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明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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“葵”ヒカルが地球にいたころ……1 


(2011/05/30)
野村 美月

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/14~2012/7/16

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
恋愛
ツンデレ
期待感


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 「心残りがあるんだ」
恋多き学園の“皇子”ヒカル――その幽霊が、是光の前に現れそう告げた。
このまま幽霊につきまとわれ続けるなんて冗談じゃない!と渋々“心残り”を腫らす協力をすることにした是光だが、対象の左乙女葵――“葵の上”と呼ばれる少女は、頑なに話も聞こうとせず、生徒会長の斎賀朝衣にも不審がられ、敵視されるハメに。
そんな時、ヒカルの死にまつわるある噂が聞こえてきて――!?
 野村美月が贈る、ミステリアス現代学園ロマンス、堂々開幕!!

【感想】


大人気ラノベ「文学少女」シリーズの野村美月×竹岡美穂のコンビで贈る新シリーズ。
満を持しての登場です。

著者の作品は、何故か読み始めるのに労力を要します。
「文学少女」も評判が良いと知っていても、なかなか手を出しづらかった記憶があります。
何となく面白そうというよりも面倒臭そうだというイメージが先行するんですよね。
一番最初に読んだ「天使のベースボール」がトラウマにでもなっているんだろうか……。

そんなわけで、発売直後に購入しておきながら、本作を読み始めたのは、シリーズが開始されて1年以上経ってからでした。
比較的余裕のある時期に、ガッツリと読書したいなと思って手を付けてみたわけです。

やはりというべきか、予想外というべきか。
積んでいたのを悔やむくらい、非常に面白かったです。

初めて「文学少女」を読んだ時の作品内に引き込まれる感覚をまた味わうことが出来ました。

設定上はありふれたものです。
主人公の赤城是光は、見た目でヤンキーだと勘違いされ、中身も少々粗暴により、周囲から浮いた存在だった。
大して親しくもない学園の皇子である帝門ヒカルの葬式に参列した際に、何故か幽霊のヒカルに取りつかれてしまう。
ヒカルは心残りが解決しないと成仏出来ないらしく、是光は仕方がなく付き合うことに。
その心残りとは、ヒカルにとって大切な女性である左乙女葵への約束を果たすことだった。
しかし、とりあえず女性なら誰にでも色目を使うヒカル、女に興味がなく無愛想な是光とでは、相性は最悪で、トラブルがばかりが起きてしまう。
果たして、是光はヒカルの代わりに葵との約束を遂げることができるのか――というストーリー。

モチーフである「源氏物語」をミステリアスな少女漫画風に現代アレンジした感じ。
第1巻の物語の本筋は分かりやすく、単純であるがゆえに牽引力も相当です。
長編シリーズの導入しては、上手く調理しており、成功している部類に入ると思われます。

その一方で、裏に流れる長編の伏線は、出し惜しみしている感が強いですね。
それもこれも主人公側であるヒカルが何かを隠しているのが原因です。
是光に語れない理由でもあるのかもしれませんが、是光にとってみればはた迷惑な話ですよ。

幽霊物の醍醐味は、やっぱり他人の情報を有り得ない方法で入手できる点でしょう。
無関係だったはずの是光が、ヒカルのことを誰よりも知っている状況は面白い。
葵や他の女の子に誤解されてしまうところはヤキモキし、逆に巧く事が運ぶとニヤニヤ出来ます。

ヒロイン役としてはメインの葵よりも式部帆夏の方が魅力的に映ります。
是光と衝突を繰り返しながらも接近する帆夏は、所謂ツンデレ娘で、彼女のモノローグが挿入される章だけは、一気にラブコメモードに突入します。
「文学少女」のななせの系譜に連なる少女ですから、ななせファンは好きになるはず。

少々周りくどい文章は相変わらずで、好みは分かれそうですね。
まぁ、竹岡美穂さんのイラストとの相性は抜群だと思います。

また長い物語を楽しむことが出来そうです。
これからどのように展開するのか楽しみ。

死んだ少年と残された少女の間を取り持つ巻き込まれ型お節介系主人公の奮闘が光る

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ヒカルが地球にいたころ……  野村美月  竹岡美穂  評価B+ 

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山がわたしを呼んでいる! 

山がわたしを呼んでいる! (メディアワークス文庫 あ 5-2)山がわたしを呼んでいる! (メディアワークス文庫 あ 5-2)
(2011/08/25)
浅葉 なつ

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読書期間:2012/7/11~2012/7/13

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
知的好奇心





 ★★★★★★☆☆☆ … 7






 草原でくつろぐ羊や馬。暖炉にロッキングチェア。そんな場所を夢見ていた女子大生あきらのバイト先は、想定外のオンボロ山小屋だった!つかみどころのないセクハラ主人をはじめ、口の悪い先輩、マニュアルが手放せない同僚、そしてなぜか正体不明の山伏まで居座っていて大混乱!
 お風呂は週一!?キジ打ちって何!?理想の女性になるために来たはずのあきらが巻き込まれていく、標高2000メートルのアルバイト!
 第17回電撃小説大賞<メディアワークス文庫賞>受賞者・浅葉なつの受賞後第一作!

【感想】


山を愛する人々が多く登場する山岳小説。
受賞作は未読なので、作者の本はこれが初読となります。

明確なテーマや環境を用意して、そこで生きる人々を描くメディアワークス文庫の王道的な一冊。
ストーリーに強烈なインパクトがあるわけではなく、知識や情報で肉付けされた作品ですね。
興味が湧く題材だったので手を取ってみましたが、期待通りに楽しむことが出来ました。

主人公は山に軽装で挑む無鉄砲な女子大生・あきら。
憧れの女性像である女優が、山で憩いのひと時を過ごしたという雑誌の記事を読み、勢いで山小屋のバイトを引き受けてしまう。
しかし、彼女が抱いていた想像図はそこにはなく、あるのは厳しい山生活の実態だった。
個性的な男性陣に囲まれながら、あきらは山の魅力と怖さに惹きつけられていく――という物語。

定番といえば定番。
理想とかけ離れた現実に打ちのめされ、山を下りようと考えるも、少しずつ山の良さを見つけていく展開は、分かっていてもニヤリとしてしまいますね。
どちらかといえば初心者向けですが、ベテラン登山者の方にとっては共感を覚える内容があるのかも?

正直あきらほどではないにしても、山に関する知識は大して持ち合わせていません。
まぁ、さすがに準備もなしに登山を始めるほど馬鹿ではありませんが。
山小屋の住人達が教えてくれる基本的な知識をあきらと同様に吸収していくことで、山の醍醐味を徐々に理解出来るようになっていきます。
もっと山について知りたいと勉強欲を刺激させれくれますね。

毎年山を甘く見た人間が、ノリだけで登ろうとして事故となるニュースを見かけます。
それだけ山は、人間からすると死に近い場所なんだと思います。
この本を読んで、正しく知識を身に付けた人が、山登りを始めたら素敵ですね。
残念ながら、個人的には体力がないので山登りは難しそうですが、身体の芯まで凍えそうな澄んだ空気を吸って、絶景の空と斜面と太陽を拝んでみたいなと思わせてくれました。

小説としては、物語が過去話の比率が高過ぎるかなと思いました。
恋愛要素は、ほんのりと匂わせる程度で、本筋にはさほど関わってきません。
登場人物を把握するのが難解で、誰が喋っているのか、名前と設定がなかなか結びつきませんでした。
キャラ的な魅力は、もう一歩といった感じでしたね。

表紙絵は方密さん。
「旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。」の挿絵担当の方ですね。
本当にあきらがこの格好で標高2000メートルの山を登りきったのならば、山を知る人間から怒られても仕方ないなと思います。

初心者向け登山用参考書としても有用なドラマチック山岳小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  山がわたしを呼んでいる!  浅葉なつ  方密  評価B- 

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青春ラリアット!!3 

青春ラリアット!!〈3〉 (電撃文庫)青春ラリアット!!〈3〉 (電撃文庫)
(2011/12/10)
蝉川 タカマル

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読書期間:2012/7/7~2012/7/10

【評価……B-
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
友情



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 長瀬の悪魔の誘導術などに押され、自慢のナンパテクなるものを披露することになった黒木。そして、運命の出会いを果たしたのが――ゆかりだった。
 きっとお嬢様に違いない、と思うぐらいに、おしとやかで天然なゆかりに黒木は舞い上がる。だが、お約束なことに、彼女は記憶喪失という重すぎるオプション付きだった。下心むき出しに、一人暮らしの自分の家に誘う黒木。宮本たちも監視を兼ねて黒木家に滞在することに。
 月島と一つ屋根の下に舞い上がり暴走する長瀬など、黒木の家は大騒ぎ!一方で、ゆかりを捜す不審な影が宮本たちの周りに出現し始め……。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


恋に不器用な少年少女達による青春ストーリー、第3巻。

月島を差し置いて黒木が表紙に登場するとは思ってもみませんでした。
この第3巻では、その黒木が主役となった恋と友情の物語が描かれています。

面持ちなどから周囲に清楚な印象を与える女性・ゆかりは記憶を失っていた。
そうとは知らない黒木は、友人達との雑談の流れから勢いで彼女をナンパをしてしまう。
しかし、その時現れた謎の男達にゆかりは囲まれる。
宮本や長瀬も当然の如く巻き込まれ、またしても彼らは日常から外れた物語に首を突っ込むことになる。

懐かしささえ覚えるベタベタなお話です。
記憶喪失の女性、お嬢様を窺わせる佇まい、謎のスーツ服姿の男達、匿う主人公達。
ここまで出揃ったらもうストーリーの枠組みは決まりでしょう。
あとは本作のキャラをはめ込むだけで、一冊の本が出来上がります。

正直、新鮮味が薄いのは確か。
しかし、定番イベントをこなしているだけあって、安定感はあります。
雛型が完成されているストーリーなので、構成や話の緩急は的確。
甘酸っぱさとほろ苦さを感じさせる結末を期待させて止みません。
2巻で少し評価を下げましたが、3巻で持ち直しましたね。

記憶喪失に限らず、設定はご都合主義満載。
主人公やヒロイン達の行動と実際の生活が結びつかず、説得力に欠けます。
今後これらを伏線として使用するのであれば、違和感を与えたことは成功なんですけどね。

長瀬の精神的な口撃が控えめとなり、ギャグとして成立するようになったのも大きな収穫でしょう。
宮本が不憫というよりも、長瀬の性格の悪さに目が付くレベルでしたからねぇ。
代わりに黒木が虐められていたいような気もしますが、それは彼のキャラによるものですね。
それに、何だかんだ言いつつ宮本や月島が、黒木のことを認めていることを言外に匂わせるので、信頼関係の厚さを感じ取れて良いなと思いました。

バトル要素は……うーん、要らないかなぁ。
月島が戦うパートは、敵側のキャラもあって浮いて見えました。

タイトル通り、豪快な青春模様が楽しい内容でした。
今回ぐらいの水準であれば、買い続けたいなと思えますね。

普段はチャラいけれど熱い心を持った少年と彼を信じる友人達の絆が素敵

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  青春ラリアット!!  蝉川タカマル  すみ兵  評価B- 

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ココロコネクト ステップタイム 

ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)ココロコネクト ステップタイム (ファミ通文庫)
(2012/06/30)
庵田定夏

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読書期間:2012/7/6

【評価……A-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
ラブコメ
リア充



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 お付き合いするということは、二人の仲が進展するということ――生まれて初めて恋人ができた桐山唯は悶えていた。それを見かねた親友の雪菜は太一&稲葉、中山&石川を巻き込んだトリプルデートを計画して……!?
 戸惑いの初デートから、五人が互いの第一印象を語る創部ヒストリー、稲葉と伊織の友情秘話に藤島麻衣子と1年生コンビが立ち上げたプロジェクトの全貌まで!
 愛と青春の五角形コメディ、美味しいところを詰め込んだココロコレクト第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ココロコ短編集「ココロコレクト」第2弾。

恋あり友情あり、シリアスありコメディあり。
過去話から最新話まで、文研部2年生5人以外にも見せ場が用意された幅広い内容となっています。
以前より告知されていました最終章の目前として相応しいラインナップだと思います。

表紙絵は、太一&稲葉んのカップルに他2名。
稲葉んの表情が完全に恋する乙女で、初期のクールなイメージはどこへやらという可愛さ。
背まで縮んでしまったかのように見えますね。
短編の中身も稲葉ファンとしては嬉しい展開が多くて堪能させていただきました。

ちゃっかり最前列でカメラ目線の藤島姐さんはさすがです。
そして今回の短編集でまるで関係のない妹の莉奈が登場しているのはファンサービスなんでしょうかね。

「ファーストエンカウンター」

タイトルから察することが出来るように、文研部の創設が語られるエピソード。
八重樫太一・稲葉姫子・永瀬伊織・桐山唯・青木義文の5人それぞれの視点から各人物に抱いた印象をモノローグで綴られています。
まだ出逢って間もないということで、距離感の掴めない皆の様子が初々しい。
しかし、既にこの頃には部の雰囲気は雛型が完成しており、仲良くなることが約束されていたかのよう。
まるで記憶消失されたループ物かのように自然と馴れ合っているんですよね。
実は、ふうせんかずらによって現象が起きた2回目以降の世界なのかと思うのは疑いすぎかな。
それにしても、「ヒトランダム」で伊織は相手に合わせてきたとドヤ顔で太一に告白しましたが、みんなにバレバレじゃねーかw

「ふたりぼっちの友情」

伊織と稲葉んの友情秘話。
対外的に仮面を被っている節のある似た者同士の二人が、本物の友情を育むキッカケとなった1年生の頃のストーリーです。
意外と精神面が脆い二人が、窮地に立つことで互いの心を曝け出す展開は、ココロコらしい。
たとえ不思議な現象が起きてなくても、少女達の成長物語というコンセプトは変わらないですね。

「デート×デート×デート」

伊織と雪菜が見守る中で行われる太一&稲葉、青木&唯、石川&中山のトリプルデート話。
唯と中山が不甲斐ないと雪菜が憤り、デートしろと発案したのが事の始まり。
青木や石川は彼氏として頑張っているのに対し、唯と中山は可哀想になるくらいテンパってますね。
ガチガチに固まっていて、ミスしたことに落ち込み、初々しさを通り越して痛々しい。
それに比べて、太一と稲葉のカップル指数は、さすが数々の関門を乗り越えてきただけのことはあって、まだ付き合い始めて半年とは思えない程の安定感ですね。
稲葉んが太一と二人っきりのときだけ自然体で、少しだけいつもより表情や会話が柔らかいところにトキメキを感じずにはいられません。

口絵にファッションチェックがありますが、ここも稲葉んの圧勝すぎる。
まぁ好みはあるんでしょうけどね。

「この我が道を行く疾走」

時系列としては最新のエピソード。
文研部2年生のリア充っぷりをまざまざと見せつけられた紫乃と千尋が、藤島と組んで「リア充とは何か?」を改めて研究する一風変わったお話。
藤島麻衣子視点で心情が描かれており、彼女の真意がどこにあったのかが分かる貴重な短編でした。
妙なところだけ鋭く変に鈍感だから、春が訪れるのは時間が掛かりそうだなぁ。

次回以降に迎える転機を不安感いっぱいに煽っていますね。
ココロコシリーズは、毎度引きが強烈だなー。

現象が起きないからこそ人間関係が生々しく描くことが出来ている短編集

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ココロコネクト  庵田定夏  白身魚  評価A- 

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楽園島からの脱出 

楽園島からの脱出 (電撃文庫)楽園島からの脱出 (電撃文庫)
(2012/05/10)
土橋 真二郎

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読書期間:2012/7/3~2012/7/5

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
サスペンス
緊張感



 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 高校生活最後の夏休み。無人島に集められた男女100人の生徒たちが、島からの脱出を目指して競い合う。校内のゲームサークル「極限ゲームサークル」主催の大規模イベント。表向きはレクリエーションとして開催されたそのゲームは、賞金が出るという噂もあり……。
 ゲーム名【ブリッツ】――鍵を握るのは、自身とのペアの“価値”!?そして、女子だけに与えられた謎の機器の持つ意味とは――?
 「極限ゲームサークル」から“変わり者”として注視される沖田瞬は、このゲームの本質にいち早く気づくが……。
 土橋真二郎が贈るノンストップ《ゲーム》小説、最新作!

【感想】


無人島を舞台に行われる高校生100名による脱出ゲーム。

夏休みに男女50名ずつの高校生が、とあるサークルのゲームに参加する。
内容は不明、場所も不明、ただし賞金が出るという噂だけが先行する。
そんな彼らが連れられてやってきたのは、無人島だった……というストーリー。

クローズドサークルとしては、今更珍しくもない設定でしょう。
過去の作品と同じく、主催者の意図などガン無視で、舞台装置と考えておくべきなんでしょうね。

著者の電撃文庫作品を読むのはこれが初めて。
電撃文庫より年齢層が高めであるメディアワークス文庫の作品を読んできたからなのか、それとも今回がたまたま作風的にそうなのか、本作を読んでいる間ずっと感じていたことは……ヌルイなぁということ。
舞台設定にゆとりがあって、緊迫感に欠けます。
わざとその雰囲気を醸し出しているところもあるんでしょうが、正直肩透かしを食らった感じでした。
狂気は見られず、生易しい展開に物足りなさを感じいてしまいましたね。
まぁ、血生臭い話が苦手な人にもお勧め出来る土橋作品という意味では、成功しているのかもしれません。

人間心理を的確に表した言動は、些か硬質なものの、やはり巧い。
固定観念に囚われた人物が多く、集団心理の厭らしさが存分に出ていました。
ミステリーとしてもサスペンスとしても微妙ですが、特殊な舞台で繰り広げられる高校生達の駆け引きは、説得力もあって面白いですね。
キャラの思考に偏りがあるので、リアリティは感じられませんけども。

それにしても、人数が100人いても活かしきれてないですね。
キャラ個性を強く印象付けるためにも、絞った方が良かったのではないかなぁ。
どっちにしろ主要人物10人ぐらいしか動いていないのも、その他がモブ感丸出しで不自然だと感じました。

会話が淡々としており、アクションも地味。
主人公もヒロイン勢も感情の起伏が乏しいので、盛り上がりに欠けますね。

ふゆの春秋さんのイラストは、一人一人は可愛いのに、集団だと似過ぎていて見分けがつかないです。
身体のラインがエロティックなのは素晴らしいので、あとは顔の描き分けを期待したいところ。

何だかんだ言って、いつも通りの作風ですね。
萌え系ラノベに溢れている昨今では、定期的にゲーム小説を出してくれるのは有難い存在。
ストーリーは途中の段階で続巻前提だなと分かったので、内容を忘れないうちに次を読むつもりです。

未知なる状況や極限の環境で人間が取る行動を心理学的に観察している感覚があります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  楽園島からの脱出  土橋真二郎  ふゆの春秋  評価B- 

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俺はまだ恋に落ちていない2 

俺はまだ恋に落ちていない 2 (GA文庫)俺はまだ恋に落ちていない 2 (GA文庫)
(2012/03/16)
高木 幸一

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読書期間:2012/7/1~2012/7/2

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
ラブコメ
コメディ



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 「てんてんはかですね……貴方は馬鹿ですか!?」
 「……す、すみません」
 ある日、赤井は詠羅に一目惚れした後輩の相談を受ける。必死に頼み込む彼の姿に心を動かされ、赤井はやむなく詠羅を紹介することに。
 デートの約束に喜ぶ後輩とは対照的に、心落ち着かない赤井、傷つく詠羅。そんな中、前に誘った約束を恵衣美に問い詰められ、赤井は恵衣美とデートすることに!?
 「動物園。ただし、ワタシが見たいのは、……エイラだけどね」
 詠羅と後輩のデートを見守ることになった赤井と恵衣美。すれ違う気持ちはどこへ行くのか!?トライアングル・ラブコメディ第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


険悪な姉妹から好意を抱かれた少年の青春ラブコメディ、第2巻。
表紙を飾る妹・詠羅寄りのエピソードとなっています。

赤井や空河の後輩である道流也が、詠羅に一目惚れしたところから物語は始まります。
恋愛相談を持ちかけられた赤井は、道の熱意に押されて詠羅を紹介する約束をしてしまう。
当然のごとく、詠羅はショックを受け、しかしながら赤井の想いを汲み取るために道とのデートを承諾し、赤井はそんな詠羅の決断を目の当たりにして己の無慈悲な言動に心を痛めるストーリー。

若いというか、苦いというか……。
いやー、懐かしい王道パターンですね。
昭和や平成初期を思い出させる第三者乱入による三角関係のお話でした。

主人公である赤井の行動基準は、理解は出来るけど馬鹿だと思います。
前巻の感想でも書きましたが、やはり赤井は「まだ恋に落ちていない」んですよね。
そこへ、自分よりも詠羅のことを心から好きだと公言する男が目の前に現れたら……。
根がイイ人である赤井は、断れなかったのでしょうね。
だからこそ、好意を寄せられている女の子を紹介するなんて話を引き受けてしまったわけでしょう。

しかし案の定、詠羅の気乗りしない姿を見ても、デートで距離が縮まる姿を見ても、赤井は気落ちしてしまいます。
これを馬鹿と言わずとして何というか。
恋心と呼べないものだとしても大切な人である詠羅を傷つけてまで、大して親しくない後輩の顔を立てることに意味があるのか。
大局的には、道にとっても結果が見えているだけに踊らされている感が強く、はっきりいえば道化です。
昔からよく言われる「優しいけれど残酷」な青春模様を地で行く内容でした。

でも、このルートを選んだからこそ、赤井も詠羅も道も気付くことができた想い、届けられた気持ちというのはあります。
ベタベタな展開なんですけど、不器用な彼や彼女らは、この方法しかなかったのかもしれません。
赤井は責められても仕方ないと思いますが。

それにしても、赤井は恋に関して人様に進言できるほど立派ではありませんね。
タイトルが、赤井の鈍感を意味するのではないかと思うようになってきましたよ。
空河や恵衣美の気持ちに、果たしてどこまで気付いているのやら。
どこまで本気か気付いていたら、そもそも詠羅を紹介するようなことはしないか。

多少崩して描いても魅力となる独特なタッチが庭さんの絵の長所ですね。
背景やコマ割りなどで工夫をして、挿絵に物語性を埋め込むのが上手い。
それだけに殺風景な表紙は、もう少し凝りようがあるのではないかなと思っちゃいます。

登場人物たちは、みんな未熟です。
だってまだ中高生なんですから。
ここから仲間と触れ合いながら成長していく彼らを見守りながら楽しむ作品なんだと思います。

好意を寄せてくる女の子に別の男を紹介して初めて気付く鈍い少年の成長物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  俺はまだ恋に落ちていない  高木幸一  評価B- 

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僕は友達が少ない8 

僕は友達が少ない 8 (MF文庫J)僕は友達が少ない 8 (MF文庫J)
(2012/06/22)
平坂 読

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読書期間:2012/6/30

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春
リア充
友情


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 聖クロニカ学園学園祭本番、前座のような体育祭はつつがなく終わり、いよいよ文化祭当日となった。
 自主制作映画を上映する予定の隣人部だったが、映画の仕上げを担当していた理科が倒れてしまい、映画は未完成となり上映は中止に。残念な結果となった学園祭ののち、これまでの馬鹿馬鹿しいけど賑やかで楽しい活動の日々へと戻っていく隣人部。互いに絆を深めていく隣人部の面々と過ごしながら、小鷹は隣人部への思いをいっそう強くする。
 そんなおり、星奈を敵視する生徒会の遊佐葵が隣人部に対して不穏な動きを見せ、小鷹、夜空、星奈、理科、幸村の関係にも大きな転機が訪れる――。
 残念系コメディ、ついに終幕……!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


アニメ第二期が発表された残念系青春ラブコメ、第8弾。
これまで3~6ヶ月ペースで刊行していたので、9ヶ月振りの新刊は久しぶりに感じました。

前回から引き続き、理科の甲斐甲斐しさが目を瞠る物語ですね。
決して得意なわけでもないのに、立ち回れるのが自分しかいないからという理由で、献身的な行動に出られる彼女は、尊敬に値します。

夜空は自分のことで手一杯だし、星奈はそもそも良い意味で自己中心的な考え。
幸村は献身的というよりも異常なまでに従順であるだけで、小鷹を導くわけではなく、やはりあくまで自分主体なんですよね。
そう考えると、自分を押し殺してまで小鷹を引っ張り上げようとする理科は、頭が回る分、損をしてしまう性格といえるもので、隣人部の誰よりも人の心に敏感な娘なんだと思います。
自由気ままに振る舞っていますけど、本当は泣きたくなるくらい健気で可愛い女の子ですよ。
初期から雰囲気だけは感じ取れていましたが、ここまで広げてくれるとは思ってもみませんでした。

作品テーマ的には、理科こそが正ヒロインといってもいいくらいです。
哀しいかな、それは「友達」という意味になってしまうんですよね。
既に友達同士になっている事実から目を逸らす小鷹を向き合わせるために、文字通り実力行使で正そうとする理科とのやり取りは、どこまでいっても熱い友情物語にしかなりません。
それはそれで大切なことなんですけど、女の子としては非常に可哀想なポジショニングですね。

それもこれも、小鷹がヘタレすぎるせいです。
彼の言い分もわからないでもないんですが、それを踏まえたとしても酷い。
時には、逃げるという選択肢が必要なことだったあるので、そこは追及しません。
しかし、投げ掛けられた言葉をなかったことにする無神経さは、責められて当然ですね。
「え?なんだって?」じゃねえよ、まったく。

でも、彼が主人公だったからこそ成り立つ作品なんですよね、これは。
青春ラブコメのアンチテーゼともいうべきプロローグが、ようやく終わりました。
メッセージ性としては、本質を捉えていて良かったと思います。
ただ、その表現方法が突飛だったり、台詞回しが些か強引だったのは引っ掛かりましたがね。

そして始まる本格的なラブコメディ。
理科が「友達」としての正ヒロインであるならば、「恋人」役はやっぱり星奈
夜空の立場がないぐらいに星奈のヒロイン力が圧倒的過ぎる。
恵まれた環境に加えて、天性のお嬢様気質が何とも輝かしい。
一見すると、ドSな夜空がしっかり者で、ドMな星奈が打たれ弱いように見えますが、中身は逆。
意外と脆い夜空に対して、星奈の揺ぎ無さは感心するレベルです。
躊躇いなく想いを言葉に出来る星奈は、素直に凄いなと思いますね。

幸村もまた芯の強い人間だなぁ。
この娘の行動原理は、どこから湧いてくるんだろう。
これだけ小鷹がヘタレていると、そこまで信頼する幸村が不思議に見えてきますね。

停滞していた……いや、小鷹が停滞させていた物語が、ようやく動く時が来ました。
本来であれば、ここからが本番なのですが、作品的には今回がクライマックスかもしれません。
踏み出せなかった一歩を友達が背中を押してくれて、進むことができたのですから。

現状維持に固執していた臆病な男を前へ進ませようとする女友達の言葉が熱い

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  僕は友達が少ない  平坂読  ブリキ  評価B+ 

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ベン・トー9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 

ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)ベン・トー 9 おかずたっぷり! 具だくさん! 香り豊かな欧風カレー弁当すぺしゃる305円 (ベン・トーシリーズ) (集英社スーパーダッシュ文庫)
(2012/06/22)
アサウラ

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読書期間:2012/6/27~2012/6/29

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
バカ
ギャグ
変態
ラブコメ
燃え
ロリ
 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9

 半額弁当争奪バトルに青春を賭けるHP同好会は正月明け、冬の合宿へ向かう。槍水仙の愛妹・茉莉花も同行し、佐藤の心は密かに躍る。しかしその合宿地では元HP部の《大厄の闘牛士》と呼ばれる狼が待ち受けていた。彼は槍水と深い因縁があるのだと言うのだが…。さらに佐藤たちは《ギリー・ドゥー》こと禊萩真希乃とも再会を果たし、田舎のスーパーは激闘の最前線と化す!そんな中、茉莉花と佐藤がゲレンデでアクシデントに遭ってしまい、そして…!?
 雪山に響く狼たちの咆哮!香辛料が青春にピリッと効く、庶民派シリアスギャグアクション、第9巻!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


半額弁当を求めて遥か北へ。
雪をも溶かさんとする情熱で行われる半額弁当争奪戦、シリーズ通算第11冊です。

変態は、レベル上がった!(ぱららぱっぱっぱ~)
……いやいやいや、犯罪じゃねえか、オイ!
この男、やるときはやると思っていましたが、ヤるときもヤりやがる……!

そんなわけで、佐藤の毒牙にかかったのは、表紙を飾る中学生と小学生。
禊萩真希乃槍水茉莉花が再登場した今回は、以前から何度も作中で話題に上がっていた冬の合宿編となります。
HP部が離散したキッカケが、遂に明かされる……と思ったいたのですが、進んでいるようで進んでいないなぁ。

合宿地のスーパーで現れたのは、かつてのHP部の一員である秋鹿雅
とある思惑で槍水に最接近した秋鹿との争奪戦がメインの回となります。

終わって欲しくないシリーズとはいえ、引き伸ばし感も尋常ではないですね。
1巻の頃からの謎が、未だに本題に突入していないんですから。
そろそろ一度決着をつけて、2年に進級した佐藤達の新章を始めてもいいんじゃないでしょうか。
語られていない秘密が、それほど凄いことだと予感させませんしね。

秋鹿サイドの描写も結構な割合を占めているため、早めの段階で何となく彼の考えて読めてしまいました。
それでもなお物語を熱く展開させてくれるところは、さすがというべきですか。
くだらないのに燃えてしまうのが、悔しいどころか嬉しいんですよね。

それにしても、キャラが濃いのなんの。
中でも特筆すべきなのは、やはり幼女・茉莉花でしょうね。
10歳という年齢にして、作中の誰よりもフェロモンを撒き散らしていますよ、この娘。
これを天然でやっているんだから、末恐ろしい。
健気で無防備な幼女を、変態の傍に置いておいたら、そりゃあ間違いの一つや二つ起きても不思議じゃないです。

白粉も佐藤に負けじと成長してますね……変態として。
これまでも女版佐藤とも言うべき行動力でしたが、一歩抜け出した感があります。
果たして佐藤は卒業まで貞操を守り抜くことができるんだろうか……いや、無理そうだなw
佐藤が絡む事象を全てアッチ系に変換できる能力は、防ぎようがないもんなぁ……w
ああ、あと久しぶりに狼としての見せ場があったのが嬉しかったです。
勝率的にも佐藤より上なんだし、そろそろ彼女にも二つ名が欲しいところですね。

ロリルートは犯罪臭が半端ないこともあって、ラブコメ的にはイマイチ萌えられませんでした。
個人的に最もグラリと来たのは、白梅様でした。
ひたすらツンしか見せてこなかっただけに、僅かな隙でもギャップが凄まじいことになります。
佐藤は、もっと彼女との妄想に励むべきだと思うんだ、うん。

真希乃の再登場は嬉しかったですね。
ただのゲストキャラで終わらせず、しっかりと《ギリー・ドゥー》としての活躍を見せてくれました。
彼女は、尽くす女というイメージが強いですね。
男にとっては都合が良過ぎるほどに、イイ女の子ですよ。

再登場が嬉しかったといえば、彼は色んな意味で美味しかったですね。
ネタバレになるので直接的には触れられませんが、彼特有の空気が大好きです。
ギャグ要因としても、燃え要素としても、作品の味を決定付けるスパイスとして見事な配役でした。

他にも遠征先で登場した狼の面々を掘り下げてくれたりと、丁寧な仕事が光ります。
《東北のカナリア》の正体は意外でしたね。
アニメ化されていないエピソードだったので、絵的には確かに見たこと無かったわけですけど。
一本取られたなと思いました。

相変わらず年長者なのにが一番幼く見えますね。
他が分かっていながら黙っているところを変に大人ぶったり、逆に落ち着きがなかったり。
おかげさまで、奢莪の本妻っぷりを見せつけるカマセ犬になりつつあるような気さえしますよ。
過保護なまでに守られる彼女が抱える過去とはなんなんでしょうね。

弁当に限らず食事のシーンは、本当にウマそうだなぁ。
今回は、いつも以上に身近な食べ物が多くて、味を想像しやすかった分、更に胃が刺激されました。
舞台が冬の東北ということもあって、温かい食べ物が非常に美味しそうで、涎が出てきます。
あー、夏バテ解消法として、この本を読むのはいいかもしれませんねw

遠征先キャラ総出演によるハードなギャグと熱い物語が堪能できます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ベン・トー  アサウラ  柴乃櫂人  評価A- 

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ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ 

ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖3 ~栞子さんと消えない絆~ (メディアワークス文庫)
(2012/06/21)
三上 延

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読書期間:2012/6/23~2012/6/26

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
恋愛
構成
家族愛


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 鎌倉の片隅にあるビブリア古書堂は、その佇まいに似合わず様々な客が訪れる。すっかり常連の賑やかなあの人や、困惑するような珍客も。
 人々は懐かしい本に想いを込める。それらは予期せぬ人と人の絆を表出させることも。美しい女店主に頁をめくるように、古書に秘められたその「言葉」を読みとっていく。
 彼女と無骨な青年店員が、その妙なる絆を目の当たりにしたとき思うのは?絆はとても近いところにもあるのかもしれない――。
 これは“古書と絆”の物語。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


古書が過去と現在を繋ぐ架け橋となる物語、第3巻。
累計発行部数は遂に300万部を突破し、勢いは留まるところを知りません。

今回も面白かったです。
物語をダラダラと読むのに適したお手軽な大人のライトノベルのスタイルを貫いていました。
あっさりとしながらも確かな手ごたえも感じられる読後感は素敵です。

ただ、やや安易かなと感じる部分が幾つか見られましたね。
ミステリー要素がメインではないとはいえ、もう少し捻りがないと驚きが得られません。
意外という感情は作品の面白さに直結するので、構成などにも拘って欲しいところでした。
オチが良くてもヒントを与え過ぎた結果、予想通りに事が進んでしまいましたね。

2巻で露わとなった栞子と母親・智恵子の確執。
行方知れずの智恵子が一体何処にいるのか、そして栞子の抱える闇が晴れる時が訪れるのか。
長期路線に突入した以上、多少引っ張る分には構いませんが、テンポが崩れないかが気掛かりです。

登場人物の固定が多く、身内の話に終始している印象を抱かせます。
せっかく古書店を構えているのですから、新たな人物との交流を育めばいいのに。
確かに、店主の栞子は人見知りですが、五浦と出逢って変わってきているようですし、一応客商売をしているんですからね。
探偵ごっこもよりも、本の魅力でグイグイと引っ張ってくれるとなお嬉しいです。

本を取り扱いに関する話は、実に興味深いですね。
古書交換会」なるシステムがあることを初めて知りました。
読書家の人達にとっては、是非とも参加してみたい会合なのではないでしょうか。
同業者のみの集いのようですけど、買い手を探したいのであれば、開かれた集まりにすればいいと思うんですけど、何か理由があるんでしょうかね。

表紙は、毎度ながら越島はぐさんによる、瞳を閉じた横向きの栞子。
うなじに流れた黒髪が扇情的で大変よろしいですなぁ。
首が長すぎるのは気になりますけども。
口絵にある篠川家の古びた写真は、家族が一緒だった時の空気を感じ取れる素晴らしい一枚でした。

ミリオン作家となった手前、今まで以上に一定の刊行ペースを求められると思うのですが、質に影響するのであれば、時間をかけてでもいいので良い物を書いて欲しいと思います。

古書に関わる謎解きから家族愛へと変化しつつある主軸が好みを分けます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ビブリア古書堂の事件手帖  三上延  越島はぐ  評価B 

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乙女ゲーの攻略対象になりました…。 

乙女ゲーの攻略対象になりました…。 (電撃文庫)乙女ゲーの攻略対象になりました…。 (電撃文庫)
(2012/01/07)
秋目 人

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読書期間:2012/6/19~2012/6/22

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
構成




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 なぜか乙女ゲームの世界に放り込まれた、俺。しかも攻略対象になってしまったようだ。てことは、もしや美少女たちにアタックされまくり!?ウヒョ!
 と喜んでいたのもつかのま、そうそう都合のいい話はないようで。どうやら攻略されると、俺の死亡ルートに突入するかもしれず……。死の恐怖におびえる中、誰もが憧れる美少女たちが、俺を落とそうと次々やってくるのだった。
 美少女か、命か。どちらを取るべきなのか?それはもちろん――!
 乙女ゲームという名の、ちょっぴり変わったデスゲーム・ラブコメが登場!

【感想】


気付いた時には乙女ゲームの世界に居た主人公がフラグをバキバキに折りまくる変則的ラブコメ。

完成度はもう一歩届かないけれど、意欲は買いたくなる作品でした。
男性読者の多いラノベ業界で、ギャルゲーではなく乙女ゲーに目を付けたところは新しい発想ですね。

あらすじが内容と微妙に一致していない部分があります。
よくあるゲームの世界に入り込んでしまったパターン化と思いきや、どうも様子が異なります。

高校生の日下部湊は、ある日、乙女ゲーム「フォーチュン・クラウン」をプレイしている妹と何気ない会話をする。
攻略対象のメンズの中に兄と同じ名前の武尊湊というキャラがいるらしい。
攻略難易度が激高で、個別ルートに入って選択をミスすると、即座に武尊湊は死んでしまうという。
そんな他愛のない話を含めた日下部湊の記憶が甦ったのは、武尊湊として十数年生きてきた後だった。
果たして、今はゲームの世界に入ってしまったのか。
はたまた日下部湊は妄想なり前世だったりするのか。
とにもかくにも、「フォーチュン・クラウン」女主人公こと宮河乙女に攻略されて死に近づくことだけは避けねばならないと、必死に逃げ回る逆転的なストーリー構成となっています。

何が真実なのかが不鮮明で、足場の不安定さが怖いですね。
ただし、この辺りの設定が本題になることはなく、あくまで副次的な物であるのが勿体無い。
次巻以降で消化してくれる伏線だといいのですが。

恋愛ゲームのイベント要素はあっても、ゲーム的空気はあまり感じられませんでした。
主人公に「前世?」の記憶がなければ、ただのラブコメに見えてしまうほどに。

理由は幾つかあるのですが、最大の要因は、湊が悉くフラグを回避しようとするからでしょう。
この手のキャラは、ちょっとお馬鹿で分かっていても地雷を踏むタイプが多い中、湊は顔に似合わず頭の回転が早い主人公だと言えます。
おかげで、上手い立ち回りを出来ているんですが、そのせいで美味しい場面も少なかったり。
乙女ゲーを題材にしているのに、何故かラブ少なめのコメディとなっていましたね。
あと、主人公が男であるため、どうしても「ヒロイン達からアタックされる=ギャルゲー」の図式となり、同じく攻略対象である男達が埋もれてしまっているのは設定を活かしきれていないなと感じました。
声フェチという設定も含めて、好感は持てるんですけどね。

男女ともに登場人物が多いため、一人当たりの見せ場が少なめ。
その限られた中で、最も輝いていたのは、ヒロインの一人である桜実琴だと思います。
乙女ゲーマー仲間が出来たと思って慕ってくる彼女は、仔犬っぽい可愛さがありました。
義兄がいるにも関わらず、血の繋がりのある兄のように懐いてきて、素直でたまらなかったです。

美声の持ち主である法条紗綾もまた個人的な好みになりそうな予感を漂わせているのですが、如何せん登場頻度が少な過ぎましたね。
金髪お嬢様の高埜倉レイアは、良くも悪くもテンプレ的なツンデレ。
本来のゲームでは主人公である宮河乙女は、それ故に派手な個性が乏しい印象を受けました。

イラスト担当は、森沢晴行さん。
好きな絵師さんの一人ですが、この作品においては6割程度の力で描いているように見えますね。
もっと気合を入れて欲しかったな。

一応、1巻でも締めくくってはいますが、続巻前提で練られた要素も多々ありますね。
土台を固めたことで、いよいよ物語の核心に迫る展開が期待できそうです。

死亡フラグ回避のためにヒロインからのお誘いを断りまくる逆走ラブコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  乙女ゲーの攻略対象になりました…。  秋目人  森沢晴行  評価B- 

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変態王子と笑わない猫。4 

変態王子と笑わない猫。4 (MF文庫J)変態王子と笑わない猫。4 (MF文庫J)
(2011/09/21)
さがら総

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読書期間:2012/6/16~2012/6/18

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
変態




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 横寺陽人は頭の中身が煩悩まみれな高校一年生。ある日、陸上部の練習をサボって保育園に潜入したところ、鬼の仮面をつけた小さな女の子に見つかってしまい――?
 1巻発売前のモバイル立ち読みで大きな反響を呼んだ「第0話」の加筆修正版のほか、あの娘の夏休みのバカンスを描いた「沖縄ハッピーエンド」、神聖なる教会の裏庭でちびっこ悪魔と戦う「教会シンドバッド」、遊園地で破滅のラブラブデート(!?)な「幻想メリーゴーランド」など計5編!
 女の子のキュートな魅力をぎゅーっと濃縮、ちょっぴりノスタルジックな雰囲気でおくる『変態王子』初の短編集!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


鈍感な変態に惚れた女の子が数多く登場するラブコメ、シリーズ第4巻。
初めての短編集となります。

これまで表紙を飾ってきた月子、梓、エミ、つくしの4人のエピソード1本ずつと、第3巻ラストから繋がる話が1本の計5本の短編が収録されています。
1巻より前の話などもあり、補足的な意味合いが強い印象を受けました。
ここまで親密な関係を持っているにもかかわらず、横寺が覚えていないのは不自然ですね。
忘れっぽいというレベルでは済みません。
おそらく、ここに隠された何かがあるんでしょうね。

ただ、理由があるとはいえ、ここまで横寺に振り回されるヒロインズは可哀想に感じてしまいます。
いざという時は頼りになるんですけど、普段のボケボケな言動はフォローできない域ですからねぇ。

ヒロイン勢の中で小豆梓が最も好きなので、第5章の遊園地デートは楽しかった。
見栄っ張りの超奥手少女が、顔を赤らめながら焦る模様が何とも可愛らしい。
幸せに浸る彼女を見ているだけで、こちらまで癒される想いです。
順調であればある程、今後のフラグにしか見えないのは気のせいだと思いたい。

鋼鉄さんという名が剥離されたのようにアホの子となってしまったつくしも魅力的でした。
一人脳内お花畑となっている彼女は、先輩なのに誰よりも年下の女の子に見えます。
ギャップ萌え、恐るべし。

第3章のエミ回は、本来であれば3巻で説明すべきくだりだったなと思います。
なるほど、エミが大暴れするだけの理由はあったんですね。

短編だからなのか、ギャグ方面にぶっ飛んだ内容が多くを占めていました。
より正確にいえば、変態度が急激にアップしています。
横寺はもちろん、登場する女の子達もどこかフェチ要素を持っており、笑えばいいのか引くべきなのか微妙なラインを辿っています。

表紙絵は、ようやく登場の鋼鉄さん。
指でポニーテールを隠すと驚くほど月子に似ていて、意識して描いているのが窺えます。
手抜きのイラストなどなく、クオリティの高さを維持出来るところが、さすがのカントクさんですね。

お話的には目新しさは見当たらないものの、平均的に楽しめるラブコメ模様が展開されていました。

SF設定を取り除いた純粋なラブコメが繰り広げられるベタな短編集

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  変態王子と笑わない猫。  さがら総  カントク  評価B- 

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はたらく魔王さま! 5  

はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)はたらく魔王さま! 5 (電撃文庫 わ 6-5)
(2012/06/08)
和ヶ原 聡司

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読書期間:2012/6/14~2012/6/15

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
ラブコメ
ファンタジー
構成


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6



 修理の終わった魔王城(築六十年・六畳一間のアパート)が、まさかの地デジ対応に!テレビなど贅沢品と思っていた魔王だが、芦屋の反対を言いくるめ、ついに薄型テレビ購入に踏み切る。
 とはいえ家電に詳しくない魔王たちは、日本の社会人代表として、恵美の会社の同僚・梨香を誘い、大型電気店に向かうことに。なぜか異世界の聖職者・鈴乃もそれに便乗し、魔王一行の“お買い物ツアー”がスタートする。そんな中、魔王に恋する女子高生・千穂に、危機が迫っていた――!
 フリーター魔王さまが繰り広げる庶民派ファンタジー、緊迫の第5弾登場です!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


庶民派の魔王と勇者が織り成すファンタジーコメディ、第5巻。
いつもよりもシリアス成分でお送りしています。

今回の内容は、何と真奥が働く立場ではなく消費者側に立ったお話。
とはいえ、随所に現代社会で生きる上でのコツみたいな話も挿入されており、相変わらずなシュールな一面もあります。

やっぱり生活感溢れるパートが面白いなぁ。
異世界の人間達が金を捻出してテレビを買おうと意気込むだけなのに、何故こうも楽しいんだろう。
小ネタの解説が、無駄にタメになるトリビアなところも含めて堪能できます。

まだ地デジ化前の時代背景ということもあって、今とは些か違う部分もありますね。
今ならもっとテレビの値段は安くなっているよなーと思いながら読んでました。
その辺りも、しっかり把握して書いているので安心できます。
恵美を携帯電話会社のお客様センターに勤めさせたりと、家電知識に詳しい作家さんだなぁ。

物語的には、進展しているのか停滞しているのか。
伏線をばら撒くだけで終わったような感覚を覚えました。
専門用語が多めな上に、真実を隠されている感が強いので、無駄にややこしくしているように見えるんですよね。
決して全てが駄目だとは言いませんが、日常シーンが素晴らし過ぎるだけに、邪魔に感じてしまうのが悲しいです。

キャラクターが魅力的なシリーズだなぁと再認識しました。
真奥と恵美に限らず、脇役もキャラが立っています。

芦屋と梨香のロマンス展開が、思っていたよりガッツリ入ってきて驚きました。
軽く流されるだけの要素かなと思いきや、いやはや今後大きな焦点になってきそうじゃないですか。
果たして実るかどうか……。全く予想できません。

一見ただのプロニートにしか見えない漆原のスペックの高さは、作品内でもトップクラスですね。
天使としての地位の高さだけではなく、狡猾で先見の明に長けています。
普段のダメダメさ加減とのギャップが、妙な格好良さを醸し出していて、何だか卑怯に感じてしまうほど。

鈴乃は、恵美と比べたら意外と素直に真奥達と打ち解け合っているところがニヤニヤしちゃいます。
世間知らずでボロを出すと慌てふためくところが可愛らしい。
うどんに執着するところなど、彼女も良い意味で日本に染まってきたことを感じさせます。
魔王軍に力の制限があるため、パーティー内では貴重な戦力となっているところが巧いなぁ。

敵ボスが仲間になったら弱くなるのはRPGの定番ですが、実に面白いことに、この作品では逆なんですよね。
確かに、新たな強敵を見せつけるのに、以前の敵役がやられるというのは効果的なのですが、あまりにも表現として強力すぎるため、逆にチープな印象を与えてしまったり、はたまたインフレを加速させることに繋がります。
勇者が魔王を討伐するRPGをモチーフにしているだけあって、その辺りのバランス感覚は抜かりありませんね。
漆原や鈴乃が、これ程までに頼もしい存在になるとは思ってもみませんでした。

情報の小出し方法に説得力がないのが減点対象かなぁ。
回りくどい説明をしたり、時間がないと遮ったり、全体的に構成が甘いのかもしれません。

4巻の千穂に引き続いて、表紙の鈴乃に惹きつけられます。
必ず3人以上が登場して、物語性を感じさせる表紙が好きです。
あとイラストに関しては、中盤にあった漫画のカット絵にはテンションを上げさせられました。

ファンタジー方面で面白くして欲しいのもあるけれど、それ以上に日常パートの配分を多めにして欲しいですね。
勤勉な魔王を見て、複雑な気持ちを抱く恵美や鈴乃を見るのが何より楽しいですから。

テレビを所望する魔王と家計を預かる悪魔大元帥の言い争う構図が面白可笑しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  はたらく魔王さま!  和ヶ原聡司  029  評価B 

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昨日は彼女も恋してた 

昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)
(2011/11/25)
入間 人間

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読書期間:2012/6/9~2012/6/13

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、なぜか時空を超えた。
 はじめは二人はどこにいるのかわからなかった。島の景観なんて、十年やそこらじゃ変化しないから。『過去』に来たと分かったのは、向こうから自分の足で走ってくる、『小さなマチ』を見たからだ。
 僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。『明日も彼女は恋をする』と上下巻構成。

【感想】


すれ違いにより不仲となってしまった幼馴染みとの関係を回顧させるタイムスリップ作品。
上下巻構成の上巻にあたります。
ちなみに下巻は「明日も彼女は恋をする」というタイトルです。

舞台は、500人前後の島民が暮らす小さな離島。
とある過去の衝突が原因で、余所余所しくなってしまった若い男女――大学生の青年・ニア車椅子の女性・マチは、時間旅行の実験に付き合い、9年前にタイムトラベルしてしまう。
思いがけず仲の良かった頃の自分達と出逢い、過去の想いと今の内面を見つめ直すことで、二人の関係が微妙な距離感になっていくラブロマンスとなっています。

これは良かった。
ただ、上巻だけでも面白かったですけど、下巻があってこその本だと思います。
それほど前に、最後の展開が凄まじかった。
予想していた展開のうちの一つとはいえ、本当に起こると衝撃的でしたね。
ズルいぐらいに先が気になります。

癖の強い文章を書くことで有名な入間さんですが、本作では比較的落ち着いた文体で読みやすくなっています。
ニアとマチの視点を交互に描写する構成は、一人称に長けている著者の長所を売りに出来る良いアイデアでした。

緩やかに綴られる心情が、徐々に解れていくココロを表していくかのよう。
無邪気にじゃれあう自分達を見ることで、いがみ合っていた対立が緩和していく展開は素敵。
素直になれないために、子供相手に問いかける彼らがもどかしいのなんの。
幼き己らを緩衝材としなければ、まともに幼馴染みを名前で呼ぶことすら躊躇う。
そんな二人が時間移動の果てに見つけた境地は、とても意義のあるものだったと思います。

ニアと祖母のエピソードが、柔らかい陽の光みたいに優しくて、地味ながらも好きでした。
いいなぁ、このあったかい感じ。

SF要素に関しては、あくまで舞台装置の仕掛けであって、主題ではなさそうですね。
少なくともこの上巻では。
それでも、ニアやマチが過去に残した跡は、大きな変化を生むことを予感させる伏線がばら撒かれています。
下巻で、どこまで拾ってくれるのか楽しみですね。

仲違いのキッカケが生まれた過去の瞬間にタイムスリップを果たした男女の恋物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  昨日は彼女も恋してた  入間人間    評価B 

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灼熱の小早川さん 

灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)灼熱の小早川さん (ガガガ文庫)
(2011/09/17)
田中 ロミオ

商品詳細を見る
読書期間:2012/6/8

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
ラブコメ
リアリティ
構成


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3



 人間関係も勉強もそつなくこなし、万事如才ない高校生となった飯嶋直幸。県下でもトップレベルの進学校に入学した彼は、なに不自由ない学園生活を手にした。伝統と自粛のバランス――そんな口当たりのいい雰囲気に突然水を差したのは、クラス代表となった小早川千尋。代表に立候補し、履行の邪魔なので副代表は不要と言いはなった眼鏡女子だ。常にテンション高め、ガチガチの規律でクラスを混乱に陥れる彼女のその手に、直幸は炎の剣を幻視する。そして彼女の心の闇を知るのだが――。
 田中ロミオ最新作は、ヒロイン観察系ラブコメ!?

【感想】


田中ロミオ氏が作り上げる新感覚ラブコメ。
AURA ~魔竜院光牙最後の闘い~」と似て非なる作品です。

一つの作品で、これほど評価が自分の中で割れるものはなかったかもしれません。
メチャクチャ面白かったと思うと同時に読了感の酷さにムカムカとしました。

校則を守り、風紀の乱れを徹底的に正そうとするクラス代表・小早川千尋
厳しく律しようとする彼女は、明らかにクラスから浮いた存在だった。
そんな彼女を抑制するために、クラスメイト達から担がれた主人公・飯嶋直幸は、世渡り上手なスキルを活用して、彼女に取り込もうとするのだが――といったストーリー。

「炎の剣」なんて単語が登場するのでSF要素が混入するのかと思いきや、至極真っ当な学園モノでした。
客観的に見て正しいことをしてるのに孤立する千尋を観察しているうちに、クラス内のポジショニングを忘れて手助けに走る直幸の姿が胸を熱くさせてくれます。
たった二人でクラス行事や仕事をこなす彼らを見ていると、もどかしさと悔しさが募る一方でした。
それでも、距離を縮めていく二人が報われ、自分勝手なクラスメイト達には痛快なオチが容易されているのだと信じ、読み進めていったのですが……。

あえて一言で集約するならば……惜しい
明確なテーマを掲げ、着実に積み上げていったアプローチを台無しにするラストが勿体無さすぎる。
急展開といった類のものではなく、放り投げたとしか言いようがありません。

確かに、決着が非常に難しい題材ではあると思うんですよ。
学校のクラス内の空気は、数あるコミュニティの中でも特殊で、日本人特有の同調気質が悪い方へと働いた結果、いじめなどが生まれたりするわけです。
個別で対応すれば、誰だってイケないことだと理解しているのに、集団では理性よりも輪を保つ意識に傾いてしまいます。
これは、兼ねてより日本人の抱える悪癖でしょう。
それを真正面から捉え、生々しくて歯がゆい人間関係を描いたら、この人の右に出る方はそうはいないでしょうね。
良い意味で、嫌悪感を抱かせる内容となっています。

例えば、バットエンドでもキッチリ描ききっているのであれば、相応の評価を得られると思うんですよ。
でも、これは妥協したのか、問題提示をしたかったのか、とにかくエンターテイメント作品としては酷いラストです。
夢落ちばりに理不尽な方向転換に納得できる要素が見当たりません。
著者の実力を持ってすれば、感動的な盛り上がりを見せつけることも出来ただろうに、勿体無い。

「人類は衰退しました」が特異な文体を求められることもあって、通常のロミオ節を久々に読みましたが、やはり良いですね。
深夜に読み始めたら、スルスルと入ってくる文章に虜となり、途中で本を閉じられなくなってしまいました。

クラスメイトを愚者と罵り、過激な発言が多い千尋の揺れる心情を垣間見る方法が新鮮でしたね。
気丈に振る舞いながらも、たまに凹んでしまう彼女の弱さに、完璧な人間などいないのだと改めて認識させられました。
直幸が表面上の付き合いを続ける友人達と比べると、如何に千尋の心がピュアであったかを思い知ります。
時が経つにつれて、どんどん愛おしい存在となっていきました。

面白かったのは確かなんですけどねぇ。
残り数ページでの超展開が、つくづく勿体無いと感じました。

ラストの駆け足が勿体無いと感じる程にスクールカーストがリアルに描かれています

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  灼熱の小早川さん  田中ロミオ  西邑  評価B+ 

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ドラフィル! 竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 

ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 (メディアワークス文庫)ドラフィル!―竜ヶ坂商店街オーケストラの英雄 (メディアワークス文庫)
(2012/03/24)
美奈川 護

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読書期間:2012/6/3~2012/6/7

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成
感動
人情
音楽


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 音大を出たけれど音楽で食べる当てのないヴァイオリニストの青年・響介。叔父の伝手で行き着いた先は竜が破壊の限りを尽くした――と思える程に何もない町、竜ヶ坂の商店街の有志で構成されたアマチュアオーケストラだった。激烈個性的な面子で構成されたそのアマオケを仕切るボスは、車椅子に乗った男勝りの若い女性、七緒。彼女はオケが抱えている無理難題を、半ば強引に響介へ押し付けてきて――!?竜ヶ坂商店街フィルハーモニー、通称『ドラフィル』を舞台に贈る、音楽とそれを愛する人々の物語。

【感想】


地方の商店街メンバーで構成されたアマチュアオーケストラが奏でる音と人を繋ぐストーリー。

音楽の世界で成功を収めるものは、ほんの一握りという表現すら生温い。
そんな厳しい分野で働き口のなかった藤間響介だったが、叔父より商店街のアマチュアオーケストラを紹介される。
公民館の臨時職員を兼ねつつ、商店街の人情溢れる人々と心を通わせていく、そんな情熱と慈愛の物語です。

美奈川護さんの本を読むのは、デビュー作「ヴァンダル画廊街の奇跡」以来です。
荒削りながらも光るものがあると評してから2年。
知らぬ間に、ここまでの域に達していたのかと驚かされるほどに良く出来た作品に仕上がっていました。

ラノベ色を排除したことで、登場人物たちの心情に焦点が合わさってます。
この方は、ラノベよりも一般向けの方が向いているのかもしれませんね。
余計な設定に振り回されず、剥き出しの想いが塊となってぶつかってくる本作は、音楽モノの人間ドラマとして実に見応えのある出来栄えでした。

主人公・藤間響介が、街に馴染んでいく過程が心地良い。
寂れた街ながらも元気に音楽活動を励む商店街の面子が、故郷に帰ってきたかのような安心感を与えてくれます。
横の繋がりに変なしがらみはなく、ただただ根強い交流に心が温かくなりますね。
その中心に居る車椅子の女性・一之瀬七緒が、飾らない性格で、ガンガン突き進むのも良かったです。

短編連作形式となっているため、まるでテレビドラマを見ているような感覚になりました。
響介と親しくなっていくメンバーが、一人ずつ増えていき、最後に待ち構えるのはヒロイン役の七緒という構成は、定番ながらも巧く乗せられたなぁと感じました。
終盤の引っくり返しは、予想より一歩先に進んだもので、単純に面白かったです。

クラッシックに詳しくなくても理解できるよう配列された文章が非常に丁寧な印象を受けました。
題材も学校の教科書を開けば出てくる有名な音楽家や楽曲を選出していることもあって、想像しやすかったです。
音を楽しむと書いて「音楽」ということを、文字媒体で表現している文章に惹かれました。
惜しいのは、人間ドラマの割合が多めで、演奏シーンの量が物足りなかったこと。
紡がれた単語が並びを得ることで生まれる「音」にもっと浸っていたかったなぁ。

始まりの終わりとも言える内容だったので、綺麗に終わってはいますが、続きも書けそうな感じ。
メインとなる第四楽章はともかく、その他は若干踏み込みの浅さも見られます。
土台は出来たわけですから、続巻が出るのであれば、その辺りにも期待したいところですね。

音楽を愛する人達が自らの想いを音に変えて伝えようとする人間ドラマ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ドラフィル!  美奈川護  富岡二郎  評価B+ 

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