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明日へと続く記憶

漫画、アニメ、ゲーム、音楽、ライトノベルの感想を書いたり、絵を描いたりしています。

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ミニッツ ~一分間の絶対時間~ 

ミニッツ―一分間の絶対時間 (電撃文庫)ミニッツ―一分間の絶対時間 (電撃文庫)
(2012/04/10)
乙野 四方字

商品詳細を見る
読書期間:2012/5/12~2012/5/14

【評価……B
発想 ★★★★★★★★☆☆ … 8
設定 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
物語 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6
人物 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
文章 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
挿絵 ★★★★★★★☆☆☆
 … 7
青春
ラブコメ




 ★★★★★★☆☆☆☆ … 6
 ★★★★★★☆☆☆☆
 … 6





 私立穂尾付学園高校一年一組、相上櫻。
 一分間だけ相手の心を読める『ミニッツ』能力の持ち主。
 “一年生にしてこの学園の生徒会長になる”――そんな大それた野望を持つ櫻は、この『絶対時間』を利用し、クラス内で“頼れるが妬まれない、愛嬌のある委員長”という絶妙な立場を演じていた。
 しかしある日、ふとした事がきっかけで、自身の秘密を生徒会副会長の琴宮遥に知られてしまう。
 櫻は、遥の弱みを握り返すため、彼女が提案する心理ゲーム『馬鹿と天才ゲーム』に挑む――。
 第18回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞!トリックとロジックが交差する、学園騙し合いラブストーリー!

【感想】


第18回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>受賞作。
今年の受賞作品の中で、最も購入前の期待度が高かった作品です。

確かにこれはこれで面白かったけれど、思っていたのと全然違う本でした。
これは、あらすじ紹介が詐欺っぽくて印象を悪くさせちゃっていますね。
下手に期待させなければ、もっと評価されたかもしれないのに勿体無い。

てっきり生徒会会長の座をかけて選挙活動に励む、または『馬鹿と天才ゲーム』と呼ばれるロジカルな推理対決が始まるのかと思っていたんですが、どうも話の進行方向が違う。
他人の心を一分間だけ読める能力を持った主人公・相上櫻による知略バトルが主軸ではありません。
それは数あるサブ要素の一つに過ぎず、本当のメインは、環境により偏ってしまった思考を持った少年少女が人間関係に思い悩みながらも心を交わしていくハートフルストーリーです。

発想は良く、素材はかなり優秀だと思います。
ただ詰め込み過ぎた設定のせいで、全体的にぼやけてしまっているのが残念。
伏線を張っているにも関わらず、何だか超展開に見えてしまうのは、複数混ぜ込んだ題材が衝突しあって長所を消してしまっているのが原因でしょうね。
それこそ知略バトルでもいいし、生徒会役員選挙でもいいし、異能系でもいいので、絞って書くべきではなかったかなー。

ヒロイン役である生徒会副会長・琴宮遥が、思っていたほどスペックが高くなかったのは、ある意味ギャップが効いてて魅力的に感じられました。
櫻と皮肉めいた表面上の会話を繰り広げる様相が、まさしく腹の探り合いで面白い。
距離が縮まって憎めない存在になっていく中盤の展開は、ベタだけど一番楽しく読めた箇所でした。
一歩踏み外してしまうと崩壊してしまう緊張感の中で行われる駆け引きにドキドキさせられます。

遥以外にも女の子を中心に数名キャラが出てきますが、そのほとんどが今回の話に関係ありません。
無駄に登場人物を増やして軸をブレさせるぐらいなら、出てこない方が良かったと思います。
続巻で出しても遅くはないんですから。

慣例通り編集があらすじを書いているのであれば、これは担当が悪いですね。
内容に沿った説明にしておかないと、反感を買うだけです。
ひたすら遥と駆け引き巡りを繰り返していれば、俺得だったんだけどなぁ。
心理ゲームに特化した内容で読んでみたかったです。

ナルシスト気味な主人公と完璧なお姉さん系ヒロインによる弱点の曝け出し合いが見所

テーマ: ライトノベル

ジャンル: 小説・文学

タグ: 書評  ミニッツ  乙野四方字  ゆーげん  評価B 

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