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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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楽園島からの脱出 

楽園島からの脱出 (電撃文庫)楽園島からの脱出 (電撃文庫)
(2012/05/10)
土橋 真二郎

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/3~2012/7/5

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー
サスペンス
緊張感



 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
 ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5




 高校生活最後の夏休み。無人島に集められた男女100人の生徒たちが、島からの脱出を目指して競い合う。校内のゲームサークル「極限ゲームサークル」主催の大規模イベント。表向きはレクリエーションとして開催されたそのゲームは、賞金が出るという噂もあり……。
 ゲーム名【ブリッツ】――鍵を握るのは、自身とのペアの“価値”!?そして、女子だけに与えられた謎の機器の持つ意味とは――?
 「極限ゲームサークル」から“変わり者”として注視される沖田瞬は、このゲームの本質にいち早く気づくが……。
 土橋真二郎が贈るノンストップ《ゲーム》小説、最新作!

【感想】


無人島を舞台に行われる高校生100名による脱出ゲーム。

夏休みに男女50名ずつの高校生が、とあるサークルのゲームに参加する。
内容は不明、場所も不明、ただし賞金が出るという噂だけが先行する。
そんな彼らが連れられてやってきたのは、無人島だった……というストーリー。

クローズドサークルとしては、今更珍しくもない設定でしょう。
過去の作品と同じく、主催者の意図などガン無視で、舞台装置と考えておくべきなんでしょうね。

著者の電撃文庫作品を読むのはこれが初めて。
電撃文庫より年齢層が高めであるメディアワークス文庫の作品を読んできたからなのか、それとも今回がたまたま作風的にそうなのか、本作を読んでいる間ずっと感じていたことは……ヌルイなぁということ。
舞台設定にゆとりがあって、緊迫感に欠けます。
わざとその雰囲気を醸し出しているところもあるんでしょうが、正直肩透かしを食らった感じでした。
狂気は見られず、生易しい展開に物足りなさを感じいてしまいましたね。
まぁ、血生臭い話が苦手な人にもお勧め出来る土橋作品という意味では、成功しているのかもしれません。

人間心理を的確に表した言動は、些か硬質なものの、やはり巧い。
固定観念に囚われた人物が多く、集団心理の厭らしさが存分に出ていました。
ミステリーとしてもサスペンスとしても微妙ですが、特殊な舞台で繰り広げられる高校生達の駆け引きは、説得力もあって面白いですね。
キャラの思考に偏りがあるので、リアリティは感じられませんけども。

それにしても、人数が100人いても活かしきれてないですね。
キャラ個性を強く印象付けるためにも、絞った方が良かったのではないかなぁ。
どっちにしろ主要人物10人ぐらいしか動いていないのも、その他がモブ感丸出しで不自然だと感じました。

会話が淡々としており、アクションも地味。
主人公もヒロイン勢も感情の起伏が乏しいので、盛り上がりに欠けますね。

ふゆの春秋さんのイラストは、一人一人は可愛いのに、集団だと似過ぎていて見分けがつかないです。
身体のラインがエロティックなのは素晴らしいので、あとは顔の描き分けを期待したいところ。

何だかんだ言って、いつも通りの作風ですね。
萌え系ラノベに溢れている昨今では、定期的にゲーム小説を出してくれるのは有難い存在。
ストーリーは途中の段階で続巻前提だなと分かったので、内容を忘れないうちに次を読むつもりです。

未知なる状況や極限の環境で人間が取る行動を心理学的に観察している感覚があります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  楽園島からの脱出  土橋真二郎  ふゆの春秋  評価B- 

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生贄のジレンマ<下> 

生贄のジレンマ〈下〉 (メディアワークス文庫)生贄のジレンマ〈下〉 (メディアワークス文庫)
(2010/12/25)
土橋 真二郎

商品詳細を見る
読書期間:2011/6/14~2011/6/15

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★☆☆☆☆☆ … 5
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 他人を生贄にして自らの生き得る――
 そんな冷酷な選択を繰り返しがらも、生徒たちは課せられたルールに従うことで精神状態をなんとか繋ぎ止めていた。だがゲームは、生徒たち自らの“裏切り”によって、クラス間での騙し合いへと発展する。
 友人、恋人、血縁――人との“より深い絆”が生き残りの鍵となる中で、鈴木理香という恋人を得た篠原純一だったが……。やがてゲームは最後のステージへ!戦慄のジレンマゲーム、完結編!!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「囚人のジレンマ」の設定を日本の高校生たちに適用させたデスゲーム、完結編。

面白かったです。
でも、オチだけは不満が残りました。
「殺戮ゲームの館」でもそうでしたが、この作者は結末が尻すぼみしてしまう癖でもあるんでしょうか。

最終的に、生還できた人間がぼやけているのが、すっきりしないところなんですよね。
素直に読むか、疑ってかかるべきかで、大きく読了感は変わると思います。
ちなみに自分は後者のタイプなので、もやもやしてしまいます。

ゲーム的な面白さは、上中巻を上回るものがありました。
消極的で疑心暗鬼な心理戦も悪くありませんが、積極的なコミュニケーションが発生する場の方が、コロコロと状況が移り変わるためストーリーに引き込まれます。
ここに来て新たな局面を迎えたときは驚きましたが、これまたシンプルで純度の高いゲームでした。
これは、攻略法に気づく前に死ぬ自信がありますよ。

ただ、キャラクターはやっぱりあと一歩のところから抜け出せなかったですねぇ。
主要人物が何だかんだでみんな似たような思想なのと、それ以外の外野を駒扱いするのが最後まで引っかかりました。
深く掘り下げているようで、淡白に感じるのは状況に流され過ぎだからかなぁ。

ゲーム以外の設定が、突っ込みどころ満載なので、細かいことが気になる人にはキツイかもしれません。
これだけの規模の事件ならば、この結末はないと思うんですよ。
リアリティを出せとまでは言わないけれど、放り投げすぎです。
中巻まで展開が遅く、下巻で急激なスピードアップをするのではないかと心配だった点は、上手く舵取りをされていましたけどね。

途中からは先が気になって仕方がない物語だっただけに、消化不良なラストだけが勿体無かったです。

傷つき翻弄されながらも窮地で確かな絆を育むことが出来る人間の強さが温かく感じ取れます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生贄のジレンマ  土橋真二郎  評価B 

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生贄のジレンマ<中> 

生贄のジレンマ〈中〉 (メディアワークス文庫)生贄のジレンマ〈中〉 (メディアワークス文庫)
(2010/10/23)
土橋 真二郎

商品詳細を見る
読書期間:2011/4/16~2011/4/19

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 生き残るためクラスメイトに投票し生贄を選出するか。それとも自ら生贄に志願し、他者を救うか――
 残酷な選択を前に、生徒たちが思考を停止させる中、やがてルールにある変化が起こる。生贄志願者の“価値の低下”――それは投票による生贄の選出を促すものであり、やがて起こるクラス間での凌ぎ合いを意味していた!
 そんな中、篠原純一は、些細な誤解やすれ違いによって徐々にクラスから孤立していき……。
 ジレンマゲーム第2弾!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


悪質なゲームに強制参加させられた高校生たちが追い詰められていくサスペンスストーリー。
三部作の中巻になります。

いよいよゲーム本編の開始……と言いたいところですが、展開が遅い。
上巻は土台作りのためだと理解できますが、中盤でもなかなか話が進まないのは、どうしたものか。
これが全10巻となる長編作品ならさして問題でもないですが、次巻でラストなのに、のんびりとしすぎじゃないかなぁ。

上巻でも指摘した点が、悉く欠点となっており、改善は見られません。
主要キャラとモブキャラで描写量が異なるのは仕方がないにしても、だからこそ不自然さが浮き彫りになります。
こんな絶望的な状況に陥った高校生が、みんな大人しく縮こまっているとは思えません。
篠原を主体としたリアルな心理描写は素晴らしいんですけど、変に賢すぎますね。
頭脳派だけではなく、考えなしに暴走したり、パニックで壊れたりする人間が出ても不思議じゃない。
例えば、直接生贄の穴へ投げ込むような暴力的な輩がいて当然だと思うんですよ。
この作者さん、一見すると残虐なゲームを描いているので非道だと思われるかもしれませんが、結構優しいですよね。

そんな脇が甘い部分が見えてしまうのが惜しい。
デスゲームの突き詰めた設定により、極限状態における葛藤を生々しく表現できているだけに、なおさら。
教室の空気を重いままで構わないのですが、もう少し緩急をつけてテンポアップしても良かったのではないかなと思いました。

とはいえ、ゲームの設定や裏に潜む狙いが、少しずつ見えてきました。
ただし、それが正解なのかどうかは誰にも判断がつかず、刻一刻と変化する状況に振り回される彼らが、居た堪れなくなるほどに痛々しい。
集団の中に生きるために本音をひた隠し、建前で正義を振りかざす心情が卑怯に見えてしまうのは、基本的に善人のキャラから見た視点で描かれているからだろうか。
現状のままでは駄目だと理解していても、孤立を恐れる気持ちは苦々しくなるほどに分かります。
人間の心の美しさを醜さは、表裏一体なのかもしれませんね。

じれったいところは多々ありますが、面白いのは確か。
思わぬ人間関係の繋がりに驚いたり、遂に動き出した後半の展開が特に良かった。
解決編(?)となる下巻の締めくくりが、どうなるのか非常に気になりますね。
大どんでん返しがあると嬉しいけれど、さすがにそれは期待しすぎかな。

全貌が明らかになるにつれて、悪意に満ちた空気を吸い込んでいるような嫌な気分になります

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生贄のジレンマ  土橋真二郎  評価B 

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生贄のジレンマ<上> 

生贄のジレンマ〈上〉 (メディアワークス文庫)生贄のジレンマ〈上〉 (メディアワークス文庫)
(2010/09/25)
土橋 真二郎

商品詳細を見る
読書期間:2011/2/22~2011/2/25

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 「今から三時間後にあなたたちは全員死にます。ただし生き残る方法もあります、それは生贄を捧げることです」
 卒業を間近に控えた篠原純一が登校してみると、何故か校庭には底の見えない巨大な“穴”が設置され、教室には登校拒否だった生徒を含むクラスメイト全員が揃っていた。
 やがて正午になると同時に何者かから不可解なメッセージが告げられる。最初はイタズラだと思っていた篠原たちだが、最初の“犠牲者”が出たことにより、それは紛れもない事実であると知り……。

【感想】


卒業間際の高校3年生が、巨大な陰謀に巻き込まれ学校に閉鎖されるサスペンスミステリー。
提示された情報が限りなく少ない状態で、少年少女たちが生き残る方法を模索する話です。

細かいルールは存在するものの、主なものは表紙にも書いてある以下の通り。
・志願にしろ他薦にしろ、生き残るためには生贄が必要。
・生贄を出さなかったクラスは、全員死ぬ。

シンプルが故に抜け道がなく、事実上間接的な殺し合いとなりますよね、これ。
厭らしいことこの上ない設定です。
これは、引きつけられます。

上中下の3巻構成となっているため、今回は序章の意味合いが強く、導入までが結構長めです。
進展が遅くて多少やきもきしますが、登場人物の心理描写については読み応え十分ですね。
同作者の「殺戮ゲームの館」が面白いと感じた人なら、似たタイプの話なので楽しめるかと思います。

舞台が大きくなり、ゲームに組み込まれた人数も増えたことで、長所と短所が生まれています。
長所は、やはり大局的な演出ができることでしょう。
恐怖を植え付ける上で、本物の死が重要となりますが、人数が絞られていると、それもままなりません。
学校内の同級生と一緒に閉じ込められているので、登場人物の間の交友関係も深く、伏線があちらこちらに張り巡らされています。

しかし、それ以上に残念ながら短所が目立ちますね。
その中でも顕著なのが、全員の思考が似通っているところです。
例えば、もっとパニックに陥ったり、察しの良い人間がいたりして当然だと思うんですよ。
これだけの人数がいながら、行動や思考に差が見られないのは、違和感バリバリです。

何て言うか、みんないい子ちゃんすぎるんですよねぇ。
精神的に追い込まれているのは、丁寧に描かれた文章で息をのむほどに伝わってくるんですが、もう少し打算的に動く人間がいてもいいと思います。
集団行動による安心感の描写は素晴らしいの一言なんですがね。

局所的に見れば面白いんですが、全体的には不自然さが残ります。
一学年ではなく、一クラスぐらいの人数に収めておくべきだったのではないかなぁ。
まぁ、まだ上巻ですから、作者の力量を信じて続きを読むしかないですね。

心理描写に定評があるという著者紹介文の通り、恐怖感の表現は胃が痛くなるぐらいです。
気付けば、すっかりとこの世界の中に飲み込まれており、先が気になって仕方なくなります。

この手の物語を読むたびに、自分が同様の状況に陥ったらどうするかと考察しますが、このゲームの難易度は半端じゃないですねぇ。
冷静な立場から考えてみると、生還は絶望的な状況です。
背景は全く見えないけれど、とてつもなくデカい何かということだけは分かります。
たとえ、生き残ったとしても、安息の日々は戻ってこないでしょうね……。

時間を稼ぐために生贄を要する残酷なクローズドサークル

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  生贄のジレンマ  土橋真二郎  評価B 

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殺戮ゲームの館<下> 

殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈下〉 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
土橋 真二郎

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読書期間:2010/6/24~2010/6/25

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 ネットで得た情報をもとに集団自殺の廃墟を探していた福永祐樹含むオカルトサークルメンバー11名は、気が付くと密室に閉じ込められていた。
 そこで待ち受けていたのは、一方的に提示される不可解な≪ルール≫と、夜を迎える度に一人、また一人と殺されていく悪夢のような現実――。
 やがて祐樹たちの前に“警告者”が現れ、密室の中で行われる死を賭けたゲームの存在とどこかに“殺人犯”がいることを告げるが……!?
 疑心渦巻く密室サスペンス、下巻!

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


密室系サスペンスミステリー、完結編。

普通、かなぁ。
上巻が淡々と進んだので、下巻では急展開を見せるのかなと期待をしたのですが、そのまま最後まで同じ流れでした。

丁寧といえば丁寧なんですが……うーん、正直なところ意外性の乏しい内容でしたねぇ。
もっと、強引なぐらいの展開が見てみたかったな。
途中で大体予想が付いてしまいましたしね。

一つの作品として見るならば、完成度は高いと思うんです。
主人公である福永の心理状況や周囲のパニックの陥り方など、描写が細かいおかげで、その場の空気が伝わってくるようでした。
人間の醜い心理や、自分勝手な考えなどは、リアリティがあって腹が立つ程です。
主題も一貫していますし、伏線の張り方も適度な分かりやすさで、サクサクと読めました。

ただ、ミステリーのギミックの凝りように対して、オチが弱かった。
読者には気付かないトリックを見せてくれると期待すると、落胆が大きいかもしれません。

ラノベ色を排除するためか、キャラが少々味気ないのも好みが分かれるところ。
メディアワークス文庫としては正しいとスタイルなんでしょうね。
もう少し感情任せに行動する人物や、トラブルメーカーがいても良かったかも。
キャラ数は多かったのに、心に残るキャラは少なかったなー。

緊張感はあるのだけれど、リズムが単調でした。
一方で、じわじわと息苦しくなる様は、素晴らしかったです。

疑心暗鬼になりながら仲間内にいる犯人を探そうとする心理描写が秀逸

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  殺戮ゲームの館  土橋真二郎  評価B 

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殺戮ゲームの館<上> 

殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)殺戮ゲームの館〈上〉 (メディアワークス文庫)
(2010/03)
土橋 真二郎

商品詳細を見る
読書期間:2010/4/20~2010/4/23

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
ミステリー
サスペンス




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 ――誰かが言った。この二つには共通点があるのではないか。一つは時折マスメディアをにぎわす集団自殺のニュース。そしてもう一つは人間が殺し合う娯楽ビデオが存在するという都市伝説。
 出会いや遊びが目的のオカルトサークルに所属する福永祐樹は、ネットで偶然見つけた自殺サイトに興味を持ち、集団自殺の現場となったという廃墟にたどり着く。だが祐樹が目覚めた時、彼を含むサークルメンバー11名は密室に閉じ込められていた……。戦慄の密室サスペンス、上巻。

【感想】


密室に閉じ込められた若者たちが順に殺されていくサスペンスミステリー。
閉鎖された空間で疑心暗鬼になりつつ犯人を捜し出すシチュエーションが好きな方にオススメです。

作者の土橋真二郎さんの作品はこれが初めて。
電撃文庫の「扉の外」「ツァラトゥストラへの階段」など、興味のある本はいくつかあったのですが、「扉の外」の完結編である3巻の悪評が引っかかっていて踏ん切りがつきませんでした。
あらすじに目を通した時点で読んでみたいと思ったものの、冒険はせず感想待ちしていたら、各所で絶賛されていたので、安心感と期待を抱いて購入できましたね。

内容は、サスペンスの定番であるデスゲームです。
大学オカルトサークルのメンバーが、集団自殺の現場調査に出かけたところ、気付かぬうちに見知らぬ場所に閉じ込められていた。
仲間が次々と死んでいく中で、不条理なルールを強いられた面々は、次第に精神を疲弊させつつも、1つの重大事項に気付く。
自分たちの中に、魔物と呼ばれる犯人側の人間がいることを……というストーリー。

この手の作品は読み慣れているので、あまり怖さは感じなくなってしまっている自分がいます。
なので、個人的には緊張感が物足りなかったですが、息苦しい空気は十分出ていたかと思います。

上巻なので、当然ながら事件は解決していません。
ミステリーの評価を下すには早計ではありますが、特にこれといった粗や欠点はないように見えますね。
説明に費やした印象が強く、ちょっと展開が遅いのが難点ですが、それだけ骨格作りに力を入れているともいえます。

ゲームの設定はラノベっぽくもありますが、中身は完全に一般向けです。
そのためか、キャラのインパクトが少々弱い感じがしました。
当たり障りのないキャラ造形ばかりなのが惜しかったかな。
パニックを起こしている人間がいる関係でgdgdになっている状況は、リアルらしさは出ているんですが、読者もまたもどかしい気分になりますね。

さて、肝心の推理ですが……正直、絞りきれていません。
ある程度読んだことのある作家なら予想付きますが、どこまで裏をかいてくるのか分からないですからね。
下巻で、どれだけ引っくり返してくれるか、楽しみです。

じっくりと丁寧に書き込まれた密室系ミステリー、序章

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  殺戮ゲームの館  土橋真二郎  評価B 

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