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明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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カミオロシ弐 ~人形供養の儀~ 

カミオロシ〈2〉人形供養の儀 (電撃文庫)カミオロシ〈2〉人形供養の儀 (電撃文庫)
(2012/02/10)
御堂 彰彦

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読書期間:2012/3/6~2012/3/9

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
ホラー
ラブコメ
構成
期待感

 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8


 人形が持ち主の下に帰ってくる。生徒たちの間で囁かれる噂。玖流は同級生の皐月から人形供養について相談を受ける。燃えるゴミの日にでも出しておけと、玖流は取り合わなかったが、皐月は二階から転落。異様に人形に怯えているという。
 玉響神社――地元では人形供養で知られた古社である。結局、皐月は供養に訪れたはずなのだが。事故だと切り捨てる玖流に、神社に問題があるのではと憤る美古都。美古都に無理やりお供を命ぜられた玖流は渋々神社へと向かうのだった。
 神社の説明に不審点はなかった。だが、何か違和感を覚える。そんな玖流たちを待っていたのは皐月の死だった。何かあると探り出した玖流と美古都は、恐るべき秘密へと辿り着くのだが!?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


オカルトホラーとミステリーが相まった、シリーズ第2巻。

明らかに面白くなったなーと感じました。
作者が本領を発揮したということもあるんですけど、読者側の心構えが出来たことも大きいかな。
1巻を踏まえて読んでいるので、ファンタジックな境界線を何処に引けばいいのか大体目星がつきます。
頑なに否定するわけではなく、神という存在があり、超越的な現象が存在することを頭に入れておけば、どちら側に流れても納得が出来ますし、ストーリーも把握しやすいですね。

その意味では、元から信仰心の強い美古都や、過去に神と関わっていた玖流よりも、ごく一般的な思想を持った御厨の方が同調できるというのが面白い仕組みだなぁ。
彼は、将来的にトリックスターとなるような予感がしますね。

登場人物を絞って、主要人物に焦点を当てたおかげで随分と読みやすくなりました。
キャラが少なくなればなるほど、ミステリーは予想しやすくなるものですが、今回の事件については、終盤まで真実が見えませんでしたね。
それだけ練られたストーリーと、巧妙な構成だったと思われます。

前巻のラストで予想はしていましたけど、早くも迫られた選択がシビアで、かなりキツイ。
厳しい現実から逃げること許さないのが、御堂彰彦さんらしい作風だなぁと思います。

しかし、これがまだ序の口だというのが散々フラグを立たせていることから分かってしまうんですよね。
まぁ、現状で仮に美古都とスナオを天秤に掛けた場合、読者側からするとスナオに対する思い入れが少ないので、何かしらのエピソードを挿入してくるんでしょう、きっと。
容赦なさに期待する一方で、一体どれほどの痛みとなるのかという恐怖も覚えます。
ううん、二律背反だなぁ。

玖流美古都の掛け合いに、デレ要素が若干ながら増えたようが気がします。
普段いがみ合っているのに、本当は大切にしているんだなというのが傍から感じ取れる二人の関係が頬が緩くなっちゃいますね。
クールな装いで玖流に絡み意地悪してしまう美古都が活き活きしていました。
冗談っぽくからかう発言に本音を混ぜたり、たまに演技を忘れてしまうところが可愛らしいですね。

この作品の凄いところは、雰囲気が出過ぎていて、オカルトチックな内容が罰当たりじゃないかと不安さを抱かせるところにあると思います。
人形の不気味さも表紙から滲み出ていますしね。

総じて素晴らしかったのですが、惜しい点も少々。
ミステリー本筋に矛盾は感じられませんでしたが、細かいところでミスが見受けられます。
例えば、324Pの2行目に対する145Pとか。
160Pで一香と連絡先の交換を今朝したとあるにも関わらず、149Pを見ると一香は寝ていたり。
199Pの文字数が増えているという話も、文字でも音でも同数だったり。
編集さんのチェックが甘いんですかねぇ。
ああでも、描写不足気味だった文章は改善されていました。

刊行ペースは決して早くない作者だけに、次が待ち遠しいですね。

大切な人の代わりとなる切なく哀しい人形物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  カミオロシ  御堂彰彦  さらちよみ  評価B+ 

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カミオロシ ~縁結びの儀~ 

カミオロシ―縁結びの儀 (電撃文庫)カミオロシ―縁結びの儀 (電撃文庫)
(2011/06/10)
御堂 彰彦

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読書期間:2011/6/21~2011/6/22

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
ホラー
期待感



 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 神社にまつわる恋愛成就のおまじないの噂。その神社に課外活動で訪れた生徒たち。その中に玖流緋澄と識読美古都はいた。学年で双璧をなす秀才、才媛の二人だが、顔を合わせば皮肉の応酬となる間柄。おまじないとは無縁の二人だった。
 神社に訪れたほかの生徒たちは奇妙な顔ぶれだった。おまじないを信じ、互いを意識する生徒たち。だが、そんな浮ついた空気は一変する。
 他愛のない恋愛成就のそれが、次々と死をもらたらしていく。それは呪い、それとも――。謎に迫ろうとする緋澄と美古都の二人が知る真実とは!?伝承系ファンタジックホラーの登場。

【感想】


「付喪堂骨董店」シリーズが評判の御堂彰彦氏による新作。
ミステリー&ファンタジーという得意ジャンルに少々のホラー要素が混ざった意欲作です。

1年3ヶ月振りとなる新作でしたが、独特の雰囲気は変わっていませんね。
暗く地味だけど、気になるトリックと惹きつけられる人間模様は、引き継がれています。

勉強が出来るという意味だけではなく、本当の意味で賢い頭脳を持った二人が主役。
クールで冷静な判断を下せる玖流緋澄は、少年漫画系作品のアンチテーゼとも言える存在で、成長途上の知的系キャラです。
凡庸なキャラや、熱血硬派な主人公とは異なり、あくまで自己中心にした周囲のみを気遣うスタイルで、個人的に共感を覚えました。
フィクション的な主人公補正で助かっているのに、理想を語るキャラは山ほどいますが、玖流は違います。
自分の限界や引き際が分かっている人間は、好感が持てますね。

ヒロイン役の識読美古都は、玖流同様に頭の切れるタイプで、はぐらかすのが巧みな含み笑顔が似合う女の子です。
いや、女の子ってのは何となく似合わないかな。
玖流と同い年の幼馴染なんですが、幼い面を僅かに残したお姉さんっぽいキャラですね。
前作「付喪堂骨董店」のヒロイン・舞野咲を彷彿とさせるクーデレの香りが漂っています。

良くも悪くも互いのことなら大体分かる関係で、挑発的な言葉を掛け合うものの、ほぼ無意識的に大切な相手と認識している間柄という美味しいシチュエーションが楽しめます。
とはいえ、まだまだ描き切れてはいないので、これからに期待でしょうか。
またビターチョコレートのような苦味のある甘さを味わいたいものです。

しかし一方で、ストーリーはちょっと雑だったかなぁという印象を受けました。
ファンタジー要素があるおかげで、どこに境界線を引けばいいのか悩むミステリーとなっていて、作品全体が曖昧になっているように見えます。
もっと主人公勢が関わる事件内容にしないと、導入しては弱いかなーと思いました。
展開にも無理があったり、強引さが目立ちます。
2巻目以降ならまだ良かったんでしょうが、キャラ紹介を兼ねた1巻としてはインパクト不足ですね。

基本的には美麗な文章ですが、時々描写が飛ぶといいますか、説明が足りない箇所があるように感じました。
エアポケットに入ってしまったかのように、部分的に違和感があるんですよね。
舞台が現代のわりに、オカルト的要素に対して許容がありすぎるでしょう。

ミステリーについては、それなりに読み応えがありました。
ガチガチの推理モノと比較すると粗はあるでしょうが、十分楽しむことが出来ました。

さらちよみさんのイラストは、思っていたよりも良かったです。
特に美古都は可愛い絵が多くて楽しめました。
イラスト指定のポイントが、ちょっとどうかなとは思いましたけど。

現時点では、そこそこ楽しめたものの、微妙なところです。
しかし、今後に期待は持てそうなので、じっくりと腰を据えて追いかけたいなと思います。

オカルト色が濃いホラー系ミステリー

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  カミオロシ  御堂彰彦  さらちよみ  評価B- 

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“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店7 

付喪堂骨董店〈7〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)付喪堂骨董店〈7〉―“不思議”取り扱います
(電撃文庫)

(2010/03)
御堂 彰彦

商品詳細を見る
読書期間:2010/3/13~2010/3/14
月間マイベスト作品

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
クーデレ
構成




 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 咲と刻也。二人は予期せぬ形で出会い、物語は始まりました。ですが、それは本当に偶然だったのでしょうか?出会い、想いを育み、共に歩んできた今まで。そこに大きな偽りがあったとしたら――。この出会いは許されるぬものだったのです。
 都和子は決断します。大きな偽りによって歪んでしまった世界を正すことを。――自らの手で咲の命を奪うことを。
 咲を守りたい刻也、殺さなければならない都和子。二人の哀しくも激しい戦いが幕を開けます。大きな偽り――咲と刻也の秘密とは?そして、二人を待ち受ける運命とは?これが、二人について語る最後の物語となるでしょう。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


人の願いを叶える「アンティーク」に希望を見出す、シリーズ最終巻。

切なさが入り混じる、素敵な物語でした。
終わりを迎えたのは寂しいけれど、綺麗なラストに大満足です。

予想していた展開とはまるで違う方向に進み、驚かされました。
幾度となく裏をかかれてきた今シリーズですが、最後の最後まで良い意味で裏切ってくれましたね。

想像以上に深く重い背景がのしかかり、悲壮感が半端じゃありません。
正論と感情論のどちらもが理解できるだけに、登場人物たちの心情が苦しいほどに伝わってきました。
誰もが間違っているとは思えませんし、思いたくもないです。
だからこそ、導き出された答えには、読者である自分までもが救われる思いでした。
人によって捉え方は異なるでしょうが、エピローグで見せたあの姿を見る限り、これは紛れもなくハッピーエンドだったと確信しています。

刻也の泥臭いまでの執念と、咲を求める覚悟は、痺れるほどに格好良かった。
咲の背負った運命と、刻也に対して注がれる愛情には、胸が打たれる思いでした。
ラノベ作品で、この二人ほど幸せになって欲しいと願ったカップルはいなかったかもしれません。

これまでに登場した人物やアンティークを巧みに配置し、練り上げたストーリーには感服します。
忘れかけていた伏線も回収しており、お見事としか言いようがありません。
以前、咲の口から出た「優しいけれど傲慢」だという言葉の真実が分かったときは、身震いしました。
まだ読んでいない人は、軽く振り返っておいた方が、より楽しめるかと思います。

意図的に不明瞭にしているのか、謎は多少残っており、気にならないと言えば嘘になります。
アンティークの能力も、使い勝手が良すぎるものがいくつかあり、反則的だと思わないでもありません。
しかし、刻也と咲の二人の関係に焦点を絞った描き方は、ブレのない正統派ラブストーリーに仕上がっており、細かい点など差し置いて、純粋に感動させられました。

タケシマサトシさんの絵は、シリーズ当初と比べ荒々しいタッチに変化しましたね。
どちらにせよ、作風にもマッチしており、素晴らしいイラストでした。
毎回イラストが楽しみで仕方なかったですね。

この物語に出逢うことができて本当に良かった。
綺麗に完結していますが、アフターストーリーも読みたいと思ってしまうのは、それだけこの作品を好きな証拠なんでしょうね。
甘く平和なニヤニヤできる短編が発売されれば最高なんですが、ひとまずは余韻に浸りたいと思います。

作者の御堂彰彦さんをはじめ、この本の制作に携わった全ての人に感謝を。
お疲れ様でした。
そして、ありがとうございました。

何事にも変えがたい想い人のために、運命に立ち向かう少年と少女のラブストーリー

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  付喪堂骨董店  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価A- 

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“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店6 

付喪堂骨董店〈6〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)付喪堂骨董店〈6〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)
(2009/10)
御堂 彰彦

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読書期間:2009/10/13~2009/10/16

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
クーデレ ★★★★★★★★☆☆
 … 8

アンティークを憎み、世界から根絶させるため、アンティークの力を振るう駿と飛鳥。その力に振り回されることなく完全に使いこなす駿は、異質な存在でした。
想いは同じでも、刻也はその考えに反発し抗います。アンティークの力を使いこなす者同士の戦いは熾烈を極め、それは触れてはいけない過去をも引きずり出すのでした。
刻也と咲はいかにして出会ったのか?そこに隠されたアンティークの秘密とは?二人の運命は大きく動き出します。本当の彼らを知る勇気がある方は、どうぞご覧ください。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


運命を変える力を持つ「アンティーク」に関わる人間たちのドラマを描いた、シリーズ第6巻。
今巻はいつもと少し趣が異なり、前回登場した謎の人物たちとの対立が物語を動かします。

何だこのアンティークバトルは。
頭脳戦メインなのかなと思いきや、意外と体を張っていて驚きました。
多くのアンティークを駆使し合う勝負は、なかなか見応えあります。
燃えたぎるような熱さはないのですが、ゾクッとさせられるような格好良さがキャラを引き立てていました。

本筋に入り、作品独特の陰のある雰囲気は薄れた印象がありますね。
よくある異能系ラノベになってしまったというか。
アンティークを取り巻く人間関係を見るのが好きだったので、思っていたものと違う料理を出された気分。
これはこれで美味しいのだけど、素直に満足できないみたいな感じですかね。

そして、いつも最後に締めくくる第4章のラブエピソードもまた、一味違っていました。
これまで秘められていた、刻也と咲の出逢いの物語が遂に語られます。
あぁ、最初はこんなにクールだったのね、咲さん。
だからこそ、刻也のことを名前で呼ぶキッカケとなったあの発言には、ギャップ萌えしましたw

それにしても、咲の過去には意表を突かれましたねぇ。
ミステリアスな雰囲気からして、もっと人間離れした事情があるのかと思っていましたよ。
生々しい感情が、逆に読者側の想像を容易くさせていて、咲のことを思うと胸が苦しくなりました。

予想外なところがいくつかあったものの、総評としては、やはり面白かったと言えます。
ラブ成分が物足りなかったけれど、その分、ストーリーで魅せてくれました。

次が最終巻というのが、寂しすぎます。
もっと、刻也と咲のラブラブ話を見てみたいなぁ。
本編終了後、一冊だけでもいいからアフターストーリーを書いてくれないかなー。

とうとう明かされる刻也と咲とアンティークの関連性

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  付喪堂骨董店  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価B+ 

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“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店5 

付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)付喪堂骨董店〈5〉―“不思議”取り扱います (電撃文庫)
(2009/01/07)
御堂 彰彦

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読書期間:2009/1/24~2009/1/26

【評価……B+
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
クーデレ ★★★★★★★★☆☆
 … 8
安定感 ★★★★★★★★☆☆
 … 8

付喪堂に不釣合いに置かれたパソコン。先端科学の利器とは縁遠い無表情な少女はどう扱っていいかわからない様子です。わいわい騒ぐ様はのどかで平和そのものですが、それだけお店は暇なのでした。
客と巡り合えなくても、アンティークとは巡り合えてしまうのが不思議なもの。こんな物がありました。
懸賞が当たった、テストのヤマが当たった。そんな思いもかけぬ幸運をもたらすというバングルがあるのです。ですが、その見返りが周りの人の不幸だとしたら……。周囲が苦しむのを見て、人は幸せに思えるのでしょうか。あなたはいかがですか?

【感想】


個人的に大プッシュしている「付喪堂骨董店」シリーズの第5弾になります。
意外と出るのが早かったなぁという印象があるのは、4巻が出るのに間があったからでしょうか。

相変わらずの出来栄え……と言いたいところでしたが、若干今までと異なりますね。
今後関わってくるであろう新キャラの登場、咲の見えない心など、次への布石となる種が多く見られる回でした。
その分、僅かながら物語の面白さが減ってしまっているように感じられました。

また、文章が簡潔なのは作者の良いところなんですが、今回に限っては簡素すぎたかな。
サクサクすぎて文章が薄味だったので、もう少しクドさを出してもいいと思いますね。

◆第一章 幸運
いつも通りのアンティークに着目した話。
叙述トリックが面白く、こちらの期待を上回ってくれるのが嬉しい。
予測できそうで半歩届かないのが計算だとしたら凄すぎですね。

◆第二章 希望
これもよくあるパターンの一つで、神話ベースの話。
これまでにもこの類の話は何度かありましたが、個人的には性に合わなかったりします。
テーマはいいと思うんですけどね。
どうしてもゲストキャラに焦点が行くので、刻也たちの視点が少なくて物足りないのかもしれません。

◆第三章 言葉
珍しく第二章から続きの話。
第二章とほぼ同じテイストながら、より刻也と咲に関わる内容になっていて何とも意味深な内容でした。
ちょっとぐらい強引な方が、刻也は格好良く見えますね。

◆第四章 本音
メインディッシュにしてデザート。
地味で暗めの話が多いシリーズが毎回読了感が素晴らしいのは、この第4章のおかげですね。
恋人を通り越して新婚夫婦になっているかのような2人の強い結びつきにニヤニヤしまくり。
ギャグ小説で笑いを堪えきれないから人の目が気になるという本は結構あったりしますが、顔がニヤけてゆるんでしまうから外で読めない本は貴重です。

もはや咲の可愛さは凶悪的。
無表情キャラが口を滑らせ本音を言ってしまった時に一瞬見せる焦った態度の破壊力は異常です。
刻也のことを何でもないように振る舞っているけれど、内心ではラブ度MAX状態の咲がとにかく可愛い。
ずっと第四章だけ読んでいたいですけど、きっと全編通してこの調子だったら胸焼けしそうですねw

◆総評
シリーズ間の比較評価は微妙になってしまうかもしれませんが、単品でみれば十分すぎるほどに面白かったです。
次回から、ストーリーに何か動きがあるのかな。
それが不安でもあり楽しみでもありますね。

ああ、もちろん、タケシマサトシさんの絵も良かったです。
カラーページの咲と都和子さんが寝そべっているイラストが一番お気に入り。

電撃文庫版 「世にも奇妙な物語」

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  付喪堂骨董店  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価B+ 

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ヒトクイ 

ヒトクイ (電撃文庫)ヒトクイ (電撃文庫)
(2004/11)
御堂 彰彦

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【評価……C+
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
挿絵 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

ヒトクイ――人に似、人に紛れ、人を喰らう生物の総称。柴崎倖一はそんなヒトクイの一人である。ある晩、ヒトクイが人間を捕食するところを偶然見てしまった倖一と人間の少女、瞳。二人は口封じのためかヒトクイたちに執拗に狙われる。二人を護衛する「組織」のエージェント双葉は、この一件が単なる目撃者の口封じでないと睨む。それに気付いた倖一は真実を知ろうと決意するのだが……。
人間の捕食事件、まったく接点のない倖一と瞳。このミッシングリンクが繋がる時、思いもかけぬ真実が明らかとなる!!息をつかせぬフルアクションで贈るダーク・ミステリーが登場!

付喪堂骨董店』シリーズの御堂彰彦さんのデビュー作。
第7回電撃ゲーム小説大賞で選考委員奨励賞するもなかなかデビューすることができず、受賞から数年経ってようやくこの『ヒトクイ』でプロ作家としてスタートラインに立つことができたそうです。

12DEMONS』や『付喪堂骨董店』を読んで、この作者とは波長が合うなぁとしみじみ感じました。
好きな作家さんだけど、執筆ペースが早いタイプではないので、『付喪堂骨董店』の新作が出るまでの間の繋ぎとして手に取ってみたというのが購入動機です。

作者の作品全てに通じる点として、ダークな雰囲気を醸し出している点を挙げられると思います。
このデビュー作品にも、しっかりとその影が見て取れますね。

設定はなかなか面白く、導入で引き込まれます。
見た目は人間となんら変わりのない存在でありながら人を食べてしまうヒトクイ。
基本的に人として生きるために捕食を禁じられているけれど、それは本能から逆らう行為であるため、当然ながら我慢できないヒトクイもいます。
そんな人を喰うヒトクイと、人を喰うことに規制をかけるヒトクイの争いに、一人のヒトクイと一人の少女が巻き込まれるお話です。

キャラクターが微妙なのは否定できそうにないかなぁ。
過去に恋人を喰ったことのあるヒトクイの主人公・柴崎倖一は心情を丁寧に描かれているものの、もう1つパンチが足りない。
その他のキャラも軒並み印象が薄めで、もう少しキャラ設定を文章に出して欲しかったですね。

ストーリーも構成はそこまで悪くないはずなんだけど、先が気になるというものではないかな。
最後の展開があまりにもご都合主義でどうかと思いました。

全体を通してみて、さすがにまだまだ荒っぽさの残る内容ですね。
しかし、作者の良い所が随所に見られて、素質は十分にあったんだなぁと思わせてくれます。
筆力は確かですしね。
後の作品がいい方向に成長しているのをみると、担当の編集さんが良かったんだろうなぁと思いました。

『12DEMONS』→『付喪堂骨董店』→『ヒトクイ』という順番で読んだのは良かったかもしれません。
『ヒトクイ』から読んでいた場合、他作品を読んでいたかどうか怪しかったですから。
もし『ヒトクイ』だけを読んで面白くなかったという方がいたら、『付喪堂骨董店』をお勧めしておきますよ。
確実に作家としてレベルアップしてますからね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ヒトクイ  御堂彰彦  もりそばん  評価C+ 

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“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店4 

付喪堂骨董店 4―“不思議”取り扱います (4) (電撃文庫 お 9-7)付喪堂骨董店 4―“不思議”取り扱います (4) (電撃文庫 お 9-7)
(2008/07/10)
御堂 彰彦

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
クーデレ ★★★★★★★★
 … 9
安定感 ★★★★★★★★
 … 9

不思議な力が宿った器物――アンティーク。今日も贋物を掴まされた美人が嘆いています。つまり付喪堂の店頭に新たなガラクタが増えたわけです。
アンティークは人を選ぶのか、切にその存在を願っている者は期せずして手に入れることがあるようです。ある少年の話をしましょう。
幼馴染みの恋多き少女のキューピッド役をする少年がいました。彼は運命の赤い糸を自由にできる指輪を手に入れたのです。人の運命を握ってしまった少年はどうなるのでしょう?それは本来の出会いを捻じ曲げてしまうわけで……。あなたならそれでも使いますか?

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

付喪堂骨董店シリーズ第4弾。

段々と恋愛要素が強くなってきました。
だが、それがいい。

第4章だけが明らかに異彩を放っていましたが、ここまで来ると1~3章にもそれぞれ方向性や特性が感じられるようになってきましたね。
この飽きさせない構成は素晴らしいとしか言いようがありません。
しかも、今回はそれに加えて咲の登場頻度が増えているので、比例するようにニヤけ度もアップです。

◆第1章
ギミックに凝っていて、結末を読ませない話が多い印象。
ミスリードさせられるストーリーが面白い。
導入部分として相応しい読みやすい話で、なおかつ心をガシッと掴んで離しません。
この4巻の第1章「影」も上記に関しては同様で、安定した出来栄えとなっています。

◆第2章
1章がストーリー重視であれば、2章は設定重視ですね。
アンティークそのものに着目していて、それに関わる刻也と咲が翻弄される役として描かれています。
今回はアンティークよりも刻也中心に描かれていたので、読みやすかったです。
アンティークの新しい使い方などが出てきてましたが、これは今後の伏線になってくる予感。

◆第3章
魅力的なゲストキャラが登場することが多い回。
アンティークを利用することの是非を考えさせられるものとなっています。
暗い話であるのと同時に印象深い話でもあるので、いつまでも記憶に残ります。
後に来る第4章が微笑ましいエピソードであるため、より一層この第3章の重苦しさが際立ちますね。
今回の「小指」は比較的軽い話かなと思ったんですが……。うん、見事にひっくり返してくれました。

◆第4章
もう語るまでもないですが、咲の本領発揮の回です。
咲視点で見られるのはこの第4章だけ!
無表情で一見何を考えているのか分からない彼女の少女らしい感情にときめきまくりです。

もちろん今回の「秘密」も咲の可愛らしい戸惑いが見られます。
そして、それと同じぐらいに刻也の慌てっぷりも拝めます。
二人揃ってウブすぎで、見ているこちらが恥ずかしくなりますw
相手の感情が読めずに勘違いして落ち込んだり慌てたりするくせに、心の奥底では繋がっている二人の関係が素敵。
この二人なら最後には誤解が解けるんだろうなと安心して見ることができます。

◆華麗なイラスト
毎度ながらタケシマサトシさんの絵に見とれてしまいます。
特にこの4巻はシチュエーション的においしい絵が多いこともあって、非常に良かったです。
表紙絵にある咲のゴスロリファッションもいいけど、チャイナドレスにはやられました。

◆総評
地味で暗い雰囲気なのが、モロ好み。
「12DEMONS」も面白かったし、これは今後この作者の本は名前で買ってしまうでしょうね。
次巻が楽しみすぎてデビュー作の「ヒトクイ」も読んでしまいましたよ。

あー、早く次が出ないかなぁー。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  付喪堂骨董店  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価A- 

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“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店3 

付喪堂骨董店 3―“不思議”取り扱います (3) (電撃文庫 お 9-6)付喪堂骨董店 3―“不思議”取り扱います (3) (電撃文庫 お 9-6)
(2007/10)
御堂 彰彦

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★★
 … 9
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
クーデレ ★★★★★★★★
 … 9
安定感 ★★★★★★★★
 … 9

今日も閑古鳥が鳴く付喪堂骨董店。ごくまれにやって来る客も無愛想な少女のあやしい接客に回れ右をしてしまうのだ。
スレンダーな大人の美人と無表情な少女、そして見た目普通の少年。骨董店は三人の大騒ぎで今日も賑やかです。つまり、付喪堂は今日も暇です。
お客さんは来ませんが、付喪堂には不思議な事件だけは舞い込んできます。ちょっとそんな話をしましょうか。
最近恋人を亡くした少女がいました。彼女は夢の中で好きな人に会えるという香炉を手に入れたのです。あなたなら夢の中に逃げますか?それとも所詮は夢と割り切って辛い現実を生きますか?彼女の選択は――それはあなたが確認してください。

不思議な力を持った道具「アンティーク」に翻弄される人間模様を描いた物語、第3弾。
やっぱりこれは面白い!

このシリーズは、本当に毎回サクサクと読めてしまうなぁ。
全4章からなる構成がお見事。
適度な文章量、飽きさせないストーリー、心地良い構成バランス。
それらの土台の上に、魅力的なキャラクターと興味をそそられる不思議なアイテム「アンティーク」が物語を深みを与えていて、思わず読みふけってしまいます。

1章「」、2章「人形」、3章「」は毎度ながら少々ダークなお話。
このシリーズは安易なハッピーエンドがなく、バッドエンドで終わる話も珍しくありませんので、結末がどちらに転ぶのか分からなくて最後まで楽しめるのがいいところですね。
明らかにミスリードを誘っていることが分かっていても、真相が暴かれたときにある爽快感はヤミツキです。
しかし、何度も同じ手に引っ掛かりすぎているような気がするなぁ、自分w
まぁ、結果として楽しめているわけですからいいんですけど。

個人的に一番良かったと思ったのは3章の「」。
「付喪堂骨董店」らしい、切なく暗い話。
少しでも内容に触れるとネタバレ直結してしまうので詳しくは語りませんが、このテーマは惹かれた。
読了後、深く考えさせられました。

巧みに利用すれば便利なはずの「アンティーク」は、使用者を幸せどころか不幸に貶める象徴として描かれていることが多いですね。
それが欲望に堕ちた人間の本質を表しているかのようで、当事者たちの言葉は虚飾されたものと違って直に胸に響いてきます。
納得できるだけの背景があるので、言葉に重みが感じられるんですよ。
全4章に分割しているため、1つ1つの話が100ページすらないというのに、この文章や物語の奥深さは素晴らしいですね。

1~3章とは別格のラスト第4章「眠り姫」の咲の可愛さは反則的。
平静を保っているように振る舞っているけど、内心動揺しまくりなのが咲視点から丸見えです。
もうね、悶死させる気ですか貴方は!
これをニヤけずに読める人がいたら、それはそれで尊敬してしまいそうです。

似た者同士なのに二人ともシャイだからすれ違い続けてばかりなんですよねー。
当人達は上手くいかないことに嘆くかもしれないけど、第三者から見れば贔屓なしで見てもラブラブにしか見えんw
刻也と咲の視点が交互に切り替わる構成も板についてきていて、文章的にも楽しいですね。

また、いつものようにタケシマサトシさんのイラストが物語に花を添えてくれています。
走り描きに見えるものもありますけど、腕が確かなので、それすら味のある絵に見えてしまいます。

これまで絶賛してきた作品の多くは、既に一般的にも評価されているので、今更僕がこうしてブログに書かなくてもラノベ読みなら当然読んでいるものだったりします。
ですが、この「“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店」はまだまだ評価が低いと思うんですよね。

今年に入って面白い本はいくつも読んできました。
その中でも、今一番お勧めしたいのは間違いなくこのシリーズです。
決して明るい話ではないことで誰にでも楽しめる種類の本ではなくなっていて、オススメ度は星1つ落としていますが、読みやすさ保障できます。

もっと売れて欲しい、いや売れるべき本でしょう。
今後に繋がるように、しっかりと定価で買いたいと思わせてくれる作品ですね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  付喪堂骨董店  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価A- 

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“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店2 

付喪堂骨董店 2―“不思議”取り扱います (2) (電撃文庫 お 9-5)付喪堂骨董店 2―“不思議”取り扱います (2) (電撃文庫 お 9-5)
(2007/06)
御堂 彰彦

商品詳細を見る

【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
クーデレ ★★★★★★★★
 … 9
安定感 ★★★★★★★★
 … 9

今日も閑古鳥が鳴く付喪堂骨董店。ごくまれにやって来る客も無愛想な少女のあやしい接客に回れ右をしてしまうのだ。
だが、奇妙な事件だけはほっといても舞い込んでくる。不思議な力を宿した『アンティーク』を求める人たちは後を絶たないのだ。映した世界の音を消し去ってしまう鏡『明鏡』、被せるとまったく同じもう一人の自分が作れる仮面『マスカレード』――。
一見すると便利なものでも使い方を誤れば大変なことになったりする。彼らは『アンティーク』に飛びつくのだが……。
あなたならこの不思議な品をどう使いますか?

不思議アイテムに一喜一憂する人々を描いたシリーズ第2弾。
今回も、ちょっと悲しいお話が多めになっています。第4章を除いて。
どこかの感想で「世にも奇妙な物語」のラノベ版というたとえがありましたが、なるほどなと思いました。
まさしくそんな感じです。

短編が4本収録されている形ためというのもありますが、この作品の読みやすさはかなりのものだと思います。
文章に品があって、喉通しのいいワインのような上質さを味わうことが出来ます。

前回同様に第1~3章までは、不思議な力を持っている「アンティーク」と呼ばれる道具に関わる人間の悲劇、狂気が表立って描かれています。
そして、第4章が打って変ってラブコメの王道まっしぐらなのも1巻と一緒ですね。

どちらも非常に面白いんですが、4章の咲のクーデレには参りました。
今回は多少ツンデレがブレンドされていますが、コレはコレで良しw
表情には出さないけれど、感情の起伏は結構激しいところがいい。
平然としていても、実は喜んでいたり泣きそうになってたりするところが、何と可愛らしいことか。

そのお相手、主人公の刻也はどうやら鈍いタイプのようで、恋に対しては鈍感極まりないというギャルゲーの主人公としての適性バッチリです。
本当はそういう男は好きではないのですが、咲に好意を抱いているのが周囲にはバレバレなのに、当の本人たちがお互いの気持ちに気が付いていないところを見ていると微笑ましく感じて不思議と許せてしまいますw
変に他のキャラが登場して二人の間を邪魔されるよりも、このすれ違い振りを見ている方が楽しいですね。

いつか、作者にはラブコメで一冊書いてみて欲しいなぁ。
あー、でもこの絶妙なバランスで混ざっているからこそ、咲に萌えるのかもしれないなー。

御堂彰彦さんの作品は、どれも安定感がありますね。
毎回A-ランクをつけるかどうか悩んできましたが、安心して読めるということで思い切って付けちゃいます。
今のところ、この作品だけがA-ランクになっていますが、著者の他作品もほとんど同じくらいの高評価をしているつもりです。

タケシマサトシさんの絵も相変わらず美人系を麗しく描いていらっしゃってて惚れちゃいます。
この著者とイラストレーターのペアは、相性いいよなーと感じますね。

構成もお話も非常に良く個人的にはかなり好みのシリーズですね。
派手なキャラやストーリーはなく、とことん地味なんだけど、それが落ち着いた雰囲気を作っています。
あまり感想を見かけませんけど、知らない人も多いのかな。
オススメですよ。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  付喪堂骨董店  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価A- 

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“不思議”取り扱います 付喪堂骨董店 

付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫)付喪堂骨董店―“不思議”取り扱います (電撃文庫)
(2006/10)
御堂 彰彦

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
オススメ度 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
クーデレ ★★★★★★★★☆☆
 … 8

クーデレ 2008.7.11追加

この世界には『アンティーク』と呼ばれる物がある。年代物の骨董品や古美術品のことではない。幸運を呼ぶ石、未来の姿が映る鏡など、不思議な力が宿った器物を指す。
世の中は広いもので、そんな怪しい物を扱う店があったりする。付喪堂骨董店~FAKE~。だが、名前の通り扱っているのはそれの偽物ばかり。無愛想な少女が不気味な品ばかり勧めるので閑古鳥が鳴いている胡散臭い店なのだ。でも、ごくまれに本物が舞い込んでくるから面白い。
では、そんな変わった品を手にしてしまった人たちのことを、これからお話しよう。

12DEMONS」のコンビ、著者・御堂彰彦と絵・タケシマサトシによる新シリーズ。
アンティークと呼ばれる不思議な現象を起こすアイテムに関わる人たちを描いた作品です。

4章仕立てになっていて、最後の4章を除いて基本的に同じ流れになっています。
1つ1つの短編がきちんとまとめられていて、サクサク読めます。
使い方次第で幸福にも不幸にもなる道具「アンティーク」の見せ方が上手い。
「アンティーク」自体はそこまで特徴的って代物でもないけど、それに振り回される人々がリアルに描かれてます。

物語の転調が面白かったのは、1章と3章。
特に3章の最後の1ページは印象的でした。
全体的に悲劇的なお話が多かったですね。

そして、ラストを飾る第4章は唐突にラブコメ路線。
ヒロイン・咲のクーデレっぷりを拝めます。
昨今、ツンデレは生産過剰気味ですが、クーデレは意外にも少ないように感じられます。
表情の変化が乏しい咲が見せる照れた様子には、ニヤニヤせずにはいられませんw

タケシマサトシさんのイラストは「12DEMONS」の頃と少し変わった様子。
トーンを多用していることで、漫画絵のように感じました。
これもまた悪くはないけど、個人的には水彩画タッチの絵の方が好きだったかな。

この人の書く文章は、シンプルで頭の中にすんなりと入ってくるのが心地良くて好きです。
これからも積極的に読んでいきたい作家ですね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  付喪堂骨董店  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価B+ 

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12DEMONSⅡ 

12DEMONS―12の悪魔 (2) (電撃文庫 (1181))12DEMONS―12の悪魔 (2) (電撃文庫 (1181))
(2005/11/10)
御堂 彰彦

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

「同じ時 同じ場所 奪われた我が部位集えば 我復活を果たさん」
その宣言と共に始まった呪われた儀式。昨日までは顔も知らなかった相手が、仇敵のように自分を付け狙う。生徒たちは精神を磨耗し疲れ果て次々と倒れていく。
だが、凄惨な争いを回避するために動こうとする者たちもいた。12人の中にいるという全ての黒幕――悪魔の魂の所持者。望みがあるとすれば、その者を見つけ出すしかない。だが、生徒たちの確執は最悪の方向へと転がり落ちていく。終末の午前零時には何が起きる!?
俊英・御堂彰彦が描く、サイコ・ラビリンス、完結!!

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

12人の生徒たちで繰り広げられる能力系バトルロワイヤル、後編です。

悪魔の部位の争奪戦も、いよいよ佳境に入ってきました。
軽くネタバレになったので1巻のときには触れませんでしたが、この争奪戦の仕組み自体が面白いですね。
それぞれに各種部位の能力があるだけじゃなく、その部位が弱点にもなるというのが新しく感じます。
能力の不平等さがあるからこそ、頭脳と能力を駆使しての戦いに味が出ますね。

1巻の智事加の言葉にもありましたけど、能力は付加的なものであって、人間的な力で戦っているので単純にバトルを行っているわけではないんですよねー。
相手を屈服させるのは、何も暴力だけじゃなく、言葉や思想でも可能だというのがよく分かります。

どちらが勝つか分からない緊迫感のある勝負は、見応えありますね。
それに、言葉通り相手の能力を奪うことができることで、悪魔の能力が使い捨てで終わっていないのも◎です。
この設定に綻びを感じる部分がなくはないですが、個人的に許容範囲内で済んで、このありそうで見かけなかった設定のおかげでどっぷりと世界に浸れました。

キャラクターは、やっぱりサブキャラの方が魅力的。
生徒会メンバーのシビアな思考に対して、主人公側の椎矢と琴葉の甘さを通り越してヘタレ気味な考え方は、ある意味リアルっぽいんだけど、少しイライラとさせられました。
こんな命のかかっている場面で躊躇っていいのは、物語上1回だけだよなぁと思ったり。
特に椎矢は、もう一皮むけて欲しかったですね。

主人公とヒロインの甘さは飛び抜けてますが、それ以外のメンツも1巻の頃からあっさりと自分の部位を告白したりする場面が目につきますね。
馬鹿正直というか何というか……。
自分だったら、もっと嘘や騙しを巧みに使うんだろうなぁ。

ストーリーは、無難に終わっちゃったなぁという印象。
悪魔の魂の所持者が誰なのかを1巻読了後に予想できてしまうのが、盛り上がりに欠けてしまった要因でしょうね。
サスペンス要素はあまりないため、そこに期待してしまうとガッカリすることうけあいです。
クライマックスとか結末とか、悪くはないんですが……捻りを加えてもらいたかったというのが素直な感想かな。
アマゾンや各所のレビューで2巻の評価が低いのは、仕方のないことだと思います。

登場人物をあと5人くらい増やして、もう1,2冊分あれば、物語としてもかなり良くなったんじゃないかなぁって思えてなりません。
ちょっと話をたたむのを急ぎすぎた感がありますね。
まぁ、それでも僕はかなり楽しんで読めました。
だからこそ、惜しいとか勿体ないという声も出さずにはいられないんですけどねw

最後に一つだけ言いたいこと。
芙未と擁子の2人を見ていると、マリみてを彷彿とさせるのは僕だけでじゃない・・・よね?w

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  12DEMONS  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価B+ 

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12DEMONS 

12DEMONS (電撃文庫)12DEMONS (電撃文庫)
(2005/09)
御堂 彰彦

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

学園祭の日、12人は学校へと向かった。いつも通りであり、いつも通りでなく。悪魔のそれを継承する彼らがそこに集う時――、呪われた儀式が再開される条件はすべて揃った。
「生きたい者は奪うべし。死にたい者は捧ぐべし。最後の一人になるまで奪い合え」
その言葉を合図に、ある者は追い、ある者は逃げ、ある者は傍観する。誰を信じ誰を疑い――そして自分は何をすればいいのか?制限時間は今夜零時。一夜の狂想曲は始まった!!
俊英・御堂彰彦が描く、サイコ・ラビリンス、登場。

簡単にいえば、流行りの能力バトルが加味されたバトルロワイヤル。
閉じ込められた世界で、12人の生徒たちがそれぞれの目的をもって命のやり取りをするお話。

こういった話、大好物です。
バトロワ系が好きな人なら読んでみてもいいかもしれません。
本家バトロワ程の深みはありませんが、それでも十分閉鎖的な空気を感じることができます。

タイトルにもあるように、主な登場人物は12人です。
一見多く感じられますが、読んでいる間は思いのほか少なく感じました。
一人一人ちゃんと背景が個性が描かれているのが大きいですね。
特に生徒会メンバーは素敵です。
真のカッコよさと智事加のキツい性格にはカリスマ性を感じられます。

しかし、人数が少なく感じられるということには、デメリットもあります。
こういうバトロワ系では、意外性というものが重要なスパイスとなります。
漁夫の利を狙う者がいることで、死の連鎖が生み出されて、心休まる暇などなく、猜疑心と恐怖に包まれた世界観が出来上がります。
そういう意味では、意外性は少なくなってしまってると言えますね。
あと、単純に甘い考えを持っている人物が多いなという印象も抱きました。
だからこそ、僕は冷酷で冷静な真に惹かれましたね。

前後編の2巻構成の作品ですが、この1巻の締め方も良かったかと思います。
もしリアルタイムで読んでいたら、次が出るまで待ち遠しかったでしょうね。

そして、何気にポイントが高いのがイラストですね。
イラストを描かれているタケシマサトシさんを、この作品で初めて知りました。
人物の描き方も好きですが、水彩っぽい塗り方が個人的にツボですね。
黒くて淡い色使いが作品の雰囲気に合ってて、非常にグッドです。

誰でも楽しめるというタイプの本ではないので、あまりお勧めすることはできませんが、僕は好きだと言える作品ですね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  12DEMONS  御堂彰彦  タケシマサトシ  評価B+ 

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