明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

10«1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.»12

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 /  Trackback -- /  Comment --

△page top

バカとテストと召喚獣10.5 

バカとテストと召喚獣10.5 (ファミ通文庫)バカとテストと召喚獣10.5 (ファミ通文庫)
(2012/09/29)
井上 堅二

商品詳細を見る
読書期間:2012/10/1~2012/10/2

【評価……A-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
バカ
ギャグ
ラブコメ



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 進路希望調査の記入内容に迷う明久・雄二・ムッツリーニの三人に、学園長が提案したのは召喚者の未来をシミュレートする新たな実験――「間に合ってます」「なんだいその反応!?」(正しい教師とのやりとり)。
 とはいえ興味をそそられたFクラス面々は早速試してみることに……。
 『僕と未来と召喚獣』他、明久と雄二を襲った衝撃の人格入れ替わり事件の顛末『僕と雄二と危ない黒魔術』など全4本でお贈りする青春エクスプロージョンショートストーリー第5弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


バカテスシリーズ通算15冊目、短編集第5弾。
美春と共に玉野さんが早くも表紙登場。
大躍進ですなぁ。

やっぱり、バカテスは短編集の方が面白い。
皮肉なことに、テストや召喚獣が関わらない方が、ギャグセンス抜群である作者の力を存分に発揮できるんですよね。

僕と兄さんと謎の抱き枕

高校見学にやってきた久保弟&土屋妹から見た文月学園の非日常的な学園生活。
兄が明久の抱き枕などを所有していることを知った久保弟が事実を確かめに調査しにやってくる話です。

情報収集に努める久保弟を嘲笑うかのように、生徒たちの吉井明久評が酷いw
誰に尋ねても一言目にバカと言われ、二言目に衝撃的な噂を流される始末。
それがあながち間違いではないのが、明久の明久たる所以なのでしょうがねw
久保弟は、作品内では稀にみる常識人なので、文月学園に関わらない方が彼にとっては幸せではないかな……。

僕と雄二と危ない黒魔術

バカテス版「ココロココネクト ヒトランダム」編。
怪しげな黒魔術により明久と雄二の人格が入れ替わってしまい、いつものメンバーを巻き込んだ一騒動が繰り広げられます。

もはや召喚獣のシステムすら関係のないファンタジー設定は少々突飛すぎる気がしましたね。
しかし、それすら気にならないほどに勢いが凄まじく、笑いが止まりません。
見慣れたやり取りのはずなのに、言葉のチョイスが絶妙で、何度噴き出してしまったことやら。
笑いの破壊力は、今巻最大でしたね。
玉野さんの行動がガチ過ぎて、ギャグで収まりきれなかったのはいかがと思うw

僕と未来と召喚獣

進路に悩む明久達の前に、学園長による召喚獣調整の実験が行われれる恒例の展開。
今度の召喚獣は、未来のシミュレートができるというもの。

これは興味深いエピソードでしたねー。
みんな身長が伸びたり、大人っぽくなったりしていて、外見的な成長が窺えます。
葉賀ユイさんのイラストを眺めることが出来ただけでも、この話は大成功でした。
20代中頃の明久には、今にはない余裕が生まれていて格好良かったですね。

私とウサギと仄かな初恋

吉井くんと瑞希ちゃんの過去話。
瑞希が事あるごとに匂わせていた明久に好意を抱くようになったキッカケですね。
それが遂に明かされます。

未来以上に有り得ないくらい美少年な明久がいる!
明るくて皆の輪の中心にいて、周囲に笑顔を振りまくクラスの人気者。
一体この天使のような子が、どうしてあんなにバカになってしまったんだ……。
まぁ、視点の関係から瑞希フィルターによる補正が強かったのかもしれませんが。

ネガティブな思考が常な瑞希ちゃんにとって、明久は眩しい存在だったでしょうね。
些細なことで喜ぶ二人が、微笑ましくてほんわかとした気持ちになりました。
それだけに意外なストーリー運びに少々驚きましたけど、この話、絶対裏側がありますよね。
美波の過去話が雄二視点でも語られたように、今度は明久視点で見せてくれそう。

ノンストップバカコメディの真骨頂は短編にこそある

スポンサーサイト

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカとテストと召喚獣  井上堅二  葉賀ユイ  評価A- 

△page top

ココロコネクト アスランダム 上 

ココロコネクト アスランダム 上 (ファミ通文庫)ココロコネクト アスランダム 上 (ファミ通文庫)
(2012/09/29)
庵田定夏

商品詳細を見る
読書期間:2012/9/29~2012/9/30

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
青春
ラブコメ
家族愛
構成
SF

 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6


 <ふうせんかずら>が五人に終わりを告げて四カ月。――その異変はクラスメイトから起きた。
 唯の友人が、太一たち文研部を見て怯えるような態度を取り始める。さらに五人は、時折生徒の話し声が聞こえなくなるという不思議な感覚を味わう。終わらない現象に落胆しながらも、『他人から敵視される・隔絶される現象』だと推測するメンバー。しかし時を同じくして五人の中では一時的な記憶の消失が起こり始め……。
 愛と青春の五角形コメディ。最終章、開幕。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


ココロコネクト最終章の幕開け。
ラストエピソードは、上下巻構成かつ厚めの本となっています。

不思議な現状を打破するため、あえて考えてこなかった原因。
何故<ふうせんかずら>は、文研部メンバーに特殊な環境を強いるのか。
語られなかった物語が、暴かれます。

正直、最後までスルーされる設定だと思っていたので、正面から取り組んでいることに驚きました。
この作品の売りは、SF設定ではなく、その状況下における人間関係と成長でしたので、どちらでも良かったんですよね。
これまでとは異なる展開に、新たな面白味がありました。

しかしながら、今回の話はスケールが大きくなりすぎた気がします。
元々<ふうせんかずら>の超常的な力に際限は見られませんでしたが、これはさすがにやりすぎかも。
もっともらしい設定付けはありますが、何でもありという印象は拭えません。
もう少し小規模で収めていた方が、変に引っかからずに読めたかな。

文研部に留まらず、事態が大きくなっていき、次第に絶望感が漂います。
必然的に行き詰まっていき、明日はどっちだ?という状態。
その中で、太一たちが見つけた光が、今までと異なるアプローチで良かったです。
いつの間にか登場人物同様に視野を狭められていて、作者にしてやられたなぁと思いました。
そうですよねぇ、敵か味方かといったら、味方に決まってますよねー。
たとえ前提が覆ろうとも、作品の根幹は変わらなくて安心しました。

上巻だけあって、説明描写多く、トラブルもちっとも解決していません。
それでも読了感が悪くない構成となっており、むしろ盛り上がってきたところで次回に続くので、非常に気になります。

デレばんを始め、キャラの魅力が出にくい話だったのは、少々残念かな。
シリアスでも構いませんが、真面目な話を繰り広げている最中にボケをかますのがイイ味出しているので、コメディ抑えめだったのは物足りなさを感じますね。
キャラが多くなったことで、掘り下げが浅くなってしまっているのも否定できません。

展開的にはテンプレート通りとはいえ、じわじわと湧き上がってくるかのような高揚感があります。
システム側、主催者、超常現象的存在などと対峙するストーリーは、やはり燃えますね。

当たり前のように近過ぎて、だからこそ気付かなかったことに気付く話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ココロコネクト  庵田定夏  白身魚  評価B+ 

△page top

ゴールデンタイム外伝 二次元くんスペシャル 

ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)ゴールデンタイム 外伝 二次元くんスペシャル (電撃文庫 た 20-20)
(2012/06/08)
竹宮 ゆゆこ

商品詳細を見る
読書期間:2012/9/19~2012/9/28

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 三次元に絶望した男――その名も二次元くん。本名は佐藤。大学一年生。
 大学でも三次元の女は完全スルー、脳内嫁(名前はVJ。セーラー服で日本刀を持って戦う14歳)との対話や自作小説の執筆に明け暮れていた。
 そんな彼へ三元からの刺客が現れる。
 中学時代の後輩――魔性の秋。雰囲気のあるある美少女で、思わせぶりな距離感で接してくる。大学の同級生――同人戦士・愛可。二次元に生きる者同士の共感を武器に二次元くんに迫りくる。
 はたして二次元くんは二次元への想いを貫けるのか!?竹宮ゆゆこ&駒都えーじが贈る二次元叙情巨編!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「ゴールデンタイム」シリーズ初となる外伝作品。
本編では脇役である二次元くんを主人公として一冊丸々描かれています。

いやー、二次元くんを舐めてましたね。
その名に相応しい完全に向こうの世界に旅立った漢でした。
ドン引きするぐらい重症ですよ、彼……。
脳内嫁の設定の細かさや、現実と妄想の境界線の曖昧さが危ないよ……。

共感できる部分があるだけに、情けないなぁと思ってしまいますね。
自分に言い訳しまくりなところが、身に覚えありまくりでかなりキツイです。
大学生で中二病を患っている姿が痛々し過ぎて、見ていて苦しい。
個人的に脳内嫁であるVJが全く萌えられなかったので、余計に引いた目で見てしまいました。

そんな引き返せない境地まで辿り着いてしまったオタクが、リアルの女の子とお近づきになる話。
あー、所詮二次元くんも二次元の存在だったか。
そう簡単に可愛い女の子が接近するわけないだろうがと叫びたくなりますよね、うん。

男を誘惑する気配を放つ後輩・秋よりも、己の信念を持つ腐女子・愛可の方が好きです。
傍目から見たら、二次元くんとの相性も良いですし、付き合うなら愛可をお薦めしたいなぁ。

この作者は、思考の生臭さを書かせたら一級品ですね。
妙なリアリティとラノベ的フィクションの融合性に毎度のことながら感心させられます。
例えば、ヒロインの一人である秋は、大人と子供の中間である高校生のフラフラした脳内と形態を実に見事に描いていると思います。
ラノベであれば、つい魅力的なキーワードでキャラ設定を埋めつくしたくなるところを、回避したくなるような厭らしさを付随させてキャラを立たせるんですから凄い。

二次元くんが二次元の世界に逃避するだけではなく、三次元の行動で示すところは良かった。
たとえ格好悪くても、もがいて打開しようと必死なところは、プライドが高いだけのオタクじゃないなと思わせてくれました。

妄想に逃避するオタクの心理描写が生々しい

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンタイム  竹宮ゆゆこ  駒都えーじ  評価B 

△page top

正捕手の篠原さん3 

正捕手の篠原さん3 (MF文庫J)正捕手の篠原さん3 (MF文庫J)
(2012/05/24)
千羽カモメ

商品詳細を見る
読書期間:2012/9/15~2012/9/18

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
コメディ
ラブコメ
スポコン
構成


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7



 「希望ポジションは……“正捕手”です!」
 激動の夏休み合宿も終わり、今日から新学期。秋と言えば、文化祭、クラスマッチとお楽しみイベント盛りだくさん。浮かれ気分の篠原たち明学野球部員だったが、忘れてはいけない重大イベント・秋期県大会が迫っていた!エース綾坂真琴を軸に必勝の作戦を練るがそこには大きな落とし穴が……!?
 一方、永らく仮入部員だった篠原の妹・杏は、愛理にソフトボールの才能を見出され、ソフト部への体験入部を奨められて……!?果たして篠原さんたちは試合に勝利し、無事に文化祭を迎えることが出来るのか!?
 フィナーレの第3弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


見開き野球部コメディ、最終巻。

打ち切りなんでしょうね、きっと。
2ページで収める形式が困難になって終わらせた……というわけでは決してないかと思います。
第1巻を読んだ時から、長く続けるのは難しいだろうとは薄々気付いていましたけどね。

2巻がちょっと微妙だったので、果たして今回はどうかなと訝しがっていたのですが……うん、悪くないじゃないですか。
新人作家らしく、作者の成長具合がハッキリ見て取れる内容で好感触でした。

野球関連の設定が曖昧だったのが、大幅に改善されていますね。
主人公たちの高校の強さや、球児たちの身体能力など、ようやく説明が追加されました。
具体的に掘り下げたことで、試合展開も熱が入るようになり、ストーリーそのものも楽しめます。
球の回転数など細かい話に一体どれだけの読者がついてこれるのか怪しいのは確かですが、個人的に求めていたのは、こういった野球の駆け引きが見られるラノベだったので、非常に満足です。
コントロールや選球眼が現実離れしてしまうのは、野球作品の宿命なのかな。
ボールカウントがボール・ストライクの順番で表記されていたのは、あえて訂正しなかったのでしょうかね。

ラブコメ的には、綾坂真琴の怒濤の追い上げで、深見さまとの三角関係が出来上がりました。
とはいっても、シリアス要素は薄く、いじらしい女の子の可愛さが売りなのは変わらず。
深見さまも真琴も、基本的に照れやすい性格なのが良いですね。
サクサクと進む掌編のメリットと相まって、コロコロと変化する表情が魅力的でした。

表紙を飾った妹の杏にクローズアップさせた方法に、感服させられました。
ショートショートの中に大筋の起承転結を巧く取り込んでいる見事な構成でした。
2ページという括りに拘らない方が、もしかすると良い作品を書けるかもしれませんね。

ともあれ、新感覚を味わえるゆる~い良作でした。
作者の次回作も一度読んでみたいなと思います。

最終巻にして野球要素が増量したテンポの良いラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  正捕手の篠原さん  千羽カモメ  八重樫南  評価B- 

△page top

明智少年のこじつけ1 

明智少年のこじつけ1 (ファミ通文庫)明智少年のこじつけ1 (ファミ通文庫)
(2012/01/30)
道端さっと

商品詳細を見る
読書期間:2012/9/1~2012/9/14

【評価……D
発想 ★★★★☆☆☆☆☆☆ … 4
設定 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
物語 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 1
人物 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 1
文章 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ギャグ
ラブコメ
ミステリー



 ★★☆☆☆☆☆☆ … 2
 ★★☆☆☆☆☆☆
 … 2
 ★★☆☆☆☆☆☆
 … 2




 幼なじみの明智京太郎は、今日もお決まりの台詞をつきつける――「小林くん。キミがこの事件の犯人だ!」ってオレを犯人扱いすんのはもうやめろ!
 おまけに文美は「すごいわ、名推理!」なんて合いの手打つし二重ちゃんに至っては「兄さんをイジめないで」と叫んでドロップキックを繰り出す始末。なぜだ、被害者はオレなのに……。とにかく京太郎、お前はまず証拠をもってこい!
 第13回えんため大賞優秀賞、その場しのぎのNEO的学園ミステリー。!!

【感想】


第13回えんため大賞優秀賞受賞作品。

完全に地雷でした。
何故これを選出したのが理解できないぐらいに酷かったです。
正直、途中で諦めようと思ったのは、一度や二度ではありませんでした。

探偵役が好きな明智京太郎が、理不尽なまでに主人公・小林修司を貶める作品。
日常生活に舞い込んできた事件を、無理矢理小林を犯人に仕立てようとする京太郎がムカつく
こじつけどころか、理論も何もあったものではありません。
中二病を発症して手のつけられなくなった野郎で、ただ小林を苛めているだけです。
ギャグ?コメディ?笑えるシーンなんて見当たりません。

しかもそれが延々と続きます。
ストーリーに変化を付けられないのか、登場人物達の喚き合いをただ傍観するだけ。
京太郎を始めとしたキャラの言動に腹が立ちまくりです。
こうして読書感想を書いているだけでも、ムカムカしてきたくらいですよ。

京太郎の妹である二重が押し倒されているカラーイラストを見て購入したのが間違いでした。
結局、挿絵の方も微妙でしたからねぇ。
amazonの評価が星1つであることを先に知っていたら、手を出すことはなかったのになぁ……。

唯一評価できるとしたら、方向性や狙いといったコンセプトかなぁ。
こじつけで推理するミステリーという発想は悪くないと思います。
ギャグとしてもシリアスとしても面白さを感じられなかったのは、実力不足なのでしょうかね。

「えんため大賞」といえば、野村美月、井上堅二、庵田定夏らを輩出した実績のある賞ですが、ハッキリ言って看板に傷を付けたと思います。
少なくとも、今後世間的な評判を見聞きする前に、新人作品に手を出そうとは思わなくなりました。

文章もつまらないルビを多用しすぎてて辟易とします。
相当なことがない限り、作者の本は今後読むことはないでしょう。

探偵を気取る少年から言い掛かりで犯人扱いされる主人公のギャグ小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明智少年のこじつけ  道端さっと  春日歩  評価D 

△page top

明日から俺らがやってきた2 

明日から俺らがやってきた〈2〉 (電撃文庫)明日から俺らがやってきた〈2〉 (電撃文庫)
(2012/07/10)
高樹 凛

商品詳細を見る
読書期間:2012/8/29~2012/8/31

【評価……C+
発想 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ
青春
ツンデレ
SF


 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5



 未来からやってきた“俺ら”の協力もあって、晴れて大学1年生となった俺・桜井真人。可愛い彼女・高瀬涼と一緒にこれから楽しいキャンパスライフを送っていけるんだ!と思っていたら……誰もが振り向く可愛さを持ちながらも性格最悪な台風少女・香坂伊織と知り合ってからは波瀾万丈な日々。そんな香坂を背負って、何故か深夜の街を徘徊するハメに……なんでこうなるんだ!?
 “俺ら”の関係にも新たな変化が――チャラ男の『推薦』&ガリ勉の『受験』に加え、高瀬のことが好きすぎる半ストーカーの『変人』が増えた。……ウソみたいだろ。全部、俺なんだぜこれ。一体どうなっちゃうんだ俺の未来……!?
 ちょっと大人になった“俺ら”とおくる未来系・青春ラブコメ「大学編」!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「明日から俺らがやってきた」のタイトルで説明が付くラブコメ作品、第2巻。
まさかの続編です。

なんというテンプレ的ラブコメ。
キャラも展開もどこかで見たことがあるようなものばかりですね。
それが前回はヒロインの可愛さで長所となっていましたが、物語的に出番が少なめで残念なことに。

代わりに用意されたのは、大学でぼっちのツンデレ娘・香坂伊織
人に対してついツンケンな態度を取ってしまうけど、本当は友達が欲しいという典型的なキャラですね。
彼女と仲良くならなければいけない理由が出来た主人公が、彼女と急接近したことで、ヒロインである高瀬涼との関係に暗雲が立ち込めるという先が読めるストーリーです。

主人公の桜井真人が複数存在する意味合いが変わってますね。
1巻の場合は、受験と推薦の選択に迫られた桜井が、未来からやってきた自分自身からアドバイスを受ける恩恵がありました。
2巻では、周囲から見えない存在だけが利点で、正直賑やかしにしかなっていません。
己が選択しなかった未来からきた、又は自分自身であるという設定の必要性が皆無なんですよねぇ。
無理矢理続けたって印象を与えてしまう作りになっています。

ラブコメ的にも美味しい実の部分は少なく、枝ばかりで構成されている感じ。
涼のクーデレが見所だったのに、魅力的なイベントはほぼありませんでした。
まだ出番が数ページしかなかった妹の優の方が萌えられたくらいです。

純情といえば聞こえが良いですが、大学を舞台とすると些か幼すぎると感じてしまいますね。
基本を押さえたラノベなので、それなりに面白くて読みやすいのは間違いありません。
でも、ただそれだけなんですよねぇ。

設定的にこれ以上広げるのは難しそうなので、次は新作に期待かな。

ぼっち気質のツンデレ娘が少しずつ心を打ち明けてくれる王道のラブコメ展開

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日から俺らがやってきた  高樹凛  ぎん  評価C+ 

△page top

とある飛空士への夜想曲 下 

とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)とある飛空士への夜想曲 下 (ガガガ文庫)
(2011/09/17)
犬村 小六

商品詳細を見る
読書期間:2012/8/21~2012/8/28

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
燃え
感動
ロマンス



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 サイオン島には「魔犬」がいる――。ヴィクトリア海海戦より半年後、帝政天ツ上軍の撃墜王・千々石は、神聖レヴァーム皇国軍の飛空士たちにそう呼ばれ恐れられていた。
 しかし、物量に劣る天ツ上の兵士たちは、レヴァーム軍の果てしない攻撃を前に次々と命を散らしてゆく。
 そして、ついに東進を開始したバルドー機動艦隊。迎え撃つべく、空母「雲鶴」に再び乗り込んだ千々石を待ち構えていたのは、最新鋭科学兵器に守られた海の要塞と、あの男の技だった……!
 魔犬と海猫――ふたりの天才は決着を求め、天空を翔る!「夜想曲」完結!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「とある飛空士」シリーズ第三部、完。

圧倒された。
ただそれに尽きます。

魔犬vs海猫、決着。
フルスロットルで翔け抜けた男達の戦いが、ここで一つ幕を閉じます。

運命というものはあまり信じないタチなのですが、この物語ばかりはそんな言葉がよぎってしまいます。
千々石武夫と吉岡ユキが出逢い、魔犬と海猫が出逢う。
二つの点を結ぶことで生まれる直線は、結末までも決めてしまったのではないでしょうか。

ストーリーは、誰もが予想した内容を辿ったものでした。
それなのに、どうしてこんなにも心を揺さぶられるのでしょう。
戦中ならば有り触れた出来事なのだとしても、陳腐だと一蹴は出来ません。
過酷な状況下で輝く命の尊さと、恐怖を乗り越えた感情の強さは、目が離せず惹きつけられます。
作中の表現にあった通り、まさしく「命を絞り尽くして」生きた者たちの物語だからこそ、胸を打つのでしょうね。

エースのエースたる所以。
千々石武夫の信念と実行に移せる実力に惚れ込みます。
確かに普段は古風なまでに不器用な千々石に対して、もどかしさを覚えてばかりで、波佐見やユキが憤るのも仕方がないなと思いました。
しかし、千々石の図太く育った根幹は、一種の憧れを抱かせる力強さがあります。
英雄を夢見る子供はもちろん、大人ですら勘違いして焦がれてしまうほどに。

そして、もう一人の主人公である海猫。
熾烈な戦いが繰り広げられる最中で、美しさすら感じさせたライバル関係。
彼が空を飛び続ける理由が、たった一言文中に登場しただけで、多大なる破壊力がありました。
魔犬と海猫だったからこそ生まれた空中舞踏だったのだと思います。

苛烈を極める戦争描写に遠慮が一切ありません。
形勢が傾き、消耗していく戦力と疲弊する飛空士たち。
それでも引かない、引くわけにはいかない男たちの執念。
お見事という他ありません。

これは果たして浪漫と呼べる代物だったのでしょうか。
戦争のやるせなさを痛感させられ、結果を見れば哀しみばかりが生まれました。
最後に紡がれた歌だけが救いであったように感じてなりません。
ただ一つ確かなのは、紛れもなく傑作だったということでしょう。

愛する人との約束を胸に抱き、宿敵との決戦に挑む男の物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  とある飛空士への夜想曲  犬村小六  森沢晴行  評価A- 

△page top

楽聖少女 

楽聖少女 (電撃文庫)楽聖少女 (電撃文庫)
(2012/05/10)
杉井 光

商品詳細を見る
読書期間:2012/8/10~2012/8/20

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
音楽
世界観
ラブコメ
ファンタジー


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5



 高校二年の夏休み、僕は悪魔メフィストフェレスと名乗る奇妙な女によって、見知らぬ世界へ連れ去られてしまう。そこは二百年前の楽都ウィーン……のはずが、電話も戦車も飛行船も魔物も飛び交う異世界!?
 「あなた様には、ゲーテ様の新しい身体になっていただきます」
 女悪魔の手によって、大作家ゲーテになりかわり、執筆をさせられることになってしまった僕は、現代日本に戻る方法を探しているうちに、一人の少女と出逢う。稀代の天才音楽家である彼女の驚くべき名は――
 魔術と音楽が入り乱れる、めくるめく絢爛ゴシック・ファンタジー、開幕!

【感想】


19世紀初頭で巻き起こるクラシック・ファンタジー。

魅惑的な悪魔により200年前もの世界へと飛ばされてしまった主人公。
彼は本来の名前を奪われ、文豪ゲーテとして生きることを余儀なくされてしまう。
史実とは異なる世界に困惑しながらも順応する彼は、ある一人の音楽家と出逢う。
その少女の名は、ルドヴィカ・ファン・ベートヴェン
稀代の天才音楽家は、何故か可憐な女の子の姿をしていた――という導入から始まるストーリーです。

著者の音楽を扱った作品といえば、名作と名高い「さよならピアノソナタ」。
個人的には、キャラクターが肌に合わず、2巻で切ってしまった作品でした。
しかし、音楽の造詣は目を瞠るものがありましたし、音の表現方法も耳を澄ませば聞こえてくるかのような文章が秀逸だったと記憶しています。
不安もありつつも期待を込めて、この作品を手に取ってみました。

一言でいえば、面白かったです。
ただ一つ注文をつけるのであれば、味付けが好みではなかったかなという感じ。

これは「さよならピアノソナタ」ではなく、舞台が変わった「神様のメモ帳」ですね。
まるであえて真似ているのかというぐらい共通項が多いです。
ピンチからの脱却や起死回生の作戦などといった構成も似通っています。

主人公・ユキとヒロイン・ルゥが、「神様のメモ帳」に登場するナルミとアリスそのままです。
一見何も能力を持っていない受け身体質かと思いきや人を纏め上げたり指導することに長けたツッコミ役の主人公と、14歳という幼さを絶妙に残す年齢で傲岸不遜ながらも時々ツンデレを顔見せする口調が「~だよ」「~なのかい」の僕っ子ヒロイン。
キャラの描き分けが出来ない作家さんではないので、意図的なんでしょうね。
いくら好評を得たからと言っても、もう少し変化を見せてくれても良かったんですが。
おかげ様で、大半のやり取りが既視感を覚えるものでした。

本作の売りは、古典派時代の音楽家が意外な形で登場するところにあります。
ベートーヴェンが女の子だったというだけでなく、世界史の教科書に出てくる有名人が妙な設定を付随してゴロゴロと出てきます。
歴史上の偉人を面白可笑しいキャラに仕立てており、シュールかつコミカルな笑いに誘われます。

またタイムスリップ物としても優秀で、歴史を知っている優越感が味わえるのも良いですね。
主人公の知識量に驚かされますが、興味のある分野であれば有り得る話なのかな。
ストーリーのオチは、綺麗だったなと思います。

それだけに盛り上がりどころの異能バトルが浮き過ぎです。
悪魔メフィストフェレスからして何でもありみたいな能力を持っていますけど、だからといってこの作品にバトルは必要なかったのではないでしょうか。
燃える、熱い展開を描きたいのであれば、純粋に音楽で魅せて欲しかった。
それだけの技量も持っていますし、実際中盤では圧倒された場面もありましたから。

岸田メルさんの描くゴシック調のイラストは、作品との相性抜群ですね。
可愛い女の子だけではなく、彫の深い顔の男性も見事に描ききっていました。

文豪と作曲家で巡り合うことで生まれる新たな音楽とファンタジー性のある物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  楽聖少女  杉井光  岸田メル  評価B 

△page top

バッカーノ!1711 Whitesmile 

バッカーノ!1711―Whitesmile (電撃文庫)バッカーノ!1711―Whitesmile (電撃文庫)
(2011/12/10)
成田 良悟

商品詳細を見る
読書期間:2012/8/4~2012/8/9

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
構成
期待感




 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 1711年、彼らはついに海に出る。新大陸に向け――。それぞれの心の中に吹き荒れる風を受けて――。
 マイザー・アヴァーロは探求の風。
 セラード・クェーツは野心の風。
 ヴィクター・タルポットは責務の風。
 ベグ・ガロットは研究心の風。
 東郷田九郎とザンクは義侠の風。
 グレットとシルヴィは逃避の風。
 ナイルは恩義の風。
 チェスは他人の風に吹き流されて……。
 多くの錬金術師が大海原へと旅立つ中、失意のヒューイ・ラフォレットは――。

 『不死の酒』を巡る馬鹿騒ぎ、“始まりの物語”の結末は――。
 中世を舞台にした異色作第3弾!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「バッカーノ!」シリーズ第17巻目。
ナンバリングされていないので分かり辛いですけど、ラノベとしては相当長編シリーズとなっています。

全ての始まり、アドウェナ・アウィス号。
船上で不死の酒を飲み交わした錬金術師たちが、いかなる理由でそこへ辿り着いたのか。
ここまで積み重ねてきた物語の原点ともいうべきエピソードが描かれた今回の内容。
面白くないわけがありません。

錬金術師オールスターといって過言ではない表紙からして豪華過ぎますね。
ヒューイが、エルマーが、マイザーが各々の想いと野望を抱き、船旅に出る経緯が遂に明かされています。
一体いつからここまで深く入り組んだ物語を頭に描いていたのでしょうか。
主要人物だけでも両手で足りない数いる中で、複雑に交差した人間関係を見事に綴っています。
この構成力は今更ながらに圧巻ものですね。

1930年代や2000年代の土台は、やはり1700年代に形成されたものでした。
全ては線で繋がっているとは、まさにこのこと。
その観点からすると、「バッカーノ!」の真の主人公はヒューイしか考えられませんね。
フェルメートがラスボス、エルマーがキーマン、ついでに言うとフィーロが第2作目の主人公って感じ。
エルマーは隠しボスになる可能性も秘めていますがね。
シリーズの決着は、馬鹿騒ぎらしく笑えるものだといいなぁ。

意外な過去が判明したキャラが何人かいましたね。
ヴィクターとセラードの乗船経緯は予想外でした。
そもそも二人に繋がりがあったことや、セラードが妙に現実派だったりしたことも驚き。
シルヴィの生い立ちも想像付きませんでした。
成程、ある意味変わっていないのはエルマーぐらいということか。
上手い見せ方ですね。

フェルメートの悪人っぷりと、エルマーの末恐ろしさが際立ちました。
イロモノ揃いである作品でも、飛び抜けて毒の強いのがこの二人ですね。
エルマーは特殊だとしても、フェルメートが天敵だと認識している対立関係が面白い。

ヒューイ、エルマー、フェルメートの3者から特別視されている彼女のその後が気になります。
哀しい結果にだけはなりませんように。

謎とされてきた登場人物達の心情や関連性などが次々と暴かれる過去編集大成

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バッカーノ!  成田良悟  エナミカツミ  評価B+ 

△page top

“夕顔”ヒカルが地球にいたころ……2 

“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2) (ファミ通文庫)“夕顔” ヒカルが地球にいたころ……(2) (ファミ通文庫)
(2011/08/29)
野村 美月

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/31~2012/8/3

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
恋愛
ツンデレ
期待感


 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8



 取り憑かれ、うっかり友達になってしまった幽霊のヒカルのため、その“心残り”を晴らす約束をした是光。ヒカルが示した次の相手は、内気な引きこもりの少女だった。
 夜にだけ咲く儚い花のような少女、夕雨。閉じた世界で幸せに微笑む彼女と過ごすうち、徐々に放っておけない気分になる是光だったが……。
 何故か約束の内容を告げないヒカル。そんな中、夕雨を不登校にした“怨霊”の噂が学園に甦る。その正体を前に、是光は――!?
 大人気シリーズ第2巻、登場!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


源氏物語をモチーフにした淡く切ない、そして冷徹さを感じさせるシリーズ第2弾。
ひんやりと冷たい表面だからこそ、温もりが熱く実感出来るような作品ですね。

成仏し損ねたヒカルには、心残りのある女性が数十人いるらしい。
その中の一人、引きこもりの少女、奏井夕雨
ヒカルと彼女の約束を果たすために、またしても赤城是光は人情で動くストーリーです。

物語が見事に練られていて、読み応えがあります。
ミステリー要素を含んだストーリー展開に振り回されるのが楽しい。
ヒカルの関係者は訳あり顔で慎重な姿勢を見せる中、強引に突破する是光が格好良いです。
やはり著者のキャラは掘り下げた分だけ、新たな一面を見せてくれますね。

しかしながら、ヒカルの肝心なことに関して黙秘する態度が気に食わない。
1巻でも指摘した部分ですが、あまりにも都合が良過ぎではないでしょうか。
言い訳らしきことも綴ってありましたけど、要するに結局是光のことを信頼していないわけです。
もちろん、ヒカルが隠していた事実が驚愕もので、最終的に語ることが出来なかった理由が判明するのでしょう。
それは分かっていても、是光に秘匿して裏から誘導しているように見えるヒカルの姿勢には納得がいきませんでした。

夕雨のキャラクターは、男性受けしそうだなと思いました。
か弱い存在で守ってあげたくなるような儚さを併せ持つ少女で、庇護欲をそそられます。
繊細で、しかし心に滾る想いは強くて、彼女の魅力がいっぱい詰まった内容だったと思います。
個人的には前回の葵の方が好きなので、出番がほぼなかったのが残念でしたけどね。

その代わりといっては失礼ですが、帆夏が素晴らしいツンデレっぷりを見せつけてくれました。
まさかこんなに早くデレデレになってくれるとは。
彼女の視点になった途端に、雰囲気がガラリと変わりますね。
素直になりきれずに葛藤する女の子は、もどかしくてたまりません。

是光にハーレムを形成する素質があると見込んで、ヒカルは取り憑いたのだろうか?
順調に女の子を囲みつつある是光は、一刻も早く女心を理解するべきだと思います。
この世界観では、下手すると刺されかねないですよw

最後の引きは強烈でした。
次巻の展開が非常に楽しみです。

引きこもり少女に外の世界を見せたくなった主人公が彼女の過去に介入する話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ヒカルが地球にいたころ……  野村美月  竹岡美穂  評価B 

△page top

明日も彼女は恋をする 

明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)
(2011/12/22)
入間 人間

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/28~2012/7/30

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★
 … 9





 『過去の改変』から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。そして、もうひとつ。わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。慣れきっている。そして、この世界の『現在』では、彼は九年前に死んでいた。その蔓延する常識が、わたしを苛み、蝕んでいく。わたしが歩ける毎日。それは彼が死んだ現代。決めた。わたしは必ず取り返す。わたしと彼がいた世界を。必ず。
 『昨日は彼女も恋してた』と上下巻構成。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

昨日は彼女も恋してた」から続く時間モノのラブロマンス、後編。

想像していたものとは方向性が違いましたけど、面白かったです。
しかし、内容を語ろうとするとネタバレに触れてしまうので、感想書くのが難しいですね。

仕込まれていた仕掛けは、期待通りで、見事に騙されました。
一応途中で気付くことは出来んたんですけど、何故もっと早く感付けなかったのかと悔しくなりました。
タイトルの意味、表紙の人物と車の違い、ボカされた説明文。
ヒントは山のようにあったのに、頭の中で繋がるまでに時間が掛かりすぎました。
巧妙に隠されていたということなのかなぁー。

下巻を読み終えたあとこそ、上巻の意味があります。
改めて読み直すと、ニヤリとさせられる場面の多いことといったら。
書いていて混乱しないのかなと心配になるほど複雑ですね。
何も知らないで読んでいたのが不思議なくらいに罠が張り巡らされています。

発想も構成も良し。
唯一甘いと思ったのが、タイムトラベルに関する設定かな。
テーマ的にタイムパラドックスの問題は避けられない中で、まだ納得できる定義にはしてくれていました。
それでも、曖昧とされてしまった部分が多く、引っ掛かりを覚えてしまったのも事実。
長編シリーズならまだしも、上下巻作品ではこれが限界かなぁとは思うんですけどね。

でも、この作品に一番重要な要素は、タイムトラベルではなく愛を中心とした人間関係です。
彼や彼女の執念ともいうべき想いこそが、この物語の発端であり全てだったんでしょう。
登場人物の心情または信条は、入間人間節が炸裂しており、作者の読者ならば「らしさ」を感じられるものだったと思います。

判明する内容については衝撃的で濃かったですけど、表面上の出来事自体は上巻のが好みでした。

全てが引っくり返る仕掛けに気が付いた時に得られる驚きは感嘆モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日も彼女は恋をする  入間人間    評価B 

△page top

アクセル・ワールド11 ―超硬の狼― 

アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)アクセル・ワールド〈11〉超硬の狼 (電撃文庫)
(2012/04/10)
川原 礫

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/24~2012/7/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
燃え
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 ブレイン・バースト内を暗躍する謎の組織≪加速研究会≫。その総本山≪東京ミッドタウン・タワー≫の頂に鎮座する、≪大天使メタトロン≫。
 完全無敵の神獣級エネミーによって守護されている≪加速研究会≫を打倒するため、七王会議が開かれた。
 そこで導き出された秘策とは、シルバー・クロウの新アビリティ≪理論鏡面≫獲得作戦だった。
 メタトロンの放つ絶対即死極太レーザーにも耐えるアビリティを習得する命を受けたクロウだが、≪心意技≫がイマジネーションによって生み出されるのに対して、≪アビリティ≫は行動をトリガーに発現する。そのため、今までのハルユキの強いイメージだけでは、≪理論鏡面≫アビリティは習得できない。
 いっこうに糸口を見えないハルユキに対して、≪アーダー・メイデン≫こと四埜宮謡が哀しい過去を語り始め――。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「アクセル・ワールド」新章開幕。
長らく続いた「災禍の鎧」編を終え、新たな始まりを予感させる内容となっています。

いわゆる種蒔き回というやつですね。
何か大きな事が起きそうだという期待感は募りますが、伏線消化されるのは随分先だろうなぁ。
この巻だけでも楽しめないことはないんですけど、次への布石のための下積みという印象が強いです。
丁寧過ぎて展開が遅く感じてしまうのが、長所でもあり短所でもありますね。

これまで触れられてこなかったアビリティの設定について、細かく解釈が用意されていました。
しかし、ハルユキが未だに基本システムからして把握しきれていないのは、後出しで設定を追加しても問題ないようにするためなんだろうか。
そう疑ってしまうくらいに、都合がいいなと思ってしまいました。
もちろん、最初から考えていたことなんでしょうがね。

サブタイトルにもある通り、防御力がとてつもなく高いアバターが出現するのが今回の肝。
反則的な能力を有する新星に対して立ち向かうシルバー・クロウが、己を省みる流れが素敵でした。
自分自身が加速世界初となる飛翔アバターとして君臨した際に、周囲が抱いた羨望と嫉妬を本当の意味で理解出来たのは、今回が初めてのことなんでしょうね。
当時の自分を振り返ることで、更に一歩成長するハルユキが主人公として輝いていました。
「災禍の鎧」編に比べると、背負うものはなくなったことで、気楽に読める分、燃え要素も物足りなさを感じてしまったのは、仕方ないですかね。

それにしても、本道を真っ直ぐに進まない作品だなぁ。
感覚的には、RPGで主となる目的を達成するのに必要な情報をかき集めるために全く違うクエストをしているというイメージ。
このままでは≪大天使メタトロン≫戦は、きっと5巻くらい先になるのではなかろうかw

キャラクターは、七王会議に参加する面々に魅力があって良かった。
やはり王たるもの貫録が違いますね。
黄の王の皮肉屋っぽいところが結構好きだったりします。

アニメは終わってしまいましたが、おそらく原作の人気からして続編は作られるでしょうね。
その時のためにも、原作ストックを溜め込んで貰いたいなと思います。

少しずつだけれど確実に主人公の成長を実感できる丁寧さが売り

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  アクセル・ワールド  川原礫  HIMA  評価B 

△page top

バタフライ×ブレイクダウン 1 君が世界を救うというなら 

バタフライ×ブレイクダウン 1 君が世界を救うというなら (ファミ通文庫)バタフライ×ブレイクダウン 1 君が世界を救うというなら (ファミ通文庫)
(2012/05/30)
佐々原史緒

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/21~2012/7/23

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
SF
ラブコメ
コメディ



 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7




 祐吾の前に突然“空から降りてきた”少女、桜庭せせりは未来から来た「時軸修復士」だった。
 何でもこの時代の些細な出来事が巡り巡って未来の世界滅亡に繋がるのだと!
 ところがそれを阻止するための彼女の任務は恋のキューピッド役など何かと地味。果ては「はぁ!?トップアイドルの○○を××する!?」「協力してください!」「え?ま、任せとけ!ってか、そんなんで人類助かるの!?」
 時代を越え運命を越える、崖っぷちのボーイ・ミーツ・ガールズ!!

【感想】


「暴風ガールズファイト」の佐々原史緒さんが紡ぐ新たな物語。
未来から来た少女の手助けをすることになるタイムトラベル&ラブコメ作品。

タイトルは、バタフライエフェクト、又はバタフライ効果から。
日本人的には「風が吹けば桶屋が儲かる」の方が馴染み深いのかもしれません。
現代の些細な出来事が遠い未来で世界滅亡に繋がることを知った主人公・岡崎祐吾は、おっちょこちょいな時軸修復士・桜庭せせりに頼まれて世界滅亡を阻止する協力をすることになるストーリー。

読書中はそれなりに面白かったけれど、振り返ってみるとあまり印象に残るものはなかったかぁ。
良い意味でも悪い意味でも。

設定的にどんな無意味に見える任務であろうと実は意味として成すというのは、作者としては楽でしょうね。
好きなように話を弄りたい放題ですから。
しかし、何でもありだからこそ、物語の主軸を作り辛いのかもしれません。
遠い未来の結果を防ぐために、現代の関連なさそうな事象を食い止めるというのは、眼前の目的がどうしても希薄となってしまう傾向にあります。
ギミックとしては定番ではありますが、現代人の主人公側に危機感が足りないので、シリアスにはなりきれません。
おそらく狙ってコメディ重視の作品としているのでしょうね。

実際、祐吾とせせりのやり取りはなかなか楽しめました。
一見おっとり系の可愛い女の子に見えるせせりが、パワフルで豪快な性格で祐吾を振り回すのが面白い。
若干天然気味でポカをする彼女は、やるべきことに一生懸命で憎めませんね。
妙に思考が根暗だったり極度に自虐的だったりするのも良いスパイスになっています。

もう一方のヒロインである高峯揚羽は、見た目通りのツンと澄ました少女でした。
トップアイドルである彼女との関わり合いで芸能界の裏側などが描かれているわけですけど、何だかそちらの方がメインとして相応しい舞台だったような……。
彼女が所属するアイドルグループの面々も個性的で面白かったですし。

文章センスはさすがですが、ちょっと流行を意識し過ぎかな?
もっと作者自身の色を出しても良いのではないかなと思いました。

イラストは、H2SO4さん。
カラーイラストの女の子達が煌びやかで目を奪われました。
そのぶん挿絵になると、ちょっと魅力が落ちてしまうのは残念でしたが。

どうやら事情により2巻が最終巻となってしまったようですね。
伏線散りばめているけれど、回収できているのかなぁ。

世界の未来を救うために少年少女が芸能界の裏側でアレコレする話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バタフライ×ブレイクダウン  佐々原史緒  H2SO4  評価B- 

△page top

人生 

人生 (ガガガ文庫)人生 (ガガガ文庫)
(2012/01/18)
川岸 殴魚

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/18~2012/7/20

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
コメディ
ラブコメ




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 九文学園第二新聞部に所属する赤松勇樹は、入部早々に部長の二階堂彩香から、人生相談コーナーの担当を命じられる。
 生徒たちから寄せられた悩みに答えるのは、理系女子の遠藤梨乃、文系女子の九条ふみ、体育会系の鈴木いくみの三人。
 三者三様の意見はいつもまとまらずに、とりあえず実践してみることになるのだが……。
 友達、恋愛、勉強、性癖、将来のこと。あなたのありふれた悩みにバッチリお答え!超☆感性・人生相談開始!!
 「邪神大沼」シリーズで多くの読者を爆笑の渦に巻き込んだ驚異の新人!川岸欧魚の最新作!!

【感想】


お悩み相談の形式で三人の美少女が、答えを模索する日常系短編集。

新聞部のコーナーとして、人生相談を受け持つことになった主人公・赤松勇樹
その回答者として、三人の美少女達が協力してくれることに。
理系女子の遠藤梨乃、文系女子の九条ふみ、体育会系の鈴木いくみ
彼女たちの会話劇がひたすら展開されます。

まったりと楽しめるコメディでした。
いわゆる駄弁り系の作品で、中身を求めちゃいけない類のものですね。
ストーリーらしきものは、ほぼないといって過言ではありません。

一つ一つのエピソードは短めで、偏った性格をしている彼女たちの珍答を笑いながら眺めるというスタイルです。
基本的に主人公は外側の立ち位置なので、絡みは少なめ。
ラブコメ的に美味しい場面というのは、あまりありません。
かといって、コメディもツボから微妙に外れている感じ。
ゆる~い笑いが、最初から最後まで続いた印象ですね。

記号的な少女達は、分かりやすい半面、独自性に乏しいかなぁ。
可愛くないわけではないんですけど、猛烈に心を揺さぶられるシーンは見当たらず。
いずれも惜しい人材だと思うので、掘り下げ方次第では化ける可能性もあるかもしれません。

この作品の一番の長所は、ななせめるちさんのイラストでしょうか。
エロいというか艶めかしい体つきで、女の子がとにかく可愛い。
口絵以上に挿絵で魅力的なラインを描ける絵師さんですね。
笑ったり、照れたり、恥ずかしがったり……ついつい何度も見直してしまいたくなります。

笑いの起伏が平坦気味ですが、地味に笑える場面もあったので、不思議と読後感は良好です。
ギャグに嵌るか否かで評価が大きく割れる作品ですね。

テンプレ的なコントが繰り返されることで笑いを積み重ねていくコメディ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  人生  川岸欧魚  ななせめるち  評価B- 

△page top

空ろの箱と零のマリア5 

空ろの箱と零のマリア〈5〉 (電撃文庫)空ろの箱と零のマリア〈5〉 (電撃文庫)
(2012/07/10)
御影 瑛路

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/17

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成
緊張感
狂気



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 大嶺醍哉が手にした箱は、“罪と罰と罪の影”。
 人々の罪を可視化、それを取り込むことによって対象を傀儡化する“箱”を使い、彼は人間を『選別』していく。
 自身の信念に基づき邁進する醍哉。
 そんな彼を“敵”とみなす星野一輝は、醍哉を止めるため、箱“願い潰しの銀幕”の使用を決断する。
 そして醍哉は、気づけば無人の映画館の中に閉じ込められていた。ここが一輝が展開した“箱”の中だと気づいた醍哉は、対抗するための手段を模索する。
 “箱”VS“箱”。衝突する二人。
 果たして勝者は――?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


2年振りに発売された待望「はこマリっ!」シリーズ、第5巻。
合間に別作品を挟んだことで、打ち切りかと危惧されましたが、無事に刊行されて本当に良かった。
今現在追いかけているシリーズ作品でも、指折りのお気に入り作品です。

さすがに忘れていることも多く、ややこしい設定などに思い出すのに苦労しました。
もしも期間を置いて読むのであれば、軽くおさらいしておくことをお薦めします。

物語は佳境に入り、遂に正面衝突となった一輝と醍哉。
互いの願いを遂げるために、互いの願望を潰さねばならない。
“箱”の使用者同士の争いは、苛烈を極めていく……。

そう、これを待っていました!
じっくりと読みこみたくなる面白さは、他では早々味わうことが出来ません。

醜悪な人間模様と突き抜けた爽快感が混在した作風は変わらず。
娯楽性の濃かった「怠惰なる遊戯」編と比べると、“箱”自体のギミックよりも、軸のしっかりしたストーリーに興味をそそられます。
タイトルに結びつけた構成力には、驚愕を覚えます。

えげつない話を書かせたら、著者の右に出るラノベ作家は存在しないのではないでしょうか。
残虐かつ非道な人間を描く際に、読者層を想定してオブラートに包まれるどころか、容赦のない表現で徹底的に虐め抜いています。
この手の残酷さが好きな人にとっては、堪らなくゾクゾクとするでしょうね。

抽象的な事象を具体的表現で置換する手法に長けているのが特徴ですね。
少し曖昧すぎてボカしている部分は見受けられますが、本筋には影響ありません。
“箱”という認識し辛い現象を的確に書き表しており、読者が想像しやすい配慮がなされています。
特に今回の場合、醍哉が手にした箱“罪と罰と罪の影”は、名称通り、人間の罪や罰を具現化しているので、描写のキツさが跳ね上がっているように感じられます。

醍哉をダブル主人公の片割れとして書いたというだけあって、5巻の主役は紛れもなく彼です。
ばら撒かれていたヒントを繋ぎ合わした解答編ともいうべき構成となっており、中学時代から大きく変化した醍哉の背景に迫るものとなっていました。
その一方で、従来の主人公であった星野一輝は、もはやラスボス化していますね。
いや、ダークヒーローと言った方が適正かな。

醍哉の思考には共感を覚えるところが多数あります。
どちらかといえば、一輝の方が異常だと感じるから、醍哉の方に寄りついた……というわけではなく、常日頃から醍哉のような考え方が根底にあるからです。
現実は、不条理で不平等だと痛感し、理解しているからこその願望でしょうね。
実現可能な方法が存在しないために諦めていたのが、突如“箱”という形で転がりこんできたら、賭けたくなるのも心情的に仕方がないことです。

3,4巻で登場した新藤色葉と柳悠里にも積極的な介入があるのが嬉しい。
両者ともに、ゲストキャラとするにはあまりに惜しい人材でしたからね。
清純派ビッチというワケのわからないキャラ設定が妙にしっくりくる柳悠里。
己の力量を正しく把握して如何無く発揮出来る強さを持つ新藤色葉。
どちらも非常に魅力的かつ刺激的で、ゲームを盛り上げてくれます。

元々安定していなかったイラストは、2年の時で更に変貌を遂げましたね。
口絵の一輝や醍哉を見て、誰だこれ?と思いましたよ。
個人的には、1~3巻頃の絵柄が好きですね。

さて、明確に埋められた伏線が、明かされるまま終わりました。
全てが引っくり返る可能性を秘めた仕掛けは、果たしてどのように動き出すのか。
次巻も目が離せませんね。

登場人物達の駆け引きが逆転の応酬でワクワクが止まりません

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  空ろの箱と零のマリア  御影瑛路  鉄雄  評価A- 

△page top

コメントの投稿















管理者にだけ表示を許可する

△page top

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。