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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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双子と幼なじみの四人殺し 

双子と幼なじみの四人殺し (GA文庫)双子と幼なじみの四人殺し (GA文庫)
(2011/12/16)
森田 陽一

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読書期間:2012/2/7~2012/2/14

【評価……C
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー
サスペンス
恋愛
狂気


 ★★★★☆☆☆☆☆☆ … 4
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5



 高校生、菱川迷悟は、双子の少女、新山一縷と朽縷と同居していた。美しい双子に翻弄されながら日常を送っていた迷悟だったが、ある日、三人は学校で飛び降り自殺の現場に遭遇する。その自殺に関して一縷は、突き落としたやつが見えたという。
 正義感の強い、いや、正義感が強過ぎる迷悟は、事件を傍観することができなかった。――学校のアイドル、グッズ販売、そして交際を賭けた決闘……。愛憎が交差する事件の果てにあるものは!?
 第3回GA文庫大賞≪奨励賞≫受賞の問題作が登場!
 「幸せになる覚悟はある?人を殺しておいてなお、幸せになりたいと思えるかってこと」

【感想】


双子の幼馴染みとの訳あり同棲生活を送るミステリー風味の学園ドラマ。
第3回GA文庫大賞で物議を交わした問題作です。

はっきり言って表紙買いでした。
イラスト担当のsaitomさんの絵は、ブリキさんかと見間違うぐらい似ていますね。
大きな楕円形の瞳が特徴的で、登場する女の子みんな可愛かったです。
挿絵の枚数も多く、その意味では当初の目的を果たせました。

しかし、肝心の小説部分は、悪い意味で問題作だと言わざるを得ません。
キャラクターの思考に説得力が皆無でメッセージ性は薄く、かといってエンターテイメントに富んだ内容かというとそうでもなく、結局何を軸に書きたかったのか分からず仕舞い。
ミステリーの体裁をとっていますが、都合の良い展開が多くて、正直薄っぺらいです。
本格的に推理するものではなく、多少本を読んでいる人間ならば早々に犯人に検討が付くと思います。

人間の気持ち悪さを前面に押し出そうとした狙いは、アリだと思うんですよ。
例えば、狂気的な作品としては「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」もまた問題作として話題となったことがありますが、わりと好きな作風です。
ただ、ネジの外れ方が甘く、キャラを引き立てるような文章もないため、何とも中途半端。
危うい思想のキャラを書きたいのであれば、そのキャラなりのルールが必要だと思いますね。
愛憎具合が病的とはいっても、女の子とイチャラブするシーンを増やしたいがために見えてしまい、下手にラノベを意識したのが逆効果となっていると感じました。

また、構成的に主人公達の過去に関する説明が後半に来るのはいいとしても、明かされない事柄が多過ぎです。
これではスタートラインにも立っていない状態ですよ。
オチの付け方も後味が悪いだけで、ゾクゾクとするようなものもないですし。

主人公・菱川迷悟の誤った正義感がウザったい。
自分の倫理観が正しいと信じ込み、人の忠告を聞かずに、すぐ頭に血が上る短気な性格が受け付けない。
強引なところも含めてカリスマ性があるならともかく、視野が狭くて共感はできません。

ヒロインの双子・新山一縷新山朽縷は、迷悟ほど酷いところはありませんが、取り立てて魅力を感じることもありませんでした。
強いて言えば、朽縷だけは彼女らのおける現状を正しく把握している面があって、少しは好感持てましたが、それぐらいですね。

ミステリー要素を混ぜているため、リアル路線で行くのかと思いきや、暴力がフィクション方向に過激すぎて程度を測りかねます。
シリアスとギャグの切り替えが雑で、キャラの行動や感情に一々納得がいきませんでした。
設定に無茶がありすぎて、本当に裏の辻褄合わせまで考えられているのか怪しい。
どこまでが作者の狙いなのか判断できませんが、あとがきを見る限り期待は出来そうにないですねぇ。

一般的な倫理観とは異なる思想を持った人間ばかりが登場する学園が舞台

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  双子と幼なじみの四人殺し  森田陽一  saitom  評価C 

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