さよならピアノソナタ2
2008/10/20 Mon 07:16:45 [edit]
![]() | さよならピアノソナタ (2) (電撃文庫 (1570)) (2008/03/10) 杉井 光 商品詳細を見る |
【評価……C+】
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆ … 4
文章 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
オススメ度 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
天才ピアニストにしてピアノを弾かず、人を寄せ付けない蛯沢真冬をギタリストとして迎えた民族音楽研究部は、自称革命家の部長・神楽坂響子の独断と独走により海へ合宿にいくことになる。 海といえば海水浴!と妙にはりきる幼なじみ・千昌、珍しく思い悩んでいる様子の神楽坂、そしてやっぱり部活に馴染み切れない真冬。そんな三人との合宿で波乱がないわけはなく、ナオはすっかり翻弄されるが――。 おかしくて少しせつない、恋と革命と音楽が織りなすボーイ・ミーツ・ガール・ストーリー、第2弾。 |
<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>
恋と音楽と革命の青春ラブストーリー第2弾。
まぁ、革命というのは言いすぎというかあまり関係ないような気がします。
1巻のラストが結構思い切ったところで終わっていましたが、青春の甘酸っぱさを残す綺麗なものだったので、意外にも早く続巻が出たことに驚きました。
どうしたって1巻に比べてボーイ・ミーツ・ガール的要素は薄れてしまうし、恋愛方面にしろ音楽方面にしろこれ以上突っ込んで描かれていても蛇足と感じるんじゃないかな、と。
その予想は半分当たり、半分はある意味外れていました。
ストーリーは、まぁまぁといったところ。
中盤にだるいところもあるけど、一致団結する後半の盛り上がりとか好きですよ。
肝心のシーンの描写が少なめだったことに関しては残念でしたが、構成としてはそんな間違っていないと思います。
1巻と違い、主にバンドと恋愛要素で物語が進むので、多少視野が狭まっているような気がしました。
問題はそこではなく、キャラクターにあります。
主人公のナオの鈍感っぷりが酷過ぎる。
ホントねー、これは駄目っしょw
このレベルは、僕の許容範囲を超えていました。
若いなーと思えればよかったんですけど、正直ムカついて仕方がなかったです。
真冬や千昌の想いをどうしたらここまで気付かずにいられるのか……。ホトホト呆れ果てました。
地の文が三人称だったらまだマシだったのかもしれませんね。
一人称で語られる「よくわからない」という言葉にイラッとさせられることが何度あったか。
確かにラブコメ作品では、ある程度鈍感でないと話がすくに完結してしまいます。
「バカとテストと召喚獣」や「とらドラ!」などを見ても同じですね。
しかし、上記2作品の主人公は個人的に大好きです。
では何が決定的に違うのかというと、ナオは恋という事象を頭の中から排除しちゃってるんですよね。
音楽評論家の真似事をしている思春期真っ盛りの男子高校生が、恋心に疎いというのは違和感ありまくりでした。
続いて、メインヒロインの真冬も微妙。
前回も周囲を振り回してくれる存在でしたが、それが一回りパワーアップしてます。
1巻の頃は、巧い具合にツンデレのデレ部分が見え隠れしていたので腹が立つことも少なかったのですが、今回は殻に籠ることが多くて自分勝手なイメージがついてきてしまいがちでした。
まぁ、半分以上は鈍感なナオのせいではあるんですがね。
そのため、まだ真冬に対してはそこまでいうほどイライラさせられることはありませんでした。
それでもこれは人を選ぶ娘だなぁ。
超がつくほど鈍感なのに「何でそんなことも分からないの?」と勘違いをする主人公。
周りを振り回しておいて自分は逃げてしまうヒロイン。
こういうキャラが地雷という人は少なくないと思います。
そういう人は今シリーズに手を出さない方が無難でしょうね。
それに対して、前回は軽く空気だったサブヒロイン達が掘り下げられていますね。
神楽坂先輩の意外な一面が垣間見れるエピソードや、今回一番頑張っていた千昌の奮闘ぶりなどは良かったなと思います。
題材である音楽は、今回もやっぱり全然分かりませんでしたが、流れで読むことができました。
言葉で音楽の素晴らしさを伝えるのは難しいと作中でも似たようなことをいっていますが、まさにその通りだと思います。
それにも関わらず、自分のような音楽知識がゼロに近い人間にでも共感できる文章は見事ですね。
世間一般の評価は8割が絶賛、残り2割程度が僕みたいに引っかかった人のようですね。
『神様のメモ帳2』でも感じましたが、作者と肌が合わないのかもしれないなぁ。
設定は好みだったりすることが多いのに、ちょっと残念。
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 さよならピアノソナタ 杉井光 植田亮 評価C+さよならピアノソナタ
2008/08/10 Sun 04:13:20 [edit]
![]() | さよならピアノソナタ (電撃文庫 す 9-6) (2007/11) 杉井 光 商品詳細を見る |
【評価……B】
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
青春 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
「六月になったら、わたしは消えるから」 転校生にしてピアノの天才・真冬は言い放った。彼女は人を寄せ付けずピアノも弾かず、空き教室にこもってエレキギターの超速弾きばかりするようになる。 そんな真冬に憤慨する男子が一人。 大音量でCDを聴くためにその教室を無断使用していたナオは、ベースで真冬を“ぶっとばす”ことにより、占拠された教室の奪還を目指す。民族音楽研究部なる部活の創設を目論む自称革命家の先輩・神楽坂響子とナオの幼なじみ・千昌も絡みつつ、ナオと真冬の関係は接近していくが、真冬には隠された秘密があって――。 恋と革命と音楽が織りなすボーイ・ミーツ・ガール・ストーリー。 |
『神様のメモ帳』シリーズの杉井光と、人気イラストレーターの植田亮のタッグでおくる音楽を題材にしたボーイミーツガール。
音楽評論家の息子であり何かと諦めがちな少年・桧川ナオと、天才ピアニストの名を欲しいままにするツンデレを絵にしたような少女・蛯沢真冬が出会うところから始まる物語です。
ほとんど主人公とヒロインの2人でストーリーが展開していきます。
そのため、脇役もスポットライトを浴びせればメインに立てるくらい個性が強そうなのですが、あまり目立ちません。
主人公とヒロインのキャラに抵抗があると最後まで楽しめないことになってしまいますね。
主人公のナオは、『神様のメモ帳』の主人公・ナルミと似ていますね。
ヘタレ気味だけど、決めるところは決める。……と見せかけてやっぱり駄目だったりするところとかw
違いといえば、ナルミより等身大の高校生に近いかなというところでしょうか。
ヒロインの真冬は、ツンとデレがコロコロと入れ替わる娘です。
一歩間違えれば都合のいいことばかり考えている女の子と見られてしまうところを、要所要所で可愛らしい一面を見せてくれるので、憎み切れない存在となっています。
ハルヒとかシャナとかルイスとかのように、いかにも若者に好まれそうなキャラですね。
音楽のジャンルは、主にクラシックの知識が求められます。
僕のクラシック知識は中学の教科書をうろ覚えしている程度なので、分からない用語も1つや2つじゃ済みませんでした。
しかし、知らなくても感覚で読めるようになっていて、文章で音楽を体感することができます。
おかげで、特に読み辛かったという印象を持つことはありませんでした。
とはいえ、結構な頻度で音楽に関する説明的文章が挿入されているため、詳しい方だとニヤリとできてより楽しめそうですね。
ストーリーはほぼ直球の青春モノで、まさしく杉井光版ボーイミーツガールといった感じ。
恋愛要素は意外にもそこまで濃くはなく、若々しい雰囲気があっさり風味で楽しめます。
一言で言うと、青春してますなぁ。
個人的には脇役のキャラが濃い『神様のメモ帳』の方が好みでしたが、これはこれで楽しめました。
コメディ要素もいい塩梅で混ざっていて、笑わせてくれる箇所もそれなりにあったのも良かったです。
ライトノベルにも多くのジャンルがありますが、そのうちの一つを体現している一冊だと思いますね。
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 さよならピアノソナタ 杉井光 植田亮 評価B| h o m e |