うんだけどなぁ。
勿体無い。

覚悟はしていたけれど、最後のページでとんでもない事態となっているので、次巻は早めに読みたいところです。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  モーフィアスの教室  三上延  椎名優  評価B 

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モーフィアスの教室2 楽園の扉 

モーフィアスの教室〈2〉楽園の扉 (電撃文庫)モーフィアスの教室〈2〉楽園の扉 (電撃文庫)
(2008/03/10)
三上 延

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【評価……B-
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

現実を侵食する悪夢<夢神>の一人・ヨミジを辛くも倒した直人。彼は夢と現実世界を隔てる<扉>を開く黒い鍵・モーフィアスを手に、<扉の民>として<夢神>と闘う決意を固める。
一方、直人と共に闘うことを心に決めた綾乃は、直人の家に半ば無理矢理住み着いてしまう。同居の事実を周囲にひた隠すため苦心する直人と綾乃だが、棗は何かに気が付いたようで……。
そして事情を知らない直人の妹・水穂は綾乃に嫉妬の念を燃やすが、その周囲には新たな<夢神>の気配が!
今回も口絵は椎名優描き下ろしのプレビューコミック仕様!!

【感想】 <前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

現実に実体化する悪夢と闘う若者たちの物語、第2弾。
2巻にして、早くも教室が関係なくなってきました。

飛び抜けて凄いところがあるわけではないんですが、代わりに目立った短所も見当たらないですね。
フツーにラノベの平均的な読みごたえはあると思います。
あと一歩、設定でも物語でもキャラクターでもいいから練られていたら、もっとお勧めしやすい作品になるんだろうなぁ。
さすがに、ラノベ作品で「イラストがいいから買おうぜ!」という理由では推奨しにくいですしw

1巻では主人公・岸杜直人が何も知らない側の人間でしたが、今回はもう既に<夢神>に関して知識がある状態からスタートするので、どのように物語が展開されるのかなと注目していました。
事件そのものをミステリー風に仕立てているのは前回同様で、主要人物の人間関係を中心に描かれていますね。
複数の視点から進行するので、途中で先が読めてしまうという人もいるかもしれません。
また、学校のクラスで起きた事件に比べ緊迫感が薄いこともあり、気味の悪さでは1巻より下回ってます。

インパクトはどうしても1巻に劣ってしまうものの、安定した出来なのは間違いありません。
事件のストーリーが進むにつれて徐々に明らかになっていく真相の見せ方や構成に無理がなく、引っかかるところなく流れるように文章が読めるところは長所だと思いますね。

直人・綾乃・棗の三角関係が表面化しはじめ、さらにそこへ妹の水穂が加わってきて、恋愛方面もなかなか面白くなってきました。
良キャラの予感がしていた妹・水穂は、思っていた以上に上玉でしたね。
基本はクールで、綾乃に対してだけはツンツン。
そして、実はあまり自覚していないけど結構ブラコン入っていて、こんな妹がいたらいいなぁって思わせてくれます。

水穂と並んでピックアップされているのが、直人と綾乃の共通の友人であるです。
しかし、棗って、こんなに怖い女の子でしたっけ……?w
何だか妙にいや~なフラグが立っている気がしてなりません。
暗い雰囲気で包まれている作品なので、棗はひょっとしたらブラックサイドに堕ちてしまうのでは……という考えがよぎります。
衝撃を受けて忘れられない作品にはなるだろうけど……望みはしませんw

椎名優さんのイラストは、今回も素晴らしいの一言。
若干キャラクターデザインに古臭さを感じる面もありますが、些細なことです。
黒の細い斜線で影が描かれているところが、すごい好きです。
トーンを惜しみなく使用していて、モノクロの挿絵なのに鮮やかにさえ感じられるほどですね。
この大胆かつシャープな線の引き方には憧れるなぁ。

続巻を買うのは確実なんだけど、すぐに買って読まなければと思うほどではないかな。
面白いんだけどなー。ちょっと惜しい。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  モーフィアスの教室  三上延  椎名優  評価B- 

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