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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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4 Girls 

4 Girls (メディアワークス文庫)4 Girls (メディアワークス文庫)
(2011/01/25)
柴村 仁

商品詳細を見る
読書期間:2011/8/30~2011/8/31

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春
安定感




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 あこがれの同級生に、告白する間もなくふられた僕。そして僕をふった張本人である彼女は、僕を無理やり連れて学校をさぼると言い出して――「scratches」。偏屈そうなおじいさんが一人で暮らしているはずの隣の部屋のベランダで、タバコをふかす変なおじさん。おじいさんの親戚だという彼と、ベランダでぼんやりすることが多い私は、次第に話をするようになり――「サブレ」ほか計4作品を収録。4人の少女たちの、トホホでワハハな日々を描く、哀しいけれどあったかい、珠玉の青春ストーリー。

【感想】


思春期に思い悩む4人の女の子の物語。
柴村仁さんが描く、淡い短編が4章詰められた一冊です。

「4 Girls」のタイトルから色々と想像すると思いますが、実のところ4人の女の子に関連性はありません。
ただ単純に4つのエピソードが収録されている短編集です。

うん、悪くないと思います。
小説の教科書的な作りで、目新しさはないものの4章とも安定していました。
ラノベにありがちな修飾を取り除き、シンプルな仕上がりとなっています。
そのおかげで、MW文庫らしい一般向けで、誰にでもお薦め出来ると思います。

ただ、あまりにも薄味なところは気になりますね。
あっさりしているというには、少々さっぱりしすぎな印象を受けました。
体裁は青春小説なのですが、青臭い甘さや苦さは香る程度しかありません。

普段本を読まない人なら良い塩梅でしょうが、趣味が読書の人からすると、物足りなさそうです。
濃厚な本が続いた後に、間食して読むのにはちょうどいいかもしれませんがね。

購入したキッカケは、同作者の「プシュケの涙」に登場した由良が出てくることを知ったから。
脇役でしたけど、元気そうな姿が見られて良かったです。

こんな青春を妄想した時期もあったなぁと思わせる高校生男女の恋愛事情「scratches」。
外国人の街案内を行うことになった人見知りの女の子の内面を描いた「Run!Girl,Run!」。
携帯ストラップ人形を売る主人公の話術が巧みで楽しい「タカチアカネの巧みなる小細工」。
人間関係で精神が摩耗する女子高生が、隣に住む男とベランダ越しの交流を育む「サブレ」。

「Run!Girl,Run!」は短すぎましたが、他3編は適度な長さでした。
お気に入りは、生々しい少女の裏側が見られる「サブレ」。
言葉の端々にある思いやりが、ほんのりと温かくて、読後感が素敵でした。

さらりと読める女子高生が主体の青春短編小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  4Girls  柴村仁    評価B- 

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セイジャの式日 

セイジャの式日 (メディアワークス文庫)セイジャの式日 (メディアワークス文庫)
(2010/04/24)
柴村 仁

商品詳細を見る
読書期間:2010/5/18

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー
切なさ




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 絵を一枚仕上げるたびに、絵にサインを入れるたびに、もうやめよう、これが最後にしようって、考える――
 それでも私は、あなたのために絵を描こう。

 かつて彼女と過ごした美術室に、彼は一人で戻ってきた。
 そこでは、長い髪の女生徒の幽霊が出るという噂が語られていた。
 これは、不器用な人たちの、不格好な恋と旅立ちの物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「プシュケの涙」「ハイドラの告白」に続く三部作、最終章。

どういえば、読了後の気持ちを伝えられるんだろう。
考えてみても、なかなか上手い言葉が見つかりません。

切なさや哀しみは乗り越えることができても、決して忘れることはないんだろうね。
心の奥底に物悲しさは残っているけれど、幸せは感じ取れます。
ちょっぴり泣きなくなるようで、穏やかな心情になったラストシーンでした。
まるで、心の中が狐の嫁入りみたいな状態ですね。

それぐらい、ラストの数ページは結構キた。
由良の想いが見え隠れして、胸が締め付けられる中で、あの最後は反則的なまでに苦しかったです。

「プシュケの涙」の続編にして完結編としては、正しかったと思います。
「ハイドラの告白」は、方向性がズレすぎていて、シリーズとカウントするのも微妙なぐらいでしたから。

ただ、続編はあってもなくても良かったかな。
結局のところ、最後まで「プシュケの涙」のインパクトは超えられませんでした。
そればかりか、あの衝撃的な内容を引っ張った感が拭えず、蛇足と感じる人がいても仕方がないと思います。
個人的には、最後の最後で、だいぶ良い方へと評価は傾きましたが。

今回もまた前後半に分けられた構成となっていますが、物語2つをただまとめただけです。
関連性も少なくて、ちょっと残念でした。
お話自体は地味ながら面白いと思えるものだけど、別段取り上げるほどのものでもないしなぁ。

分かりやすいオチや答えを用意せず、読者に委ねるところが一般小説っぽいですね。
この辺りが、ライトノベルと大きく違うところかもしれません。

残酷なまでに綺麗で、執拗なほどに純粋な物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  セイジャの式日  柴村仁    評価B 

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ハイドラの告白 

ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)ハイドラの告白 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
柴村 仁

商品詳細を見る
読書期間:2010/4/6~2010/4/13

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
構成




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 絶望的な恋をしているのかもしれない。
 私がやってくること、全部、無駄な足掻きなのかもしれない。――それでも私は、あなたが欲しい。

 美大生の春川は、気鋭のアーティスト・布施正道を追って、寂れた海辺の町を訪れた。しかし、そこにいたのは同じ美大に通う“噂の”由良だった。彼もまた布施正道に会いに来たというが……。
『プシュケの涙』に続く、不器用な人たちの不格好な恋の物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


切ない恋物語を描いた「プシュケの涙」の続編。

何というか、普通の小説だなぁ。
ラノベ色を除いたメディアワークス文庫としては、成功しているのだと思います。
ただ、この方向性で行くのであれば、個人的には微妙かも。

面白くないわけではありません。
物語は地味だけど通して読ませる力はありますし、筆力も確かです。
淡々と進み過ぎかなーという点は否めませんけれど、大きな欠点はありません。

ラノベであった「プシュケの涙」との一番分かりやすい違いは、登場人物の年齢ですね。
前作のキーパーソンだった由良は、今回も重要人物として登場しますが、あれから3年の月日が経っています。
高校生から大学生へとシフトしており、それに伴って作風も閉鎖的なものから変化が見られました。
視野の狭さが改善されたとでもいいましょうか、随分と一般向けになりましたね。
どちらがいいかとは言えませんが。

ミステリー風の前半と恋愛ストーリーの後半で2つに分ける構成はそのまま受け継がれています。
ただし、前作ほど効果的であったかというと、意味は薄かったと言わざるを得ませんね。
繋がりが弱すぎて、ほとんど別物語を読んでいる感覚でした。
せめて、もう少し重厚、または濃厚な内容であると読み応えも増したんだけど……。
まぁ、「プシュケの涙」を超えるインパクトやカタルシスを求めるのは酷かな。

そういえば、レーベルが変わったけれど、表紙は相変わらず綺麗でセンスを感じました。
読了後に見直すと、また違う味が出てくるところなんかも計算しているんでしょうかね。

己の進むべき道を確立するために寄り道をする不器用な若者たちの物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ハイドラの告白  柴村仁    評価B- 

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プシュケの涙 

プシュケの涙 (電撃文庫)プシュケの涙 (電撃文庫)
(2009/01/07)
柴村 仁

商品詳細を見る
読書期間:2009/4/29~2009/4/30

【評価……A-
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成 ★★★★★★★★
 … 9
切なさ ★★★★★★★★
 … 9

「こうして言葉にしてみると……すごく陳腐だ。おかしいよね。笑っていいよ」
「笑わないよ。笑っていいことじゃないだろう」……
あなたがそう言ってくれたから、私はここにいる――あなたのそばは、呼吸がしやすい。ここにいれば、私は安らかだった。だから私は、あなたのために絵を描こう。

夏休み、一人の少女が校舎の四階から飛び降りて自殺した。彼女はなぜそんなことをしたのか?その謎を探るため、二人の少年が動き始めた。一人は、飛び降りるまさにその瞬間を目撃した榎戸川。うまくいかないことばかりで鬱々としてる受験生。もう一人は“変人”由良。何を考えているかよく分からない……そんな二人が導き出した真実は、残酷なまでに切なく、身を滅ぼすほどに愛しい。

【感想】


「我が家のお稲荷さま。」シリーズの柴村仁さんの一冊完結モノ。

これは傑作。

重い、というのとは少々異なる気がします。
切なくて、苦くて、そしてあまりにも哀しい……そんな物語でした。

あぁ、何という報われのなさ。
読み進めるにつれて、じわりじわりと心臓が締め付けられるかのような痛みに苛まれます。
これは、やるせない……。
読了後も、時間が経つほどに泣きたくなってきます。

ストーリーは二部構成となっており、前後半の対比が素晴らしく秀逸。
後半を読むと、前半の印象が全く別のものへと変化していきます。

ミステリー展開で描かれる前半は可もなく不可もなくといった出来栄え。
その代わりに登場人物たちの心理描写が的確引き出されていて素晴らしかったです。

人は多角的に見て初めて物事の真理に肉薄できるという持論を再確認させられました。
運命なんて陳腐な言葉で片付けたくはありませんが、世の中の無常さを嘆かずにはいられません。

しかし、この作品、電撃文庫で出版する必要性が全く無いですね。
良い意味で内容的にライトノベルらしさがなく、イラストもオタクっぽさは皆無です。
一般小説として出版されてもおかしくないですね。

読んだ感想を1,2ヶ月遅れで書く時の数少ないメリットとして、冷静な評価ができるという点があります。
時間が経っても良作は風化するどころか逆に心にしっかりと残るもんなんですよね。
この作品はまさしくそうでした。
何となく気になるなと思って買ってみましたが、当たりでした。

きっと楽しむのは難しい本だと思います。
しかし、読んだ人の心に確実に何かしらの感情を残します。
そのため誰にでも好意的な評価を受けられるわけではないと分かっているんですが、お勧めしたくなってしまう良作でした。

切なすぎて胸が切り刻まれるような哀しい高校生たちの物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  プシュケの涙  柴村仁    評価A- 

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