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明日へと続く記憶

アニメ、ゲーム、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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ゴールデンスランバー 

ゴールデンスランバーゴールデンスランバー
(2007/11/29)
伊坂 幸太郎

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【評価……A-
舞台 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
物語 ★★★★★★★★★
 … 9
人物 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
文章 ★★★★★★★★☆☆
 … 8
挿絵 なし
オススメ度 ★★★★★★★★
 … 9
構成 ★★★★★★★★
 … 9
エンターテイメント ★★★★★★★★☆☆
 … 8

仙台で金田首相の凱旋パレードが行われている、ちょうどその時、青柳雅春は、旧友の森田森吾に、何年かぶりで呼び出されていた。昔話をしたいわけでもないようで、森田の様子はどこかおかしい。訝る青柳に、森田は「おまえは、陥れられている。今も、その最中だ」「金田はパレード中に暗殺される」「逃げろ!オズワルドにされるぞ」と、鬼気迫る調子で訴えた。と、遠くで爆音がし、折りしも現れた警官は、青柳に向って拳銃を構えた――。

【感想】

伊坂幸太郎氏のミステリー&サスペンス。
2008年本屋大賞受賞作。 ⇒ 【外部リンク】
9月下旬から10月上旬にかけて読んでいたので、読み終わってから既に2ヶ月経っています。
いつものように感想は読了後すぐに書いているので、以下はその時に感じたことをそのまま書いています。

◆ きっかけ ◆

ライトノベルばかり読んでいる僕が、意識的に読みたくて買ったハードカバーはこれが初めてになります。
今まで一般小説といわれるものを読むことは少なく、機会があってもそれは読書感想文や論文を書くためといったように読む必要性に駆られたものであり、事務的な作業みたいなものでした。
中には面白かったと思えるものもありましたが、だからといって積極的に本を買いたいと思うことはありませんでした。

そんな自分が今回この本を手に取ったのは、とある書評を見たのがきっかけです。
毎日ラノベ関連の感想サイトをいくつかチェックしているんですが、一般小説の感想を合わせて書いている人は珍しくありません。
その中に自分の感性と近いレビューをしている人がいて、その方が絶賛していたので気になりました。

この1年でライトノベルをそれなりに読むようになって、ようやく本を読むのが習慣となってきたところなので、ハードカバーでも同じように読めるのか挑戦したかった気持ちもありますね。
心情的なタイミングがちょうど良かったわけです。


◆ 感想 ◆

うん、面白かった!
世間一般に評価されている小説とはこういうものだというのを、まざまざと見せられた気がします。
500ページの大ボリュームで贈る壮大な物語の前に、ただただ感嘆させられました。

この本のイイところは沢山ありますが、まず何よりも構成が光りますね。
第一部「事件のはじまり」、第二部「事件の視聴者」、第三部「事件から二十年後」、第四部「事件」、第五部「事件から三ヶ月後」と事件の前後を埋めてから本筋に切り込む構成となっています。
感覚としては、3000ピースぐらいの大きなジクソーパズルを外堀から作っていく過程と似ています。
この枠を越えることはありませんよ~と提示されるのは、どんでん返しがなくなってしまうので驚きが減ってしまうところなんですが、この作品に限っては中のピースを1つ1つ埋めていくと完成図が想像以上に見事でした。

第一部から第三部までの膨大な伏線の数々が凄い。
正直なところ、第三部までの話は抽象的すぎて、あまり面白くありません。
しかし、全体のページ数の4/5以上もある第四部「事件」が始まると、それまでに張りまくった伏線が輝き出すんですよ。
なにぶん分厚い本なので、伏線消化するときも咄嗟にどの辺りで出た話か思い出せないんですが、「ああーっ、あったなぁ」と思わず唸ってしまうことが頻繁にありました。
第四部も過去話と交錯しながら現在の話が進展していて、そのどれもが綺麗にまとまっています。


◆ 物語 ◆

舞台は首相公選制度がある現代の日本。
そこで描かれるのは、首相暗殺の濡れ衣を着せられた男の逃亡劇です。

この設定だけでも読んでみたいと思う人はいるんじゃないかな。
巨大な陰謀の前に、平凡な人間が一体何ができるのか。
非常に興味をそそられました。

テーマが明確なので、作者の言いたいこともはっきりと伝わってきて分かりやすいですね。
内容は結構重く、読了後もズッシリとのしかかってきます。
現実でも事あるたびに考えさせられることですが、国家やマスコミや世論といった巨大なものを相手にするとき、一般人はどう立ち向かっていけばいいんでしょうね。
「選挙に行こう」というフレーズは聞き飽きるほど聞いているけれど、自分一人が行ったところで何も変わらないという意見に対して絶対的に否定できる材料はなんて存在しません。
そのうえ、本当に自分の意思が清き一票として投じられているのかどうか疑問を抱かずにはいられないのが世の中の現状ですからねぇ。

人によって感じ方は違うでしょうが、個人的にはハッピーエンドではないと思っています。
モヤモヤしたものが残るので、読了感がいいというわけでもありません。
結局分からず仕舞いなことも多いです。

現代を舞台にしている割には、リアリティが薄く突飛な展開も見られます。
この辺り、映画化を意識しているかのような感じもありますね。
そのため、細かいところを言えばツッコミどころも少なくありません。

しかし、それでも読書中は様々な感情を動かされ、しっかりと胸に刻みつけられました。
濃厚な物語は完成度が高く、読了後は充実感に浸れます。


◆ 人物 ◆

登場人物がかなり多く、ただの脇役だと思っていた人物ものちのちキーパーソンになったりするので油断なりません。
何となくどの人物も似たような雰囲気を身にまとっていて、1冊読んだだけですが、これが作者の色なのかなと思いました。

主人公の青柳雅春は優しい心を持った青年で好感が持てます。
彼をよく知る人物は、首相暗殺なんてことを彼がするわけがないと信じていて、逃走の身でも関わらず、青柳は多くの人から「信頼」されているのが素敵です。
青柳の大学サークル仲間を中心に繋がっていく人間関係を見ていると、いかに人付き合いが大切なものなのかと教えてくれているかのようでした。

・森田森吾について
青柳の大学時代の友人であり、物語の重要人物の一人なんですが、どうしてもちょっと語りたいことがあるので伏せて書きます。

ずっと僕は森田が黒幕だと思って読んでいました。
なので、青柳を逃がした後、本当にあのまま車の中で死んでしまったとは思えなかったんですよねぇ。

理由はいくつかあるんですよ。
まず大前提に、青柳を嵌めた組織はかなりの巨大なもので、いくらでも後処理が可能だったということ。
これを踏まえると、不可解な点がいくつか浮かび上がります。

車に爆弾が搭載されていて、かつダッシュボードに銃が隠されていた点。
森田に銃を使ってもかまわないと指示していることから、組織は青柳の生死にこだわりがないのは明白です。
車から出た直後、警官が簡単に発砲していることからも同様のことが窺えます。
それならば、何故遠隔操作で車を爆破させなかったのか。
森田が裏切る可能性があることなんて十分考えられるのに、盗聴器の設置した形跡さえなかったのは何故か。

ここまで大がかりな計画なのに、いくらなんでも肝心な部分で詰めが甘過ぎませんかね。
何かしらの意図があって青柳にはしばらく逃亡劇を演じてもらう必要性があった、と予想していたんですけどねぇ。
上記の不可解な点の理由が後半明かされることを期待していたので、肩透かしを食らった感はあります。
結局、この点だけは未だに腑に落ちないですね。



◆ 総評 ◆

ハードカバーを読むのには気力が必要ですね。
後半からページをめくるスピードが上がり、読むのを止められなくなってしまう面白さはあったけど、手軽に読めるものではないので、普段から本を読んでいる人でないとお勧めしにくい。
逆に、読書好きの方で、まだ読んでいないという方にはお勧めできますね。
読み応え抜群なので、重厚な作品を探している人は、是非お手に取ってください。
ライトノベルしか読まないって人も、たまには一般小説はいかがでしょうか?

僕も、これはいつかもう一度読んでみたいなぁ。
一週目では気付かなかった伏線がまだまだ残ってそうなんですよね。

伊坂幸太郎氏の他の作品も読みたくなりました。
読書ペースが遅くてラノベだけでも次々発売される新作に手が出せないというのに、どうしようかなw
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テーマ: 読書感想文

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ゴールデンスランバー  伊坂幸太郎  評価A- 

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