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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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明日も彼女は恋をする 

明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)明日も彼女は恋をする (メディアワークス文庫)
(2011/12/22)
入間 人間

商品詳細を見る
読書期間:2012/7/28~2012/7/30

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★
 … 9





 『過去の改変』から戻ったわたしに待っていたのは、彼の消失だった。そして、もうひとつ。わたしの歩けなかった足が、元通りになっていた。わたしが歩き回る姿に、島の住人は誰も驚いていない。慣れきっている。そして、この世界の『現在』では、彼は九年前に死んでいた。その蔓延する常識が、わたしを苛み、蝕んでいく。わたしが歩ける毎日。それは彼が死んだ現代。決めた。わたしは必ず取り返す。わたしと彼がいた世界を。必ず。
 『昨日は彼女も恋してた』と上下巻構成。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

昨日は彼女も恋してた」から続く時間モノのラブロマンス、後編。

想像していたものとは方向性が違いましたけど、面白かったです。
しかし、内容を語ろうとするとネタバレに触れてしまうので、感想書くのが難しいですね。

仕込まれていた仕掛けは、期待通りで、見事に騙されました。
一応途中で気付くことは出来んたんですけど、何故もっと早く感付けなかったのかと悔しくなりました。
タイトルの意味、表紙の人物と車の違い、ボカされた説明文。
ヒントは山のようにあったのに、頭の中で繋がるまでに時間が掛かりすぎました。
巧妙に隠されていたということなのかなぁー。

下巻を読み終えたあとこそ、上巻の意味があります。
改めて読み直すと、ニヤリとさせられる場面の多いことといったら。
書いていて混乱しないのかなと心配になるほど複雑ですね。
何も知らないで読んでいたのが不思議なくらいに罠が張り巡らされています。

発想も構成も良し。
唯一甘いと思ったのが、タイムトラベルに関する設定かな。
テーマ的にタイムパラドックスの問題は避けられない中で、まだ納得できる定義にはしてくれていました。
それでも、曖昧とされてしまった部分が多く、引っ掛かりを覚えてしまったのも事実。
長編シリーズならまだしも、上下巻作品ではこれが限界かなぁとは思うんですけどね。

でも、この作品に一番重要な要素は、タイムトラベルではなく愛を中心とした人間関係です。
彼や彼女の執念ともいうべき想いこそが、この物語の発端であり全てだったんでしょう。
登場人物の心情または信条は、入間人間節が炸裂しており、作者の読者ならば「らしさ」を感じられるものだったと思います。

判明する内容については衝撃的で濃かったですけど、表面上の出来事自体は上巻のが好みでした。

全てが引っくり返る仕掛けに気が付いた時に得られる驚きは感嘆モノ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  明日も彼女は恋をする  入間人間    評価B 

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昨日は彼女も恋してた 

昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)昨日は彼女も恋してた (メディアワークス文庫)
(2011/11/25)
入間 人間

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読書期間:2012/6/9~2012/6/13

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
恋愛
構成
期待感



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9




 小さな離島に住む僕。車いすに乗る少女・マチ。僕とマチは不仲だ。いつからかそうなってしまった。そんな二人が、なぜか時空を超えた。
 はじめは二人はどこにいるのかわからなかった。島の景観なんて、十年やそこらじゃ変化しないから。『過去』に来たと分かったのは、向こうから自分の足で走ってくる、『小さなマチ』を見たからだ。
 僕は驚き、そして思いつく。やり直すことができると。ずっと後悔していたことを、この、過去という『現在』で。『明日も彼女は恋をする』と上下巻構成。

【感想】


すれ違いにより不仲となってしまった幼馴染みとの関係を回顧させるタイムスリップ作品。
上下巻構成の上巻にあたります。
ちなみに下巻は「明日も彼女は恋をする」というタイトルです。

舞台は、500人前後の島民が暮らす小さな離島。
とある過去の衝突が原因で、余所余所しくなってしまった若い男女――大学生の青年・ニア車椅子の女性・マチは、時間旅行の実験に付き合い、9年前にタイムトラベルしてしまう。
思いがけず仲の良かった頃の自分達と出逢い、過去の想いと今の内面を見つめ直すことで、二人の関係が微妙な距離感になっていくラブロマンスとなっています。

これは良かった。
ただ、上巻だけでも面白かったですけど、下巻があってこその本だと思います。
それほど前に、最後の展開が凄まじかった。
予想していた展開のうちの一つとはいえ、本当に起こると衝撃的でしたね。
ズルいぐらいに先が気になります。

癖の強い文章を書くことで有名な入間さんですが、本作では比較的落ち着いた文体で読みやすくなっています。
ニアとマチの視点を交互に描写する構成は、一人称に長けている著者の長所を売りに出来る良いアイデアでした。

緩やかに綴られる心情が、徐々に解れていくココロを表していくかのよう。
無邪気にじゃれあう自分達を見ることで、いがみ合っていた対立が緩和していく展開は素敵。
素直になれないために、子供相手に問いかける彼らがもどかしいのなんの。
幼き己らを緩衝材としなければ、まともに幼馴染みを名前で呼ぶことすら躊躇う。
そんな二人が時間移動の果てに見つけた境地は、とても意義のあるものだったと思います。

ニアと祖母のエピソードが、柔らかい陽の光みたいに優しくて、地味ながらも好きでした。
いいなぁ、このあったかい感じ。

SF要素に関しては、あくまで舞台装置の仕掛けであって、主題ではなさそうですね。
少なくともこの上巻では。
それでも、ニアやマチが過去に残した跡は、大きな変化を生むことを予感させる伏線がばら撒かれています。
下巻で、どこまで拾ってくれるのか楽しみですね。

仲違いのキッカケが生まれた過去の瞬間にタイムスリップを果たした男女の恋物語

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  昨日は彼女も恋してた  入間人間    評価B 

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バカが全裸でやってくる Ver.2.0 

バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)バカが全裸でやってくる〈Ver.2.0〉 (メディアワークス文庫)
(2011/09/23)
入間 人間

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読書期間:2012/4/24~2012/4/27

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
 … 7
構成
完成度




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 ついに僕はデビューした。
 ずっと夢だった、憧れの職業。小説家になった。すべてがバラ色、これからは何もかもがうまくいく……はずだった。
 デビュー作の『バカが全裸でやってくる』は、売れなかった。それはもう悲しいほどに。そして僕の小説家人生はまだ始まったばかりだった。
 担当編集から次作に課せられた命題は、『可愛い女の子を出せ』。まてまて。なんだその意味不明な無理難題は。好きなものを好きなように書くのが小説家じゃないのか?
 業界を赤裸々(?)に描く問題作登場。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


続編が出るとは思っていなかった「バカが全裸でやってくる」第2巻。
普通に読んでいたら、まんまと騙されました。
前回同様に、あとがきが最大のネタバレとなっているので、後ろからめくる人は要注意です。

しかし、これ感想書き辛いな。
内容に触れようとすると核心を突いてしまうので、表面上をなぞるぐらいしか出来ませんよ。

とりあえず、使用されたギミックは面白い試みでしたね。
その代わり、物語の起伏の無さは少々退屈だと感じる人がいても仕方がないかな。
入間人間さんのファンならば、著者自身のことを書いているんだろうなというニュアンスが多分に含まれているので、作品とは別口で楽しめましたけどね。
「電波女と青春男」はそんなにも苦痛だったのか……w

一応の体裁としては、小説家デビューを果たした『僕』の後日談。
縛られずに全裸でいられたアマ時代とは違い、作家として着膨れしていく若き小説家の日々を綴ったものです。
小説以外には何もなく、ただひたすらに書き続けるスタンスが、脳内の入間人間像と被ります。
きっと本音も混ざっているんだろうなと思いつつ、ニヤニヤしながら読みました。

ライトノベルに「可愛い女の子を出せ」という指令は、編集として至極当然であるとは思います。
魅力的な女の子キャラがいるだけで、華々しいってもんです。
昨今のラノベ業界は、些か一辺倒が過ぎるのも否めませんがね。

そういう意味では、ラノベキャラっぽくない甲斐抄子が素敵でした。
いかにもだらしのない女性として描かれるのに、何故か可愛いヒロイン役になっています。
普段から素であるが故に厳しさの割に嫌味がなく、言動に温かみを感じられるのが大きいのかな。
直接的な表現に頼らず、雰囲気で人となりを見せる術はお見事でした。

最後の問い掛けは、正解する自信がありません。
読書回数の問題なのか、読み解く力がないだけなのかは分かりませんが、答えが絞りきれないんですよねぇ。
でも、こうやって混乱しつつも推理するのが、この作品の楽しみ方なのかもしれません。

小説を書くことが生きがいであると作品の隅々から感じられる一冊

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカが全裸でやってくる  入間人間  評価B 

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トカゲの王Ⅰ ―SDC、覚醒― 

トカゲの王 1 (電撃文庫 い 9-22)トカゲの王 1 (電撃文庫 い 9-22)
(2011/07/08)
入間 人間

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読書期間:2011/12/9~2011/12/23

【評価……C+
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
人物 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
構成





 ★★★★☆☆☆☆☆☆ … 4






 俺はこんな所で終わる人間じゃない。その他大勢が強いられる『普通の人生』から逸脱した、選ばれし者なんだ。
 俺に与えられた能力『リペイント』は、インチキめいたまがい物。でも、俺には世界を“塗り替える”資格がある。このインチキこそ、俺の力なんだ。
 どこまでもなにもかも騙し抜く。
 まず手始めに、俺自身も騙す。
 そして、目の前に立ちはだかる不気味な殺し屋どもから必ず逃げ延びてやる。
 だって、俺は。
 『最強』なんだから。

【感想】


入間人間氏の新境地となる異能系バトル、開幕。
一冊丸々かけてのプロローグとなっています。

これまで著者の本は刊行順に全て購読してきました。
独特の文体ながらも安定したクオリティを生み出す作家さんだと思います。
しかし、今作は残念ながら微妙だったと言わざるを得ません。

瞳の色を変化させられる能力を持った主人公・五十川石竜子
異能の力を持った彼は、非現実的な出来事に憧れを持っていた。
己の力に未知なる可能性があると信じる思春期真っ盛りの彼だったが、実際に本物の異能者たちの騒動に巻き込まれることで、大きく心境が変化していく……といった内容です。

印象としては、入間人間版『とある魔術の禁書目録』。
元来ラノベや漫画において異能系バトルは人気ジャンルの一つで、ここ10年で急激に需要と供給が高まった分野だと思われます。
その多くは、主人公の成長や覚醒を起点として物語が始まりますが、そんな過去の異能系バトル作品のアンチテーゼともいえるモノを書きたかったのかなと感じました。
『嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん』を執筆した作者らしい、生々しく厭らしい描写がふんだんに盛り込まれたものとなっていて、作風としてはアリだと思います。

ただし、相変わらずエグい書き方をしますから、お世辞にも万人に薦められる文章ではありません。
状況的に緊迫した状態が続くため、合間に挟まれるパロネタやギャグも少なめなのが一層読み辛い。
また、叙述トリックは、面白さよりもシコリが残るだけで、読み難さの方が上回ってしまいました。

それ以上に問題なのが、物語が単純につまらないという小説における致命的な弱点です。
厨二病を発症した主人公が痛い目をみる発想は良いと思うんですけど、そこから先が何もなかった。
次巻以降で盛り上げていく算段なのかもしれませんが、惹かれる要素が少な過ぎます。
みーくんみたいに嘘やハッタリで騙ることが出来れば、ガラッと見方も変わったんですけどね。

ヒロインの巣鴨涼もまた癖のあるキャラで、好感は正直抱き辛いです。
インパクトを与えたという意味では成功していますから、こちらはまだ今後に期待できますがね。

作家買いならともかく、ブリキさんの肉つきのエロい絵で釣られた人には、厳しい内容だったかなと思います。

中途半端な能力を持つが故に調子に乗った少年が酷い目に遭う話

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  トカゲの王  入間人間  ブリキ  評価C+ 

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電波女と青春男 SF(すこしふしぎ)版 

電波女と青春男 SF(すこしふしぎ)版 (電撃文庫)電波女と青春男 SF(すこしふしぎ)版
(電撃文庫)

(2011/04/08)
入間 人間

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読書期間:2011/9/23~2011/9/28

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 「地球は狙われている」らしい。
 布団ぐーるぐる電波女・藤和エリオは俺にそう言った。心機一転、都会で夢の高校ライフを過ごそうとしていた俺の青春って、一体どーなんの…………って、あれ?
 これなんか、前にも一回説明した気がするな……。こほん。あー。どもども丹羽真です。仕切り直して。
 さて今回のお話は、叔母である藤和家に居候することになった俺が、高校二年から転校した都会の学校、天然系健康少女やモデル系美人さんと出会い、そして我が家には布団ぐーるぐるな電波女がいて、俺の青春どーなんの……ってやっぱり同じじゃん!
 SF(すこしふしぎ)版。その意味はこれを読めば明らかに……なるといいなぁ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


「電波女と青春男」シリーズ、謎の番外編。
本来の最終巻である8巻と同時に発売されました。
タイトルやあらすじを読んでも内容がよく分からず、読んでみて初めて理解できました。

一言で表すと、要するに1巻の再構築版ですね。
シリーズを継続していくと、初期の構想からは想定していない方へ進んだり、設定に矛盾が生じたりしますが、それらを踏まえた上で、改めて一つの作品としてまとめてみましたという体裁です。
作者の云う劇場版的な感覚というのも何となく伝わってきますね。

ストーリーの流れは、1巻をベースにしているため、当然ながらほぼ同じです。
ただ、1巻では登場しなかった星中、ヤシロが登場していたり、主要キャラとの出会いに違いが見えたりするので、新鮮さが皆無というわけでもありません。
提示された選択肢を別のモノしてみたらどうなるのか?というギャルゲーっぽい面白味がありました。
次の展開が読めるというか知っているので、驚きはなかったですがね。

最も大きく印象を変えたのは、真の一人称から三人称への変化です。
入間さんの文章というと、パロディと比喩表現を巧みに使う独特の雰囲気が良くも悪くも人を選びます。
しかし、それは一人称の場合においてであって、三人称は正直微妙だと思っていました。
おそらく著者にも苦手意識があったのではないかなーと思っていますが、今回のSF版は格段に進歩を見せていますね。
入間節を残しつつ、文章は奇をてらい過ぎることもなく、読みやすく仕上がっていました。

キャラに変化はないと言いたいところですが、最初から一貫しているのは前川さんくらいですね。
初期のリュウシさんは、基本的には地味子さん(自称)で時々ボケる人だったはずなのに、いつの間にやら常時ぼけぼけ~とした性格と変わっちゃったし。
エリオと女々さんのマザコン&親バカ仕様は、2巻からの急激な変化でした。
リメイクするにあたって、本編8巻までの内容で整合性を取ったことで、こちらの方が「らしいなー」と感じられました。

挑戦的な試みとしては、評価したいところ。
でも、この本を出す必要性はあったのかという疑問は残ります。
それなりに面白いし、8巻とのリンクもありといえばありなんですけどね。

挿絵は、半分は1巻のものを流用しています。
描き下ろしの絵と混ざっているため、ちょっとゴチャゴチャしている感じ。
今のブリキさんの絵も嫌いじゃないんですけど、多忙のためか軽く描いている線が多いんですよね。
絵の上手さは別にして、描き込み量は1巻の時の方が上なので、新規絵が少々雑に見えちゃうのは残念だったかもしれません。

これは1巻の代わりに読むというよりも、最終巻を読んだ人が補完的に読む作品かな。
少々特殊ですが、あくまで番外編だと感じましたね。

パラレルワールド風の本編1巻リメイク作品

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価B- 

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電波女と青春男8 

電波女と青春男〈8〉 (電撃文庫)電波女と青春男〈8〉 (電撃文庫)
(2011/04/08)
入間 人間

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読書期間:2011/4/13~2011/4/15

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 リトルスマキンが襲来した。
 具体的には、ミニマムサイズの布団ぐーるぐるな存在が、俺と藤和エリオの前に現れた。
 うん、この展開。本来だったら「この地球外生命体みたいなやつの目的とは!?」なんて気張るところなんだろうが、このリトルスマキンにそんな期待(?)をしても意味がなさそうだった。
 しかし、俺はこいつと出会って思い知ったことがある。青春ポイントの低下要因であったはずの藤和エリオ。俺は彼女に、どれだけ依存していたかってことを。
 今回のお話で、俺は宇宙人たちに終わりをコールする。
 なんだかんだあっても。
 俺たちは、相変わらず青い空を眺めて、遥か宇宙を目指すんだ。
 だって、地球人だから。
 以上。丹羽真でした。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


絶賛アニメ放送中の不思議系青春ラブコメディ、完結。

最終巻にして、最も微妙な内容でした。
いやぁ、これで終わりはねーよといった感じ。
みーまーの時もそうでしたけど、長期作品の締め方が雑過ぎませんかね、この作者。
嫌々とは言い過ぎかもしれませんが、無理矢理続けましたという印象の受けるあとがきもあって、何だかすごく残念でした。

謎のリトルスマキンの襲来。
青春ラブコメとして落ち着きつつあった世界でしたが、またもや電波に満ちることに。
1巻を彷彿とさせる展開ですね。

伏線が多く取り残されたのが、読了感をスッキリさせてくれない原因となっています。
あえてボカすことで、不思議な空気を表現するのは良いんですけど、明かされない謎が多すぎます。
生温かい日常で物語を締めること自体は、むしろ賛成派なぐらいなんだけどなぁ。

しかも、その青春模様も文章量が半減しちゃっていて、全然物足りない。
新キャラのリトルスマキンとの絡みばかりで、肝心のリュウシさんや前川さんの出番が少ないのは致命的。
前川さんが照れる姿は、そりゃもう破壊力抜群なんですが、さすがにそれだけではねぇ。

エリオの成長という観点でいえば、なかなか興味深いものはあります。
まさに過去の自分ともいうべき存在が現れたわけですが、もう道を踏み外す気配は見えません。
真でなくとも、父親的な目で見守りたくなる女の子ですね。

こうしてみると、6巻の大掛かりなエピソードは、最終巻に相応しかった気がします。
7巻のifストーリーは、オマケ的な後日談としてピッタリですしね。

商業的に走り過ぎるのも困りものですが、それでもアニメ化と同時に終わらなくてもいいのに。
捻くれたところが作者らしいといえばらしいのですけどね。

初期と比べると、各キャラの成長や変化を実感できるあっさりとした終幕

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価B- 

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ぼっちーズ 

ぼっちーズぼっちーズ
(2010/11)
入間 人間

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読書期間:2011/3/1~2011/3/11

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
構成
友情




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7





 空を自由に飛びたいわけじゃない。
 愛と勇気を友達にしたいわけじゃない。
 明るく光る星一つ見つけたいわけじゃない。
 僕が望むのは、普通の人のまわりに、当たり前にあるべきもの。
 酸素とチョコレートの次ぐらいに、誰もが気軽に手にしているもの。
 漢字二文字で、世界の在り方を大きく変えてしまうもの。
 孤独と集団の壁を生み、ときに壊すもの。
 友達。
 生まれて初めてその単語を口にする。
 僕は独りぼっちだ。
 友達。
 それは僕にとっての途方もない奇跡の象徴。
 僕と他人が揃っても、『友達』にはならない。『ぼっち達』になる。
 僕の場合、1と1が合わさっても、2にはならない。
 なぜか1と1が、延々と続いていく。なぜだ。
 僕は祈る。どうか届け。できれば神様に。
 途方もない可能性を内包するご都合主義的な奇跡よ、降臨せよ。
 友達。
 僕はそれが、欲しい。
 すべてはあの忌まわしき楽園、秘密基地から抜け出す為に。

【感想】


独りぼっちたちが「友達とは何か?」と苦悩しながら生きる日々を描いた物語。

タイトルからも想像がつく通り、友達がいない者たちの青春群像劇です。
僕の小規模な奇跡」や「バカが全裸でやってくる」でお馴染みの大学が舞台。
著者の地元である岐阜や愛知を舞台に描かれることが多く、東海民としては、随所に仕込まれたローカルネタにニヤリとさせられてしまいますね。
この大学のモデルも何となく分かりますし。
東海では知らない人はいないスガキヤも、他地域の人だと置いてけぼりだったりするのかな。

誤解を恐れずに率直な感想を言わせてもらいますが、これは卑怯だなぁ。
最後の読了感が良すぎるおかげで、それまでの不満点が吹っ飛んでしまいますよ。
終わってみれば、面白かったなぁという印象しか残ってないという。
まさか、読み返したくなるとは思わなかったです。

軽く読みかえしただけでも、出るわ出るわ伏線の数々。
初読のときも思わせぶりな台詞や単語が並べてあるなとは思っていましたが、改めて気付かされることが本当に多いこと。
あれやこれやの由来の使い方が巧みで、幾度もうならされました。

ぼっちの在り方、友達の定義などは考えさせられますね。
作品内のぼっちが、人との距離感を測りかねる様が、リアリティがありすぎて苦笑いしてしまいます。
他人に己の領域を踏み込ませることを極度に躊躇い、対人に構えてしまうタイプっていますよねぇ。
自分自身にも、思い当たる節がいくつもあって、正直かなり胸が痛かった。
これは、少なくとも一度ぼっちの経験がないと書けない代物でしょう。

友達に限らず、人は人との関わり合いで人生が豊かになることを、この作品自体に教えてくれます。
傷みを覚えるほどに掘りまくった内面描写は、興味深いのは確かなんですが、面白いわけではないんですよね。
会話というツールで、共感や反発するところが、人間の面白いところなんだと思います。
臆病な人間が、たどたどしいコミュニケーションで友達を作ろうとしたり、生まれつつある友達という絆を大切に育もうとしたりする姿が、見ていて楽しくて心地良い気分になれます。

狙いは良かったんですが、ハードカバーで淡々と友達がいない話を続けるのは、退屈な面がありました。
後半の一点に種明かしが集中しているため、クイズの答えを教えてくれないような、もどかしさもあったり。
前述したとおり、読み終わった後は気分爽快なんですが、序盤から中盤にかけては、なかなかページをめくる手が進まくてキツかったです。

表紙イラストは、「六百六十円の事情」でも担当された宇木敦哉さん。
質感や背表紙など凝った作りとなっていて、目が惹きやすいところは商業的に成功していると思います。

難点もあったので、お薦めはし辛いところですが、個人的には楽しめました。

ぼっち経験者の誰もが共感を覚え、友達の有難さを身に染みるほど実感させられる話

テーマ: 読書感想文

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ぼっちーズ  入間人間  宇木敦哉  評価B 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん10 終わりの終わりは始まり 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん10 終わりの終わりは始まり (電撃文庫)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん10 終わりの終わりは始まり (電撃文庫)
(2011/01/06)
入間 人間

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読書期間:2011/1/8

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8

構成
ミステリー



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6




 まーちゃんが、殺人犯に攫われた。
 僕の元から、まーちゃんが消えた。バカップル伝説も終焉を迎えた。
 長瀬透殺人事件に起因する自分自身との無益な争いに精を出していた間に攫われたんだから、まったくもって笑えない。
 しかも犯人は、長瀬だけでなく、僕の知り合いを次々と殺してまわった人間でもある。
 そして、今だ犯人は逃亡中。
 この事件だけは、僕が終わらせないといけない。敵は二つ。殺人犯と、僕自身。内外からの挟み撃ちだ。相手にとって不足はないが、相手からすれば標的は不足だらけだろう。
 だからって、まーちゃんを諦めると、僕はみーくんじゃなくなる。
 出来る内に、出来ることを。『ぼく』が終わる前に。
 よーし。じゃあみんな、行ってきます。
 ちょいとハッピーエンドまで。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


嘘つき少年と壊れた少女のものがたり」終章。
第13回電撃小説大賞の最終選考会で物議を醸したみーまーシリーズ、最終巻です。

みーまーらしい終わり方。

最後の最後まで一貫とした評価がし辛い作品でした。
一言目に面白いとはなかなか言えないし、不満点も多数存在します。
しかし、独特な雰囲気、登場人物たちの魅力、癖のある文章など長所も数多くあります。
どちらに傾くのかは人それぞれでしょうが、自分にとっては購読し続けたいと思わせる力があったのは確かです。

長く続いた作品は、終わりを迎えると途方もない虚無感に襲われるのですが、今作ではありませんでしたね。
終わりを迎えたのは受け止めているのだけれど、どこかでまだ続いている感覚があります。
著者の作品がクロスオーバーしていることもあって、本作の登場人物が他の作品と同じ世界で生きているんだろうなぁと考えると、不思議とあまり寂しさを感じませんでした。
もしかすると、みーまーシリーズのみを追っている人からすると、別の感想を抱くのかもしれませんね。

200ページちょっとの最終巻は物足りない。
しかも、その多くが冗長だったのはいただけませんね。
詳しく書くとネタバレになってしまうので避けますが、もう少し練り込めたのではないかなと思います。
映画公開に合わせる為に1年間待たされた挙句に、この内容の薄さは正直残念と言わざるを得ません。
8,9巻の展開が凄かっただけに、期間を空けられると、ハードルばかりが高くなってしまいました。

犯人や物語の結末は、予想の範囲を超えることなく収まり、驚きが足りなかったですね。
みーまーには、鈍く響き渡るインパクトが欲しいと思ってしまいます。
状況は酷い惨状なんですが、その割にあっさりとしすぎでした。

とはいえ、後半というか部分的に凄く盛り上がり、それだけでも読んだかいはあったと思います。
見せ場が短すぎたのは惜しいけれど、そのかわりにある台詞に重みが凝縮されていました。
精神が崩壊するほど残虐非道な事件があったり、血みどろとなり何度も瀕死に陥ったりと、危険性ばかりがクローズアップされますが、結局のところ本作は愛の物語だったんだなぁとしみじみと感じますね。
客観的にみると歪んだ愛情でも当事者にとっては限りなく純真で、それが皮肉でもあります。

この終幕が、果たしてハッピーエンドかどうかというのは、それこそ受け取り方次第でしょうね。
個人的には、ハッピーでもバッドでもなく、唯一無二のトゥルーエンドだったという印象かな。

ヒロイン勢を始めとして登場人物に良キャラが多かったので、もっと幸せな場面を見たかったなぁという欲は正直あります。
まぁでも、××とまーちゃんのための物語としては、ここが一番いい落とし所だったのでしょう。

左さんのイラストは、初期から随分と変化しましたが、どの時期の絵も好みで見応えがありました。
挿絵が扉絵のみというのも作品のスタイルと合っていて良かったと思います。
あぁでも、ゆずゆずの絵がもっと見たかった……!

一息つく暇もなく、次々と新作を発表する著者には感服します。
とても充実した時間を過ごすことができました。
お疲れ様です。そして次回作も期待しています。

どれだけ不幸でも生きている幸せを実感させてくれるラブストーリー

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間    評価B+ 

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電波女と青春男⑦ 

電波女と青春男(7) (電撃文庫)電波女と青春男(7) (電撃文庫)
(2010/12/10)
入間 人間

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読書期間:2010/12/12~2010/12/13

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★★ … 9
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
ラブコメ
青春
リア充



 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 どもども丹羽真です。近況としては、ちょっとした事情で貯めていた青春ポイントを使い切ってしまったので、最近干からびそう……という感じ。
 突然ですが、どうやら今回は、その青春ポイントにまつわるお話じゃなくて、『妄想ポイント』が主軸となるみたいだ。
 宇宙って途方もなく広いわけだし、俺たちが辿り着けないほど遠くにもう一つぐらい地球があって、そこではやっぱり俺やエリオたちがいて、似たような毎日を送っていて……とか妄想することがあるんだけど。今回はそんな話。
 でもどうせ空想奇譚なら。夢がある方がいい。
 そう、例えば。
 もしリュウシさんや前川さんやエリオと、人生を共に歩むことになったら、とか。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


アニメ放送が迫ってきた、高校生達の青春ストーリー第7弾。

真が妄想する、各ヒロインと結ばれた場合の短編集+αという珍しい形式となっています。
ギャルゲーのルート別シナリオを読んでいるかのような感覚ですね。
メインヒロインよりもサブヒロイン好きとしては、嬉しい内容でした。

つまり何が言いたいのかというと、前たんが可愛すぎてヤバイ。
あらすじを読んで、すぐに読まねばと思ったのも、何を隠そう、前川さんエンドがあると知ったからです。
いやー、恋する前川さんの照れっぷりに、ニヤけ顔が止まりません。
相思相愛となって、ようやく気持ちを真に伝えられるようになった前たんの恋に臆病なところが大好きです。
嫉妬深いところなんか、逆にたまらんわー。

リュウシさんENDも、大人っぽく成長した二人の姿が見られて良かった。
しかしながらこの作者は、バカップルしか書けないんだろうかw
周囲からすると、いちゃいちゃしすぎていて、どう見てもウザったいですよ、これw

妄想なのに甘い関係で終わることなく、切なさも想像するところは、このシリーズらしいと感じました。
真を取り巻く環境は、絶妙なバランスで成り立っているということなんだなぁ。

まぁ、真の考え方は、都合がよすぎるなーと思わないでもないんですがね。
女の子たちの好意を感じながらも正面から受け止めもせず、鈍感な振りをしてチヤホヤされたいと言っているように聞こえますから。
それで、青春ポイントがなくなったとか言っているんだから、全国の男子高校生に恨まれても仕方ないですよ。

媒体が本である以上、どうしてもエンディングの表現が一つに固定しがちなので、このように妄想でも可能性を見せてくれるのは凄く嬉しい配慮ですね。
人気作品の中には、ゲームでフォローするパターンもありますが、やっぱり原作者の文章で読みたいですし。

それにしても、似たような表紙になるくらいなら、エリオ以外の女の子も表紙に出して欲しいなと思う自分は、やはり贔屓の目があるんでしょうかね。
リュウシさんや前川さんの表紙も見たいよなぁ。
挿絵がエロ素晴らしいだけにね。

唯一不満だったのは、星中ルートがなかったこと。
真的には、妄想する余地すらないってことなのか?
切ない関係なだけに、ラブラブな二人が見たかったなぁ。

ギャルゲー風マルチエンディング方式の実験作

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価B+ 

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電波女と青春男⑥ 

電波女と青春男〈6〉 (電撃文庫)電波女と青春男〈6〉 (電撃文庫)
(2010/09/10)
入間 人間

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読書期間:2010/10/29~2010/11/1

【評価……A-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春
構成
リア充


 ★★★★★★★★☆☆ … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★
 … 9



 どもども丹羽真です。
 えー、俺は今、青春ポイントが浮遊しまくる魅惑のボーナスステージに立っているのだった……!
 そう。本日は我が母校の文化祭なのである。
 今年は『引力』をテーマとしているらしく、生徒も一般入場者も、全員その小指にはカラフルな糸がぷらぷら結ばれている。なんでも、同じ種類の糸を巻いている人を発見して結び合えば、『運命という引力で引き寄せられた者』同士ということで、めでたく文化祭のメインイベントである体育館ライブコンサートにアリーナ席で参加出来るらしい。さて。俺はその『引力』とやらでどんな相手を引き寄せるんだろうねぇ。
 ふと気づけば、見慣れた水色の粒子があたりをキラキラ散乱していた。
 この晴れ舞台で、ついにエリオは「せーしゅん女」になる。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


粒子を振りまく少女と鈍感なリア充少年の青春モノ、第6巻。
青春ポイントのボーナスステージである文化祭のお話です。

青春してるなぁ。
今回は真以外の視点も多く取り込んでいるため、文化祭の賑やかさが伝わってきますね。
各々の心情が甘酸っぱかったり、純粋で眩しかったりと、まさにこれぞ青春って感じ。

クロスオーバーと群像劇が好きな作家さんというのは百も承知のつもりでしたが、随分力を入れてきましたね。
入間ファンであれば、ニヤリするキャラが続々登場し、お祭り気分を味わえます。
構成も見事で、巧妙に隠された伏線に気付かず、後半で判明した際には一本取られたなと思いました。

そもそも文化祭テーマである「引力」ってところからして、仕掛けていますよね。
小指に括りつける糸を配布して、同じ柄の人を探し出すという試みは、実際の文化祭でやってみても結構面白いんじゃないかなー。
みーまーネタをこんなところで活かしてくるとはニクイっすね。

エリオの成長は、真じゃなくても父親の心境で見守りたくなりますな。
他のキャラと比べた場合、とても同い年には見えないぐらい幼いけれど、それでも少しずつ前進しているのが分かります。
もう電波女というレッテルは相応しくない、立派なせーしゅん女ですね。
もしくは、布団女かw

個人的イチオシである前川さんは、今日も今日とて可愛かったです。
初期の頃はコスプレで徘徊する変わった人という認識でしたけど、今では数少ない常識人として欠かせない存在となっています。
エリオやリュウシさんに遠慮して、一歩引いた立場に立ってしまう自分に対して、モヤモヤするところなんかは乙女チックすぎて悶えてしまいますよ。
真は、もっと前川さんの可愛さを感じ取るべきだよ、うん。

リュウシさんは、文化祭でテンションが上がっているのか、いつにも増してウザかったw
悪口ではなく、もちろん良い意味で騒がしかったってことです。
にわ君に取り巻く女はいかんですよー!と顔を膨らませる様が容易に想像できて楽しいわぁ。
自称普通っ子のはずが、どんどん頭が天然さんになっていく。あと胸も。天然万歳やっちゅーに。

ウザいといえば、多摩湖さんと黄鶏くんを忘れちゃいけません。
5巻で分かりやすい伏線が張ってあった上に、直前で文庫化されていたので当然出てくると思っていましたが、予想以上に出番が多くて驚きました。
てっきりチョイ役程度だと思っていたので、ガッツリと絡みがあって面白かったです。
まぁ、でも客観的にみると、バカップル以外の何物でもないですね、この二人w
ブリキさんの絵でも案外違和感なく受け入れることができたのは、何気に凄いことなんじゃないかな。

他にも語りたいキャラはいっぱいいますが、ネタバレになるので伏せておきます。
一つだけ言えることは、挿絵を見ると面白さが半減してしまうので、ちゃんと最初から読むことをお薦めしますってことだけですね。

後半の盛り上がりから、読了後の爽快感まで素敵な物語でした。
ページ数としては300P弱なのに、多くのキャラに見せ場があって読み応え抜群なのは素晴らしい。
シリーズ内では、1,2を争う面白さだったと思います。

綺麗に終わっているので、アニメ最終回はこの辺りになりそうですね。

一人の少女が過去を乗り越えて新たな一歩を踏み出す青春小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価A- 

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バカが全裸でやってくる 

バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)バカが全裸でやってくる (メディアワークス文庫)
(2010/08/25)
入間 人間

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読書期間:2010/9/17~2010/9/21

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 なし
構成





 ★★★★★★☆☆☆ … 7






 僕の夢は小説家だ。そのための努力もしてるし、誰よりもその思いは強い。お話をつくることを覚えた子供の頃あの日から、僕には小説しかなかった。けれど僕は天才じゃなかった。小説家になりたくて、でも夢が迷子になりそうで。苦悩する僕のもとにやってきたのは、全裸のバカだった。大学の新歓コンパ。そこにバカが全裸でやってきた。そしてこれが僕の夢を叶えるきっかけになった。こんなこと、誰が想像できた?現実は、僕の夢である『小説家』が描く物語よりも奇妙だった。

【感想】


小説バカと揶揄されるほどに小説を愛する人々の入間人間さんらしい群像劇。
全5章となっており、主人公も変わりますが、ストーリーは繋がっているため、ぶつ切り感はあまりありません。

心の奥底に眠る渇望を文章にしてぶちまける小説家たちが、実に熱狂的でした。
タイトルだけで判断するとコメディ作品と勘違いしそうですけど、これは小説と夢をテーマにした人間ドラマですね。

1章の小説家志望の大学生の話が一番面白かった。
「バカが全裸でやってくる」ところはフィクションだろうけど、これは作者の自伝ではないのかと懐疑的になりながら読んでいました。
全章通じていえることですが、どこまでがノンフィクションなのかと推理しながら読むのが楽しかったです。

あとがき、帯を含めて1つの作品となっていて、完成度の高さに驚かされます。
最後まではっきりしたことは作中で明かされてはいませんが、帯をみる限り、そういうことなんでしょうね、きっと。

小説を書く面白さにハマりこんだ人たちをみていると、こちらまで熱意にあてられそうになります。
書きたいから書くということが、シンプルでありながら、最も重要なことなんだろうなぁ。
ある意味、その思いこそが、一種の才能なのではないかと考えさせられました。
もちろん熱意だけではどうにもならない現実の壁はありますけれど、この本の登場人物達はみんな最終的には乗り越えそうな何かを持っている気がします。

入間人間さん独特のパロメタ表現は抑え気味で、文章も作者のファンとしては味気ないぐらい読みやすいものとなっています。
作者の電撃文庫作品を読んで苦手意識を持っている人でも、これならば問題なく読めるはずです。
ワナビが読むと、どういった感想になるのか気になるなー。

私小説の雰囲気漂う小説家志望者のサクセスストーリー

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  バカが全裸でやってくる  入間人間  評価B 

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多摩湖さんと黄鶏くん 

多摩湖さんと黄鶏(かしわ)くん (電撃文庫)多摩湖さんと黄鶏(かしわ)くん (電撃文庫)
(2010/07/10)
入間 人間

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読書期間:2010/8/2~2010/8/4

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
変態
リア充



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★
 … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 Q:年上のおねえさんは好きですか?
 A:はい、俺は大好きです。
 二ヶ月前から付き合い始めた多摩湖さんは、年上だけど下級生という大人な女性だ。
 そんな素敵なおねえさんと、エロいゲームを密室でプレイする、二人っきりのカードゲーム研究会の魅惑の日々を描いたのが本作である!(でも本当にそれだけなんだよなあ)
 おっと。いちおう断っておくけど、多摩湖さんと俺は、決してキャッキャウフフなバカップルじゃない。二人だけのゲームにいそしむ変態カップルだから。
 ……いいのかそれでー。

【感想】


俺達バカップルじゃねーよと勘違いしている変態カップルのイチャイチャ記録。
さすが、入間作品。
普通のカップルではありませんでした。

リア充爆発しろ!の一言で感想締めてもいいんじゃなかろうか。
タイトルとあらすじで完結しちゃってるもんなー。

一応改めて説明すると、高2男子の黄鶏くんと、19歳なのに高1女子の多摩湖さんがラブラブする話です。
それ以上でもそれ以下でもありません。
ただひたすらに部活動であるカードゲームを独自のエロティックルールにして遊び尽くすくだりが描かれています。
ストーリー?そんなものは、犬にでも食わせておけ!といった内容です。

脱衣ポーカー」とか「キスババ抜き」など、サブタイのゲーム名からして凄いというか酷いw
付き合い始めたばかりでノボせているカップルの空気は、ニヤニヤを通り越してイライラもしてきますが、あまりに突き抜けた二人なので、ここまで来ると外野から見ていても楽しくなりますよ。
まぁ、個人的には面白かったものの、人を選びまくる作品でしょうね。
入間節である脳内垂れ流しのような文章も濃度高めですし。

怒涛ともいえる会話の応酬に乗れるかどうかが大きなポイント。
改行せず紙面びっしりと埋め尽くされたダイジェスト風の短い会話が特徴で、もはや小説ではない気がします。

最初は多摩湖さんに振り回されていたのに、回を追うごとに変態としてレベルアップする黄鶏くんがヤバイ。
ある意味、男子高校生として正しい姿なのかもしれませんが。
こんな可愛いお姉さんに誘惑されてしまっては、仕方がありませんよ。うん。

左さんのイラストを、じっくりと鑑賞できるのもいいですね。
みーまーでは、扉絵に立ち絵があるだけでしたしね。
カラーイラストに比べて、挿絵は少々雑なものもありましたけど、可愛かったから良し。

ただ、これは単作で十分かな。
シリーズで続かれても、胃もたれしそうだw

ちなみに、著者の「電波女と青春男」にもリンクしているので、要チェック。

変態バカップルの惚気話を延々と聞かされるラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  多摩湖さんと黄鶏くん  入間人間    評価B+ 

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電波女と青春男⑤ 

電波女と青春男〈5〉 (電撃文庫)電波女と青春男〈5〉 (電撃文庫)
(2010/06/10)
入間 人間

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読書期間:2010/7/13~2010/7/16

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
ラブコメ
青春
リア充



 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8




 青春ってのがなんなのかは正直分からんけど、それがあると心が満たされるものらしい。
 あ、どうも。青春ポイントを求め彷徨う流浪の旅人、丹羽真です。ついに俺は、ぐるぐる布団に電波女な藤和エリオと一緒に海に来てしまった。
それだけじゃない。水着完備の天然健康系少女・リューシさんも、コスプレ長身美人・前川さんも一緒(女々さんもね一応)!
これは、青春ポイント大ブレイクの予感。
うーんやっぱり、夏は『海』で『水着』で『UFO』に『宇宙戦争』だな!……あれ?最後のほう、俺なんて言った?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


青春を求める男が、元・電波女や天然少女やコスプレ美人とラブでコメディするシリーズ、第5弾。

今回は、夏休みに同学年の女の子達と海に行く話。
リアルではほとんどないのに、二次元ではよくある定番の青春イベントですね!

面白かったというより、楽しかったです。
やっぱり、女の子の水着姿はいいのー。
ブリキさんの描くムチムチっぷりは、健康的にエロくて大変よろしいです。
これが着エロってやつなのか?

天然鈍感のマコト君は、女の子たちに囲まれてキャッキャウフフしているのに、好かれていることにイマイチ気付いていません。
青春青春と騒いでいるのに、今の自分がいかに贅沢な立場にいるのか分かっているのかこの野郎。
くそっ、リア充め……と妬んでしまうほど、恵まれた青春を過ごしています。

メインヒロイン3人衆の中で一番お気に入りの前川さんの話が好きでした。
絶対にリュウシさんよりも乙女チックだと思うのですよ。
たまに、真が天然で口説くようなセリフを放った時に、吹き出して慌てるところが可愛いんですよね。
普段は一歩距離を置いているだけに、素直になりきれずに接近してきた時の破壊力は他二名とは比較になりません。

リュウシさんの真に対する態度が、もう当人以外にはバレバレで、ごちそうさまでしたって感じ。
そして、豊満な胸を揺らすシーンは、別の意味でごうちそうさまでした。
やっちゅーにネタを繰り返すリュウシさんは、決して普通の女の子じゃないね。

この二人を見ていると、エリオが同年代とは思えませんね。
小学生に通ずる思考や行動ばかりで、ロリ娘にしか見えません。
この娘、身長が160cmあるそうだけど、アニメ化された際には縮むことになりそうだ。

1~3巻のように大きなストーリー展開はなく、ただひたすら夏休みの小旅行を満喫しただけの回でした。
まぁ、青春男としては、これが正しい姿なのかもね。

典型的な水着サービス回(一部特殊なコスプレあり)

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価B 

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六百六十円の事情 

六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)六百六十円の事情 (メディアワークス文庫)
(2010/05/25)
入間 人間

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読書期間:2010/6/12~2010/6/17

【評価……B-
発想 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春





 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6






 男と女。彼氏と彼女。親と子供。先生と生徒。爺ちゃんと婆ちゃん。世の中には、いろんな人がいる。そこには、「ダメ人間」と「しっかり人間」なんてのも。
 それぞれ“事情”を持つ彼らが描く恋愛&人生模様は、ありふれているけど、でも当人たちにとっては大切な出来事ばかりだ。そんな彼らがある日、ひとつの“糸”で結ばれる。とある掲示板に書き込まれた「カツ丼作れますか?」という一言をきっかけに。
 日常系青春群像ストーリー。

【感想】


掲示板に書き込まれた「カツ丼作れますか?」の一言から始まる多様な青春群像劇。

そこそこ楽しめました。
ただ、他作品で好きなものが多いため、入間さんの作品としては微妙な位置になりそう。

全6章のうち、前半4章は男女ペアによる青春を描き、後半2章でまとめ上げる構成。
締めくくりは悪くないのですが、前半の交錯具合が少し甘い気がしますね。
もうちょっと積極的に人間関係を絡めてくれた方が面白おかしくなったんじゃないかな。
伏線が隠す気配もない状態なので、そのまんますぎて面白みに欠けます。

各組の話で盛り上げてくれるのかというと、うーん、章によって大きく異なりますね。
一番というか飛び抜けて面白かったのは、2章『生きてるだけで、恋。』のエピソード。
高校生男女の若々しく甘酸っぱい夏の物語の1ページって感じで、ニヤニヤさせられました。
1章が読み辛いなーと思っていたので、ここで乗っていけるようになりましたね。

1章『While my guitar gently weeps』は、テーマもキャラも良かったとは思うんです。
ただ、冒頭に読むのは辛い文体でした。
以前から薄々と感じていましたが、著者の女性の一人称スタイルは、文章に骨格がなくてフニャフニャなんですよね。
それはそれで面白いと感じる時もありますけど、個人的には肌に合わないことが多い。
中盤に挿入されていれば、もっと素直に読むことができたんでしょうが……何とも惜しい。

のんびりとした雰囲気で、劇的に物語が動くことがほぼありませんでした。
目的を持って読むというよりも、気楽に読む小説ですね。

著者の書く群像劇としては、みーまー8巻や小規模の方が面白かったです。
MW文庫らしく一般向けにはなっているので、こちらの方がオススメはしやすいかな。
読了後は爽快な気分になれますしね。

ところで、P160の1行目は、自虐ネタですよね?w

大切な人との関係と自己を見つめ直す男女数組の青春群像劇

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  六百六十円の事情  入間人間  宇木敦哉  評価B- 

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探偵・花咲太郎は覆さない 

探偵・花咲太郎は覆さない (メディアワークス文庫)探偵・花咲太郎は覆さない (メディアワークス文庫)
(2010/02/25)
入間 人間

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読書期間:2010/5/16~2010/5/18

【評価……B-
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー





 ★★★★★★☆☆☆ … 7






 「あの人が犯人よ」「どうして言い切れる?」「何となくよ。だから頑張って、この事件を解決して」「それは無理」「どうして」「今日も迷える子犬を捜索しないといけないからだ」
 ぼくの名前は花咲太郎。探偵兼ロリコンだ(いや逆か?)。犬猫探しが専門で、今日もその捜索に明け暮れている。……はずなのだが最近、殺人事件ホイホイの美少女・トウキのおかげで、望まない大事件がぼくに向かって顔見せ中。ヤメテー。『閃かない探偵』のぼくにできることなんて、たかがしれてるんだけどなぁ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


推理をしたがらない探偵物語。
タイトルからは分かりづらいですが、シリーズ物の第2巻です。

毒にも薬にもならないエピソード集であるのは、前回から変わらず。
多少、推理を楽しめるミステリー要素が増したようで、解決方法が裏技ばかりですから、あまり素直に読むわけにもいきません。

探偵と殺人犯が表面上フレンドリーに会話するところが、一番の面白味かなぁ。
ロリコンだと公言している主人公のわりに、あまり幼女との関わりあいがないのは寂しい。
太郎とトウキの出会いを描いたタイトルと同名の第4章は、悪くはないのですが。

事件の規模は比較的大きいのに、動きがサッパリ見られないため、淡々としています。
ブラックジョークが多くて、実にシュールです。

入間さんの作品の中では、どうしても地味さが抜けないシリーズですね。
メディアワークス文庫からの出版を意識しているためか、文章が抑え気味に感じられます。
かといって、ラノベに慣れていない人にとっては読みやすいかといわれると、そうでもなく。
どちらつかずの中途半端な位置にあります。
個人的な意見ですが、著者の作風はラノベでこそ輝くんじゃないかなぁー。

ロリコン探偵とお気楽な殺し屋の絶妙な距離感が醍醐味

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  探偵・花咲太郎は閃かない  入間人間    評価B- 

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電波女と青春男④ 

電波女と青春男〈4〉 (電撃文庫)電波女と青春男〈4〉 (電撃文庫)
(2010/03)
入間 人間

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読書期間:2010/3/17~2010/2/25

【評価……B
発想 ★★★★★★★☆☆☆ … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ
青春




 ★★★★★★☆☆☆ … 7
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 電波女になる前の藤和エリオは、それでも宇宙を追っかける少女だった。布団のかわりに、赤いランドセルを背負っていたんだってさ。
 リューシさんと前川さんは、俺に出会う前に、なんと淡い初恋を経験しちゃったりしてた。
その結末は、ほろ苦い青春の味……だったりするのかな、やっぱり(すごく気になるけど訊けないし)。
 そして俺は、エリオと同居しているにもかかわらず、意を決してエロ本購入大作戦を決行して!?
 うー、俺たちの恥ずかしい過去を綴った短編集登場、らしい。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


宇宙に浪漫を抱く少女と青春を謳歌しようとする少年の電波系ラブコメ、第4弾。
シリーズ初の短編集となります。

全5編で中身は結構充実してるかな。
リューシさん、前川さん、エリオの順に過去エピソードが各ヒロインの主観で語られています。
残りは、中学時代のマコトの話と、男の生物本能を描いたエロ話です。

今後の展開次第であるのは当然ですが、おそらく全て飛ばしても影響がないであろう独立した短編ですね。
各キャラの過去を掘り下げられているものの、これが大きな伏線となっているということはなさそうです。

この作品の個人的な二大ヒロインであるリューシさんと前川さんの話は、ちょっと掴みづらい内容でしたね。
入間さんの独特の回りくどい文章が逆効果となっており、面白さよりも面倒臭く感じてしまいました。
特にリューシさんは、思考が定まらないので、振り回されて大変です。
女心は複雑とか、そんなレベルじゃないっすよ、これ。
前川さんは、現在の飄々とした雰囲気とは異なって、恋をしている様子が実に女の子らしかったです。
内面は意外と普通で、リューシさんよりもまともなんじゃないですかね。

エリオだけは、もう少し遡って、小学5年生の頃のエピソード。
表紙絵を見る限り、3年生ぐらいにしか見えませんが、まぁエリオだからなw
幼いけれど、今より何だか賢そうなエリオは新鮮で良かったですね。
女々さんがエリオを愛でる気持ちが、今回ばかりは共感できました。

青春ポイントに情熱を懸ける前の中学時代のマコトの話は、甘酸っぱい恋愛未満の物語でした。
1巻冒頭で田舎の何にもないところから引っ越してきたとありましたが、嘘もいいところですね。
切ないけれど、青春してるじゃねーかこの野郎!と言いたくもなりますよ。
お互いが意識し合っているのに、踏み出せなかった初々しい関係が描かれていて、ほろ苦かったです。
個人的に、今回の短編で一番好きな話でした。
宇宙人が絡まない方が、やっぱり好みですね。

最後は、いわゆるバカ話で、漢・丹羽真がエロ本を買いに走る話。
本屋で知り合いの女の子と遭遇しても買おうとするなんて、勇者すぎる。
性欲により理性が制御できなかったわけでもないようだし、慎重なのか怖いもの知らずなのか、よく分かりませんねw
スリリングな冒険もまた、青春ってことか。

ブリキさんのイラストは、相変わらず身体のラインがエロエロで素晴らしいですな。
ただ、小5のエリオとおっさんのツーショットは犯罪臭がしましたけどw
中学生マコトの青春相手である星中のビジュアルは、ツボにきました。

評価にバラつきはありましたが、まぁそれなりに楽しめましたね。
リューシさんと前川さんは、マコトと絡んでこそ面白いので、次はこの面子で王道的なラブコメを読んでみたいなー。

メインキャラクターの失恋話を中心にまとめた短編集

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価B 

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探偵・花咲太郎は閃かない 

探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)探偵・花咲太郎は閃かない (メディアワークス文庫)
(2009/12/16)
入間 人間

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読書期間:2010/2/9~2010/2/13

【評価……B-
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★☆☆☆☆☆
 … 5
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
ミステリー





 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6






 「推理は省いてショートカットしないとね」
 「期待してるわよ、メータンテー」
 ぼくの名前は花咲太郎。探偵だ。浮気調査が大事件となる事務所に勤め、日々迷子犬を探す仕事に明け暮れている。
 ……にもかかわらず、皆さんはぼくの職業が公になるや、期待に目を輝かせて見つめてくる。刹那の閃きで事態を看破する名推理で、最良の結末を提供してくれるのだろうと。
 残念ながらぼくはただのロリコンだ。……っと。最愛の美少女・トウキが隣で睨んできてゾクゾクした。でも悪寒はそれだけじゃない。
 ぼくらの眼前には、なぜか真っ赤に乾いた死体が。……ぼくに過度な期待はしないで欲しいんだけどな。これは、『閃かない』探偵物語だ。

【感想】


肝心な時に閃かない探偵のミステリー風小説。
あくまで風であって、ミステリー作品ではないので推理を期待してはいけません。
ご注意ください。

短編による全5章。
各章にて、事件は起きたり、巻き込まれたりします。
だけど、主人公のロリコン青年・花咲太郎は犬や猫の探索が仕事の探偵であって、殺人事件は専門外。
同居中の13才の家出少女・トウキを愛でるのに忙しく、解決を求められても困る彼は、反則的な手段を用いて事件を解決したり、しなかったりする……そんなお話。

なお、同じ作者の「嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」シリーズの8巻にて彼らが登場したエピソードが展開されていますが、読んでも読まなくてもどちらでも問題はありません。

うーん、何とも評価し難い。
特別面白かったと言えるところは、振り返ってみると正直あまりありません。
しかし、詰まらなかったのかと問われると、そうでもないんですよね。
別段意味のないストーリーや設定を適当に流せる人でないと辛いかもしれませんが、自分はそれなりに楽しめるところも発見できました。

気楽に考えている人間の一人称のためか、人の生死が関わっているのに緊張感はほぼなし。
相変わらず作者の好きなグロテスク表現もありながら、何故か全体的に漂うのはコメディ調。
推理を楽しめる要素はあるにはありますが、真面目に考えると損をした気分になる何とも捉えづらい作品です。

入間作品特有の雰囲気を楽しむための本であり、内容は薄めです。
何というのか……ガムをねちねちと噛み続けるかのような感じと言えば伝わるでしょうか。
淡々とゆるい感じが長く続き、妙なクセを生み出しますが、無味に近いので毒にも薬にもならないです。

メディアワークス文庫より発売されているのに、文章はラノベ色が抜けきっていません。
一般文芸を目指す新規レーベル作品としては、人を選んでしまう文体ですね。
個人的には作者の文章に慣れているので構いませんが、方向性を考えると喜ばしくないかな。

この文庫には挿絵はありません。
しかし、表紙のシルエットイラストは、左さんがデザインしています。
みーまー8巻にてイラストかされているので、シルエットでも十分想像できますね。

まぁ、作者のファン向けの作品であることは否めないでしょうね。
キャラ同士の何気ない会話が一番楽しめました。

ろくに推理をしない探偵が主人公の偽ミステリー小説

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  探偵・花咲太郎は閃かない  入間人間    評価B- 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん9 始まりの未来は終わり 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈9〉始まりの未来は終わり (電撃文庫)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈9〉
始まりの未来は終わり (電撃文庫)

(2010/01/10)
入間 人間

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読書期間:2010/1/10~2010/1/12

【評価……B+
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
狂気
衝撃度





 ★★★★★★★★ … 9
 ★★★★★★★★☆☆
 … 8





 長瀬透が殺された。
 そのあと、変な奴から殺人声明の電話が掛かってきた。
 でも僕の人生には、一片の起伏もない。僕とまーちゃんの毎日は、それでも何も変化しなかった。
 そして僕は、長瀬の死を知らされても、涙も流さなかった。
 ……ははっ。ああ、良かった。僕はまだ、笑えたぞ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


みーまーシリーズ、終わりの始まりを告げる第9巻。
前回、嘘だと信じたかった衝撃のラストは、あらすじや帯にて読む前から肯定されてしまいました。

狂ってるなぁ、色々と。
言語化される前の脳味噌垂れ流しのような文章は、かつてないほどの読みにくさ。
200ページという薄い本にも関わらず、倍以上の厚さの8巻よりも労力を要しました。
精神崩壊した人間の文章を書く能力において、作者の右に出る人はそうそういないのではないでしょうかね。
脈絡のなさや日本語としておかしいところを突っ込む前に、他にはない独特の魅力があります。

時を重ねるごとに壊れていく××の姿は、痛々しくて見ていて辛かった。
嘘と捻くれた思想で構成されているため一見分かりづらいですが、酷く衝撃を受けて我を忘れようと現実逃避に必死だったんだろうなぁ。
元々不安定な精神構造をしていたところに、悪意のある現実をまざまざと見せつけられては、さすがの彼でも自分を誤魔化しきれなかったようで。
そりゃまぁ、元彼女をあんな形で殺されては、常人であっても平静を保てませんよ。

失って気付くことがあるというありふれた言葉を、××を通して実感させられました。
××にとって、長瀬がここまで大きな存在だったとはなぁ。
みーくんとなる前の「ぼく」には、恋日先生に次いで精神を安定させてくれる相手だったんでしょうね。
何でもないことだと振る舞う姿が、逆に心苦しくなります。

そして、長瀬が殺された時点で、もう安全な位置にいるキャラはいなくなりました。
先を読み進めることが、これほど恐ろしいと感じたことは今までなかったかもしれません。
狂気に満ちた街で起こる惨劇の前に、ビクビクしながらページをめくりました。
わざわざ登場する女性陣が死亡フラグに見えて困りましたよ……。

そんな混沌とした内容とは裏腹に、イラストはシンプルかつ美麗な仕上がりとなっています。
いつもながら、左さんの仕事っぷりには唸らされますね。
注目は初めてイラスト化されたジェロニモもとい奈月さん。
作品内で若い若いといわれてたけれど、この可愛らしい顔付きで三十路は反則だろうw

次巻ありきの内容で停滞してしまっているため評価はしにくいですね。
前振りとしては、次への繋がりとしてベストに近かったのではないかなと思いました。

願わくば、少しでも多くの人間が助かるハッピーエンドでありますように。

壊れていく人間の心理が、頭での理解ではなく感覚で伝わってくるクセの強い文章が売り

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間    評価B+ 

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電波女と青春男③ 

電波女と青春男 3 (電撃文庫 い 9-12)電波女と青春男 3 (電撃文庫 い 9-12)
(2009/11/10)
入間 人間

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読書期間:2009/11/10~2009/11/14

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
電波 ★★★★★★☆☆☆
 … 7

えーと今度はなんなんだろう。
とっても電波な女の子・藤和エリオの前に鎮座ましますは、宇宙服を着込んだ謎の少女(たぶん。声色で判断)。
ヤシロと名乗るその宇宙服女は、「この星には観光ではなくビジネスで来た」とかなんとか言って、俺たちの行く先々に登場してくる。まさか、宇宙人が見守る街で『未知との遭遇』をした……のか?えー、前川さんと野球したり、リュウシさんのバスケ観たり、いろいろやることあるのになぁ……。エリオと過ごす今年の夏は、退屈なんて感じなさそうだな。
……ささやかにお届けする青春ラブコメ、なのかなぁ、これ?

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


青春男、夏休み編。
リア充すぎるぞこの野郎。

もしも自分が主人公のマコトと同じ立場だったら、今回の話で青春ポイント+100は堅い。
毎回思っていましたけど、マコトは贅沢すぎる。
何を小説のキャラに向きになっているんだと言われそうですが……羨ましいんですよ、ホント。
いくら電波が混じっていようとも、可愛い子たちに囲まれた青春は見ていて眩しいわぁ。

というわけで、今回は夏休みに草野球やら天体観測やらお祭りやらと、イベント満載の回でした。
表紙を飾っているユニフォーム姿のエリオにちなんで野球で例えてみると、変化球投手が投げたストレートみたいな感じでしょうかね。
癖のある作家が、王道的な青春ラブコメを描いた結果、このようになりましたと言わんばかりの内容です。

まさかの叔母(40)が主役となった2巻より方向修正され、活きのイイ10代の女の子たちがヒロインに返り咲きました。
やっぱり、ライトノベルはこうでなくては。

エリオの時折見せる純真な言動がツボに入ります。
母親が溺愛するのも仕方がないなと思ってしまうほど可愛らしい。
女の子というよりも、ペットを愛でるような感覚に近いかもしれません。

リュウシさんは、普通の女子高生だからこそ、青春っぷりが半端じゃありませんね。
恋する乙女を地で行くその様は、見ているこちらが恥ずかしくなってソワソワしてしまいます。
パニくると、みーまーの甘えん坊まーちゃんモードを彷彿とさせるような怪しい言葉を使い始めるけれど、ヤンデレ化はないよね?ね?

そして何気に一番好きなのは、前川さんだったりします。
一般向きどころかオタクにも理解しづらいコスプレは何とも言い難いですが、中身は普通に女の子なので、ギャップが激しくて萌えてしまいます。
安全な位置から離れて見守るスタイルから、もう少し接近してくれると嬉しいんだけどなー。

文章は、相変わらず独特で曲がりくねっています。
内容は意外にも正統派のラブコメなのに、著者の手にかかると非常にまどろっこしくなりますね。
たった1つの文章を切り取ってみても、面白味が湧き出てくるようです。
ただ、文章の繋がりが自由のため、どこにその文があったかすぐに思い出せない点もありますね。

ブリキさんの絵はもちろん素晴らしかった。
妙にエロいところも含めてw

面白かったです。
みーまーが終わったら、こちらの刊行ペースが上がるといいな。

メッセージ性の強いストーリーも見どころなリア充青春ラブコメ

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価B+ 

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僕の小規模な奇跡 

僕の小規模な奇跡僕の小規模な奇跡
(2009/10)
入間 人間

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読書期間:2009/10/18~2009/10/26

【評価……B+
発想 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 なし
構成 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春 ★★★★★★★★☆☆
 … 8

『あなたのこと全く好きではないけど、付き合ってもいいわ。その代わりに、わたしをちゃんと守ってね。理想として、あなたが死んでもいいから』
もしも人生が単なる、運命の気まぐれというドミノ倒しの一枚だとしても。
僕は、彼女の為に生きる。
僕が彼女の為に生きたという結果が、いつの日か、遠い遠い全く別の物語に生まれ変わりますように。
これは、そんな青春物語だ。

【感想】


入間人間さん初のハードカバーとなる作品。
元は電撃文庫MAGAZINEで掲載された短編を長編にしたもの。
ちなみに、自分はその短編を読んでいないので、本になって初めて読みました。

あー、なるほど。
ハードカバーになっても、入間さんの魅力は失われていませんね。
たとえ著者名を伏せられて読んだとしても、すぐに入間さんが書いたんだと分かるだろうなと思うくらい、独特のまどろっこしい癖が文面にありありと出ています。
人によってはイライラする要因にもなりますが、これこそが作者の持ち味といえるので、ファンとしては文章量の多いハードカバーで堪能できるのは幸せです。
パロディネタなどが控えめな分、逆にラノベよりも読みやすかったりもしますしね。

で、内容はというと……うーん、みーまーシリーズ以上に感想の書きづらい作品ですね。
物語の明確なラインが把握しづらく、どこに焦点を定めて読めばいいのか悩んでしまうところがあります。
ある兄妹のそれぞれの青春物語がメインストーリーなんでしょうが、それ自体に魅力があるかといわれると、ちょっと微妙なところ。
出来が悪いわけじゃないのですが、長々と引っ張るようなものでもないかなと思ってしまいました。
ずっとひた隠しにされていたオチだけが気になるだけで、中身は薄かったように感じます。

兄と妹の二人の視点から展開される話は、群像劇スタイルとしては終盤まで交わりがかなり少なめ。
別々の物語を交互に読んでいるといっても差し支えないくらいです。
ドタバタコメディ調でいえば、みーまー8巻の方に軍配が上がりますね。
ほとんど予想通りでしたが、ハンサム丸の正体だけは気が付きませんでした。

ちなみに、みーまー8巻と今作は多少のリンクがあります。
とはいっても、どちら側からしても、読んでおく必要性はないので、気にせず手に取ってもらって大丈夫です。

青春の雰囲気や、細かな心の移り行きなど、過程の描写を楽しむタイプの作品ですかね。

登場人物の年齢層を大学生に焦点を定めた入間節炸裂の一品

テーマ: 読書感想文

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  僕の小規模な奇跡  入間人間  評価B+ 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん8 日常の価値は非凡 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈8〉日常の価値は非凡 (電撃文庫)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈8〉日常の価値は非凡 (電撃文庫)
(2009/09/10)
入間 人間

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読書期間:2009/9/12~2009/17

【評価……B+
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
ミステリー ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
構成 ★★★★★★☆☆☆
 … 7

ほんさくのとうじょうじんぶつです。
みどりのぼうしのたんていのひと(ろりこん)。ろりこんぎらいのおんなのこ。おかしなおじさん。じさつしたあねをもつひと。しょしんしゃなかっぷる。ねこずきさっか。きんぱつあおすーつのひと。きれいなこわいおんなのひと。
ばかんすでやってきた、うみがちかくにあるほてるにて。
だれがしんで。だれがしなないか。
僕とまーちゃんは、知らない。

……こんなゲームがあったら、面白いのになぁ。絶対に参加したくないけど。
嘘じゃないよ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


悪意と狂気の織り成す現実という世界で生きる人々を描く、みーまーシリーズ第8巻にして9冊目。

あーもう、どう感想書けばいいのやら。
毎度のことながらネタバレなしで書くのに労力のいる作品だなぁ。
とにもかくにも、色んな意味で、今までとは大きく異なりますね。

今回は、群像劇となっています。
読みながら、同じ電撃文庫の「バッカーノ!」を彷彿とさせましたね。
一つの大きな物語を、複数の視点から見ることで判明する驚きや、人と人とのすれ違いを面白おかしく描かれる群像劇の特徴がよく出ていたと思います。
少々クドさを感じるくだりもあったりして、読むのに時間がかかりましたが、嫌いじゃないですね。

ただし、正直なところ、みーまーシリーズの本編で語られるべき内容だ……とは言い切れないものでした。
××が主人公役ではなく、ほぼ関係のないところで話が進みますからね。
そもそも、××視点が全体の2割程度しかないってのがおかしいでしょう。
内容の是非は関係なく、みーまー成分を感じられないところに問題がありかと思われます。

とはいっても、全面的に否定するわけではありません。
××がフラグをことごとく回避する様は、それはそれでアリだと思うんですよ。
悪意に対する嗅覚が並外れている彼が、事件に関わらないように立ち振る舞うのは新鮮です。
それに今回の主役たちとの絡みもあって、他者視点から××がどう映るのかという面白さもありました。
ただ、過去最大のページ数を費やして、主人公が脇役以下ってのは残念だなと感じました。
もっと短く絞っても良かったんじゃないでしょうかね。

個性的な登場人物が多く、覚えるのは苦になりませんでした。
どうやら著者の他作品のキャラクターも数多く登場していたみたいで、みーまー以外では電波女しか読んでいない自分としては、分かるネタが少なくて悔しかったですね。
「おかしなおじさん」と「じさつしたあねをもつひと」がお気に入り。
××や湯女に比べたら、物凄いまともな文章が多くて読みやすかったのは長所、なんでしょうね。
あの騙りが好きで読んでいる人にとっては、物足りないと思います。

みーまーシリーズが好きなのか、入間人間さんの書く作品が好きなのかで評価が変わる内容でした。
ちなみに、自分はどちらかといえば後者の方なので問題ありませんでしたね。

……と、ここまでだったら可もなく不可もなくといった無難な内容かなーで終わったのですが。

最後の最後で来ましたね。
全く予想が出来なかったわけではありませんが、この巻で仕掛けがあるとは思いませんでした。
ってか、今もなお意味不明過ぎて衝撃を受けているのかどうかも良く分かっていません。
胸の辺りで黒々としたものが渦巻いているような感覚があるんだけれど、それを上手く言語化できない状態です。
何せ、嘘で有名な作者ですから、素直に信じていいものかと。
一冊かけて新たに練られた伏線で、嘘ではないと思いますけど……。

次巻が怖い。

今作品を舞台にした新キャラクターたちの群像劇でみーまーシリーズとしては変化球

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間    評価B+ 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』 記憶の形成は作為 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為 (電撃文庫)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん『i』―記憶の形成は作為 (電撃文庫)
(2009/06/10)
入間 人間

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読書期間:2009/6/16~2009/6/20

【評価……B+
設定 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

むかしのことを考えると頭の中が深夜のテレビみたいにノイズだらけになるさっこん、いかがお過ごしでしょうか。
これは、ぼくがまだ僕になる前の話だ。家庭内にぎやか事件のあと、ぼくはいろんな人と出会った。恋日先生、じさつ志願者、いじめっ子少女、にもうと、そして、マユちゃん。みんな(とくにマユちゃん)の純粋むくな姿がめじろおしでおとどけなのである。……むかしのぼくは正直ものだったんだよね。
うそだけど……今度、じしょでうそって字を調べとこう。

【感想】<本編3巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


みーまシリーズ初の短編集。
全5編からなり、そのうち4編が電撃MAGAZINEに連載され、残り1つが書き下ろしとなっています。
個人的には全て初見。

素直に面白かったです。
本編も毎回面白いんですけど、純粋には評価し辛いことが多かったので、この短編は単純に良かったと思えました。

電撃MAGAZINEに連載された4編は、監禁事件から間もない頃の話。
壊れているものの、まだ子どもっぽさが残る××の二度目の小学四年生が描かれています。
××がみーくんとなるに至るまでの過去編で、何とも興味深い。

春夏秋冬に分けられたエピソードは、それぞれ違った味わいがあって楽しめました。
幼いゆえにまだ人間らしい一面を見せる××が、とっても×おしい。
そして、そんな彼を支える恋日先生が格好良すぎて惚れてしまいます。
こんなに親身になってくれたら、そりゃあ嘘つき少年といえども好きになってしまうよなぁ……と納得。

書き下ろしの「とってももしもにもしかして『壊れていない正しさのある世界なら』」は、さらに良かった。
サブタイトルでも察しがつくかと思いますが、ifストーリーです。
あの事件がなければ、狂気的な殺人事件の数々が起きなければ、××を取り巻く環境はどのようになっていたのか。
そんな妄想が実現した世界が綴られています。

このギャップは凄い。
健全な世界が逆に気持ち悪くなるくらいですから。
平和な日常シーンが語られるだけなのに、穏やかさと同時に胸に痛さを感じるというのは、なかなか衝撃的です。
これはこれでラブコメとして見続けたい気もするなぁ。
あー、柚々は可愛いのう。

刊行順に読んでも問題はないですが、本編3巻後以降であれば大きなネタバレは回避できるので、先にこの短編集を読んでもいいかもしれませんね。
これまで本編に短編の登場人物名がチラホラとあって、ずっと分からないまま読んでいましたから。
あと、「電波女と青春男」との作品間リンクを今更ながらに気付かされました。
こういう作者の遊び心は大好きです。

電撃MAGAZINEで読んだ人でも書き下ろし分だけで買う価値あり

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間      評価B+ 

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電波女と青春男② 

電波女と青春男〈2〉 (電撃文庫)電波女と青春男〈2〉 (電撃文庫)
(2009/05/10)
入間 人間

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読書期間:2009/5/11~2009/5/13

【評価……B
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
ラブコメ ★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
家族愛 ★★★★★★☆☆☆
 … 7

E.T.ごっこして自転車で宙を駆け抜けた夜を経て。布団ぐるぐる電波女の藤和エリオが、ついに布団を脱ぐ決意をした……のはいいんだが。
なぜ俺の傍を離れないんだ?え?バイトの面接に付きあえって?そしてなんでお前は、生まれたての雛が親鳥を見るような目をしてるんだ?うーむ、こつこつ貯めた俺の大切な青春ポイントが、エリオの社会復帰ポイントに変換されている気がする……。
しかもそのエリオの脱電波系少女ミッションが一人歩きして。天然健康少女のリュウシさんとコスプレ長身美人の前川さんが俺の家に遊びに来たり(しゅ、しゅらーば)、みんなでロケット遊びしてる最中、女々さんの秘密と遭遇したり。
……というわけな第②巻。なんだかんだで青春、なのかなぁ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


前半と後半で大きく評価の変わる2巻でした。
真以外にも、リューシさん、前川さん、そして後半の大部分をジョジョさんの視点から語られるのがその理由ですね。

入間さんのまどろっこしい文章は、キャラ相性によって読みやすいか読みにくいか決まりますね。
女々さん視点は、みーくんや湯女とは比べ物にならないぐらい読みにくかった……。

既に1巻にしてエリオが電波女を卒業していたので、タイトルに偽りあり!だと思ったのですが……。
まさか、電波な叔母こと女々さんをメインに据えて物語を展開させるとは予想だにしてなかったぜ。

この叔母さん、もう色々と駄目というか手遅れだと思う。特に社会的に。
どう見てもちゃらんぽらんで駄目な大人の典型ですよ。
しかしまぁ、家族への愛情はしっかりと感じられますし、何だかんだいって母親らしい一面もあるので人間的にはイイ人なんだろうね。
親戚にいたら絶対に近づきたくないけどw

今回は、そんな女々さんの話だったわけですが、これが意外にも心温まるお話で良かった。
正直、ライトノベルで40歳のおばさんが頑張る話ってのはどうかと思うのですがね。
面白いとか楽しいとかではなく、イイ話だったという感想に落ち着いてしまいますし。

やっぱり個人的には真を主人公としたラブコメ路線の方が好きですね。
前半のエリオが社会復帰を目指す展開は、オチが読めますが、それでも笑わせてもらいました。
エリオも電波ゆんゆん状態から、随分と可愛らしくなりました。

リューシさんが真に惚れる理由はよく分からないけど、恋心を抱いている姿は可愛くて癒されます。
ちょっとした嫉妬や照れ隠しの言動が、さらに魅力を引き立てますね。
今のところ、女の子としては一番お気に入りです。

ブリキさんの絵は枚数を描くための絵柄にチェンジしてますね。
2巻が荒いというよりも、1巻が丁寧すぎたという方が正しい気がします。
とはいえ、カラーイラストのキャラ絵は非常に良くて、読んでいる途中で何度も見直しちゃってました。

作者があとがきで言っているように、みーまーとは正反対に位置する作品ですね。
同じ作者とは思えないほど、ぬるく温かい雰囲気に包まれています。

最後に作者近影を見て笑ったw
このシュールさは一目すべき。

予想外なほんわかストーリーに驚かされます

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価B 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん7 死後の影響は生前 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈7〉死後の影響は生前 (電撃文庫)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん〈7〉死後の影響は生前 (電撃文庫)
(2009/04/10)
入間 人間

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読書期間:2009/4/10

【評価……B+
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
 … 2
狂気 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー ★★★★☆☆☆☆☆
 … 5

突然ごめんあさーせ。
嘘つきさんが舞台から退場して、どれくらい経ったかしら。私、嘘つきさんに代わって、『物騙り』を任命されたものですの。何で私なのかしら。認めたくないのだけど、きっとあの嘘つきさんとよく似ているからでしょうね。
では些か僭越なのだけれど、これから我が平和な町で起こった愉快な殺人事件をご紹介するわ。
……あら、自己紹介がまだだったかしら。
私の名前は大江湯女。
騙り部であり、誰よりも自らを知るアンノウンな十八歳であーる……嘘だけど。うーん、私にはまだまだ使いこなせないわね、これ。

【感想】<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>


みーまーシリーズ第7弾。
前回のあとがきにて、終わりを漂わせることを書いておきながら、平然と新刊を出すのは想定の範囲内でした。
嘘じゃないですよ。

えー……、この作品は感想を書きづらいのが恒例ですが、今回の7巻は過去最高難易度を誇ります。
感情的にも、内容的にも。
内容に少しでも触れるとネタバレに繋がりそうで困ります。

全5章仕立てなのですが、章によって大きく評価が分かれます。
前半は正直なところ、かなり苦痛でした。
数ページ読んでは休憩を挟まないといけないくらいに精神が疲弊しまくり。
誤解のないように言っておきますが、面白いのは面白いんですよ。
しかし、文章があまりにも回りくどく脱線しまくりで、追うのが疲れるんです。

その理由は、物語りならぬ『物騙り』に任命された大江湯女にあります。
あらすじにもある通り、主役を仰せつかったわけですが、これがまたみーくん以上の曲者で読みにくいのなんの。
「みーくん」をやる気のある不真面目だとすると、湯女はやる気のない適当人間ですね。
作中では似た者同士と扱われる二人ですが、読者視点ではまるで別人!(当たり前なんですけど)
湯女独特の『騙り』に慣れるまでは、大変でした。

また事件は、シリーズで一番つまらないものでした。
新キャラに魅力が皆無というか、キャラが立っていない。
ミステリー要素もなしに等しく、ストーリーに意外性は感じられませんでした。

それでも良かったと思えるのが、6巻からの落ちの付け方に納得がいったからです。
鬱屈な前半と異なり、後半の僅かな解放感がこの作品においてはとても大きく感じられて良かったです。

それにしても、みーまーは人気作品の割にラノベ感想サイトでの取り上げが少ないような気がしますね。
やっぱり人を選んでしまうんだなぁと改めて実感。

語り手が変更されたことで受ける印象がこれまでとは大きく異なるみーまー


最後にちょっとだけネタバレ感想。
以下、収納。
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テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

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電波女と青春男 

電波女と青春男 (電撃文庫)電波女と青春男 (電撃文庫)
(2009/01/07)
入間 人間

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読書期間:2009/1/15~2009/1/17

【評価……B+
設定 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
青春 ★★★★★★☆☆☆
 … 7
電波 ★★★★★★★★☆☆
 … 8

宇宙人が見守ると噂されるこの町で、俺の青春ポイント獲得ミッション(具体的には女子との甘酸っぱい高校ライフ大作戦)はスタートした。
「地球は狙われている」らしい。同居する布団ぐるぐる電波女・藤和エリオからの引用だ。俺の青春ポイントが低下する要因であり、本ミッションを阻害する根源でもある。
天然癒し系な爽やか健康娘・リュウシさんや、モデルさんもびっくりの長身(コスプレ)少女・前川さんとの青春ポイント急上昇的出会いを経たにもかかわらず、俺の隣にはなぜか布団でぐーるぐるな電波女がいるわけで……。
……俺の青春って、一体どーなんの?

【感想】

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん」で有名な入間人間さんの新シリーズ。

あー、作品は変わっても作風は変わらないな、この人w
「電撃の缶詰」に載っていたエッセイやみーまーのあとがきを読んでいて、おそらくそうだろうなぁとは思っていましたが。
みーまーの文章が、狂気に蔓延る世界で嘘つき少年の一人称ゆえにクドい文章になっていたのではなく、これが作者のスタイルなんだなと今更ながらに確信しました。
そんなわけで、今回もまた回りくどいというか面倒臭い文章が延々と繰り広げられるため、みーまーの「文章」に抵抗を感じた方は大人しくスルーしていた方が賢明かと思われます。

僕は大好きですけどね!
隙あらば(いや、なくとも無理矢理)ネタを仕込ませる文章が、たまらなく楽しいです。
思わずクスッと笑ってしまうというものではなく、じわりじわりと噛み締めるほどに浸透していく面白さといいましょうか。
流し読みでは全く頭に入ってこないので、1つの文章をじっくり時間をかけて読まないといけませんが、そうするだけの価値がありますね。
ただ、癖が強過ぎるため、万人にはお勧めはできないのが何とも心苦しいんだよなぁ。

キャラクターも良し。
みーまーに比べ毒気が薄いので、著者の「文章」は好きでも「キャラクター」に苦手意識を持っている人は読む価値は大いにあると思いますね。

登場人物はかなり限定されていて、主人公の丹羽真に、あとはヒロイン候補が3人+1(あえて分けてカウント)ぐらいしか出てきません。
その割には、描き切れてない印象が残りましたね。
言葉遊びのキャッチボールをダラダラと続けていたため、掘り下げが甘かったのかもしれません。

とはいえ、電波女ことヒロインの藤和エリオのインパクトは強烈です。
まーちゃんとは違ったベクトルですが、この娘も相当アレ(頭がパー系)です。
表紙の妙なエロさよりも、裏表紙の和み度にやられました。
上半身を布団でぐるぐる巻きされた女の子に、これほど萌え係数があるとは知らなかったよ。
性格的には明るくて照れ屋である同級生のリュウシさん、容姿的にはやはり同級生でボブカットが似合っている前川さんのが好みだけどねw

ストーリー、雰囲気ともに拍子抜けするくらい、ちゃんとラブコメやっています。
前シリーズのようなどんでん返しを予想して構えていると、肩透かしを食らいますね。

面白かったです……が、同時に物足りないかなぁと感じる面もありますね。
他のラブコメ小説を比較しても遜色のない出来だとは思います。
しかし、今のラノベ業界にはラブコメはいくらでも生産されているわけで、入間さんの本で読む必要性は少ないんですよねぇ。
せっかく他の作家さんにはない独特の文章を書ける方なので、もっと尖がった作品が読みたいなと思いました。

また気になった点としては、題材的に『AURA』と似通っている部分が多いところ。
たまたまでしょうが、展開も酷似しているため、読了順からいって新鮮さには欠けてしまいました。

本当に少しだけですが、みーまーのネタがあったのが嬉しかったです。
これにはファンとしてはニヤリとさせてもらいましたw

これで完結でいいと思っていたんですが、続きが出るそうで。
1巻で綺麗に終わっちゃってるので、少々不安です。
どういう展開になっても蛇足になりそうなんですよね。
少なくとも、タイトルの「電波女」の部分は変更しないと、内容的に合わないでしょうね。

シュールな笑いが好きな人にとっては病みつきになる文章です

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  電波女と青春男  入間人間  ブリキ  評価B+ 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん6 嘘の価値は真実 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 6 (6) (電撃文庫 い 9-6)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 6 (6) (電撃文庫 い 9-6)
(2008/09/10)
入間 人間

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
オススメ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
狂気 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
ミステリー ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

梅雨の季節。狂気蔓延る屋敷からどうにか抜け出し、無事まーちゃんとらぶりーな関係に戻った今日この頃をいかがお過ごしになれそうか考えていた昨今。体育の授業をサボり中、人間をお辞めになったらしき侵入者が学校に来訪した。殺傷能力を有した、長黒いモノを携えて。
そしてそいつは、無言でいきなり自我を暴発させた。つまり、長黒いモノをぶっ放した(エロい意味じゃなく)。気づけば、体育館の床一面には阿鼻叫喚の赤い花が狂い咲き始め……。
えー、最後に一言。さよなら、まーちゃん。……嘘だといいなぁ。

【感想】 <前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

もしかしたら最後かもしれない、みーまーシリーズ第6弾。

毎回思うことなんだけど、いつまで経ってもこのシリーズは、評価し辛いし感想が書きにくい。
シリーズ内という縦の比較はできるんだけど、別作品との横の評価はもはや次元が違うため比較する対象にならない感じ。
上記の総合評価も、他の作品と比べても意味があまりないかと思われます。

しかし、今回はそれにも増してレビューしづらい理由があります。
終わり方が何とも不鮮明なんですよ。
4,5巻は分かりやすい上下巻仕様でしたが、この6巻は一概にそう言えるのか怪しい。
一応、6巻で起きた事件に関しては解決しているといえるんですが……その結果がうやむや。
3巻でにもうとの生死が誤魔化された時と酷似していますね。

結局、この回を正確に評価しようと思うと、次巻を読んでからじゃないと無理ですね。
でも、問題は果たして「次」があるのかどうか。
いくらなんでもこれで最終巻ということはないと思うんだけど……なにぶんこの作者ですからね。
これで終幕としてもみーまーらしいと言えるし、次で完結させるのもありだと思うし、何事もなく普通にまだまだ続いていくのだとしても「嘘」が許される作品だから問題なし。
素直に読み取るか、裏を読むか、裏の裏を読むか。
うーむ、難しい。

相変わらずの壊れっぷりで、一般人相手に面白いと公言すると頭を疑われてしまいそう。
それでも嘘でも何でもなく、僕はこのシリーズは好きです。
登場人物たちの心理が全く理解できないわけじゃないのが怖くもありますが。

今まで出てきた主要人物の再登場率が非常に高くなっています。
クラス分けの段階で長瀬や伏見の登場は予想できましたが、それ以外にも出番の少なかった同級生たちや、これまでの事件の加害者または被害者なども出てきて、まるでシリーズ完結を仄めかしているように見えます。

さらに特筆すべき点は、みーくん視点以外の短編も本筋の合間に挟まれていること。
例外的な独白などはありましたが、あの嘘ばかりの少年からの切り口でしかこの作者の文章を読んだことがなかったので、他のキャラの視点からだとどのように見えるか、気になっていたんですよ。
……うん、あまり変わらないなw
どいつもこいつも大小の違いがあるだけで、似たような壊れ方しているなぁ。
色々な感情を欠如しすぎていて、正常という言葉を持ち出すのが馬鹿馬鹿しくなってきます。

比較的まともだった恋日元先生は、完璧にニートになっちゃってるなw
ちょっと生々しすぎていて、現ニートの人には心情的に自殺したくなるかもしれませんのでお勧めできません。ご注意を。

『佐内利香×上社奈月=』のエピソードは良かった。
二人の独特の言い回しがテンポよく繰り広げられていて、素直にここは面白かったと言えます。
どちらのファンも一読の価値ありですね。

いつも楽しませてもらっているさんのイラストが、少々荒いのが気になりました。
作風を変えたのか、それとも時間がなかったのか分かりませんが、雑というか印象派のような画風になってますね。
風景ならそれでもいいんですけど、人物を描くのであれば以前の絵の方が僕は好きですね。

「このライトノベルがすごい!2009」で9位に入るくらいの人気作品なんだから、こんなところで切るわけがないよねーと希望的観測でいつまでも次巻を待ってます。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間    評価B+ 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん5 欲望の支柱は絆 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 5 (5) (電撃文庫 い 9-5)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 5 (5) (電撃文庫 い 9-5)
(2008/05/10)
入間 人間

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【評価……B
舞台 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
オススメ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆
 …3 

閉じ込められた(継続中)。まだ僕は、まーちゃんを取り戻していない。
外界と完全遮断した密閉屋敷9では、家族を殺人犯として疑い合う異常な環境が生み出されていた。もちろん、その最有力候補は、家族ですらない部外者の僕である。わはは。
……さて、それはさておき。依然としてこの屋敷に助けは来訪していない。無力すぎる脱出への工作も終わり、食糧も底をつき、大江一族の疑心と嫌悪が頂点に達した時……ついに伏見の姿まで消えた。
いよいよ、華の全滅に向かって一直線、なのかなぁ。
うーむ、まーちゃんが恋しいこの頃である。

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

登場人物がまともな思考を持っていないので青少年にはお勧めしたくないシリーズ、第5弾。
4巻から続く大江家密室殺人事件の解決編でございます。

本の内容に入る前に、まず表紙の人物が気になりました。
これは「男装したまーちゃん」なのか「まーちゃんに扮したみーくん」なのか。
最初は後者だと思っていたんですよ。
前髪の付け根が不自然なのはカツラを被っているように見えるし、4巻のまーちゃんの絵と連動しているのかと思いました。
裏表紙には後姿が見れるようになっていてその背中に「嘘だけど」という張り紙まで付いているのも、素直に顔出しをしないのも彼らしいなぁと感じる要因でした。
……が、よーく見てみると服や靴がダボダボなんですよね。
となると、これは女の子が男装しているということになり、つまりは表紙の人物はまーちゃんのはず。
危うく騙されるところだったぜ……!
よくよく考えてみれば、彼の顔出しは作品的にNGだったね。うん。

さて、本題です。

前巻は最後で怪しい雲行きになったところで終わってしまい、先が気になっていました。
あらすじからして不吉な内容で、読むのが怖かったですね。
柚々だけは生き残ってくれと切実に願っていましたよ。
それが叶ったのかどうかは……読んでくださいw

気になる殺人事件の解決編はといいますと、まあ妥当だったかなと言えますね。
半分以上は推理が当たっていました。
大江景子と大江貴弘の顛末については、消去法で簡単に分かりましたね。

一番予想外だったのは、犯人の行動心理です。
それも一種の考え方なのかもしれませんが、常人だと自負している自分には到底考え付きませんでした。
まぁ、想像できなくて良かったと思いますけど。

しかし、真相が判明して、はい終わり、というわけではないのは面白いと思いました。
密室空間の狂気と空虚を味わうことが出来ます。
ある意味、この辺りが今シリーズで一番求めているところなのかもしれません。
自分も順調に壊れていってますね。わはは。

それだけに、オチは微妙だなぁと言わざるを得ませんでした。
もともと推理面は結構曖昧なところが多くて想像でまかなうところがありましたけど、ちょっと今回のは強引かなーと感じましたね。
ミステリー要素に期待を持ちすぎると反動が大きいかもしれません。

この作品は結局のところ推理を楽しむのではなくて、悪意に満ちた世界で壊れ続ける人間たちの醜悪な様を傍観者という安全な立場から見てはじめて楽しめるのかなと、改めて思いました。
深く考えすぎると、トラウマどころか読み手も本当に壊れてしまいそうですしね。

そんな砂利が口の中に入ってくるような物語において、柚々の癒しは救われます。
いい娘だよなぁー。
普通というのがこんなに眩しいのかと教えてくれる存在です。
柚々に萌えるのは健常の証じゃないかな。

好きなシリーズですから、これからも買い続けはしますけど、そんなに長く続けるべき作品ではないなと思いますね。
どうしても初期のインパクトは薄れつつあります。
人間、どんなことにでもいつかは慣れてしまいますから。
良作で終えるためにも下手に巻数を伸ばすよりも、強烈な内容を一発かまして完結して欲しいな。

それとは別に、著者の別作品も読んでみたいなと思いますね。
一体どういったものを書くのか、非常に興味があります。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間    評価B 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん4 絆の支柱は欲望 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 (4) (電撃文庫 い 9-4)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 4 (4) (電撃文庫 い 9-4)
(2008/04/10)
入間 人間

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3

三月三十一日。マユが破綻した。
四月一日。僕は単身、かつて誘拐犯が住んでいた邸宅に足を運んでいた。つまり元我が家だ。今では、そこは『大江家』の所有物となっていた。
元自宅で待ち受けていたのは、以前の姿を一片も感じさせない増改築。窓には鉄格子がはめ込まれた、歪な洋館的風貌。屋敷では、家人による鳥肌な歓迎と忌まわしき過去との再会。求めるものは、マユがまーちゃんに戻るための何か。
しかし事態は混迷を極め始める。切られた電話線、水没する携帯電話、大江一家と共に閉じ込められる僕ら……ら?そうだ伏見、なんでついてきたんだよ。クローズド・サークルって、全滅が華なんだぞ。
……さて僕は。みーくんを取り戻し、まーちゃんを救うことができるのだろうか。

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

世界にめいっぱいの悪意を振りまくみーくんとまーちゃんの物語、第4弾です。
しかし、今回はあらすじの一行目からまーちゃん離脱のお知らせです。

大筋の流れは、非常に分かりやすいあらすじを読んでもらえれば把握できるかと思われます。
つまり、ヒロイン的ポジションがマユから柚々に!嘘だけど。
それは言いすぎだとしても、まーちゃんの出番が少なくて、代わりに柚々に出番が振り分けられているのは本当。
3巻で初登場したときからは考えられない昇進です。

またしても起こる事件に巻き込まれる形となった、みーさん。
やはりこのシリーズは、ミステリー小説として見る一面を切り離せないようです。
容疑者にあたる登場人物が多く、なかなか複雑になっていますね。
4巻は5巻と合わせてシリーズ初の前後編となっています。
よって真相は後編に続くため暴かれていません。
読んでしまうと先が気になってしまうという人もそうでない人も5巻とまとめて購入するのをお勧めします。

新キャラは、一癖ある連中ばかり。
特に大江家三姉妹の長女・湯女と次女・茜は、みーさんに負けず劣らずの曲者っぷり。
イラストを見る限り長髪黒髪の和服美女である湯女は、個人的にかなり真ん中に近いストライクなのだけど、性格に難がありすぎるw
一言でいえば、みーくん♀。
いや、そこも含めて魅力的だと感じなくもないんだけどね?w

まーちゃんがいないことで、ヤンデレ度はシリーズで一番ぬるいね。ほとんどなしと言っていいかと。
別の部分で楽しみを見出せなければ、つまらないと感じてしまうかもしれません。
僕は、柚々がいるだけで問題なしw
第一章冒頭の思案部分には、困ったね。可愛くて。嘘じゃないよ。
柚々の破壊力は並のレベルじゃないね。
まーちゃんも破壊力抜群だけど。物理的な意味で。

嘘の頻度は3巻と同じくらいかな。つまり、多すぎるくらいです。
感覚的には、今回の方が読み辛かったところが多かったように感じました。

ミステリーなのに話がオチてないので評価し辛いですが、面白くないわけではありませんでした。
遠回しな感想になるのは、既存巻の醍醐味と異なるためですね。
良かったとは思うんですが、みーまーシリーズっぽくないなぁ、と。
まーちゃんの出番が少なかったからでしょうねー。

ところで、早くも9月に第6巻が発売されるそうです。
この描くペースの速さは、読者としては非常にありがたく嬉しいですね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間    評価B+ 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん3 死の礎は生 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 3 死の礎は生 (電撃文庫 い 9-3)
(2007/12/10)
入間 人間

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★★
 … 9
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
 … 4
ヤンデレ ★★★★★★★★☆☆
 … 8

バレンタインの季節。街では、複数の動物殺害事件が発生していた。
マユがダイエットと称して体を刃物で削ぐ行為を阻止したその日。僕は夜道で死んだはずの妹(多分)と出会う。
そして妹っぽいものに遭遇した翌日。
僕は学校の朝礼で知る。無自覚の悪意の伝染について。
三ヶ月の短い静穏へ精一杯の反抗を示す惨殺死体事件。最悪な、殺人街としての街興しが、再び始まったらしい。
あー。この立て役者は、僕の妹(暫定)なんだろうなあ、きっと。
……口癖の出番は、あるなら早めによろしく。

<前巻までのネタバレがありますので、ご注意ください>

ラノベ業界のヤンデレ部門で着々と注目を浴びている作品、第3弾。
まーちゃんが飛び抜けているため霞んでしまいますが、他の登場人物も相当なもんだと思う。
特にこの3巻からは、出てくるキャラがどいつもこいつも危険思想を持っているため、みーくんが常識人に見えてしまうw

1巻と2巻は、かなり限定的な空間で物語が進んでいましたが、今回は学校生活が主体です。
ようやく学生らしい話に……なるわけがないですよね、このシリーズの場合。
2巻の元彼女に続いて、今度は死んだはずの妹が立ちはだかります。
それに加え、可愛い女の子たちに囲まれて、みーくんは命の危機にさらわれます。主に嫉妬心に駆られるまーちゃんから。
本当にそのうちコロっと死んでしまってもおかしくない作風なので、怖いッス。

前巻同様、推理要素が散りばめられた構成となっています。
2巻では、説明不足でそんなのありかよと感じたところもありましたが、今回はきっちりとまとめられていますね。
犯人の見当は割とつきやすいんじゃないかなーと思います。
でも、話が二重三重に絡まっているので、真相は見抜けにくいかもしれません。
まぁ、もとよりこの作品は推理部分がウリってわけじゃないですけどね。

本当にこの人の文章は、いい意味で嫌な気分にさせてくれますw
この本を読んだ後に1巻を読み直してみて気づいたのですが、彼の嘘をつく頻度が異常なほど増えていますね。
感覚的には1ページに最低でも1回は言ってるんじゃないかな?というくらいの数の嘘をついています。
初めて1巻を読んだときは、嘘ばかり言ってて読み辛いなと思いましたが、今ではすっかり虜となってしまいました。
荒く雑な文章と単純には片づけられない魅力があります。
間違った単語の使い方が面白くて癖になるね。
かなり意見が分かれるところでしょうが、僕は最近読んだ文章の中でもトップクラスで好きです。

新キャラは総勢5,6人ぐらい登場します。
その中では、伏見柚々が個人的に一押しです。
電波度が高いのにある意味一番純情なところが魅力たっぷりです。
こういうギャップのあるキャラに弱いんですよ。
決して、E作戦やF攻撃に屈服したわけじゃないですよ?ホントだよ?

あとは、これだけ危ない面子の中だと、恋日先生が貴重な存在になりますね。
この話には休憩ポイントが必要ですw
それに、先生の癒しがあることで、逆に彼の周囲の異常さを際立てる効果もありますし。

今まで嘘で塗り固められていた彼の内面が少しだけ描かれています。
傷つき過ぎた心が救われることはあるんでしょうかね。
……ないような気がするなぁ、この巻のオチを見る限り。
まぁ、最後のあの文章も、どちらとも見て取れるけど、きっと素直に汲み取る方で当たっているんだろうなー。

人には勧めにくいけど、気がついたら今追っているシリーズ物の中でも優先的に読みたい作品となってますね。
おかげで、1,2巻の評価が大きく上昇しました。

4,5月に2カ月連続で出る新刊が今から待ち遠しいですね。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間    評価A- 

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嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん2 善意の指針は悪意 

嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 善意の指針は悪意 2 (2)(電撃文庫 い 9-2)嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん 善意の指針は悪意 2 (2)(電撃文庫 い 9-2)
(2007/09/10)
入間 人間

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【評価……B+
舞台 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
物語 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 ★★★★★★★★★
 … 9
オススメ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆
 … 3
ヤンデレ ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6

評価【B-】⇒【B+】 2008.3.15修正

入院した。僕は殺人未遂という被害の末に。マユは自分の頭を花瓶で殴るという自傷の末に。
二人が入院した先では、患者が一人、行方不明になっていた。
その事件は当初、僕にとって問題となるべき事柄ではなかった。数日後に起きた出来事のほうがよっぽど衝撃的だったからだ。
数日後。マユは、頭部と花瓶を再度巡り会わされた。自傷じゃなく、誰かの手によって。マユは病室で血塗れになり、今回も気絶することなく自前の足で歩き、医者に治療を依頼した。
そして、治療から帰ってきたマユは、本題とは関係の無いことを僕に発表した。
死体を見つけた、と。
また、はじまるのかな。ねえ、まーちゃん。

登場人物が精神崩壊しまくりのシリーズ第2巻。
今回もまたレビューし辛い作品となってます。

これを読み始めて最初に思ったのは、このシリーズってこんな内容だったかな?ということでした。
その違和感は最後まで消え去ることなく読み終えてしまったので、1巻とはまるで違う印象を抱きました。

何が違うのかはすぐに分かりました。
1巻にはあって2巻にはないもの。
それは、いつ落ちてしまうかわからない綱渡りのような危うさです。

1巻は、あまりにも壊れすぎててオススメ度を星1つにしたくらいに危うさを感じられました。
それが、すっかりを鳴りを潜めてしまっています。
その理由の一つに、みーくんの嘘つき加減とまーちゃんの壊れ具合を読者は既に知っていることが挙げられるんでしょうね。
前回の冒頭が非常に読みづらかったのに対し、事前に情報を持っている今回はスラスラと読み進められました。
おかげで、良い意味でも悪い意味でも、全くの別物の作品のようになっていますね。

良い点は、もちろん人に勧めやすくなったということです。
1巻のレビュー時に書きましたが、やっぱりラノベの読者層は10代が多いので、一歩間違えれば悪い影響を与えかねないような内容の本を推奨しにくいんですよね。
この程度なら、問題なく勧めることができます。

悪い点は、他の作品にはなかった売りが消えてしまったことで、普通に面白い凡作になってしまったということ。
暗いというより昏いというべきあの雰囲気は、なかなか表現できないんじゃないかなぁ。
あったとしても部分的なものとか過去話の中だけであって、一冊丸々ってのは少ないでしょう。

正直、文章の面白さだけで言えば2巻の方が上です。
文章が洗練されていて、比喩表現が一文残らず面白い。
地の文がここまでノリノリだと、次の文が楽しみになります。

しかし、しかしですね。
僕が1,2巻を比較してどちらが良かったかと聞かれたら、1巻と断言します。
2巻には衝撃度が足りないんですね。
そりゃあ、他の作品に比べたら十二分に壊れてはいるんですけど。
共感までに至らなくても、みーくんがそういう人間だという認識を持っているだけで、驚くことは途端に減ります。
あぁそういえば、いつの間に自分はこんなにもみーくんの考え方に慣れていたんだろうかという驚きなら多少ありましたねw
慣れって怖いね。

ストーリーに関しては、前回よりもミステリー要素が濃くなっていますね。
ちょっと反則的なところもありますけれども。
登場人物も増えましたが、そのせいで肝心のまーちゃんの登場シーンが少ないような気がします。
みーくんとまーちゃんの壊れた原因が密接に関わる話を、もう1巻でやってしまっているんで、どうしても盛り上がりに欠けてしまいますねぇ。

まぁ、それでも非常に楽しく読めました。
積んでいる本をある程度消化したら3巻も買ってこようと思います。

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん  入間人間    評価B+ 

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