正捕手の篠原さん3
2013/03/12 Tue 23:28:59 [edit]
![]() | 正捕手の篠原さん3 (MF文庫J) (2012/05/24) 千羽カモメ 商品詳細を見る |
【評価……B-】
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 設定 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 物語 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 人物 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 文章 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5 挿絵 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 | コメディ ラブコメ スポコン 構成 | ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 |
「希望ポジションは……“正捕手”です!」 激動の夏休み合宿も終わり、今日から新学期。秋と言えば、文化祭、クラスマッチとお楽しみイベント盛りだくさん。浮かれ気分の篠原たち明学野球部員だったが、忘れてはいけない重大イベント・秋期県大会が迫っていた!エース綾坂真琴を軸に必勝の作戦を練るがそこには大きな落とし穴が……!? 一方、永らく仮入部員だった篠原の妹・杏は、愛理にソフトボールの才能を見出され、ソフト部への体験入部を奨められて……!?果たして篠原さんたちは試合に勝利し、無事に文化祭を迎えることが出来るのか!? フィナーレの第3弾! |
【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>
見開き野球部コメディ、最終巻。
打ち切りなんでしょうね、きっと。
2ページで収める形式が困難になって終わらせた……というわけでは決してないかと思います。
第1巻を読んだ時から、長く続けるのは難しいだろうとは薄々気付いていましたけどね。
2巻がちょっと微妙だったので、果たして今回はどうかなと訝しがっていたのですが……うん、悪くないじゃないですか。
新人作家らしく、作者の成長具合がハッキリ見て取れる内容で好感触でした。
野球関連の設定が曖昧だったのが、大幅に改善されていますね。
主人公たちの高校の強さや、球児たちの身体能力など、ようやく説明が追加されました。
具体的に掘り下げたことで、試合展開も熱が入るようになり、ストーリーそのものも楽しめます。
球の回転数など細かい話に一体どれだけの読者がついてこれるのか怪しいのは確かですが、個人的に求めていたのは、こういった野球の駆け引きが見られるラノベだったので、非常に満足です。
コントロールや選球眼が現実離れしてしまうのは、野球作品の宿命なのかな。
ボールカウントがボール・ストライクの順番で表記されていたのは、あえて訂正しなかったのでしょうかね。
ラブコメ的には、綾坂真琴の怒濤の追い上げで、深見さまとの三角関係が出来上がりました。
とはいっても、シリアス要素は薄く、いじらしい女の子の可愛さが売りなのは変わらず。
深見さまも真琴も、基本的に照れやすい性格なのが良いですね。
サクサクと進む掌編のメリットと相まって、コロコロと変化する表情が魅力的でした。
表紙を飾った妹の杏にクローズアップさせた方法に、感服させられました。
ショートショートの中に大筋の起承転結を巧く取り込んでいる見事な構成でした。
2ページという括りに拘らない方が、もしかすると良い作品を書けるかもしれませんね。
ともあれ、新感覚を味わえるゆる~い良作でした。
作者の次回作も一度読んでみたいなと思います。
▼ | 最終巻にして野球要素が増量したテンポの良いラブコメ |
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 正捕手の篠原さん 千羽カモメ 八重樫南 評価B-正捕手の篠原さん2
2012/05/22 Tue 23:59:20 [edit]
![]() | 正捕手の篠原さん 2 (MF文庫J) (2012/01/23) 千羽カモメ 商品詳細を見る |
【評価……C+】
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 設定 ★★★☆☆☆☆☆☆☆ … 3 物語 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5 人物 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 文章 ★★★★☆☆☆☆☆☆ … 4 挿絵 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 | コメディ ラブコメ スポコン | ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆ … 2 |
「あたしが今度の合宿を通して、先輩の根性を徹底的にたたき直してあげます!」 綾坂が女の子だということを知っても、相変わらずマイペースな日々を過ごす守たち明学ナイン。しかし、合宿を目前に控えたある日、野球部に熱血ソフトボール少女の愛理がやってきて部の雰囲気が一変!? ようやく野球が出来るのかと思った矢先、深見の画策により合宿地が南の島(無人島)に変更!そして遭難!無くなっていく食料、ばれそうになる綾坂の正体、そしていつにも増してアプローチしてくる深見の真意とは……? 果たして生き残る(野球をする)ことは出来るのか!?波乱の第2弾! |
【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>
1話2ページの野球部コメディ、第2巻。
まず、内容以前に突っ込まなければならない点が一つ。
誤字脱字が多過ぎ。
同人小説ならまだしも、これでお金を貰っているんですから、最低限のラインはキッチリ守らないといけません。
あとがきにて締め切り直前に原稿データが消し飛んだとありますが、これは延期すべきでした。
間に合ってよかったと言ってますけど、果たして本当にそうだったんでしょうか。
スパプロをパワプロと間違えたところは、呆れつつも笑えましたけど、それ以外は萎えました。
更には2ページで抑えようとするためか、慢性的に説明不足です。
テンポを重要視するのは大切なことですが、必要最低限の言葉を足さないと誰が何処で喋っているのか分かりません。
では、肝心の内容はといえば、ラブコメとしてはあり、スポコンとしてはなしってところ。
野球部の設定が崩壊してて、スポーツ物としては、ちっとも楽しめませんね。
こんなお気楽野球部が強いわけないですし、野球を舐め過ぎです。
野球のルールも理解しているのか、それとも単なる書き間違いなのか、ミスが目立ちます。
ランナーやアウトカウント、打順などツッコミどころが山ほどありました。
二軍がいるという話も唐突で、あまりにも不自然。
MF文庫の場合、主人公以外の男キャラに出番が用意されないため、必然的にハーレム状態となるのは仕方がない……という話で済ませていいレベルじゃないでしょう。
50人以上いる野球部でも、対抗馬となる存在は排除され、男キャラに出番が回ってこないのはおかしい。
フィクションにリアリティを求める必要性はないですが、野球に関してはコメディ要素を混入させていない作風なので、作中内で説得力を持たせてくれないと困ります。
とまぁ、ガッカリした部分は多数ありました。
しかし、だからといって全てが酷かったというわけではありません。
特に、表紙にも陣取っている深見さまのキャラの立ち具合は半端じゃなく良かった。
篠原の気を引こうと可愛いイタズラを仕掛け、反応を楽しむ彼女が微笑ましいのなんの。
悪巧みをしている深見さまが口角を吊り上げてニヤニヤ笑う姿が、容易に想像できます。
篠原に急接近した綾坂が気になり始めているのに、表情に出さず、篠原の関心を得ようと奔走するのが健気で可愛すぎました。
もうこの娘だけでも、シリーズを買い続けたくなるぐらい好きです。
相変わらずオチていない時もあるものの、コメディとしても面白く読めました。
2ページ縛りが苦しそうだなと読者に伝わってこないように頑張ってもらいたいもんです。
野球とラブコメの割合が逆のラノベだったら、個人的にはもっと好きになったんだけどなぁ。
▼ | 深見さまの愛のあるちょっかいがラブコメ的に美味しく頂けます |
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 正捕手の篠原さん 千羽カモメ 八重樫南 評価C+正捕手の篠原さん
2012/02/28 Tue 23:57:06 [edit]
![]() | 正捕手の篠原さん (MF文庫J) (2011/10/22) 千羽カモメ 商品詳細を見る |
【評価……B-】
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 設定 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5 物語 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5 人物 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 文章 ★★★★★☆☆☆☆☆ … 5 挿絵 ★★★★★★★☆☆☆ … 7 | コメディ ラブコメ | ★★★★★★★☆☆☆ … 7 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6 |
「青春の日々は短い。どれだけ短いかというと、文庫本で2ページぐらいだね。」 明神学園2年生の篠原守は野球バカの優等生。今日も今日とて、仲間たちと一緒に青春の汗を流しながら栄光の甲子園を目指す……ということはなく、お嬢様マネージャー・深見月夜にイタズラされ、全然野球をしらない顧問の涼子先生をからかったり、突然、妹の篠原杏が選手志望で入部してきたり、エース投手の綾坂真琴が、実は女の子だったり(!?)と、あまり野球ができない日々を過ごしているのだった……。 第7回新人賞【審査員特別賞】受賞、史上初(!?)2ページ青春ショート!全95話収録!! |
【感想】
一風変わった1話2ページの青春ショートショート。
MF文庫にしては珍しい作風ですね。
小刻みかつ一定のリズムで訪れるオチが、四コマ漫画を彷彿とさせます。
イメージとしては、一口で食べられる小袋菓子の詰め合わせみたいな感じ。
満足感は得られにくいけど、気が付いたら何個も口に運んでしまっているような要素があります。
ライトノベルと呼ぶぐらいですから、1話2ページ形式自体は大いにありだと思います。
軽快なテンポで綴られるためか、どこでも区切りがつけられるはずが、逆にサクサクと読み進めてしまいます。
オチっぱなしでツッコミが不足気味ですが、これは好みの問題でしょう。
ただ前半は頑張っていたんですけど、後半は2ページで区切る必要性が薄く、形に嵌めこんでいるだけのように見えましたね。
明らかに物語としてのボリュームが足りていませんし、この形式の難しさを実感しました。
題材が野球ということで興味を引きました。
でもこれ、野球ラノベではなく、野球部ラノベですね。
ガッツリと試合をやることは一切なく、ゆるい野球部の日常を描いた作品です。
野球の知識がなくても大体分かるようになっているので、単純に部活モノの一種として楽しむこともできます。
とはいえ、単語の説明などが全くないのは、少々不親切かなと思いました。
甲子園を目指す硬式野球部のはずなのに、何故か男の出番は主人公以外ほとんどありません。
口絵を見たら女の子ばっかりだったので、女子野球部の話かと思いましたが、ちゃんと男子野球部の話でした。
あくまで野球部を舞台として用意しただけで、女の子を可愛く見せることに神経を注いだってことなんでしょう。
ちなみに、紛らわしいことに表紙絵の女の子は篠原さんではなく、主人公の名前です。
表紙絵の女の子でエース投手の綾坂真琴がメインヒロインなのかというと、それまた微妙なライン。
少なくとも序盤は圧倒的にお嬢様兼幼馴染み・深見月夜の方が、主役を張っています。
周囲にバレないよう男装する真琴さんも可愛いんだけど、好きな相手の気を引きたくてイタズラする中学生みたいな深見さまは微笑ましくてたまりません。
いつも楽しそうにニコニコとしていて、照れる様子をあえて見せないのが逆に良かったですね。
イラストは、3DSソフト「閃乱カグラ」で有名となった八重樫南さん。
柔らかいフォルムと丸みを帯びた線が、作風にもマッチしていて溶け込んでいました。
ただ、画力は高いのに、ラフっぽい絵がちらほら見られたのは勿体無い
労力を惜しまなければ、絶対もっと完成度が高まっただろうに。
気軽に読める一冊ではありましたね。
それこそ四コマ漫画が好きな人なら楽しめるのではないかなと思います。
▼ | 練習がぬるめの野球部を舞台とした青春ショートコメディ |
テーマ: ライトノベル
ジャンル: 小説・文学
タグ: 書評 正捕手の篠原さん 千羽カモメ 八重樫南 評価B-| h o m e |